【業界研究】出版・雑誌業界完全ガイド!業界の動向や仕組み・職種徹底解説

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最終更新日:2022年07月26日

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書籍・雑誌・コミックといった私達の日常生活に非常に深く根付いた馴染み深い業界である出版・雑誌業界。読書好きな学生を始め、就活生からの人気が非常に高い業界です。

しかし、出版・雑誌業界は受入人数が非常に少ないことからその倍率は非常に高く、単純な「好き」だけでは到底選考突破をすることは出来ないでしょう。ES・面接対策以前に、そのビジネスモデルについて正確に把握しておくことは内定を得るための前提条件です。

そこで本記事では、出版・雑誌業界の概要、そのビジネスモデルの解説に始まり、スマートフォンなどによるデジタル化による書籍離れなどといった最新のトピックなども併せて紹介していきたいと思います。出版・雑誌業界を志す就活生は是非ご一読下さい。

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出版・雑誌業界の概要

出版・雑誌業界とは書籍・雑誌の企画から編集、発行までを行い全国の書店などから私達消費者に販売するという業務を担う業界です。

出版・雑誌業界を構成するステイクホルダーは、企画を立ち上げ執筆者やデザイナーと共に執筆作業やイラスト製作をした後印刷する「出版社」、出版社と書店の間をつなぎ書籍を書店に委託販売する「出版取次」、そして私達最終消費者に書籍を販売する「書店」となります。

また、出版社は多彩なジャンルの雑誌、書籍を手がける総合出版社と、文芸・経済・地図など特定の分野に強みを持つ出版社に分けることが出来ます。

現在日本にある有名な「出版社」「出版取次」「書店」を見てみましょう(リンクの付いているものはunistyle上に関連ページがあります)。

出版社・出版取次・書店

出版社
集英社(総合系)講談社(総合系)小学館(総合系)KADOKAWA(総合系)日本経済新聞社(ビジネス系)ベネッセHD(教育系)、学習研究社(教育系)

出版取次
トーハン日本出版販売

書店
紀伊国屋書店、ジュンク堂書店、文教堂

業界動向リサーチによると、出版事業以外に強みを持つベネッセHD、カドカワが売上高においてトップ2となっています。デジタル化による書籍離れの影響で既存出版物の落ち込みが、総合系出版社の不調の原因でしょう。

実際に、2017年時点で日本の書籍の出版販売額は11年連続で減少しており、書籍離れの深刻さが伺えるでしょう。特に、スマートフォンの普及により、情報を得るスピードが格段に速くなったことから、速報性を重視した週刊誌を始めとした雑誌類は厳しい状況です。

出版・雑誌業界のビジネスモデル

「出版社」「出版取次」「書店」の関係性は以上の図のようになります。出版社は書籍の売上、出版取次は仲介手数料で収益を上げています。

ここでは出版取次の3つの機能「商的流通機能」「情報伝達機能」「物的流通機能」について解説することで、本とお金の流れがどの様になっているのか明らかにしたいと思います。

商的流通機能

商的流通機能は「取引機能」「販売機能」に分けて考えることができます。

「取引機能」とは、出版社からの仕入と書店への送品、それに関わる取引代金の請求、回収が出来る機能のことを指します。この機能により、出版社は書店の売上を回収することが出来ます。

また、書店で売れ残った書籍は、この機能により再び取次を経由して出版社に戻り次の販売チャンスを待つという手順を踏みます。

「販売機能」とは、店舗運営、出店などのアドバイス、出版社の大型企画商品の販売促進などを担う機能です。従来の流通業のみでは、出版取次の経営は厳しいため、この部分に注力する出版取次が近年増加しています。

例えば、書店の無い地域へのワゴンカーによる移動書店や、売り場の空間プロデュースも出版取次の「販売機能」が担います。

情報伝達機能

情報伝達機能とは、情報ネットワークシステムにより出版社、書店の売上データ・市場動向を双方向に提供する機能で、よりよい出版社作り、書店作りに貢献しています。

物的流通機能

物的流通機能は出版社から商品を仕入れ、書店別に仕分け、全国の書店に配送する機能で、これにより各書店の規模に応じた仕入れが可能となります。

出版・雑誌業界の職種

ここからは、以上のビジネスモデルを踏まえ出版・雑誌業界ではどのような職種があるのかを解説していきます。大まかに分けて、出版・雑誌業界の職種は「制作」「編集」「営業・販売促進」の3つがあると言えるでしょう(他業界と共通する職種は省略しています)。

制作(制作、校閲)

制作では雑誌などの企画、制作、外注依頼、打ち合わせ、デザイン編集などを手掛けます。校閲では原稿を隅々まで読み、内容の誤りを正したり不足な点を補うといった作業を行います。

制作部門と編集部門の棲み分けは明白でなく、編集者が企画を出したり校閲を行うケースも多いです。

編集(編集)

編集は作家との企画、執筆依頼、スケジュール管理、打ち合わせ、原稿チェック及び編集、各部署との調整などといった業務を担う職種です。

担当する複数人の作家やイラストレーターから締切前に原稿をもらうという、非常に重要なタスクを課せられており、ここが編集者の腕の見せ所となるそうです。

営業・販売促進(営業、広告営業、販売促進)

営業では出版取次会社や書店に対して自社の書籍や雑誌の営業、提案などを行い、広告営業は雑誌などに掲載される広告の広告主に対して営業、提案などを行います。

雑誌の収益は大半が広告枠に委ねられているため非常に重要な職種ということが出来るでしょう。

営業手法としては、担当書店の立地や客層、過去の売上データなどに基づいてどの本が売れるかを分析し、担当者と相談して注文を受けるという形となっています。

また、販売促進の業務として、書店の販売スペースの拡張や陳列方法の変更などといったアプローチもこの職種で行っています。

宣伝方法においても、新聞広告や電車広告、テレビCMやインターネット広告といった広告媒体のうちどれをチョイスするかによって売上に大きく影響が出るため、担当書店の立地や客層などその書店の特徴の把握は非常に重要であると言えるでしょう。

出版・雑誌業界の現状のトピック

電子書籍の流行

「書籍離れ」が出版・雑誌業界各社の業績低迷に大きく関わっていることは先程触れましたが、この背景にはスマートフォンやタブレット端末と言った、紙媒体以外のコンテンツに接触する時間が増えていることが挙げられるでしょう。

このようななか、各社はインターネットとの連動性を高めるべく、自社の出版物を電子化対応させる動きが認められ、その一例として電子書籍の導入が進んでいます。

その結果、2017年度の電子書籍市場規模は前年比13.4%増の2241億円と順調に拡大していることが認められます。

その中でも電子コミックが非常に好調であり、電子コミック専門の電子書店も多く誕生しています。また、電子雑誌は月定額の読み放題サービスなどが好調なようです。

しかし、電子書籍の売上を鈍化させる大きな要因として漫画や書籍を無断でインターネットに公開する「海賊版サイト」の横行が挙げられます。現在出版業界は「これに対応する策がない」として、政府による法整備を待つ段階となっています。

苦戦する出版取次

電子書籍の流行は、出版取次に非常にマイナスの影響をもたらしました。出版各社はヒットした作品を電子化し、アマゾンの「キンドルストア」などといった電子書店や自社の電子書店に直接提供するため、ここには出版取次は介在しないこととなります。

かつ、出版取次は大量の本を輸送できるメリットがありますが、欲しい本を特定の書店に届けるといった細かい対応や、その配送時間、そして4割ほどの返本率というデメリットがあります。

ここに、出版業界全体の不況が重なり、「物流コストを削減したい」「販売機会の損失に繋がる」といった理由で、出版取引を介さず出版社と直接取引をする書店が増えているのが現状です。

実際に、出版社ではカドカワ、書店では丸善ジュンク堂が出版取次を介さない施策を打ったことが話題となっています。

配本や在庫の管理、金融まで影響力を持つ強力なビジネスモデルを構築し、戦後の出版流通の要となってきた出版取次ですが、現在ではコンビニなど小口の輸送が大半であり売上は下落、そこに輸送コストの値上がりが加わり非常に経営は厳しい状況です。

出版取次3位の大阪屋粟田が楽天と経営統合するなど再編が進む出版取次ですが、トップ2の日本出版販売とトーハンがどのような改善策を打つのか注目したいと思います。

最後に

ここまで、出版・雑誌業界の仕組みや最新のトピックを述べてきましたが、「電子書籍の流行」「書籍離れによる出版・雑誌業界の不調」などといった表面的なトピックもビジネスモデルを把握していれば、理解がしやすいのではないかと思います。

また、出版・雑誌業界ではその働き方から「ES・面接で人気企業内定者が企業に伝えていた5つの強みとは?」の「1.個人として努力し、成果をあげることができる」、「4.価値観や立場の異なる人と協力して成果をあげることがにできる」、「5.今までにない仕組みや企画を提案し、周囲の協力を得た上で実現することができる」といった内容が評価されると考えられるでしょう。

unistyleでも出版・雑誌業界のESを始めとした選考対策についてまとめた記事を用意していますので、出版・雑誌業界の厳しい選考に臨むという就活生は必ず参考にしてみて下さい。

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