リクルーターとは?役割や導入企業、面談時に気をつけるべきポイントを解説

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最終更新日:2023年09月27日

就職活動をしていると、ある日突然企業から「お茶でも飲みながらざっくばらんに話しませんか?」と電話がかかってきたり、「質問会」などと称して社員が接触を図ってくることがあります。

このように、選考開始前、あるいは途中に接触を図ってくる社員は十中八九、「リクルーター」です。こちらの記事ではそんなリクルーターについて詳しくみていきます。

通常の選考よりもややブラックボックスになっている印象のあるリクルーターについて、以下の内容をすべてお伝えします。

本選考とインターンの締め切り情報

そもそもリクルーターとは

リクルーターとは、学生と接触することを求められた社員のことを指し、そういった方々との面談をリクルーター面談と言います。

多くは選考活動の一環としてつき、そこでの受け答えで志望度や適性を測り、面接の選考官を決める判断材料にしたり、場合によっては合否まで決まったりする場合があります。

また、選考とは関係なしに、学生と企業の相互理解を深めるためや、企業が欲しいと感じた人材が無事選考を突破できるようサポートしたり、内定後の入社までのフォローを行うなど、学生の味方としてサポートしてくれるリクルーターも存在します。

学生からしてみるとリクルーター面談が企業の1PR活動なのか、選考の一環なのかが分からず頭を悩ませるところですが、いずれにしても相互理解を通じてミスマッチを防ごうという点は変わりなく、お互いをよく知るためになるべく学生にストレスが無いよう、少人数かつカフェなどの社外で行われるなど通常の選考とは一風変わったものです。

企業も色々と考えての行動ですが、特別に与えられた現場社員との接触機会ですので、十分な準備の上、自分を知っていただき、また企業理解も深めていきたいです。

実際のリクルーター面談の様子(丸紅)

【リクルーター面談1回目】 
会社近辺のレストラン。中堅社員の方と1対1でOB訪問のような形式。 
5月中旬に電話で連絡があり、「OB訪問で高評価だった学生に更に丸紅の事を知ってもらいたい」と呼び出された。 

OB訪問の形式で、レストランで昼食を取りながら会話をした。 
基本的に、社員の方が喋って下さり業務内容を詳しく教えて下さった。 
少し志望動機を聞かれたくらいで深堀りは無かった。 

【リクルーター面談2回目】 
会社近辺の喫茶店。人事部の方と1対1でOB訪問のような形式。 
1回目のリクルーター面談後に電話があり、「次は人事部の者と会って欲しい」と言われ面談をした。 

会社近くの喫茶店で待ち合わせをして、昼食を取りながら面談した。 
1回目のリクルーター面談とは様変わりし、終始社員さんに質問をされた。 

引用:丸紅 本選考レポート

上記は五大総合商社の一角、丸紅内定者のレポートです。こちらの方は面談後に最終面接があり、ほかに面接がなかったことから選考の一環だと考えて良いでしょう。

レポートの通り、面接ほど堅苦しい雰囲気ではありませんが、選考の一環として評価されていると心構えしておいた方が無難でしょう。

実際のリクルーター面談の様子(三井住友銀行)

プライベートセッションは全て1社員:1学生の面談形式。 
回数が増える毎に段々と年次の高い社員が出てきて、質問内容も前回の面談の深堀等もあった。(志望動機の深堀、就活の軸等が主に深堀される)時間は約1時間で雰囲気はそれぞれ違うが、年次が高い人の方が緊張した雰囲気はあった。

プライベートセッション3回目くらいから志望動機の掘り下げでなぜ?なぜ?自分の人生で行ってきた事に対しなぜ?なぜ?と深く深く掘り下げてくるので、安易な自己分析だと途中で答えに詰まってしまいます。プライベートセッションは早くて3月の中旬~下旬から始まるので自己分析だけは徹底的にするべきだと感じました。また志望動機の高さや他行と比較した内容をちゃんと喋れるかどうかも面接を通して感じたのでそちらも力を注いでほしいです。

引用:三井住友銀行 本選考レポート

こちらは三井住友銀行でのリクルーター面談の様子です。こちらの場合でも、他に面接がなく、複数回のリクルーター面談後に最終面接ということなので、選考の一環と考えて良いでしょう。

このように、リクルーター面談は名前こそ「面接」ではありませんが、実態として選考の一環であると考えて良いでしょう。名前に油断せず自己分析や業界・企業研究、またガクチカ・自己PR・志望動機を入念に準備しておく必要があると考えます。

リクルーター制度を採用する企業側の意図

リクルーターについて見ていく前に、リクルーター制度を選考に用いる企業側の意図を知っておきましょう。

(1)自社理解の促進

リクルーターに個別に就活生と面談をしてもらうことで、就活生に自社についてより具体的なイメージをもってもらうことが可能になります。

(2)自社へのロイヤリティ構築

多くの社員と会わせることで、単純接触効果によって自社を就活生の印象に残し、内定後の辞退を防止する効果が期待できます。実際にunistyleのユーザーの中にも、「選考途中でリクルーターの方にお世話になったからこの企業に決めた」という学生が少なからずいます。

(3)優秀な人材の早期囲い込み

経団連の倫理憲章に基づく採用広報解禁を待っていると優秀な人材は他社へ流れてしまうため、採用広報解禁前に優秀な学生と接触し、囲い込みたいという意図があります。

そのため、倫理憲章を遵守している企業の中にもリクルーターを活用しているところは多くあります。(後ほど主要企業を紹介します)

「採用広報解禁」という言葉がいかに上辺だけかという話にも繋がります。

(4)人事の負担軽減

例えば、三井住友銀行の2017年の新卒採用人数は1,800人にものぼります。

採用人数から逆算しても、人事部はこの数倍の就活生の評価をすることとなり、かかる負担は計り知れないものがあります。そこでリクルーターを使い、ある程度就活生をふるいにかけることで、人事部にかかる負担を軽減したいという意図があります。

企業の選考においてリクルーターが果たす役割

以下の3点が、リクルーターの主要な役割です。

リクルーターの主な役割

(1)学生の質問に答えていくことで、自社への理解を深めてもらう

(2)自己PRなどの添削を行い、就活をサポートする(サポートを通じてロイヤリティを醸成する)

(3)学生との会話を通じて、志望度や能力を測り、学生を評価する

ここで、(3)の学生の評価基準について説明します。

  • 服装や振る舞いなどのビジネスマナー
  • 会社で活躍できそうな能力を備えているか(学生時代の経験やコミュニケーションの中身から推測)
  • 自社への志望度が高いか(ずば抜けて優秀な場合は不問)
  • 自社の雰囲気にフィットしているか

大きく上記の4点を中心に見ている企業が多く、4点それぞれについて採点がなされ、下位の学生や自社の採用基準に満たないと判断された学生は、以降の面談は呼ばれないこととなります。

【業界別】リクルーター制度を採用している企業

以下、18卒の時点までで判明している、リクルーター制度を採用している企業を列挙します。

なお、ここに挙がっていない企業でもリクルーター制度を採用していることはありますし、また、将来的に同様にリクルーター採用を行うかどうかはわからないということはご承知おきください。

【銀行】
日本銀行、日本政策投資銀行、日本政策金融公庫、農林中央金庫、みずほフィナンシャルグループ、三井住友銀行、商工中金、三井住友信託銀行、りそな銀行
【保険】
東京海上日動火災保険、第一生命保険、住友生命保険、大同生命保険、日本郵政グループ、明治安田生命
【証券】
野村證券、大和証券
【インフラ・エネルギー】
JR東日本、JR西日本、近畿日本鉄道、JXエネルギー、中部電力、大阪電力、NTT東日本
【建設】
鹿島建設、竹中工務店、大成建設、清水建設
【メーカー】
旭化成、川崎重工、キヤノン、トヨタ自動車、マツダ

(※unistyle上に掲載している選考レポートおよび就活生からのアンケートに基づく)

最新版(21卒向け)の「リクルーター制度を採用している企業」を確認したい方は、以下の記事をご覧ください。

【リクルーター制度実施企業一覧39社】選考との関連性と条件を掲載
→リクルーター制度実施企業全39社を、選考との関連性と条件付きで紹介しています。業界別に最新の情報を記載しています。

就活生にリクルーターが付くまで

ここでは就活生にリクルーターがつく際の対象・時期・接触方法を説明します。

リクルーターの接触対象

東大京大レベルの学歴上位層はエントリーをするだけでリクルーターがつくことがありますが、その他の学歴の学生でも、セミナーの参加やセミナーでの質問の質などによってリクルーターの接触対象となり得ます。

自分の学歴に自信がないという人は、積極的に企業イベントに参加し筋のよい質問をするなど、「自分を覚えてもらうこと」を意識するとよいでしょう。

リクルーターの接触時期

リクルーターの接触時期は、大きく2つの時期に分かれます。

接触時期(1):その企業のインターン終了後
インターンでの評価に応じて、リクルーターから連絡が来る場合があります。

接触時期(2):日系大手企業にエントリーが可能となる3月上旬〜4月中旬頃
こちらは企業との接点が増えるために評価の目に触れる機会が多くなることを意味しています。さらに細分化し、(1)学歴などのスペックが知られるプレエントリー時、(2)個別説明会参加時、(3)エントリーシート提出時の3つのタイミングに分けられます。

リクルーターの接触方法

接触方法は大きく分けて3つあります。

接触方法(1):企業HPへのエントリー後に接触
学生がエントリーしたら、その情報に基づいて接触してくるという方法です。同じ大学のOBの社員がリクルーターとなる場合も多いです。

接触方法(2):セミナーでの提供情報に基づいて接触
セミナーなどに参加した後、そこで提供した情報を元に接触してくるという方法です。アンケートなどの内容も加味されている場合があります。

接触方法(3):OB訪問をトリガーに接触
OB訪問など、学生からの接触をきっかけに、企業側からリクルーターを紹介してくるパターンも存在します。OB訪問で高評価を得てリクルーター選考のフローに乗るチャンスもあるということです。

リクルーターをつけてもらうための3つの心構え

何人もの学生と個別で何回も会うというリクルーターの性質上、リクルーターが付く学生数は必然的に限られてきます。この段落では、リクルーターが付く機会を逃さないための注意点を説明します。

インターンへの参加、およびマイナス評価を回避する

リクルーター制度を採用している企業において最もリクルーターがつく可能性の高いのは、インターンで高評価を得た場合です。

インターンは選考を通過した比較的少数の学生と、人事部含む社員が数日間に渡り接触する機会であり、3日以上のインターンの場合は間違いなく評価されています。(「本インターンは採用とは一切関係ありません」という定型句がありますが、営利企業がわざわざ多大なリソースを割いてインターンを実施する以上、関係ないわけがありません)

インターンに参加した際に何より大切なのは、そこでマイナス評価を貰わないことです。インターンにおいてエントリーシート落ちや面接落ちなどの場合には、その学生の最終的なマルバツは明確でないため本選考で再チャレンジするチャンスが得られることも多いのですが、じっくり見極められるインターン本番で「あ、この学生は完全に見込み違いだった」と思われると、リクルーターが付かないだけでなく本選考時にノールックで落とされます。

インターン本番参加者のうち上位何割がリクルーター面談に呼ばれるかは企業によってまちまちですが、先ほど列挙した日系大手企業は、外資系金融・コンサルに比べると採用人数が多いため、インターン中にマイナスの評価を貰わなければほぼ呼ばれるといった話もあります。

セミナーへの複数回参加、およびアンケートや質問で筋のよい内容を伝える

いくつかの金融機関は、一定以上の学歴があると、セミナーへの複数回参加のみでリクルーターがつくようになっています。それ以外のセミナーに参加するのみではつかない企業や、上位校以外の学生は、セミナーの場での質問や配布されるアンケートが重要になってきます。

ここでの質問で注意すべき点は、面接の最後にある逆質問とほぼ共通しているので、以下のコラムを参考にしてください。基本的には「意図の明確な質問」をすることが重要です。調べればわかる内容や、「それ聞いてどうするの?」な内容の質問は評価されません。

参考:面接における逆質問の重要性|どのような質問が評価されるのか?

企業から評価されない逆質問と、評価される逆質問の違いについて記述した記事です。リクルーター面談に臨む際の質問作りにご活用ください。

OB訪問でのコミュニケーションの質を最大限に高める

上記の2つに比べるとリクルーター選考へ誘導されることは少ないかもしれませんが、OB訪問で社員から目をつけられ、リクルーターを紹介されたという学生も存在します。

そもそもリクルーターに限らず、OB訪問でも学生を評価していることは多いため、ここで評価されるようコミュニケーションの質を高めるのは当然に必要なことだと言えます。時間を割いてご飯も奢ってくれるOB社員に失礼のないようにしましょう。

OB訪問については以下の記事にひと通りの情報をまとめています。

参考:OB訪問やり方大全!OB訪問の目的から時期・質問内容まで徹底解説

就職活動におけるOB訪問の活用方法を解説した記事です。OB訪問の目的から、筋の良い質問の例、具体的なマナーまで、OB訪問をするうえで必要な「how to」をすべて網羅しているのでぜひご一読ください。

リクルーター面談対策・頻出質問

この段落では、リクルーター面談で評価されるために必要な対策を、服装などの「外見やビジネスマナー面」「自己PRなどの内容面」「逆質問」の3つの切り口で説明します。

外見・ビジネスマナー

リクルーターによる面談は、どれだけ「選考に関係ありません」「ざっくばらんに話しましょう」と言われても、まず間違いなく選考要素があります。

会社側からすると、被雇用者の時間を使用しているため、当然コストがかかっているわけですから、会社側にとって何らかのメリット(学生をふるいにかける等)がなければ行うはずがありません。よって、リクルーター面談に臨む際には、見られているという意識を持つべきです。

服装も特段の指定のない限りスーツを着用し、挨拶や話し方も基本的なマナーを押さえ、硬くなりすぎても不自然ですが、フランクになりすぎず明確に選考の場であるということは認識して話してください。

また、リクルーター面談に限ったことではないのですが、企業側から「私服指定」があった場合は直前に他社の選考などがない限り私服で行くのがよいと思いますが、その際にもTPOや企業のカラーを勘案して違和感のない服装を心がけてください。(相手にどう見られてもいいというストロングスタイルで臨むのは、よほど優秀さに自身がある場合以外はおすすめしません)

自己PR・志望動機

前提として、一般的な面接と同様に準備して臨んでください。

まずはリクルーター面談での頻出質問を列挙します。最低限この辺りの話は振られても問題ないようにしておきましょう。

リクルーター面談の頻出質問リスト

【自己PR・経験について】
・学生時代に主にどんな活動をしているのか
・大学では何を勉強しているのか


【志望動機について】
・なぜ自社に関心をもっているのか
・就活の軸は何か
・他社、他業界はどこを見ているのか
・将来なりたい像はあるか
・自社のなかでもどんな仕事に興味があるのか

その上で、「落とす理由」を極力排除し次に推薦されるために以下のことを実践するとよいと考えています。
(実際に6社計35人のリクルーター面談を通過してきた、ある就活生の意見を参考にしました)

(1)「もっと会社のことを知りたい!」という熱意・意欲を見せる
よほど優秀で企業から「絶対にこの学生を逃してはいけない、入社して欲しい」と思われていない限りは、学生の方からも企業への興味を示していくべきだと考えます。志望動機を聞かれた際に筋の通った内容を伝えることと合わせて、プラスアルファの熱意を見せられるとリクルーターも次に推薦しやすくなるでしょう。(見え透いた「媚び」を推奨するものではありません)

(2)適度にプライベートの話を織りまぜる
紋切り型のコミュニケーションに終始する学生と話していても人柄が見えず、また、面白みもないと言えます。

礼儀をわきまえた上で、ある程度腹を割って自分自身のプライベートをさらけ出すのは、その社員と仲良くなるためにも有効です。リクルーター面談に限らず人対人のコミュニケーションでは当たり前のことであり、「就職活動だから特別こうするべき」というものではありません。

人柄を知ってもらって「いいやつ」「こいつと一緒に働きたい」と思われることは採用の上でも非常に重要なことです。

(3)前のリクルーターの話を次の面談で生かす
採用のフローはすべて繋がっています。その場その場を切り抜ければいいというものではなく、前の段階を踏まえて改善した・新たに興味が湧いて聞きたいことができた、などの繋がりが見えるとリクルーターとしてもより安心して次に推薦しやすくなるでしょう。

本選考の面接も然りですが、リクルーター面談おいては、「人事部や次の社員にこの学生を推薦できるか」が通過・落選を決める大きな要素になります。学生時代頑張ったことや逆質問で能力面をアピールしつつ、リクルーターと仲良くなることで次の面談に繋げてもらうよう努めることが重要だと言えます。

逆質問

企業によっては、最初の数回のリクルーター面談はすべて逆質問という場合もあります。社員に呼ばれて指定の場所にいくと「そしたら何か質問はありますか」と急に聞かれ、1時間ずっと逆質問だったという話も多くの学生から聞いています。

与えられた質問への応答よりも、逆質問にこそ、その人の優秀さや熱意が如実に表れます。

場当たり的な質問を苦し紛れに連発しても評価が下がると思っています。リクルーター面談の前に質問リストを作成し、頭のなかでやりとりを想定し、話をふくらませる切り口を考えておくことも有効でしょう。

逆質問に関する基本的な考え方は以下の記事を参考にしてください。

リクルーター面談の逆質問でするべき質問とは|ポイントは4つ!

リクルーター面談では、本選考よりも逆質問の時間が多めに設けられることが多いです。この記事では、長時間のリクルーター面談を突破する際に役立つ、「ストーリー仕立て」の逆質問例を紹介しています。

最後に

以上、就活生にとって実態が不透明なリクルーター面談について見てきました。

明確に「本選考」や「1次面接」などと言われてなくとも、社員との対談の場を設けられたら実質的には本選考と同等です。この記事をベースに、適切に自身をアピールできるようになっていただければ幸いです。

最後に"リクルーターに関するunistyleの他の記事"も掲載しておきますので、こちらも併せてご覧ください。

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