【七大商社の2020年度通期決算を徹底比較】各社の業績と今後の見通しを考察

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最終更新日:2023年09月28日

【七大商社の2020年度通期決算を徹底比較】各社の業績と今後の見通しを考察

例年、就活生から絶大な人気を集めている七大商社。

2021年も5月に入り、各社の2020年度通期決算が出揃いました。

新型コロナウイルスの影響で、国内外を問わず外部環境に大きな変化のあったこの1年ですが、各社の業績は一体どうだったのでしょうか?

そこで今回は"七大商社の2020年度通期決算速報"と題し、各社の決算資料やIR情報を基に業界全体の勢力図から各社の実情までを考察していきます。

IR情報と聞くと「なんだか難しそう…」と感じる就活生もいるかと思いますが、本記事では会計知識の乏しい就活生でも簡単に理解できるよう執筆しています。

総合商社は各社ともビジネスモデルに大きな違いはないため、「各社の得意領域はどこなのか?」や「全体の利益はどのように構成されているのか?」といった観点を理解することが"志望動機を作成するための企業研究"の参考になりますので、その観点も踏まえて読み進めていただればと思います。

※本記事では2019年度を「昨期」、2020年度を「今期」、2021年度を「来期」と記載しています。

※本記事は決算に関する情報を取り扱っているため、専門的な用語を知らない方は以下で用語の意味を確認してから記事を読み進めてください。

◆「純利益」とは

→「売上金額からすべての費用を差し引いたあと、最終的に企業の手元に残るもうけ金」を指します。つまり、企業がその期間に稼ぎ出した「最終的な利益」のことです。

◆「連結純利益」とは

→「企業のグループ全体の純利益」を指します。すなわち、「親会社本体の純利益に、その企業の子会社・関連会社の純利益を加算(連結)したもの」のことです。

 

◆「通期決算」とは
→1年間を通した企業の決算を指します。通期決算は途中で修正することもあり、「上方修正・下方修正」の2種類があります。

※各専門用語の意味やIR情報の見方を確認したい方は、以下の記事をご覧ください。
【企業研究に役立つIR情報の見方を解説】絶対に見るべき3つの資料とは

本記事の構成

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本記事のまとめ

本記事では"七大商社の2020年度通期決算速報"と題し、各社の決算資料やIR情報を基に業界全体の勢力図から各社の実情までを考察してきました。

新型コロナウイルスの影響などもあり、ここ最近では最も変化の大きな通期決算となりましたので、総合商社志望の就活生は本記事で掲載している情報・知識をしっかりと把握しておきましょう。

とは言え、本記事で解説した内容はあくまでも「2020年4月~2021年3月までの短期的な業績」に過ぎません。

上述した過去4カ年の通期決算の推移を見ても分かる通り、各社の業績は年々変動がありますので、あくまでも参考程度に本記事の内容を参考にしていただければと思います。

七大商社の決算をもっと理解したい方へ

各社の決算を考察するという特性上、本記事では特段触れておりませんが、今後の商社業界を取り巻くトピックとして押さえておくべきものが2点あります。下記にそれぞれまとめてありますので、こちらに関しては読者の皆さん自身で確認してもらえればと思います。

これらのトピックに関しては各社のIR資料・中期経営計画等でも触れておりますので、そちらも是非参考にしてみてください。

今後の商社業界を取り巻く重要トピック

◆SDGsやESGなど、サステナビリティに関する取り組みの進行
→SDGsは「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」、ESGは「環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)の頭文字を取って作られた言葉」であり、これらの動きを総称したものがサステナビリティになります。ここ最近、急速に認知度が高まっているサステナビリティですが、七大商社でも各社が様々な取り組みをしていますので、IR資料や中期経営計画等に掲載されている内容をチェックしておきましょう。

◆世界全体として推し進めている脱炭素社会への移行が商社に与える影響
→世界的な環境規制の強化などを背景とし、七大商社各社が脱炭素ビジネスへの取り組みを進めています。石炭事業は商社の収益の柱の一つでもあったため、今後急速に進むであろう脱炭素社会化への移行に対策を講じる必要があります。ニュース等でも度々取り上げられていますので、こちらに関しても各社の取り組みをチェックしておきましょう。

総合商社を志望している就活生同士で情報交換をしたい方へ

unistyleでは業界別のLINEオープンチャットを運営しており、多くの就活生が匿名で就活に関する情報交換をしています。

【参考】就活生の利用者数累計40万人!LINEオープンチャットを紹介-25卒・26卒向け-
→「そもそもオープンチャットって何?」という疑問が浮かんでいる就活生は、まずは上記の記事をご確認ください。

実際に下記の画像から、「総合商社志望者向けグループ」の参加用ページに飛ぶことができます。ニックネームとプロフィール画像を登録するだけでどなたでも参加することができますので、興味のある方はぜひご参加ください。

総合商社の業界(企業)研究・選考対策を進めたい方へ

unistyleには、総合商社の業界(企業)研究や選考対策に役立つ記事が豊富に掲載されています。こちらも是非ご覧いただければと思います。

また、 七大商社の内定者ES・本選考レポート・選考対策記事などを確認したい方は、下記から各社のページに遷移することができますので、こちらも是非ご活用ください。

最後になりますが、unistyleでは公式YouTubeチャンネルを開設しており、総合商社に関する動画も公開しています。下記の動画は総合商社の業界研究に役立つ内容となっていますので、こちらも是非ご覧ください。

おすすめコラム 4 件

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安定した大企業に就職する学生におすすめしたい10%起業とバーベル戦略 安定した大企業に就職する学生におすすめしたい10%起業とバーベル戦略 自分自身の実力もわからない中で、最初から起業やスタートアップ、ベンチャー企業に飛び込むのではなく、まずは大企業に就職しようと考えている人は多いのではないでしょうか。一方で、近年は予測できないような激しい変化が頻繁に起こる時代であり、東日本大震災により大きな影響を受けた東京電力、事業不振から海外資本の傘下になったシャープ、会社主導による不正に揺れる東芝・三菱自動車など、一個人ではどうしようも出来ない予測不可能なリスクが起きてしまう時代です。参考:勝ち組企業に内定したと思ってる学生は「ブラック・スワン」を読んでおこうこのような不測の事態に備える一つの考え方として、最近読んだ本である「10%起業1割の時間で成功をつかむ方法」と参考にしているブログ記事の「安定した大企業に就職するならブラックスワン対策に「バーベル戦略」がお勧め」の2つを紹介しながら説明したいと思います。10%起業1割の時間で成功をつかむ方法参考:安定した大企業に就職するならブラックスワン対策に「バーベル戦略」がお勧めキャリアにおけるブラック・スワンの実例ブラック・スワンとは上記のコラムでも紹介しましたが、以下の様な特徴を持つものです。異常であること(過去に照らせば、そんなことが起こるとは思われず、普通に考えられる範囲の外側にあること)とても大きな衝撃があること異常であるにもかかわらず、人間生まれついての性質で、起こってから適当な説明をでっち上げて筋道をつけたり、予測が可能だったと思うようなこと引用:「ブラック・スワン」P4よりそして、以下のようなエピソードに代表されます。七面鳥がいて、毎日エサをもらっている。エサをもらうたび、七面鳥は、人類の中でも親切な人たちがエサをくれるのだ、それが一般的に成り立つ日々の法則なのだと信じ込んでいく。政治家の連中がよく使う言葉を借りるなら、「一番の利益を考えて」くれている、というわけだ。感謝祭の前の水曜日の午後、思いもしなかったことが七面鳥に降りかかる。七面鳥の信念は覆されるだろう。(中略)七面鳥は、昨日の出来事から、明日何が待っているか推し量れるだろうか?たぶんいろいろわかることはあるだろう。でも、七面鳥自身が思っているよりも、わかることはちょっと少ない。そして、その「ちょっと」で話はまったく変わってくるかもしれないのだ。引用:「ブラック・スワン」P88より私たちが生きている世界においては、キャリアの分野においてもブラック・スワンが散見されます。学生時代から優秀で評価も高く外資系投資銀行に入社したものの、1年目から日本法人が撤退したためにリストラされてしまう人もいます。近年では2016年にバークレイズが日本を含むアジアの株式業務から撤退しています。参考:英バークレイズ、日本含むアジアの株式業務から撤退東日本大震災の前までは超優良安定企業として有名だった東京電力も、震災後は収入は減り世間の風当たりも非常に強くなりました。電機産業については、シャープ、ソニーが事業不振からリストラを敢行しています。切り捨てSONYリストラ部屋は何を奪ったか不正会計で揺れた東芝、燃費データの不正で揺れた三菱自動車などの事例もあります。このような事例についてはいくら個人として優秀でもコントロールできない上に、運が悪ければ誰にでも起こりうるブラック・スワンだといえます。10%起業・バーベル戦略とはどういう考え方かこのようなブラック・スワンに対処する考え方が10%起業であり、バーベル戦略です。10%起業は紹介した本に詳しいのですが、要約すると安定的な大企業での仕事は確保しながら、残りの10%なり15%なりの時間と資金をリターンの大きいサイドプロジェクト(起業)に振り分けることです。バーベル戦略も同様にローリスク・ローリターンの大企業の仕事に85%〜90%の労力を割きながらも残りの10%〜15%をハイリスク・ハイリターンのプロジェクトにつぎ込む戦略のことです。安定的な大企業での仕事を着実にこなしながら、勤務後や週末の時間を使い、起業できるようなアイディアを形にしていくのが10%起業やバーベル戦略の考え方になります。勤めている安定していると思っていた大企業が揺らいだ時に、サイドプロジェクトで得た知見でキャリアアップの転職をしたり、サイドプロジェクトを事業として立ち上げるということも考えられるでしょう。具体的なサイドプロジェクトの例実際にサイドプロジェクトから大きく立ち上がったサービスや企業も少なくありません。元々unistyle自体も創業者二人が安定的大企業に勤務しながら事業の案を考えて、サイドプロジェクトとして走らせていたものを事業化したものになります。有名なサービスでは最近CMを打ったマネーフォワードも、勤務しながらプロトタイプを週末に作成していたようです。松本大社長に提案しても、やはり書面での説明になりますから、いまいち伝わりづらいですし、私たちもそこまで自信を持っているわけではありませんでした。だからまずはモノをつくろうと。今でも強く思うことですが、アイデアのみでは1%の価値もないですから、とにかく「つくろう」とテスト版の制作にかかりました。ただ、当初は私も瀧もそれぞれの会社に籍がありましたから、フリーで活動していた浅野千尋、今は弊社のCTO(最高技術責任者)に就任していますが、彼が中心となり、知り合いにも声をかけまくって週末にひたすら作業していましたね。参考:高田馬場のワンルームで起業/辻マネーフォワード社長(1)GREEについても、元々は当時楽天に勤務していた田中社長の個人的な趣味として運営していたものがきっかけになっています。2000年2月、楽天に入社。個人間オークション、ブログ(楽天ブログ)、アドネットワーク(アフィリエイトプログラム)、プロダクトレビューを始め、さまざまな新規コンシューマ向けインターネットサービスの企画・開発を行う。2003年の冬から個人的な趣味の一環としてソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)GREEの開発を開始。2004年2月にはGREEを一般公開し、個人サイトとしてサービスを開始。10月には楽天を退社する。参考:wikipedia田中良和(実業家)学生が在籍しながら立ち上げたfacebookなどのサービスも10%起業・バーベル戦略の一例ということができます。もちろん自分自身で立ち上げて行うだけでなく、友人・知り合いが立ち上げたスタートアップを勤務後や週末に手伝うといったことも立派なサイドプロジェクトの一つだといえます。事業がうまく立ち上がり、これなら自分のリソースを100%かけてもいいと判断できるタイミングでその会社にジョインするのも十分にありでしょう。このように安定的な自分の立場は確保しながらも、残りの時間で大きくリターンの得られるプロジェクトに投資するのは安定した大企業に勤めている、勤めようとしている人こそ、ブラック・スワンに備えてやるべきことであるといえます。10%起業・バーベル戦略のメリット基本的に10%起業やバーベル戦略に大きなデメリットは存在しません。もちろん副業規定に抵触しないようにするであったり、所属する会社と競合してしまい利益相反になるような事業を行わないように気をつける必要はあります。また趣味や自分の時間は失われますが、そういった時間を失ってでもやりたいと思えることをサイドプロジェクトにすることが、継続する上でも実際に自分のためになる上でも大事なことだといえます。サイドプロジェクトのメリットは少なくありません。サイドプロジェクトの時間を捻出するためにこれまで以上に仕事に対する時間意識が強くなり早く効率的に仕事を終えようと思うはずです。今まではいやいや上司や取引先の言いなりになっていたものが、サイドプロジェクトをやることにより仕事の意識が変わり、主体性を持って今の仕事に取り組める様になるでしょう。何よりも主体的に誰かと自分たちのアイディアを形にしていくのは非常に楽しく興奮を与えてくれるものです。もちろんサイドプロジェクトをやるそもそもの目的であるブラック・スワンに備えるということにもつながります。サイドプロジェクトは失敗したとしても自分のリソースの10%に過ぎません、10%を費やして得られた知見や関係性で十分元が取れるでしょう。最後に大企業は安定していると言っても例外といえる事象が次々に起こってしまう時代の中で、ブラック・スワン的なリスクにも主体性を持って対処することは仕事をする人全てにとって重要になってきました。大企業にしがみつきながら何も起こらないように祈りながら(もしくはリスクに気づかずに何も考えないようにしながら)過ごすのも一つかもしれませんが、出来る限り自分の人生に対して、自分でコントロールしたいものです。今回ご紹介した考え方を参考に自分ならどうするかぜひ考えてみください。photobyThoroughlyReviewed 19,526 views
半沢直樹なんていない!?現役銀行員が半沢直樹に共感できる点・できない点 半沢直樹なんていない!?現役銀行員が半沢直樹に共感できる点・できない点 某地方銀行員のKです。TBSのドラマ「半沢直樹」が大評判であり、8月11日に放映された第5話では、29%もの高視聴率を叩きだしました。そこで、実際どうなの?本当なの?って部分をお伝えできればと思います。1.リアルだなと感じるところ銀行員から見てもリアルだなと感じるところは3つあります。1つ目に「数字」を求められている所です。これは第一話最初に出てくる案件会議での「あと5億円足りない」という部分に出てきます。前回(https://unistyleinc.com/columns/53)もお伝えしたように銀行員は「数字」が求められノルマの「未達」ということは非常にあり得ない事態なのです。銀行員はあのシーンでチャンネルを変えたのではと思います。(実際に私の上司は変えたとのこと)2つ目は「上司からの詰められる」所です。特に、支店長や他役員から半沢直樹が詰められているシーンは実際あります。失態を犯してしまった先輩が個室にて2時間監禁、辞表を書かされ、支店長に報告させられていたなんてこともありました。3つ目は「独特の世界観」です。銀行には独特の文化や習慣があります。支店長からの嫌がらせや裁量臨店、監査などは非常にリアルだと思います。この点については上手く文字にできません。気になる方は是非銀行へ(笑)基本的に作者はメガバンク出身の方らしいので、銀行の内部に関しては非常に良く描けていると思います。2.ズレていると感じる部分もちろん、物語なのであり得ないでしょという部分はあります。何と言っても「半沢直樹」は存在しないということです。当たり前ですよね。フィクションですから。なぜ、存在しないかというと銀行は「上司や人事の評価が絶対」だからです。上司に逆らって出世する人はいません。一般事業会社でも同様かも知れませんが、銀行では特に上記の風土が顕著です。上司が「左」と言えば「左」、「右」と言えば「右」です。旧日本軍なんて先輩は言っていましたが、確かにそうだと感じます。3.最後に実際に、毎日「半沢直樹」のような世界かと言うとそうでもありません。上司によっては最高の環境のところもありますし、実際にクソな上司はそこまで多くありません。大抵は全うな人です。人をマネジメントする立場にあるので、能力や人望がなければ部下は付いてきませんよね。半沢直樹の世界だけで「銀行は嫌だ」と短絡的になる判断するのは正直馬鹿です。その点は自分のキャリアなので慎重に判断すべきであり、あくまでも「物語」として見るのが良いと思います。photobySteveCadmans 43,922 views

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