新卒採用HPの抽象的な”求める人材像”。「社長の発言を紐解けば企業研究できる説」を検証してみた。

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最終更新日:2023年10月25日

新卒採用HPの抽象的な”求める人材像”。「社長の発言を紐解けば企業研究できる説」を検証してみた。

 

企業研究の目的の一つとして、求める人材像を把握することが挙げられます。

それにあたり、多くの就活生は志望する企業の採用HPにて企業が掲げる「求める人材像」を探してみた経験があると思います。

そこでは、よく以下のような人材像が掲げられています。

求める人材像のよくある例

①「変化に柔軟な人」 

②「リーダーシップがある人」 

③「成長意欲がある人」

・・・etc


しかし、こういった情報を与えられても以下のように思える人が多いのではないでしょうか。
 

就活生の本音

①企業:変化に柔軟な人

→就活生: その業界、企業における"変化"って?

 

②企業:リーダーシップがある人

→就活生:どんな背景からリーダー候補を求めている? 

 

③企業:成長意欲がある人

→就活生:成長意欲が必要なのは当然では?

このように、就活生向けに抽象化された採用HPの情報では、自分は具体的にどのような人材を目指せばよいのか、選考過程でどのような素養をアピールすればよいのかが見えてこないことが多いように思います。

そこで、採用HPよりも色濃く「求める人材像」を反映する材料として、インタビューやスピーチでの社長の発言に注目しました。

社長はその企業を代表してメッセージを発信するため、社長の発言はその企業の総意と捉えることができるからです。

また、就活生へ向けたメッセージだけでなく、一般の人向けや自社社員向けの発言の中にも企業研究に繋がる情報が含まれているはずです。

本記事では、有名社長・柳井正氏の発言と直近で世間を賑わせた社長の発言を例として取り上げながら、社長の発言を紐解けば企業研究できる説を検証していきます。

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企業研究例① 起業家のカリスマ『柳井正社長』の発言から企業研究してみた

まず一例として、ユニクロやGUを子会社に持つファーストリテイリングを一代で築き上げたカリスマ社長『柳井正氏』の発言を抜粋し、企業研究に繋げていきます。

ここでは、以下の4つの発言に注目し、考察します。

  • 「日本にはビジネスチャンスは少ない」
  • 「人間のピークは25歳」
  • 「これからは情報産業とサービス業だけになる」
  • 「全員がリーダーになれ!」

 

「日本にはビジネスチャンスは少ない」

NHK NEWS WEBより


NHK NEWS WEBでのインタビューにて、日本の企業がグローバル化を目指さなければいけないという文脈での発言です。

海外でビジネスをしようと思うと、何も規制はない。日本は所得とか消費の問題もあるが、いちばんの問題は金利がゼロとかマイナスであること。これは裏を返していえば、日本にビジネスチャンスが少ないということ。 

日本は少子高齢化に加え、マイナスorゼロ金利。借り手が減り、その資金が海外へ流れています。そこで、柳井社長は「海外でビジネスを展開した方が良い。」と判断しました。

事実、2018年の決算では海外での売上が初めて国内での売上を上回っています。今後の海外展開については、以下のようにコメントしています。

東南アジアが一番だと思う。中国が大きく成長して、その次の成長は東南アジア、その次はたぶんインドだと。東南アジアからインドにかけてやっぱり出店していくし、そこで優秀な人材を採って、将来的な経営幹部を育成していく」「アジア40億の人々のうち、今だと10億人くらいがようやく中産階級になって、車とか家を買う前にまず服を買うでしょう。だから買ってもらえるような服をつくっていきたい。

柳井社長は「今の日本にはいらいらしますよ」と言うほど現代の日本に厳しい意見を持っています。

少子高齢化などに伴う市場規模の縮小により企業が海外への進出を目指すのは今や当たり前ですが、柳井社長はすでに海外をメインの市場と捉えており、そこで幹部候補になりえる人材を求めています。

小売業界やアパレル業界の志望者であれば海外勤務にあまり興味のない人、もしくは消極的な人も少なくないかもしれません。

しかし、今やどのアパレル企業もグローバル展開は避けて通れないでしょう。その中でも特に入社後海外勤務となる可能性が高いのがファーストリテイリングであるといえます。

そのため選考過程では、海外勤務やそこでの経営への意欲があるのを前提とし、それを積極的にアピールすること、またなぜ海外なのか、海外で何を成し遂げたいのかを語れるようにしておくことが大切です。
 

「人間のピークは25歳」

朝日新聞デジタルより

これはファーストリテイリング入社式にて以下の文脈で語れられた、新入社員を激励するための発言です。

人間のピークは25歳だと思っている。スポーツ選手でも科学者でも小説家でも。新入社員の皆さんはピークアウトが近いから、それ以降は経験と勉強。自分で学んで実行していく態度が必要だ

実力主義で知られる当社なだけに、「25歳をすぎれば切り捨てられるのでは!?」とネット上で波紋を呼ぶ発言となりましたが、柳井社長の真意は異なるようです。

直後に、

だから若いうちに、できたらピーク前に、『自分としてはこっちの方向に行きたいな』『こういう風になりたいな』という風に思わないと、決してうまく行かないと思う。

と続けており、若いうちから夢や目標を掲げることを求める趣旨であると考えられます。

事実、ファーストリテイリング傘下のユニクロは、新卒既卒といった区分をなくして通年で採用する仕組みを導入しており、これは全学年が対象で、国籍も問われません。

学部1年生であっても内々定が出る可能性があるということです。(ただし選考の過程では店舗でのインターンシップまたはアルバイトを経験することが求められています。)学年や年齢に関係なく、夢や目標をもった人材を積極的に採用していく姿勢がうかがえます。

年功序列などの日本的な風潮や安定志向を嫌う柳井社長。若いうちから実力主義に乗って這い上がっていく姿勢を持つ人材を求めています。

「何でもいいからとにかくファストリに入社したい!」という姿勢では評価されないので、入社後どういったことを実現したいのかを具体的に語れるようにしておく必要があります。ユニクロやGUでは最初の数年は店舗スタートなので、そこでの仕事内容に絡めて伝えられれば目標が具体的になるでしょう。
 

「これからは情報産業とサービス業だけになる」

日本経済新聞より


日本経済新聞のインタビューにて、小売業の今後を以下のように語った際の発言です。

これからは情報産業とサービス業だけになる。小売業もなくなる。すでに製造から小売りまで一体化したがそれでは足りない。デジタル化は消費者個々人の嗜好を生産に直結できる可能性を持つ。

かつてのアパレル業界では、製造業者が作り、卸売業者が買い集め、小売業者が販売するという分業体制が当たり前で、ユニクロも当初は小売業者でした。

しかし20年ほど前から自社企画商品を手がけはじめ、現在ではユニクロのビジネスモデルは「商品企画・生産・物流・販売までの自社一貫コントロールにより、高品質・低価格のカジュアルブランド『ユニクロ』を提供する製造小売業(SPA)」として知られています。

またそれだけでなく、デジタルを駆使して店頭での各商品の売れ行き情報を迅速に各部に行き渡らせ、効率的な生産・流通計画を可能にしています。自社内商品のみを扱っているからこその強みであると言えます。

それでも柳井社長は「それだけでは足りない。」と言い、デジタルがいずれ消費者の嗜好を生産に直結させうる(情報製造小売業)と予想しています。

つまり、小売業が電子商取引(EC)に融合され、消費者が望む商品がすぐに生産できて、その商品の詳細な情報が瞬時に手に入る、そんなビジネススタイルを目指しているようです。柳井社長はこれを「情報の商品化」と表現しています。

急速に進むデシタル化により、アパレルを取り巻く環境は大きく変化しています。「自宅で服が買える」ようになった現代、従来のアパレル業界のビジネスモデルでは生き残ることはできません。

「自分の志望業界はITや通信じゃなくてアパレルだから」といって世のデジタル化に無頓着であるのではなく、変容していくデジタルビジネスを理解、考察しようとする姿勢が大切です。

例えば同じくデジタルビジネスを駆使したAmazonやzozotwonとファーストリテイリングのビジネスモデルを比較してみても、それぞれ違った特徴があることがわかります。(ビッグデータのアマゾン、高度な物流システムのzozo、SPAのファストリ、、等)

このような視点は業界理解が深まるだけでなく、「なぜうちなのか」という問に説得力のある答えを示す志望動機の作成にも繋がります。
 

「全員がリーダーになれ!」

起業家倶楽部より


ファーストリテイリング社内コンベンションの中で、以下のような文脈で社員を鼓舞しました。

社員の方、アルバイトの方、パートの方、例え今日から加わった誰であろうと、全員に「経営者になれ」、「商売人になれ」、「リーダーになれ」とお願いしたい。

東南アジアでもそれぞれの国で1000億円売るようにしようと思うと、1つの会社を作って、そこで経営をやる人材を起用しなければいけない。だから、世界中で経営ができる人材の育成をやってみたい。


グローバル化を重要視している柳井社長は、今後世界中に店舗数を伸ばしていくにあたり、各地で経営を任せられる人材の育成に励んでいます。

柳井社長が考える世界中で経営ができる人材とは、語学力や学歴、資格といった要素を備えた人材というわけではなく、以下のようにもっと本質的なことを重要視しているようです。

「学歴や国籍は関係ない。不思議だが、大学であまり勉強していない人のほうがグローバル化に向いていると思う。最初、ことばはできなくても、海外へ行って必死で仕事をやっていたら、すぐにできるようになる。それよりも、人とコミュニケーションが可能かどうか、オープンマインドに自分ができるかどうか、相手の人間に対して、一緒に仕事をしようという態度で接することが可能かどうか、そういうことのほうが、より大事なことだ。」

繰り返しになりますが、柳井社長はグローバル化を重要視しており、今後さらなる海外出店を目指す上でリーダーとなる経営者の育成は不可欠のようです。

選考過程では、リーダーとしての資質組織の中心となった経験をアピールすることが重要でしょう。

事実、unistyleの選考レポートを見てみると、ファーストリテイリングには「グローバルリーダー」という採用枠が設けられ、選考の過程ではリーダーとしての経験や考え方が深く問われるようです。

ファーストリテイリング選考レポート(2020卒 男性)の一部抜粋

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このように、リーダーとしての経験や考え方についてかなり深堀りされています。

また、語学力よりマインド重視といっても決して語学力がどうでもいいというわけではありません。

グローバルマインドを備えた学生であれば結果として語学力の強化にも積極的なはずです。実際に面接にてTOEICを受けていない人がそこを突っ込まれたという選考レポートもあります。

ファーストリテイリングのES・選考レポート一覧はこちらから

このように、発言の趣旨やその背景を理解すると、ファーストリテイリング主要子会社であるユニクロやGUが採用HP中で掲げている求める人材像(「高い志」や「リーダーシップ」など)もより具体的にイメージできるのではないでしょうか。

ユニクロの採用HPはこちら
GUの採用HPはこちら

企業研究例② みずほ・トヨタの社長の発言から企業研究してみた

次に、直近で世間を賑わせた社長の発言2つを抜粋し、企業研究に繋げてみます。

「ゼネラリストに価値はない」(みずほFG 坂井辰史社長)

週刊東洋経済より

2019年8月、みずほファイナンシャルグループは2019年度から始まる中期経営計画の期間を従来の3年から5年に変えて、抜本的な改革を行うことを発表しました。

その際、同社社長である坂井辰史氏は週刊東洋経済のインタビューにて次のような発言を残しています。

極端な言い方をすれば、ゼネラリストというのは、社内のことをよく知っている人で、社会に出たときにバリューのない人だ。それぞれが『スペシャリスト』でなければいけない。

マイナス金利政策が経営に影響し、これまでの事業モデルでは立ちいかなくなっているメガバンク。

そんな非常事態での改革にあたって、みずほはさまざまな分野の担当者たちをまとめ上げられるような人材ではなく特定の分野において突出した知識や経験を持つ人材を求めていることがわかります。

「終身雇用限界」(トヨタ 豊田章男社長)

日経ビジネスより

2019年5月、トヨタ自動車社長豊田章男氏の以下の発言が世間に大きな衝撃を与えました。

雇用を続ける企業などへのインセンティブがもう少し出てこないと、なかなか終身雇用を守っていくのは難しい局面に入ってきた。

ハードからソフトへのビズネスモデルの変化やビジネスの短サイクル化などが影響し、日本の大企業を支えてきたメンバーシップ雇用が限界を迎え、実力主義的なジョブ型雇用への移行意思が読み取れます。

日本的雇用の象徴的な存在であったトヨタですが、今後は「日系大手は入ってしまえば一生安泰」というイメージを持った安定・安心を求める就活生は評価されません。

上記のファーストリテイリング同様、入社後どういったことを実現したいかをはっきり示す必要があるでしょう。

社長の発言から企業研究する上で注目すべきポイント



それでは、社長の発言を考察する際に注目すべきポイントを紹介します。

①社長が目指しているその企業の成長の方向性

どの社長も自社を成長させたいと思っていることは共通ですが、その方向性は様々です。

既存の市場で既存の製品やサービスをさらに浸透させたいのか、新しい市場や新しい製品・サービスを目指すのか、またそれらは具体的にどの点が新しいのか、、などなど、その方向性に沿うような人材像を考察しましょう。

海外という新しい市場で、情報製造小売業という新しいサービスを展開しようとしているファーストリテイリングでは「グローバル化」と「デジタル化」が重要であるという先述の考察例のように、社長が目指す企業成長戦略から求められる素養が見えてきます。

②社長が考えるその企業の強み  

自社の強みは社長にとって誇りであり、事業を展開していく上での武器です。

ファーストリテイリングがSPAという独自のビジネスモデルで小売不況を跳ねのけているように、こういった独自の強みは他社では語れないポイントです。

特に同業他社との強みの違いを意識することでその企業独自の志望動機の作成に繋がります。

③社長が考えるその業界の今後

めまぐるしく変化するビジネスにおいて、社長は常に生存戦略・成長戦略を練っています。

その道のプロでありビジネスのプロである社長の分析は、その業界の今後を考察する上で大変参考になります。

柳井社長が小売業の終焉を予想しこれからの情報産業の重要性を説いているように、業界の未来だけでなくそこで重要になってくるであろう素養やスキルも見えてきます。

このように、社長の分析によって自分自身の考えだけでは行き着かないような深い業界研究に繋がります。

最後に



志望する企業やその社長が有名であるほど、インタビューやスピーチも多いと思います。

本記事で示したような視点で紐解けば、その企業の境遇や求める人材像が色濃く見えてくることもあるので、企業研究・業界研究に役立てるのも一つの手法かもしれません。

もちろん、参考になるものもならないものもあるので、情報を自分なりに取捨選択し、本当に必要な部分だけを活かすことを意識していただければと思います。

最後に企業研究に役立つ記事と社長の発言に注目した記事を掲載しておきますので、こちらも併せてご覧ください。

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10月29日、英FinancialTimes(FT)誌にて三井物産・安永竜夫社長のインタビューが掲載されました(11月15日現在、和訳版はリリースされていません)。インタビューのタイトルは“TatsuoYasunaga,MitsuiCEO,onJapan’snewentrepreneurship(三井物産・安永竜夫CEOが、日本の新しいアントレプレナーシップを語る)”。三井物産や総合商社に入社したいと考えている学生はもちろん、事業を創出する仕事に興味がある学生にとって、非常に示唆の深い内容となっています。参考:TatsuoYasunaga,MitsuiCEO,onJapan’snewentrepreneurship(FT)本記事では和訳も付記しながら、安永社長のインタビュー内容から①三井が誇る「起業家のDNA」で“資源依存”脱却②社内カルチャーを変革する「2つの制度改革」就活生にとっても興味深いであろう、以上2つのポイントについて紹介・考察します。①三井が誇る「起業家のDNA」で“資源依存”脱却「資源の三井」が直面した資源リスク2016年3月度の決算発表にて、資源価格の下落の影響から史上初の連結最終赤字に転落した三井物産。三井物産は、金属やエネルギーなど資源分野に大きな強みをもつ一方、保有資産が資源分野に偏りすぎているとして「資源一本足打法」などと揶揄されてきました。FT誌のインタビュー記事によれば、“Forallthebreadthofitsportfolio,hehadinheritedacompanywhoseprofits(itdisclosedatthetime)fell¥2.8bn($23.7m)forevery$1perbarreldropinthepriceofcrudeandhadbeen,justthreeyearsearlier,90percentderivedfromresourcesandenergy.(安永社長が就任した当時の三井物産は、原油価格が1バレルあたり1ドル下落するごとに28億円の損失が出る状態にあった。そのわずか3年前には、利益全体の90%が金属資源とエネルギーによるものだった)”というほど、資源分野に偏ったポートフォリオを保有していた三井物産。資源には価格変動が付き物であり、そうした市況の影響から逃れることはできません。資源ビジネスへの依存度が高いほど、必然的に価格変動によるリスクも大きくなります。2016年に計上した巨額の赤字によって、三井物産は改めてその「資源偏重リスク」を強く認識したはずでしょう。同年は伊藤忠商事が非資源ビジネスを武器に総合商社1位に躍進したこともあって、三井物産は”資源依存”からの脱却=非資源ビジネスの強化という新たな課題に向き合うことになりました。参考:三井物産・三菱商事、「初の赤字転落」の深刻度(東洋経済オンライン)物産ショックから1年-「三菱商事、三井物産」赤字見通し発表から1年でどうなった?(ZUUonline)「資源の三井」の非資源シフトこうした経緯から、三井物産は「強い資源をより強く」の方針こそぶらさないものの、あくまで“acceleratetheshiftawayfromresources(資源からのシフトを加速させる)”ことに注力しています。事実、2017年3月期には当期純利益3,061億円のうち約1,400億円を機械・インフラなどの非資源分野で稼ぎました。また、現在の中期経営計画「DrivingValueCreation」では、2020年には非資源セグメントで全体の約45%にあたる2,000億円の当期利益を達成するという目標を掲げています。参考:三井物産中期経営計画非資源強化のキーは、三井が誇る「起業家のDNA」こうした非資源強化の方針について、FT誌が掲載した安永社長のインタビュー記事では“Heispushingtheventurecapitalandprivateequitythemes,andhopingthatMitsui’s“DNA-rooted”entrepreneurialismwillcreatenewbusinesslinestotakeitsinvestmentsdeeperintoconsumermarketsandabsorbnewtechnologies.(安永社長は、ベンチャー・キャピタルおよびプライベート・エクイティのビジネスを推し進めている。また、三井物産のDNAに根付く起業家精神が、消費者市場にさらに深く投資し、新たなテクノロジーを吸収する新規ビジネスを創造することを望んでいる)”とあります。三井物産は、その長い歴史のなかで培われてきた「起業家のDNA」を活かし、新たな非資源ビジネス領域にも積極的に投資して事業を創造していくことを目指しているようです。さらに、“Thetradinghousemodel,hesays,iswellplacedtomakeithappen.AndunlikepureprivateequitygroupssuchasBainandKKR,headds,Mitsuiisusedtotakingaverylongview.(安永社長によれば、日本の総合商社のビジネスモデルは、そのような新規ビジネスを成功させるにあたって都合のよいポジションにある。また、ベイン・キャピタルやKKRのようなピュアなPEファンドとは違い、三井物産は長期的な視野に立って投資を行うことに慣れがある、とも述べた)”として、新規ビジネスへ投資するうえでの総合商社の優位性が強調されています。これまで資源偏重のポートフォリオで戦ってきた三井物産。しかし、「企業家精神」を喚起する安永社長のもと、これまでさほど注力してこなかった非資源領域にも積極的に踏み込んでいく方針のようです。なお、先日も欧州のEV(電気自動車)ベンチャーへの出資を決定するなど、上記の方針はすでに具体的な案件にも落とし込まれています。参考:②社内カルチャーを変革する「2つの制度改革」冒頭にあげた記事にて、FT誌は“MrYasunagafacestwochallenges;bothpointtothedifficultiesofbringingculturalchangetoacompanywhosehistorydatesbackto1876.(安永社長は、2つの困難に挑む。これらは双方とも、その歴史は1876年にまでさかのぼる三井物産において、その社内カルチャーを変革することの難しさによるものだ)”として、安永社長が取り組む2つの制度改革を紹介しています。(1)採用システムの変革:中途採用の増加1点めは、これから就職活動を行う学生にもダイレクトな影響があるかもしれない論点です。“theJapanesecorporaterecruitmentmodel—wherebyacompanytakesalargeblocofentrantsonceayear—isinflexible.MrYasunagahasalreadyincreasedtoabout60ayearthenumberofpeopleithiresfromoutside.(日本企業の採用システムでは、年に1度の新卒採用が採用枠の大半を占めており、融通が効きにくい。(これに対する打ち手として、)安永社長はすでに中途採用の採用人数を年間およそ60名に増やしている)”このように、三井物産は中途入社(転職者)を積極的に迎え入れる方針に転換しつつあるようです。現在、新卒の採用人数は例年通りの水準をキープしているようですが、こうした中途採用方針を今後も続けていくようであれば、将来的には新卒採用や社内構造にも大きな影響が出るかもしれません(新卒採用の人数枠が小さくなる、中途入社組が上位ポストに就くことで新卒入社組の出世が遅くなる等)。なお、三井物産は今年8月に新卒の学生を対象に「合宿」形式の選考を開催したり、2年前には博士課程の学生に限定した採用活動をスタートしたりと、さまざまな切り口から採用活動を変革しています。参考:交渉役に役者12人三井物産が挑んだ新卒採用合宿とは(日本経済新聞)三井物産、博士課程採用スタート!採用担当者が求める「多様性」とは(withnews)(2)社内制度の変革:社内ベンチャー公募制度の導入2点めは、各社員に社内ベンチャーの起業を促す公募システムの導入です。“Theinnovationofwhichheismostproudisasupportsystemthatencouragesstafftocreatebusinessstart-upswithinthecompany.Twentyproposalshavebeenreceivedinthefirstyear.(社内改革として安永社長が最も誇っているのは、社員に対して社内スタートアップ起業を促す支援制度を導入したことである。(この実績として)初年度には20件の提案が受理された)”この制度は2017年4月にアナウンスされたもので、入社7年目以上の社員を対象に起業アイデアを募集し、社内選考を通過した案件については起案者本人と三井物産が出資するかたちで社内ベンチャー企業を設立するというものです。三井物産が最大3億円を出資するものの、発案者にはあくまで当事者として経営の舵取りを行ってもらうため、発案者本人にも数百万円程度の出資を義務付けています。参考:三井物産、社員本人出資の社内ベンチャー新制度導入(日本経済新聞)また、安永社長自身が“Itencouragesouryoungguysto...runthebusinessthemselves,utilisingMitsui’sbusinessplatformforlegal,accounting,taxationandevenmarketing.(この制度は、弊社の若手社員が自分の手でビジネスを経営するよう促すものです。彼らは、法務や会計、税制、そしてマーケティングにおいてさえも、三井物産のビジネス・プラットフォームを活用することができます)”と述べているように、資金調達のみならず三井物産のノウハウやビジネス環境までもが社内スタートアップに提供されるようです。個人での資金負担が必要になる(ストック・オプションを保持できるという意味ではメリットでもあります)とはいえ、三井物産に籍を置いたまま、それも三井物産から資金やノウハウの支援を受けながらスタートアップを起業できる、極めて魅力的な制度であると言えるでしょう。なお、導入初年度にあたる今年は全20件のアイデアが集まっているようです。今後、同制度からどんな社内ベンチャーが生まれるかにも注目したいところです。参考:最後に本記事では、英FT誌に掲載された安永社長のインタビューから①三井が誇る「起業家のDNA」で“資源依存”脱却三井物産が誇る“DNA-rooted”entrepreneurialismによって非資源領域にも積極的に投資を行い、新規ビジネスを創造すること②社内カルチャーを変革する「2つの制度改革」中途採用の強化にみられる採用改革、社内ベンチャー公募制度の導入など、社内制度の刷新によってイノベーションの障壁となりうる社内文化を改革すること以上2つのポイントを抜粋し、三井物産が見据える「改革」についてご紹介しました。総合商社は学生から最も人気のある業界の一つですが、入社後のビジョンを明確にイメージできている学生は決して多くないように感じます。本記事で取り上げた三井物産の例のように、各社がこれからどのような方針にもとづいて事業を展開していこうと考えているのか、きちんと理解しておくべきでしょう。参考:総合商社の業界研究photobyThoroughlyReviewed 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【200万円の入会料や軟禁も…】就活生を食い物にする悪徳就活塾の闇に迫る… 【200万円の入会料や軟禁も…】就活生を食い物にする悪徳就活塾の闇に迫る… 「第一志望の企業に落ちてしまった。これからどうすればいいのだろう。誰かに相談したい。」という不安を抱える就活生の気持ちに付け込む悪徳就活塾が存在することをご存知でしょうか?中には200万円の講座費用を請求されたり、入会するまで軟禁する悪徳就活塾もあるみたいです。もちろん全ての就活塾が悪ではないと思いますが、unistyle読者の皆様にはぜひ気を付けて頂きたいと思い、筆を執りました。本コラムでは悪徳就活塾とは何なのか、悪徳就活塾の見極め方について、事例を含めてご紹介します。就活塾とはそもそも就活塾とは何なのか。就活塾とは一言で言うと、就職活動支援塾のことです。就活生に対して、有償で支援を行います。支援内容としては、エントリーシートの書き方、面接、グループディスカッションの模擬練習、ビジネスマナーの指導等があります。就活塾と言っても、就活塾によって様々なコースがあるため、以下でそれぞれのコースについて紹介します。総合コース面接やエントリーシートの添削といった実践的なことだけでなく、自己分析の方法や企業研究の方法など、就活の基礎についても教えてくれます。総合コースに関しては個別で行っているところが多いため、自分のペースで対策を行うことができます。幅広いノウハウを身につけたい就活生にオススメのコースです。短期レッスン直近の選考の対策がしたい就活生や、エントリーシートの添削をしてほしい、グループディスカッションの練習がしたいなど、自分に必要な対策が明確に分かっている就活生にはオススメのコースとなっています。短期レッスンコースは短時間でノウハウを学べることがメリットです。マンツーマンコースマンツーマンでレッスンを行うため、細かい指導をしてもらうことができます。また、自分が行きたい業界に特化したアドバイスを受けることができるため、短期間でのスキルアップが見込めます。講師と会話をしながら行うため、自分の弱点や強みなどを知りながら、どのように自分の個性をアピールするかなど、より具体的なサポートを受けることができます。細かいサポートを受けたい就活生にオススメのコースです。職種別コース志望している業種が専門的な知識が必要な場合は、職種別コースがオススメです。実際にその業界で勤務経験がある講師が指導してくれるため、専門的な知識はもちろん、仕事のやりがいや大変だと感じることなど、より深い話を聞くことができます。そのため、その仕事に対するイメージが1番つきやすいコースであると言えます。悪徳就活塾とは悪徳就活塾とは、就活生に対して詐欺まがいのビジネスを行う就活塾のことを指します。「就職に役立つ」と謳い、就活生の不安な心理に付け込んできます。例えば高額な入会金を請求したり、強制的に入会させようとしてきたりするそうです。以下で具体的な事例を紹介します。就活生が悪徳就活塾の被害にあう流れ会社説明会の会場近くや大学周辺でアンケートに答え、連絡先を記入↓電話があり、事務所を訪問↓個室で威圧的な雰囲気の中で長時間にわたって契約をせまられる↓「検討したい」と言うと「今決めなければ内定を取れない」などと言われる↓「お金がない」と言うと借金を迫られて、金融会社を紹介される↓心理的に追い詰められた就活生は、勧誘から逃れたい一心で契約してしまう。このような流れで悪徳就活塾は就活生に契約をさせるそうです。勧誘から逃れたい一心で契約してしまう就活生の気持ちはわからなくはありません。しかしそこで契約してしまうと、多額のお金を要求されたり、大変な思いをすることになるので、悪徳就活塾だと感じたら、しっかりと断るようにしましょう。悪徳就活塾事例悪徳就活塾の事例をいくつか紹介します。「電話がしつこくて無料だというから、就活塾とかいう類のセミナー初めて受けたけど、個人面談という名目の勧誘だよあれ。貧乏学生を食い物にする商い…怖かったー」「説明会まで時間あるからボーッとブラブラしてたら、就活塾みたいな勧誘に捕まってしまった…正直に電話番号書くんじゃなかったかな」引用:学生の不安に漬け込む悪徳「就活塾」40万円支払ったケースも企業家交流会でとある女性に出会いました。その女性に「就活支援事業を行っていて、うちの会社に尊敬できるボスがいるから来てほしい」と言われ、遊びに行きました。実際に訪問したら、サングラスをした男性(ボス)がいて、薄くて中身のない話を聞かされました。そんな無駄話が続いた後、突然説教が始まりました。「お前は甘えている」「話の理解力がない」など理不尽なもの。一通り説教を受け帰れるかと思いきや、「就活は大変だけど、大丈夫ですよ。僕たちが支援しますから」と入会の勧誘が始まりました。最後に就活支援を受けるための費用を聞かされたのですが、その料金はなんと200万円!!ありえないので、速攻帰りました。引用:怪しいと評判!200万円の就活支援塾の感想まとめ合同説明会の帰り、会場近くの路上で、若い女性に「就活生の意識調査をしております」と声をかけられてアンケートに協力したのですが、とても話が上手だったのでその場でライン交換してしまいました。無料の就活相談会やセミナーがあるとラインで誘われたのですが、実際に行くと狭いブースで3時間に渡り「そんな自己PRじゃどの企業も選考に通らない」「このままじゃいくら頑張っても一生成功しない」と人格否定され続け、有料の就活セミナー講座を受講するように言われました。お金を忘れた・・・といって逃げてきましたが、契約するまで帰さない、といったような感じで怖かったです。引用:セクハラや圧迫面接、就活詐欺などみんなの”就活の闇”実体験が歌に!上記の事例をまとめると、悪徳な就活塾は「長時間拘束される」「人格を否定される」「しつこく勧誘される」などの特徴が挙げられます。また、上記3つの事例に共通する特徴として、"最初に就活塾は有料であるということを伝えず、参加した段階で入会の勧誘や受講の案内を伝える"というものがあります。気軽に誘われたからという理由でフラッと参加してしまうと、後々大変な目に合ってしまうため、参加する際にはしっかりと確認した上で決断するように心掛けましょう。悪徳な就活塾を見分けるために正直悪徳な就活塾か否か見分けることは難しいと思いますが、もし就活塾を利用するか検討している就活生がいたら、以下のポイントは注意してみてください。●入会の説明などがなく、即決させる優良な就活塾は、無料説明会を開催し、就活塾について細かく教えてくれますが、悪徳な就活塾は悪徳と気づく前に契約を結ぼうとするため、勧誘したその場で判断させてくるみたいです。●講師陣の紹介で、ほとんどの講師が大企業・有名企業出身となっている悪徳就活塾は講師の経歴を詐称している場合があります。提示されている情報を鵜呑みにするのではなく、自分でしっかりと調べることが大切です。●インターネットでの評判が悪い悪徳就活塾はインターネット上に、住所を記載しないようです。そのため、悪徳かどうか調べる際には、住所の記載があるか、また就活塾名をインターネットで検索し、悪い評判がないか調べることで、見分けることができると思います。こう見ると、優良な就活塾と悪徳な就活塾では、対応がまったく異なることがわかります。その場で強引に契約させる悪徳就活塾に比べ、優良な就活塾は説明会を開催したりなど、就活生の不安を払拭しようとしています。見分けるということは一見難しいと思うかもしれません。しかし住所が記載されていないなどといった見分け方なら簡単に調べることが出来ます。また、悪徳就活塾は実績に関しても記載していないそうです。その点も優良か悪徳か見分けるポイントになると思います。まとめ本記事では悪徳就活塾について紹介しました。今の時期、就活がうまくいかない、どうしたら良いかわからない、そんな悩みを持った就活生がたくさんいると思います。そんな時に就活塾が支援してくれると聞いたら、入会したくなりますよね。悪徳就活塾はそんな就活生の弱みに付け込んできます。もちろん全ての就活塾が悪徳というわけではありません。しかし、悪徳就活塾が存在しているというのは事実であるため、就活塾を検討している就活生は先程紹介したポイントに注意しつつ、本当に役立つ就活塾を選んでみてください。また、unistyleの親会社でも新卒紹介サービスを行っています。もし就活で悩んでいたり、誰かに相談したいと思っている方は、ぜひ利用してみて下さい。就職AGENTneo 8,141 views
半沢直樹にみる銀行と総合商社の2つの違い 半沢直樹にみる銀行と総合商社の2つの違い 半沢直樹を毎週楽しみにしているUnistyle株式会社代表の樋口です。原作者の池井戸潤さんが、三菱銀行出身ということもあり、かなりリアルに描かれているドラマで、僕の周囲の銀行員も毎週楽しみにしていると絶賛の声が多いです。本日は自分の総合商社にいた経験と、総合商社にいながら銀行系の関連会社に出向した経験、及び半沢直樹のドラマを見て、銀行と総合商社の違いについて思うところを書きたいと思います。本記事のコンテンツ・1.成果が個人に紐づくか、組織に紐づくか・2.人事部の立ち位置・3.銀行に就職するのがいいのか、商社に就職するのがいいのか・4.最後に1.成果が個人に紐づくか、組織に紐づくか半沢直樹を見ていて、総合商社とは大きく違うなと感じるのが、成果に対する考え方です。西大阪スチールに対する5億円の焦げ付きの際も、担当者である半沢直樹が回収から、回収できなかった際の責任まで取らされそうになるなど、個人の責任がかなり重いように感じます。現役銀行員の方に書いていただいたこちらの記事にもある通り、銀行員の評価は、個人がどれだけ「数字」を上げられるかにかかっています。これは課長だろうと、新入社員だろうと、融資残高や投資商品の手数料収入など、同じ評価基準で評価されるがゆえに、個人の貢献度が非常にわかりやすいために起こるものであると考えられます。一方で、総合商社では、個人に数字が紐つきにくくなっています。トレード一つをとっても、営業する人、営業をサポートする人、船積みの手配をする人、受け渡しをする人など多くの人が関わりながら、仕事をしています。また近年ではトレードの利益以上に、総合商社では投資先からの配当や持分法投資損益が大きな利益を占めており、主な業務は投資先の価値向上につながる施策の立案と実行と、短期的に成果の出にくいものとなっています。銀行においては「数字」という非常にわかりやすい指標で評価してもらえるというメリットの一方で、個人成績と評価がダイレクトに結びつくため、成績が出ない場合、非常に大きなストレスを感じることになります。総合商社では、多くの場合チームで行動するために、個人の成績で顕著に差がつくということはありません。一方で、個人としての成果がわかりにくいため、上司の好き嫌いなど、評価に不透明な要素が入り込む余地が大きいと言えます。2.人事部の立ち位置もう一つの大きな違いは、人事部の立ち位置です。半沢直樹においては、西大阪支店の浅野支店長が人事部上がりのエースとして、失脚前は大きな力を握っており、また机バンバンで、ネット上で人気の小木曽次長にも、支店の裁量臨店にも同席するなど、銀行内において、人事部の力は非常に大きいようです。日本の多くの企業が中央集権的なシステムを取っており、そのため、社員の行く末を握る人事部にはエリートを集めて、将来の幹部候補として育てるというケースが、多々あるようです。銀行だけではなく、メーカーなどにおいても人事部はエリートコースとして認識されているケースが多いように感じます。総合商社の場合、人事部は必ずしも出世コースではなく、人事部出身の社長はいません。総合商社においては、カンパニー制など、各事業部ごとの組織が独立採算で成り立っているケースが多く、事業部内の人事権については、その組織長が持っているため、人事部が個別に、誰を駐在させるといった組織内の人事に関わることはありません。総合商社における人事部の仕事は、新卒・中途・海外での採用計画や、給与体系・全体としての人事制度の策定など、全社的な案件が多く、営業部が人事権を持つ外資系企業に近い形となっているように思います。3.銀行に就職するのがいいのか、商社に就職するのがいいのか最近では総合商社の好調な業績も相まって、特に高学歴な学生の間では総合商社の人気が高まっているようですが、ほんの少し前までは、銀行が総合商社よりも人気だった時代があり、その人気は時代とともに移り変わっています。重要なことは、上記であげたような違いやそれぞれの会社でのやりがい、辛いことなどの働き方に関する情報を、文字情報だけでなく、OB訪問や社会人と接することでリアルに触れながら、自分はどちらの環境で働きたいのかを考えることでしょう。内定者の中には外資系コンサルやメーカーの内定を断って、銀行に就職する人もいます。自分なりの判断基準を確立するためにも、大学生活の早い段階から、OB訪問を行い、リアルな情報に接して欲しいと思います。半沢直樹を機に、就職活動を控えた三年生だけでなく、一、二年生も働くとはどういうことか、自分の将来をどうしたいのか意識してもらえればうれしいです。【半沢直樹の原作】最後にphotobypetercastleton 55,590 views
2016年度総合商社上期決算レビュー【unistyle業界研究ニュース】 2016年度総合商社上期決算レビュー【unistyle業界研究ニュース】 2016年度上期の総合商社の決算状況が出揃いました。2015年度決算に続き、上期実績および年間見通しでも伊藤忠商事が総合商社首位の座を守っています。そこでunistyle独自の視点から2016年度の総合商社の上期決算を振り返ってみたいと思います。2016年度も伊藤忠商事が首位を堅守2016年度上期実績および年間見通しは下記の通りとなり、伊藤忠商事が上期実績でも年間見通しでも首位となりました。三菱商事は昨年度の大幅赤字からV字回復を果たしています。一方で、2年連続の減損をしたにも関わらず、住友商事は資源分野で上期でまだ赤字を出すなど苦戦を強いられています。各社の2016年度上期実績三菱商事三井物産住友商事伊藤忠商事丸紅資源分野590522▲107282▲116非資源分野1,1957096531,242935その他修正13▲11111498▲13合計1,7981,2206582,022805※各社IR資料よりunistyleが独自作成各社の2016年度年間見通し三菱商事三井物産住友商事伊藤忠商事丸紅資源分野1,21090020510▲90非資源分野2,0801,1001,4502,4601,620その他修正10200▲170530▲230合計3,3002,2001,3003,5001,300※各社IR資料よりunistyleが独自作成三菱商事:資源価格の上昇を見込み、32%上方修正三菱商事は資源価格の上昇を踏まえて、年間の純利益見通しを2500億円から3300億円に上方修正しました。昨期大幅に減損を行った効果が早くも出ています。その他非資源分野も堅調に推移しており、業績予想は3300億円と、伊藤忠商事に迫っています。期末までこのデッドヒートが続くことが予想されます。2016年度上期年間見通し資源分野エネルギー事業259410金属331800非資源分野地球環境インフラ154210新産業金融157330機械255250化学品162250生活産業4671,040その他・調整1310合計1,7983,300三井物産:資源価格の上昇を見込み、10%上方修正三井物産も三菱商事同様に、昨年大幅な減損をしたことおよび資源価格が上昇したことから、年間の見通しを2000億円から2200億円に上方修正を行いました。一方で、年間の見通しでも非資源分野の純利益合計が1100億円と総合商社5社の中で最も低いなど、これまで資源分野に偏ったポートフォリオを築いてきた影響が響き、三菱商事および伊藤忠商事とは1000億円以上純利益で差がつく見通しとなっています。2016年度上期年間見通し資源分野エネルギー9150金属513750非資源機械・インフラ342550化学品72150生活産業206250次世代・機能推進69100鉄鋼製品2050海外266550その他調整▲277▲350合計1,2202,200住友商事:2期連続減損にも関わらず資源分野は苦戦傾向住友商事は2014年度、2015年度と二年連続で資源価格の下落を受け、未だ資源分野で大幅な利益を出すには至っていません。非資源分野についても、5大総合商社の中で4位と低迷しており、2016年度の最終利益の見通しも丸紅と同じ1300億円となっています。財閥系総合商社として三菱商事、三井物産に続く第三位の座を堅持していましたが、近年は伊藤忠商事に完全に水を開けられた形となってしまっています。2016年度上期年間見通し資源分野金属2080資源・化学品▲127▲60非資源分野輸送機・建機230470環境・インフラ102260メディア・生活関連321720非営業等111▲170合計6581,300伊藤忠商事:2年連続純利益首位の見通し昨年度、創業以来初めて総合商社首位の座を奪った伊藤忠商事は2016年度の上期実績および年間見通しでも首位の座につきそうです。三菱商事、三井物産に比べて資源分野は及ばないものの、非資源分野では首位を守っています。特に食料分野が非資源分野を牽引し、非資源分野合計で2460億円の純利益予想となっています。2016年度上期年間見通し資源分野金属148300エネルギー・化学品134210非資源分野繊維120330機械260600食料494700住生活192430情報・金融176400その他および修正消去498530合計2,0223,500丸紅:すっかり総合商社5番手が定着してしまった丸紅ここ10年間、総合商社5番手が定着してしまった感のある丸紅は今期の業績見通しも住友商事と並んで総合商社ビリとなってしまっています。非資源分野の見通しは、得意の紙パルプ、電力・プラント事業の貢献から1620億円と3番手となるものの、唯一、年間見通しで赤字となっている資源事業が足を引っ張る形となっています。2016年度上期年間見通し資源分野エネルギー・金属▲116▲90非資源分野生活産業301550素材159270電力・プラント291500輸送機184300全社および消去等▲13▲230合計8051,300最後に資源価格を落とせるときにしっかりと落としてきた、三菱商事・三井物産が資源価格の回復とともに浮上してきたとともに、伊藤忠商事が首位をキープした上期決算となりました。今後、資源価格がさらに上昇を続けると、伊藤忠商事の首位を三菱商事が脅かすことになると考えられます。photobyDaveDugdale 18,141 views

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