【2025年最新版】業界研究完全攻略ガイド～化粧品業界～

【化粧品】業界研究完全攻略ガイド

「化粧品業界って、結局何をしているの？ビジネスモデルが複雑で分からない…」
「大手企業の違いがよく分からないし、自分に合う会社がどこか見つけられない…」 
そんなあなたの疑問や不安を、これ一冊で解消できるのが、業界研究完全攻略ガイドです。

• 第1章: 化粧品業界の全体像
• 第2章: 化粧品業界で働く魅力とキャリア
• 第3章: 主要企業分析 
  └資生堂 (SHISEIDO) 
  └コーセー (KOSE) 
  └日本ロレアル (Nihon L'Oréal) 
  └ポーラ・オルビスホールディングス (POLA ORBIS HOLDINGS) 
  └ミルボン (Milbon) 
  └ファンケル (FANCL)
• 第4章: 企業文化の違いと選考対策
• 第5章: 化粧品業界の就活に関するよくある質問（FAQ）
• まとめ・情報源リスト

第1章: 化粧品業界の全体像

まずは、業界の全体像を数字と仕組みから理解しましょう。

市場規模と推移

化粧品業界の市場規模は、近年インバウンド需要の増減やコロナ禍の影響を受け、変動しています。
最新の市場規模: 2022年の化粧品業界の市場規模は3兆370億円でした。

市場規模の推移:

出典：業界動向サーチ（化粧品業界の動向や現状、ランキングなど）

増減の主な要因

2020年の大幅減
新型コロナウイルスの感染拡大によるインバウンド需要の消失、外出自粛によるメイクアップ需要の減少が主な原因です。

2021年以降の回復
行動制限の緩和や、スキンケア需要の高まり、インバウンド需要の回復の兆しにより、市場は回復傾向にあります。

【2024年】大手3社の売上比較・ランキング

各社の有価証券報告書より編...

ビジネスモデルとバリューチェーン

化粧品が私たちの手元に届くまでには、多くのステップとプレイヤーが関わっています。

化粧品業界の最新動向とトレンド

トレンド	概要と具体例
パーソナライゼーションの加速とD2Cの拡大	顧客一人ひとりの肌質や好みに合わせた製品やサービスを提供する「パーソナライゼーション」が加速しています。AIによる肌診断やオンラインカウンセリングを通じて最適な商品を提案し、顧客との直接的な関係を築くD2Cモデルが主流になりつつあります。 具体例: 資生堂は、会員サービス「Beauty Key」を通じて顧客の肌データや購買履歴を一元管理し、パーソナライズされた美容体験を提供しています。ファンケルもオンラインでのカウンセリングを強化し、顧客とのエンゲージメントを高めています。
サステナビリティ（SDGs）への意識の高まり	環境問題や社会課題への関心の高まりから、消費者は企業のサステナビリティへの取り組みを重視するようになりました。リサイクル可能な容器の採用、動物実験の廃止、フェアトレードによる原料調達など、企業の倫理的な姿勢がブランドイメージを大きく左右します。 具体例: 日本ロレアルは、2030年までに全てのプラスチックパッケージをリサイクル由来またはバイオベース由来のものにすることを目指しています。コーセーも、サステナビリティ推進計画「KOSÉ Beauty Partnership」を掲げ、環境負荷削減に取り組んでいます。
デジタルマーケティングとテクノロジーの進化	スマートフォンの普及により、SNSやインフルエンサーを通じたマーケティングの重要性が増しています。特にZ世代は、TikTokやInstagramで商品の情報を収集し、ユーザーの口コミ（UGC：User Generated Content）を重視する傾向があります。また、Cookie規制の強化に伴い、企業は自社で顧客データを収集・活用する（1st Party Data）戦略へとシフトしています。 具体例: 各社がインフルエンサーとのタイアップやSNSでのライブ配信を積極的に活用。AIを活用したバーチャルメイクアップ機能なども開発され、オンラインでの新たな購入体験が生まれています。
メンズコスメ・ジェンダーレスコスメ市場の拡大	男性の美容意識の高まりを受け、メンズコスメ市場が急速に成長しています。また、性別に関わらず誰もが使える「ジェンダーレスコスメ」も注目されており、新たな顧客層の開拓が進んでいます。
インナーケアとウェルネス領域への拡張	美しさは外面だけでなく内面から作られるという考え方が広まり、化粧品とサプリメントや健康食品を組み合わせた「インナーケア」の需要が高まっています。ファンケルのように、化粧品と健康食品の両方を主力事業とする企業も存在します。

化粧品業界の課題と将来性

業界の華やかな側面に加え、課題と今後の展望を理解することは、より深い業界研究に繋がります。

業界が抱える3つの主要課題
国内市場の縮小と人口減少
日本の人口減少に伴い、国内の化粧品市場は長期的に見て縮小傾向にあります。これに対し、各社は高価格帯のプレステージ領域の強化や、新たな顧客層（男性、...

第2章: 化粧品業界で働く魅力とキャリア

この業界で働くことは、どのようなやりがいや成長に繋がるのでしょうか。

業界で働くことの魅力・やりがい

社会貢献性と影響力
「美」を通じて人々の自信を引き出し、生活を前向きにする手助けができます。自分の仕事が誰かの喜びや笑顔に直接繋がる、実感の大きい仕事です。

仕事の面白さ・ダイナミズム
トレンドの変化が速く、常に新しい商品やサービスが生まれます。自身の創造性やアイデアを活かして、世の中に新しい価値を発信できる面白さがあります。

成長機会
若いうちから責任のある仕事を任されることも多く、多様な専門性を持つプロフェッショナル（研究、マーケティング、営業など）と協業する中で、幅広いスキルを習得できます。グローバルに事業展開する企業では、世界を舞台に活躍するチャンスも豊富です。

求められるスキル・人物像

専門スキル
研究開発職: 化学、生物学、薬学などの理系の専門知識が必須です。
マーケティング職: 市場分析力、トレンドを掴む感度、デジタルマーケティングの知識が求められます。
営業・美容部員: 高いコ...

第3章: 主要企業分析

ここでは、業界を代表する主要6社について、IR情報などを基に詳しく分析します。各社の強みや戦略、社風の違いを理解し、自身のキャリアプランと照らし合わせながら企業選びの参考にしてください。

強み
高いブランド力とプレステージ領域での競争優位性
「SHISEIDO」「クレ・ド・ポー ボーテ」など、高価格帯で高いブランド価値を持つ製品群が収益の柱です。
世界トップレベルの研究開発力
100年... 強み
独自のブランドマーケティング力
「DECORTÉ」のようなハイプレステージから、「Visee」のようなメイクアップブランドまで、ターゲットの異なる多様なブランドを育成するノウハウを持っています。... 強み
世界最大級のブランドポートフォリオ
ラグジュアリーからマスマーケットまで、あらゆるニーズに応える圧倒的なブランド群を持っています。
卓越したマーケティング戦略
データに基づいたデジタルマーケティ... 強み
独自のダイレクトセリングモデル
ポーラのビューティーディレクターやオルビスの通信販売といった、顧客と直接繋がる販売チャネルが強固な顧客基盤を形成しています。
高い研究開発力
業界で初めてシワを改... 強み
美容室との強固なパートナーシップ
「フィールドパーソン」と呼ばれる独自の営業職が、製品提案だけでなく、美容室の経営課題解決まで支援することで、強い信頼関係を築いています。
TAC製品開発システム... 強み
「無添加」という明確なブランドコンセプト: 創業以来こだわり続ける「無添加」が、安全性や信頼性を重視する顧客から強い支持を得ています。
高い研究開発力: 化粧品と健康食品の両分野で、独自の高い研...

主要企業比較サマリー

企業名事業の主軸独自の強み（キーワード）就活生への魅力（一言）資生堂プレステージ化粧品、グローバル展開高いブランド力、研究開発力、グローバル基盤世界を舞台に、トップブランドの育成に携われる。コーセー独...

第4章: 企業文化の違いと選考対策

自分に合った企業を見つけ、内定を勝ち取るための具体的な方法を解説します。

自分に合った企業を見つけるための比較検討の視点

業界特有の選考で重視されるポイントと対策

エントリーシート(ES)対策

「なぜ化粧品業界なのか」「なぜ当社なのか」を自身の原体験（例: 化粧品でコンプレックスを克服した経験など）と結びつけて語れると、説得力が増します。

「あなたが世の中に発信したい『美』とは何か」といった、価値観を問う質問も多いです。自己分析を深く行い、自分の言葉で語れるように準備しましょう。

グループディスカッション(GD)対策

「Z世代に響く新しいリップのプロモーション施策を考えよ」「インバウンド観光客向けの新たなサービスを企画せよ」など、業界のトレンドを踏まえたテーマが頻出します。

日頃から美容系雑誌やニュースサイトに目を通し、自分なりの意見を持っておくことが重要です。

面接対策

「好きなブランドとその理由」「最近気になった化粧品や広告は？」といった質問で、業界への興味・関心の深さが見られています。具体的な商品名や理由を熱意を持って話せるようにしましょう。

清潔感のある身だしなみも重要な評価ポイントです。

第5章: 化粧品業界の就活に関するよくある質問（FAQ）

Q. 文系出身でも研究開発職になれますか？

A. 研究開発職は、化学や生物学、薬学といった理系の専門知識が求められるため、一般的に理系学生が対象となります。ただし、文系出身者でも、商品企画やマーケティング、営業、広報など、活躍できる職種は非常に多岐にわたります。自身の強みがどの職種で活かせるかを考えてみましょう。

Q. 業界の平均年収はどのくらいですか？

A. 業界動向SEARCH.COMによると、2022-2023年の化粧品業界の平均年収は601万円です。ただし、これは業界全体の平均であり、企業規模や職種によって大きく異なります。資生堂やポーラ・オルビスHDなど、大手企業の中には平均年収が700万円を超える企業もあります。あくまで参考値として捉え、各企業の募集要項などを確認してください。

Q. インターンシップに参加しないと選考で不利になりますか？

A. 必ずしも不利になるわけではありません。しかし、インターンシップは業界や企業への理解を深め、自身の適性を見極める絶好の機会です。また、企業によってはインターンシップ参加者向けの早期選考ルートが用意されている場合もあります。興味のある企業のインターンシップには、積極的に参加することをおすすめします。

まとめ・情報源リスト

化粧品業界は、人々の肌を美しくするだけでなく、心に自信と彩りを与え、自己表現を支えることで日々の生活を豊かにする、「感性に寄り添う」産業です。この業界の競争は、単に優れた機能を持つ製品を開発するだけでなく、AIやデータを活用して多様化・個別化する一人ひとりのニーズにいかに応えるかという「パーソナライズ力」と、サステナビリティやエシカルな視点を製品や企業活動に反映させる「社会との共創力」によって決まります。

国内市場の成熟、グローバルでの競争激化、デジタル技術の進化による顧客接点の変化、そして環境配慮への高まる要求など、業界を取り巻く環境は今、大きな変革期を迎えています。本ガイドで得た知識は、皆さんがこの業界で働くことを考える上での出発点に過ぎません。この業界で本当に活躍するためには、さらに深く、「どのような化粧品が」「人々のどんな悩みや願いを解決し、自己表現を支えているのか」を自分自身で情報を収集し、考えることが重要です。

ぜひ、本ガイドで得た知識を基に、さらに企業研究を深め、「なぜこの企業で」「どのような形で」世界中の人々の毎日を彩り、自信と輝きを提供したいのかを、自分自身の言葉で語れるように準備してください。