【日本郵船の特徴を解説】業績や社風から見る就活対策・企業研究

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最終更新日:2021年03月10日

日本郵船の本選考ES一覧はこちらから

【海運業界大手3社の違いとは】強み・社風・選考を比較|日本郵船・商船三井・川崎汽船」で触れたように、海運業界はその歴史や伝統、グローバル性から、商社などを志望するグローバル志向の学生から人気の業界となっています。

今回はその海運業界の中でも業界1位の日本郵船の事業や社風、選考などについて紹介していきたいと思います。

本選考とインターンの締め切り情報

日本郵船のセグメント別収益と事業内容

日本郵船のセグメント別の収益

下の表を見ると、定期船事業は前年と比較して大きく損失を計上している事がわかります。これは海運市況の影響(原油価格の低下と需要低迷)が大きいです。具体的にはシェールガスの登場による原油価格の下落に伴う運賃の低下や、中国の資源需要の低下、EU域内の景気低迷等の事情によります。

逆に、航空運送と物流事業の収益が増加しています。これは、顧客の期待に応えると同時に海運指数の低迷が続く現在の状況を打破するために、市況の影響を受けにくい分野に進出したことが功を奏しはじめてきた結果です。

不定期船は大きな利益を上げているものの、前年度と比較しても低下していることが窺えます。完成自動車船に関しては、北米市場の堅実な需要と効率的な配船によって利益を微増させることができていますが、バルク船は船の供給過剰状態となってしまい、船を処分しなければ保有するだけで損失を出すという状況になってしまっています。

◆セグメント別収益      
    2014年度 2015年度
一般貨物輸送 定期船 98 ▲3
  航空運送 6 15
  物流 107 118
  (合計) 213 131
不定期専用船事業 不定期専用船 600 465
  合計 1024 726

 

◆船舶数      
    2014年度 2015年度
定期船事業 コンテナ船 104 99
不定期専用船事業 バルカー(合計) 408 377
  チップ船 48 47
  自動車船 123 119
  油槽船 68 68
  LNG船 69 68
  客船 3 1
  合計 823 779

 

定期船

定期船事業は主にコンテナ船事業のことを言います。決まった場所で荷物を積み、決まった場所で下ろす路線バスをイメージしていただけるとわかりやすいです。

不定期船

不定期船は主にバルク船、LNG船など、顧客間の契約に基づき、一定の区間で運航する船種です。大企業の社長などがタクシーと個人契約して送り迎えしてもらう様子をイメージしていただけると分かりやすいです。

バルク船はリーマン・ショック以降低調が続いていましたが、一時期需要が増え始めた瞬間、そこで供給数を少し増やした途端に、再び市況が悪化して完成した船は運行するだけで損失を計上し徒労に終わりました。現在は船の運航休止、売却などによって損失の最小化を図っているという状況です。

ビッグデータの活用も進めてさらなる効率化を図ります。これは、どの船種にでも当てはまりますが、整備のタイミングなどをビッグデータの活用によって調整してムダな出費を削減しています。

不定期船の中でも、それとは逆に長期で契約するタンカーなどは環境対応について考えられる世の中の影響もあってか、LNG船の運航が堅調でした。安定収益が続き、今後もしばらく利益を出せるこの分野は就活生からの人気も高く、面接の場でもLNG船について話す学生は多いようです。

海洋事業

原油価格低下の影響から海洋事業への影響もあるかと思われましたが、基本的に長期契約で収入を獲得しているので損失は出ていないようです。特に、今後も海外の企業と協力してビッグプロジェクトに取り組む足がかりとしても、北海でのプロジェクトに社員を送り込んでいます。

物流事業

陸海空の一貫した輸送サービスで顧客の満足度を掴みとるために、北米・アジア・欧州などでバランスよく事業を展開しています。具体的に東南アジアなどの港湾では、運び込んだ貨物を内陸輸送によって顧客の元に直接届けるというサービスを行っています。これに加えて、IT技術の活用によってさらに効率化を図っています。

客船事業

一般の人が日本郵船を知るきっかけにもなる、世界有数の豪華客船飛鳥Ⅱはこの客船事業で取り扱われています。

しかし、海運業界の業績が低迷し始め、徐々に規模が小さくなり始めているという状況です。

事業内容から考える日本郵船が求める人材

日本郵船は、陸海空運にわたる全ての輸送形態で製品・資源を輸送することによって、世界中の生産者と消費者の生活を繋ぎ、支える仕事です。

つまり、顧客が手塩にかけて造り上げた製品を預かり、それを必要としている消費者のもとに滞り無く責任を持って届けるということが主な仕事です。日本郵船は、NYKグループバリューとして誠意・創意・熱意という言葉を掲げています。日本郵船はこのグループバリューを社員がビジネスの場で実践してきたからこそ、業界大手ののリーディングカンパニーとして世界を舞台に活躍しているのかもしれません。

自分に置き換えて考えてみても、届けたい大切な品物は信頼に足る人物・企業に預けたいと誰しもが思うことでしょう。

この誠意・創意・熱意を持つ人材とはどのような人材であるか考えてみようと思います。

unistyleの記事で紹介した「ES・面接で人気企業内定者が企業に伝えていた5つの強みとは?」であれば、特に「2.関係者と信頼関係を構築し、課題やニーズを引き出し、解決のための提案から実行までを行える」(熱意・誠意)「3.リーダーシップを発揮し、周囲の人と目標を共有し達成することができる」(熱意・創意)「4.価値観や立場を異なる人と協力して成果をあげることができる」(創意)ことが求められると言えるでしょう。

  • 関係者と信頼関係を構築し、課題やニーズを引き出し、解決のための提案から実行までを行える
  • リーダーシップを発揮し、周囲の人と目標を共有し達成することができる
  • 価値観や立場を異なる人と協力して成果をあげることができる

以上のような要素を日本郵船の社員インタビューでの言葉に照らし合わせて考えてみましょう。

入社3年目までグループ会社NYKバルク・プロジェクト貨物輸送株式会社(当時はNYKグローバルバルク株式会社)に出向し、ばら積み船の中でも小型に分類されるハンディサイズの船の運航業務を担当していました。最終的には営業業務にも携わることができ、働くということや船会社の仕事の基礎を勉強した時期だったととらえています。扱う船の大きさは変わりましたが、当時の運航業務が現部署での配船業務にも役立っていることは明らかです。その他、スキルと呼べるものではありませんが、「組織で働くために大事なこと」を学んだ気がします。仕事を成し遂げるということは、自分一人の力では不可能です。周りの方々の協力を得るために自分に何ができるのかを意識して動くようになりました。まだまだ十分なことができているとはとても言えませんが、今後どんな仕事をする時でも忘れないようにしたいと思っています。

 

それから3年目以降の話になりますが、2つ目の部署である北米での自動車船業務の経験も大きな財産になっています。働き方も文化も異なる外国の地で3年にわたり「現地スタッフと働く」ということを肌で感じることができたことは、現在の仕事で各拠点の現地スタッフと接する際の自信につながっています。また国、拠点によって大きく異なるとは思いますが、駐在員の立場として本社とやりとりができたことも貴重な経験でした。今は本社の立場から各拠点と共に業務にあたっていますが、できるだけ現地の状況をイメージするように努め、一方通行のコミュニケーションにならないよう気をつけています。

 

引用:社員紹介

採用HPで紹介されている社員はジョブローテーションで船種や仕事が変わることがあっても、以前の部署で学んだことが必ず他の部署で活きると解説しています。会社側としても目の前の仕事に対して真剣に(熱意)、自分の力で(創意)、考え抜くこと(創意)によって1人のビジネスマンとして顧客から信用を得られる人間を醸成することを意図しているのかもしれません。

つまり、採用の場ではその潜在能力がある学生を採用しようとしているとも言えます。実際に面接の場では、1つの物事に熱中して取り組み、自分なりの工夫をしていい結果に繋がったエピソードなどを話せると良いかもしれません。

日本郵船の社風

会社の理念として、日本郵船ではBringing Value to Lifeというフレーズが掲げられています。

以下はこのフレーズが持つ意味を説明した文章です。

日本郵船グループは、お客さまから信頼されるパートナーとして、安全かつ高品質なサービスを追求し続けてきました。「海・陸・空」に広がる国際輸送網を駆使し、総合物流企業ならではの輸送サービスを提供しています。

グローバル経済の拡大に伴い、お客さまの輸送ニーズは更に複雑化し、それに見合う多様な物流サービスが求められています。日本郵船グループはより多くのお客さまにご満足いただけるように、総合物流企業グループとしての変革を続け、さらなる成長を遂げていきます。

 

引用:企業理念

日本郵船は創業以来、顧客の目線に立つとともに日本社会・地球社会がより便利な環境となるように、海運業という側面から支えてきました。

創業時に、欧州に完全に独占されていた海運市場に切り込むことによって日本の国際的な地位を向上させることに始まり、シアトル航路の開拓と共に当時無名だった同都市を随一の港町として発展させていく礎を築いたという歴史もあります。現代になっても顧客の希望・要望に応えるために陸海空の一貫した輸送サービスに乗り出すことで、日本一の総合物流企業となった経緯もあります。

日本郵船の書類選考通過者ESを解説

ここまで日本郵船の事業・歴史・社風などについて見てきましたが、実際に志望する学生のESを照らしあわせて考えてみたいと思います。日本郵船のESの質問事項は主に2項しかありません。

具体的には、以下の2項です。

1. 学業で最も力を入れたこと
2. 学業以外で最も力を入れたこと

 

参考:日本郵船エントリーシート

注意しなければならないことは日本郵船のESは全て手書きで記入するということです。特にこれは基本ですが、誤字をしてしまった場合は修正液は使わずに何度も納得がいくまで書き直すことをお勧めします。人事の方は「字が綺麗か」というより、「字に想いが乗っているか」というところを見極めようとするので、丁寧に書くことは非常に大事です。

さて、設問1では、課外活動だけでなく勉強も同様にしているのかということを見ています。そしてその勉強に関しても、「なぜその分野に興味をもったのか」「自分の成し遂げたこと」などがアピールできると良いでしょう。

設問2ではいわゆる学生時代頑張ったことが聞かれています。主にサークルや部活動のことを記入する人が多いでしょう。それらのエピソードから導き出される自分の強みが企業が就活生に求める資質に合致していることが重要です。日本郵船において重要視される資質は前述したように「誠意・創意・熱意」で、「ES・面接で人気企業内定者が企業に伝えていた5つの強みとは?」に照らし合わせると

①関係者と信頼関係を構築し、課題やニーズを引き出し、解決のための提案から実行までを行える
②リーダーシップを発揮し、周囲の人と目標を共有し達成することができる
③価値観や立場を異なる人と協力して成果をあげることができる

ような資質が求められます。

これを踏まえ、書類通過者のESを解説していきたいと思います。まず、設問1について見ていきましょう。

私が大学3回生次から所属した刑事法学ゼミでの活動です。法曹志望者の多い、レベルの高い集団の中で勉強したいと思い、評価が厳しいことで有名なゼミを選択しました。議論の中心になることでゼミに貢献したいと考えていましたが、圧倒的な知識量を誇る先輩や教授の議論についていけず議論の中心になるのはもってのほか、という状態でした。 
そこで、自分がゼミにどのように貢献していくのかについて考えなおすことにしました。まず、議論の現状を分析したところ、「議論の多くが特定のゼミ生と教授の討論である」こと、「互いの主張を言い合う時間が長く議論が散りがちである」こと、の二点が問題として挙げられました。私は、議題を明確化しそれをメンバー全員で共有することができればこれらの問題を解決することができると考えました。そこで、論点を逐一整理し、それを発表しながら議論を進めるという役割を担うことで、議論の活性化を促しゼミに貢献することにしました。その結果、多くのゼミ生が議論に参加できるようになり、議論の活性化を果たしゼミに貢献することができました。

 

参考:日本郵船エントリーシート

解説

この通過者はゼミでの活動において、自分がゼミに貢献できることは何かを積極的に模索し、ゼミ内における課題を発見しそれを解決したエピソードを述べています。レベルの高い集団の中に飛び込みたいという動機から現在のゼミを選択しており、向上心の高さがうかがえます。また、ゼミの現状を分析し、その中の課題を見つけそれを自ら解決していくことでゼミに貢献することができており、集団の中で自分の成し遂げたことが明示されていて評価できると思います。

次に、設問2について見てみましょう。

インドの日本語学校でインド人の日本語会話能力向上や日本の文化の伝達に励んだ。初めにアンケートをとって生徒の現状を分析。結果日本人の価値観や文化を知ること、ビジネス上での実践的な会話力をつけることが重要だと判断した。前者については日本人の価値観を示した書物や、生活様式についてプレゼンを行った。後者についてはビジネス用語を集めた会話集を自ら作製した。結果多くの生徒に役に立ったと喜んでもらえ、私自身も生徒の日本への関心を高めたこと、彼らが勉強する基盤を整えたことにやりがいを感じた。今でもスカイプで会話練習をするなど交流を続けている。この経験から人と信頼関係を結ぶには相手の状態を把握し、自分に何が出来るかを考え行動することが大切であると実感した。


参考:日本郵船エントリーシート

解説

この通過者は、インド人の日本語会話能力向上や日本の文化の伝達にあたって、インド人にとって必要なことを分析し、それに対して自ら施策を講じています。そして、相手と信頼関係を構築するには相手のニーズを把握し、それに対して自分に何が出来るかを考えることが重要であると学ぶことが出来ています。

このことから、この通過者は「①関係者と信頼関係を構築し、課題やニーズを引き出し、解決のための提案から実行までを行える」能力があると考えられ、日本郵船が学生に求める資質が備わっていると判断され、評価出来るでしょう。

日本郵船の選考について

続いて、日本郵船の選考プロセスについて見たいと思います。

※下記の選考フローは2016年卒の情報になります。

◆選考プロセス(総合職)

 

ES&オリジナルテスト→一次面接&テストセンター(集団)→二次面接(集団)→三次面接(個人)→四次面接(個人)

 

参考:本選考情報

日本郵船は陸上職・海上職・技術職で別々に採用活動をしており、そのうち陸上職の採用は30人〜40人と言われています。同社の採用面接の特徴としては、ESに記載されていることは最初に少し聞かれる程度で、学生の考え方を知ろうとする質問が多いです。準備していることを答えるというより、自分のありのままを出すことが良い評価に繋がるはずです。

一次面接と二次面接の場では、自分の今までの経験を聞かれたり、突発的な質問を出すことによってその人がどのような考え方をするのか探ろうとする場面が多いと過去の内定者は語っていました。その場で準備してきたことをそのまま喋ってしまうと、面接官としては「質問の意図と回答が違う」と感じるきっかけになってしまうので要注意です。

以下を参考にしてみるといいかもしれません。

最後に

今回は、就活生の間で人気を誇る海運業界の中でも日本郵船を紹介させて頂きました。

特に、業績の推移などから現在は海運業にとってはあまり芳しくない世界市況であることも感じ取っていただけたかと思います。

そのような状況下でも、堅実に利益を出していくために大事にされる企業理念やグループバリューに惹かれ、学生も志望企業のうちの1つとして名前をあげるのかもしれません。

参考:日本郵船の企業研究
こちらのページから日本郵船のESや選考レポートを見ることが出来ます。ぜひ参考にして下さい。

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