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就活生のキャリア採用ページの活用法|キャリア選択に客観的な指標を加えるために
最終更新日:2022年03月29日
こんにちは、20卒慶應生です。
本記事を執筆している2019年6月現在、早いもので就職活動を始めてから1年が経過しました。私自身、就職活動ではまだまだ”売り手市場”の追い風もあり3業界5社から内々定をいただき、就職活動を終えることができました。
振り返ってみると、ES、テストセンター対策、OB訪問、面接など就職活動は大変なことがたくさんありましたが、一番悩んだのが「複数内定のうち1社を選択すること」でした。
unistyleでは、これまでにも複数内定を獲得した際にどのように1社を選択していくのか選定基準を紹介してきました。
参考:複数内定を獲得した際の企業の選び方
就職活動の結果に納得できない学生がやるべきこと
複数内定で迷った場合に何を基準に就職先を選ぶべきか
「給与」「労働時間」「福利厚生」など企業選びの軸は多伎に渡ります。その中でも私自身最も頭を悩ませた企業選びの軸が、「企業でどのようなキャリアを描いていくか」でした。これは何も私に限った話ではなく、複数内定を獲得した学生なら誰もが一度は頭を抱えた内容ではないかと思われます。
無限とも言えるキャリア選択の中でどのようにベストな回答を出していくのか。本記事では、新卒だからこそ敢えて「キャリア採用ページ」を活用することで、自己完結しがちな「キャリア選択」に客観的な指標を加えることができることをお伝えしていきたいと思います。
描けるキャリアは無限大とは
・若手から大きな仕事で成長できる機会があります!
・弊社は多伎に渡りサービスを展開しているので、どんなキャリアでも描くことができます!
就職活動をしていると似たような言葉に出会うことが必ずあると思います。
パイロットや医者などの特殊な業種を除くと、おおよそほとんどの企業の採用ページや説明会でこのような文言を見ること・聞くことができるでしょう。私自身、この考えには否定的ではなく、型に縛られず自由にキャリアを描くことができるのは、就職活動を始めた当初は魅力的に映りました。
参考:リクルートキャリア プレスリリース
企業がこれほど「自由な」キャリアを全面に押し出しているのは、就活生の意識構造の変化が原因だと思われます。たしかに、就職活動をしていると、「自由」にキャリアを描けるからこの企業にいきたい・選んだという学生は多々いました。
もう少し掘り下げてみると、おおよそそのような人たちは、企業に敷かれたルートに乗らずなりたい自分自身になりたい。そして、その自分自身とは、「どこに行っても必要とされる」人材になることと同義であることがほとんどでした。
就活は企業と学生のマッチングの側面もあるので、就活生の求めるものに企業が答えるように変化していったのにも頷けます。
回答のない問題から回答を出す難しさ
自分は仕事や人生に何を求めているのか、どんな風に生きていきたいのか、そのためには何をすればいいのかということについて就職活動という機会に突き詰めて考えることが重要になってきたと私たちは感じています。私たちは「自分らしい生き方を支える自分独自の考え方」を"Unistyle"と定義し、就職活動を通して"Unistyle"の確立を目指してほしいと考えて、このサイトを立ち上げました。
参考:【就職活動の意味】安定を得るために必要なこととは?
就職活動には正解はありません。ひとりひとり企業に求めるものであったり、働く理由は違います。そのため、同じ企業に入社する人であっても、入社したきっかけは違うでしょうし、なりたい人物像はもっと異なってくるでしょう。
だからこそ、自分自身もそうでしたが、一度も社会に出て働いたことがない学生が1年足らずで今後の人生の道を決める就職活動は、人生最大の選択の一つではないでしょうか。
そのため、企業の「描けるキャリアは無限大」のような文言は、働きたい企業を選ぶのを探すのにも一苦労なのに、その上で更に問題を投げかけてくるように感じ、さらなる悩みのタネになっていました。
自由といえどある程度のロールモデルは存在する
極端な例ではありますが、ANAで働いている人がJALの経営に携わることはできません。
自由にキャリアが描けるといっても幅があり、「キャリアは自由=数ある選択肢の中から好きなように組み合わせることができる」と捉えるほうが正しい解釈と言えるのではないでしょうか。
とはいえ、社会に出たことがない就活生にとっていきなりキャリアを決めることは、大切なことであると同時に難しいことでもあります。
ソフトバンク創業者の孫正義の言葉です。孫さんが歩んできたキャリアはみなさんもご存知でしょう。孫さんのように叶えたい夢のために働いてみたいですが、誰もが孫さんのように、「人生のテーマ」を最初から持っているわけではありません。
そのため、就活生は自己分析やインターンを通してある程度進みたい道を決め、後々はOB訪問や社員交流会などで実際に社員に会うことによってロールモデルを探し、自分の型に落とし込んでいくことがほとんどだと思われます
OB訪問の有用性
実際にその企業で働く人の話を聞けるという点において、OB訪問の活用は「キャリア」を知る上では有効だと思われます。
OB訪問とは、「就職活動を通して、疑問に思った事柄や自身が立てた仮設に対し、実際に該当する企業で働くOB(OG)からのフィードバックを受けることで、理解を深める場」とunistyleは定義しています。
参考:【ワンランク上のOB訪問】仮説に基づいた質問作成術39選
事実、私自身も内々定先の企業には合計で20人近くOB訪問をしました。「どのようなキャリアを考えているのか」「〇〇のようなキャリアを描く人はいるのか?」「△△へ転職する人はどのような理由で転職するのか」など生の声を聞くことで、自分が描きたいキャリアへのイメージを膨らませることができました。
よくある質問で、「御社で活躍している人に共通するものはなんですか?」があります。OB訪問や企業説明会、面接でこの手の質問をしたことがあったり、誰かがしているのを聞いたことはあるでしょう。
「周囲を巻き込む力」「スケジュール管理能力」「仕事を最後までやり抜く力」etc…。様々な答えがありますが、大凡これらの回答に収束していくイメージで間違ってはないと思います。
同様に、「どんなキャリアの人がいますか?」の質問の答えとしては、「始めは営業をやってて人事に異動したんだ」「前職でSEをやっていて今はコンサル職に異動したんだ」など、「〇〇(役職・取引企業など)→△△」の様な結果の紹介がほとんどでした。
OB訪問をこなしていく中で、各企業のロールモデルとも言えるキャリアをイメージすることはできるようにはなりました。企業の先の見通しが難しい現代で、どこにでも通用する力をキャリアの中で形成してきたいと考えていた反面、その企業で得られるキャリアはその企業内部で完結してしまっているとも思うようになっていきました。
客観的指標の欠如
例え、「〇〇(職種)→△△」のような流れがその企業でのロールモデルであったり、一部のエリートが歩む道だとしても、それが外部市場との評価に直接つなげることは難しいです。
説明するまでもありませんが、自己評価とは自分で好き勝手に内容を設定できる評価です。
極論、クラスの全員に嫌われていても、「私はクラスの人気者だ」と自己評価してしまえばそれまでであり、上にも下にも現実のそれとは大きく乖離する可能性を含むものになります。
基本的に、 "評価" というものは良い方が好ましく感じるはずです。
他者評価は自分の努力次第で変えられるところもある一方どうにもならない側面も大きいため、せめて自己評価ぐらいは高めに、悪く言えば自分を正当化して精神衛生上良くしようという考えが生じうると言えるでしょう。
参考:「自分は他人より優秀だ」という平均以上意識からの脱却が内定獲得への第一歩
この記事にもあるように、自己評価はあくまで「自己」評価に過ぎません。自由に描けるキャリアのロールモデルもあくまで企業内部では評価されるかもしれませんが、労働市場全体でも同じ評価を受けるとは限りません。
この記事の筆者やunistyleではこれまでにも伝えてきましたが、大切なのは、「自己評価を補完するのは他己評価である」ことを理解することだと思われます。
多くの就活生が「キャリアの中で、どこでも通用する力を身につける」と目標に定めている一方で、いちばん大切な指標である、その力が該当企業内だけでなく、外部労働市場ではどれほどの価値を持っているのか、どれほど必要とされているのかについて見落としている人がほとんどではないでしょうか。
そのため、その企業でのキャリアがどのように外部市場で評価されるのか(=客観的指標)を判断する手法が必要となります。そこで、最も客観的な指標が与えてくれるのが「キャリア採用ページ」でした。
なぜ「キャリア採用ページ」が役に立つのか
前提として、新卒採用とキャリア採用の違いはみなさん既知だと思いますが、ポイントになる違いは以下の点だと考えています。
- 新卒採用:ポテンシャル採用。企業が長期的に育成していく
- キャリア採用:企業の求めるスキルを持った人を採用する。即戦力の側面が強い
そのため、「学歴・学科不問」の新卒採用と比べると「〇〇の経験必須・3年以上の△△での実務経験」などの条件が付与されることがほとんどです。
言い換えるとするならば、キャリア採用で求めるスキル・能力は、その企業でその職に既に就いている人の能力の目安と同値であるとも言うことができるのではないでしょうか。もちろん全員の能力が一律なわけではありませんが、客観的な指標にはなると思います。
以下の例を見てみましょう。
日系大手SIでITコンサルタントを目指す場合
AさんはファーストキャリアとしてNTTデータに進むことを決めました。もともとは金融業界志望でしたが、ITの力を使うことで日本の金融ビジネスを活性化させていきたいと考え、NTTデータを志望するようになりました。
将来はコンサルタントのキャリアとして金融業界に転職することも視野に入れています。
ITコンサルタント(金融機関向けビジネス)
【必須要件】
∟金融業界、金融機関向けシステム開発経験をお持ちの方
∟金融業界の業務知見があり、ITの先端テクノロジーを用いてコンサルティングを行いたい意欲のある方
∟モデリング(データモデル、UML等)経験をお持ちの方
∟先進技術領域(AI/RPA/量子コンピューター/ブロックチェーンなど)に関わる各種情報の収集、発信経験をお持ちの方
∟ITコンサルティングの経験をお持ちの方
【歓迎条件】
※金融業界での大規模システム開発経験の経験をお持ちの方は特に歓迎
※金融業界でのコンサルティング経験や金融工学に係る専門知識をお持ちの方は特に歓迎
※先進技術(AI/RPA)導入経験もしくは統計・数学に強い方は特に歓迎
【他言語力】
英語
【資格】
応用情報処理技術者試験をはじめとした高度情報処理資格をお持ちの方
【想定年収】
450万~1000万
参考:NTTデータ 経験者採用
NTTデータでは、金融コンサルタントの仕事に就く人には上の様なスキル・年収が対応すると考えています。Aさんは、NTTデータで働いていく中で上記のようなスキルを得ることができる・得ていく必要があるでしょう。
Aさんは、後々はコンサルタントとして金融業界で働くことも考えています。該当する企業のキャリア採用のページから必須条件、経験などの情報を得ることで、キャリアを形成していく上で客観的な指標を得ることができるでしょう。働いていく上で得られないスキルなら独学で補うなどの戦略を立てることもできます。
需要と供給のマッチング
Open Works(旧Vokers)などの口コミサイトにも、匿名ではありますが、ある程度キャリア形成や年収などの情報を得ることができます。
もちろんそれらの情報サイトを使うのも手段の一つだと思いますが、情報が古かったり、企業に対してマイナス発言が多い人の投稿もあるので、情報に偏りがあることもあります。反面、キャリア採用サイトの求人は、経済学の観点から見ると最も信頼できる情報となります。
企業がキャリア採用で欲しい人材(=需要)、求職者(=供給)と捉えるとします。需要の要求が高すぎると、供給側は答えることができません。求めるスキルに対し給与が低いと供給も答えてはくれないでしょう。逆もまた然りです。
そのため、キャリア採用ページで提示されている条件は、労働市場での需要と供給が丁度マッチングした、それ以上でも以下でもない適切なポイントだと解釈することができます。
キャリア採用ページは絶対ではない
かえってキャリア採用ページの情報を過信しすぎてしまい、キャリアの幅を狭めてしまうのも間違っているといえます。
例えば、転職を前提にファーストキャリアを選んでいる人であるならば、ある程度得られるスキル・経験が重要になってきます。そのような人たちにとっては、キャリア採用ページの情報は非常に価値あるものとなるでしょう。
反面、転職や起業にあまり興味がない人にはあまり刺さる情報にはならないでしょう。
企業によってはキャリア採用への意味合いが違うこともある
加えて、企業によっては「キャリア採用」へ求めるものが違うこともあります。
例えば、新卒採用で獲得した社員には「A・B」などのスキルを身に着けさせる体制を整えていたとします。しかし、急な企業の方向転換のために「C」の能力が必要になったとしましょう。これまで「C」の能力を持つ社員を育成してこなかったので、急遽「C」の能力を持つ社員をキャリア採用で募集することにしました。
このケースの場合、新卒から働くことによって、「C」のスキルを身につけていけるとは言い難いでしょう。企業は新卒や既存の社員でカバーできないスキルを、外部市場に求めている場合もあります。
これまで、キャリア採用ページのメリット・デメリットを述べてきましたが、あくまで、キャリア採用ページは現時点での企業の求める人物のスキル・待遇・条件を提示している客観的な指標であることを忘れないようにしましょう。
佐藤氏は家業の印刷会社に転職後、海外MBA取得に向けた準備を始める。周りの人間は「絶対に無理だ」と猛反対したそう。それでもMBA取得に向けて2年という時間を費やし、晴れてサンダーバード国際経営大学院に入学する。
参考:私のキャリア選択。|フェイスブック ジャパン 佐藤太泰
→以前unistyleがインタビューをさせていただいた佐藤太泰さんは、キャリアの中で海外MBAを取得することを選んでいました。「転職に有利だから」など損得感情ではなく、「憧れと好奇心」で挑戦を決めたそうです。
一番大切なのは自分が進みたい道を納得して選択することだと思います。キャリアの中で積極的にスキルアップを考えている人などには、キャリア採用ページは客観的な指標になるのではないでしょうか。
最後に
自己評価が低い人にありがちなのは、何となく難関企業を敬遠してしまうということです。例えば、総合商社の中でも三菱商事、三井物産はスペックが高い人が行くものだからと敬遠してしまうといったことです。
参考:【就職活動を左右する自己評価】自己評価の高さは内定先に影響するのか?
就職活動ではある程度の自己評価の高さは大切です。「自分は〇〇のようなキャリアを絶対に描きたいんだ!」とOB訪問やインターンを通して考えた「描きたいキャリア」に自信を持ち、私自身も面接では強く語ってきました。また、その部分を評価していただいたとも感じています。
しかし、いざ内々定を頂いて冷静に考えてみると、描きたいキャリアに必要な定量的なスキルは何であるのか?なりたい人物像はその企業内でしか通用しないのではないだろうか?等々、描きたいキャリアは自己完結しており、客観的な指標を抜いてしまっていることに後から気が付いてしまいました。
私と同じミスを繰り返すことがないようにも、既に内定を頂いているみなさんも、これからキャリアを考えるみなさんもぜひ描きたいキャリアに「客観的指標」を付け加えてみてはいかがでしょうか。
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