エントリー戦略の概要

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最終更新日:2018年03月28日

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達成計画の概要において、目標を達成するためには計画が不可欠であることと、就職活動において計画が立てられない二つの理由について話をしました。ここでは個々の学生がどの業界・どの企業をどれだけ受けるべきかということについて話をすることで計画立案の一助としてもらいたいと思います。

エントリー戦略とは「様々な業界を知った上で複数内定を得る」という短期目標のスタートとなる重要な戦略であり、学生にとっては最初に考え始めなければならないものです。

エントリー戦略には下記の通り三つの基本があります。エントリー戦略という仰々しい名前をつけてはいるものの、基本は至ってシンプルです。

エントリー戦略の基本
その1:受けたいところから受ける
その2:効率よく、受けられるだけ受ける
その3:三つのフェーズに分けて受ける

それでは、それぞれについて解説したいと思います。

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1.エントリー戦略の基本その1:受けたいところから受ける

就職活動をする、仕事について考えるとなった時にパッと夢のようなものが思い浮かびませんでしたか。

例えば広告代理店で働くことかもしれませんし、テレビ局で働くことかもしれません。ただ多くの学生が思い浮かんだ夢に対して、学歴が低いからとか学生時代に誇れる経験がないからと萎縮して、受かりそうなところを受けたいと小さく考えをまとめがちです。だから○○大学でも狙える企業を教えてください、アルバイトもゼミ活動の経験がなくても入れる企業を教えてくださいという発想になりがちです。

しかし就職活動には偏差値のような客観的な基準がないため、時として大逆転といえるようなことが起きます。私が勤めていた総合商社においても、コネなし・学歴なし・留学経験なしの同期は結構おり、自分でもびっくりしているといったことを話していました。

結局、就職活動は受けなければ受からない世界です。だからこそまずはチャレンジしてみるという姿勢が非常に重要です。「受けたい・入社したい」という気持ちは何よりのモチベーションになります。

是非ともそのモチベーションを出発点に「様々な業界を知った上で複数内定を得る」という明確な目標につなげて欲しいと思っています。

2.エントリー戦略の基本その2:効率よく受けられるだけ受ける

さて基本その1で「受けたいところから受ける」という話をしましたが、このような話をすると「受けたいところだけ受ける」という発想をしがちです。現に多くの学生が受ける業界を絞らなくてはと考えており、どこに絞って受ければいいのかという相談をたくさん受けます。

その根底にあるのは、業界を絞って受ければそれだけ効率が上がるという発想なのだろうと思います。商社に入社するためには商社のことを徹底的に調べればいいのではと考えるために業界を絞るという発想になると考えられます。

但し、それは間違った考え方です。業界を絞ったとしても効率は上がらず、むしろデメリットの方が大きいです。

デメリット①

一つ目のデメリットは、特定の業界しか知らないと志望動機の底が浅くなるということが言えます。企業が面接の際に知りたいことの一つに「数ある業界の中でもなぜうちの業界なのか」ということがあります。

例えば商社であれば、なぜ船会社でもなく銀行でもなくコンサルでもなく、商社なのかということが採用担当者は知りたいのです。

この問いに答えるためには、商社のことだけを知るのではなく、船会社のビジネスの本質、銀行のビジネスの本質、コンサルのビジネスの本質を知っていた方がより本質に迫った答えが可能になります。

デメリット②

二つ目のデメリットは、業界を絞ってしまうことはリスクが非常に高いということです。

学生の側でこの業界に入りたいと絞ったとしても、採用するかしないかは企業に選択権があります。学生側の資質と業界が求めている資質がまったくマッチせずに志望業界の企業に入社できないというのはよくあることです。

新卒一括採用を行っている日本企業においては、多くの大企業が同じ時期に採用活動を行っており、志望業界から内定を得られなくなった段階で別の業界に目を向けても採用を受け付けていないということが往々にしてあります。

もちろん夏採用などの採用はあるものの、春採用に比べると採用人数の少ない狭き門であることが一般的です。

以上、見てきた通り、業界を絞って受けることはデメリットが非常に大きくお勧めできません。とはいえ、むやみやたらに受けることが効率化にはつながらないという事も事実です。

効率よく複数業界、複数企業を受けていくための具体的な方法については「自分にはどんな仕事が向いているのか」にて詳しく説明していますのでそちらをご参照下さい。

3.エントリー戦略の基本その3:三つのフェーズに分けて受ける

さて最後のポイントは、企業を採用時期によって三つに分けて受けるということです。

多くの企業が4月1日以降に選考活動を実施していますが、これは経団連の倫理協定に基づくものです。拘束力のある協定ではないため、全ての企業が遵守しているわけではありませんが、経団連に所属する多くの企業はこの協定を守り採用活動を行っています。そのため4月には面接が集中し、選考のピークとなっています。

一方で、この倫理協定はあくまで経団連が発表しているものであり、経団連に所属していない外資系やベンチャーにとっては関係のない話であり、現に多くの外資系企業やベンチャー企業が4月以前に選考活動を実施しています。

また経団連に所属していようといなかろうと、採用時期を大手企業の採用活動が終了した5月以降に実施している企業も多くあります。これらの企業は大手企業と同時期に採用活動したとしても学生が受けにきてくれないために遅い時期まで選考活動を続けています。

以上見てきた通り、企業の採用時期には早期、最盛期、晩期の三つのフェーズがあり、エントリー戦略においては予めそれぞれの時期に企業を受けることを想定します。

最盛期に受けるのは当り前としても、早期と晩期に受ける意味はそれぞれ異なります。4月以前の早期に選考を受けるのは「本番の選考が最高の練習だから」です。部活や受験の時に経験があると思いますが、実際に試合やテストをすることで自分の問題点や弱点が明らかになり、その後の成長につながるということがよくあります。

就職活動も同じで、実際に選考を受けることで自分自身の問題点や弱点を明らかにすることができ、その後の本命企業の選考の最大の対策になります。

一方で、晩期の企業も予め受けることを想定するのは、リスクヘッジの意味合いが強くなります。多くの学生が4月のピーク時期に内定を取ることを考え、そこに向けて全力を尽くします。それでも全ての学生が内定を得られるわけではなく、予め晩期に受けることを想定していないと、内定がもらえなくなった時から、業界研究からやり直すはめになってしまいます。

そして内定を得られなかった学生の多くが「燃え尽き症候群」にかかり、就職活動から離れてしまうということがありがちです。そういった学生の多くが、本来普通に受けていれば受かるような優良企業を「燃え尽き症候群」にかかっている間に見逃してしまい後悔するというのを毎年みてきました。

以上の通り、採用時期によって企業を三つに分けてそれぞれバランスを取って企業を受けていくようにしましょう。

4.結局何社ぐらいエントリーすればいいのか

何社にエントリーすればよいのかについてはしばしば議論になることがあります。自分自身が興味の持てる業界に絞って受けた方がいいという意見もあれば、できるだけたくさん受けた方がいいという意見もあり、多くの学生が翻弄されてしまっています。

この就活テクニックにおいては、上記の早期・最盛期・晩期の企業全て合わせて100社以上にエントリーしてもらいたいと考えています。「100社もエントリーするとなると全部の会社を調べきれない」と感じる人もいると思いますが、そもそも全部の会社を細かく分析する必要はありません。

志望度の高い企業は深く調べて、その周辺の志望度の低い企業についてはざっくりと業界について調べるくらいで構いません。そもそも採用担当者は利益がいくらであったり、企業理念が何であるかであったりといった企業の細かい知識を学生には求めていません。「なぜ数ある仕事の中でもこの業界なのか、そして業界の中でもなぜうちの会社なのか」ということだけ知りたいと思っています。この問いに答えるのに必要なのは、細かい知識ではなく、自分自身の企業選びの軸と、それに基づく分析だけです。

細かい分析はいりませんし、「自分にはどんな仕事が向いているのか」では、100社にエントリーできるように効率化する具体策について述べていますので、参考にした上で、100社以上のエントリーを目指してもらいたいと思います。

今回のまとめ

・まずは受けたいところから受けるべし
・業界を絞ることが効率化につながるとは限らない
・採用時期を三つに分けてエントリー戦略を練るべし

photo by Joel Montes de Oca

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