【業界研究】海運業界とは?ビジネスモデル・その魅力を紹介

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最終更新日:2023年09月27日

皆さんは海運業界と聞き、すぐに業務内容を想像することができますか?

私たちの日常生活からは馴染みの少ない海運業界ですが、実は日本の根幹を支える重要な業界なのです。

また、海運業界のトップ企業の一つである川崎汽船は、コロナ禍でも利益率の高い企業としても知られています。

そこで本記事では、海運業界とはどのような業界かという解説、さらには働く上での魅力について解説します。

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海運業界とは

海運業界とは

海運業界とは、日本の海路での貿易を担っている業界です。

日本は島国であるため、海外と物品をやり取りする際、空路か海路を経由しなければなりません。四面を海に囲まれた我が国では、貿易量(輸出入合計)の 99.6%(2019 年、トン数ベース) を海上輸送が占めています。このことからも、日本の貿易を担っているのは海運業界であるということができます。

海運業界で取り扱う海上輸送は「内航海運」(国内)と「外航海運」(海外)に分かれており、コンテナ船やタンカーなど、様々な種類の船を目的によって使い分けることで最適な輸送を行なっています。

海運業界のビジネスモデル

海運業界_ビジネスモデル

海運業は船舶を購入又は賃借して船腹(輸送量としての船舶)を確保し、顧客との間に運送請負契約を締結して、ある地点からある地点まで貨物を海上輸送する、あるいは船舶の貸し渡しにより収益を獲得する事業です。

物資の運搬

“K” LINEグループではケイライン ロジスティックス株式会社(KLL)およびAir Tiger Express Companies, Inc.(ATE)が中核となり、国内外170か所以上に拠点を設け、グローバルに航空・海上貨物フォワーディング事業を展開しています。陸海空の一貫輸送体制の下、全世界を網羅したネットワークにより、お客さまの多様なニーズに応え、通関を含めたドアツードアの国際輸送サービスを実現しています。

川崎汽船KlineHP:“K” LINEグループの物流ソリューション

その一つが物資の運搬を主におこなうビジネスモデルです。

運搬には、あらかじめ決められた航路を定期的に往復する定期船と、依頼者の要望に応じて航路をその都度決定する不定期船の二種類があり、「何を、どこに」運ぶかによって選択ができるようになっています。

さらに、原材料輸送にはドライバルグ船、自動車専用の自動車船など、運搬する品物に合わせて多種多様な船を用意し、顧客のニーズに応えています。

船舶の賃貸

海運業界のもう一つのビジネスモデルは、船舶の貸借と売買です。

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船舶貸渡業とは:船舶の貸渡(期間傭船を含む)又は運航の委託をする事業

海運のために必ず必要になるのが、物資を運搬するための船舶ですが、どれだけ多くの船舶を準備できるかも、海運業を営む事業者の能力と大きく関係しています。

できるだけ多くの船舶を用意できる企業の方が競争力も高くなりますが、自社で所有できる船舶の数には限界があります。そのような場合に利用されているのが船舶の賃貸をおこなう会社で、一時的に利用できる船舶の数を増やすことにより、さらに多くの貨物を運搬できるようになります。

船舶のリースのような形で、こうしたビジネスモデルをおこなう海運事業者は安定した収入を得ています。

内航海運と外航海運の違い

内航海運外航海運

海運業界は、貿易を行う対象によって内航海運と外航海運の二つに大別されます。

内航海運と外交海運にはそれぞれ別の強みがあります。同じ海運という業務内容でも、それぞれの特色と微妙な違いがあります。

内航海運とは

内航船舶は平成31年3月31日現在5,201隻、388万2,915総㌧となっています。船種別ではその他貨物船が隻数比67.0%、総トン数比54%を占めており、また油送船は隻数比18%、総トン数比24%となっています。

平均総トン数では自動車専用船が4,131総㌧と最も大きく、セメント専用船が2,866総㌧、油送船が1,005総㌧、その他貨物船が599総㌧となっています。

日本内航海運組合総連合会|船種別状況

四方を海に囲まれた日本では、古くから船舶輸送は重要な流通の基盤となっています。

この内航海運は、国内の輸送活動量シェアの約40%、石油製品・金属・セメントなど主要8品目に限定すればおよそ80%のシェアを占めており、現在約3500隻あまりの内航船舶が様々な貨物輸送で活躍しています。

その平均輸送距離は自動車の8倍にあたり、重い物を遠くに運ぶために欠かせない国内の重要な輸送手段となっています。

外航海運とは

四面を海に囲まれた日本は、海で世界中とつながっています。 産業に欠くことのできない原油や天然ガスなどのエネルギー資源、暮らしに欠くことのできない穀物や衣料品をはじめとする生活物資が、今日もまた目に見えない「ライフライン」としての海上物流ルートで運ばれてきます。 また、原材料や部品の調達、生産や販売、さらには在庫保管やデリバリーまでの企業ニーズに応えるため、日本の海運は陸運や空運とともに総合的な物流ネットワークを形成して、暮らしや産業の維持発展に寄与すべく、日々努力を続けているのです。

日本船主協会HP|SHIPPING NOW 2020-2021

国内で運送が完結する内航海運に対し、日本と外国との間で船で物や人を運ぶのが「外航海運」です。

日本は、原油、天然ガスなどのエネルギー原料、鉄鉱石などの工業原料、小麦や大豆などの食料を海外からの輸入に頼っています。また、日本は自動車や電気製品などさまざまな工業製品を生産し、世界に輸出することで発展しています。

外航海運は、こうした外国との貿易の99.7%を担っており、日本の貿易の要ということができます。最近、世界経済の発展とともに、全世界で物の移動が活発になっており、海上輸送量は年平均で約6%も伸びています。

日本の海運企業はその中で外国の巨大海運企業と厳しい競争を繰り広げながら、海外に積極的に進出しています。

海運業界の業務内容

海運業界の業務内容

海運業界の業務は、陸上職と海上職の二つに分かれています。

広大な海を相手に貿易を執り行う海運業界には膨大な業務があり、その中で船上で行われる業務を海上職、それ以外を陸上職と呼びます。

本項目では、陸上職と海上職の両方について紹介します。

陸上職の業務内容

陸上職とは、海運業界での様々な仕事のうち陸上で行われるもののすべてを指します。そのため、貿易そのものを取り扱う海運業界と比較すると業務内容が多岐に渡ります。

以下では、商船三井の採用サイトを参考に、陸上職の業務内容を詳細に紹介します。

  • 営業職:資源・エネルギー会社、各種メーカーなどとの新規運送契約獲得や、既存契約の更改に向けて、顧客との交渉を担当しています。時には数十年、数億円の契約にもなることもあり、非常に大きな責任を負っています。
  • 船舶調達:案件ごとに、どのような船を手配して運航するのが最適かを見極め、手配をする仕事です。新造船建造を判断し、技術部門(船の仕様について造船所との交渉や管理を行う)や財務部門、経営企画部門と連携します。また、船を所有する船主から貸出の交渉を行います。
  • 運航管理:貨物、燃料補給や寄港地といった航海計画を自分の担当船に指示し、また寄港地での入出港の手続きなども担当します。本船乗組員と共に陸上から安全運航を支援し、それと同時に顧客ニーズを満たす貨物輸送を実現します。また、効率的に本船を航海させコストを管理することで採算の向上も目指します。
  • 管理部門:財務・経理・総務・経営企画・人事などの面から会社の機能を支えるだけでなく、さまざまな視点から戦略を考え、企業価値を高める役割を担っています。

    参考:商船三井採用サイト2022

メーカーや商社と契約を結んだりする営業職を始め、船の手配や運行管理のすべてを総合して陸上職と言われています。

海上職の業務内容

海上職とは、大型船舶に乗り、自らの手で運航するプロフェッショナルです。 大型エンジンをはじめ船内の機械の専門家である「機関士」、安全な船の操縦と積荷の管理を行う「航海士」があります。船上で培った経験を、陸上で活かし海運の発展に貢献することも大きな役割の一つであり、国内外を問わず世界中の海・陸で活躍しています

海上での仕事|日本郵船

海上職とは、海上で行われる業務で、必然的に船の中で行われる業務になります。

陸上職では特別な資格が必要ないことに対し、海上職では専門的な資格が必要となります。特に「三級海技士」の資格は海上職にとって必須となるため、海上職を志望している就活生は必要な資格をチェックしておくことが求められます。

関連記事
【就活生必見】海運業界での就活に資格は必要?海上職・陸上職別に徹底解説!
→本記事では海運業界に必要な資格を紹介しています。海運業界を志望する就活生はこの記事を読み、必要な資格についての理解を深めることに役立ててください。

海運業界で働く上での魅力

海運業界魅力

海運業界を志望する就活生にとっての大きな魅力の一つに、グローバルな働き方ができるというものがあります。また、海運業界には「高収入」というイメージもあり、就活生にとっての大きな魅力となっています。

参考記事
【最新版】インフラ業界の売上・平均年収ランキングまとめ
→本記事では、海運業界を含めたインフラ業界全体のランキングを特集しています。海運業界の年収ランキングが五位まで公開されているので、ぜひチェックしてみてください。

特に内航ではなく外航海運を担当する企業にとって、海外を視野にいれた働き方は非常に重要になってきます。

グローバルな働き方

普段の生活では見かけることは少ないですが、海運業は貿易で日本と世界をつなぐビジネスなです。特に外航海運を取り扱う企業では、業務内容において海外との取引がメインとなるためグローバルな環境で働くことができます。

「海外志向の強い職場に身を置きたい」と考えて外資系企業や総合商社を志望している学生にも、海運業界はオススメです。

四方を海に囲まれた日本では、2018年度の貿易量(海上貿易量)の99.6%を海上輸送が担っており、海運業界は日本の経済を根幹から支えているといえます。

そのため、グローバルな視野で日本の経済を支えたいという就活生にオススメの業界ということができます。

関連記事
就活生が話しがちな志望動機「グローバルに働きたい」その理由や実情を考える
→本記事では、「グローバルに働きたい」を志望動機にする際、具体性を持たせるためのコツが解説されています。

まとめ

海運業界まとめ

本記事では、海運業界とはどのような業界であるか、そのビジネスモデルと業務内容、働くうえでの魅力について紹介しました。

海運業界は私たちの普段の生活にあまり馴染みのない業界ですが、世界を相手取った業務内容や安定した経営面から、なぜ就活生からの人気が高いのかがわかったのではないでしょうか。

海運業界の仕組みや業務内容への理解を深め、他の就活生と差をつけましょう。

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