生命保険業界大手2社の違いとは【日本生命と第一生命の強み・事業領域・選考を比較】

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最終更新日:2023年08月17日

金融業界は、他業界と比べ採用数が多く、上位校の学生が受ける業界として注目されています。

この金融業界の中でも、銀行、証券、損害保険、生命保険やカード会社では事業内容が大きく異なります。

今回は、その中でも生命保険業界の2大トップである日本生命、第一生命の両社に焦点を当て、業績や選考の比較を行っていきます。

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生命保険業界の事業内容・ビジネスモデル

この項目では、生命保険業界の事業内容・ビジネスモデルを簡単に見ていきます。

生命保険の事業モデルは、大勢の加入者があらかじめ長期間かつ定期的に保険料を負担しあい、その中の加入者が死亡やケガ、事故が起こった際に、必要な保険金を加入者や家族に支払うというものです。

以前の生命保険制度では、死亡率は年齢と比例して高くなるにもかかわらず、若年層は高齢層と同じ金額を支払っていました。

また、高齢層は早くお金が支払われ、若い人は払うだけという不公平が生じていました。

現在の生命保険制度では、その不公平を解消するために,それぞれの年齢に応じた保険料を算出し公平になるようになっています。

参考:第一生命新卒採用ページ「5分でわかる生命保険のコト」

→生命保険について分かりやすくかつ詳しく解説されています。こちらを読めば生命保険について必要最低限の事は理解できるでしょう。

また、生命保険業界の業務は大きく分けて、リーテイル、ホールセール、資産運用の3つがあります。

【1】リーテイル
生命保険会社の核は、個人保険を中心としたリーテイル部門です。

営業職員チャネルでは、多様なライフスタイルやニーズを持つお客さまのニーズに応えるために、良質な商品・サービス、それらを提案する営業職員のコンサルティング能力が重要です。

また、新商品開発、営業現場を支える教育研修、商品パンフレットの作成、営業用パソコン開発、お客様との接点をとなるキャンペーン企画、マーケティングを駆使し、中長期的な視点での営業戦略立案や新たなチャネルの開発など多岐にわたる仕事がリーテイルとしての仕事です。

【2】ホールセール
ホールセールは、法人や団体向けの退職給付制度や企業年金制度に関するコンサルティングや提案、および団体保険の推奨を行っています。

法人営業には、福利厚生制度についての広い知識をはじめ、経営をサポートする数々の保険商品、さらには財務戦略や経営戦略などについての見識がビジネスのベースとして求められます。

お客さまの会社や組織、従業員についていちばん考え、最良かつオーダーメイドな提案によってお客さまの企業価値向上や安心をサポートすることがホールセールとしての仕事です。 

【3】資産運用
資産運用は、お客さまから保険料として預った資産を、長期にわたって安定的な運用を行っています。

大規模資産の長期的な運用効率向上を目指し、商品ごとの運用方針の策定、ポートフォリオ策定、国内の株式、債券、外国の株式、債券に加え、証券化商品、不動産への投資、融資と多岐にわたるマーケットでの運用、金融工学理論やマクロ経済理論の研究、海外拠点でのファンド調査、リスク管理などがあります。

大規模な資産運用は、各マーケットでの存在感も大きく、社会に与える影響も同様に大きいため、投資対象としての健全性を判断することや長期的な視野での運用スタイルは経済成長をじっくりと支える運用をする必要があります。

また、第一生命のプレゼンテーションシートを参照すると経常収益が、主に(1)保険料収入と(2)資産運用収益で構成されていることがわかります。

(1)保険料収入
これは、生命保険のイメージそのままだと思います。生命保険会社は、様々な保険商品を開発し、支店・支社の保険販売員の方が保険商品を提案していきます。

加入者は、保険料を支払い、この保険料が生命保険会社の収入になります。

(2)資産運用収益
加入者から保険料という形で集めた資金の一部を資産として運用し、将来の保険金や配当金の財源をできる限り増やしていきます。

これは、生命保険会社が金融業であり、機関投資家である所以です。

参考:第一生命決算資料
→2016年度の第一生命の決算資料になります。

生命保険業界の取り巻く環境

ここでは、生命保険業界の現状や将来について考察していきたいと思います。

2015年の全国実態調査の調査によると、生命保険の加入率が89.2%で高水準であることがわかります。

しかし、国内市場は少子高齢化やそれに伴う生産労働人口の減少により、保険料収入が数量ベースで伸びていくことは難しいと考えられます。

一方、海外保険市場に注目すると、新興国市場などで保険普及率が低く、人口増加や経済成長を背景に、保険市場が拡大する見込みのある国や地域が多くあります。

そこで、生命保険会社は、今後の成長を求め、海外の現地保険会社との業務提携やM&Aなどを通じて海外事業基盤の拡大を図っています。

また、海外に事業を展開することで、事業リスクを分散させるというメリットもあります。

参考:日本経済新聞「生命保険加入率89.2%、最低に 15年調査」
→2015年に生命保険の加入率が歴代最低になったという記事です。なぜそのような結果になったのか考察されています。

参考:MS&ADホールディングス「保険業界の今後」
→保険業界の今後について解説されています。こちらをよめば今の保険業界について一折理解できると思います。

第一生命の海外進出は、2007年にベトナムの生命保険会社バオミンCMGを買収し、その後、タイ、オーストラリア、インド、インドネシアに進出し、生命保険事業を展開しています。 

2015年2月には米国の保険会社プロテクティブ生命を56億ドル(約5,750億円)で買収し、完全子会社としました。

国内生保が行なった海外企業のM&A(合併・買収)では最大規模となります。

米国の生命保険市場は着実な成長が予想されていますので、海外事業分野の収益拡大に大きく貢献するものと期待しています。

プロテクティブ生命がグループの一員に加わったことで、当社の海外事業ネットワークは6カ国となり、グループの全収益のおよそ3割が海外事業となる体制が整いつつあります。

 

引用:第一生命採用ページ「第一生命のキーパーソン[海外事業部門]」

上の引用は第一生命の海外進出に関するものでしたが、日本生命に関してもインド、インドネシア、米国、中国、タイにも進出しています。

インドのリライアンス・ライフに平成23年10月に出資し、同社の発行株式26%を保有し、インドネシアのセクイス・ライフに平成26年10月に出資し、20%保有しています。

タイの大手生命保険会社であるバンコク・ライフに対して、平成9年4月に出資して以来、追加出資を続け、25%保有する筆頭株主となっています。

また、平成3年12月に設立された米国日生は、ニューヨーク、ロサンゼルス、シカゴ、アトランタ等の拠点を通じ、商品を提供しています。

そして、最近では、豪大手銀行ナショナル・オーストラリア銀行(NAB)が抱える生命保険事業の買収手続きを終えたと発表しました。

このように、生命保険市場は、経済成長や人口増加によりアジア等の新興市場の発展に伴い、世界的な広がりを見せています。また、今後の中長期的な収益機会の拡大を図るため、積極的に海外に進出しています。

事業内容から考える生命保険業界が求める人材

ここからは、生命保険業界がこれからの就活生に求める素質を、新卒採用HP並びに、「ES・面接で人気企業内定者が企業に伝えていた5つの強みとは?」を参照しながら考えていきます。

第一生命の求める人材像は、プロフェッショナル&チームワークです。

プロフェッショナルとは、自立心と向上力をもち、積極的に挑戦・変革し、継続的に価値創造し続けることができる人材です。

また、チームワークとは、多様な個性を互いに受容・共感し、周囲を巻き込み、共に成長することができる人材です。

 

引用:第一生命基幹職採用サイト

全国で営業活動を展開する営業職員を核とした対面販売方式は、コンサルティングと商品提案を同時に行えるという点で、生命保険販売にふさわしい第一生命伝統の営業チャネルだと私は考えています。

お客さまのご意見を、直接営業職員がお聞きする貴重な機会でもあります。

当社では、お客さまの"一生涯のパートナー"として「良質な提案」「良質な商品」「良質なサービス」を提供する『生涯設計』のコンセプトを1997年以降推進してきました。

そして、さらに多様化するライフスタイルや価値観に対応するべく、2013年に新たな国内成長戦略として「一生涯のパートナーWith Youプロジェクト」を始動しました。

このプロジェクトは、「確かな安心」と「充実した健康サポート」をお客さまに提供していく取組であり、具体的に三つの取組を進めています。

一つは、ご契約者さまにとどまることなく、そのご家族までコミュニケーションを広げ、コンサルティングの機会を増やすこと。

二つ目は、コンサルティングやサービスのレベルアップのために、営業職員を中心としてコンタクトセンター、ほけんショップといったオールチャネルでの連携を強化すること。

そして三つ目が、ご契約時のコンサルティングだけでなく、保険金のお支払いに至るまでのプロセスをトータルでコンサルティングしていくことだと考えています。

 

引用:第一生命のキーパーソン

このように、生命保険業界の仕事は、個人・法人に対して保険商品を提案したり販売することです。

お客様一人ひとりのニーズをヒアリングした上で最適な商品をオススメするこの保険会社の営業という仕事内容は、コンサルティング要素が強い仕事といえます。

以上のことを考えると、「2.関係者と信頼関係を構築し、課題やニーズを引き出し、解決のための提案から実行まで行うことができる」や「5.今までにない仕組みや企画を提案し、周囲の協力を得た上で実現することができる」といった素質が求められるでしょう。

日本生命と第一生命の売上比較と分析

参考:
​​第一生命決算資料
→2016年度、第一生命の決算資料です。
日本生命決算資料
→2016年度、日本生命の決算資料です。

このグラフから、日本生命が、保険料収入、資産運用収益のいずれのセグメントにおいても、第一生命の数値を上回っていることが見て取れます。

日本生命と第一生命の企業形態の違い

日本生命と第一生命の大きな違いとして、企業形態があげられます。

日本生命は相互会社形態をとっており、第一生命は、2010年に相互会社形態から株式会社形態に変わりました。

なぜ両社が別々の企業形態をとっているのでしょうか。

日本生命

そもそも、相互会社とは保険業法によって認められた会社形態です。

株式会社の場合、株主が会社の持ち主ですが、相互会社は、保険加入者が会社の持ち主となります。

相互会社の特徴は、株式を持つ株主が会社の持ち主である株式会社とは異なり、保険にご加入いただいているご契約者お一人おひとりが会社の持ち主であることです。お客様が会社の持ち主であるため、会社の経営はすべてお客様のことを考えて行われます。お客様とのお付き合いは長期間にわたるため、長期的かつ安定的な経営を行います。そして、会社の利益は、サービスの充実や契約者配当として、ご契約者に還元できます。

 

参考:日本生命が相互会社である理由

株式会社は、株を発行して資金を集められるというメリットの反面、株主やお客様の両方を考える必要があります。

一方、相互会社は、株主=お客様であるため、保険料が余った場合や思った以上の運用が出来た場合などはお客様の為だけに還元すれば良いことになります。

このことから、日本生命は、お客様の利益を第一に考え、相互会社という形態をとっていることがわかります。

第一生命

株式会社化および上場により、株式市場からの資本調達が可能となり、成長分野への積極的な投資ができます。また、将来的には、持株会社体制への移行を含め、事業展開の自由度が広がります。これらにより、お客さまにより高い「品質」の商品・サービスを提供することが可能となります。

 

引用:株式会社化・上場に関するお知らせ

相互会社は、同じ相互会社形態をとっている企業としかM&Aすることができないのですが、株式会社は、それがないために自由にM&Aすることができ、経営の自由度が上がります。

また、資金調達が可能となったことから、成長市場である海外に積極的に展開しやすくなります。

このように、第一生命は、お客様により良い商品を提供することが可能になると考え、株式会社形態に変更したと考えられます。

日本生命と第一生命の選考について

上記までで、生命保険会社のビジネスモデルや両社の業績を紹介させていただきましたが、ここからは日本生命と第一生命両社の選考情報を紹介します。

※下記に掲載している両社の選考フローは、2017年卒本選考のものになります。

日本生命の選考

選考フロー(総合職)

ES+webテスト→リクルーター面談6回→本店面接2回

 

ES
1.学生時代に自分自身が力を入れて取組んだことについて簡潔に入力ください(最大3個まで入力可)(50字以内) 

2.上記の中で最も力を入れて取組んだことについて、組織の中で自身がどのように行動したかを交えつつ具体的に入力ください(300字以内) 

3.日本生命で取組みたい分野・仕事の内容を記入ください(300字以内)

 

参考:日本生命 本選考情報(6) (総合職)

面接では、基本的に学生時代に頑張ったこと、志望動機、入社してどんな仕事がしたいか、の3点を深掘りされるようです。

また、入社してどんな仕事がしたいかについては、どのような野望があって、それを達成するためにはどのようなステップを踏んでいきたいのか、それが学生時代の経験とどのように結びついているかなどロジカルに話す必要がありそうです。

また、面談でフィードバックされたことについて、次回の面談で特に深く質問されるため、準備していく必要があるようです。

参考:リクルーターとは?役割や導入企業、面談時に気をつけるべきポイントを解説
→リクルーター、及び面談を解説した記事です。企業側の意図、またそれらを踏まえた対策や心構えを解説しています。

第一生命の選考

選考フロー(基幹職)
ES+webテスト→個別相談会3回→人事面談2回→役員面接

 

ES
1.これまでの取り組みの中で、自分らしさを表わした取り組み二つ(各50字以内) 

2.上記の中で最も自分らしさを表わした取り組みについて一つ選び具体的な行動について(300字以内) 
3.自分らしさを表わすキャッチフレーズ(20字以内) 
4.上記のキャッチフレーズの理由(50字以内) 
5.生保業界、第一生命の志望理由(300字以内)

 

参考:第一生命 本選考情報(9)(基幹職)

面接は、ほとんどが逆質問のため、事前に準備しておく必要がありそうです。

質問のレベルによって、「この人がどの程度の能力なのか」ということが把握されるので、要注意です。「面接における逆質問の重要性|どのような質問が評価されるのか?」を参照して事前に考えておきましょう。基本的に、質問はオーソドックスなもので、学生時代頑張ったことを深く聞かれるようです。

そのため、コンピテンシー面接に慣れておくと良いと思います。

最後に

今回は生命保険会社の、日本生命、第一生命の2社について紹介させていただきました。

この両社は今後も業界内で大きな存在感を発揮し続けると考えられます。

両社の違いを業績だけでなく、社風やヒトの雰囲気から比べてみることも、本当に行きたい企業を決める上で極めて大切ですので、OB・OG訪問含め、積極的な姿勢で就活に臨んでいただけたらと思います。

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