リース業界の最新動向や今後、課題についてニュースをもとに解説!

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最終更新日:2023年04月12日

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就活生の皆さんは、リース業界の現状についてご存じですか?

どの分野にも柔軟に適応できるリース業界だからこそ時勢に合わせた変化が大きく、注目していく必要があるといえます。

そこで、本記事ではリース業界の最新動向や課題、変容、今後について実際のニュースを通して徹底的に解説していきます。

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リース業界の現状

リース業界のニュース

リース業界の現状はどのようになっているのでしょうか。最新のニュースをもとに現状について考察していきましょう。

「感染リスクの回避を目的に、機器のレンタルニーズが高まっています。代表的なものに、テレビ会議システム、サーマルカメラ、遠隔監視システム、コミュニケーションロボット、掃除ロボット、配膳ロボットなどが挙げられます」と語るのは、SMFLレンタル株式会社 代表取締役社長 八瀬浩一朗だ。

また、次世代ロボット分野でもニーズに変化が見られると言う。

「これまで主な導入目的であった省人化・コスト削減に加え、人と人との接触機会を減らすためにロボットの活用を検討する企業が増えており、今後さまざまな製造現場への導入が期待されます」

【引用】三井住友ファイナンス&リース│『所有する時代の終焉に、高まる「短期レンタル」ニーズ。踏み込めなかった、IT機器や次世代ロボットのテスト導入にも最適』

従業員同士の接触を減らし感染リスクを抑える必要のあるウィズコロナ時代がはじまったことにより、初めて次世代ロボットの導入を検討する企業も少なくないようです。特に、ロボットのような高額な製品を本格的に導入する前に、まずレンタルやリースを試す企業が少なくありません。

リースやレンタルでは月単位など短期利用が可能なため、企業での検証を目的とした短期レンタルが活用されています。

リース業界の課題

リース業界 課題

ここでは、リース業界の課題を二つの観点から解説します。

リース企業の課題(1):金利の問題

 リース業界は、民間企業の設備投資動向とほぼ連動して成長してきた。ピーク時の1991年には、リースの取扱高(=リース契約の総額)は、8.8兆円に達した。「21世紀には、恐らく12兆円にまで膨らむ」――。リース業界は、こんな期待に沸いていた。

 ところが日本経済は「失われた20年」に突入。リース業界は横ばいで推移する民間の設備投資動向に合わせ、取扱高7兆円ほどで足踏みしていた。

 状況が一変したのは2009年~2010年。増加に転じた民間設備投資とは対照的にリース業界の取扱高は下がり始めた。前年にリーマン・ショックで打撃を受けたうえ、大企業を対象とした会計基準が変更になったからだ。

【引用】東洋経済オンライン│変貌遂げるリース業界『知られざる金融サービスとしての実力』

今までの会計基準では、金融機関から借入れをして物件を購入する場合、本来であれば借入れに際して金融機関の厳しい審査が必要になるのに対し、リース取引の場合には借入れほど審査が厳しくありませんでした。そのため、金融機関の融資の枠を他にまわすことができ、事務負担が軽減されていました。

しかしながら、大企業を対象とした会計基準が変更になったことによって、これまで費用として計上していたリース物件は、資産に計上することになりました。つまり、リース利用の会計上のメリットが失われてしまいます。

加えて低金利の状況が続いているので、金融機関からの借り入れ、自己資金で購入する動きも出てくるようになりました。一番底の2010年には取扱高は4.6兆円まで下がり、リース業界にとって新たな一手が必要となりました。

リース企業の課題(2):需要の低迷

新型コロナウイルス感染症感染拡大以前、世界のリース市場は成長基調にありました。2020年以降のコロナ禍によって一時的に需要が落ち込んだものの、数年後にはもとの市場規模へ回復することが予想されています。

しかし、国内のリース市場のリース設備投資額は、リース化率が継続的に低下していたためコロナ禍以前においてもほとんど横ばいの状況でした。

さらに、金利水準という視点で見ても、コロナ禍以前は正常化に向かいつつあった金利は、長引くコロナ禍の中で再び低金利化の傾向にあります。

以上のように、分野によって程度の違いはありますが、リース業界は需要が低迷状態にある点が課題になります。

そのため、様々な業界とタッグを組むことによって自社と提携先に相互利益をもたらす成長をする必要があります。さらに、他業種の企業との買収や合併を通して、提供できるサービスに新たな付加価値を与える動きもあります。

リース業界の動向

リース業界 動向

続いてはリース業界の動向についてみていきます。現在、リース業界ではどのようなことが起こっているのでしょうか。

 こうした状況の中、多くのリース会社が、新たなターゲットとして狙いを定めたのが海外事業だ。少子化によって、国内市場は縮小していくのに対して、アジアをはじめ、海外では人口が増加している国、経済が伸び盛りの国が沢山ある。こうした国ならば一緒に成長が可能と期待できる。

【引用】東洋経済オンライン│変貌遂げるリース業界『知られざる金融サービスとしての実力』

リース会社は、その事業の柔軟さから多様な業界とともに変貌するような力を秘めているようです。

これまでのリース業界の典型的な海外展開の手法は、海外進出する日本企業のサポートでした。日本で手掛けていたリース事業を海外で展開するビジネスモデルでしたが、市場が飽和してしまったことで他社とは違う海外事業へのチャレンジを始めています。

また現地企業と組んで、現地の会社をターゲットにしたリース事業を始めるほか、特殊なノウハウを持つ海外の企業と組んで、まったく新しいビジネスに挑戦する企業も現れました。

アジアでは、グループの総合力を活かして「マルチフランチャイズ戦略」を推進しています。これは、個人から法人に至るフルバンクのビジネスをアジアで展開し、「第2、第3のSMBCグループ」を創ろうというものです。まずは、2013年にASEAN屈指の経済大国であるインドネシアで現地の銀行BTPNに出資し、BTPNを核とした総合金融グループ確立に向けて、デジタルバンキングや、リテールビジネスの強化に取り組んできました。
2021年に、インド・ベトナム・フィリピンの現地金融機関への出資を発表していますが、インドネシアでの経験を活かして、各国の成長を取り込んでまいります。

【引用】三井住友ファイナンス&リース『マルチフランチャイズ戦略』

三井住友ファイナンス&リースでは、アジアでのマルチフランチャイズ戦略を行っています。

この戦略の一環として、インドネシアの中堅銀行BTPNとインドネシア三井住友銀行の合併が行われました。SMBCとBTPNは友好的な資本関係にありましたが、海外の銀行子会社と現地の銀行を合併させるケースは稀少です。

合併を通し、BTPNが持つ数百万人の顧客層と最先端のデジタル技術を、SMBCの現地法人であったインドネシア三井住友銀行が持つ大手企業とのネットワークやビジネス開発力と融合させ、幅広いサービスを提供し、同国の金融の中心を担うことを狙いとしているようです。

リース業界の今後:循環型社会の形成

リース業界の今後

続いてはリース業界の今後について見ていきます。

リース業界のありかたは、昨今注目されている概念である循環型社会に役立つと言われています。

オリックス自動車は、自動車リース、レンタカー、カーシェアリングに加え、車両管理サービスなど、自動車に関連するサービスを総合的に提供し、国内最大規模の142万台(2021年3月末現在)の車両管理台数を有します。車両に関する専門性を生かし、中古車両を活用する事業にも取り組んでいます。中古車の流通の場である入札会場を自社運営し、中古車の部品に至るまでリサイクルされるよう活用しています。
リースまたはレンタカー事業で提供していた車両に加え、法人・個人のお客さまの車両買取や、法人のお客さまの車両売却代行サービスを通じて中古車両の流通に携わっています。中でも、リースやレンタカー車両は、定期的に整備・点検などのメンテナンスがされている良質な中古車両です。
中古車両は、すべてに厳しい検査を実施し、独自の基準を満たすもののみを小売店舗でリースまたは販売にてご提供しています。それ以外の中古車両については、全国の自社入札会場で入札会を開催し、他社へ売却しています。再販が不可能な車両については、解体して部品としてリサイクルしています。
【引用】オリックスHP│『ストック型・循環型社会の形成』

リースを利用する業種は多岐にわたり、リース期間は大体5年~10年、建物などは30年ほどにまで達します。

「価値あるものを長く大切に使うストック型社会」の形成に向けて、そして「リサイクル、再資源化、天然資源の有効利用により廃棄物の発生を抑制し、環境負荷低減を図る循環型社会」の形成に向けて、さまざまなサービスの提供を通じて貢献しています。

SMFLでは、2020年4月に発表した「SMFL Way」において、「お客さまの最良のビジネスパートナー」「SDGs経営で未来に選ばれる企業」などをOur Vision(私たちの目指す姿)と定めています。リースはもともとSDGsとの親和性が高いビジネスといえるますが、改めてSMFLはSDGs経営が重要だという姿勢を明らかにしたようです。

リース業界の今後:M&Aが増える

リース業界の今後

今後はコロナウイルスの影響が落ち着き次第、大手リース会社によるメーカー系リース会社の買収や、メガバンク系と大手商社系リース会社の統合、銀行グループにおけるリース会社と他のノンバンクとの経営統合といった動向が今まで以上に強まり、海外への展開を強めていくことが予想されます。

ここでは、実際に行われた統合の例を見ていきましょう。

十八総合リースが東京センチュリーと資本業務提携 

株式会社ふくおかフィナンシャルグループと東京センチュリー株式会社は、ふくおかフィナンシャルグループ傘下の十八総合リース株式会社が行うリース事業の拡大に向けて、東京センチュリーによる十八総合リースの株式の一部取得ならびに業務提携を締結いたしました。

日本包装リースがJA三井リースの子会社に

日本包装リースはJA三井リースの連結子会社となります。

日本包装リースは、包装分野における高い専門性を武器に、包装機械のみならず食品機械関連メーカー各社の販売促進に貢献し、リース業界の中で独自のサービスを展開しております。特に包装機械は、食品や日用品、医薬品といった分野において、品質や安全性を維持して流通するために不可欠のものであり、長期保存や少量多品種に対応できる個包装化ニーズの高まりや、新興国を中心とした海外市場の更なる拡大が期待されます。

ヤマトリースが芙蓉総合リースの子会社に

ヤマトリースは芙蓉総合リースの連結子会社となります。

本件の共同事業化は、芙蓉リースグループ及びヤマトグループ双方の事業基盤・ノウハウ等を組み合わせることで、両社共同でYLの競争力強化及び事業領域拡大を実現し、更なる事業拡大を目指すものです。

まとめ

リース業界 まとめ

リース業界は、どのような業界にも柔軟に適応することができる稀有な業界です。その変貌が大胆かつ非常に自由であるため、リース業界という「枠組み」がいずれなくなってしまうのではないかと指摘する声もあります。

ですが、これらのような強みから、リース企業が困難な状況に置かれた場合でも他業種や強みをもった同業界の他社と提携し、切り抜けることが可能といなっています。

変化の多いリース業界ではありますが、これからの時代に求められる循環型社会の実現など、他業界をけん引していく業界であるともいえます。

リース業界を志望している就活生の皆さんは最新の動向を見逃さないようにしましょう。

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