富士フイルム・旭化成を比較!大手化学メーカー2社の強みや社風、選考の違いとは

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最終更新日:2022年05月11日

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"縁の下の力持ち”として様々な業界を陰から支える化学メーカー。

化学メーカーは他の業界とは異なり、扱う商材によって特徴や強みが大きく異なるため、入念な選考対策が必要となる業界だと言えます。

本記事では、そんな化学メーカーの中でも大きな存在感を誇る富士フイルム旭化成の2社に着目し、各社の業績や強み、社風に至るまで、徹底的に比較していきます。

本選考とインターンの締め切り情報

富士フイルムの強み・事業内容

富士フイルム強み・事業内容

まず初めに、富士フイルムの強みと事業内容について見ていきましょう。

下記グラフは、富士フイルムの2020年度における売上高をセグメント別にまとめたものです。

富士フイルム2020年度セグメント別売上高

富士フイルムの2020年度の売上高は、2兆1,925億円でした。2019年度の2兆3,151億円から、5%減益となっています。

富士フイルムの特徴ですが、他の化学メーカーと大きく異なり、異業種から参入し、写真分野で培った高い技術力を有する点です。その高い技術力を活かして、様々な事業に応用しています。

「ヘルスケア&マテリアルズ」事業とは、人々の健康に関わる「予防」「診断」「治療」の3つの領域におけるビジネス展開を指します。

上記の「診断」で用いられる医用画像情報システムは、世界シェア1位を獲得しています。その他にも液晶ディスプレイに不可欠なフィルムである偏光板保護フィルムも世界シェア1位となっています。

これは、元々写真フィルムのベースフィルムであり、写真分野での技術が活きた好例であると言えるでしょう。

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旭化成の強み・事業内容

旭化成の強み・事業内容

続いて旭化成について、見ていきましょう。

下記グラフは、旭化成の2020年度における売上高をセグメント別にまとめたものです。

旭化成2020年度セグメント別売上高

旭化成の2020年度の売上高は、2兆1,060億円でした。2019年度の2兆1,516億円から、2%減益となっています。

旭化成の特徴は、「マテリアル」つまり化学や素材事業を主軸に置きつつも「住宅」や「ヘルスケア」という領域にも事業展開する、コングロマリット経営を行っている点です。

旭化成がコングロマリット経営を行う理由は、「景気変動の影響を受けにくく、安定した経営を行うことが可能である」点と「各領域の強みを掛け合わせて新たな価値創造ができる可能性がある」点の2点です。

新型コロナウイルス感染拡大によって需要が減少する領域や製品がある一方で、「ウィズコロナ」や「アフターコロナ」の段階で新たに生まれる需要があります。事業を多角化することで、新型コロナウイルスのような予測できない外部環境変化にも対応可能になり、リスクヘッジすることができます。

また「マテリアル・住宅・ヘルスケア」のように一見無関係の領域であっても、マテリアルやヘルスケアのリソースを活用して在宅医療を展開できたり、家にいながら健康状態が把握できたりするスマートハウスなど、他の企業には真似できない強みになる場合もあります。

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富士フイルムと旭化成の業績比較

富士フイルム・旭化成業績比較

まず初めに過去5年間における売上高の推移を比較していきましょう。

富士フイルム・旭化成過去5年間売上高推移

※両社ともに連結売上高です。
参考:2016年度~2020年度における富士フイルム・旭化成の有価証券報告書

両社ともに2兆円を超える売上高を記録しており、2022年2月時点における日経225の「化学業界」に分類されている企業の中では、富士フイルムが第3位、旭化成が第4位となっています。

化学メーカーの売上高・年収ランキング|各社の強みも解説【2021年最新版】の記事では、化学メーカーの売上高と平均年収ランキングを掲載しているので、本記事と併せてご覧ください。

続いて、富士フイルム・旭化成両社の過去5年間における営業利益の推移を比較していきましょう。

富士フイルム・旭化成過去5年間営業利益推移

参考:2016年度~2020年度における富士フイルム・旭化成の有価証券報告書

両社の営業利益も売上高と同様の規模で推移しています。

2017年度のみ、富士フイルムの営業利益が大きく減少していますが、富士フイルムの有価証券報告書によると、この理由はローエンドプリンタービジネスの縮小や構造改革費用等の一時的な費用発生によるものです。

富士フイルムと旭化成の年収比較

富士フイルム旭化成平均年収比較

以下、富士フイルムと旭化成の年収を比較していきます。富士フイルムと旭化成の「平均年収」・「平均年齢」・「平均残業時間」は以下の通りです。

富士フイルム
◆平均年収 970万円
◆平均年齢 45.5歳
◆平均残業時間 19.8時間(月)

旭化成
◆平均年収 750万円
◆平均年齢 41.5歳
◆平均残業時間 21.1時間(月)
※平均年収と平均年齢は各社の2020年度有価証券報告書、平均残業時間は2023年度版四季報を参照

富士フイルムと旭化成の社風比較

富士フイルム・旭化成社風比較

以下では、富士フイルムと旭化成の社風比較を行っていきます。

並べて比較することで、各社ごとに社風を分析していると気づかなかった違いが浮き出てくる場合もあるかと思いますので、ぜひご覧ください。まず初めに富士フイルムです。

富士フイルムの社風:年次関係無く若手の段階から挑戦できる環境

実際の社員のインタビューを見ていきます。

富士フイルムの魅力を教えてください。

社員の温かみを感じられること」です。私は新入社員の頃から大きい仕事を任せてもらえる環境にいました。若手には難しいと思われるような大病院の営業なども担当させていただきました。そんな大役を全う出来たのは、上司や周囲の先輩、時には部署をまたいだ先輩がフォローしてくれたから、といえます。周囲の人たちの温かみを感じる環境が富士フイルムにはあります。

(富士フイルムホームページ「社員の挑戦 with Passion|富士フイルム」より一部抜粋)

 以下は、マネジメントを担う立場の社員インタビューです。

今チームで目指していることは何ですか?それに向けて挑戦していることがあれば教えてください。

チーム一丸となって、新規ビジネス創出を目指しています。
新規創出には発想の転換が必要なため、ベテランの意見に、若手のフレッシュな意見を融合させることが重要になります。そのためにもフラットに意見を出し合えるように、あえて年次やポジションを無視して若手にプロジェクトリーダーを任せています。当然上手くプロジェクトを回せない場面もありますが、リーダーシップの向上と新しい発想創出のために、簡単に答えを与えず、グッと堪えて、「何故上手くいっていないのか?」を自力で考え抜いてもらうようにしています。
それによりテーマへの思い入れが強くなり、オーナーシップ意識が醸成され、プロジェクトの成否によらず、本人の成長に繋がると信じています。

(富士フイルムホームページ「社員の挑戦 with Passion|富士フイルム」より一部抜粋)

以上のインタビューからお分かりいただけるように、富士フイルムには年次に関係無く挑戦できる環境や若手の意見を尊重する企業風土が醸成されていることが読み取れます。

富士フイルムは、市場縮小によってかつて本業だった写真事業を消失したものの、大規模な事業転換を行ったことで、創業以来最大の危機を乗り越えた過去を持ちます。

そのような経緯を経たからこそ、会社が一丸となって挑戦する企業風土が根付いたのかもしれません。

旭化成の社風:主体的に行動する社員が集う自由闊達な企業風土

まず初めに、旭化成が求める人物像についてチェックしていきましょう。

1.未知を恐れず、挑戦できる方
旭化成100年の事業の変遷は、挑戦の歴史です。
時代の要請に応えるべく、技術を創出し、新たなビジネスを立ち上げてきた旭化成のグループバリューは「誠実」「挑戦」「創造」の3つ。
「誰に対しても誠実であること」「果敢に挑戦し、自らも変化し続けること」「結束と融合を通じて、新たな価値を創造すること」、これらはそのまま求める人物像につながります。
社会の変化を先取りしながら、“昨日まで世界になかったものを。”創造するために積極的に挑戦し、会社とともに成長できる方を求めています。

2.周囲を巻き込み、チームワークを大切にできる方
旭化成では基本的に個人ではなく、チームで仕事を進めていきます。
社長、部長、課長・・・役職に関係なくお互いに「さん」付けで呼びあい、フラットで風通しの良い環境は、キャリア入社の方にも実感していただけると思います。
担当業務の枠を超えての提案も大歓迎。年齢や年次に関係なく議論を深める自由闊達な風土の中で、周囲を巻き込み、チームワークを大切にして業務に取り組める方を期待しています。

3.意欲を持って主体的に行動できる方
旭化成には、機会提供や育成という観点で“信じて任せる文化”が存在します。
例えば、入社間もない社員の提案であっても前向きに受け止めて任せていきます。実際にキャリア入社の方に入社後すぐ数億円の工事を担当いただくような事例は多数あります。
そのためには「自分はこうありたい」・「自分はこう思う」という意欲と主体性が必要となります。ぜひあなたならではの知見を活かした提案で旭化成を動かし、より強い会社へと進化させてください。

(旭化成ホームぺージ「人材採用室室長 メッセージ「旭化成が求める人物像について」」より一部抜粋)

上記のメッセージからは、「未知を恐れずに挑戦できる」、「周囲を巻き込み、チームワークを大切にできる」、「意欲を持って主体的に行動できる」人材を旭化成が求めていることが読み取れます。

では、この求めている人物像は具体的にどのような人物なのでしょうか。続いて、社員のインタビューを見ていきましょう。

兎にも角にもまずは現場です。どういう改善を行うにしろ、いま現場で何が起きているのかを正確に知ることが第一なんです。ですから呼ばれてもいないのに各部署や支店に出かけていって、どんな業務をやっているのか徹底的に教えてもらうことから始めました。

現場のスタッフも、突然現れて拙い英語で質問攻めにするこの男は誰なんだと、最初は戸惑っていましたけどね(笑)。でも、こちらが真剣だとわかれば、皆も真剣に答えてくれるものなんです。それで少しずつ彼らの業務、そして彼らの想いを知ることができ、そしてまた、こちらがどういう気持ちで改善を行うつもりなのかも理解してもらうことができました。

APP(ベルギー・ブリュッセルにあるAsahi Photoproducts Europe、通称APPと呼ばれる感光性樹脂製品の欧州本社)のメンバーと課題に取り組んだことは本当に良い思い出です。同志として今でもやり取りを続けています。」

(旭化成ホームぺージ「企画営業 パッケージ用途印刷資材 長田誠|職種・社員紹介」より一部抜粋)

このインタビューに掲載されている方は、海外勤務当初、英語を満足に話すことができなかったそうですが、昔から「いつか海外で活躍したい」という想いを実現すべく、奮闘して現場の信頼を勝ち取ったそうです。

上記のインタビューに掲載されている社員は、旭化成が求めている人物像の3点を体現している人物だと言えます。

続いて、他の社員インタビューも見てみましょう。旭化成の魅力について以下のように語っています。

旭化成の魅力は、上下・部門間の分け隔てなくスムーズにコミュニケーションが取れるところ。社員同士が、役職ではなく“さん”付けで呼びあい、しっかり向き合ってディスカッションしている様子が色々なところで見られるのは、自由闊達に意見を交わせる社風の表れだと思います。

(旭化成ホームぺージ「事務・企画・経営職|インタビュー」より一部抜粋)

以上より、旭化成には個人として成長できる環境が整っているうえ、チームワークを大切にする企業文化が根付いていると言えます。挑戦したい環境を求めている方や風通しの良い職場で働きたいと考えている就活生にとって魅力的だと言えます。

富士フイルムと旭化成の選考プロセス比較

富士フイルム・旭化成選考プロセス比較

2022卒の本選考レポートをもとに解説していきます。

富士フイルムの選考プロセス(技術系総合職)

選考プロセス

テストセンター受験・ES提出→個人面接→技術面接→人事面接→内定

 

参考:富士フイルム本選考レポート(22卒:技術系総合職)

22卒の選考では、テストセンターとWebテストの計2種類が課されたため、それぞれのテスト対策が必要となります。Webテストに関しては、企業独自のテストが課されたと本選考レポートに記載されています。

テストセンター対策は、以下の記事を通じて対策を進めてください。

ES・Webテスト選考を通過すると、3種類の面接が待ち構えています。

技術面接では7分間、最終面接でも3分間で自分の研究内容について端的に説明する時間が設けられるため、研究内容を分かりやすく相手に伝えることができるように準備しておきましょう。また、この内定者はパーソナリティに関する質問を多くされたと語っています。

自己分析を入念に行い、自分がこれまでどのような経験をしてきて、どのような感情を持ち、そして将来どのような職種や仕事に携わりたいのかについて言語化しておくようにしましょう。

富士フイルムの選考プロセス(事務系総合職)

選考プロセス

エントリーシート・適性検査→一次面接→二次面接→最終面接

 

参考:富士フイルム本選考レポート(22卒:事務系総合職)

事務系総合職においても、人柄が重視されたと内定者は語っています。富士フイルムが重要視する人柄の指標の一つとして、この内定者が内定通知された際に受け取った、以下5点のフィードバックを意識してみるといいでしょう。

1.誠実な人柄が感じられる。
2.ビジネスマンとしての礼儀が備わっている。
3.明るい。
4.主体的に行動する姿勢が富士フイルムとマッチしている。
5.自分の弱みもさらけ出せる。

参考:富士フイルム本選考レポート(22卒:事務系総合職)

尚、上記の内定者はインターンシップに参加していたため、一次面接が免除されたと語っています。そのため、富士フイルムを志望する就活生は、インターンシップに参加すると有利に選考を進めることができるでしょう。

旭化成の選考プロセス(技術系総合職)

選考プロセス

ES・webテスト→1次面接→最終面接

 

参考:旭化成本選考レポート(22卒:技術系総合職)

旭化成の技術系総合職における選考プロセスは、オーソドックスなものであると言えます。上記の本選考レポートによると、Webテストでは玉手箱が課されたようです。

玉手箱の対策は、以下の記事を参考にしてください。

旭化成の選考プロセスで特徴的なのは、ESだと思われます。下記に記載されているのは、22卒の技術職で実際に出題されたESの設問です。

・学生時代最も注力したことについて自由にお書きください。(全角300字以内)
・右の9つのワードのうち3つ以上のワードを用いて、自由に文章を作成してください。
物語、詩、自分の考えなどどんな内容、表現方法でも結構です。(全角200字以内)
< 科学/誠実/デザイン/雨/仮想/牛/ロス/#/IQ >
・大事にしている軸。就職活動あるいは日々の生活において大事にしている軸は何ですか?(全角100字以内)

参考:旭化成本選考レポート(22卒:技術系総合職)

22卒の選考と同様のESが課された場合に備えて、自分の持ち味を存分に伝えることができる表現を準備しておくといいでしょう。

旭化成の選考プロセス(事務系総合職)

選考プロセス

ES・Webテスト→1次面接→Talk Session(複数回、選考ではない)→2次面接→Talk Session→最終面接

 

参考:旭化成本選考レポート(22卒:事務系総合職)

旭化成の選考は、1次面接が20分、2次面接が30分、最終面接が40分と比較的短い時間で行われます。そのため、要点を端的に話すことができるように準備しておきましょう。

他の本選考レポートによると、上記のTalk SessionはOB訪問のような形で、旭化成の社員と話す面談のようです。この面談の中でも評価されている可能性もあるため、このTalk Sessionも気を抜かずに取り組むようにしましょう。

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最後に

最後に

いかがでしたでしょうか。

本記事では、化学メーカーに分類される富士フイルムと旭化成の2社に焦点を当てて解説してきました。

同規模の収益を上げている2社ですが、異なる点が多々あったと思います。

unistyleでは富士フイルムや旭化成をはじめ、化学メーカー各社についてエントリーシートを中心に選考対策記事を多数掲載していますので、unistyleを活用して更に理解を深めてください。

企業研究ページまとめ
富士フイルムの企業研究ページ(内定者ES・選考レポート・選考対策記事)はこちら
旭化成の企業研究ページ(内定者ES・選考レポート・選考対策記事)はこちら

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