不動産2トップ、三井不動産と三菱地所の牙城を崩したのはあの企業。その背景には綿密な経営戦略が!?

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最終更新日:2023年10月17日

不動産2トップ、三井不動産と三菱地所の牙城を崩したのはあの企業。その背景には綿密な経営戦略が!?

1月の今日この頃、就活生は業界研究・企業研究に勤しんでいるかと思います。

そこで、今回は就活生からの人気の高い不動産業界の大手企業6社を、各社が発表した2020年3月期第二四半期決算を基に分析してみました。

IR情報・第二四半期決算などと聞くと、「IR情報で企業研究って難しそう」と思う就活生も多いかと思います。

本記事では、IR情報の基本知識と各社のセグメント別の営業成績を、IR情報に馴染みのない就活生にもわかりやすく分析・解説しているので、業界研究・企業研究・他社比較に役立てていただけると幸いです。

◆「IR情報」とは
IR情報とは、英語でInvestor Relations、日本語では「投資家向け広報」と呼ばれるもので、企業が投資家向けに経営状況や財務状況、業績動向に関して発信している情報のことを指します。

就活生がIR情報を分析するメリットとしては、定量的な数字で企業研究をすることができ、今後の注力する事業領域などを垣間見ることができます。

◆年度の数え方
IR情報での年度表記は、その年度の通期決算をする時期で表記します。例えば、「2020年3月期」という期間は2019年4月1日から2020年3月31日を指します。

◆「第二四半期」とは
一年間(12か月)を4つに分割した3か月の期間を四半期と呼びます。その年度の4月から6月末までが第一四半期、7月から9月末までが第二四半期、10月から12月末までが第三四半期、1月から3月末までが第四四半期となります。

そのため、「2020年3月期第二四半期」という期間は2019年4月1日から2019年9月30日までを指します。

第二四半期決算では、その年度の第二四半期(4月から9月末)までの決算報告となるため、上半期の経営状況の指標として用いられます。

また、Quater(四半期)の頭文字「Q」を使って、2020年3月期第二四半期を2020/3-2Qと表記する場合もあります。

◆「営業利益」とは
売上高から、原価と営業活動に要した費用(販売原価や人件費)を差し引いた利益のことを指します。

◆「営業利益率」とは
売上高に占める営業利益額の割合です。営業利益率が高いほど効率的な営業活動をしていると言えます。

過去4年間の営業利益の推移

昨年度(2019年3月期通期決算)も含めた過去4年間分の営業利益の推移を示すグラフは以下の通りです。

【期間の見方】
2016年3月期:2015年4月1日~2016年3月31日
2017年3月期:2016年4月1日~2017年3月31日
2018年3月期:2017年4月1日~2018年3月31日
2019年3月期:2018年4月1日~2019年3月31日

上記グラフを見ると、三井不動産・三菱地所・住友不動産の営業利益が過去4年間で順調に推移していることがわかります。

不動産業界のトップランナーは変わらず三井不動産。2017年3月期通期決算から三菱地所が次いで二番手。その2社を追いかけるのが住友不動産という構図です。

昨年度の不動産業界4位は、過去4年間を通して毎年度微増している東急不動産でした。

それに対し、野村不動産・森ビルの営業利益は過去4年間でほぼ横ばいの状況です。

【2020年3月期第二四半期決算】不動産6社の営業利益比較

【2020年3月期第二四半期決算】は以下の通りです。また、過去4年間分を合わせたグラフを作成しています。

【期間の見方】
2017年3月期第二四半期:2016年4月1日~2016年9月30日
2018年3月期第二四半期:2017年4月1日~2017年9月30日
2019年3月期第二四半期:2018年4月1日~2018年9月30日
2020年3月期第二四半期:2019年4月1日~2019年9月30日

【2020年3月期第二四半期決算】を、前年同期比で対比させてみると以下のようになります。

  • 住友不動産:1,375億7300万円(前年同期比9.8%の増益)
  • 三井不動産:1,186億400万円(前年同期比5.8%の増益)
  • 三菱地所:922億7600万円(前年同期比13.7%の減益)
  • 東急不動産:316億8200万円(前年同期比1.5%の減益)
  • 森ビル:305億円(前年同期比15.0%の減益)
  • 野村不動産:216億8400万円(前年同期比16.7%の減益)

このグラフから読み取れることとして、最も大きなポイントが、住友不動産が【2018年3月期第ニ四半期決算】から3年連続で首位に立っていることです。

住友不動産・三井不動産が前年度同期比で増益、東急不動産が微増、三菱地所・野村不動産・森ビルが減益という結果になりました。

また、不動産業界全体に影響を及ぼすようなトレンドは以下のようなものが挙げられます。

  • 「2019年上半期、首都圏の新築マンション供給戸数減少も、平均価格は上昇」

    首都圏における2019年上半期の新築マンションの新規供給戸数は、前年同期(2018年上半期)の1万5,504戸から2,068戸(13.3%)減少の1万3,436戸で、上期としては3年ぶりの減少となり、「1992年(1万959戸)以来の低水準」となった。2019年下半期の供給戸数は2万3,500戸を見込んでおり、2018年下半期と比べ8.7%増加すると見ている。

    2019年上半期の1戸当たりの平均価格は6,137万円(同2.9%上昇)で、上半期としては2013年以降7年連続で上昇した。㎡単価は平均90.7万円(同3.7%上昇)で、平均価格と同様、7年連続で上昇した。

    【引用】「首都圏マンション市場動向」(不動産経済研究所)
     
  • 「2020年 東京オリンピック後の不動産マーケットはどうなる?」

    2020年の東京オリンピック開催が決定したのが、2013(平成26年)年9月ですが、確かに、その位の時期から不動産マーケットは上昇傾向となりました。その時期から地価公示価格の地価変動率推移が一都三県を中心として上昇に転じています。
    (中略)
    東京オリンピック後に、リーマンショック級の世界的な経済危機といった不可抗力な事態の発生を除けば、不動産マーケット全体が暴落に転ずることは考えにくく、緩やかな後退をするエリア・分野や、極地的な上昇をするエリア・分野、底堅く平行線をたどるエリア・分野など、かつてないほど多極化した不動産マーケットの状況を迎えるかもしれません。

    【引用】2020年 東京オリンピック後の不動産マーケットはどうなる?(三井不動産リアルティ)

ここからは、各社ごとの営業利益の増減要因や今年度の通期予想などについて、【2020年3月期第2四半期決算】を基に分析していきます。

【住友不動産】マンション供給の「量」×「質」で、第二四半期決算3年連続首位!

住友不動産:2020年度第二四半期決算分析

住友不動産の2020年3月期第二四半期決算は1376億円の営業利益となり、前年同期の1252億円から9.8%の増益となりました。この結果、第二四半期での営業利益額は三井不動産・三菱地所を抑え"3年連続首位"に立ちました。

今期決算分析

前年同期比9.8%増益、第二四半期決算では不動産業界首位に立った住友不動産

その要因として考えられるのは、"販売事業の上半期集中"と"賃貸事業の好調"です。

住友不動産の過去4年間の第二四半期決算を見てみると、販売事業の通期予想に対する第二四半期までの進捗率に変化があることがわかります。

【販売事業の対通期予想進捗率】
2016年3月期第二四半期:49%
2017年3月期第二四半期:67%
2018年3月期第二四半期:77%
2019年3月期第二四半期:95%
2020年3月期第二四半期:99%

このように、2017年度3月期第二四半期から通期予想に対する進捗が上半期に集中していることが分かります。

これは、後述する中期経営計画の「量を追わず利益重視で販売ペースをコントロールしていく」「競争激化の用地取得環境が続く中、『好球必打』で着実に確保する方針は継続する」という方針が関わっていると思われます。

不動産業界全体として賃貸・販売の需要が集中しやすい第四四半期を待たずに「好球必打」で確実な利益を確保する戦略のため、通期予想の進捗が上半期集中になっているものと思われます。その結果、マンション供給戸数では不動産業界5年連続首位に立っています。

また、供給戸数という「量」で首位であることに加え、今後は量よりも利益重視の方針により甘い値付けや値引きをしないで「質」を追い求めていくようです。

そのため、三井不動産(分譲事業:347億円)、三菱地所(住宅事業:47億円)に対して、住友不動産の販売事業は464億円の営業利益を第二四半期で記録し、業界首位に立っています。

※分譲住宅マンションの販売を行っている事業が、三井不動産では分譲事業、三菱地所では住宅事業、住友不動産では販売事業にあたります。

マンション販売事業が住友不動産の一つの強みではありますが、セグメント別営業利益を見てもわかる通り、住友不動産の主力事業はやはり賃貸事業です。

住友不動産は、三井不動産や三菱地所などのように所有物件の売却を繰り返し数百億円の利益を得るようなビジネスをせず、物件を所有し続け賃貸事業や販売事業に回しています。

第七次中期経営計画(2017年3月期~2019年3月期)での東京都心への賃貸ビル投資という方針で開発した既存ビルが、昨今の東京都心でのオフィスビルの需要・空室率の低下・賃料の上昇という好調な市場環境の下で功を奏したことが好調の要因です。

そのために、賃貸事業では既存物件の賃貸収益だけで、前年同期比61億円の増益、新規物件を合わせて賃貸事業では前年同期比65億円の増益の837億円の営業利益39%という高い営業利益率を叩き出しています。

住友不動産は、第二四半期決算発表後の通期予想営業利益を2,340億円と見込んでおり、これは三菱地所の通期予想の2,300億円を追い抜き、2,800億円を見込んでいる三井不動産に次ぐ業界二位に躍り出る可能性があります。

下半期の住友不動産と三菱地所の動向により、不動産業界の情勢に変化が起こる年になりそうです。

経営計画

住友不動産は2019年5月に第八期中期経営計画(2020年3月期~2022年3月期)を発表し、今年度はその初年度にあたります。

経営計画の概要は以下の通りです。

第八次中期経営計画(2020年3月期~2022年3月期)

✔業績目標
→中計最高営業成績連続更新、営業利益三か年累計7,400億円の達成(第七次中計+1,268億円、+21%)
 

✔賃貸設備投資計画
→収益基盤強化のため、東京都心における賃貸ビル投資を継続推進
 

✔部門別業績目標
東京のオフィスビル賃貸を成長の柱に

<事業戦略>
①不動産賃貸
→好調な市場環境に支えられた七次を上回る利益成長を目指す

②不動産販売
→七次で実現した高水準の利益規模を維持する

③完成工事
→リフォーム(新築そっくりさん)は、六次までの停滞から脱した七次の成長路線を継続する

④不動産流通
→グループの連携を一層強化し、九次以降の成長基盤を構築する

住友不動産は、第八次中期経営計画において賃貸事業継続的に成長させ、三か年累計の目標営業利益は第七次比+1,145億円の5,300億円としています。

第七次中期経営計画(2017年3月期~2019年3月期)で投資した東京都心のビルが2020年3月期第二四半期では既存ビルとして大きな収益源となったことを踏襲し、継続的に東京都心の賃貸ビルへの投資を行うことでさらに収益力を強化させることで実現させる計画です。

また、販売事業においては用地取得が激化している環境を踏まえ、量を追わず利益重視で販売ペースをコントロールし、「好球必打」で着実に確保する方針は継続することで、七次の利益規模を維持する方針です。

【三井不動産】賃貸・分譲・マネジメントとバランスよく増益。海外事業のさらなる拡大を目指す。

三井不動産:2020年度第二四半期決算分析

三井不動産の2020年3月期第二四半期決算は1186億円の営業利益となり、前年同期の1121億円から5.8%の増益となりました。

全社消去とは
→各セグメントのどこにも分類できない営業利益・営業経費を加算したもの。

今期決算分析

前年同期比5.8%の増益の要因としては、賃貸事業・マネジメント事業の好調が挙げられます。

賃貸事業では、日本橋・八重洲を中心としたオフィスビルLaLaportやMITSUI OUTLET PARKなどの商業施設といった事業が、賃料改定と空室率の低下により、増益しました。(当期:782億円・前年同期比9.2%の増益/前年同期:716億円)

三井のリパークやマンション管理などを手掛けるマネジメント事業も好調で、受託物件の増加により安定した収益に成長しました。(当期:288億円・全同期比19.5%の増益/前年同期:236億円)

三井不動産は第二四半期決算発表後に、2020年3月期通期決算での営業利益予想を当初の予想よりも130億円上乗せの2800億円に上方修正しました。

機関投資家向けの収益不動産の開発・売却を行う投資家向け分譲事業の営業状況が順調で、通期での分譲事業での営業利益を1240億円と見込んでいることが、通期予想の上方修正の要因となっています。

住友不動産は第二四半期決算発表後に通期予想2340億円と見込んでいるのに対し、三井不動産は2800億円を見込んでいることから、三井不動産は通期での首位奪還を見込んでいます。

経営計画

三井不動産が2018年5月に策定した中期経営計画「VISION2025」では以下の3点を重視して取り組んでいくと明言しています。

主要な取り組み方針

✔街づくりの一層の進化
✔リアルエステートテック活用によるビジネスモデルの革新
海外事業の飛躍的成長

リアルエステートテック(不動産テック)とは
→IoT機器やAIなどのテクノロジーを、不動産販売・賃貸・管理の仕組みに取り組むこと。

上記の3点の取り組みの中から、三井不動産の強みである海外事業について取り上げます。

2019年3月期通期決算での海外事業営業利益は554億円で他社と比較しても高く(三菱地所海外事業:269億円/2019年3月期)、三井不動産の2019年度連結営業利益のうち19.8%を占めています。

2019年3月期における、ハドソンヤード(ニューヨーク)・テレビジョンセンター(ロンドン)の賃貸事業(オフィスビル)や、三井アウトレットパーク台中港(台湾台中市)などの賃貸事業(商業施設)などの竣工が海外事業の成長の一因と考えられます。

三井不動産はVISION2025の中で、2025年までに連結営業利益に占める海外事業の営業利益を30%程度まで成長させる目標を打ち立てていることから、賃貸を中心とした海外事業がますます展開されていくと思われます。

【三菱地所】キャピタルゲインの計上時期が下半期にずれ込むも、通期予想では順調。依然丸の内ビル事業が牽引。

三菱地所:2020年度第二四半期決算分析

三菱地所の2020年3月期第二四半期決算は923億円の営業利益となり、前年同期の1069億円から13.7%の減益となりました。

今期決算分析

前年同期比13.7%の減益の要因は、キャピタルゲインの計上時期・国内分譲マンションの引渡時期の差異が考えられています。

【キャピタルゲインとは】
保有している資産を売却することで得られる売買差益のこと。キャピタルゲインに対し、資産を保有することで得られる収益(利息や配当)をインカムゲインといいます。

三菱地所が保有していた不動産を売却したにも関わらず、その収益を第二四半期決算に計上できなかったために、前年同期よりも減益したと考えられています。キャピタルゲインを下半期に計上した際の取引状況は順調のようです。また国内分譲マンションの営業利益計上も下半期に偏重していることも減益の要因となっています。

キャピタルゲインの上半期計上額は前年同期から90億円減益の120億円にとどまりましたが、下半期での計上にずれ込んだことで、下半期は前年同期から120億円増益の390億円、通期では前年度から30億円増益の510億円を予想しています。

第二四半期決算だけを見ると三菱地所は不調かと思うかもしれませんが、しっかりと通期予想と併せてIR情報を分析しなければいけないことがわかります。

セグメント別に見ていくと、三菱地所の主力事業はビル事業であることは一目瞭然です。連結営業利益の65.9%をビル事業が担っています。

昨今の強いオフィス需要による追い風により、丸の内を中心としたビル事業では昨年度から53億円増益1530億円の営業利益という通期予想になっています。

その要因の一つである既存ビルの賃料の改定により、賃料収益の増益が2020年3月期第二四半期で22億円、通期予想で38億円に到達する見込みで、過去5年間で200億円超の増益を実現しました。

丸の内のみならず、2019年8月には新宿駅直結ビルリンクスクエア新宿が竣工し、竣工時満室にて稼働しており、ビル事業は順調なようです。

また、主力のビル事業のみならず生活産業不動産事業では、御殿場など6サイトのアウトレットで上半期収益で過去最高を更新し、前年同期から24億円の増益となりました。

海外事業も好調で、アメリカのビルをリニューアルし2019年12月に全体竣工、リーシング内定率は95%となっています。イギリスでも保有物件を売却し、新規物件の建築工事にも着手しています。

【リーシングとは】
商業用不動産の賃貸を支援する業務のことで、物件に対するテナント付けや物件の収益性を高めるための一連の業務も含まれます。

海外事業においても賃貸収益・キャピタルゲインの増加に伴い、前年同期より100億円増益の370億円という通期予想となっています。

前述した通り、アウトレットを手掛ける生活産業不動産事業や海外事業が成長していることは間違いありませんが、連結営業利益の65.9%を占めるビル事業が依然として三菱地所の屋台骨を支えています。

三菱地所は第二四半期決算発表後に通期予想2,300億円の営業利益を見込んでいます。

これは、通期予想2,800億円を見込んでいる三井不動産、2,340億円を見込んでいる住友不動産に次ぐ三番手となっています。今年度の三菱地所は昨年度の2位から一つ後退し、住友不動産に抜かれる可能性があります。

経営計画

2020年3月期は三菱地所の中期経営計画の最終年度に該当し、第二四半期決算発表ではその目標に対する予想営業利益も提示しています。

今回の中期経営計画は以下の通りです。

三菱地所グループ中期経営計画(2018年3月期~2020年3月期)

丸の内エリアを中心とする大型プロジェクトの竣工・稼働寄与
→開発・運営ノウハウ、ブランド力を最大限に発揮し、確実な収益を獲得
 

✔ 海外事業の拡大・進化
→三菱地所グループの競争力を発揮できる事業スタイルに注力し、利益成長を実現
 

✔「回転型投資」のバリューチェーン活性化
→優良物件の供給を通じ、売却益を獲得するとともに、多様なフィービジネスを展開

三菱地所の中期経営計画(2018年3月期~2020年3月期の3年間)に対して、各指標が無事に着地する見通しであると決算発表会で述べています。

生活産業不動産事業で目標比-20億円、投資マネジメント事業で目標比-40億円と当初の目標に到達しないと予想しています。

しかし、中期経営計画において注力すると明言していたビル事業では目標比+150億円、海外事業では+80億円、キャピタルゲインは目標比+130億円と予想しています。

そのため、連結営業利益では目標比+100億円の2,300億円に到達すると予想しており、今回の中期経営計画は無事目標に到達する見込みです。

【東急不動産】投資家向け不動産販売が不調も、住宅事業は好調。広域渋谷圏構想による渋谷再開発も順調に進行中。

東急不動産:2020年度第二四半期決算分析

東急不動産の2020年3月期第二四半期決算は316億円の営業利益となり、前年同期の322億円から1.5%の減益となりました。

今期決算分析

前年同期比1.5%の減益となりました。この要因の一つとされているのが、前年同期比-24億円となってしまった都市事業の不調です。投資家向けビル等売却収益が減益したため、都市事業の減益に影響したようです。

この都市事業では、東急電鉄沿線エリア、特に渋谷を中心に都市開発を進めてきました。今期は渋谷ソラスタ渋谷フクラスが竣工、渋谷駅桜丘口地区再開発も10月に着工し、開発ペースは順調の様子です、

減益した都市事業とは違い、住宅事業では前年同期比+24億円と好調で、さらに分譲マンションの引渡時期や物件売却が第四四半期に集中する傾向にあるため、第二四半期時点では通期の計画に対して順調に進捗しているそうです。

第二四半期決算発表後の通期予想は、当初の予想よりも100億円上乗せの820億円を見込んでいます。通期予想800億円を見込む野村不動産や、620億円を見込む森ビルなどと比べると、東急不動産が一歩抜きんでるかもしれません

経営計画

今年度は東急不動産の中期経営計画「Value Frontier」(2017年3月期~2020年3月期)の最終年度に当たり、近年の東急不動産の経営計画がどのように決算に影響していたか考察していきます。

Value Frontier

✔関与アセット拡大

✔新たな需要創出

 

3つの成長戦略

(1)ライフスタイル提案型の街づくり
【広域渋谷圏構想】
 

(2)循環型投資事業の領域拡大

→インフラ・インダストリー・ホテル・リゾート・学生レジデンス
 

(3)ストックの活用強化

東急不動産が強みとしている渋谷において【広域渋谷圏構想】を打ち出し、東急グループ全体での渋谷再開発を進め、個別プロジェクトの開発からエリアマネジメントや管理・運営までを含めたグループの独自性を打ち出す街づくりを進め、関与アセットの価値を高めます。

また、太陽光発電事業、風力発電事業などの再生可能エネルギーへの投資も積極的に行っています。

この中期経営計画では、2021年度3月期通期決算までに950億円の連結営業利益を目標としていますが、今期の通期予想が820億円に留まっているため、目標達成に向けてさらなる追い上げが必要になりそうです。

【森ビル】投資家向け不動産販売を抑えたことで、分譲事業が前年同期比-82億円と大きく減益。虎ノ門・麻布台プロジェクトに着工。

森ビル:2020年度第二四半期決算分析

森ビルの2020年3月期第二四半期決算は305億円の営業利益となり、前年同期の359億円から15%の減益となりました。

今期決算分析

今期決算全体では、前年同期比-54億円・15.0%減益の305億円となりました。この大きな要因が分譲事業での前年同期比-82億円の大きな減益が挙げられます。

その中でも特に、投資家向け不動産販売事業が前年同期比-181億円の減益となっています。森ビルは通期予想でも分譲事業で前年度比-66億円と見込んでいます。

森ビルは2019年8月に虎ノ門・麻布台プロジェクトに着工しました。他にもグローバルビジネスセンターの形成を予定しています。

ここから、森ビルが所有している物件を新規プロジェクトに回すために、投資家向け不動産販売事業を抑えたことが要因かと推測できます。

他の不動産が用地を取得してから再開発するのに対して、森ビルは六本木ヒルズや虎ノ門、麻布など高稼働・高単価の物件を港区に多数所有しており、その土地を再開発しているために用地取得コストがかからず事業効率が良くなっています。

実際に、主力事業の賃貸事業では高単価の賃料99%のオフィス稼働率(2019年3月期)があいまって、前年同期比+12億円の194億円の営業利益を出しています。この賃貸事業での営業利益利益率は25.2%と高いです。

主要プロジェクト:「虎ノ門・麻布台プロジェクト」

「ヒルズの未来形」「総事業費は六本木ヒルズの2倍の5800億円」

メインタワー付近には、約700人の生徒が学べるインターナショナルスクールを誘致した。「ヒト・モノ・カネを呼び込むには、外国人が働き、住み、学べることが重要だ」(森ビルの辻慎吾社長)。虎ノ門や六本木エリアには外資系企業が集積し、今回のヒルズのオフィステナントも半数が外資系企業になる予定だという。働くだけでなく、子どもも育てられる機能を付加することで、海外の企業や外国人が集まる拠点にしていきたい構えだ。

【引用】森ビル、虎ノ門「第2ヒルズ」に勝算はあるか(東洋経済ONLINE)

森ビルが構想から30年を経て着手した虎ノ門・麻布台プロジェクト。その総事業費用は六本木ヒルズの2倍である5,800億円を投じる計画です。

東京をさらなるグローバルな都市にするために、虎ノ門を「ヒト・モノ・カネ」が集まる街とすることが目的のようです。

オフィス面積・居住可能人数ともに六本木ヒルズよりも規模の大きい開発を予定しているため、竣工予定の2023年以降にさらなる賃貸事業・分譲事業で増益が見込めますが、このプロジェクトの成否によって大きく左右されると思われます。

【野村不動産】住宅事業の第四四半期ずれ込みにより大幅減益も、主力の都市開発事業は順調に推移。

野村不動産:2020年度第二四半期決算分析

野村不動産の2020年3月期第二四半期決算は217億円の営業利益となり、前年同期の260億円から16.7%の減益となりました。

CREとは
→Corporate Real Estate の略で、日本語では「企業不動産」という。企業が事業のために保有している事務所、店舗、工場、福利厚生施設などのすべての不動産を指す。

今期決算分析

前年同期比16.7%の減益となり、今回取り上げている6社の中で最も大きい減益率となりました。その大きな要因となっているのが、野村プラウドなどのブランドが有名な住宅事業での減益です。

マンションと一戸建てを併せた今年度の予定計上戸数が5,100戸であるのに対して第二四半期までには997戸で、一見すると低調な進捗に思われます。

しかし、今年度計上予定物件の多くが第四四半期に完成予定であり、通期の計上予定物件に対する第二四半期までの契約進捗率は81.8%と順調です。つまり、契約は取れているが、その物件の引き渡し時期が第四四半期に集中するため、第二四半期では大きく減益してしまったと読み取ることができます。

野村不動産の主力事業は、オフィスビル賃貸や商業施設賃貸を行う都市開発事業です。2020年3月期の通期予想での連結営業利益に対する都市開発事業の営業利益は48.1%と野村不動産の利益の約半分を担っています。

その都市開発事業の今期の営業利益は188億円・前年同期比+11.4%と好調に推移しました。これは、主に物件売却収入の増加が要因になっています。

しかし、都市開発事業のオフィスビルや商業施設での第二四半期空室率は4.3%(前年同期比+0.4%)となっています。空室率の上昇は、オフィスビルや商業施設で空きテナントの割合が増加してしまい、その分の賃料収益が減少することを意味しています。

ちなみに、三井不動産賃貸事業のオフィスビルや商業施設での第二四半期空室率は2.0%ですので、野村不動産のほうが2倍高いことが分かります。野村不動産は空室率の改善が今後の課題となりそうです。

経営計画

野村不動産は2020年3月期~2028年3月期までの9年間にわたる中長期経営改革「New Value,Real Value」を策定し、今年度はその初年度にあたります。

経営計画の概要は以下の通りです。

New Value,Real Value

✔連結営業利益:850億円(2022年3月期)

(都市開発事業:330億円/住宅事業:330億円)
 

✔分譲・売却事業
国内・海外を問わず、分譲住宅事業及び収益不動産開発事業を積極的に展開し、開発利益の拡大を実現。

 

✔保有・賃貸事業
優良な賃貸資産の開発と戦略的な物件入替により、競争力の高い賃貸資産ポートフォリオを構築し、安定した賃貸利益を実現。

 

✔海外事業
国内で培ったノウハウを活かして事業を展開し、フェーズ3(2026年3月期~20228年3月期)における海外事業の利益比率を15~20%まで拡大。

第二四半期で収益用不動産の売却収入が好調だったことで、都市開発事業での営業利益が全同期比+19億円の188億円となっています。

今後も国内外を問わずに収益用不動産開発事業を拡大させることで、営業利益を330億円までに成長させる計画です。

また、中長期経営計画では、海外事業の展開を示唆しています。

すでに進出しているタイ・ベトナム・フィリピンなどの東南アジアでさらに事業を拡大させていくだけでなく、新たな国にも拡大し、2028年3月期までに連結営業利益に占める海外事業の割合を15~20%までに成長させていく姿勢です。

デベロッパー業界の情報収集に役立つ!就活生向けLINEオープンチャットを紹介

unistyleでは業界別のLINEオープンチャットを運営しており、数多くの就活生が匿名で就活に関する情報交換をしています。

実際にデベロッパー業界志望者向けのグループでも、各社の選考に関するトークが活発に交わされています。

下記の画像をクリックすることで参加用ページに飛び、ニックネームとプロフィール画像を登録するだけで参加することができますので、興味のある方はぜひご参加ください。

デベロッパー業界志望者向けグループに参加したい方はこちらをクリック

まとめ

今回は、不動産6社のIR情報を第二四半期決算を基にまとめました。

第二四半期では、過去3年間住友不動産が首位となっていますが、その理由を紐解いていくと、住友不動産の中期経営計画に基づく賃貸事業での営業方針が要因の一つとして考えられます。

このように各社の経営状況をIR情報を基に分析してみることで、企業ごとの経営方針や各事業部での好不調が見えてきます。

さらに中期経営計画と併せて分析してみると、各社が今後注力していきたい事業領域も明白になってきます。

第二四半期決算は短期的な実績に過ぎないため、あくまで現時点での各社の経営状況ということに留意した上で、企業研究・業界研究・他社比較に本記事を役立ててもらえればと思います。

決算・IR情報に関する記事はこちら

不動産6社に関する記事はこちら

下記の動画では不動産業界の全体像を紹介していますので、参考にしてみてください。

おすすめコラム 4 件

エントリーシートは早めに提出すべき、最初に提出した人は無条件で内定することも エントリーシートは早めに提出すべき、最初に提出した人は無条件で内定することも エントリーシートの提出が、いつもギリギリになってしまう方は多いのではないでしょうか。自分が納得できる最高のものを提出したいという気持ちはわかる一方で、unistyleではエントリーシートの提出は、出来るだけ早くするように関わる学生には伝えています。よほどOB訪問や添削を明確に受ける予定があり、その日程よりも前に提出できないという明確な基準がない限りは、最短ですぐに提出した方がプラスになることは多いでしょう。提出が一番はやい学生は採用しろという社長命令某東証一部の大企業では、エントリーシートの提出が一番はやい学生については、学歴やエントリーシートの内容に関係なく採用しろと明言しているらしいです。曰く、「なんでも一番になれるやつは優秀である」とのことです。確かに仕事においても締切ギリギリに提出するよりも、早め早めに提出する人の方が評価は高くなります。エントリーシートについては提出時期も就活時期の変動があるとはいえ、予測はたてやすく内容も例年とドラスティックに変化することはありません。誰よりも前もって準備を行い、募集が開始した段階でクオリティの高いものを提出することができる学生であれば、仕事ができる可能性も高いといえます。想定される期日までに事前準備を怠らずに、発表されたら誰よりも早く動く、仕事にも共通している部分が多いといえるでしょう。悩みに悩んでもいいものができるとは限らないこういう話をすると、「クオリティが低いけど早く提出するのと、提出はギリギリだけどクオリティが高いものであればどっちがいいか?」という質問を受けるのですが、この質問自体、「時間をかけることでクオリティが上がる」ことを前提にしていますが、これは正しいのでしょうか?提出を遅らせて悩みに悩んだとしても、悩んだ分だけいいものができるとは限りません。多くの人がベストなものを出そうと思って、一人で堂々巡りの悩みを繰り返して時間を浪費してしまいがちです。OB訪問や信頼できる先輩などに添削を繰り返してもらうのであれば質は確かに向上するでしょうが、受ければ受けるほど質が向上するものでもありません。添削やアドバイスを受ける回数が少ないうちは急激に質が向上しますが、ある程度アドバイスを受ければ質の向上は急激に鈍化します。自分自身の経験については切り口も限られており、起死回生の策が急に出てくるものではないでしょう。キツイ言葉で要約してしまえば、誰に添削してもらうわけでもなく一人で悶々と考えてもクオリティは高くならないので、現状できるベストで提出するのがよいということになります。提出を遅らせるリスクについては、ギリギリに提出しようとする学生が多く回線が混みあい、締切に間に合わない、あれこれ悩んだ結果、時間に追われて却ってクオリティが下がるなどが考えられます。時間をかけてもクオリティが上がるとは限らないのであれば、これらのリスクを回避する上でも評価を高くする上でも早めに提出してしまうのがよいでしょう。最後に受験と異なり、点数や偏差値など自分を図る明確な指標がないために疑心暗鬼になってしまい、その不安を払拭するために知識を仕入れようと闇雲に時間をかけてしまうのかもしれません。多くの仕事も同様に答えはなく、限られた時間で自分のベストを求められますが、疑心暗鬼になり悩んでいるだけでは成果はでません。時間をかけるのであれば上記の通り、添削やアドバイスをもらい、それについても期限を設け、むやみに期限を伸ばさないようにしましょう。時間をかけてもクオリティは向上するとは限らない、早く提出することのメリットは大きいことを胸に刻んで今後のエントリーシートや仕事の提出物にも向き合ってもらいたいと思います。参考:→エントリーシートを郵送で提出する上での注意点をまとめた記事です。郵便局が閉まるギリギリに書き方を調べないよう、予め整理しておくことを勧めます。photobyMoto"Club4AG"Miwa 47,415 views
就活は動物園!?私が遭遇した”トンデモ人間”7選 就活は動物園!?私が遭遇した”トンデモ人間”7選 皆さん、こんにちは。就職活動を終えた19卒の学生です。就職活動は、これまで出会うことのなかった多種多様な人々と出会う良いチャンスです。これまでのコミュニティを飛び出すことで得られるものも多いでしょう。ただし、それは裏を返すと、自分とは相容れないような変わった人々とも沢山遭遇するということです。そこで今回は、私が就職活動を通して出会った”ヤバい”人々を紹介していきたいと思います。最初に断っておきますが、これから紹介する人々に関しては完全に私の主観で捉えたものです。そのため、人によって感じ方は様々かと思います。本記事から得るものは特に無いかと思いますが、皆さんの息抜きになれば幸いです。それではご紹介していきたいと思います。トンデモ人間~面接官編~これは、とある企業の採用面接での出来事です。恐らくこの方の座右の銘は、『原体験』です。志望動機を聞かれたので、私はその業界を志望する理由、その企業を志望する理由、どのような仕事をしたいかについて端的に述べました。するとひたすら、私がそのように考えた経緯について深堀りしてこられました。このような質問を延々と繰り返してきます。巷で流行りのコンピテンシー面接を意識しているのでしょう。ただ、この方の面接はコンピテンシー面接とは程遠いものでした。原体験をただ問うてくるという、質問を考えることを放棄したかのような面接が30分間繰り広げられました。ここで、面接中にも関わらず私の頭の中には1つの疑問が浮かびました。『人間ってそんなに一貫性のある生き物だっけ?????』確かに過去の出来事が今の自分を形成していることは否めません。ただし、全てが全て過去の自分の行動が今の自分に結び付いているのでしょうか?そもそも、この企業で働きたい!とか、この仕事をしたい!という思いが、何か幼少期の原体験に結びついている人なんてほとんどいないような気がします。ましてや幼少期から一貫して同じ思いを抱いている人なんて、そういないでしょう。誰もが誰もソフトバンク創始者の孫さんのような強烈な原体験を持っている訳ではないのです。子供の頃から好きなものは好きだし、嫌いなものは嫌いです。それに理由なんてあるのでしょうか。過去との繋がりを聞く時間があるなら、今後何を実現したいか、そのために何をしてきたか、今何をしているかを聞いた方がよっぽど有益ではないかと感じました。少し話が逸れたので本題に戻しましょう。このような面接官にあたった場合は、話にストーリー性を持たせるしかありません。私は無理やり原体験となりうるようなエピソードを探し出し、それが今の自分にどのような影響を与えているのかを伝えることで、無事乗り切ることが出来ました。続いては、コンサルを名乗るベンチャーで遭遇した武闘派ジジイの話をします。武闘派と聞くと暴力を振るわれたのかと思う方もいるかもしれませんがそうではありませんのでご心配なく。この方の得意技は、『自身の価値観に基づく言論封殺パンチ』です。自分基準のものさしで相手をぶん殴るという類の論法でした。この面接で開口一番に言われたのは、「で、うちで働いていくら欲しいの?」でした。正直、明確にいくら欲しいとかがなかった私は、「他人よりも少し多めに貰えたら良い」という趣旨の発言をしました。この発言が奴のスイッチを入れることになるとは思ってもいませんでした。私が上記の旨の発言をした瞬間、相手の目つきが変わり、威圧的な態度で「そんな生半可な気持ちで他人より多く金稼げると思ってるの?」と言われました。ここから、この方の自分語りが始まります。私もさすがにうんざりしていたので適当に相槌を打って聞いていました。そもそも、なぜ私がお金に重きをおいていると最初から決めつけているのかも謎でしたし、365日働くことのできる会社のガバナンスは大丈夫なのかと単純に疑問を抱きました。何より、面接という場で初めて会った相手をこういう人だと勝手に決めつけて一方的に批判できる神経には心底驚きました。また、この30分間の面接で私が話した時間は5分にも満たないでしょう。この後も、この方の人格否定とも言える発言は続くわけですが、今思い返しても腹立たしいのでここら辺にしておきましょう。トンデモ人間~学生編~某生命保険の集団面接で遭遇した学生の話です。その学生の学生時代頑張ったこと、いわゆるガクチカは、”ナンパ”を頑張ったというものでした。その時の、女性の面接官の顔は少し引きつっていたように思います。私も「何を言っているんだこいつは?」と戸惑ったのを覚えています。その学生と面接官のやりとりを以下で簡単に紹介していきたいと思います。「学生時代頑張ったことを教えてください。」「私は奥手な自分自身を変える為に、学生時代は女性をナンパすることに力を入れました。」「、、、ナンパ、、なるほど。。それは具体的にどういうことをしたのかな?」「具体的には、ライブで横の席になった女性に声をかけて連絡先を交換したり、道行く女性に話しかけたりしました。」「ナンパをする際にどんなことを心がけていたのかな?ポイントとかはあるの?」「まずは、服装や身だしなみに気をつけるようにしました。第一印象を良くするために流行りの洋服をチェックしたり、香水をつけたり、ダイエットにも取り組みました。ポイントは、まずは相手と共通の話題を探すことですね。自分と共通点があると分かったら、相手も比較的心を開いてくれるので。」「自分自身を変える為にナンパを始めたということだったけど、なんで自分自身を変えたかったのかな?その後どのように変化したかも教えてください。」「もともと高校では太っていて自分に自信が持てなくて、女子とも話すことが出来ませんでした。大学では、モテたいと思って高校の時の自分と変わる為にナンパをするようになりました。ナンパを始めたおかげで、少し自分に自信が持てるようになりました。」上記のようなやりとりが面接官とその学生との間で行われました。非常にツッコミどころが多いため、全てに言及することは出来ませんが、以下の4点が個人的には気になりました。この学生の合否については分かりませんが、選考に落ちたであろうことは想像に難くないです。3月1日が何の日かは皆さんご存知かと思います。そうです、就活解禁日(2019年現在)です。この時期になると早期内定者のマウント合戦が始まります。ここでは、私が遭遇した内定マウンターの話をしようと思います。それは、就活解禁された3月中旬のことです。私はある電力会社の説明会に参加しました。20人ほどの小規模な説明会で、人事が2人に現場社員の方が3名ほど来られていました。説明会が始まる10分前くらいでしょうか。周囲が静かであるのにも関わらず、2人の学生が周りにも聞こえるほどの声で話し始めました。2人はおそらく知り合いなのでしょう。かなり親しげに話していました。時期が時期だけに当然、就職活動の話になり、その後どこの内定を持っているかという話を彼らはしていました。すると、1人が「俺はA社(外資コンサル)の内定持ってるから、就活余裕だわ」ということをもう一方に向かって話していました。3月になり、就活生はみんなピリピリしている中、デリカシーのない発言だなとは思いましたが、内定貰ったら友達に自慢くらいしたくなるよなと聞き流していました。すると案の定、もう一方も「俺もD社(外資コンサル)の内定持ってるわ、実際ここの会社興味ないから説明会来るか迷ったわ」と大声でイキリ始めました。内定を持っていることを自慢するのは良いにしても、興味のない会社の説明会にわざわざ来てやったという旨の発言は、他の学生や社員にあまりに失礼じゃないかと怒りを覚えました。就職活動をしていると少なからず、こういう自己顕示欲に満ちたデリカシーのない人々と遭遇することもあるかと思います。ただし、内定マウントは3ヶ月も満たないうちにその効力を失います。周囲が内定を貰い始めると、ただのイタいやつになるので、ないかとは思いますが皆さんもそうならないように注意してください。インターンに行かれた方は、遭遇したことがあるかもしれません。フレームワークお化けは高確率であなたの周りにもいることでしょう。これは私の偏見かと思いますが、この類のお化けは意識高めの早慶コンサル志望に多く見受けられます。数が多いだけに非常に厄介です。このフレームワークを振りかざしてくる学生の多くが対策本の受け売りです。彼らは自分の頭で考えるより先にフレームワークを使いたがります。フレームワークが手段ではなく目的となっている場合が多いです。私も一度カード会社のインターンでこのお化けに遭遇しました。彼女はチームとして解を出すことよりも、いかにフレームワークを駆使できるかに重点を置いていたように思います。最終的には、彼女自身もフレームワークとはなんなのか分からなくなり、議論は混沌と化しました。もちろん、フレームワークを勉強し、それを活かそうという意識は評価されるべきでしょう。しかし、他の学生は疎か、本人までもがその使い方や意義を理解していない以上、フレームワークのゴリ押しは無意味でしょう。言わずもがな、私たちのグループの発表は見事撃沈しました。これは就活でよくあると言えばよくあることです。インターンでは当然メンバー同士の仲が深まります。そこに20代の男女がいるならば、予期せぬ”事故”も起こるというものです。これをチャンスと捉えるか、ピンチと捉えるかは人それぞれでしょう。ただ、彼氏彼女持ちのインターンメンバーが飲み会の後に闇に消えていったときは、この世の無常を感じざるを得ませんでした。また、遠方から来るメンバーには会社がホテルをとってくれることも多いです。そこで、"何か"が起きたということも就活中しばしば耳にしました。これから就活をするという方々は、これらの話が本当なのか嘘なのかを身を以て判断して頂ければと思います。トンデモ人間~番外編~就職活動をするにあたって、SNSで情報収集をしている方も多いことかと思います。私もその一人で、ツイッターで就活垢(就活用アカウント)を作って、インターン情報や選考情報を集めていました。上手く使えば就職活動を有利に運ぶことも可能なツイッターですが負の側面も当然あります。その1つが、『再現性ゼロアドバイスおじさん』です。こういう方々は”就活アドバイザー”を名乗っていることが多いです。このようなアカウントは、n=1の成功例でしかないにも関わらず、あたかも再現性があるかのような口調で就活生にありがたい指導をしてくださいます。しかし、このような方々のアドバイスをむやみに信じることは非常に危険です。常に自分の頭で情報の取捨選択をすることが重要です。また有難いことに、リプライやダイレクトメールを一方的に送りつけてきて、そんな就活のやり方をしてたらダメだよとわざわざ忠告してくださる方もいます。ツイッター界隈には優秀な方々が多いため、上手く活用すれば就活をスムーズに進めることも可能です。一方で、マルチや宗教くさいアカウントもあったり、偉そうに説教を垂れて来るアカウントもあるため、個人のネットリテラシーが問われます。皆さんもSNSの利用法には十分注意を払いましょう。最後に就活は、これまで接する機会のなかった人々と交流を深めるチャンスが随所にあります。この記事では、ネガティブな書き方をしてしまいましたが、皆さんにとってはそれ以上に有益な出会いがあることかと思います。私も就活後も飲みに行ったり旅行に行ったりすることのできる友人が出来ました。就職活動を単なる内定獲得ゲームと考えるのではなく、友人・知人を増やすチャンスだとポジティブに捉え、就活後も繋がりを持つことのできる関係を築くことができれば、就活も後の人生において有意義なものとなるでしょう。 21,721 views
【自己分析・業界研究・経営者の名著】就活生に夏休みに読んでほしいオススメの本 【自己分析・業界研究・経営者の名著】就活生に夏休みに読んでほしいオススメの本 まもなく大学生の皆さんは夏休みに入る頃ではないでしょうか?夏休みに入ると少し時間に余裕ができ、この時期からいよいよ本格的に就活に取り組もうと考えている方も少なくないことでしょう。そんな比較的時間に余裕のある夏休みにオススメした就活対策が「本を読むこと」です。本を読むことで視野が広がったり、面接に活かすことができるため、夏休みという時間をぜひ有効活用していただきたいと思っています。本記事では夏休みに就活生に読んでほしい本を、「自己分析」「業界研究」「経営者の名著」の3つに分けて紹介していきます。自己分析編以下では自己分析に関するオススメの本を紹介します。さあ、才能(じぶん)に目覚めよう新版ストレングス・ファインダー2.0ストレングス・ファインダーとはアメリカのギャラップ社が開発した、人の「強みの元=才能」を見つけ出すツールで、Webサイト上で177個の質問に答えていくものです。この本についているアクセスコードを公式サイトに打ち込むだけで簡単に性格診断ができます。その診断結果をもとにこの本を読むことで、性格診断で見つけた資質をどう武器にするか、どうすればその資質を持つ人たちを活かすことができるかといった強みの活かし方を知ることができます。強みを活かすためのたくさんの戦略やアイディア、ヒントが詰まっている本となっているため、自分の強みが明確に定まっていない就活生には特にオススメの本となっています。※アクセスコードは1回しか使えないので、新品を買うようにしましょう。受かる!自己分析シート41のワークシートが収録されており、それを解いていくことで自然と自分の価値が見えてくるように構成されています。この本には実際に書き込めるワークシート欄があり、各質問に対する回答事例と回答時のポイントを見ながら実際に書き込むことができます。ただ自己分析をするだけでなく、それをどう活かしていくかというところまで知ることができる本となっています。業界研究編以下では業界研究に関するオススメの本を紹介します。日経業界地図この本は日本経済新聞の記者が出版している業界分析本です。対応している業界は180以上となっており、その業界の裏情報も記載されています。この本の1番の特徴は、充実した巻頭特集です。過去のものでは、企業・業界研究の基本や「働きやすい会社トップ200」を掲載していました。2020年版では、世界シェア調査を掲載しており、さらに令和時代の業界予測も特集しています。似たような業界研究の本で「会社四季報業界地図」というものもありますが、日系業界地図の方が対応している業界数も多いため、特にオススメです。※2020年版は2019年8月に販売されます。図解入門業界研究この本は業界別に動向とカラクリがわかりやすく解説されています。1つの業界に特化されているため、すでに志望業界が決まっている就活生にオススメの本となります。図や資料で解説されているため、とてもわかりやすいです。業界別となっているので、自分の志望業界のものを探してみてください。経営者の名著編以下では大手企業の社長・経営者が著者となっている本を紹介します。一勝九敗著者:柳井正著者:柳井正(ファーストリテイリング代表取締役会長兼社長)この本はユニクロの創業者である柳井正が創業より現在までの歩みを綴ったもので、柳井正の考えを大いに知れる経営のバイブルとなっています。経営の基本となる経験や、ユニクロを育ててきた失敗談とその失敗から学んだことが書かれているので、ESや面接でもよく聞かれる「失敗から学んだこと」を考える際に、書き方を参考にしてみると就活にも活かせるのではないかと思います。ルールを変える思考法著者:川上量生(ドワンゴ社長)この本はドワンゴの川上社長自身によるゲーマー体験から導き出されたビジネス思考法が学べる本で、ユニークな視点が魅力です。ビジネスでの成功論やニコニコ動画・生放送がどのような考えで生まれ、育っていったのか、川上さんの思考法・価値観が書かれています。そのため、この本を読むことで自分の価値観とは違う新しい価値観に触れることができるのではないでしょうか。就活では価値観に関する質問をされることも多いと思うので、多くの価値観に触れておくことは非常に重要だと言えます。藤田晋の仕事学自己成長を促す77の新セオリー著者:藤田晋(サイバーエージェント代表取締役社長)この本は、サラリーマン(特に若手)向けに自身の仕事哲学を解説した一冊で、ビジネスの世界で腐らず成長し続けるための方法を本音で教えてくれています。仕事に行き詰まった時、仕事を始める前の心構えとして、知っておいた方が良いアドバイスや、起業などを通じて得たであろう成果の上げ方、マネジメント論、社内制度の工夫などを、たくさんの事例を交えてわかりやすく紹介しているのでとても読みやすい本となっています。最後に夏休みということで少し時間に余裕ができると思いますが、その時間の使い方が非常に大事です。空いている時間を有効活用することで、周りの就活生と差をつけることができると思います。せっかくの長期休みなので、自分をもう一度見つめ直したり、大手企業の経営者や社長の考え方を知ることで少しでも何か得るものがあればと思い、本記事では夏休みに就活生に読んでほしい本を紹介しました。時間に余裕のある就活生は、この記事を参考にして本を読んでいただき、"視野を広げたり、知見を深めたり"していただければと思います。【関連記事】●●● 10,706 views
就活は情報戦!有名企業内定者が実践していた効率的な選考対策とは? 就活は情報戦!有名企業内定者が実践していた効率的な選考対策とは? コラムを読んでくださっているみなさん、こんにちは。総合商社・金融内定のTです。非帰国子女・非体育会・非留学で、学生時代はサークル・アルバイトが生活の中心だった、低スペックの普通の大学生でした。そんな私は、12月から焦って就活をはじめ、また大した経験もしていなかったことから、効率的に、かつ最大限に効果的な就活を送ることを目標としていました。その中で得た、就活での情報の獲得方法をみなさんにいくつかご紹介していきたいと思います。就職活動を迎えるにあたって、みなさん就活生は自ら、能動的に情報を勝ち取りにいかなければ、情報は手に入りませんし就職活動を有利に進めることはできません。<あなたが、エントリーしたからこそ届く企業の採用情報><あなたが、説明会に参加したからこそできたOB訪問><あなたが、Twitterを駆使したからこそ知りえた限定情報>就職活動は、自分から能動的に情報を取りにいかないと始まりません!知らない間に、企業の新卒募集が終わっていた。なんてこともあり得ます。笑えません。情報弱者だったために「面接を受ける権利」すら得られないまま舞台から退場していく。そんな就活を送っている人が、就活を成功させられるでしょうか?さらには、短い就活期間で、効率性は命!!サクっと大事な情報をドバっと集めましょう!そこで今回のコラムでは、就職活動という枠組みの中で「情報強者」になるための手段をご紹介していきます。本記事のコンテンツ・1.就活に詳しい友達・高学歴の友達と話す・2.内定者を利用する・3.就職活動に関するブログ・4.サークル就職掲示板・5.2ちゃんねる・6.学生団体、内定者等がおこなっている就活セミナー・最後に1.就活に詳しい友達・高学歴の友達と話す就活に詳しい人にはもちろん、高学歴の友達のところにはより多くの人気企業に関する情報が舞い込んでいる可能性が高いものです。企業がほしい人材である高学歴の人のところには、公にはされていない「裏」情報であったり、先輩がその企業で働いていることで入る情報などがある可能性が高いのです。そのように、聞けたら儲けものといった情報だけでなく、企業の募集締め切りやセミナー情報などを友達から聞いて焦って登録、参加することも実際非常に多くあります。普段から仲のいい友達だったら気にしないかもしれませんが、そこまで親しくない…、就活の情報もらいたさに会うのは…といった場合もあるはずです。そんな時には、遠回しに会話してみたりするより、はっきり自分の狙いを伝えたほうが相手もすっきりするはず。自分からも情報を積極的に提供していくことも伝えるとなお相手の態度もそこまで難しくはならないはず。またこれは、個人的な偏見ではありますが、期末テストのとき多くの情報・ノートを持っている人って、就活にも詳しかったりする傾向がありました。2.内定者を利用するこの時期、たいていは暇をしている内定者に会うことで、就活全般について情報から、スケジューリング、その人のテクニックまで様々なことを聞けるはずです。さらに、社会人に会う以上は評価されてもおかしくはありませんし、時間も限られています。一方、内定者にはそんな権限もありませんし、上でも書いていますが圧倒的に暇です。つまり、まったく就活について知らないまっさらな状態でもリスクなしに話を聞いてもらえ、ESを何度も添削してもらうなど多少のわがままなお願いもできます。これも、自分の知り合いにいれば楽な作業ですが、知り合いの知り合いくらいのレベルで行きたい企業の人がいれば、是非紹介をお願いして会ってみましょう。成功体験をしている内定者であれば、内定者本人も成功体験は他人に偉そうに喜んでしゃべりたいものですから、会って話すのもそこまで難しいことではないと思います。3.就職活動に関するブログこれに関しては、量が膨大にあることから現在の自分にとって大事な情報を探し出すのは大変ですが、様々な検索ワード(ex,自己分析方法・総合商社年収・・・)を駆使していろいろな人が書かれている就活に関する記事を読んでみましょう。なんだかうさんくさいブログもありますが、ア○ブロ・ラ○ブドアブログ・ハテ○ダイアリーといったブログサイトには個人の考え・方法論・就活日記がしっかり書かれているブログが多くありました。そこから、自己分析の方法・業界分析の方法・就職活動のスケジュール・面接のフローといった戦略的な情報も集めることができます。4.みん就(みんなの就職活動日記)様々な業界・企業についての情報が載っている、大手就活情報サイトです。多くの就活生が利用するサイトで、業界・企業研究からES・選考対策まで、実際の就活生や内定者の声で多くの情報が載っております。企業の口コミや、選考・面接体験記、その他就活生向けのイベント告知といった幅広い情報が載っており、各社のインターン情報も載っていることから、これから就活を始める人にもおススメの情報サイトです。5.ワンキャリア「ワンランク上のキャリアを目指す、就職活動サイト」という謳い文句に違いなく、国内・外資系問わず多くの大手・有名企業に関する情報が載っております。企業情報も簡潔にまとめられ、その他クチコミ、ES・体験談、詳細な選考対策、イベント情報などが掲載され、一社に対して非常に情報が豊富なことが特徴に挙げられると思います。他にも、広く就活にまつわる記事も掲載されており、業界研究や選考対策だけでなく、最新の就活トレンドにも触れることができます。6.学生団体、内定者等がおこなっている就活セミナー内容が団体によってばらばらで、何よりうさんくさいというのが、正直なところです。しかし、こういったセミナーでは、②であったり③で獲得できる情報などが、一挙に2時間ほど凝縮された形で、就活生に還元されていくといった特徴があります。それこそ、内定者との交流会やそのセミナーに参加している就活生と知り合うことで「周りが就活に対して意識が低く、情報が少ない」「行きたい企業に内定している先輩が周りにいない。」といった部分も解決できるのです。さらに、企業の人事がその場にいるわけでもないので、リラックスして聞きたい質問をできることや、身近な存在としてアドバイスを求めることも可能です。…と以上6つの手段を、紹介させていただきました!!最後に最後に…就職活動は、情報戦です。それは、単に限定セミナーがあるといった直接的な情報から、自己分析の方法などのテクニック的な情報まで、さまざまな種類の情報すべてを指しています。情報をたくさん効率的に集めてください。しかし、同時にその大量の情報の中で溺れないでください!自分にとって必要・不必要なのか、有益・無益なのか、しっかり自分の頭で考えて情報を取捨選択することを心掛けてください!そうすることで、効率的かつ効果的な情報活用ができるはずです!みなさんの就職活動が上手くいくことを願っています!photobyPRONewtowngrafitti 32,995 views

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