野村総合研究所(NRI)の特徴を解説|業績や社風から見る就活対策・企業研究

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最終更新日:2023年10月17日

SIer(エスアイヤー)とは-各種ランキング付きで仕事内容・種類を解説-」の記事でも紹介した通り、理系学生だけではなく文系学生にも人気が高い大手SIerの2社。

今回は、そんなSIer業界の中でも、人気の高い野村総合研究所に焦点を当ててみたいと思います。

業界の中でも高い営業利益率を誇り、またコンサルティング事業も強みとしていることが特徴である野村総合研究所。この記事では、そんな野村総合研究所の得意事業や社風、そして求められる人材に至るまで幅広く考察していきます。
今後、野村総合研究所を志望する学生にとっても非常に役立つと思うので、是非参考にしてください。

参考:SIer(エスアイヤー)とは-各種ランキング付きで仕事内容・種類を解説-

→SIer大手の野村総研とNTTデータの企業研究に関する記事です。各社の比較をするのに参考になるかと思います。

本選考とインターンの締め切り情報

セグメント別収益と事業内容

2015年度業績 売上高(百万円) 構成比 営業利益率
コンサルティング 28,370 6.70% 19.00%
金融ITソリューション 252,842 58.40% 11.50%
証券業 123,896 28.70%  
保険業 57,082 13.90%  
銀行業 37,541 8.50%  
その他金融業等 34,321 7.30%  
産業ITソリューション 101,538 24.10% 9.70%
流通業 51,882 11.50%  
製造・サービス業等 49,656 12.60%  
IT基盤サービス 28,720 8.60% 10.50%
その他 9,966 2.20%  
合計 421,436 100.00% 13.80%
野村ホールディングス 68,666 16.30%  
セブン&アイ・ホールディングス 43,254 10.30%  

(2015年度IR資料より独自に作成)

野村総合研究所はITソリューション事業とコンサルティング事業のどちらも抱えていますが、上の表のコンサルティング分野がコンサル事業、そして、それ以外の金融ITソリューション・産業ITソリューションなどのITソリューション事業がSIer事業による売上を表しています。

また、セグメント別の売上高を見ると、金融ITソリューションの売上構成比は58.4%と非常に高い割合になっています。特に証券業向けの金融ITソリューション事業は、28.7%の高い売上比率を占めています。

証券業界における高い売上比率の秘密は、野村総合研究所が設立されるまでの歴史について振り返ると理解できます。というのも、現在の野村総合研究所は1965年に日本初の本格的シンクタンクとして誕生した「旧野村総合研究所」と野村證券のシステム開発部門が独立して生まれた「野村コンピュータ・システム」が1988年に合併して登場しました。

そういった成り立ちから、古くから証券業界向けのシステム開発の高いノウハウを保有しており、そういったナレッジや実績が他の証券企業にも評価されているのだと考えられます。実際、証券会社の勘定系といわれる証券総合バックオフィスシステムである「THE STAR」を始め、多くの企業が野村総合研究所のソリューションを利用しています。

また、野村ホールディングスとセブン&アイホールディングスの2大顧客依存が課題点として挙げていました。2007年度当時は総売上高の42%がこれら2大顧客からの売上であり、収益源の偏っていましたが、現在の比率は26%強までに減少しており、以前に比べてよりバランスの取れたポートフォリオになっています。

しかし、海外展開に関しては未だ発展途上であり、2015年度の段階で海外売上比率は6%のみとなっています。中期経営計画においても、「顧客からの信頼を維持し続けるためには、NRIグループのグローバルな対応力が求められる」と記述している通り、グローバル進出は現在の野村総合研究所が抱える大きな課題でしょう。

次に各セグメントの代表的なプロジェクトやサービスを、実際にピックアップしていきながら見ていきたいと思います。実際に野村総合研究所が手がけてきたソリューションを知ることで、入社後のキャリアのイメージがより掴めるようになるのではないでしょうか。
尚、コンサルティングに関しては実際の事例を同社が非公開にしているため、今回は割愛させて頂きます。

金融ITソリューション

野村総合研究所の中でも最も売上高が高く、企業の強みでもある金融ITソリューション事業。志望する学生の多くも、この金融向けのソリューションに携わりたいということで志望する学生も多いのではないでしょうか。

野村證券は、2015年1月に証券ホールセールビジネスを総合的にサポートする「I-STAR」を導入し、企業が保有していたメインフレームの利用を完全停止しました。このようなシステム移行により、情報システムにかかわるITコストを大きく削減することが可能になります。

次に、銀行向けのソリューションについても紹介したいと思います。

野村総合研究所は、百五銀行にインターネットバンキングサービスである「Value Direct」を導入しました。これを受けて、百五銀行は2016年3月14日から預金、投資信託、外貨預金、ローンなど、個人向けの取引サービスに対応した、新たな個人向けインターネットバンキングサービスを提供しています。

このようなオンラインバンキングサービスは今日トレンドにもなっている「Fintech」の1つであり、スマートフォンなどを活用したインターネットバンキングはメガバンクを始めとする様々な金融機関が取り入れています。メガバンクにおけるフィンテックにおける動きについてまとめた記事もありますのが、ぜひ参考にしてください。

産業ITソリューション

野村総合研究所が定期している「産業ITソリューション」は基本的に金融業界以外の業界向けの事業のことを意味しており、流通小売・アパレル、そして通信業、商社、不動産などの多種多様な業界に向けたソリューションを行う事業部となっております。今回は、その中でも小売・流通向けのソリューション事例について紹介したいと思います。

野村総合研究所は、卸売、小売業における戦略立案から販売計画など多用な業務の高度化を実現するASP型ソリューションであるBizMartを様々な企業に提供しています。その1つの例として、東急ストアは企業の本部と店舗間の品揃え計画や商品企画においてこのBizMartを導入しました。流通小売業では本部から店舗への指示・連絡において、各商品情報の作成・店舗案内手段・基幹システムへの情報などがバラバラに管理されており、業務負荷がより掛かっているのが一般的。BizMartはこれらの業務の負荷軽減、そして店舗への情報伝達をスピードアップ・効率化することにより、本部による店舗販売支援を更なる強化に取り組みました。

参考:BizMart導入事例 

IT基盤サービス

野村総合研究所は顧客企業のシステム基盤の最適化も行っており、こういった基盤向けのシステム開発を行っています。その中でも、システムの運用管理をクラウド型で提供するmPLATの事例について紹介します。

mPLATはシステム運用に必要な運用管理機能をクラウド型で提供するサービスであり、顧客は自社のオンプレミス環境およびクラウド環境管理環境基盤を用意することなく、mPLATのサービスを使ってシステム運用をすることができます。

製造業向けの販売支援業を行っていたC社の販売支援システムは、イベント展開中やキャンペーン広告実施中など期間限定でアクセスが増加し高負荷となる課題点がありました。そこで、今後は必要なタイミングに必要な分だけのリソース調達を行うシステム運用を行いたいという要望を始め、システム基盤の堅牢化や効率化のために、mPLATを導入しました。今後、他システムについても、NRIのmPLATを利用して実装した仕組みを横展開してシステム周りのコスト削減を狙うようです。

事業内容から考える野村総合研究所が求める人材

ここからは、野村総合研究所が求める素質について、「ES・面接で人気企業内定者が企業に伝えていた5つの強みとは?」を参照しながら考えていきましょう。

「ホスピタリティを日本の強みとして打ち出せないだろうか?」


それは、定量データを用いて日本の強みを打ち出すというこれまで想定していたシナリオを覆す一言でした。ホスピタリティの高さを客観的に示すことは難しい。しかし、クライアントが納得しない限り、プロジェクトを前に進めることはできません。私たちは改めてホスピタリティについて調査を追加しました。


海外の医療関係者に対するヒアリングを行ったところ、日本のホスピタリティの高さは認知されているものの、それは日本に対するイメージであって、日本の医療に対する認知度は低いことがわかりました。結果、私たちは当初シナリオであった日本医療の技術の高さ、価格を基軸とし、ホスピタリティは付加要素として打ち出していくという検討方針を固めました。この一連のプロセスで、クライアントからの信頼も増し、プロジェクトは一気にスピードを上げて進むことになりました。

 

参考:野村総合研究所 新卒採用HP 社員紹介 コンサルタント

現在は、今後のセブン-イレブン様の事業スピードと品質の向上に貢献できるよう、開発プロセスや開発基盤の整備・構築を行っています。「今」をより良くするだけでなく、「未来のセブン-イレブン様、NRIを良くするためにはどうすればいいか」と常に時代の一歩先をイメージしながら行動することが求められており、試行錯誤しながら日々成長を実感しています。以前顧客先に常駐していた経験を活かし、チームメンバーに顧客やシステムユーザーの求める姿を問題提起できたのは良い経験でした。


未来へのアクションを明確化するのは容易いことではありません。チーム内で幾度となく議論を重ね、時にはぶつかり合い、時には助け合いながら目標を明確化していきました。その中で決めた目標に向かってチームで取り組み、プロジェクトを完遂した時は、大きなやりがいを感じました。苦しい時を共に乗り越えたからこそ築けた信頼関係は、私の中で大きな財産となっています。

 

参考:野村総合研究所 新卒採用HP 社員紹介 アプリケーションエンジニア

現在私が行っているシステムコンサルタントの仕事は、誰も考えたことがない領域を扱うことも多く、はっきりとした正解がないケースもあります。またそうしたテーマについて、顧客を相手に説明や説得、さらには啓蒙をしていく仕事と考えています。顧客も悩み、不安になっているテーマに対して、意思決定を進めていくために必要な根拠を顧客に提供し、勇気を与えてプロセスを進めていくことができるというのが、この仕事をしていて私が最も魅力を感じる部分です。


顧客の会社の社員でない自分が、顧客の会社の重要な判断や合意形成を進めるための支援をしています。顧客が何を考えているか、いま最も必要としていることは何かといった、顧客の思考をできるだけ正確に把握するという顧客目線と、それらに対して足りていないことや他社を含めた世の中の動向などの客観性の目線を持つことの両方を心がけながら、コミュニケーションをとることを意識しています。

 

参考:野村総合研究所 新卒採用HP 社員紹介 アプリケーションエンジニア

野村総合研究所で働く社員は、大きく分けてコンサルタント職とエンジニア職に分かれます。コンサルタントでは、いかにクライアントを納得させ、プロジェクトを成功に導いていくかが大きな鍵になっています。そしてプロジェクトを推進して行く上で顧客企業の社員との協働はもちろん含まれて行くので、関係者との目標を共有し達成することが出来ることも重要なポイントになってきます。

またエンジニアも非常に似通ったスキルが求められています。社員が語っているように、エンジニアは顧客企業が企業活動で抱える悩みについてチームで議論を重ねるだけではなく、実際に顧客先に出向き、顧客目線に立ってシステムの提案を行うことで納得をしてもらい、それを通して信頼関係を築いていくスキルも重要になってきます。

以上から、野村総合研究所が求めている人物像として「2.関係者と信頼関係を構築し、課題やニーズを引き出し、解決のための提案から実行まで行うことができる」、「3.リーダーシップを発揮し、周囲の人と目標を共有し達成することができる」、「4.価値観や立場の異なる人と協力して成果をあげることができる」これら3つの強みがあげられるでしょう。

社風について

ここからは、「SIer(エスアイヤー)とは-各種ランキング付きで仕事内容・種類を解説-」を参照しながら、野村総合研究所の社風について考えていきましょう。

まず同社に関しては、元々野村證券の関連会社であったこともあり、多くの学生のイメージとしては「社員に活気がある」、「仕事に対してストイックである」というものを想像しているのではないでしょうか。

その印象は大きく外れてはいないと思われ、実際に社内には「どんなに難しいプロジェクトであっても顧客のためにやり切る文化」が根付いているのだと思われます。SIer業界分析の記事の中でも、社員の座談会の中でNRI独自の「取り組み方」について語っているので、そちらも参考にしてほしいと思います。

未来を創発するNRI のDNA「ナビゲーション×ソリューション」

 

NRI は、日本初の民間シンクタンクである野村総合研究所と、システムインテグレーターの草分けである野村コンピュータシステムの合併によって生まれました。未来を洞察し、広く社会に提言する力、お客様の立場で考え、徹底して品質にこだわる姿勢など、それぞれの前身から受け継いだDNAを融合しながら、時代を先取りする企業活動を進めてきました。


今日、「未来創発」を実現する軸となるのが「ナビゲーション×ソリューション」です。予測、分析、政策提言などによって問題発見から解決策を導くまでの「ナビゲーション」と、その解決策を業務改革やシステムの設計、構築、運用によって実現する「ソリューション」。この2 つを相乗的に機能させることで、NRI は新たな未来を創り出しています。

 

参考:野村総合研究所 新卒採用HP NRIのDNA

新卒採用HPにも紹介されている通り、NRIのソリューションはただ顧客が抱える課題に対する解決策を提案するだけではなく、「未来創発」をスローガンに顧客の業務改革やシステム設計・構築までを一貫して行うところが強みとなっております。つまりコンサルティングからシステム構築、そして保守運用を全てトータルでサポートすることで顧客の事業価値を徹底的に高めることがNRIの得意としているポイントでしょう。

そういったところからも、野村総合研究所の顧客第一にやりきる文化が汲み取れるのではないかと思います。

内定者のES解説

ここまではNRIの社員紹介などを通して、野村総合研究所の事業内容や求める人材を考えてきました。以下では、実際に野村総合研究所に内定した学生がエントリーシートに記入した内容を参照しながら、同社が求めている人材を改めて考えてみたいと思います。

①このキャリアフィールドで実現したいこと、および実現する場としてNRI(若しくはNRIセキュア)を志望する理由をお書きください。(500文字以内で簡潔に記入してください)

②現在の研究テーマやゼミの内容、もしくは学生時代に最も力を入れて勉強したことについて説明してください。特に、自分ならではの創意工夫をした点や自身にとっての気付きがあれば、具体的にお書き下さい。(500文字以内で簡潔に記入してください)

③これまでの経験の中で、あなたが周囲を巻き込んで行った新しい挑戦について教えてください。なぜそのような挑戦に至り、また周囲にどのような影響を与えたかについても具体的にお書きください。(500文字以内で簡潔に記入してください)

 

参考:野村総合研究所 エントリーシート

①に関してはまずSIerもしくはコンサルタントを志望する理由を自己の過去の経験を紹介しながら説明し、そして「なぜ数ある企業の中でも野村総合研究所を志望するのか」を説明出来るといいでしょう。

②に関しては学生時代に取り組んだ勉強、そしてどのように取り組み工夫をしたかについて聞いています。野村総合研究所では常に顧客企業の業務知識の理解が求められ、その上で最適なソリューションを提供することがメインの業務になっているので、常に学習をすることが求められています。そういった点からこの設問が設けられていると思われるため、知識を自ら身につけていくことに抵抗がないことをしっかりとアピールできるといいでしょう。

③こちらはいわゆる「学生時代に頑張ってきたこと」について問いている設問になります。先ほど紹介した3つの強みを意識した上で、取り組む上での独自の方法論も紹介しながら説明できるといいでしょう。

ここからはこれら①〜③の設問に関して、野村総合研究所に内定した就活生が書いた実際のESを設問ごとに紹介していきたいと思います。

まず①に関して紹介していきます。

①AEで実現したいこと、および実現する場としてNRI(若しくはNRIセキュア)を志望する理由をお書きください。(500文字以内で簡潔に記入してください)

 

「ITによって、世界を感動させること。」これこそが、私がNRIのAPというキャリアフィールドで最も成し遂げたいことである。ITベンチャーでの長期インターンで、請求業務という狭い範囲ながらも、クラウドでお客様の業務を改善させている実感がどんな時でも私のモチベーションとなっていた。このような仕組みを、自分の手で創り出したいと思ったのがエンジニアに興味を持った理由である。また、今まではITの進歩に驚かされる側だったが、今後は自分がその仕組みを創り、世界を感動させる側にいたいと感じた。その中で、どんな時もお客様に一番近い立場で課題解決をしたいという思いから、エンジニアの中でもAPを選択する。世界をがらっと変える可能性のある大きなプロジェクトに関われる点や、金融や保険など世にインパクトのある業界を支えることができる点にNRIの魅力を感じる。さらに、留学や部活等で「自分の未来は自分で切り拓く」という姿勢を学んできた私にとって、変化の激しい未来に対しても挑戦を続ける御社の「未来創発」の理念は私の生き方そのものであり、私のマインドセットと一致しているため、NRIという舞台を志望させていただいた。


参考:野村総合研究所 エントリーシート

この内定者はなぜまず「なぜIT業界に興味を持ったのか」をしっかり説明していることが分かります。実際にITベンチャー企業における業務を通してエンジニアに関心を持ったことを話し、その上で「なぜNRIなのか、そしてなぜAEを選ぶのか」をしっかりと説明できていることが分かります。

「なぜ業界の中でもNRIを志望するか」について、自分の生い立ち(留学経験やベンチャー企業での活躍など)がNRIの企業理念に合致していることをアピールしていることから説得力があるエントリーシートになっています。

①AEで実現したいこと、および実現する場としてNRI(若しくはNRIセキュア)を志望する理由をお書きください。(500文字以内で簡潔に記入してください)

 

私がSI業界を志望する理由は、 
1.相手のニーズを叶えるために努力することにやりがいを感じるため 
2.チームで働きたいため、の2点です。1.は塾講師のアルバイトを通じて、生徒の成績向上に繋げる事で、保護者や生徒から感謝されることにやりがいを感じたためです。2.は研究活動やアルバイトをしていく中で、一人で行うことには限界があり、視野も狭くなりがちであるため、複数人で共に向上し合える点に魅力を感じました。その中で貴社を志望する理由は以下の3点です。 
①規模が大きく幅広い事業領域があり、様々な分野に関わるチャンスがあるため 
②超上流からのアプローチによって、お客様が本当に求めているシステムを提案できるトータルソリューションをはじめとした、顧客の目線に立った最適なソリューションを提案できる技術やノウハウがあるため 
③多彩な人材が集まっており、セミナーやキャリアカフェの場でお会いした社員の皆様の雰囲気に魅力を感じたため 
長所である分析力と、貴社の豊富なノウハウを活かして、AEとしてのプロフェッショナルとなれるよう仕事に取り組みたいと思っています。

 

参考:野村総合研究所 エントリーシート(アプリケーションエンジニア)

こちらの内定者は「IT業界に関心がある」とダイレクトに話さず、「自分が理想とする働き方」を説明した上でそれがSIerをマッチしていることを説明しています。このように話すことで、「業務内容に求められる人材がどのようなものか」についてしっかり理解していることをアピール出来ており、また自分の得意としている働き方がどのようなものかについても触れることができています。

しかし、「なぜ数あるSIer企業の中でNRIを志望しているのか」の部分の根拠が弱いところが少々微妙な点だと思われます。筆者が挙げた3点の理由は他の大手SIerの事業内容にも当てはまる内容になってしまうので、「NRIだけが持っている強み」についてしっかりと言及した上で志望理由を説明できると、より人事担当も納得できるような内容になるのではないでしょうか。

次に設問②の紹介に移ります。

②現在の研究テーマやゼミの内容、もしくは学生時代に最も力を入れて勉強したことについて説明してください。特に、自分ならではの創意工夫をした点や自身にとっての気付きがあれば、具体的にお書き下さい。(500文字以内で簡潔に記入してください)


大規模データを似たもの同士のグループに分類するアルゴリズムの改善を行っています。その中で、個体と各個体がもつ属性値の両方の観点からグループ分けを行う共クラスタリングという手法の研究をしています。この実用例として商品の推薦機能があり、「あなたにおすすめの商品」と提示してくれるサービスに用いられています。 
現存の手法では、分析結果が妥当であるかの評価が困難である事が問題点として考えられていたため、私は基準となる手法を考案することで、更に分類精度が向上するのでは、と思い新手法の考案を行いました。 
具体的には、数学的に定義されているモデルに補正を加えられるモデルを提案しました。数学的に定義されているため、得られた結果が妥当であると評価することが可能となります。ですが、このテーマは研究室内で未開の内容であったので、自分で様々な文献や論文を読み、様々な数値実験を行ったり数学的な理解を深めました。 
基準となるモデルを確立したことで実験結果の妥当性を明らかにすることが可能となり、結果的にデータ分類の精度が向上しました。現在は国際学会への投稿を控えており、執筆中です。


参考:野村総合研究所 エントリーシート(アプリケーションエンジニア)

こちらの内定者は、大学での研究であるクラスタリング手法の改善についての説明をしています。現状の手法の問題点を解説した上でそれに対する新たな手法を提案し、新たなモデルを紹介するまでの一連の流れをしており、論理構成が整っていることや、研究に対して熱心に取り組んでいたことが分かります。こういった点や自ら研究テーマについての論文や文献を読み進めていることから、入社後も企業の抱える課題についてしっかりと分析を行い、それに対する解決策をアウトプットする素質があることが分かります。

次に設問③の紹介に移ります。

③これまでの経験の中で、あなたが周囲を巻き込んで行った新しい挑戦について教えてください。なぜそのような挑戦に至り、また周囲にどのような影響を与えたかについても具体的にお書きください。(500文字以内で簡潔に記入してください)

 

高校で陸上競技部に入部した当初は、チームがバラバラでまとまりがありませんでした。陸上競技は個人競技であり、各部員の目標やモチベーションが異なっていたため、目的意識を共有できていない事が大きな原因でした。チーム全体で協力し合うことで今まで見えていなかった課題が浮き彫りとなり、パフォーマンス向上に繋がると考え、高校2年の時に自らキャプテンを志願し、チームの意識改革を行いました。問題点を的確に分析できる強みを活かし、チームの何が問題なのかを考え、以下の2点を行いました。 
①週1回、全員でのミーティング、各種目ごとでのミーティングを実施する 
②他種目の部員の練習を見学し、アドバイスし合う場を設ける 
フォームや呼吸の仕方など、周りからアドバイスを積極的に行うことで、チームへの帰属意識が強まり、活性化に繋がりました。また控えめな部員には自ら意見を汲み取ることにも気をつけていました。その結果、以前よりもチーム全体の成績が向上し、県内で団体戦準優勝をすることが出来ました。後輩からは、「先輩の姿を見て、自分だけじゃなくチーム全体を考えて行動するようになりました。」と言われました。


参考:野村総合研究所【内定】エントリーシート

こちらの設問は「学生時代頑張ったこと」についての箇所になっており、「周囲を巻き込んで行った新しい挑戦」と指定されているようにチームを巻き込みながら行った事についての解説をしなければなりません。

この内定者は、高校時代所属していた陸上部が抱えていた課題に対して行動するために、自らキャプテンを立候補した上で課題解決に取り組んだ経験について話しています。この内定者はSIer業界を志望する学生なら備わっているべき強みを陸上部での経験に沿ってしっかりとアピール出来ていることが分かります。

まず「2.関係者と信頼関係を構築し、課題やニーズを引き出し、解決のための提案から実行まで行うことができる」の強みを活かして、チームの課題に対して行動するためキャプテンを立候補し、その解決のための施策を提案し実行に移すことで結果を生み出すことに成功していますね。

同様に、「3.リーダーシップを発揮し、周囲の人と目標を共有し達成することができる」の強みはキャプテンとしてチームの意識改革を行うところでリーダーシップを発揮し、そしてそれを通して部員のチームへの帰属意識を強めチーム全体の成績向上に貢献したことからわかります。

更に、本人が提案した施策を通して他種目同士の部員のインタラクションを活性化させ、控えめな選手にも積極的に働きかけることでチーム全体の成績を向上させていることから「4.価値観や立場の異なる人と協力して成果をあげることができる」の強みも発揮出来ていることがわかるのではないでしょうか。リーダーシップを発揮して課題解決に取り組んでいる姿勢から、システム開発における「プロジェクトマネジメント」としての素質が備わっていることが予想できます。

選考について

最後に、野村総合研究所の選考状況に関して、選考プロセスや特徴を見ていきます。参考にして下さい。

◆選考プロセス(エンジニア職)

 

エントリーシート&テストセンター→一次面接(個人)→二次面接(個人)→最終面接(個人)&GD

 

参考:野村総合研究所 本選考情報(AE)

◆選考プロセス(コンサルタント職)

 

エントリーシート(提出直後に適性検査の案内)⇒テストセンター(3,4日後に通過連絡)⇒一次面接(翌日に電話にて二次面接の案内)⇒二次面接+GD(翌日電話にて三次面接の案内)⇒三次面接(当日夕方に四次面接の案内)⇒四次面接(翌日に電話にて最終面接の案内)⇒最終面接(当日夕方通過連絡)

野村総合研究所の場合、採用の段階で経営コンサルタントとITソリューションエンジニアの大きく2つに分けて採用を行っています。採用数は全体で300人程度ではあるものの、経営コンサルタントの採用は50人程度であり非常に狭き門であると思います。選考プロセスにおいても、エンジニアに比べてコンサルタントは面接の数が多く、より厳格な基準で学生を選別していることが分かります。

また、選考の途中に資料読み込み型のGDを行うこともポイントです。エンジニアの場合は最終面接と同時にGDを設け、そしてコンサルタントは2次面接とGDを同時に行っています。

エンジニアの選考については、基本的に志望動機の深掘りや学生時代の経験について問う面接が基本です。それに加えて、NRIは学生がNRIの業務をしっかりと把握しているかどうかを問う質問が必ずあり(ATとTEの違いは何か、SIerのシステム開発の工程を説明しろ、etc)、そういったところから学生の志望度を試していることが分かります。

一方でコンサルタント職の選考は入社の志望動機や学生時代の経験に加えて、ケース問題やフェルミ推定などのケース面接も課されています。会話の中で論理的に少しでもおかしいと判断された点はひたすら深掘りされるなど、かなり論理性を問う選考になっています。いわゆる外資系コンサルと同様の選考基準で学生を見ていると考えられるため、ケース面接に関してもしっかりと準備して望みましょう。

最後に

いかがだったでしょうか。今回はSIerの中でも特に学生人気の高い野村総合研究所について解説させていただきました。同社の顧客の業界は多岐にわたっていますが、金融業界向け事業の売上高が多くを占めていることがやはり1番の特徴ではないでしょうか。

また、今話題のフィンテックに関わる事業についても積極的に関わっているため金融業界に関心がある学生であれば野村総合研究所は向いていると思われます。また、今後の海外展開にも期待したいですね。

photo by Always Shooting

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