インターンにありがちな「新規事業立案系ワーク」の目的と攻略法

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最終更新日:2024年01月22日

インターンにありがちな「新規事業立案系ワーク」の目的と攻略法

現代の新卒就活では、本選考と並んでインターンシップが切っても切り離せない存在になっています。

下記のエントリーでも紹介しましたが、「本選考との関係」という観点においては、インターンに参加する目的や企業にとっての位置づけは主に3つに分類されます。

本選考との関係の3つのケース

(1)インターンでの評価が内定獲得に直結するケース
(2)インターンへの参加・取組みによって本選考で優遇されるケース
(3)インターンと本選考が本当に切り離されているケース

一定程度のエントリー数を確保しつつ、あなた自身が上記の3段階のうちどこに目的をおくのかを明確にしながらインターンに臨むべきでしょう。

今回は、インターンでの優遇度合いと並んで就活生が気になるところである、コンテンツとしてそもそも何をやるか、すなわちインターンの内容について取り上げていきます。

本記事を通読すれば、これから参加するインターンの時間を有意義に使うことが出来るでしょう。

もっと言えば、インターン当日に評価され内定獲得に一歩近づくことことにも繋がります。

是非、最後までお読みください。 本選考とインターンの締め切り情報

企業から見た、インターンを実施する目的と内容

企業が行う採用活動は、それが直接的に利益を生む事業行為ではありません。そこにわざわざ投資をしてインターンシップを開催している以上、認知度の向上・優秀層の囲い込み等何らかのリターンを獲得することを企業側は目的にしています。

当然ですが、実施する目的があるのであればそれに沿ったコンテンツを組み込まなければなりません。

例えば、認知度の向上やエントリー数の増加を目的としたいのにも関わらず、若干名を採用し長期間の現場実践型インターンを実施することは合理的ではないでしょう。

「なぜ多額の費用をかけてインターンを開催するのか」、企業はそれに向き合い、いつ開催するのか・何日間で開催するのか・どういう選考フローにするかといった内容を詰めていくことになります。

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「インターンの内容」の4分類

先述した「インターンを実施する目的」に沿って開催されるインターンは、類似したもの同士である程度パターン化することが可能です。

ここでは、中でも代表的なインターンのコンテンツを紹介します。

※ここで言う「インターン」には、下記エントリーにあるような「ベンチャー企業での有給長期インターン」は含まず、企業が選考活動・広報活動のために行うものに限定されます。

インターンの分類(1)内定直結!?現場実践型インターン

今更ですが、「インターン」とは英単語 "internship" に由来する言葉です。

internshipとは元々は何もグループワーク→発表を3日間でやるみたいなものではなく、欧米を中心にスキルや実績を高めるための職業訓練の位置づけとして実施されるものです。日本のようなポテンシャル採用が一般的でない欧米等では、大学卒業後にインターンシップでスキル・実績を積み、その成果を買われる形で就職するという割合が高くなります。

そのため、就職活動を始める前はこの分類を「インターン」の一般的なイメージとして持っていた方もいるかもしれません。

現場実践型インターンでは、実際のオフィスや研究所で社員と机を並べて文字通り現場に近い形で就業体験が出来る点が特徴になっています。単なる「見学」ではなく「働く」ことに重点が置かれるため、多くが数週間以上の期間をかけて行われます。

現場社員が主に指導社員も兼ねて長期間に渡って実施されるため、企業からすれば稼働が大きくかかり、対応できる学生数は限られます。すなわち、この手のインターンに参加するには厳しい選考を勝ち抜く必要があり、最も参加の難易度が高いインターンに分類されると言えるでしょう。

一方で、少人数でより現場に近い指導を受けられることから、インターン中の取組みと内定獲得の関係性は高まりやすいと言えます。評価が高ければ実質的な即内定や本選考のフロー大幅カットも期待できるため、多少拘束期間が長くとも積極的にチャレンジしていきたいところです。

インターンの分類(2)再頻出!?グループワーク型インターン

3日~5日程度の日系企業で割合が高いのが、このグループワーク型インターンです。

企業の仕事内容を直接体験するというよりは、事業内容に関連したグループワークを6名程度の学生で行い、最終日に発表を行うというのが一般的になっています。

実際に就職活動を始めるまでは、「企業を知る」という意識でインターンを捉えている就活生は少なくないように思いますが、実際に参加してみるとこの手の内容が多いことを意外に感じた方もいるかもしれません。

初日にいきなりグループワークを始めるというよりは、座学のような説明から入りある程度のインプットを行うことも多いのですが、グループワーク自体はある意味一番「直接的な仕事理解」という観点からは離れるコンテンツとも言えます。

そのため、自分なりに意味付けをして吸収する姿勢で臨まないと、参加の意義を感じにくいケースがあるため注意が必要です。

インターンの分類(3)多くは相乗り!?対話・見学型インターン

経営の3要素はヒト・モノ・カネと呼ばれますが、実際に働く人との対話や企業が持つ設備について見学を実施するインターンもあります。

こちらはインターンとして「社員座談会だけ」「工場見学だけ」実施というケースはそれほど多くは無く、例えば「基本はグループワークだけど2日目午後に20分×4タームの座談会がある」といったように他のコンテンツと一緒に実施されることの方が多い印象です。

また、どちらも本選考解禁後のイベントとして実施されることもあります。

社員と話をしたいのであればOB訪問でも実現できるかつよりリアルな話が聞ける可能性が高く、施設を見たところでESや面接の精度が高まるわけでもないからこの手のインターンは不毛だという意見も耳にします。

確かにこれに参加したから即内定ということはまずありませんが、社員対話会や施設見学が本選考エントリーの必須条件となっている企業・別のインターンの優遇に直結する企業もあるにはありますので、その辺りは個別企業の正確な情報収集が必要になります。

直接の優遇が少ない分、内定獲得にどう結び付けるかについては就活生次第の側面が強いことが特徴と言えるでしょう。

インターンの分類(4)参加は簡単!?説明会+α型

最後に、基本は人事や現場社員のプレゼンを聞く形式で、途中でグループワークやら座談会やらが入ることもあるという企業説明会+α程度のインターンも存在します。

だいたいが数時間~1日程度で、マイページからエントリーするだけで選考無しで参加できるものが多いのが特徴です。

ここまで来ると「インターン」と言っていいものなのかは意見が分かれるところかもしれませんが、1dayインターンの中には意外とこの形式のものは多い印象です。

学生側が動いて参加するコンテンツは少ないため、インターン中の取組みというよりは、あっても参加回数をカウントし本選考の際の参考にするぐらいの位置づけのケースがほとんどになります。

本記事のメインテーマは、分類(2)グループワーク型インターン

上記のように一口に "インターン" と言っても大きく分けて4つの分類があり、当然これら4つに当てはまらないコンテンツも存在しています。

本記事では、中でも分類(2)グループワーク型インターンを主軸に解説を加えていきます。

取り上げる理由としては以下の3つが主軸として挙げられます。

  • ベンチャーから日系大手企業まで幅広く導入している実施形態である
  • 参加倍率がそこまで高くないものもあり、多くの就活生が一度は経験する
  • グループワークはインターンに限らず本選考や入社後にもやる可能性がある

インターンのグループワークで多いテーマは何か

ここまではインターンという大枠から分類を行っていきましたが、その中の1つである「グループワーク型インターン」も、さらにテーマ毎に細かく分類することが可能です。企業規模や業界によって様々なグループワークのテーマがありますが、中でも頻出なのが「新規事業立案」ワークになります。

もちろん、全企業のグループワーク型インターンのコンテンツを収集しているわけではありませんが、unistyleに掲載されているインターンレポートだけ見ても、新規事業立案型は業界問わず幅広く実施されている印象があります。

一口に新規事業立案といっても、実際に当該企業が今後実践していくビジネスモデルを考えるものもあれば、「日本の社会課題を解決せよ」のような抽象度の高いものまで様々です。

余談ですが、テーマについてはケース問題のように数年使い回されることもあるため、過年度の内容を1度見ておくことは有効です。

就職活動を始めるまでは、まさかこれだけの企業が「大会議室で何班かに分かれる形で机を並べインターン生で新規事業について議論し、適宜社員からフィードバックを貰いながら最後に発表を行う」というある種パターン化されたコンテンツを実施しているとは思いもしなかったという方は少なくないと思っています。

では、なぜグループワーク型の中でも新規事業立案をテーマにする企業が多く存在するのでしょうか。

新規事業立案型ワークが多い理由(1)「事業を生み出す」トレンドと広報効果

「真の安定とは、安定した組織への所属ではなく、個人として市場価値の高いスキルを身につけることである」

「真の安定とは、変わらないことではなく、常に変化・対応し続けることである」

上記のような話を近年耳にする機会は多くなってきています。

「大企業に勤めれば一生安泰」の時代は過ぎ、大企業でも時代の流れに沿った変革が今後はより一層強く求められることになるのは今さら言うまでもありません。

そんな「これまでに無い新しい何かを生み出す」ことが求められているのは、多くの就活生が何となくでも認識しているはずであり、どちらかと言えば好意的に捉えるケースの方が多いものだと考えています。

例えば、現在人気絶頂の総合商社ですが、就活生と話していると「トレーディングから事業投資にシフトしているところが面白そうに感じた」ということを述べる方が意外に多い印象があります。何となくですが、トレーディング=地味で泥臭い仕事・事業投資=先進的かつ華やかな仕事という漠然としたイメージは、総合商社の人気向上に少なからず影響している印象ですらあります。

総合商社はイメージ先行のミーハー就活生がとりあえず受け全滅してしまうケースが多く、ビジネスモデルや仕事内容を正しく理解し、本当にそれが自分に向いているものなのかを深く考えられている就活生はそれほど多くないと思っています。

また、日系大企業の多くは、まだまだ既存の商材・ビジネスモデルの延長の事業がメインになっており、実際にいわゆるゼロイチのような真の新規事業立案に携われる社員は少数だったりもします。すなわち、「新規事業立案ワーク」は実際の仕事体験とはかけ離れているケースが多いという意味になります。

それでも多くの企業が新規事業立案ワークをやり続けるのは、「ウチの企業はこういう提案も出来る・こういう事業に携われる可能性がある」という一種の宣伝狙いもあるのかもしれません。

純粋な仕事体験を就活生にやって欲しいのであれば現場実践型インターンを開催しているはずであり、効率性を重視しグループワークで済ます企業の場合は多少なりとも上記のような思いがあると考えられるでしょう。

新規事業立案型ワークが多い理由(2)企業が求める素養との親和性

理由(1)ではどちらかと言うと「広報活動」寄りの話をしましたが、こちらはもう一つの主要なインターンを開催する目的である「優秀な人材の見極め・早期接触」に近い話になります。

仕事というものには基本的に正解がなく、何を・どのように進めていくかについて試行錯誤しながら行動していく必要があります。

「仕事が出来そうか」という観点が採用基準の一つである以上、現時点で最も確実な選考方法は「実際の現場で仕事をさせて成果を見極めること」でしょう。

しかし、当然それには準備や人的な稼働がかかる中で、「新規事業立案」という形がないものから生み出す力を疑似的に判定していることが考えられます。

「これがあるからその通りやって成果を出す」ではなく、「何も決まっていない段階からあらゆる条件から考えてより良い提案をする」という"正解が無い度合い"をより高めたテーマを設定することで、今の時代に求められる素養を持っているかを見極めようという意図が考えられます。

ちなみに、仕事での振る舞いを仕事をせずに想像するという意味では、グループディスカッション(GD)も近しいことが言えます。

仕事においてもディスカッションを通して打ち手を決めるという場面は多くあるため、ビジネスでの振る舞い≒グループディスカッション(GD)での振る舞いと考えて選考に取り入れているのだと思われます。

また、それ以外にも、多人数を少ない面接官で1度に見られるといったメリットもあります。

新規事業立案型ワークが多い理由(3)受入れの幅広さと発想の多様性

先述した分類(1)〜分類(4)のインターンのうちどれを実施するか選択するためには「学生の受け入れ人数」というのが一つの指標となります。

多くの学生を参加させれば、それだけ接点を増やすことが出来る一方、稼働の手間増加や1人ひとりを見る時間の減少など、目的を鑑みながら実施内容を決定していくことになります。

新規事業立案ワークでは、既存の考え方にとらわれない柔軟な発想が求められます。ありきたりではない質の高い提案をするには、異なるバックグラウンドを持った多様な人材が集めるとうまくいくことが往々にしてあります。

「同質の集団からは同質のアウトプットしか生み出されない」という考え方がありますが、特に実行フェーズまで携わらないワークであることから、実現性以上に発想力豊かなアウトプットを期待される点が特徴になります。企業が採用HP等で人材の多様性を謳うことが多いのも近しい背景があるかもしれません。

まとめると、以下2つの両者の相性の良さが数が多い一因であると考えられるでしょう。

  • グループワーク型インターンはそれなりの人数の学生を一度にさばけるのに加え、新規事業立案は大抵文理問わず幅広い層の学生が参加できる
  • 新規事業立案でよい提案をする上では、多様な人材でグループワークをすることが重要となることが多い

新規事業立案インターンでありがちなこと

これまで見てきたように、新規事業立案インターンは多くの就活生は経験しているものである以上、いわゆるあるあるネタに近い共通認識を持つ部分も多くあると思っています。

先述した通り、新規事業立案インターンにおいて人事やメンターは「若者の自由な発想」のようなものに期待するケースが多いため、下記のようなあるあるを認識しておくことはよいアウトプットに繋がる可能性が高いでしょう。  

ここでは、新規事業立案の特性上遭遇しやすい事柄について触れていきます。

新規事業立案インターンあるある(1)高齢者にターゲティングしがち

新規事業立案インターンの進め方は企業によって様々ではありますが、学生に完全に丸投げというよりは、ある程度方針が企業によって提示される方が多い印象があります。

その序盤のフェーズで実行されるのが「市場選定」になります。要は、誰に/どこに対してアプローチしていくのかを理由立てしながら説明するフェーズです。

その中でも特に選定されがちなのが「高齢者層」になります。

少子高齢化は日本の大きな社会課題の1つであり、「高齢化率が高まっている→高齢者層は市場として拡大が見込まれる→高齢者層にターゲティングすれば売上の拡大が見込まれる」というようなストーリーを丁寧に説明するプレゼンというのは度々見てきました。

もちろん高齢者層を選ぶそれ自体が悪いわけではないのですが、ターゲティングするのであれば高齢者層の実態については正確な理解が必要でしょう。

例えば、60歳代前半の男性の有業率はほぼ8割と言われています。定年や平均寿命が高まった昨今では、いわゆる高齢者=リタイア後の悠々自適な生活というイメージが当てはまらなくなるケースが増えています。

「人口割合が高まる→市場規模が高まる→事業拡大が見込まれる」というのは必ずしもイコールで結ばれるものではなく、ストーリー立てとして妥当なものかどうかの検証はしていく必要があります。

新規事業立案インターンあるある(2)AIをソリューションとして使いがち

新規事業立案ワークで多くの時間を要するフェーズの1つが、ビジネスのテーマに対する具体的な方策を詰めていくところになります。

参加先の業界やワークのテーマによって様々だとは思いますが、現代のビジネスは情報技術なしには成り立たないものが多い以上、何らかの形でICTの分野が絡んだ提案をすることは多いでしょう。

ICTと言ってもアプローチの仕方は様々ですが、特に多く見受けられるのが、AI(人口知能)を用いた内容です。

「人の代わりとなって何かすごいことが自動で出来そう」ぐらいの認識で、この手の話に詳しくないが何となくトレンドとして把握しているぐらいの方は多いのではないでしょうか。

ひとくちに"AI"といっても様々な分類があり、当然現段階で出来ることと出来ないことがあります。必ずしも、AIを使うことがやり方として最適とは限りません。

「AIだったらとりあえず実現してくれるだろう」ぐらいで「AIで画像認識させる」「AIで無人化する」ことをソリューションとする際には検討不足となっていないか注意が必要です。

AIが効果的な役割を果たす局面は多々あるでしょうが、「思考停止の人口知能使用」になっていないか考慮した上で具体化していくべきでしょう。

AIの出来る/出来ないについては2019年ビジネス書大賞を獲得した『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』が参考になります。
 


『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』

新規事業立案インターンあるある(3)メンターが手のひらを返して褒めてきがち

こちらは新規事業立案インターンだからこそ起こるあるあるというよりは、メンターがつくインターン全般に共通する内容になります。

メンターは基本的にインターン生に対して適宜フィードバックをしていく役割を果たしますが、その際「序盤は辛口の言葉で厳しいフィードバックをしていたが、最後は『よくやった』みたいに手のひらを返して褒めてくる」というパターンがあります。

これはインターンに限らず新人研修等あらゆる場面で用いられる技法で、「叱る→褒める」の流れを重めに作ることで「自分は認められた」と自己肯定感を強く思わせる効果があると言われています。

実際、ある日系大手メーカーで(新規事業立案ではないですが)グループワーク型インターンのメンターを複数回担当したことがある方に話をきくと、人事の方から「序盤は厳しく終盤は褒める感じでいってほしい」といったフィードバックの方針を指示出しされたという実例がありました。

インターンは事実上企業の広報活動の一貫である以上、多くの企業にとって自社の "ファン" である学生を増加させることはインターンの目的になります。

「自分が認められたインターン」であるならば、単純に楽しいものと思えたり・入社してからも自分を評価してくれる環境なのではないかと深読みしたりと、学生側が好意的に感じることに繋がるという狙いもあるのかもしれません。

新規事業立案インターン参加に向けたアドバイス

続いて、これまで指摘した内容を踏まえて、新規事業立案インターン参加に向けた心構えや当日の取組み方について触れていきます。

新規事業立案インターンへのアドバイス(1)基本はGDとやることは変わらないことを認識すべき

「新規事業立案」と言われると何だかスケールの大きい特別なことをやるような気もしてしまいますが、基本的には採用選考で実施されるグループディスカッション(GD)とやることはそれほど変わらないと思っています。

要は課題の特定・市場選定といった土台準備をしたうえで具体的な打ち手を策定していくことが基本であり、時間やフィードバックがあるぶんより精度を高めることが違いになります。

下記のエントリーのようなグループディスカッション(GD)の総論についてインプットしておくだけでも効果があるでしょう。

新規事業立案インターンへのアドバイス(2)新規性だけでなく、妥当性・収益性も考慮すべき

新規事業立案とは、これまでにない新しい事業を机上で創出し発表するものであることから、ありきたりな提案というのは一般的に評価されません。

一方で、その評価軸はどれだけ奇抜か・どれだけ思いつきにくいかではありません。

下記のエントリーにあるように、どれだけ「理にかなっているか」という部分についても重要な評価材料になります。

「志望企業で実現したい新規事業やプランの提案」といった設問を前にすると、これまでにない斬新な提案が思いつかないからと悩んでしまう学生も多いと思います。

しかしながら、過去の内定者の回答を見ていると、案外「斬新さ」などセンスによる要素があまり盛り込まれていないものも多くあります。

こうした設問でセンスよりも大切なのは「理にかなった提案であるかどうか」だと思っています。

その中で特に考慮すべきは、「その企業が」当該ビジネスを実現する意義がどこにあるかを検討することです。

もちろん同業界の企業であればビジネスモデルは近しいものがあるため完全な差別化は困難ではありますが、業界内での立ち位置や現在の事業ポートフォリオを鑑みた上で、なぜ自社がその事業に新しく取り組むといいのかについて論理立てた説明ができるといいでしょう。

また、グループワーク型インターンは机上での議論であり実行フェーズまで携わらないため提案したもの勝ちの側面は確かにありますが、「どうそれを実現するのか」についてもある程度具体化することで提案の質が高まります。

企業もそのワークで提案した内容をビジネスとして実行していくのであれば、収益性の観点からも「やるべき理由」を作っていくことが必要になります。

大きな社会課題のテーマ設定や華やかなソリューションを掲げること自体は大いに問題ありませんが、是非このようにビジネスとして実現妥当で、かつ収益を生むものである点を伝えられるよう意識していただければと思います。

新規事業立案インターンへのアドバイス(3)フィードバックはこまめにもらうべき

先述した通り、新規事業立案インターンに限らず、ある程度の期間を要するインターンではメンターと呼ばれるような現場社員がグループにつくことが多くなっています。

メンターがいない場合でも、グループワーク中は近くにいる人事に適宜質問・相談出来るケースがほとんどかと思います。

これはよく若手社員の仕事への心構えのような記事でもしばしば取り上げられる話ではありますが、完成度が低い状態でも早い段階でフィードバックを貰いにいくことはインターンに限らず仕事の進め方として基本になります。

もちろんフィードバックに一切時間をかけず最初から誰も文句をつけようが無い完璧な提案を一発ですることがスピード感の観点では理想ですが、現実的ではありません。

例えば市場選定の段階で理由付けも含めチーム内で合意した内容を伝えるのではなく、ある程度アイデアベースで固まっていない複数案を壁打ちして評価を得た方がいいという意味です。

早い段階でのフィードバックは、方向性のズレによる後からの大幅な手戻りを防ぐことはもちろん、他者へのアウトプットを増やすことで自分たちの中の考えもよりクリアになる効果が期待出来ます。報告をマイルストンとしてこまめに設定することで、時間に限りがあるグループワークでもメンバーが同じ方向を向いて議論を進めることにも繋がるでしょう。

よく、「皆さんのことを学生としては扱いません(社員同様に接します)」「皆さんの提案は本当に会社の事業に組み込まれる提案として受け取ります」みたいな "現場感" を強く出してくるインターンがあったりします。それを聞いて委縮してレベルの低いことを言えないものだと行動できなくなる方もいるかもしれませんが、結局は人事も当然ですが学生相手であることは認識しています。

そもそも、新規事業立案なんてものは仕事として難易度が高いものであり、社員であっても最初から質が高い提案が出来る人はそうそういません。何なら、メンターですらそれに携わったことがないというケースすら多くあるでしょう。

もちろんやり方として、「ほとんど考えてないんですけどとりあえずフィードバックをください」のように相手に丸投げするのはよくありません。一方的にアドバイスを貰うのではなく、メンターと対話・議論を重ねていく中で自分たちの意見や検討結果を伝えていくことが肝心になります。

最後に ー 定着すべきは、形式よりも考え方

通年採用の開始を始め、日本の新卒就活の形態は今後大きく変わっていくことが予想されており、もはやインターンというやり方ですら時代遅れだという主張も見かけるようになってきました。

とは言え、新規事業立案のような「これまでに無い新しい何かを生み出す」こと自体は今後ますます必要になることから、グループワークという形でなくとも考え方として身に着けていくことは肝心でしょう。

インターン・研修・職場実践含め、皆さんがどこかで本記事の内容を活用される機会があれば幸いです。

グループワークや何らかの提案で迷ったら、是非この記事に帰ってきてください。

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コンサルティングファーム志望者が知っておくべき企業分析の5つのフレームワーク コンサルティングファーム志望者が知っておくべき企業分析の5つのフレームワーク コンサルティングファーム志望者にとって、企業分析は避けては通れず、実際に面接でもよく聞かれる質問の一つだと思います。このような設問では、どうすればよいのかわからず時間だけが過ぎてしまいがちです。今回はこのような設問を見た際に、役に立つ企業分析のフレームワークをご紹介します。尚、コンサルティングファーム志望者でなくても、ここでご紹介するフレームワークはビジネスマンとして常識的なものばかりです。是非お読みいただければ幸いです。本記事のコンテンツ1.3C分析2.4P分析3.SWOT分析4.5forces分析5.PEST分析・最後に・コンサル業界の情報収集に役立つ!就活生向けLINEオープンチャットを紹介1.3C分析企業分析と言えば、これというぐらい有名なフレームワークが3C分析です。顧客(Customer)、自社(Company)、競合他社(Competitor)の三つのCを分析する手法のこと。マーケティング分析や自社製品の市場分析に用いられることが多いフレームワークになります。参考:グロービスマネジメント用語辞典「3C分析」2.4P分析4P分析も非常によく使われる企業分析のフレームワークです。製品(Product)、場所(Place)、価格(Price)、販売方法(Promotion)の四つのPを分析する手法のことです。3C分析が戦略の方向性や市場動向の把握に優れているのに対して、4Pは個別の企業や個別の製品、戦略などより具体的な分析の際に利用できます。3Cで大枠を捉えてから4P分析を行うとより適切な分析ができるのではないでしょうか。参考:Allabout「マーケティングの4P戦略」3.SWOT分析SWOT分析も3C分析、4P分析と並ぶくらいに有名なフレームワークであり、主に自社の現在の状況を把握するのに用いられます。分析するのは、①自社の強み(Strengths)、②自社の弱み(Weaknesses)、③機会(Opportunities)、④脅威(Threats)の4つになります。参考:SWOT分析wikipedia4.5forces分析5forces分析は上記三つのフレームワークに比べると知っている人が少なくなるかもしれませんが、業界構造を理解し、業界の魅力度を図る上では非常に有効なフレームワークになります。分析する脅威(force)は①買い手の交渉力、②供給企業の交渉力、③新規参入業者の脅威、④代替品の脅威、⑤競争企業間の敵対関係の5つになります。参考:ファイブフォース分析wikipedia5.PEST分析最後にご紹介するのはPEST分析です。PEST分析は3Cよりも更に大きな枠で、マクロ的に業界の今後がどのように変化するのか把握するために行う分析手法です。分析対象は、①政治(Politics)⇒市場のルール変化の把握、②経済(Economics)⇒価値の変化の把握、③社会(Society)⇒人口動態など社会変化の把握、④技術(Technology)⇒技術革新の把握の4つになります。PEST分析を行うことで、新規産業の可能性や業界の先行きを分析することが可能です。参考:ビジネスメディア誠「経済や社会の変化が何をもたらすのかPEST分析」最後にその他にもPPMやVRIOなどフレームワークは多数ありますので、興味のある方は是非とも調べてみて下さい。但し、フレームワークは知っているだけでは意味がなく、運用して初めて意味をなし、また単純に当てはめるだけでなく、フレームワークを用いた結果から自分なりのオリジナルな意見を考えていくことが大事です。フレームワークを使うメリットは、思考が素早く整理され、その分より本質的なことに頭を使う時間を割けることですが、一方でデメリットとして、あまりに簡単に思考が整理されてしまうために、フレームワークを当てはめることで考えた気になり、深く考えることができなくなってしまうということがあります。フレームワークを使うメリット・デメリットを理解した上で、本質的な「自分の頭で考える」という部分に多くの時間を割いていただければと思います。コンサル業界の情報収集に役立つ!就活生向けLINEオープンチャットを紹介unistyleでは業界別の就活用LINEオープンチャットを運営しており、数多くの就活生が匿名で就活に関する情報交換をしています。実際にコンサル業界志望者向けのグループでも、各社の選考に関するトークが活発に交わされています。下記の画像をクリックすることで参加用ページに飛び、ニックネームとプロフィール画像を登録するだけで参加することができますので、興味のある方はぜひご参加ください。以下の記事では、日系・外資系・ITコンサルティング会社をそれぞれ比較した記事となります。参考: 41,121 views
【ケース】日本のサッカーボールの数は?フェルミ推定攻略 【ケース】日本のサッカーボールの数は?フェルミ推定攻略 外資コンサル業界完全攻略記事一覧1.【業界研究】外資コンサルの仕組み・大手企業ランキング・選考対策まで一挙大公開!2.【業界研究|コンサルティング】コンサルティングとは?から選考対策までを徹底解説3.【業界研究】外資コンサル大手企業一覧まとめ4.【業界研究】外資コンサルの年収ランキングを大公開!今回は日本のサッカーボールの個数について考えたいと思います。面接においては、過去やったことのあるスポーツに関連してフェルミ推定の問題が出されることが多々あり、サッカー部の人は日本のサッカーボールの個数を求めさせる問題は頻出問題になります。是非事前に解いておくようにしましょう。1.前提条件の確認とアプローチ方法の選定【前提条件】市販で売られているサッカーボールの個数を計算することとします。(サッカー用にバレーボールを利用する、靴下を丸めてサッカーボールとしたものはカウントしないこととします)【アプローチ方法】サッカーボールのある場所として、個人と法人(学校、スタジアム、公共施設含む練習場、販売店)からそれぞれのサッカーボールの保有数について考えていきます。2.実際の計算◆個人保有のサッカーボール個人保有のサッカーボールについては、世帯ベースで考えようと思います。個人でいくつ保有しているか考える以上に、子供を持つ家庭、子供がいない家庭でそれぞれサッカーボールの保有率と保有数を考えた方がより精緻な数字が出ると考えたため、世帯ベースで計算しています。日本の人口を120百万人、平均年齢80歳として、各年代に等しく人がいるとします。また世帯当たりの平均人数を3人、世帯数を40百万世帯とします。すると18歳までの子供の数は、1.5百万人×18=27百万人。子供のいる家庭に平均1.5人の子供がいると仮定すると、子供のいる家庭は27百万人÷1.5人=18百万世帯となります。子供のいる世帯のサッカーボール保有率を20%で平均1.2個、子供のいない世帯のサッカーボール保有率を3%で平均1.0個と仮定すると、それぞれ子供のいる世帯:18百万世帯×20%×1.2個=432万個子供のいない世帯:22百万世帯×3%×1.0個=66万個合計498万個◆法人保有のサッカーボール法人保有のサッカーボールについては、①学校、②スタジアム、③公共施設を含むサッカー練習場、④販売店の4つのそれぞれの場所に存在するサッカーボールの個数を考えたいと思います。①学校保有のサッカーボール学校をそれぞれ小学校、中学校、高校、大学に分けて、何校あるのか人口ベースで算出し、1校当たりの平均サッカーボール保有数を計算したいと思います。小学校:1.5百万人×6世代×100%(進学率)÷(40人/クラス×4クラス×6学年)=12,500校中学校:1.5百万人×3世代×100%(進学率)÷(40人/クラス×4クラス×3学年)=12,500校高校:1.5百万人×3世代×100%(進学率)÷(40人/クラス×8クラス×3学年)=6,250校大学:1.5百万人×4世代×50%(進学率)÷(1,000人×4学年)=750校合計:32,000校各学校、体育の授業等で必ずサッカーボールを使用すると考え、保有率100%、平均保有個数20個とすると32,000校×20個=64万個が学校におけるサッカーボール保有数と考えられます。②スタジアムのサッカーボール保有数札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、京都、福岡の7大都市にはスタジアムが5つ、その他の40県には2つずつスタジアムがあると仮定すると、全国には7×5+40×2=115個のスタジアムがあると考えられます。それぞれのスタジアムの平均保有個数を100個と仮定すると、100×115=11,500個がスタジアムの平均保有個数と考えられます。③公共施設を含むサッカー練習場のサッカーボール保有数毎週、土曜か日曜に試合を行い、2ヶ月に1回スタジアムで試合を行うと仮定すると、練習場の数はスタジアムの7倍(8週のうち1週は練習場で練習を行うため)と考えられます。よって公共施設を含むサッカー練習場のサッカーボール保有数は11,500個×7倍=80,500個と考えられます。④販売店のサッカーボール保有数個人保有+法人保有の①〜③より、現存するサッカーボールの個数は、5,712,000個となりましたが、まだ誰にも保有されずに店頭に並んでいるサッカーボールの個数を最後に求めてみたいと思います。販売店にあるサッカーボールの個数=年間販売数×在庫率(何ヶ月分を商品在庫として持っておくか)で求めることができそうです。年間販売数は買替え需要と新規の購入需要に分けて考えることができます。買替え需要:5,712,000個÷2年(耐用年数)=2,856,000個新規:18百万世帯×80%(子供のいる世帯のうちサッカーボール未保有)×2%(新規購入率)×1.0個(平均購入数)=288,000個よって年間のサッカーボール販売個数は314万個になります。店頭には1ヶ月分の在庫があると考えると314万個÷12ヶ月=26万個が店頭にあるサッカーボールの個数と考えられます。よって個人保有の498万個、法人保有の597万個の合計約1,100万個が日本国内のサッカーボールの数と考えられます。3.検証日本のサッカー人口については諸説あり、明確な数字はわからないものの、最も確かな数字であるJFA登録人数で100万人程度、推計では700万人程度という推計もありますが、1,100万個のボールと考えると、競技人口に対して2個〜10個のボールがあることになり、妥当な数字だと考えられます。【JFA登録者数】【種目別スポーツ人口】【ケース問題を解く上で必読の3冊】東大生が書いた問題を解く力を鍛えるケース問題ノート50の厳選フレームワークで、どんな難問もスッキリ「地図化」現役東大生が書いた地頭を鍛えるフェルミ推定ノート――「6パターン・5ステップ」でどんな難問もスラスラ解ける!過去問で鍛える地頭力外資系コンサルの面接試験問題【余裕があったら読んでおきたい+2冊】戦略コンサルティング・ファームの面接試験―難関突破のための傾向と対策ビル・ゲイツの面接試験―富士山をどう動かしますか?photobyTamTam外資コンサル業界完全攻略記事一覧1.【業界研究】外資コンサルの仕組み・大手企業ランキング・選考対策まで一挙大公開!2.【業界研究|コンサルティング】コンサルティングとは?から選考対策までを徹底解説3.【業界研究】外資コンサル大手企業一覧まとめ4.【業界研究】外資コンサルの年収ランキングを大公開! 35,711 views
未来から逆算したキャリアを描け!新しい時代の就活とは。 未来から逆算したキャリアを描け!新しい時代の就活とは。 本記事はパーソルキャリアのPR記事になります。「あなたは2050年、どんな人間になっていますか?」30年先の未来では、多くの物事が変わっているでしょう。急激に変化する時代の流れの中では、未来の変化を捉えてキャリアを構築しなければなりません。今回は、そのような時代を背景に「あるべき就活の姿」について、パーソルホールディングス株式会社にて新卒採用統括責任者や、パーソルキャリア株式会社にてはたらクリエイティブディレクターとして若者のはたらくに対するワクワクや期待を作り出す活動をする佐藤裕さんに、お話を聞きました。これまで15万人以上の学生と接点を持ち、年間200本の講演・講義を実施。現在の活動はアジア各国での外国人学生の日本就職支援にまで広がり、文部科学省の留学支援プログラム「CAMPUSAsiaProgram」の外部評価委員に選出され、グローバルでも多くの活動を行っている。また、パーソルキャリア株式会社では若者にはたらくの本質や楽しさを伝えるエバンジェリスト、パーソルホールディングス株式会社ではグループ新卒採用統括責任者、株式会社ベネッセi-キャリア特任研究員、株式会社パーソル総合研究所客員研究員、関西学院大学フェロー、デジタルハリウッド大学の非常勤講師としての肩書きや、2019年3月にはハーバート大学で特別講師として講演を実施した経験を持つ。2020年1月に自身初の著書『新しい就活自己分析はやめる!15万人にキャリア指導してきたプロが伝授する内定獲得メソッド』を河出新社より刊行。◆佐藤裕さんのTwitterはこちらから◆パーソルホールディングス株式会社HPデータから読み解く日本の就活事情新入社員の8割が持つリアリティ・ショックとは若年層向けキャリア教育支援プロジェクト「CAMP」とパーソル総合研究所が合同で行った調査では、入社後にリアリティ・ショックを感じた社会人は約8割いるというデータがあります。長い人では約2年という期間を就活に費やしているのにも関わらず、このような事実になってしまっていることに就活生はまず注目してほしいと思っています。リアリティ・ショックとはアメリカの組織心理学者のEC・ヒューズによって提唱された概念で、「理想と現実の違いに衝撃を受けること」と定義されている。リアリティ・ショックの中身は、仕事内容、福利厚生、やり甲斐、職場環境など多岐に渡り、入社前に想像していたことと入社してから実感することに生じるギャップです。しかしそのどれもが、早い段階で気づける内容のものばかりです。これは、企業が嘘をついているということではありません。就活生にとってそう見えてしまっているということなんです。リアリティ・ショックを感じると、隣の芝が青く見えていまい、少しずつ入社前に抱いてた気持ちが変わっていきます。そうなると、早期離職などを引き起こすリスクとなってしまいます。3年で3割が離職してまっている実態新卒で入社した人が、3年以内に全体の約3割が離職してしまっている現状をご存知でしょうか。この結果は、前述したリアリティ・ショックと価値観のコンフリクトによって引き起こされていると考えています。価値観のコンフリクトとは、自己分析で確立した過去の価値観と社会に出て新たに生まれた価値観とのコンフリクトを指します。自己分析によって確立した価値観や考え方などで未来を決めてしまう就活生も多いです。例えば、人が好きだから人材業界を志望する就活生などが該当します。しかし、社会に出ると価値観は当然変わるものです。価値観が変わった結果、昔の価値観とぶつかってしまうことになります。これらの価値観のコンフリクトとリアリティ・ショックによって、新卒社員が3年以内に35%が辞めていくという結果に繋がっていると私は考えています。そして、この離職率は30年程変わっていません。社会人の4割が自分の就活に後悔このような背景の中で就活をしているので、「CAMP」が行った調査で10年目までの社会人の約4割が自分の就活に後悔しているというデータもあります。そもそもの就活を間違えてしまっているので、転職してリスタートを切ったとしてもジョブホッパーになってしまったり、うまく転職先を見つけられなかったりする人なども出てきます。その結果、10年経って30歳を超えても、社会人の約40%が「もっと10年後を見据えて就活をすれば良かった」「実際に働いてる人の話をちゃんと聞かなかった」といったように後悔することになります。これも異常な数値です。この事実を、学生に自分ごととして捉えて欲しい。10年経っても、学生時代の就活を後悔している人がいるということを自分ごととして捉えて、今の就活は何か違うな、ということに気づいて欲しいと思っています。日本ではたらくを楽しめている人口は、たった6%就活に後悔していることに起因していると私は考えているのですが、日本で熱意を持って働くことができている、つまりは働くことを楽しめているのはたったの6%というデータがあり、これは139ヶ国中132位と、世界的に見ても非常に低い水準です。【参考】日本経済新聞|「熱意ある社員」6%のみ日本132位、米ギャラップ調査StateoftheGlobalWorkplace-GallupReport(2017)まずこの事実を就活生に知ってほしいと思っています。はたらく前に、学生たちは就活などで社会人から「社会は楽しいぞ」というインプットされます。しかし実際は、94%は働くことに意欲がないと感じている国なのです。だから私は、学生に対して「朝のラッシュの電車に乗ってみなさい」と言っています。朝からワクワクしてる人はほとんど見かけることがありません、みんな下を向いています。このような数値としての事実をしっかりと認識することが重要だと思っています。未来志向の人材が求められる〜未来から逆算したキャリアプラン〜このような日本の就活の現状を引き起こしたのは、間違った自己分析や面接のテクニックなどに重きを置き、内定をゴールとした従来のマニュアル通りともいえる古い就活です。この現状を打破するために必要なのが、新しい就活であり、未来志向のキャリアプランです。未来志向のキャリアプランとは未来志向のキャリアプランとは、未来の情報から逆算して意思決定することです。例えば1つ質問をします。あなたがもし、「来月からロシアに行って来い」と政府から断ることのできない命令を受けたらどうしますか。少し考えてみてください。多くの人はロシア語を学ぼうとすると思います。未来志向のキャリアとはそういうことです。このような命令を受けると、具体的に未来を想像します。想像した未来から逆算して考え、言語を学ぶという選択しました。このように、今やりたいことや変わりやすいものを軸に就活をするのでなはく、未来志向で必要となるスキルや経験を逆算し何を身に付けるべきか明確にすること。未来の情報から逆算して意思決定することが、未来志向を元にキャリアプランを設計するということです。実際に、シリコンバレーの学生で、今必死に機械学習を学んでいる人もいます。これは未来においては機械学習に関する知識がないと取り残されるという危機感を持っているためです。つまりは、未来志向でキャリアを考えているということです。このような未来志向のキャリアプランこそが新しい就活の考え方です。"わからない"ことを認識しよう就活をする上では、偏見などを無くしたゼロポジションにいることが、リアリティ・ショックを無くすためにも重要です。例えば、よく学生に「ガイアナ共和国って知ってますか?そこで日常生活をすることを頭の中で思い浮かべてください」という質問しているのですが、少し考えてみてください。実は、想像したところで結局のところわかりません。これが正しい位置だと思っており、ゼロポジションにいるということです。20年間ほど生きていると、国名や国旗などからなんとなく、アフリカ圏で、黒人がいて、市場があって、と想像すると思うのですが、結局のところはよくわからないに落ち着くことになると思います。学生にとって、行ったことがなくて情報がないという意味では、ガイアナ共和国と社会は同じです。それにも関わらず就活生は、社会はこうであると想像やイメージなどから決めつけてしまっています。その怖さを知ることはとても大切です。つまり、「社会のことはわからないんだよ」と認めること、「ゼロポジションからスタートして、想像やイメージなどに惑わされないようにしよう」と伝えています。人生の分岐点を学べ新しい就活を始める就活生に準備運動として強くお勧めしているのが、人生の分岐点を勉強するということです。これは「何かを成し遂げてきた人や、社会で活躍している人が、どうように今の人生を切り拓いてきたのか」に着目するということです。現に、多くの就活生が陥る罠として、「即席の興味関心」によって受ける業界や企業を決めてしまうことがあります。このような考え方は、リアリティ・ショックや早期離職に繋がる恐れがあります。そこで、社会人、著名人などで、人生で幸せになっている人に、人生の分岐点を聞くことが有効です。ここで言う分岐点とは3つしかなく、「出会い」と「言葉」と「きっかけ」だけです。たまたま誰かが言われたことに強く共感して、それが人生の分岐点になることもあります。しかし、人生の分岐点を意識していない人であれば、その言葉を聞き逃してしまう。そういう意味でも人生の分岐点を学んで、そのチャンスを掴むことが大切です。就活生へのメッセージ就活にモチベーションなんて関係ない「やりたいことから仕事を見つけるのではなく、未来から逆算してキャリアプランを考えるとモチベーションが沸かなくないですか?」という質問を頂きます。これに関しては2つの回答があります。1つ目は目線を変えることです。就活をしているとどうしても周りの目が気になってしまうことがあると思います。「有名な会社なのか」とか、「大手なのか」「貰える給与が多いかどうか」などこれらは重要な要素と感じることは確かです。でも、これが最優先されることではないですし、入社した時に持つ名刺によってモテるかどうかが大切なのではありません。そうではなくて、25・26歳を1つのマイルストーンとして置くことが大切です。今の世の中、20代中頃で経験やキャリアに差がついてしまいます。今までは3年間は修行の期間でした。今は1年で仕事の素地が作れて、後は自走して他の人とは違う経験を積むこともできるので、お金や地位、キャリアなども25・26歳で差が出てしまいます。この点を考えると、新卒で入社してからの3年間は大きな勝負のポイントです。入社3年後をマイルストーンとして、自分の楽しみとしておくこと。その差で人生が変わるということを就活生には伝えたいですね。これを知ることで、就活に対する意識も変わります。また、2つ目は少し厳しく言うと「就活にモチベーションなんかいらない」ということです。そもそも、私は仕事にモチベーションなんてありません。モチベーションはあるから下がると思っています。なかったらそもそも上げ下げなどないでしょう。例えば、プロ野球選手が家で奥さんと喧嘩したから試合で打てません、なんてことはないですよね。要はプロとして絶対にやるべきことは当たり前にやるということです。就活とは、人生を生きていく上で、次のステップに進めるために必要となるものです。なので、モチベーションに左右されて活動するのでは時間がもったいないと思っています。加えて、モチベーションが下がった状態が続いていると、自分の人生を削っているだけなので、それを理解してほしいです。就活は、自分のためでもありますし、私は本気でやらなくて後悔する若者を沢山見てきているので、本当に25・26歳を1つのマイルストーンとしたときに、そのために今何ができるかを就活生には考えて欲しいと思っています。受験勉強をやってきた人にはこの感覚が分かるでしょう。どこに目標をおいてどこまで頑張れるかという点では、就活と受験勉強は同じな気がします。"好き"の因数分解をしよう講演などで就活生に最近やってもらうのが"好きの因数分解"です。これは、古い就活は間違いであるということに気づいてもらうためのワークです。例えば、スポーツが好きだとします。まず、「スポーツが好きならどんな仕事に結びつくかな」と考えてもらいます。そうするとスポーツメーカーなどが出てきます。次に、「ここでスポーツが好きってことを因数分解してみよう」と投げかけます。そうするとスポーツが好きなこと自体にあまり重きは置いていなくて、実はその中にある、チームみんなで活動するプロセスに魅力を感じる、目標を達成することが楽しい、ということがわかってきます。最後に、「この因数分解をしたものはスポーツメーカーに当てはまりますか?」と質問すると、当てはまらないということが多くあります。ここでようやくスポーツが好き=スポーツメーカーに就活じゃないんだ、と気づくことができます。では、この因数分解のポイントがどのような業界に結びつくかと考えると、就活生はわからないというのが大半だと思います。ここで初めて、自分の興味なかった分野や業界を調べ始めます。固定概念を崩し興味の範囲を広げるという意味で、好きを因数分解する、というワークをやってもらっています。就活成功のカギは古い就活からのシフトチェンジ古い就活は、数字上間違いであることがわかったと思います。そこで重要なのが未来志向です。また、未来がどう変わるのかを理解し、新しい就活へのシフトチェンジすることも大切です。令和という時代に突入し、これからは「いかに自分らしいキャリアを形成し、キャリアを生き続けることができるか」ということがますます強まっていきます。ぜひ「自分らしくはたらく」ということを意識した「新しい就活」を心がけてください。SNSで直接、ご相談にも乗っているので、迷っている就活生がいたら気軽にこちらからご相談ください。最後に今回は、「あるべき就活の姿」ついて、パーソルホールディングス株式会社にて新卒採用の責任者を務め、パーソルキャリア株式会社でもはたらクリエイティブディレクターとして活動をする佐藤裕さんに、お話をお聞きしました。「新しい就活」における自己分析やESの書き方、面接必勝法などをさらに詳しく知りたい方は以下佐藤裕さんの著書『新しい就活自己分析はやめる!15万人にキャリア指導してきたプロが伝授する内定獲得メソッド』を参考にしてみてください。目次はじめに就活を“やめる”ことから始めよう!―従来の就活に潜む落とし穴1古い就活がもたらす未来―データで読み解く内定後の末路2古い就活から新しい就活へのシフトチェンジ3新しい就活の面接必勝法4新しい就活に必要な「未来志向」5これからの時代にあったキャリアデザイン6新しい就活の基本攻略Q&Aおわりに就活の成功は「自分らしくはたらく」。それが人生の成功へと繋がる! 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長期インターン選考に20社落ちたライターが語る、絶対に受からない面接の極意 長期インターン選考に20社落ちたライターが語る、絶対に受からない面接の極意 17卒就活生予備軍です。昨年の冬、就活に先駆けて長期インターンを経験しておきたいと思い20社ほどエントリーをしました。そのうち10社ほどの企業でESが通りましたが、その後の最終面接の結果まで含めると、全滅。その経験から見つけ出した、面接で受からない極意を5つお教えします。本記事のコンテンツ①遅刻してみた。②企業に合わせて“作り上げた”自己PRをする。③曖昧な返事で乗り切ってみる。④面接とプレゼンを一緒にして考える。⑤自己分析から、逃げる。・最後に①遅刻してみた。当然、落ちました。社員さんは時間・分単位でうごいている方が多いです。ましてやスピード感のあるベンチャー企業が実施していることの多い長期インターン面接は、面接自体にかなりコストをかけています。忙しい時間を割いてもらっていることを忘れないでください。裏を返せば、それだけあなたが社会へもたらす価値に期待しているということ。面接といえど、基本はコミュニケーション。相手を思いやった行動を心がけるべきです。②企業に合わせて“作り上げた”自己PRをする。いったい何が悪いのか分からない方も多いと思います。気を付けなければならないのは、“作り上げ”てはならないという点です。面接の場において見られているのはあなたがその企業に本当に合っているかどうか。何百人、何千人と就活生を見てきた人事の方の前で、作り上げた自分を見せても一瞬でばれます。きちんと自己分析をして、等身大の自分を伝えましょう。③曖昧な返事で乗り切ってみる。長期インターンはベンチャー企業が多いので、IT系の会社ばかりです。エンジニア職も豊富です。私はプログラミングをほとんどしたことがありませんが(授業程度)、面接の際にプログラミング言語が書けるかと聞かれ、焦った結果こう答えました。「まぁ。なんとなくは・・・」落ちました。なんとなく書いたコードでプログラムは動きません。書けないときは、素直に書けませんと伝えましょう。④面接とプレゼンを一緒にして考える。十分すぎるほど自己アピールが出来ていて、反応もとてもいい、しかし受からない。かつての私がそうでした。そんな方は面接がプレゼン化しているのかもしれません。自分のことを主張することばかり考えていても、何も伝わりません。企業はあなたがどんな人か、うちの企業で何をしてくれるのか、どうしてうちの企業なのか、そういう人間的な点を知り、合っているかどうかを見極めたいのです。⑤自己分析から、逃げる。自己分析を軽んじている方、過去を振り返ることが怖い方、多いと思います。かつての私は自分のことを知り尽くしていると信じていましたし、過去は振り返らずに生きていくのだと固い信念を持って生きていました。しかしながら、20年ほど生きていれば莫大な決断や感情の量と、そこにはある程度の規則性が存在します。それを見つけ出していくことが自己分析であり、理解することで、企業とのマッチングがしやすくなります。掘り下げれば掘り下げて伝えるだけ、企業側はあなたがどういう人間なのか理解しやすくなるので、採用しやすいのです。よくわからない人間はリスキーなため、基本的に落とされます。自分を知ることにはかなりの時間がかかります。分かったと思っても、本質からずれていることや、まだ足りないということばかりです。企業に自分を伝えやすくするために、自分を知るところから始めましょう。最後に以上が大きな失敗の極意です。余談ですが、私特有の失敗もありましたので以下でいくつか紹介させていただきます・特技が面接官と被り、ぼこぼこにされる個人的なこととはなりますが、私は大学生活でずっと舞台に立ってきました。何百人という人の前で演技をしたり、歌ったり、パフォーマンスをしていた経験を面接でよく話していたのですが、とある企業に行ってみると、面接官が何故か元プロのオペラ歌手でした。確か教育×ITのベンチャーであったことを記憶していますが、今はそこでエンジニアをしているそうです。しかし、それまでは何千人という人の前で歌っていた人物です。規模も経験も桁が違いました。結局その面接では舞台の素晴らしさを説かれ、まだまだ先は長いぞ、ここで諦めるなと、今後の舞台での活躍を期待されながら落とされました。本当に何が起きるかわからない面接。自分はここの長期インターンをやりたいんだと、明確な理由と固い意志を用意して臨んでください。人生の大先輩です。甘いと言いくるめられます。ちなみに僕はそれから舞台の道に一旦戻りました。・面接で採用をほとんど言い渡されたのに、課題の出来でなしになるある企業と話が盛り上がり、ほとんど採用を言い渡されたことがありました。その後、試しに具体的にプロジェクトを作ってきてくれと言われたので、なんとなく案を練り、受かったと安堵しながら、企画書にまとめました。その際、もうその企業に心を許していたので、個性を出したかったことと、どうにか笑ってもらいたいと思ったため、かなり攻めた表現の文書を作り上げました。結果、それ以来連絡が来なくなりました。あまりにもショックで、大人が信じられなくなりかけたことは記憶に新しいです。(今は立ち直りました)やはり、インターンといえどすべてが仕事です。あくまで企業と社会のニーズの中で、個性を発揮していくべきなのかもしれません。いかがでしたでしょうか。繰り返すようですが、面接は対人間であり、コミュニケーションの場です。そのことを念頭に置き、就職活動に臨んで欲しいと願っております。私は以上の経験を踏まえながら、現在は無事に広告系の長期インターンをしております。別途サマーインターンの採用面接も受ける予定ですので、次はそれらを踏まえた成功談をお届けできたらと思います。photobyAlex 46,529 views

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