日立製作所企業研究|求める人材や業績から見るES・面接対策

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最終更新日:2021年01月05日

日立製作所の本選考ES一覧はこちら

【電機メーカー大手4社比較】日立製作所・ソニー・パナソニック・三菱電機の違いとは-各社の強み・年収・社風等を比較」で紹介した通り、好調な業績を維持し上位校生からの人気も依然として高い重電メーカーの日立製作所。

今回はそんな重電メーカーの中でも、日立製作所に焦点を当ててみたいと思います。2016年3月期には売上高10兆円を達成し、日本の代表的な企業である日立製作所。この記事では、日立の社風・求める人材像・今後の展望に迫っていきたいと思います

日立製作所の業績

ここからは、日立の業績について見ていきたいと思います。



​※日立製作所 連結損益計算書よりUnistyleが独自に作成

ここ10年で、日立製作所は大きく変わったといえます。売上高はほぼ横ばいですが、営業利益率が大きく改善しました。

日立製作所は2009年度に純利益で7873億円の赤字となって以来、事業売却を柱に構造改革を進めました。現在も売上高営業利益率5%未満の事業は撤退する方針を掲げ、2019年度には営業利益率8%を目指しています。

さらに、買収などに1兆円を投じる計画も表明し、あらゆるモノがインターネットにつながる「IoT」を軸に事業の入れ替えによる新陳代謝を進める見込みです。こうした取り組みの成果は、日立製作所の事業と、売上に対する構成比からも見ることが出来ます。

【売上構成比 2009年度】

【​売上構成比 2015年度】

※日立製作所情報よりUnistyleが独自に作成

2015年度売上構成を2009年度と比較しました。上で述べた通り、2009年度から構造改革を始めた日立は、稼げる部門を拡大し、他部門を縮小、売却することで財政再建を図ってきたことが分かります

例えばコンポーネント・デバイス事業は価格変動が大きいと言われており、日立では2012年に海外工場を閉鎖し電子産業や情報システムへの転換を行いました。こうすることで、景気変動に左右されず、安定した収益体制を実現しています。売上構成高19%を占める情報・通信システムでは売上高が2015年3月期に2兆円を超え、日立製作所がIoT事業を拡大していることが窺えます。


【​​営業利益(損失)】
※日立製作所情報よりUnistyleが独自に作成

事業内容から考える日立製作所が求める人材

ここからは、日立製作所が就活生に求める素質について、「ES・面接で人気企業内定者が企業に伝えていた5つの強みとは?」を参照しながら考えていきましょう。

日本の車両メーカーとして初めて英国へ進出した日立

 

新幹線などの車両の製造から、運行管理、電力管理などの各種システム、情報サービスまでを提供してきた日立は、2005年、英国でClass395車両29編成174両を受注した。Class395は、ロンドンと英仏海峡トンネルを結ぶ全長109kmの高速新線HighSpeed1と在来線の双方を走行可能な高速車両である。

 

日立にとって、日本で培ってきた軽量化、高速化技術を英国の鉄道システムに適応させる画期的な案件だったが、日本の車両メーカーとして初めての欧州向け鉄道車両だったこともあり、開発から納入に至るまでにはいくつもの難題があった。最大の障壁となったのは、英国を含む欧州と日本との規格の違いと、日本の優れた品質を英国のインフラ上でいかにして実現させるかであった。

 

引用:日立製作所 HP

今回紹介した事例は、日本初となる英国への鉄道車両進出プロジェクトでした。「【電機メーカー大手4社比較】日立製作所・ソニー・パナソニック・三菱電機の違いとは-各社の強み・年収・社風等を比較」でも紹介した通り、海外売上比率が50%を超える日立では、現地とのやりとりや環境の違いを乗り越えていかなければいけません。仕事を進める上で相手の文化やビジネスマナーの違いを理解することはもちろん、鉄道のように人の命に関わるインフラ案件では、何よりも信頼を得ることが重要になるでしょう。

以上のことから、日立製作所では、

「2.関係者と信頼関係を構築し、課題やニーズを引き出し、解決のための提案から実行まで行うことができる」

「4.価値観や立場の異なる人と協力して成果をあげることが出来る」

「5.今までにない仕組みや企画を提案し、周囲の協力を得た上で実現することが出来る」

上記の能力を持つ人材を求めていると考えられます。

社風について

この章では、日立製作所の社風について解説していきます。

第1章 誠実で公正な事業活動

 

(1)お客さまのニーズ、仕様を満足し、品質・安全・環境に関わる法令などの基準を守るだけでなく、必要に応じて自主基準を設定して、製品やサービスの品質を保障します。また、お客さまに安心してご使用いただくために、製品やサービスの事故発生ゼロを目標に安全確保に努めます。

 

引用:日立製作所 行動規範

<主体的に成長できる人財>


こうした私たちの推進する「社会イノベーション事業」をグローバルに展開させていくために、最も大切なことは『人の成長』だと考えています。

 

引用:新卒採用ページ 社長メッセージ

日立製作所の社風を表すキーワードとして、仕事や製品に対する公正さ、正直さが挙げられます。1910年に小平浪平氏によって創業した日立製作所ですが、創業期は製品の品質を保つために納期が遅れることがあり、このことを「日立納期」と揶揄されたこともあるようです。小平氏の思いは,「優れた自主技術・製品の開発を 通じて社会に貢献する」という企業理念によく表れているのではないでしょうか。

日立の特徴の二点目は、教育への投資を惜しまない点です。

小平氏は日立製作所創業とほぼ同時期に、徒弟養成所(現在の日立工業専修学校)という教育機関を開設しました。また1917年からは寄宿舎を新築して全国から生徒を募集し、作業技術だけでなく、読み書きなどの初等教育も行いました。

「自分たちの力で人材も技術も育てる」という小平氏の創業当時の意気込みをこの徒弟養成所の存在が象徴しています。こうしたことからも、日立の人材育成に対する真摯な姿勢が窺えます。

現在日立では入社から2年目までを社会人・日立人としての基礎づくりの期間としています。密度の高い成長を可能にし、自主性と問題解決のスキルを身につけられるようです。2年目の最後には自身の仕事を総括し、論理的に他者にプレゼンテーションする場もあるようです。

エントリーシート選考通過者のES解説

ここまでで、日立製作所の業績や、公正さ、人材を育てる社風、就活生に求められる能力を見てきました。ここからは、実際に日産のエントリーシート選抜に通過した就活生が書いた内容を参考にして、同社が求める人材像を考えていきたいと思います。まず実際の設問を確認してみましょう。

①希望職種、希望分野を選んだ理由をご入力ください。(200字) 

 

②自分のセールスポイントを教えてください。(200字) 

 

③今までに最も力を入れて取り組んだ事を教えてください。(200字) 

 

④当社への志望動機を教えてください。(200字) 

 

⑤今後社会人としてどんなことに挑戦したいですか。また、どのような事を成し遂げたいのか、簡潔に教えてください。(200字)

 

参考:日立製作所 本選考情報

日立のESは設問が5つあり、それぞれ字数制限が200字と少ないため簡潔にまとめる必要があります。いずれもひねったような設問はなく、日立の公明正大な社風を反映しているのではないでしょうか。

それでは設問について見ていきましょう。

設問①では職種・分野の志望理由を問われるため、自分の志望領域について深く学んでおく必要があります。説明会やUnistyleで提供している記事はもちろん、実際にその分野のOB・OGの話を伺う機会を作りその踏まえて書くと、志望度の高さをアピールできるのではないでしょうか。

設問②・③については、設問①で答えた職種や分野に合ったセールスポイント・これまでの経験を書くと良いでしょう。

設問④では志望動機について問われています。重電業界を志望する理由→その中でも日立製作所を志望する理由と順序立てて書くのが王道ではないかと思われます。

設問⑤については、「社会人として挑戦したいこと」を書くにあたって、「日立製作所で実現出来ること、日立製作所で成し遂げたいこと」に繋げて書くと良いのではないでしょうか。

ここからは①〜⑤の設問に関して、実際のESの例を紹介していきたいと思います。まず①、②の設問に関して見ていきましょう。

①希望職種、希望分野を選んだ理由をご入力ください。(200字) 

 

営業を志望した理由はよりお客様に近い位置で経営課題を解決するサポートができるからである。中でも、情報・通信システムを希望分野とした理由は企業に最新のシステムを提供することで、企業の可能性を引き出すことができると考えているからだ。また、システムを提供する際、お客様やSEを巻き込んで、ソリューションを提供することが求められる。その際、私の強みである周囲を巻き込んで目標を達成する力が活かせると考えている。

 

②自分のセールスポイントを教えてください。(200字)

 

私の強みは周囲を巻き込んで目標を達成する力だ。大学時代はこの強みを活かして学内に秋新歓の文化を根付かせた。当初は周囲から協力を得ることは難しかったが、企画書を提示し成功のビジョンを共有することで17つのサークルを巻き込んでの秋新歓の実施に成功した。またそのノウハウを後輩に継承することでその慣習を学内に残すことができた。仕事においてもこの強みを活かして周囲と信頼関係を構築して、大きな成果を出したい。

 

引用:日立製作所 エントリーシート

解説

このESでは、自身の持ち味である「周囲を巻き込む力」を理由として、情報通信システムを志望しています。営業は関係者との信頼関係構築など、周囲と協力するスキルが求められると思われますが、エンジニアとのやり取りをする情報通信システムでは特にその能力のが発揮されるのではないでしょうか。

一方で営業を志望する理由について、なぜお客様に近い位置で経営課題解決をしたいのかが、このESからは見えてこない点が改善点と言えそうです

以下の動画で、自己PRの書き方のポイントやフレームワークを解説しているので、こちらもあわせて参考にしてみてください。

次に、③の設問について見ていきましょう。

③今までに最も力を入れて取り組んだ事を教えてください。(200字) 

 

学習塾のアルバイトにおいて、新規の生徒を獲得するためのイベントを改革したことだ。既存のイベントが生徒のニーズと合致していないことに気づいたので、経営陣にイベントの改革を提案した。当初は取り合ってもらうことができなかったが、強固な信頼関係を構築することで最終的には改革の許可を得ることができた。その後、周囲のスタッフを巻き込んでの新イベントの実施に至った。結果、以前の6倍の集客に成功した。

 

引用:日立製作所 エントリーシート

解説

このESでは、既存のイベントとニーズのギャップを解消するために、イベントの改革を進めた経験についてアピールしています。「日立製作所が求める人材」でも書いたように、この学生のように今までにない取り組みを進めていける人材は、日立製作所の求める人材像とマッチしていると思われます。

ただし、イベント改革の成功の鍵となった「信頼関係の構築」をどのように行ったか、についてが書かれていないため、説得力に欠けます。入社後も活躍する人材であることをアピールする際に、強みの方法論を記載すると再現性のある強みとして認識されるのではないでしょうか。

また、設問③について、もうひとりの回答を見てみましょう。

③今までに最も力を入れて取り組んだ事を教えてください。(200字) 

 

【留学時のソーラン節団体設立と文化交流大会出場】 
団体設立当時、開催時期の12月が大学のテスト期間と重なることから11月時点での参加者は3人だった。そこで私は各学生の価値観を把握し、メンバーの交流を促すことで学生15人の参加表明を得た。 次に私は切磋琢磨して成功体験を積める環境作りのため、毎日15分の練習の様子を録画・共有して成長を実感できるよう努めた。大会では参加6ヶ国の中から最優秀賞を獲得した。

 

引用:日立製作所 エントリーシート

解説

このESでは、設立した団体を活性化させるために、「学生の価値観の把握と交流促進」「成長の実感のための施策」を打つことで成功に導いています。このESのように、困難に対してどう考え、どう行動したか伝わる書き方をすると、その学生の人物像と、入社後の姿をイメージしやすくなると思われます。短いESの制限字数や、面接での限られたアピール時間を最大限に活用するためにも、自分自身の姿が分かるようにESでは意識しましょう。

以下の動画で、学生時代頑張ったことの書き方のポイントやフレームワークを解説しているので、こちらもあわせて参考にしてみてください。

次に、設問④について見ていきましょう。

④当社への志望動機を教えてください。(200字)

 

日本を代表する貴社の製品を世界中に届け、日本の存在感向上に貢献したい。 
この想いは留学中に現地学生の「今の日本には昔ほどの存在感はない」と考える胸の内を知り、悔しい思いをしたことに由来する。貴社では営業の仕事に携わり、お客様のニーズを満たす製品を届けることで彼らの満足を創出したい。 アルバイトで醸成された「信頼関係構築力」や「ニーズ把握力」、留学で培った「周囲を巻き込む力」を最大限に活かせると考える。

 

引用:日立製作所 エントリーシート

解説

留学先での日本のプレゼンス低下の実感から、日立製作所の志望動機を述べています。このような原体験があると、入社後にやりたいことも明確になり、筋の通ったESになると感じます。この通過者も、志望動機と、入社後携わりたいこと、その際に活かせる自身の強みが一貫しており、人物像がよく見える内容となっています。欲を言えば、なぜ日立製作所でなければいけないかについても触れて欲しいところでした。

設問④について、別の通過者の回答を見ていきましょう。

④当社への志望動機を教えてください。(200字)

 

【日立の社会イノベーション事業に強く惹かれたから】 
日立は単なる「メーカー」にとどまらず、ITを用いたサービスとしての付加価値や社会を根底から支えるインフラを提供しており、より本質的なイノベーションを実践していると感じました。未来を作っていく事業を行う上でリスクや不安はつきものですが、開拓者精神を持つ日立というフィールドが自身にとって最適な「仕組み作り」ができる環境であると感じました。

 

引用:日立製作所 エントリーシート

解説

この通過者は、数あるメーカーの中でも、インフラを提供している点と、開拓者精神に注目して志望動機を書いています。「同業他社のなかでもなぜ日立製作所なのか」については十分書かれていると思われます。ただ、こういった点がなぜこの就活生にとって注目した点だったのかが分からないため、面接で問われることとなるでしょう。ここで自身の体験に紐付いた回答が出来るように前もって準備する必要があると感じます。

以下の動画で、志望動機の書き方のポイントやフレームワークを解説しているので、こちらもあわせて参考にしてみてください。

次に、設問⑤について見ていきましょう。

⑤今後社会人としてどんなことに挑戦したいですか。また、どのような事を成し遂げたいのか、簡潔に教えてください。(200字)

 

私は世界中の人々が安心安全で持続可能な生活を送れる街づくりがしたいです。特に新興国の電力や上下水道、鉄道交通などが未整備の地域に対し、インフラ輸出を通して世界全体の生活水準を向上させたいです。世界中で人々の生活が豊かになるよう、日本の製造業が誇る高度な技術力を軸に、環境に優しくエネルギーの無駄のない、安心安全な生活を世界に輸出し、産業や社会の基盤、そして人々の暮らしそのものを創出したいです。

 

引用:日立製作所 エントリーシート

解説

この通過者が記載したインフラ整備については、日立製作所も力を入れて取り組んでいることであり、学生の志向と企業の取り組みが一致しているため志望度の高さをアピールできています。一方で、なぜこうした取り組みについて挑戦・達成したいのかについての記載が足りないと感じます。志望度の高さと、就活生のバックグラウンドを両立して書くとより良い内容になるのではないでしょうか

最後に

いかがだったでしょうか。今回は重電トップの売上高を誇る、日立製作所について紹介させていただきました。2009年から進めている事業改革により、日立製作所は今後のビジョンがはっきりしていると言えそうです。このように事業転換を果たした日立ですが、創業当時から日立が大切にしてきた製品に対する公正さが失われていないからこそ、好調な業績である今の日立があるように思われます。

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photo by Bernat Agullo

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