新卒採用HPの抽象的な”求める人材像”。「社長の発言を紐解けば企業研究できる説」を検証してみた。

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最終更新日:2023年10月25日

新卒採用HPの抽象的な”求める人材像”。「社長の発言を紐解けば企業研究できる説」を検証してみた。

 

企業研究の目的の一つとして、求める人材像を把握することが挙げられます。

それにあたり、多くの就活生は志望する企業の採用HPにて企業が掲げる「求める人材像」を探してみた経験があると思います。

そこでは、よく以下のような人材像が掲げられています。

求める人材像のよくある例

①「変化に柔軟な人」 

②「リーダーシップがある人」 

③「成長意欲がある人」

・・・etc


しかし、こういった情報を与えられても以下のように思える人が多いのではないでしょうか。
 

就活生の本音

①企業:変化に柔軟な人

→就活生: その業界、企業における"変化"って?

 

②企業:リーダーシップがある人

→就活生:どんな背景からリーダー候補を求めている? 

 

③企業:成長意欲がある人

→就活生:成長意欲が必要なのは当然では?

このように、就活生向けに抽象化された採用HPの情報では、自分は具体的にどのような人材を目指せばよいのか、選考過程でどのような素養をアピールすればよいのかが見えてこないことが多いように思います。

そこで、採用HPよりも色濃く「求める人材像」を反映する材料として、インタビューやスピーチでの社長の発言に注目しました。

社長はその企業を代表してメッセージを発信するため、社長の発言はその企業の総意と捉えることができるからです。

また、就活生へ向けたメッセージだけでなく、一般の人向けや自社社員向けの発言の中にも企業研究に繋がる情報が含まれているはずです。

本記事では、有名社長・柳井正氏の発言と直近で世間を賑わせた社長の発言を例として取り上げながら、社長の発言を紐解けば企業研究できる説を検証していきます。

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企業研究例① 起業家のカリスマ『柳井正社長』の発言から企業研究してみた

まず一例として、ユニクロやGUを子会社に持つファーストリテイリングを一代で築き上げたカリスマ社長『柳井正氏』の発言を抜粋し、企業研究に繋げていきます。

ここでは、以下の4つの発言に注目し、考察します。

  • 「日本にはビジネスチャンスは少ない」
  • 「人間のピークは25歳」
  • 「これからは情報産業とサービス業だけになる」
  • 「全員がリーダーになれ!」

 

「日本にはビジネスチャンスは少ない」

NHK NEWS WEBより


NHK NEWS WEBでのインタビューにて、日本の企業がグローバル化を目指さなければいけないという文脈での発言です。

海外でビジネスをしようと思うと、何も規制はない。日本は所得とか消費の問題もあるが、いちばんの問題は金利がゼロとかマイナスであること。これは裏を返していえば、日本にビジネスチャンスが少ないということ。 

日本は少子高齢化に加え、マイナスorゼロ金利。借り手が減り、その資金が海外へ流れています。そこで、柳井社長は「海外でビジネスを展開した方が良い。」と判断しました。

事実、2018年の決算では海外での売上が初めて国内での売上を上回っています。今後の海外展開については、以下のようにコメントしています。

東南アジアが一番だと思う。中国が大きく成長して、その次の成長は東南アジア、その次はたぶんインドだと。東南アジアからインドにかけてやっぱり出店していくし、そこで優秀な人材を採って、将来的な経営幹部を育成していく」「アジア40億の人々のうち、今だと10億人くらいがようやく中産階級になって、車とか家を買う前にまず服を買うでしょう。だから買ってもらえるような服をつくっていきたい。

柳井社長は「今の日本にはいらいらしますよ」と言うほど現代の日本に厳しい意見を持っています。

少子高齢化などに伴う市場規模の縮小により企業が海外への進出を目指すのは今や当たり前ですが、柳井社長はすでに海外をメインの市場と捉えており、そこで幹部候補になりえる人材を求めています。

小売業界やアパレル業界の志望者であれば海外勤務にあまり興味のない人、もしくは消極的な人も少なくないかもしれません。

しかし、今やどのアパレル企業もグローバル展開は避けて通れないでしょう。その中でも特に入社後海外勤務となる可能性が高いのがファーストリテイリングであるといえます。

そのため選考過程では、海外勤務やそこでの経営への意欲があるのを前提とし、それを積極的にアピールすること、またなぜ海外なのか、海外で何を成し遂げたいのかを語れるようにしておくことが大切です。
 

「人間のピークは25歳」

朝日新聞デジタルより

これはファーストリテイリング入社式にて以下の文脈で語れられた、新入社員を激励するための発言です。

人間のピークは25歳だと思っている。スポーツ選手でも科学者でも小説家でも。新入社員の皆さんはピークアウトが近いから、それ以降は経験と勉強。自分で学んで実行していく態度が必要だ

実力主義で知られる当社なだけに、「25歳をすぎれば切り捨てられるのでは!?」とネット上で波紋を呼ぶ発言となりましたが、柳井社長の真意は異なるようです。

直後に、

だから若いうちに、できたらピーク前に、『自分としてはこっちの方向に行きたいな』『こういう風になりたいな』という風に思わないと、決してうまく行かないと思う。

と続けており、若いうちから夢や目標を掲げることを求める趣旨であると考えられます。

事実、ファーストリテイリング傘下のユニクロは、新卒既卒といった区分をなくして通年で採用する仕組みを導入しており、これは全学年が対象で、国籍も問われません。

学部1年生であっても内々定が出る可能性があるということです。(ただし選考の過程では店舗でのインターンシップまたはアルバイトを経験することが求められています。)学年や年齢に関係なく、夢や目標をもった人材を積極的に採用していく姿勢がうかがえます。

年功序列などの日本的な風潮や安定志向を嫌う柳井社長。若いうちから実力主義に乗って這い上がっていく姿勢を持つ人材を求めています。

「何でもいいからとにかくファストリに入社したい!」という姿勢では評価されないので、入社後どういったことを実現したいのかを具体的に語れるようにしておく必要があります。ユニクロやGUでは最初の数年は店舗スタートなので、そこでの仕事内容に絡めて伝えられれば目標が具体的になるでしょう。
 

「これからは情報産業とサービス業だけになる」

日本経済新聞より


日本経済新聞のインタビューにて、小売業の今後を以下のように語った際の発言です。

これからは情報産業とサービス業だけになる。小売業もなくなる。すでに製造から小売りまで一体化したがそれでは足りない。デジタル化は消費者個々人の嗜好を生産に直結できる可能性を持つ。

かつてのアパレル業界では、製造業者が作り、卸売業者が買い集め、小売業者が販売するという分業体制が当たり前で、ユニクロも当初は小売業者でした。

しかし20年ほど前から自社企画商品を手がけはじめ、現在ではユニクロのビジネスモデルは「商品企画・生産・物流・販売までの自社一貫コントロールにより、高品質・低価格のカジュアルブランド『ユニクロ』を提供する製造小売業(SPA)」として知られています。

またそれだけでなく、デジタルを駆使して店頭での各商品の売れ行き情報を迅速に各部に行き渡らせ、効率的な生産・流通計画を可能にしています。自社内商品のみを扱っているからこその強みであると言えます。

それでも柳井社長は「それだけでは足りない。」と言い、デジタルがいずれ消費者の嗜好を生産に直結させうる(情報製造小売業)と予想しています。

つまり、小売業が電子商取引(EC)に融合され、消費者が望む商品がすぐに生産できて、その商品の詳細な情報が瞬時に手に入る、そんなビジネススタイルを目指しているようです。柳井社長はこれを「情報の商品化」と表現しています。

急速に進むデシタル化により、アパレルを取り巻く環境は大きく変化しています。「自宅で服が買える」ようになった現代、従来のアパレル業界のビジネスモデルでは生き残ることはできません。

「自分の志望業界はITや通信じゃなくてアパレルだから」といって世のデジタル化に無頓着であるのではなく、変容していくデジタルビジネスを理解、考察しようとする姿勢が大切です。

例えば同じくデジタルビジネスを駆使したAmazonやzozotwonとファーストリテイリングのビジネスモデルを比較してみても、それぞれ違った特徴があることがわかります。(ビッグデータのアマゾン、高度な物流システムのzozo、SPAのファストリ、、等)

このような視点は業界理解が深まるだけでなく、「なぜうちなのか」という問に説得力のある答えを示す志望動機の作成にも繋がります。
 

「全員がリーダーになれ!」

起業家倶楽部より


ファーストリテイリング社内コンベンションの中で、以下のような文脈で社員を鼓舞しました。

社員の方、アルバイトの方、パートの方、例え今日から加わった誰であろうと、全員に「経営者になれ」、「商売人になれ」、「リーダーになれ」とお願いしたい。

東南アジアでもそれぞれの国で1000億円売るようにしようと思うと、1つの会社を作って、そこで経営をやる人材を起用しなければいけない。だから、世界中で経営ができる人材の育成をやってみたい。


グローバル化を重要視している柳井社長は、今後世界中に店舗数を伸ばしていくにあたり、各地で経営を任せられる人材の育成に励んでいます。

柳井社長が考える世界中で経営ができる人材とは、語学力や学歴、資格といった要素を備えた人材というわけではなく、以下のようにもっと本質的なことを重要視しているようです。

「学歴や国籍は関係ない。不思議だが、大学であまり勉強していない人のほうがグローバル化に向いていると思う。最初、ことばはできなくても、海外へ行って必死で仕事をやっていたら、すぐにできるようになる。それよりも、人とコミュニケーションが可能かどうか、オープンマインドに自分ができるかどうか、相手の人間に対して、一緒に仕事をしようという態度で接することが可能かどうか、そういうことのほうが、より大事なことだ。」

繰り返しになりますが、柳井社長はグローバル化を重要視しており、今後さらなる海外出店を目指す上でリーダーとなる経営者の育成は不可欠のようです。

選考過程では、リーダーとしての資質組織の中心となった経験をアピールすることが重要でしょう。

事実、unistyleの選考レポートを見てみると、ファーストリテイリングには「グローバルリーダー」という採用枠が設けられ、選考の過程ではリーダーとしての経験や考え方が深く問われるようです。

ファーストリテイリング選考レポート(2020卒 男性)の一部抜粋

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このように、リーダーとしての経験や考え方についてかなり深堀りされています。

また、語学力よりマインド重視といっても決して語学力がどうでもいいというわけではありません。

グローバルマインドを備えた学生であれば結果として語学力の強化にも積極的なはずです。実際に面接にてTOEICを受けていない人がそこを突っ込まれたという選考レポートもあります。

ファーストリテイリングのES・選考レポート一覧はこちらから

このように、発言の趣旨やその背景を理解すると、ファーストリテイリング主要子会社であるユニクロやGUが採用HP中で掲げている求める人材像(「高い志」や「リーダーシップ」など)もより具体的にイメージできるのではないでしょうか。

ユニクロの採用HPはこちら
GUの採用HPはこちら

企業研究例② みずほ・トヨタの社長の発言から企業研究してみた

次に、直近で世間を賑わせた社長の発言2つを抜粋し、企業研究に繋げてみます。

「ゼネラリストに価値はない」(みずほFG 坂井辰史社長)

週刊東洋経済より

2019年8月、みずほファイナンシャルグループは2019年度から始まる中期経営計画の期間を従来の3年から5年に変えて、抜本的な改革を行うことを発表しました。

その際、同社社長である坂井辰史氏は週刊東洋経済のインタビューにて次のような発言を残しています。

極端な言い方をすれば、ゼネラリストというのは、社内のことをよく知っている人で、社会に出たときにバリューのない人だ。それぞれが『スペシャリスト』でなければいけない。

マイナス金利政策が経営に影響し、これまでの事業モデルでは立ちいかなくなっているメガバンク。

そんな非常事態での改革にあたって、みずほはさまざまな分野の担当者たちをまとめ上げられるような人材ではなく特定の分野において突出した知識や経験を持つ人材を求めていることがわかります。

「終身雇用限界」(トヨタ 豊田章男社長)

日経ビジネスより

2019年5月、トヨタ自動車社長豊田章男氏の以下の発言が世間に大きな衝撃を与えました。

雇用を続ける企業などへのインセンティブがもう少し出てこないと、なかなか終身雇用を守っていくのは難しい局面に入ってきた。

ハードからソフトへのビズネスモデルの変化やビジネスの短サイクル化などが影響し、日本の大企業を支えてきたメンバーシップ雇用が限界を迎え、実力主義的なジョブ型雇用への移行意思が読み取れます。

日本的雇用の象徴的な存在であったトヨタですが、今後は「日系大手は入ってしまえば一生安泰」というイメージを持った安定・安心を求める就活生は評価されません。

上記のファーストリテイリング同様、入社後どういったことを実現したいかをはっきり示す必要があるでしょう。

社長の発言から企業研究する上で注目すべきポイント



それでは、社長の発言を考察する際に注目すべきポイントを紹介します。

①社長が目指しているその企業の成長の方向性

どの社長も自社を成長させたいと思っていることは共通ですが、その方向性は様々です。

既存の市場で既存の製品やサービスをさらに浸透させたいのか、新しい市場や新しい製品・サービスを目指すのか、またそれらは具体的にどの点が新しいのか、、などなど、その方向性に沿うような人材像を考察しましょう。

海外という新しい市場で、情報製造小売業という新しいサービスを展開しようとしているファーストリテイリングでは「グローバル化」と「デジタル化」が重要であるという先述の考察例のように、社長が目指す企業成長戦略から求められる素養が見えてきます。

②社長が考えるその企業の強み  

自社の強みは社長にとって誇りであり、事業を展開していく上での武器です。

ファーストリテイリングがSPAという独自のビジネスモデルで小売不況を跳ねのけているように、こういった独自の強みは他社では語れないポイントです。

特に同業他社との強みの違いを意識することでその企業独自の志望動機の作成に繋がります。

③社長が考えるその業界の今後

めまぐるしく変化するビジネスにおいて、社長は常に生存戦略・成長戦略を練っています。

その道のプロでありビジネスのプロである社長の分析は、その業界の今後を考察する上で大変参考になります。

柳井社長が小売業の終焉を予想しこれからの情報産業の重要性を説いているように、業界の未来だけでなくそこで重要になってくるであろう素養やスキルも見えてきます。

このように、社長の分析によって自分自身の考えだけでは行き着かないような深い業界研究に繋がります。

最後に



志望する企業やその社長が有名であるほど、インタビューやスピーチも多いと思います。

本記事で示したような視点で紐解けば、その企業の境遇や求める人材像が色濃く見えてくることもあるので、企業研究・業界研究に役立てるのも一つの手法かもしれません。

もちろん、参考になるものもならないものもあるので、情報を自分なりに取捨選択し、本当に必要な部分だけを活かすことを意識していただければと思います。

最後に企業研究に役立つ記事と社長の発言に注目した記事を掲載しておきますので、こちらも併せてご覧ください。

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日系大企業かベンチャーかは内定してから考えよう 日系大企業かベンチャーかは内定してから考えよう 就職活動を始めると日系大企業かベンチャーかというのはよく話題にあがります。それぞれのメリット、デメリットについてはだいぶ議論されてきたように思います。日系大企業を中心に受けるか、ベンチャー企業を中心に受けるか悩んでいる人も多いのではないでしょうか。一方で日系大企業もベンチャー企業も両方内定してから選んだ方がよいという話はあまりされないように感じるので、今回は両方内定してから生き方を選ぶ利点について説明したいと思います。選考時期が大きく異なる日系大企業とベンチャー企業日系大企業の選考時期とベンチャー企業の選考時期は大きくずれており、ある程度早めに就職活動を始めていれば併願するのはそこまで難しくありません。経団連に所属している日系大企業であれば、就職活動解禁日以後に始まると考えて問題ありません。一方でベンチャー企業は早い企業は夏のインターンシップで選抜を行い、夏のインターンシップ終了後に内定を出すケースや、通年採用で採用期間中には都度、面接を行い、優秀な人材であれば随時内定を出します。内定出すことをウリに夏のインターンシップに学生を集めるベンチャー企業も多くあります。時期がずれているため、夏から余裕を持って就職活動を始めれば両方の選考を受けることは難しくないでしょう。「第一志望だ」と言わなくても内定は出るそうはいっても、とにかく様々な企業を受けることを勧めると、「業界研究が大変になるから受ける業界を絞りたい」という学生が多くいますが、業界研究はそこまで必要ないケースが少なくありません。多くの学生は、「説明会に参加する→業界研究をして志望度を高める→面接では志望度の高さを伝える」というフローが重要だと考えているようですが、自己PRや学生時代の経験から優秀そうであること、企業選びの軸やキャリアの考え方を聞いて自社とマッチしていると感じれば、業界知識がなくても内定を出すケースは少なくありません。特にベンチャー企業であれば自社に対する理解は選考を通して深めてもらえればよいと考えている会社も多く、そうした企業では選考過程に説明会や職場見学、社員紹介など自社の理解を深める選考内容になっています。またベンチャー企業の採用担当は、日系大企業に行きたい学生の気持ちも理解しており、「第一志望だ」と言わずとも内定を出すことも少なくありません。優秀な学生に対して内定を出しながら自社の魅力を伝えて囲い込む戦略で採用活動をしている会社も多いのが実態です。第一志望ではなくても下記の2つのコラムの通り、企業選びの軸やキャリアを選ぶ上で重要視していることを話した上で、正直に迷っていることを伝えれば十分でしょう。参考:無理矢理でも「第一志望です」と答えなければいけないのか参考:志望度低め・業界研究していない企業の面接の受け方内定先の満足度を徐々に切り上げる戦略内定先の満足度を徐々に切り上げてキャリアを考えようとして就職活動を勧める人気企業の内定者は少なくありません。下記のコラムの通り、ベンチャー企業の選考は面接の練習と割り切った上である程度満足のいく内定先をもらい、一社内定をもらったらそこよりも行きたいと思える企業を受けていくと、面接慣れもできるし、複数の内定先から選択することを続けることで自分が仕事に何を求めているのかリアルに考えることができます。参考:悩む暇があったら内定を取れ!広告代理店内定者が語る就職活動の極意その1三菱商事に内定するような学生でも面接慣れするまではかなり落ちる過去の多くの学生を見ていても、非常に優秀で三菱商事に内定するような学生でも面接に慣れるまでは思わぬ企業で落とされることがあります。面接を多くこなすうちに、自分のどんな話に相手は興味を持ってくれるのか、面接での話の間の取り方はどうすればいいのかといったことが体感的に理解できます。スペックも高く優秀だけど、受ける企業が少なく面接慣れしないままに第一志望業界を受けてしまったために落ちてしまう学生が例年多く存在します。前述の通り、早い段階から面接に慣れてさらに内定をもらっておくことでそうした事態を未然に防ぐことができます。内定がないと媚をうる面接になりがち残念ながらそもそも内定がない段階で、日系大企業かベンチャーかと選り好みをしても選べる立場ではありません。理想論的には就職活動は学生と企業のマッチングであり、どちらも選ぶ立場だと言えますが、現実的には人気企業であればあるほど多くの学生が受けてくるわけで、実際には学生は選ばれる立場に過ぎません。特に内定がない段階で第一志望の企業の面接を受けるとどうしても、「選ばれたい」という気持ちが前面に出てしまい、企業に媚を売ってしまい結果として評価されないということが往々にして起こります。参考:媚を売るのは辞めよう!「御社じゃなくてもいいんです」というのが最高の志望動機媚を売らず、自然体で面接を受けるためにも、「この会社なら入ってもいいかも」と思える企業の内定を持った上で選ぶ立場として面接を受けることをオススメします。複数内定をもらった上で主体的に選ぶことでリアルに将来を考えられる内定をもらわないうちから、この業界がいいとかあの業界がいいと考えても本当に働くことができるわけではなく憧れの域を出ないことが少なくありません。複数内定をもらった上で悩みながらどちらにするのか、特に大企業とベンチャーのようにキャリアの振り幅の大きい選択をすることで、リアルに自分が仕事に何を求めているのか、どういったキャリアを歩みたいのか考えることができます。総合商社やメガバンクなどの日系大企業の内定をもらいながらも、練習で受けていたベンチャー企業の魅力に押されて、ベンチャーに進路をとった学生も少なくありません。もちろん両方の内定をもらって悩んだ末に総合商社やメガバンクを選んだ学生もいます。重要なことは正反対の選択肢について真剣に悩むことで、自分が仕事に本当に求めていることは何か考えることです。だからこそある程度満足のできる就職先、特に正反対の選択肢になりうるベンチャーと大企業の両方の内定をもらった上で判断してほしいと思います。最後に日系大企業かベンチャーか、就職活動生の間でも議論になることは多いでしょう。議論して両方のメリット・デメリットに対する理解を深めるのはよいかとだと思いますが、それ以上に実際に選考を受けてどちらの企業からも内定をもらい、実体験として理解を深めた方がよいと思います。受ける前から必要以上に日系大企業だからこうだとか、ベンチャー企業はこうと決め付けすぎずに受けながら理解を深めるぐらいの余裕を持って就職活動をしてもらえればと思います。 20,059 views
書評:『なぜ7割のエントリーシートは読まずに捨てられるのか?』 書評:『なぜ7割のエントリーシートは読まずに捨てられるのか?』 今回は刺激的なタイトルに目を引かれ、購入したこちらの本について、ご紹介します。就職活動を企業側の視点から、学生の質問に答えるような形式でわかりやすく説明してくれているため、就職活動前の学生にオススメの一冊となっています。なぜ7割のエントリーシートは読まずに捨てられるのか?著者はリクルートグループで20年間以上、雇用の現場を見てきた経験から雇用関連の本を多数執筆してきた海老原氏です。海老原氏は、unistyleの就活前に読んでおきたい就活関連漫画&小説傑作選でもご紹介した『エンゼルバンク』の主要人物の一人であるカリスマ転職代理人・海老沢康生のモデルとなった方です。日本の就職活動について、そのメリット・デメリット含めて中立な視点から語っているので、その他の著作についても興味のある方は読んでみてはいかがでしょうか。日本で働くのは本当に損なのか(PHPビジネス新書)2社で迷ったらぜひ、5社落ちたら絶対読むべき就活本―受ける「順序」を変えるだけで、内定率アップ!本書の内容本書は、リクルートグループで20年間働いた経験から、様々な実例から「企業は何を思っているか」「どうしてそんなことをするのか」について詳しく説明したものです。構成としては、学生側の下記の質問に対して、著者がばっさりと回答するという形式で進んでいきます。質問内容のみ引用しますので、興味のある方はぜひ手に取って読んでみてください。質問1.インターンシップに行くと仕事や会社が見えてきますか?質問2.20代でもトップになれる企業っていいですね。質問3.説明会の予約が取れません。大学名で差別はあるのですか?質問4.今でも学閥とかあるのですか?質問5.なぜ、応募を受け付ける大学を指定しないのですか?質問6.企業は、学歴フィルターで応募者を絞っているのですか?質問7.エントリーシートって、やっぱり重要ですか?質問8.エントリーシートの使われ方が、見抜けますか?質問9.共通エントリーシートって普及しますか?質問10.履歴書の写真が黒縁メガネだと、落ちると聞きましたが……。質問11.委員長やNPO代表などの華々しい経験がないのですが……。質問12.英語ができると就活に有利ってホントですか?質問13.大学名に自信がないので、資格をたくさんとろうかと……。質問14.適性検査で根暗だとバレて、落とされますか?質問15.算数と国語みたいな試験を受けました。これで落ちますか?質問16.グループディスカッションでは、司会役が採用されると聞きますが……。質問17.アルバイトやサークルの話は意味がないってホントですか?質問18.なぜ、どの企業も志望動機を聞くのですか?質問19.社会貢献や、事業への情熱を語るべきでしょうか?質問20.人気ランキングを操作している企業があるって本当ですか?質問21.人気順位の高い企業は、将来も安定しているでしょうか?質問22.文学部は人気企業に入りにくいのですか?質問23.最近は男子より女子学生が優秀と言われますが……。質問24.新卒採用は年々減って、厳選化が進んでいるのですか質問25.バブルのころは人気企業も楽勝だったと聞きますが……。質問26.一部の優秀な学生に人気企業の内定が集中すると聞きますが……。質問27.結局、企業ってあいまいな基準で選考をしているのでしょ?質問28.出身高校名まで気にする企業が多いのですか?質問29.外国人採用が増え、日本人学生はますます苦しくなりますか?質問30.入社後に宴会芸をさせられます。日本的で嫌です。質問31.欧米なら大卒後ゆっくり将来を考えられると聞きます。就活のくだらない噂は全てめったぎりにしてくれていますので、就活の噂話に翻弄されたり、ついつい読んでしまいがちな人はぜひ読んでほしいと思います。企業が見ているのは「仕事がきちんとできるか」「仲間とうまくやれるか」の二点だけ本書の根幹となる主張の一つが、「企業が見ているのは「仕事がきちんとできるか」「仲間とうまくやれるか」の二点だけ」というものです。しかも、「仲間とうまくやれるか」というのは自社の仕事をしっかりとこなせて初めて成立するものであるため、「仕事」と「周囲の仲間」に合うかどうかというのは、かなりの部分がその会社の仕事内容、つまり業界別に傾向が似てくると説明しています。これはunistyleの企業別選考対策で常に語っている「企業が求める人材を把握する」という内容に繋がるものです。unistyleの企業別選考対策では、特に「仕事がきちんとできるか」という部分に焦点をあて、就職活動において、学生がなかなか直視しない仕事の実務や実際のビジネスケースについて紹介し、そこで求められる能力や性格、志向性について説明しています。証券会社では、厳しい競争環境の中で個人に成績が紐づくため、「個人として成果を上げること」や「競争環境の中で実績をあげること」に向いている人、やりがいを感じる人が向いていると考えられます。参考:野村證券のESと採用HPから考える野村證券の求める人材一方で、総合商社においては、個人に実績が紐づくことはそこまで多くなく、周囲の人とどう協力し、事業を進めていくかが問われているため、「リーダーシップ」や「異なる背景・考えの人と協働する」ことに向いている人、やりがいを感じる人が向いていると考えられます。参考:三井物産のエントリーシートから考える三井物産が求める人材実際に両社の内定者のESの自己PRや成し遂げたいこと、実現したい生き方を読んでみると違いが何となく見えてくるのではないでしょうか。参考:三井物産企業研究参考:野村證券企業研究最後に多くの学生だけでなく、就活を支援する社会人でも、「面接はフィギュアスケートの演技のように、面接官がその技巧や表現に点数をつけている」と思って、ノックは何回・おじぎの角度は何度などくだらない枝葉に右往左往してしまいがちです。本書にもある通り、企業が見ているのはシンプルに、「仕事がきちんとできるか」「仲間とうまくやれるか」の二つを見ているだけだと理解できれば、就職活動において考えるべきことが明確になるでしょう。結局、その業界においてどのような働き方をするのか知り、内定者や働く人の考えに触れる中で、自分に合っているのかどうか考えることが大事だと言えます。「ああすれば受かる」や「○○はしてはいけない」といった都市伝説に多く出会うと思いますが、そういった噂に惑わされずに、考えてほしいと思います。credit:MattiMattilaviaFindCC 55,350 views
学生よ、これが社畜の宴会芸だ!某総合商社にまつわる伝統芸能「お酒様」とは!? 学生よ、これが社畜の宴会芸だ!某総合商社にまつわる伝統芸能「お酒様」とは!? 【参考動画】多くのゼミやサークルなどで、夏合宿が開催され、参加された学生の方も多いと思いますが、その際に宴会芸を求められるということはありませんでしたか?私自身も学生時代は部活の夏合宿では、全員が学年ごとに男女に分かれて、宴会芸を披露していました。宴会芸はサラリーマンにもついて回ります。新入社員歓迎会、寮祭、歓送迎会、送別会、クリスマスパーティーなどなど、人が集まるところに催し物ありと、サラリーマンになった場合、多くの場面でチーム一丸となっての宴会芸が求められることでしょう。今回は、社会人の宴会芸の中でも、最も有名と言われる某総合商社の「お酒様」についてご紹介しましょう。1.お酒様とは何か上記動画を見ていただければ、よくわかると思いますので、あまり多くを語りませんが、簡単に説明すると、お酒様とは結婚式における宴会芸であり、赤いふんどし一丁の屈強な猛者たちが、一升瓶を抱えて入場し、お酒の妖精=お酒様として、新郎の過去の悪事を全て暴露し、新郎と一緒になって一升瓶を飲み干すことで体を清め、新婚生活を迎えてもらおうという儀式になります。今現在のところ、多少の新婚旅行での喧嘩事案が発生したということはあっても、このお酒様が原因で破綻したカップルというのは聞いたことがないので、儀式としてその役目を立派に果たしているのでしょう。某総合商社において、盛んに行われ、某総合商社の結婚式と言えばお酒様と言われるぐらいに、社会人の宴会芸としてはかなり有名だと言えます。事実、某総合商社だけでなく、某都市銀行や某鉄道系会社でも行われているとの話を聞いています。2.ぶっちゃけ盛り上がるのか?私も何度か参加し、何度か、外野として見ていましたが、正直、めちゃくちゃ盛り上がります。もちろん来ている人のノリや暴露するネタ、話す人の力量にもよりますが総じて盛り上がります。笑いと歓声と悲鳴が入り乱れ、かなり完成度の高い芸だと個人的には思います。但し、噂レベルではありますが、その過激な外見から、老舗のお固いホテルや結婚式場では、お酒様の禁止令がしかれているとかいないとか。3.宴会芸ができそうな人でなければ総合商社には入れないのかそんなことはないと思いますし、実際私が商社時代の同期でも見るからに、こういったことには不向きな同期がいました。ただ、こういった不向きな同期だからこそ、いざ脱ぐとなるとそれはそれで内輪で盛り上がっていたので、こういったことが好きな人が多いのは事実でしょう。もちろん無理矢理参加させられるということはなく、あくまで、新郎のために文字通り、人肌脱いでやりたいという人が集まるものなので、宴会芸が苦手だという方も心配はいりません。但し、総合商社に限らず、ビジネスマンにはチームとして一つの目標に向かって努力することが常に求められ、宴会芸もその一つであると捉えることができます。私の先輩で、外資系コンサルティングファームに就職した方は、「一流のビジネスマンは例え宴会芸でも、全力を尽くし成果をあげるべき」と話して、その会社のクリスマスパーティーの余興のために、入念な準備を重ねていました。どんなことも楽しんで、周囲の人と協力して成果をあげられるリーダーシップのある人というのはどの会社でも求められる人材なのでしょう。4.最後に如何でしたでしょうか?宴会芸なんて古いし、何のためにあるかわからないという学生の方も多いと思いますが、日本だけでなく、海外でもメジャーリーグでは新人選手がコスプレをするなど、全員が一丸となって宴会芸に取組むというのは珍しいことではありません。宴会芸という仕事に関係のないところでも、チームのことを考えてリーダーシップを発揮し、チームの人と楽しみながら、チーム外の人を楽しませることのできる人というのは魅力的だし、求められている人材と言えます。是非、残りの学生生活でも、ちょっと考えて、イベントや芸を企画するなどして、経験を積んでいただければと思います。参考:総合商社を理解する上で絶対に読んでおきたい5冊参考:半沢直樹にみる銀行と総合商社の2つの違い参考:半沢直樹で誤解して欲しくない!「出向」の現実と総合商社における出向の具体例 141,210 views
情報収集に役立つ!?企業の人事・採用担当SNSアカウントまとめ 情報収集に役立つ!?企業の人事・採用担当SNSアカウントまとめ 就活においてSNSは、利用の仕方によりプラスにもマイナスにもなり得ます。SNSの誤った使い方によって内定を取り消されてしまう場合もあれば、SNSで情報収集をすることによって就活を有利に進めることも可能になります。そこで本記事ではSNSの有効活用の一例として、企業の採用担当のSNSを活用する方法について解説していきます。企業の採用担当のSNSアカウントを見る際のポイントSNSの活用方法として、企業の採用担当のSNSから情報を得るという方法があります。SNSアカウントを見ることにより、企業や採用担当が求めている人材などといった情報を得ることができます。しかしそれはどういった投稿から判断することができるのでしょうか。以下で詳しく解説していきます。関西20内定者の@Pnta_rの仕事に密着した記事。良いなと思ったのが「内定者バイトだけど、内定者バイトだと思って働かない」という視点。地方スタートアップ組織だからこそ、こういう視点で自らマーケットつくりにいくことが本当に大事。応援!https://t.co/kRsmeK4loO—木村祥子@サイバーエージェント人事(@shouko1115)August7,2019例えば、上記の記事はサイバーエージェントの内定者アルバイトをしている学生へのインタビュー記事となっています。インタビューにおいてサイバーエージェントの内定者は次のように述べています。内定者アルバイトだと思って働かないことですね。CyberACEの大阪支社立ち上げの一員であり、これからの会社の未来を創っていくんだという気持ちを大切にしています。それに対し、サイバーエージェントの人事は「地方スタートアップ組織だからこそ、こういう視点で自らマーケットつくりにいくことが本当に大事」と投稿しています。このことから、サイバーエージェントの人事側は、"主体的に動ける""当事者意識を持っている"人材を求めていることがわかります。このような観点で人事や採用担当者の投稿を見ることで、求めている人材像を割り出すことができ、高評価に繋がる自己PRを考えることができるのではないでしょうか。採用担当SNSアカウントまとめunistyleで調べた各企業の採用担当のSNSアカウントを、以下に一部抜粋しました。気になる企業があった就活生はぜひフォローしてみてください。採用担当アカウント一覧●サイバーエージェント新卒採用人事●DeNA新卒採用●テレビ東京採用担当●ビズリーチ新卒採用●パーソルグループ公式●テレビ朝日新卒採用●Honda新卒採用情報●エイベックス採用●フジテレビ人事部●ソニーミュージック採用情報※他にもSNSアカウントがあれば本記事に追加しますのでこちらにご連絡ください。最後に本記事では、企業の採用担当のSNSアカウントと、アカウントを見る際のポイントを紹介しました。今や各企業の人事や採用担当もSNSアカウントを持っている人が多く、就活生のアカウントをチェックしている企業も多いため、SNSでの投稿が原因で内定を取り消されたなどの事例もあります。しかし、SNSをうまく活用して情報収集をすることにより、就活を有利に進めることも可能となります。そのため、情報収集の手段としてSNSを利用する際は、投稿内容に注意しつつ活用することが大切です。注意する点に関しては以下の記事で解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。【関連記事】 10,861 views

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