【2025年最新版】業界研究完全攻略ガイド～建設業界～

【建設】業界研究完全攻略ガイド

「建設業界って、結局何をしているの？ビジネスモデルが複雑で分からない…」
「大手企業の違いがよく分からないし、自分に合う会社がどこか見つけられない…」 
そんなあなたの疑問や不安を、これ一冊で解消できるのが、業界研究完全攻略ガイドです。

• 第1章: 建設業界の全体像
• 第2章: 建設業界で働く魅力とキャリア
• 第3章: 主要企業分析 
  └鹿島建設株式会社 
  └株式会社大林組 
  └大成建設株式会社 
  └大和ハウス工業株式会社 
  └積水ハウス株式会社 
  └住友林業株式会社 
  └五洋建設株式会社 
  └東亜建設工業株式会社 
  └株式会社サーラコーポレーション
• 第4章: 企業文化の違いと選考対策
• 第5章: 建設業界の就活に関するよくある質問（FAQ）

第1章：建設業界の全体像

まずは建設業界の基本的な仕組み、市場の現状、そして今後の動向を理解し、業界全体の魅力を多角的に把握することを目指します。

市場規模と推移

建設業界の市場規模は、国の経済政策や民間企業の設備投資動向に大きく影響を受けます。国土交通省の発表によると、2024年度の建設投資額は70兆円越となる見通しで、前年度比でも増加が見込まれています。これは、政府の防災・減災、国土強靱化への継続的な投資や、民間における大型の再開発プロジェクト、物流施設やデータセンターへの投資が堅調に推移していることが背景にあります。

過去5年間の建設投資額の推移

出典：国土交通省「建設投資見通し（令和6年1月）」

【2024年度】各主要企業の売上比較・ランキング

各社の有価証券報告書を参考に...

ビジネスモデルとバリューチェーン

建設業界は、建物を建てたい「発注者（施主）」から工事を請け負い、完成させて引き渡すことで収益を得るビジネスモデルです。一つの建物が完成するまでには、非常に多くの企業が関わっています。

このフローにより、企画から完成までの流れと、各プレイヤーの役割分担が明確になり、就活生は業界の全体構造をスムーズに理解できます。

建設業界の最新トレンド

建設業界は今、大きな変革期を迎えています。伝統的な「3K（きつい、汚い、危険）」のイメージを払拭し、より魅力的で持続可能な産業へと進化するために、以下のようなトレンドが加速しています。

建設DX（デジタルトランスフォーメーション）の推進 
人手不足や生産性向上という課題を解決する切り札として、デジタル技術の活用が急速に進んでいます。
BIM/CIMの活用
3次元モデルにコストや仕上げ...

第2章：建設業界で働く魅力とキャリア

求められるスキル・人物像

求められるスキル
コミュニケーション能力：発注者、設計者、協力会社の職人など、非常に多くの関係者と円滑に意思疎通を図り、プロジェクトを前に進めるために不可欠です。
課題解決能力・粘り強さ：建設現場では...

代表的な職種と仕事内容

職種	主な仕事内容	特に必要なスキル	キャリアパスの例
施工管理	建設工事の現場監督として、品質・安全・工程・予算（QCDS）を管理し、工事全体をマネジメントする。	リーダーシップ、コミュニケーション能力、課題解決能力	現場代理人 → 工事課長 → 支店の工事部長
設計	発注者の要望を基に、建物の構造やデザイン、設備などを計画し、設計図を作成する。意匠・構造・設備の各分野がある。	創造力、空間認識能力、構造力学などの専門知識	担当者 → 主任設計士 → 設計部長、独立して設計事務所を開設
研究開発	新しい建設技術や工法、材料などを研究・開発する。耐震技術、環境配慮型技術、DX技術などテーマは様々。	探求心、論理的思考力、専門分野の深い知識	研究員 → 主任研究員 → 研究所長
営業	官公庁や民間企業から工事案件を受注するための情報収集、提案、入札、契約交渉などを行う。	交渉力、情報収集能力、業界知識、人脈構築力	担当者 → 営業課長 → 支店長
企画・開発	土地の仕入れから、どのような建物を建てるかの企画、事業全体の収支計画などを立案する（デベロッパーに近い業務）。	マーケティング能力、不動産・金融の知識、事業構想力	担当者 → プロジェクトマネージャー → 開発事業部長

業界の厳しさについて
魅力的な側面が多い一方、工期を守るためのプレッシャーや、天候によっては長時間労働になり得ること、そして何よりも安全に対する重い責任が伴う厳しい側面もあります。しかし、そうした困難を乗り越え、巨大なプロジェクトを完成させた時の達成感や社会からの信頼は、何物にも代えがたいものとなるでしょう。

第3章：主要企業分析

ここでは、業界を代表する企業について、事業内容や強み、業績などを詳しく分析します。自分に合った企業を見つけるための参考にしてください。
（注：各社の業績データは、原則として各社が公開している最新の決算説明会資料に基づきますが、年度の区切りが企業によって異なる点にご留意ください。）

強み
業界屈指の技術力
日本初の超高層ビル「霞が関ビル」を手掛けるなど、常に業界の技術革新をリード。耐震・免震技術や環境技術に定評がある。
豊富な国内外の実績
国内外で数多くのランドマークや大規模イン... 強み
高い技術開発力
業界最大級の技術研究所を持ち、耐震技術や環境技術、宇宙エレベーター構想など、未来を見据えた研究開発に積極的。
再生可能エネルギー事業への注力
太陽光や風力、地熱など、再生可能エネ... 強み
バランスの取れた事業ポートフォリオ
建築と土木の両分野で高い実績を持ち、官民問わず安定した受注基盤を構築している。
都市開発・再開発の実績
数多くの大規模都市開発プロジェクトで中核的な役割を担い... 強み
事業の多角化
住宅事業で培ったノウハウを活かし、商業施設や事業施設など幅広い分野に事業を展開。特定の市場の変動に強い安定した収益基盤を確立。
圧倒的なストック事業基盤
賃貸住宅や商業施設の管理・... 強み
先進的な技術開発力
住宅業界でいち早く「ZEH（ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス）」を推進。家庭内事故を防ぐ研究など、安全・安心・快適な住まいを追求する技術力が高い。
卓越したデザイン力とブラン... 強み
川上から川下までの垂直統合モデル
国内外で保有する広大な「山林」を起点に、木材建材の調達、住宅建築、バイオマス発電まで、木に関する事業を垂直統合している。
海外住宅事業の成長性
M&Aを... 強み
世界トップクラスの海洋土木技術
スエズ運河の拡幅工事など、世界的な大型プロジェクトを手掛けてきた実績と技術力。特に浚渫・埋立技術に強みを持つ。
海外での高いプレゼンス
特にシンガポールでは60年... 強み
港湾・空港建設の高い専門性
創業以来、港湾整備を中核事業としており、特に浚渫・埋立技術において高い評価を得ている。羽田空港の再拡張事業など、数々の国家プロジェクトに貢献。
安定した事業基盤
官公... 強み
地域密着の多角化経営
エネルギー供給から住宅建築、設備工事、カーディーラーまで、生活に不可欠なサービスをワンストップで提供。地域社会との強固な信頼関係と安定した顧客基盤を築いている。
安定した収...

主要企業比較サマリー

企業名事業の主軸独自の強み（キーワード）就活生への魅力（一言）鹿島建設建築・土木・開発技術力、開発事業、国内外の実績長期的な視点で街づくりに関わり、グローバルに活躍できる。大林組建築・土木・再エネ技術...

第4章：企業文化の違いと選考対策

業界や企業について理解が深まったところで、次は「自分に合った企業を見つけ、内定を勝ち取る」ための具体的なアクションについて解説します。

自分に合った企業を見つけるための比較検討の視点

【企業規模（大手、中堅）による違い】

大手（スーパーゼネコンなど）
大規模プロジェクトに携われ、福利厚生や研修制度が充実。安定性が高い一方、組織が大きく業務が細分化されがち。

中堅・準大手
大手に比べ若手から裁量権を持ちやすく、経営層との距離も近い傾向。幅広い業務を経験できる可能性がある。

企業文化・社風を見極めるポイント

IR情報から読み解く
中期経営計画を見れば、企業が「技術力」「海外展開」「DX」など、何を重視しているかが分かります。それが社風にも反映されます。

OB/OG訪問で聞くべきこと
「仕事の進め方で、チームと個人のどちらが重視されますか？」「若手の意見は通りやすいですか？」など、具体的な働き方について質問しましょう。

インターンシップで体感する
社員の方々と実際に働くことで、職場の雰囲気や社員の人柄を肌で感じることができます。

事業内容・得意領域の比較

同じゼネコンでも、鹿島建設は「開発事業」、大林組は「技術開発・環境」、五洋建設は「海洋土木」と得意分野が異なります。自分の興味や専門性がどの分野と合致するか考えましょう。

業界特有の選考で重視されるポイントと対策

建設業界の選考では、「なぜ建設業界なのか」「なぜこの会社なのか」という問いに対し、自身の経験と結びつけて論理的に語れるかが極めて重要です。
エントリーシート(ES)対策
「ガクチカ（学生時代に力を入れ...

第5章：建設業界の就活に関するよくある質問（FAQ）

最後に、建設業界を目指す就活生の皆さんからよく寄せられる質問にお答えします。

Q. 文系でも建設業界で活躍できますか？

A. はい、大いに活躍できます。建設業界は技術職だけでなく、多くの文系出身者が活躍するフィールドがあります。例えば、工事を受注するための「営業」、プロジェクト全体の資金計画や用地取得を行う「企画・開発」、そして会社の運営を支える「総務・経理・人事」など、多様な職種で専門性を発揮できます。施工管理職など一部の技術職でも、入社後の研修制度が充実している企業が多く、文系出身者を採用しているケースも少なくありません。重要なのは、ものづくりへの興味と、多くの人を巻き込んでプロジェクトを推進するコミュニケーション能力です。

Q. 建設業界は「きつい」「休みが少ない」というイメージがありますが、実際はどうですか？

A. 確かに、工期によっては繁忙期があり、屋外での作業も多いため、決して楽な仕事ではありません。しかし、近年、業界全体で「働き方改革」が急速に進んでいます。具体的には、週休2日制の現場の導入、ICT技術（ドローンやAI）を活用した業務効率化、長時間労働の是正などが国や企業の主導で進められています。特に大手企業ほど、ワークライフバランスを改善する取り組みに積極的です。企業の採用サイトや説明会で、具体的な取り組みについて確認してみることをお勧めします。

Q. 建設業界の将来性について、人口減少などで国内市場は縮小するのではないでしょうか？

A. 国内の人口減少は事実ですが、建設業界にはそれを補って余りある成長機会が存在します。

①インフラの老朽化対策: 高度経済成長期に建設された橋やトンネル、水道管などの多くが更新時期を迎えており、今後、維持・修繕の需要が安定的に見込めます。

②防災・減災、国土強靱化: 自然災害が多発する日本において、インフラの強靱化は国家的な課題であり、継続的な公共投資が見込まれます。

③都市の再開発: 東京や大阪などの大都市圏では、国際競争力強化のための大規模な再開発プロジェクトが今後も続きます。

④海外展開: 日本の建設会社が持つ高い技術力は、アジアをはじめとする海外のインフラ整備において大きな強みとなります。 新設需要だけでなく、「更新」「防災」「海外」といった新たな市場が業界の成長を支えていくと考えられます。

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