新卒でなれる20代で最も年収が高い職種の一つである「データサイエンティスト」って知っていますか?

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最終更新日:2023年10月26日

新卒でなれる20代で最も年収が高い職種の一つである「データサイエンティスト」って知っていますか?

自己分析

パーソルキャリアの転職サービス「doda」のデータに基づく「平均年収ランキング2018」によると、データサイエンティストの2018年の20代の平均年収が404万円という発表がありました。20代の職種別でみるとかなりの最高水準の年収になっています。

まだまだ希少価値が高い職種のため、企業によっては年収1,000万~1,200万円を提示するケースもあります。

実際に就活生が思い浮かべる代表的な職種といえば、「営業・マーケティング・エンジニア」などが中心であり、逆にデータサイエンティストという仕事はあまり聞いたことがないと思います。

また、データサイエンティストの理解を深めようと思うとかなり奥が深くなり、専門用語も多く難しく感じてしまう方も多いことでしょう。

そこで本記事を通じ、「データサイエンティストを詳しくは知らない就活生」が興味を持つきっかけになっていただければと思います。

本選考とインターンの締め切り情報

データサイエンティストとは?

結論から述べると、データサイエンティストとはその名の通り、データをサイエンス(科学)する仕事です。

どういうことなのか。まず、データサイエンティストの前に、ビッグデータについて解説します。就活生の皆さんもビッグデータという言葉自体はよく耳にしていると思います。

IT用語辞典では、ビッグデータについて下記のような説明がなされています。

ビッグデータとは、従来のデータベース管理システムなどでは記録や保管、解析が難しいような巨大なデータ群。明確な定義があるわけではなく、企業向け情報システムメーカーのマーケティング用語として多用されている。

引用:IT用語辞典

つまり、「様々な形をした、様々な性格を持った、様々な種類のデータのこと」を指します。

データは分析・解析されてこそ企業としての価値があります。そこで、データサイエンティストの出番です。

さまざまな意思決定の局面において、データにもとづいて合理的な判断を行えるように意思決定者をサポートをすることにより、企業の事業成長に貢献するのが仕事となります。

例えば、企業が新規事業開発や商品を企画するためには、顧客(消費者)が何を欲しているかを知る必要があります。

データサイエンティストが扱うビッグデータは、実際の顧客(消費者)の行動に即したデータのため、これを分析することで現状分析をすることができ、その分析を生かして、本当に顧客(消費者)が求める事業や商品を開発することができます。

このように、テクノロジーの進歩により、他社との競争に勝つために、企業にとってデータは大きな価値となっています。

アメリカのビジネス雑誌『ハーバード・ビジネス・レビュー』(Harvard Business Review)では、データサイエンティストを「21世紀で最もセクシーな職業」と紹介するくらい、今最も注目されている職種のうちのひとつになっています。

なぜ、データサイエンティストの年収は高いのか?

上述しているように、ビッグデータの価値が増している中、企業内でデータを分析・活用する動きは活発です。その中でデータ活用に携わるデータサイエンティストの需要は高まっています。

日本のデータサイエンティストはアメリカよりも大幅に不足しています。アメリカでデータ分析スキルが見込める学生が年間2万人以上卒業するのに対し、日本では約4,000人とされています。

そしてアメリカの調査会社ガートナーによると、日本では将来的に25万人ものデータサイエンティストが不足すると言われているのです。

その結果として、データサイエンティストの市場価値が高まっています。

どんな人が向いているのか? 

データサイエンティストに興味が出てきましたか?興味を持ったとしたら、次に気になるのが、果たして自分に適性はあるのかどうかですよね。

東京大学卒業後、データサイエンティストとして様々なビジネスデータ分析に携わっている「手を動かしながら学ぶ ビジネスに活かすデータマイニング」の著者でもある尾崎隆氏は、データサイエンティストに求められる素質についてブログで下記のように述べています。

●データドリブンなメンタリティ
「データに基づいて何かを解き明かし、意思決定する」ということに重きを置くというメンタリティ

●データ分析を支える学術・技術への学習意欲
努力を厭わず積極的に学び取りたいという学習意欲の持ち主であること

●旺盛かつ根源的な知的好奇心
データ分析の仕事は時代に追い付き続けられるようにいつでも新しい学術や技術を学び続けるため

詳細はこちらから:データサイエンティストや機械学習エンジニアに求められる「素質」とは何か

 いかがでしょうか?もし、上記に当てはまる方は、データサイエンティストという職種を視野に入れて就活をしてもいいかもしれません。

データサイエンティストを目指すなら

企業の中でデータサイエンティストが職種として確立している企業に入社するのが一番良い方法だと思います。会社としてデータサイエンティストの職種が確立されていますから、スキルを学びながら経験を積んでいけます。

例えば、リクルートホールディングスは実際に19年度入社を対象に、「データ解析コース」として、職種別採用を実施していました。初年度から年収例が427万円となっており、優秀なデータサイエンティスト候補の採用に注力しているのがわかります。

参考までに募集要項を確認してみましょう。

【応募必須条件】(スキル・経験・志向など)
・数理統計学/解析/機械学習/自然言語処理/人工知能/画像解析など分析・解析手法に関する知識を有する方
・Python、R、MATLAB、SAS、SPSSなどの統計解析言語やプログラミングの利用経験を有する方
・上記などの専門知識や技術を活かして問題解決をしたいと考えている方

【望ましい条件】
・プログラミングまたは分析ツールを用いて、データ加工を行うスキル
・構造化されたデータ(フラットファイル、RDB等)に関する理解

引用:リクルート2019年新卒採用サイト

あくまでもリクルートの応募条件のため、その他の企業に当てはまらない可能性がありますが、興味を持った方は今から勉強するのもありだと思います。

職種別採用で注意すべきこと

新卒からデータサイエンティストを目指す場合、入社する企業は精査する必要があります。 今年、「今データサイエンティストを目指してる人の7割が5年後に年収350万にしかなれない」という記事が話題になりました。

内容としては、データサイエンティストを採用したくてもできていない企業がこぞって、「データサイエンティスト募集!未経験応募可!」という求人を募集し、データサイエンティストの卵を採用するのですが、「育成するための土台が整っていない」「そもそものデータを集積できていない」という劣悪な状態のため、「こんなはずではなかった・・」と嘆く人が今後増える可能性があることを示唆しています。

その結果として、一部の特別なスキルや実績のある人材だけが高待遇になり、キャリア選択をミスしてしまった人材の年収は上がらずといった、二極化になることが想定されます。

そのため、就活生の皆さんも盲目的にならずに見極める必要があります。

ポイントとしては、「その企業で既に組織としてデータサイエンティストの仕事が確立されているのか」や「OB訪問で働いている中の人に実態を聞いて見る」が有効な手段となります。

最後に

いかがだったでしょうか?データサイエンティストに興味を持ちましたか?

データサイエンティストといっても決して仕事内容をひと括りにすることはできません。もし本記事をきっかけに、少しでも興味を持った方は、ぜひ色々調べてみてください。

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学生よ、これが社畜の宴会芸だ!某総合商社にまつわる伝統芸能「お酒様」とは!? 学生よ、これが社畜の宴会芸だ!某総合商社にまつわる伝統芸能「お酒様」とは!? 【参考動画】多くのゼミやサークルなどで、夏合宿が開催され、参加された学生の方も多いと思いますが、その際に宴会芸を求められるということはありませんでしたか?私自身も学生時代は部活の夏合宿では、全員が学年ごとに男女に分かれて、宴会芸を披露していました。宴会芸はサラリーマンにもついて回ります。新入社員歓迎会、寮祭、歓送迎会、送別会、クリスマスパーティーなどなど、人が集まるところに催し物ありと、サラリーマンになった場合、多くの場面でチーム一丸となっての宴会芸が求められることでしょう。今回は、社会人の宴会芸の中でも、最も有名と言われる某総合商社の「お酒様」についてご紹介しましょう。1.お酒様とは何か上記動画を見ていただければ、よくわかると思いますので、あまり多くを語りませんが、簡単に説明すると、お酒様とは結婚式における宴会芸であり、赤いふんどし一丁の屈強な猛者たちが、一升瓶を抱えて入場し、お酒の妖精=お酒様として、新郎の過去の悪事を全て暴露し、新郎と一緒になって一升瓶を飲み干すことで体を清め、新婚生活を迎えてもらおうという儀式になります。今現在のところ、多少の新婚旅行での喧嘩事案が発生したということはあっても、このお酒様が原因で破綻したカップルというのは聞いたことがないので、儀式としてその役目を立派に果たしているのでしょう。某総合商社において、盛んに行われ、某総合商社の結婚式と言えばお酒様と言われるぐらいに、社会人の宴会芸としてはかなり有名だと言えます。事実、某総合商社だけでなく、某都市銀行や某鉄道系会社でも行われているとの話を聞いています。2.ぶっちゃけ盛り上がるのか?私も何度か参加し、何度か、外野として見ていましたが、正直、めちゃくちゃ盛り上がります。もちろん来ている人のノリや暴露するネタ、話す人の力量にもよりますが総じて盛り上がります。笑いと歓声と悲鳴が入り乱れ、かなり完成度の高い芸だと個人的には思います。但し、噂レベルではありますが、その過激な外見から、老舗のお固いホテルや結婚式場では、お酒様の禁止令がしかれているとかいないとか。3.宴会芸ができそうな人でなければ総合商社には入れないのかそんなことはないと思いますし、実際私が商社時代の同期でも見るからに、こういったことには不向きな同期がいました。ただ、こういった不向きな同期だからこそ、いざ脱ぐとなるとそれはそれで内輪で盛り上がっていたので、こういったことが好きな人が多いのは事実でしょう。もちろん無理矢理参加させられるということはなく、あくまで、新郎のために文字通り、人肌脱いでやりたいという人が集まるものなので、宴会芸が苦手だという方も心配はいりません。但し、総合商社に限らず、ビジネスマンにはチームとして一つの目標に向かって努力することが常に求められ、宴会芸もその一つであると捉えることができます。私の先輩で、外資系コンサルティングファームに就職した方は、「一流のビジネスマンは例え宴会芸でも、全力を尽くし成果をあげるべき」と話して、その会社のクリスマスパーティーの余興のために、入念な準備を重ねていました。どんなことも楽しんで、周囲の人と協力して成果をあげられるリーダーシップのある人というのはどの会社でも求められる人材なのでしょう。4.最後に如何でしたでしょうか?宴会芸なんて古いし、何のためにあるかわからないという学生の方も多いと思いますが、日本だけでなく、海外でもメジャーリーグでは新人選手がコスプレをするなど、全員が一丸となって宴会芸に取組むというのは珍しいことではありません。宴会芸という仕事に関係のないところでも、チームのことを考えてリーダーシップを発揮し、チームの人と楽しみながら、チーム外の人を楽しませることのできる人というのは魅力的だし、求められている人材と言えます。是非、残りの学生生活でも、ちょっと考えて、イベントや芸を企画するなどして、経験を積んでいただければと思います。参考:総合商社を理解する上で絶対に読んでおきたい5冊参考:半沢直樹にみる銀行と総合商社の2つの違い参考:半沢直樹で誤解して欲しくない!「出向」の現実と総合商社における出向の具体例 141,208 views
【商社・外銀・外コン・外資メーカー】就活を始めたばかりの上位校学生向けの「ざっくり業界研究」 【商社・外銀・外コン・外資メーカー】就活を始めたばかりの上位校学生向けの「ざっくり業界研究」 16卒で外資系メーカーの内定者です。インターンシップ選考も本選考も基本的に準備することに変わりはありませんが、その中で最も重要といっても過言ではないのが「業界研究」です。業界研究は自分が働きたいと思える場所を見つける上で、また自分の適性がどういった業界で活かせるのかを理解するためにも、きちんとしておくべきだといえます。しかし、就活を始めたばかりの段階では「業界研究」といっても、何をしたらいいのかわからない!という方も多いのではないでしょうか。そこで、本コラムでは(インターンシップの対策を含め)就職活動を始めたばかりだという上位校生のみなさんに向けて、業界研究の指針となるような「業界へのざっくりとしたイメージ」をお伝えしたいと思います。16卒の筆者が各業界について先輩や同期の内定者から聞いたことや自身が調べたこと、また(少々の)偏見も踏まえてご紹介します。特に今回の記事では、成長志向が強く行動派の就活生に大人気の「総合商社」「外資系投資銀行」「外資系コンサル」「外資系メーカー」「IT・ベンチャー」の5業界をまとめて業界研究してみます。総合商社特徴安定志向の学生からもエリート志向の学生からも人気を集め、現在就職人気ランキング不動のトップであるのが「総合商社業界」です。総合商社の業務や商材は多岐にわたるため、仕事のイメージというのはつきにくいかもしれません。それでも商社が担う仕事を簡潔にまとめるとすれば「トレード(モノを左から右へ流す役割)」と「投資(国内外の事業への出資)」に大きく分けられると言えます。例えばトレード分野なら、衣料品メーカーが衣類を生産して百貨店などに卸したいと考えた時、原料となる繊維を繊維メーカーから買い付け、衣料品メーカーに流す手続きを整えるのが商社の役割です。一方の投資分野では、海外の油田開発プロジェクトへ投資することで現地企業をサポートし、将来的には日本のエネルギー確保をスムーズにもするといった例などが挙げられるでしょう。総合商社はこうした数々の事業を世界各地のステークホルダーと関わりながら行うため、非常にスケールの大きい仕事ができる点が1つの魅力です。商社マンから話を聞いていると、実際はこうした華々しい業務の裏にかなり泥臭い努力があるのですが、就活生はどちらかというと商社の泥臭い部分よりも「グローバル」「投資から経営」などといった綺麗な言葉に飛びついている印象も受けます。また、「総合商社業界」は「広告代理店」「不動産ディベロッパー」と並ぶ三大ミーハー業界で、早慶レベルの安定・エリート志向の層がとりあえず第一志望にしたがる業界です。しかし人気業界ゆえに選考の倍率も非常に高く、多くの学生が3つの業界に全滅してしまうという厳しい現実もあります。【関連記事】対象企業三菱商事三井物産伊藤忠商事住友商事丸紅双日豊田通商※三菱商事から丸紅までの5社は"5大商社"、5大商社に双日と豊田通商を含めた7社は"7大商社"と呼ばれています。外資系投資銀行特徴「高給・激務」かつ「ネームバリュー」のある企業の代表ともいえる外資系投資銀行。「寝る間も惜しんで働く」とよく例えられるほどのハードな労働環境ですが、その分の大きなやりがいや日系企業では考えられないような額の報酬が得られるため「肉食系エリート就活生」に人気の業界です。投資銀行の役割は、顧客企業の資金調達を証券(株式や債券)の発行によってサポートし、合併や買収時には財務戦略のアドバイスを行うことで、主たる業務は以下の通りです。株式を「買いたい」/「売りたい」投資家を市場に繋ぐ仕事《M&Aアドバイザリー》証券会社自体が主体となって証券を売買する仕事《トレーディング》発行された株式を証券会社が引き受け(買取り)、それを投資家(個人・機関)に買ってもらう仕事《セールス》投資銀行のこうした「他の企業のビジネスを金融面から支える仕事」にはやりがいはもちろんのこと、さまざまな業界と関わり視野を広げるチャンスが多くあるように感じます。しかし一方で、冒頭でも述べたように激務がある意味当たり前のようになってしまっている業界でもあり、行員の過労死がニュースになったこともありました。最近は労働環境もかなり改善されてきてはいるようですが、リーマンショック以後は経営不振なども重なって、総合商社に人気が流れる風潮も見られています。また成果を重要視する外資系企業であるがゆえに、簡単にクビになってしまう可能性もあるようです。筆者の周りを見ると、外資系投資銀行に内定している学生は「頭脳明晰で論理的に物事が考えられるタイプ」かつ「激務を厭わずやりがいや報酬をより重視するタイプ」が多く、しかも最初から転職を視野に入れている人がほとんどという印象を受けます。【参考記事】ゴールドマン辞めれなかった若手バンカーの死-働き詰めの末投資銀行研究就活ノウハウ証券会社って何をする会社なの?man@bow対象企業ゴールドマン・サックスモルガン・スタンレーJ.P.モルガンメリルリンチドイツ銀行バークレイズUBS証券BNPパリバクレディスイス証券など外資系コンサルティングファーム特徴先に紹介した外資系投資銀行と並ぶ高級・激務で名高く、内定するのは優秀な学生が多いのが外資系コンサル業界です。外資系投資銀行に比べると若干報酬は低めですが、こちらも就活生から絶大な人気を誇り、サマーインターンなどから積極的に採用に乗り出している業界としても知られています。一口にコンサルといっても戦略・会計・ITなど様々な分野があり、各コンサルの業務をざっくりと比較すると以下のようになります。《戦略コンサル》クライアントの経営陣が抱える課題を共に考え、解決する《会計コンサル》企業の会計に関する課題を見出し、解決に導く《ITコンサル》企業への基幹システム(例えばPOSシステムなど)の導入をサポートする就活生の一番人気はやはり戦略コンサルでしょう。ちなみに戦略コンサル業界最大手として挙げられるのは、マッキンゼー・アンド・カンパニー、ボストン・コンサルティング・グループ、ベイン・アンド・カンパニー、Strategy&(旧:ブーズ・アンド・カンパニー)、A.T.カーニーなどです。この業界には「ケース面接」と呼ばれ論理的思考力を評価するための独特の面接手法があり、選考ではひたすら論理的思考力を試される印象があります。そのためか、内定者も「理論的に物事を考えることのできる人」や「常に冷静な判断を下すことができ、自身の意見を理由とともにはっきりと主張できる人」が多いように感じます。こちらも外資系投資銀行と同様に激務かつ転職が一般的な業界なので、生涯ひとつの会社で働き続けようと考える人は少ないようです。【関連記事】対象企業マッキンゼー・アンド・カンパニーボストン・コンサルティング・グループベイン・アンド・カンパニーローランド・ベルガーStrategy&A.T.カーニーアーサー・D・リトルアクセンチュアデロイトトーマツコンサルティングPwCコンサルティングなど外資系メーカー特徴P&Gやユニリーバなどに代表される外資系メーカーは就活生にとって身近で知名度も高く、毎年非常に人気の高い業界の一つです。メーカーといっても企業によって扱う商材は様々ですが、特に消費財などのBtoC(最終消費者向け)製品を扱っている企業の方が、やっている仕事がイメージしやすく倍率が高くなる傾向があります。特に冒頭で挙げたP&Gは群を抜いて人気が高く、総合商社など他の人気業界から併願して受けている学生も多いようです。外資系メーカーを受ける学生の共通点としては、「成長意欲が高い」「留学や海外在住経験がありグローバル志向が強い」などといった特徴が挙げられます。日系メーカーと比較した外資系メーカーの特徴の一つとして「職種別採用を行っている企業が多い」という点が挙げられると思います。これは「総合職」として一括採用を行い、担当業務が入社後にころころと変わる日系メーカーと異なり、「マーケティング」「営業」「財務・経理」などとはじめから自分の希望業務をはっきりとさせ、入社以降はずっとその業種で働き続けるというシステムです。この「職種別採用」にはメリットもデメリットもあり、自分のやりたいことがはっきりとしているプロフェッショナル志向の学生にとっては都合の良いものですが、逆にいろいろな業務を経験したいと考える学生にとっては、可能性を狭めることになりかねません(外資系であっても職種別採用を行っていない企業ももちろんあります)。自分がどういった働き方をしたいのか、まずはよく考えた上で企業選びをすることが必要です。外資系に限らずメーカーは全体的に採用人数の少ない(特に文系)場合が多いため、選考を突破することはかなりの難関といえます。ただし他の外資系企業(コンサルや投資銀行)などと比較すると、激務はありませんが給与も桁違いに高いというわけではないようです。それでもやはり外資系企業特有の「年功序列ではなく比較的自由な風土」に惹かれて志望する学生は多いように思います。【関連記事】対象企業P&G日本ロレアルユニリーバネスレ日本ジョンソン・エンド・ジョンソンコカ・コーラスリーエムジャパンロッテルイ・ヴィトンボッシュ日本GEなどIT・ベンチャー特徴これまで上記で挙げてきたいわゆる"大企業"と対照をなすともいえるのが、ここで紹介する「IT・ベンチャー業界」です。近年目覚しい成長を遂げているIT関連企業や起業されたばかりで勢いのあるベンチャー企業など、とにかく変化が激しいことが特徴の業界です。こうした業界を目指す学生の特徴としては「変化の激しい環境で面白い仕事がしたい」「成長したい」「自分でサービスを作りたい」「人と違ったことをしてみたい」といった意識の強い点が挙げられると思います。一方でエリート志向の層からの志望も多く、中には外資系投資銀行や外資系コンサルを蹴って30人規模のベンチャーにいく人もいるようです。ベンチャー企業は比較的規模が小さいものが多く、そのカラーは企業によって大きく異なっています。例えば同じIT系ベンチャーであっても、サイバーエージェントは「青学のサークルのようなノリ」と言われることもあるようですが、DeNAに関しては創業者がマッキンゼー(外資コンサル)出身ということもあり、若干コンサル寄りなエリート志向学生が多いイメージのようです。いずれにせよ、この業界について総じていえるのは「会社の知名度や規模が経営の良さと比例していない」ということです。最近になって名の知れてきた企業こそ増えつつあるものの、依然として「知名度が低かったり規模が小さかったりしても優良な企業」が多くあるのです。そのためIT・ベンチャー業界に少しでも興味をもった場合は、自分から積極的に情報収集していく必要があるといえるでしょう。【関連記事】対象企業DeNAグリーYahooリクルートサイバーエージェントGoogleAmazonなどまとめいかがでしたでしょうか。今回はコラムをお読みのみなさんの業界研究のヒントとなるようなコンテンツを心がけましたが、業界研究そのものに終わりはないと思っています。まずはこのコラムを読んでそれぞれの業界が基本的に担っている役割を知り、自分の性格や適性がどの業界のどこにマッチするのかを考えてみてください。そうしたプロセスを進めるうちに、必ず本コラムでご紹介した内容よりもっと深く広い情報が必要になってくるはずですので、その際は必要だと思ったことをしっかりと調べてください。当たり前のことのように聞こえますが、意外とこれをきちんとできている就活生は少ないように思います。将来に自分が働いていく場所を決める上で、「己」を知り「相手(業界・企業)」を知ることは一番大切なことです。 36,850 views
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