キャリアにおける「鶏口牛後」〜あえて難易度が低い企業を選ぶという選択〜

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最終更新日:2023年11月20日

キャリアにおける「鶏口牛後」〜あえて難易度が低い企業を選ぶという選択〜

鶏口牛後とは、大きな集団の中で尻にいて使われるよりも、小さな集団であっても長となるほうがよいということ。

 

出典:故事ことわざ辞典 鶏口牛後

こんにちは、18卒慶應生です。
就職活動では、"売り手市場"の追い風もあってか5業界9社から内々定をいただきました。
(国内最大手SIer・大手インフラ・非財閥系化学メーカーなど)

そして、経団連に属する企業の採用情報解禁を意味する、いわゆる世間的な就職活動が明日からスタートします。引き続き売り手市場とも言われる皆さんも、相対的に企業から引く手あまたの環境に置かれているのかもしれません。

しかし、いつの時代も最終的に入社できるのは当然1社ということで、「複数の内定先の中からどの企業に就職するか」ということは(嬉しい悩みなのかもしれませんが)個人的に最も就活中に悩んだ点でした。

unistyleでも過去には以下の記事で就職先の選定基準を紹介しています。しかし、自分が「こういうスキルを身に着けたい」「将来こういう自分になりたい」といった考えを深めないままひたすら内定を取っていたこともあってか、あまり参考にすることが出来なかったというのが正直なところです。

そんな私が就職先を決定するための一つの基準として考慮に入れたのが、冒頭で示した「鶏口牛後」という考え方です。

もともとは中国前漢時代の古典作品『史記』から生まれた言葉である「鶏口牛後」。
高校の教科書にも作品が掲載されていることから、ことわざの知識が無くても認知している人は多いと思います。

私の就職先の選び方は、まさしくこの「鶏口牛後」の選択。すなわち、「そこまで入社難易度が高くない方の企業に就職し、その環境で上位の立場を狙う」選択と言えると思っています。

しかし例えば、
・三菱商事と双日両方の内定者が双日に就職する
・東京海上日動と損保ジャパン日本興亜両方の内定者が損保ジャパン日本興亜に就職する
といったような「牛」より「鶏」の選択、すなわち「業界順位や就職難易度が低い企業にあえて就職するという選択」をする学生は正直多くないと思っています。

以下の記事にもあるように、18卒の内定辞退率は64.6%。
すなわち今の時代、内定を獲得すれば約3人に2人が内定辞退を経験するということから、「複数内定先から最終的にどの企業に就職するか」という問題はもはや他人事ではないと言えるでしょう。

以上より、今回はファーストキャリアにおいて「鶏口牛後」の選択をする意義、及びその可能性について考えていていきたいと思います。

【本記事の構成】
・「鶏口牛後」の意味の確認
・大学受験までは「牛後」が勝ち組
・受験偏差値と“就職偏差値”の違い
・就職における「勝ち組」とは?
・私が「鶏口」を選択したわけ
・「鶏口牛後」も一つの考え方。自分として納得したキャリアを選ぶべき

本選考とインターンの締め切り情報

「鶏口牛後」の定義 

冒頭の辞書的意味に従えば、

【一般的な定義】
鶏...(規模が)小さな組織

 

牛...(規模が)大きな組織

 

口...その組織におけるトップの地位

 

後...その組織における下位の地位

という意味になるようですが、本記事では特に断りがない場合、以下のように「鶏」「口」「牛」「後」という言葉を定義します。

【本記事上での定義】
鶏...相対的に、優秀な人が少なく、入るのが容易とされる組織

 

牛...相対的に、優秀な人が多く、入るのが難しいとされる組織

 

口...その組織における上位の地位(トップに限らず)

 

後...その組織における下位の地位

すなわち、「鶏口」は「それほど優秀でない組織の上位層」、「牛後」は「優秀な組織の下位層」を指すことなります。

大学受験までは「牛後」こそが勝ち組だった

突然ですが、大学受検で複数校に合格した経験がある方にお尋ねします。

Q:複数合格校の中で何を基準に入学先を決めましたか?

もちろん、「より興味があることを学べる方を選んだ」といった大学という研究機関の入学理由としてふさわしそうな理由や、「家から近い」「楽しそうなサークルがある」といった " 意識低め" な理由もあるかとは思います。

しかし、正直なところ「偏差値が高かったから」という理由で選んだ方がほとんどではないでしょうか?

" 偏差値 "という数値指標で入学難易度が表される大学受検。その環境では、点数が高い人が勝ち・偏差値が高い大学へ行った人が勝ち、といったような風潮があり、多くの受験生はより偏差値が高い学校を目指します。「学歴コンプ」といった言葉も一部この風潮から生み出されていると考えられます。

この「いい大学(=偏差値が高い大学)に行きたい」という想いも、「とりあえず難関大学へ行っておいた方が将来就活で有利そうだから」という考えに基づくケースが多いと思っています。学歴が高い方が就職活動でいうスクリーニング基準を突破しやすくなり、選択肢が広がりやすいという意味ではこの考えも今の日本社会では妥当と言えばそうかもしれません。

また、ワンチャンスをものにし自分の学力レベルよりずっと偏差値の高い大学に入ったとしても、入学後に「ついていけない」という事態が発生する可能性はかなり低いと思います。皆さんも、「講義の内容をほとんど理解していないのになぜか単位は取れてしまう」という経験は一度はしたことがあると思います。(特に文系の場合、講義の理解よりも試験への情報力・試験前の詰め込みが単位取得を左右するという話はよくあるでしょう)。

すなわち、就職活動以前の一つの人生の分岐点とも言える大学受験は、典型的な「牛後」こそが勝ち組の世界だと言えるでしょう。

中学・高校では「鶏口」を選択する人もいる

一方、大学受験よりさらに前の中学受験・高校受験については、あえて「鶏口」を選ぶという方も一定数いると思っています。

特に中学受験は両親の影響度が高く、一度入学すると6年間同じ環境に通うため、「牛後」の環境があまりに続き卑屈になることを危惧して身の丈に合った学校を選択することもそれなりに多いと思われます。

しかし、これらの場合でも受ける学校の大枠を決めるのは基本的にはあくまで "偏差値" であり、自身の学力を前提にしその中から "校風"・ "部活動" を考慮するといった流れで受験校を決定するケースが大半だと考えています。

大学内ヒエラルキーと高校・中学内ヒエラルキー

「口」「後」はそれぞれ組織内における地位を指しますが、中学〜大学では何によってその地位が決定されるのでしょうか。

「イケメン/美人」「話が面白い」「スポーツ万能」といった若者の間ではいつの世代でもヒエラルキーを高める要素があるのはもちろんですが、ここでは "学力" にフォーカスして考えます。

高校・中学では、「勉強ができる」というのは学内ヒエラルキーを決定づける要素としてある程度機能している印象があります。もちろん、所属部活によるヒエラルキーなどもありますが、勉強さえできていれば先生からの評価も高く、他の生徒から多少なりとも良く見られる傾向にあると思います。

一方、大学では最低限の勉強をして最低限の単位だけを取り卒業することの方がいいというような風潮もある気がしています。学業成績よりも、大学生活をいかに "充実" させているか。入社後とは異なり、学力・能力関係なく自分で自由度高くコミュニティーを選択できる点が、大学生活の特徴と言えるでしょう。
そもそも、高校までとは異なり大学では基本知らない人の方が多いまま卒業していくわけですから、ヒエラルキーなんてものの重要性は大きく下がるものだと思っています。

入試偏差値と "就職偏差値" の違い

就職偏差値とは、就職活動における内定獲得の難易度を数値化した基準です。2ちゃんねる(現5ちゃんねる)が発祥とされていますが、現在では多くのサイト上でテンプレートとして用いられている気がします。

この就職偏差値と、一般に用いられる入試偏差値には大きく分けて2つの違いがあると考えています。

偏差値同士の相違点1:「相性」ー 「東大は楽勝だが慶應は受からず」の可能性

「難易度」と言ってもあくまでその感じ方は人によって異なり、「偏差値が高い方が簡単に感じた」というケースが起こりうるのは両者に共通しています。

しかし、「東大は余裕で受かるのに慶應は全然受からなかった」という学生は稀である一方で、「総合商社の志望動機はすらすら出てきて選考もうまくいったけど(それより偏差値の低い)広告代理店は苦戦した」というようなケースは就職活動ではいくらでもあるものだと思っています。

「点数を取った人が勝ち」である大学受験とは異なり、面接において定性的な判断が求められる就職活動では、「相性」の影響度合いが大きく高まるのは自然な成り行きだと思います。

unistyle創業者の樋口も、新卒就活における業界の相性について、自身の体験に基いて以下のように述べています。

偏差値同士の相違点2:"難易度"が表す意味

若干失礼な気もしますが、次の質問を考えてみてください。

(1)〜もし自由に選べるとしたら、どちらに入学しますか?〜

A:慶應義塾大学経済学部経済学科(A方式)

 

B:中央大学経済学部経済学科(一般)

(2)〜もし自由に選べるとしたら、どちらに入社しますか?〜

A:フジテレビ

 

B:東レ


二つ目の違いは、その数値が表す意味についてです。

もちろん、どちらも入るための難易度を表すという点では表面的には共通していると思います。先述した通り、大学では学内の学力順位ではなく "充実度" が重視される「牛後」の世界なのであれば、単純に「難易度が高い大学に行った方が勝ち」という構図は(研究機関である大学に対する心持ちとして適切なのかは別として)ある程度妥当性があると言えます。
一方で、就職活動では偏差値が高い企業への就職=勝ち組とは一概には言えないと思っています。

例えば、上記(1)では正直な話ほとんどの学生がA:慶應義塾大学経済学部経済学科を選択するでしょう(別に中央大学がダメとかそういう話をしているわけではありません)。一方、(2)では学生の志向性によって大きく回答が分かれるかと思います。

しかし、以下の参考記事によれば、(1)(2)共に "偏差値" はAが約70・Bが約60でそれぞれちょうど同じ10の差があります。
("正確"には、慶應67.5・中央57.5、フジテレビ69・東レ59)

・テレビ業界を斜陽産業と考え、海外売上率が高くグローバルに事業を展開する東レに魅力を感じる就活生
・根源からの価値提供者として東レの相対的な知名度の低さをマイナスに捉え、社会的認知度が高いフジテレビに魅力を感じる就活生

「これからの時代は慶應ではなく中央だ」なんて言う学生がまずいない一方で、就職偏差値の世界では、業界知識や企業に求める要素の違いなどにより、このように考え方は大きく分かれます。

以上より、"就職偏差値が高い=勝ち組"の式が成り立つとはとうてい言えないことは感じていただけたかと思います。

ちなみに、最近では学力ならぬ"就活力"を大学受験のように可視化するために、以下のようなイベントも開催されているようです。

「勝ち組」とは何だろう? ー「自己実現」よりも「働きやすさ」かもという冷めた見方

「幸せ」とか「成功」といったような抽象度の高いワードについては、「人は何のために生きるのか」のような究極的な問いに明確な回答が出ないのと同じように、人それぞれでこれといった正解は無いものだと思っています。

しかし、企業に入社するというキャリアの選択をする人にとっては、その時間的ウェイトを考えると、仕事の充実度は人生の充実度と大きく関連すると考えられるでしょう。仕事が充実していると自分で感じることは、「勝ち組」の一要素と言えるかもしれません。

では、仕事における充実とは何ではかられるのでしょうか?もちろん "自己実現"・ "やりたい仕事が出来ている"といったことは、充実度を決定する要素になる得るでしょう。

しかし、非常に冷めた見方かもしれませんが、どれだけ仕事が充実していても、正直ほとんどの人が月曜朝は腰が重く金曜夜が待ち遠しい一週間を繰り返すことになるのではないでしょうか。仕事の充実度が、休日の喜びに勝る人が果たしてどれだけいるのでしょうか?

ともすると、職場という平日の環境においては、いかにストレス無く働けるか、すなわち「働きやすさ」というのもある意味では大切になるのかもしれません。プラスを増やすのではなく、マイナスを減らす考えでは夢が無いという意見もあるのは重々承知ですが、今の日本社会で夢を持って働き続けることが出来ている人がどれだけいるのかは疑問に感じるところです。

例えばメガバンクのサービス課では、「女性から気に入られること」が働きやすさを決めるうえで重要だという考え方があるようです。

彼女らと良い関係を構築できると良いことだらけです。銀行員としてお客様から預かった申込書を処理するのも彼女たちなわけですが、うまく関係を構築できていれば頼んだらすぐにやってくれます。彼女らがどれだけ事務の仕事を手伝ってくれるかによって、働きやすさや自らの余裕が変わってくるので、関係は良好であることに越したことはないです。そしてかわいがってもらえて場合には、自分の功績を彼女たちの口から役席に伝えてくれるので、いつの間にか自分の評価が上がっていたりします。

 

参考:まず女性から攻略せよ!銀行員一年目の生きる道

このメガバンクの例に限らず、「優秀であること」すなわち「仕事ができる」ことというのは働きやすさを高めるうえで重要であると考えます。「こいつは優秀だ」と認められれば、多少のミスをしても大目に見てもらいやすいなど「働きやすさ」も高まりやすいという話はよく耳にします(もちろん優秀な人に仕事が降って来やすくなるというマイナスの面も生じうるかとは思いますが...)。

「優秀かどうか」はあくまで他社員と比較した相対的な評価であることから、「牛」よりも「鶏」の方が優秀判定がなされやすい。すなわち、「鶏」の世界の方が働きやすく昇進も見込みやすい環境だという見方もできるのではないでしょうか。

また、入社して数年間(人によっては何十年間もそうかもしれません)は、「誰かに評価される」というのも、モチベーション高く仕事をしていく上でとても大事な要素です。評価されないから仕事がつまらないのか、本当にそもそもの仕事内容がつまらないのかは、一度考えてみる必要もあるでしょう。
得てして人は評価されると仕事も楽しくなってくるものです。

 

参考:内定を多数獲得した就活エリートが実際に仕事をしてみたら使えないのはなぜか

「鶏口牛後」に継ぐ「井の中の蛙」

さて、このように社内での立場について「鶏口牛後」を用いて考えていると、「鶏」の世界で上位を狙ってもそれは「井の中の蛙」。すなわちレベルの低い世界で得意になっているだけあり、もっと広く社会を見るべきだという意見も出てくると思っています。

井の中の蛙大海を知らずとは、知識、見聞が狭いことのたとえ。また、それにとらわれて広い世界があることに気づかず、得意になっている人のこと。

 

出典:故事ことわざ辞典 井の中の蛙大海を知らず

就職活動においても、サークルやゼミといった内輪な環境でちやほやされ「口」であることに得意になっていた学生が、いざ選考で他の多くの学生と比較されると全く評価されなかったという話はよく耳にします。内輪でわいわい盛り上がるのは楽しかったりもするのですが、狭いコミュニティーだけで生きている視野の狭い人間だと、一般に批判の対象になりがちな印象があります。

とは言え、正直なところ社会に出てからも、"企業"という組織に属している以上は、「井の中の蛙」という状況にそれほど変わりはないのではでしょうか。もちろん、ビジネスの場で多くの企業と関わるなど学生時代に比べれば当然世界は広がるでしょうが、日常の業務をこなすのも・成果評価を受けるのも、それは「社内」というコミュニティーで起こる話であり、そこで昇進が決まる以上は社会人も「井の中の蛙」からは完全には脱却できていないのかもしれません。

だとすれば、一企業というあくまで狭いフィールドで生きることが多い以上、「鶏」の環境で「井の中の蛙」でいるのもそこまで批判しにくい姿勢なのかもしれません。

私が「鶏口」を選択したわけ

これまでの内容で、就職活動の場で大学受験のように" 偏差値 "や" 難易度 "といった指標で優劣をつけるのはあまり正しくない判断だというのは感じていただけたかと思います。

それを踏まえ、実際に私が就職先を一つに絞るうえで「鶏口牛後」の選択をしたその理由についてお伝えしたいと思います。

鶏口の選択理由1:「内定先カードゲーム」への疑問

就職活動中には、「どの企業の選考を受けているか」・「どのフローまで進んでいるか」といった話が就活生同士でよく話題になります。
当然そこには「どの企業の内定を持っているか」という話も含んでいます。お互いの内定先をちらつかせ、まるで持ち駒をカードのように比べそれを競う、「内定先カードゲーム」のような現象がしばしば散見されます。

この"ゲーム"の最大の問題は、「内定先 ⊃ 就職先=将来の働き先」、すなわち"カード"の中から実際に自分が働く場を選ばなければならないということを多くのプレーヤーが見落としている点だと思います。

カードの強さを決定する基準の一つが内定獲得の難易度になりますが、先述した通り、就職難易度の高い企業への内定=「勝ち組」とは一概に言えません。

また、そもそもこのカードは内定〜大学卒業までのわずか数ヶ月の期間でしか効力を発揮しないことも認識しておくべきだと思っています。
卒業後、ほとんどの方はその企業で最低でも数ヶ月、もしくは何十年と働く可能性もあるというのに、そのたった卒業までの数ヶ月のために他者評価の高いカードにこだわるというのは合理的とは言えないでしょう。

鶏口の選択理由2:社会的地位への無頓着さ

私が在学する慶應義塾大学では、自分たちの学生証を提示しただけで合コンでお持ち帰りができるなど、その "慶應ブランド" にまつわる噂は絶えません。

就職後にも、"三田会" という日本最大級の学閥があり、各業界・企業で幅を利かせているという話もしばしば耳にします。

一方で、この"慶應ブランド"が「慶應義塾」という組織に属していること自体を誇りに感じているようで、それをちらつかせるのは、入ってからは大学生活を充実できていない証ではないかと、自分としてはあまり好ましく感じなかったというのが正直なところでした。

これまでの自分の学生生活を振り返っても、小中高とそれなりの競技力で続けていたスポーツを大学では体育会ではなく同好会を選択し継続したことを始め、「どこに行くか」ではなく「そこで何をするか・どう活躍できるか」を重視した選択を多くしてきました。
体育会の方が周囲からの評価は高かったりもするのですが、どんな環境であれ「選手として活躍したい」という考えが根底にあったのだと思います。

鶏口の選択理由3:上位企業に就職すれば「安定」とも限らない

近年、より大きな組織、すなわち本来の意味での「牛」に行くことが必ずしも「安定」を意味するわけではないことは皆さん感じているかと思います。

就職活動での本来の意味での「牛」は「大企業」ということになりますが、本記事執筆時点では神戸製鋼・日産自動車・商工中金といった名立たる大企業が不祥事を起こすなど、「大企業に行っておけば将来も安泰」という考えが一概に成り立つとは言えない世の中になっています。

就活生にも人気な典型的大企業であるメガバンクでも以下のような動きがあることから、真の安定が「組織」ではなく「個人」の能力に起因していく流れは今後も加速していくと考えられるでしょう。(もちろん組織として大企業の方が相対的には安定しているでしょうし、「大企業」と一括りにして述べること自体どうかとは思いますが)。

鶏口の選択理由4:成功体験と失敗体験

You learn from the mistakes you make and from the mistakes other people make. The truth is, you don't learn from success; you learn from failure.

"自分が犯した失敗から学んで、他の人の失敗からも学ぶ。事実を言うと、成功からは何も学べないという事さ。失敗から学ぶ物なんだ。"

 

参考:ジョージクルーニーの名言集

|成功 失敗 学び (検索 |といったワードで検索すると、上記のように「成功なんかよりも失敗からの方が学ぶことが多い」、もしくは「成功からは何も学べない」といった意見がズラズラと並ぶかと思います。

この考えは一理あるとも思うのですが、個人的にはこれまでの人生で成功から学んだことも十分多かったように感じます。
特に上記のような名言がしばしば用いられるスポーツの世界においては、成功体験の方が珍しく、基本はうまくいかない失敗体験の方が単純に数として多いと思います。なかなか味わえない成功だからこそ、そこから得られる喜びや学びは一度としては大きいものではないでしょうか。

成功体験は自身の中でモデルケースを生み出し、次の成功に繋げるきっかけになるとも考えています。他者から仕事で評価されることは成功体験の一種であり、それが得やすい「鶏」の環境は仕事の楽しさにも結びつきやすいのではないかと考えています。

「鶏口」を選択するデメリット

上記のような理由から私自身は「鶏口」のキャリアを選択したわけですが、一方でこの選択には当然デメリットもあると思っています。

鶏口のデメリット1:優秀な人に出会える可能性の低さ?

優秀な人が少ない「鶏」の企業では、優秀な人と仕事を共にする機会が「牛」の企業と比べて当然少なくなります。

働く人については「【例文付】なぜその会社なの?志望動機の伝え方・企業選びの軸の定め方を解説」の記事のように同業比較における理由付けの一つとして機能しうると思っています。仕事において優秀な同期や上司に恵まれることは、人によってはモチベーションになり得るでしょう。

先ほども「月曜が楽しみという人がどれだけいるのか」という話をしましたが、一緒に働く人に恵まれればこのような考え方も生まれるのかもしれません。

とは言え、優秀な人が多い=人に恵まれているとは必ずしも言えませんので、自分がどういった人と働くことがモチベーションに繋がるのかはしっかり考える必要があると思います。
「どんな環境で働きたいか」評価される志望動機の作り方」の記事にあるように「優秀な人がいること」それ自体を志望動機の核とするのは適策ではないため、就職先を判断するうえでのあくまで一つの目安ぐらいに思ってもらえればと思います。

鶏口のデメリット2:転職を考えると若干不利?

在籍企業の業界順位やネームバリューは、社会的地位以外にも、転職のときに職歴として見られることになります。

もちろん転職先の採用担当者の考え方にもよりますが、有名企業のキャリア経験があった方が相手方の印象が高まることは十分あると思っています。

「大手→ベンチャーは容易」だが「ベンチャー→大手は絶対無理」というわけでもないのですが、「とりあえず」優秀な人が集まる企業に行っておいた方が後々潰しがきく場面は少なからず存在するでしょう。

とは言え転職するにしても、前の企業が「どこか」ではなく「そこでどのような成果を上げたのか」も当然問われることになりますので、在籍企業のネームバリューに満足することなく日々の業務を意欲的にこなすことは大切になるでしょう。

鶏口のデメリット3:スキル・能力が身に付きにくい?

就活生が想像する以上に会社で得られるスキルは非常に大切です。そして新卒で就職した1社目で身につくビジネススキルや仕事のやり方は、2社目以降にも大きく効いてきます。

 

参考:就活は本気でやった方が良いと、社会人になって痛感した話

こちらの記事では、「働く」を通して得られるものの一つとして能力・スキルがあり、新卒で入る会社では特にそれが重要だという話が述べられています。

一定期間継続して規模の大きな事業を展開してきた大企業はノウハウの宝庫であり、「牛」の方が教育研修の充実や携わることができる案件の金額が大きいということは起きやすいでしょう。

「鶏口」と「牛後」。最終的にいずれのキャリアを選択するにせよ「牛」の内定は取りに行くべき

SNSやWeb上の掲示板で時おりテンプレートとして用いられる、

東大生 :「学歴なんて関係ない」
Fラン生:「学歴なんて関係ない」

の説得力が異なるように、「鶏口牛後」を語るうえでは「牛」の内定は必須だと考えています。当たり前ですが、両者から選ぶためには「鶏」「牛」の内定が共に必要であり、それ無しにあれこれ悩むのはクレバーではないと思います。

また、「牛」の内定があることで、自分が将来何がしたいのか・どうありたいのかを真剣に考えるきっかけになるとも思っています。周囲の人はだいたい「牛」を勧めてくるはずです。そういった状況で「牛」を切り捨て「鶏」を選択するには、自分なりに納得感のある理由付けをする必要があります。内定も無しにあれこれ不向きを考えるぐらいなら、まずは両方の選択肢があるという状況を作り出すことで、よりリアルに自身の将来に向き合うことに繋がると思います。

そのため、本記事から「じゃあ自分も別に『鶏』でいいや」と短絡的に考えるのではなく、「牛」の内定も手に入れたうえで、自身のキャリアと深く向き合うきっかけとしていただければと思います。

最後に ー 自分にとっての"unistyle"を確立し、納得のできるキャリア選択へ繋げよう!

皆さんが今現在閲覧している就職活動支援サイト、unistyle。その意味は以下の記事で述べられています。

自分は仕事や人生に何を求めているのか、どんな風に生きていきたいのか、そのためには何をすればいいのかということについて就職活動という機会に突き詰めて考えることが重要になってきたと私たちは感じています。私たちは「自分らしい生き方を支える自分独自の考え方」を"Unistyle"と定義し、就職活動を通して"Unistyle"の確立を目指してほしいと考えて、このサイトを立ち上げました。

 

参考:【就職活動の意味】安定を得るために必要なこととは?

"ただ一つの"を表す接頭語 "uni" に、"様式・やり方"をいった意味を持つ"style"。
その造語として生み出された"unistyle"。

就職活動に関する情報を数多く提供しているサイトではありますが、大切なのは「ふーん、そうなんだ」と読んで終わらせるのではなく、「それについて自分がどのように解釈し、どのような意見を持つか」。そして、「『自分だったら』どうすべきか」を深く思考することにあると思っています。

就職活動を始めとしたキャリア選択に絶対的な正解は無く、「鶏口牛後」というのもあくまでその選択肢の一つに過ぎません。「自分だったら」どのような選択をするべきなのか。本記事を機に「鶏口牛後」以外の観点からも考え、ご自身の糧にしていただき、全力で就職活動に取り組んでいただければと思います。

明日から本格的に始まる皆さんの就職活動が納得のいくものになるよう、陰ながら応援しています!

photo by Holly Occhipinti

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就活だけが唯一の選択肢ではない。理想のキャリアを実現するために就活を辞めたとある学生|筑波大学 齋藤侑里子|unistyleインタビュー 就活だけが唯一の選択肢ではない。理想のキャリアを実現するために就活を辞めたとある学生|筑波大学 齋藤侑里子|unistyleインタビュー 就活における「成功」とは何でしょうか。unistyleでは、自分の理想のキャリアから逆算して考えたベストな企業選びをし、その企業から内定を獲得できることだと考えています。そしてそれは必ずしも、日本特有の「型」にハマった就職活動を行うことでしか実現できないことはないと考えています。今回は理想のキャリアと目の前の就職活動にギャップを感じ、「型」にハマらない行動をとった齋藤侑里子さんを紹介します。今20卒の皆さんの目の前に迫っている「就職活動」を行うことだけが唯一の選択肢ではない、ということを理解していただければと思います。筑波大学4年。1996年10月9日静岡県で生まれる。大学1年生のときに筑波大学のキャリア支援団体に加入。所属団体の先輩・OGの影響で就職やキャリアについて考えるようになる。OGの紹介により大学2年生時にサンフランシスコで短期インターンを経験。サンフランシスコで感じたことを元に、日本に帰国後、スタートアップ企業で実務を中心とした長期インターンを開始。併せてシアトルで5週間ほどの「リーダーシップ・内省プログラム」にも参加。同プログラムの協賛企業への憧れが強くなり本選考へ参加するものの、そこで大きな挫折と、自分自身が在りたい姿を見つめ直す機会を得る。その後就活を辞め、大学3年生時にエストニアへ交換留学。サンフランシスコ、シアトル、日本、エストニアを経て感じたこととは。いわゆる「就職活動」は大学1年のときからはじめていた|unistyle|はじめまして、unistyleの中村と言います。今回齋藤さんのコラムを拝見し、是非unistyleでも取り上げさせていただきたいと思って、お声がけさせて頂きました。急な連絡にも関わらずお時間いただきまして、ありがとうございます。|齋藤|いえいえ、とんでもないです。こちらこそ取り上げていただき、ありがとうございます!|unistyle|早速ですが、まずは齋藤さんのいわゆる「就職活動」についてお聞きしたいと思っています。齋藤さんが就職活動を始められたのはいつからですか?|齋藤|どこからを就活と区切るかがわからないですけど、大学一年生の時から筑波大学のキャリア支援団体に入ってました。キャリアを考えたり行動し始めたことを就活のはじまりと呼ぶのであれば、大学一年かもしれないです。|unistyle|一般的な学生と比較するとかなり早いですね。そもそも、一年生の段階でキャリア支援団体に入ってるのがまず非常に早いし珍しいなという印象を受けました。大学に入学してすぐにキャリア支援団体に入ったんですか?|齋藤|いや、入ってすぐではないんですよね。私はあまりお金がなかったんで稼がなきゃと思って、入学直後あたりはアルバイトしかしてませんでした。大学一年の秋くらいまではアルバイト漬けの日々で、そうすると「自由なお金はあるが、私は何に時間を投資しているんだ?」と思うようになって。育ってきた家庭環境もあり(齋藤さんは母子家庭)幼い頃からしっかりお金を稼がないといけないっていう強迫観念に近いものが元々あったので改めて考え直してみたんです。ただアルバイトするだけでは一時的なお金を蓄えられても長期的な稼ぎや自己投資にはならないだろうなという結論に至り「このままだとよくないな」とキャリア支援団体に入ることに決めました。なんでキャリア支援団体なのかというと、筑波大学って結構僻地にあるじゃないですか?(笑)僻地なんで都心に出る度結構なお金がかかるので、じゃあお金をかけずに都心に行けて人との繋がりを生んでいく方法は?と考えた結果、社会人や面白そうな学生さんと会えそうなキャリア支援団体かなぁっていう、最初は少しノリや勢いに近いところもあって入りましたね。(笑)|unistyle|なるほど、そうだったんですね。キャリア支援団体となると高学年の学生ばかりで構成されている印象なんですがどうでしたか?|齋藤|その団体には4年生しかいなく、1年生なんて当然私だけで。「ここにいればいろんな情報や人との繋がりを得られるだろう」と考えていたら自然と就活も意識するようになりました。そんな中インターンとかもしてみたいなと思ったのが大学二年の春ですね。たまたまキャリア支援団体のOBで私のことをめちゃくちゃかわいがってくれていた先輩から「齋藤ちゃん、こんなところに一年生からいるんだからこういうのもやってみない?」と誘っていただいて、それがサンフランシスコでの2週間のインターンだったので、貴重な機会だしサンフランシスコいってみよう!といった感じで英語全然ダメなんですけど(笑)サンフランシスコのベイエリアでインターンという名の会社訪問をすることにしました。会社訪問が中心だったのでいわゆる実務系のインターンをしていたというよりは、主にスタートアップ界隈の起業家と会ったりカンファレンスやイベントに参加していましたね。2週間ではありましたけど、これまで見たことがない新しい世界と出会うことができ、日本に帰ってきて「次どうしようか」となった時に、インターンとはいえ手を動かしていたわけではなく、同時に今の自分の能力の無さから「実働しないと!」という危機感もあったので、日本のスタートアップ企業でインターンをすることにしました。そのあたりでマイナビさんとかがやっている就職イベントにも行ったりしましたね。時期にしてだいたい大学二年の冬あたりです。スタートアップでインターンしていたのもあってベンチャー系の企業を中心に見ていました。ベンチャーパークというベンチャー特化イベントだったと思います。なので、ちょっと長くなってしまったんですけど、スタートはいつか?と聞かれると一年生かもしれないし、俗に言う”日本の就活”みたいなのを基準とするなら二年の冬かなという感じですね。サンフランシスコで感じた”危機感”サンフランシスコにて。スタートアップ企業の会社訪問やカンファレンスに多数参加。|unistyle|就職支援団体やサンフランシスコでの経験が今の齋藤さんの働くことに対するスタンスやキャリアの考え方に近いものをつくっていったのかなと思うんですがどうですか?|齋藤|確かにスタートアップ企業とかからかなり刺激を受けたっていうのはあります。向こうの人達、もちろん大学生もみんな確固たる夢を持っていて、「将来何したいの?」って聞くと必ず「これがしたい」っていうのが返ってくるんです。向こうの人達って「確固たる何か」を持っているんですよね。強いパッションとビジョンと言えるようなもの。私はその時何もないし、とりあえずお金稼がないとなーって感じでアルバイトをして、でも長期的に得られるものが少なそうだと思ってアルバイトを辞めてキャリア支援団体に入って、縁あってサンフランシスコにきた、ぐらいの感じだったので、「確固たる何か」をもった上で行動していかないと後で苦労しそうだっていう危機感をアメリカで強く覚えました。あのとき感じた危機意識が「日本に帰ったら何かをはじめて、確固たる私をつくろう。自分のパッションに従ってアクションを取っていこう」という姿勢に変わって、スタートアップでインターンを始めた、っていう形ですね。|unistyle|とりあえず自分も何かを実践して、スキルや経験を積まないといけないという危機感が大きかったんですね。|齋藤|そうでもしないと今後やっていけないなという危機感、、、いつも危機感に触発されて私は行動しているという感じなんですよね。出来ないからやる、不安だからやる、、、いつもそんな感じです。それがよくも悪くもモチベーションになるんですよね。モチベーションだけでは足りない|欠落していた”why”(左)日本でのスタートアップ企業インターン(右)シアトルでの内省プログラム|unistyle|なるほど。ありがとうございます。日本に帰国してスタートアップで実務を行うインターンをして大学2年の冬にマイナビとかの合説に参加して、、、そこからどういう流れで就活に突入していくんですか?|齋藤|日本でスタートアップ企業のインターンをしながら、5週間位シアトルでソーシャルイノベーションプログラムというものに参加しました。そこではとにかく”内省”をしまくるんですよね。これまでの私の人生をとことん省みました。参加した理由は、それまでは「とりあえずやらなきゃ」でなんとかこれたんですけど、「なぜやるのか」が自分の中で明確じゃなかったんですよね。というか、なかった。だから”なぜ”を掘り下げるためにこのプログラムに参加しました。「なぜやるのか?」「私は何がしたいんだろう?」を深堀っていく中で自分のバックグラウンドからすごい影響されてるなと思ったんです。こうあるべきだ、お金を稼がなきゃいけないっていうネガティブなのかポジティブなのかわからない状況が自分を突き動かしてることに改めて気付いて、同時に「じゃあ私は社会に何をもたらしたいか」を考えたときに、母子家庭で決して裕福とは言えなかった経験もあって、女性を中心とした社会的自立を求める人達に対して「大丈夫、できるよ」と支援してあげられることがやりたいなとなったんです。「なぜやるのか?」「私は何がしたいのか?」を徹底的に考えることによって"why"の部分から進路を考えられるようになり、女性向けのサービス提供や支援をメディアを通じて行っている企業のインターンにも行くようになりました。|unistyle|もう一つインターンに行ったんですね。ということはインターン2つ掛け持ちしながら・・・|齋藤|そうです、でも最初のインターンはいわゆるマイナビとかが公開される6月のタイミングで辞めることにしました。|unistyle|就職サイトを使ってのインターン、俗に言う1dayとか5daysと言われるようなものには参加したんですか?|齋藤|はい、自分の中で”日本の会社に就職するためにはやらないといけないこと”みたいな位置付けで認識をしていたのでとりあえずやってみたというくらいではあったんですけどね。義務的に参加していたようにも思います。なのでいろいろと応募はしました。IT企業を中心に受けましたね。(複数の某有名IT企業)とかを受けてその中からいくつか参加させていただきました。|unistyle|IT系企業を中心に受けていたんですね。誰もが知るような有名企業がずらりという所感です。|齋藤|直接の1:1のコミュニケーションも大事だと思いますけど、社会全体に広くリーチしていくにはテクノロジーの力が必要だなと。しかも大企業のほうが露出やインパクトもあり根本からアプローチできそうだと思いサマーインターンに参加していました。で、いくつかインターン行く中でたまたま内定を頂いて・・・。|unistyle|またしても早いですね。|齋藤|周りも「え、齋藤内定?はや」という感じではありましたけど、「だから私すごい」とかいう感情は全くなくて。むしろ「こんな簡単でいいのかな」くらいに思いながら「本当にやりたいことではないし」といった複雑な気持ちでした。内省プログラムの後だったから、余計に違和感を覚えていたのかもしれません。「就活」によって失われかけた自分3年生のサマーインターンにて。IT系企業を中心に複数参加。|unistyle|ここまでは挫折とかネガティブな意味での「就活ってなんだ?」みたいなのはなかったように思いますがどうですか?|齋藤|ここまではそういった感情は確かになかったです。当たり前のように就活しなくてはいけないと思って、サマーインターンも参加していたし、ありがたいことに夏に内定も頂いたりしましたし。|unistyle|その後に何があったんですか?|齋藤|先ほどお伝えしたソーシャルイノベーションプログラムの協賛企業が外資系のIT企業だったんですよ。プログラムがよかったのもあるんですがそこで出会った人たちやビジョンに惹かれ、その後5ヶ月ほどその企業の長期インターンにも参加させてもらうことになりまして。するとその企業への憧れがどんどん強くなっていって、当然入社意欲もどんどん強くなっていって、そのまま本選考を受けたんですよね。色んな社員さんから「斎藤さん、うち来るんでしょ?」とか言って頂いたんですが、選考初期のグループディスカッションで落ちたんですよ。そのグループディスカッションは人事の方が選考官ではなかったんですが、元々人事の方とは仲が良かったので落ちてしまったこと伝えると「もう一回受けてみて」って再チャレンジさせていただけることになって。特別にもう1回受けさせていただいて、で、また落ちました。そのときに、「あ、経験があったり熱量持って取り組んだことは役に立たなくて、一方で、戦略的に準備してきた人とかは熱量や経験に関わらず突破してしまうんだ」って感じてしまったんですよね。これまでの経験とか熱量とかって選考の初期段階だと選考官の方に伝える機会ってあんまりないじゃないですか?仕方ないとは思うんですけど。しかももう一回来てって言われてもう一回行ったのにまた落ちる。大事なのは就活テクニックのようなもので、私の実力不足であることはわかっていながらも、何だこれって思ってしまったんですよね。|unistyle|そういう、”就活用の表面的なところ”と言ってしまうと語弊がありそうですが、これまでの経験とか熱量とかがなかなか判断材料にならないことに対して憤りにも近いものがあったと。これが齋藤さんの「就活」であり、この経験が「本当の理想のキャリア実現のための行動」に繋がったという感じでしょうか?|齋藤|そうですね、この一連の出来事で「もう留学行きます!」ってなって、留学することにしました。逃げの部分も多少ありましたけど日本で受けたいと思える企業もそんなになかったですし。私の思う”評価”を求めたところが大きいと思います。私の知っている海外でなら”評価”を得られるんじゃないか、って。再度、世界にステージを移してエストニアにて。理想のキャリアを実現させるため、”就活”を辞める。|unistyle|どこに留学に行ったんですか?|齋藤|エストニアです。インターン時にブロックチェーンに関する記事を読む機会があって、それで偶然エストニアを知りました。記事の内容は「世界最先端のデジタル国家として今後伸びるんじゃないか?」というもので、直感的に「よし、行こう」ってなったんですよね。|unistyle|エストニア・・・あまり日本人は馴染みのない国ですよね。サンフランシスコでいろんな人と出会い、日本でやりたいことをしながら就活で絶望し、その後エストニアに行ったことで気付いたことや感じたことはありますか?|齋藤|思ったのは、あのまま日本にいると大手ブランドに惹かれている自分や「あの憧れの企業の人になりたい」っていう想いがどんどん強くなっていただろうなって感じました。というのも今思えばなんですが、折角内省プログラムを5週間して帰ってきたのに、私もマイナビとか就活サイトを見てみんなと同じようにサマーインターンのエントリーとかしてる中で”why”よりも”how”ばかりをしてしまっていた自分に気付かされたんですよね。やっぱりサンフランシスコやエストニアで出会った人達は大前提パッションがあって、さらに”why”があるから今これをしているっていうのが明確で。日本に居続けて、内定を獲得するためのスケジュールなんかもしっかり組んで、とにかく戦略的に効率よくこなしていく就活をしていたら、「あー第一志望落ちたー。次どうしよう」みたいな”how”ばかりに目がいってしまいそうで。周りに合わせて大手から順番に受けるという感じになっていたかもしれませんし。エストニアに行って、やっぱり”why”が大切で、その先に"how”があるっていうことに改めて気付けたことが、一番よかったことなんじゃないかなって思います。|unistyle|改めて本質に気付けたというか、大切にしないといけないことが蘇ったという感じですかね。更にその上で、エストニアにいたときに気を付けたこととか取り組んだこととかはありますか?|齋藤|2つあります。1点目は、好きなことをやり続けることです。好きなことにやる気になれれば、知らない土地や知らない人とも実現できるっていう自信が自分の中で芽生えました。2点目は、ブランディングや流行りに寄りすぎないことです。エストニアがIT界隈ではブームなのもあるんですが、エストニアブランディングに寄りすぎるとまた似たようなことになるっていう自分に喝を入れるようにしています。要するに大手ブランドを持ってしまうみたいなところですかね。大手○○会社の私、みたいな。就活生に伝えたい、私が思うやるべき2つのこと|unistyle|今回お話をお聞きして、齋藤さんは自分のやりたいこととか不安な部分をうまく両立させて、それによって本質だったり”why”が見えてきたんだろうなと感じているんですが、実際にはほとんどの就活生は齋藤さんのように器用にできる人は多くないと思うんです。様々な経験をしてきて、酸いも甘いも知った齋藤さんだからこそ、就活生や近い将来キャリアを考え始める学生に対して、どんなアドバイスをしますか?|齋藤|まず1つ目は、友達とか家族とか恋人と自分自身について話す時間をつくることは大事なんじゃないかなって思っています。いわゆる就活でやるような自己分析を「就活だから」という理由でやるのではなくて、大学1、2年生のうちに自分について考える時間を作ったほうがいいなって思います。もっと言えば高校生くらいからやった方がいいんじゃないかって思っているくらいで!私の場合はサンフランシスコ、日本でのインターン、内省プログラムなどもありましたし、そもそも誰かとお互いの価値観を話し合うみたいなことが好きだったので自然と育まれていった部分もあります。性格的なところは個人差があると思いますが、やっぱりまずは「早い段階で自分自身について誰かと話す」ことかなって思います。2つ目は、「じゃあ自分って世の中に対してどうしたいんだろう」といったところもじっくり考えてみる時間を設けた方がいいと思っています。とはいえこういうのってなかなか出てこないと思っていて、それは”知らないから”だとも思うんですよね。「なるほど、そういう考え方もあるんだ」って知るキッカケがあれば考えるようになると思うし、キッカケがなかった人は考える余地を得られないまま”型”にハマってしまった就活をしてしまうんじゃないかなって。一言でいうと、情報と経験からくる刺激が必要なんだろうなって思っています。|unistyle|仰る通りですね。unistyleでも、就活のために自己分析をするのは違うと訴えていますし、何かのきっかけで気付きが生まれてアクションをとってみようとか、アクション取ってみた結果何か刺激を受けて考え方や動きが変わると、もっと将来の時間を有効に、大事な自分の価値観を守りつつも、とはいえ有意義にこれからの人生を過ごしてくれる人が増えるんじゃないか、って思うんですよね。|齋藤|そうですよね、その気付きのタイミングは重要だと思います。そういうのをどれだけ散りばめられるか。自分で掴みにいくのもそうだし、誰かに会って話すだけでも変わるし。私は多分幸いにも多い方だったと思いますし、だからこそこれから就活やキャリアを考えていく人にとってはこれだけは伝えられるんじゃないかなって思っています。|unistyle|齋藤さんは4月から学生を卒業し社会人になると思いますが、現時点においてファーストキャリアをどのようにされるおつもりですか?|齋藤|結論は正直まだ出ていません。キャリア選択に妥協したくないというのもありますし、やりたいことも多いと思っているので慎重になっていますが、実はインターン先の上司からオススメされた某IT企業を3年生の12月に受けたんですが、そこから内定を頂いておりまして。”理想も求めつつ現実的な足場も固めてキャリアを積んでいきたい”と考えたときに、これまでの経験から「ITやメディアを通して人の支援とコミュニティー作りがしたい」「海外での就職は今は考えていないけど将来的には可能性があると思っている」「常に新しいことへの挑戦ができる環境にいたい」「とはいえ足場も固めないといけない」という贅沢な私の中長期的な理想を満たせるものはなにかなと。なので、内定先の企業も検討しつつ、まだ卒業まで時間もあるのでじっくり考えてみたいと思います。ファーストキャリアはそのくらい考えて決めるべきことなんじゃないかなって思っています。最後に|unistyle編集部から誰もが必ず「自分の未来」について考える機会となる就職活動。描く未来は、本当に自分自身が腹落ちして、ワクワクしながら目指せる未来になっているでしょうか。また、そこから逆算して、新卒1社目の会社はどんなところに入社すればいいのか?を考えて企業選びができていますか?あるいは、前向きな意味で”就活をしない”という選択肢も視野に入れていますか?多くの就活生と接していると「そもそも夢・目標、やりたいことが見つからない」「就職活動のために作った夢・目標を掲げている」「周りに流されて自分のキャリアを決めてしまっている」という人が多いように感じています。そんな方にとって、本記事が「自分の未来」について考え直し、行動するきっかけとなれば嬉しく思います。齋藤侑里子さんとunistyleのコラボイベントunistyle×サイトウユリコ|限定コラボイベント人生100年時代を生き抜くための、自己発見セミナー 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「やりたいことがない」学生は、とりあえずブランド企業に入社すべき 「やりたいことがない」学生は、とりあえずブランド企業に入社すべき ※本記事は2018年3月に公開された記事になります早いもので、2019卒の就職活動解禁から1ヶ月が経とうとしています。皆さん、就職活動の進捗状況はいかがでしょうか。「説明会やOB・OG訪問をうまくスケジューリングし、効率的に就職活動を進められている。もうすぐ総合コンサル1社から内定が出そうなので、これを滑り止めとして抑えつつ、これから日系大手の選考に備えていく!!」といった方もいれば、「とりあえず説明会に行ってはいるが、内容はあまり頭に入ってこない」「ESが書き終わらない、というか、そもそも何を書けばいいか分からない」「毎日スーツを着て都内を回ることに少し疲れてきた」「数十社にプレエントリーしたものの、正直、どこがいいのか自分でも分からない」など、漠然とした悩みが頭にこびりつき、毎朝どこか悶々としたままでスーツに袖を通している方も多いのではないかと思います。本記事では「とりあえず就活はしているけど、〈やりたいこと〉なんて見つからない」という学生のみなさんに向けて、将来を考えるためのヒントを提示したいと思います。本記事の構成「やりたいこと」なんて、思いつかなくて当然「やりたいこと」がないなら、将来に可能性を残そう将来に可能性を残すなら、新卒はブランド企業を選ぶべきファーストキャリア検証:①コンサル・PEファーストキャリア検証:②ベンチャー役員最後に:将来の自分に可能性を残しておきたいなら、とりあえずブランド企業を選んでおくのも1つの戦略「やりたいこと」なんて、思いつかなくて当然まず最初に、「やりたいことがない」と悩む学生のみなさん、「やりたいこと」なんて思いつかなくて当然です。もちろん、「私は途上国のインフラ開発に人生を捧げる!」とか「俺はFinTechの領域で革新的なビジネスをつくる!」とか、すでに自分のキャリアプランや成し遂げたいことが明確に決まっているのなら、それはそれで素晴らしいことです。しかし、就職活動の時点で「俺はコレで生きていく!」と胸を張って言えるような学生は、きっとそう多くはありません。日本の大学生の大半は、サークルや部活動など、将来の仕事には直接的な関係のない活動にもっぱら精を出してきたはずで、自分のキャリアについて真剣に考え出すのは早くても大学2〜3年のころでしょう(それが良いか悪いかは別にして)。「これからどんな仕事で生きていくか」という重要な意思決定について、就職活動のわずか数ヶ月のあいだに自信をもって答えを出すなど、普通の学生にはとんでもなく難しいことであるはずです。少なくとも新卒就活の時点では、「やりたいこと」なんて崇高なもの、なければないでまったく構わないと思います。(もちろん、企業の選考で問われる以上は、表面的にでもロジックを組み立てて答えなければなりませんが・・・。)「やりたいこと」がないなら、将来に可能性を残そうでは、「やりたいこと」がない人は、どうすればいいのか。もちろん絶対的な正解などありませんが、ここで提示したい答えは、【いつか〈やりたいこと〉ができたとき、外部の制約を受けずに〈やりたいこと〉に向かえるよう、将来に可能性を大きく残しておくこと】です。より具体的にいえば、将来的な転職・キャリアチェンジのときに、なるべく多くの選択肢を確保できるようなファーストキャリアを選択することです。この記事をお読みいただいている大半の方々にとって、すでにプロのアイススケート選手になる道は閉ざされてしまっていると思います。みなさんが平昌五輪での羽生選手の活躍を見て「私もアイススケーターになりたい!」と強く思ったとしても、残念ながら、今からその夢を実現するのは不可能でしょう。将来、あなたが「学生のときは思ってもみなかったが、私はどうしてもコレがしたい」と思い至ったとき、「時すでに遅し」はあまりに悲しいことです。そういう事態を回避するために今できることの1つが、将来的な転職の選択肢をなるべく多く残しておくことだと思います。将来に可能性を残すなら、新卒はブランド企業を選ぶべきそして、将来の選択肢をなるべく多く確保しておくことを考えたとき、有効な選択肢の1つが【とりあえず、新卒ではブランドのある企業に入社しておくこと】です。将来、みなさんが何かを思い立って転職活動に挑もうとしたとき、かならずチェックされるのが「それまでの職歴」です。このとき、一般的に新卒就活でも人気の高い、いわゆる「ブランド企業」「一流企業」でキャリアを積んできたという事実は、あなたの転職の可否にプラスに作用することが多いと考えられます。その理由には、「一流企業であれば、一人ひとりの人材の質も一定以上を満たしているだろう」という期待値計算的な高評価が挙げられるでしょう。このことは、「とりあえず東京大学に入学しておけば、卒業後の進路を選ぶとき、学歴差別によって選択肢が狭められることはなくなる」ということと似た構造になっていると思います。ファーストキャリア検証:①コンサル・PEここから先は、unistyleが作成したキャリアデータベースをもとに、本記事の主旨、つまり【新卒ではブランドのある大企業に入社しておくほうが、将来の転職の可能性が幅広く担保される】ということを検証してみましょう。unistyleが作成したキャリアデータから、彼らのうちどの程度が新卒でブランド企業・大企業に入社しているかを調査し、上記の仮説を検証します。「ブランド企業」をどう定義するかは難しいところですが、ここでは「リーディングマーク2018年卒・超上位大学生就職企業人気ランキング」の上位100社にランクインしている企業に、①コンサル・金融・IT業界に属する外資系企業②メガバンク統合前の都市銀行③中央省庁や監査法人、法律事務所これら3つの企業群を合わせたものを「ブランド企業」と定義し、データをまとめていきます。転職データのリサーチunistyleでは、■PE(プライベートエクイティ)ファンド■戦略系コンサルティングファーム■VC(ベンチャーキャピタル)■優良ベンチャー企業*以上の4つの集団に対象を限定し、これに該当する1,332名のエリートキャリアを独自に調査し、データベースを作成しています。*各ベンチャー企業のなかでも役員クラスのポジションのみ対象、起業したケースも含む。また、株式未上場の場合、直近5年以内に1億円以上の資金調達を行っていることが選定条件。なお、全ての情報は有価証券報告書ないし企業HPから収集したものです。戦略コンサル・PEの現職メンバーのファーストキャリアトップクラスのエリートが集う業界として知られる、戦略コンサルとPE(プライベートエクイティ)ファンドの両業界において、在職者のファーストキャリア(新卒入社した企業)は以下のようになっています。*バブル崩壊以前に存在した、旧・都市銀行。日本興業銀行(現・みずほFG)、日本長期信用銀行(現・新生銀行)、三和銀行(現・三菱東京UFJ銀行)とも、当時はエリートキャリアの代名詞として語られ、総合商社やコンサルティングファームを上回る就職人気を誇った。全体の83.3%が、今回定義した「ブランド企業」の出身者となりました。その内訳を見てみると、マッキンゼー・アンド・カンパニー(14名)、三菱商事、ゴールドマン・サックス証券(各13名)を筆頭に、新卒就活でもトップクラスの人気をほこる企業の出身者が圧倒的に多いことが分かります。また、今回の定義づけでは「非対象企業」の出身者となっている33名も、東京電力や帝人など、日本を代表する大企業の出身者がその多くを占めていました。戦略コンサルとPEファンドの両業界では、イメージしていた通り、新卒で「ブランド企業」に入社したのちに転職したビジネスパーソンが大半を占めているようです。▼戦略コンサル・PEファンドへの転職については、こちらの記事で詳しく取り上げています。■■▼また、銀行員の転職事情については、こちらの記事で解説しています。■ファーストキャリア検証:②ベンチャー役員では、ベンチャー企業で役員ポストに就いている層ではどうでしょうか。先ほどの戦略コンサル・PEファンドよりは低い割合であるものの、ベンチャーの役員クラスにおいても「ブランド企業」出身者比率が65.0%を占めていました。リクルートが最多で34名、次いでアクセンチュアが31名のベンチャー役員を輩出しています。「非対象企業」の出身としてカテゴライズした方々も、サイバーエージェントやDeNA、楽天などのIT系メガベンチャーの出身者が多く、ベンチャー企業の役員クラスでも「ファーストキャリアで有名企業に入社したあと、ベンチャー企業へと転身する」というアプローチをとったビジネスパーソンが多いと言えそうです。▼ベンチャーへの転職については、こちらの記事で詳しく取り上げています。■■以上、転職データを用いた2つの検証結果(①コンサル・PE、②ベンチャー役員)からも、【新卒ではブランドのある大企業に入社しておくほうが、将来の転職の可能性が幅広く担保される】という仮説が説得力をもつことになりそうです。最後に:将来の自分に可能性を残しておきたいなら、とりあえずブランド企業を選んでおくのも1つの戦略本記事では、「やりたいことなんて見つからない系」就活生のみなさんに向けて、2つのメッセージをお伝えしました。すなわち、■いま〈やりたいこと〉がないのなら、いつか〈やりたいこと〉ができたときに制約を受けずに済むように、将来に可能性を大きく残しておくべき。■新卒ではいわゆる「ブランド企業」に入社するほうが、将来的に転職するときの選択肢を幅広く確保しておくことに繋がる。ということです。もしあなたが「やりたいことなんて見つからない系」就活生であるならば、無理に崇高なビジョンを掲げるよりは、今は「やりたいことなんてない」自分に正直でいるほうが幸福な就職活動になると思います。とはいえ、この手の議論に絶対的な正解などありえません。『』でお伝えした”鶏口牛後”の考え方のように、自分なりのモノサシに照らして検討していくべきです。▼良記事です。ぜひお読みください。■みなさんが納得のいく形で就職活動を終えられること、そして遠くない将来、みなさん自身の〈やりたいこと〉に出会えることをお祈りして、この記事の結びとします。 37,874 views
【急成長中のネット広告業界】ビジネスモデルと各プレーヤーの仕事とは 【急成長中のネット広告業界】ビジネスモデルと各プレーヤーの仕事とは ※本記事は2016年2月に公開された記事になります。電通が毎年2月に発表している「日本の広告費」を見ると、Web広告の規模は1兆円を超え、テレビや新聞などの各種広告媒体の中で唯一2桁成長となっている有望市場だと言えます。就活中の皆さんの中にもネット広告に携わりたいとサイバーエージェントなどを就職先として検討している人はいると思いますが、実際にインターネット広告業界について理解している学生は少ないと感じています。(大人でもよくわからないという方は多いかもしれません)今回の記事はインターネット広告業界について簡単にまとめたものになりますので、業界研究のさわりとしてご一読いただければと思います。ネット広告業界のプレーヤー大まかな業界地図は下記のようになっています。​各プレーヤーの仕事については次の段落で紹介​していきます。ネット広告業界の仕事内容・ネット広告代理店(サイバーエージェント、オプトなど)広告主から予算を預かり、広告主に代わって、無数に存在するメディアやプラットフォームを使った広告施策の中でより効果的な施策を立案するのが仕事です。広告主のインターネットビジネスを成功させるためのプロモーションプランをトータルで担います。・メディアレップ(CCI、DACなど)広告代理店とメディアとの橋渡しを行うのが主な仕事です。また、単に繋ぐだけでなく、自社でメディアの収益向上支援のための広告手法開発やマーケティングなども行っています。・プラットフォーム(Google、ヤフーなど)Googleなどの検索ページに広告が出るのは、広告主(あるいは予算を任された広告代理店)がお金を払って広告を掲載しているからです。ちなみに世界最大の広告企業は電通ではなくGoogleです。(広告代理店だけで見ても、イギリスのWPPという企業が世界最大です)・メディア(unistyle、lifehacker、各種まとめブログなど)ユーザーが直接目にするWebコンテンツを提供しています。移動中などの暇つぶしにまとめブログなど見る人も多いのではないでしょうか。なお、unistyleも就活生をターゲットにしたメディアの一つです。・アドテクノロジー企業(フリークアウト、ジーニーなど)メディアがGoogleの広告を表示することでマネタイズ(「広告主→Google→メディア」とお金が動きます)する場合も多いですが、そのメディアを見にくるユーザーにとって、より適切な広告が表示されるシステムを提供しています。広告が有効に機能することで広告主も商品売れやすくなりハッピー、メディアもお金をもらえてハッピー、という仕組みを作るのがアドテクノロジー企業の仕事です。ネット広告業界内での求められる人材の違い大まかな傾向としては、ネット広告代理店のように、広告主に近いほど提供する商品・サービスの自由度が高いと言えます。メディアレップであればどのメディアに広告を出稿するのか取り次ぐ役目がメインであり、アドテクノロジー企業であればすでに出来上がった自社のサービスを売りまくることが求められやすいかもしれません。もちろん、変化の激しい業界なので、たとえばアドテクノロジー企業であるフリークアウトなどで新たなサービスを作る側に回ることもあるかもしれません。最近ではリクルートもアドテクノロジー事業に参入するなど、ホットな業界です。また、サイバー・コミュニケーションズなどのメディアレップでも、広告主・メディアの収益改善のためのコンサルティング事業も行っており、日進月歩の領域だと言えます。自身のアイデアで顧客に価値提供したい人、個人として努力し成果を挙げることにやりがいを感じる人など、企業選びの軸に照らして受ける企業を選んで欲しいと思います。最後に規模の急拡大に伴い、ステルスマーケティング問題などの歪みもでてきているネット広告業界ですが、スマホ人口の増加などに伴いインターネットもより身近になって、今後さらに伸びていく業界だと思っています。レガシーな大手企業であってもこれからはインターネットなしの営業活動は考えられないという時代になるかもしれません。また、最近では2013年に化粧品ブランドのロレアルパリがテレビCMなしのWebに絞ったプロモーション戦略で成果を挙げた事例もあり、メーカーでマーケティングに関わりたいといった学生もネット広告へのアンテナは張っておいた方がよいかもしれません。もっと多くの学生がネット広告業界に目を向けてもよいのではないかと感じています。【参考記事】また、こちらの動画では広告業界の業界研究を解説しています。ぜひご覧ください。広告代理店の情報収集に役立つ!就活生向けLINEオープンチャットを紹介unistyleでは業界別の就活用LINEオープンチャットを運営しており、数多くの就活生が匿名で就活に関する情報交換をしています。実際に広告業界志望者向けのグループでも、各社の選考に関するトークが活発に交わされています。下記の画像をクリックすることで参加用ページに飛び、ニックネームとプロフィール画像を登録するだけで参加することができますので、興味のある方はぜひご参加ください。 59,602 views
何かに一生懸命打ち込んでいる人のための就職留年のススメ 何かに一生懸命打ち込んでいる人のための就職留年のススメ こんにちは、4年間体育会で活動していた16卒の慶應生です。私は就職留年をしていました。同じ部活の同期や他部の同学年にも、就職留年している人は多いです。私は就職留年を経験して、体育会の活動と並列して就職活動を行っていたら知らなかった様な企業にも出会うことができ、自己分析や将来像についてもじっくり考えることが出来ました。そして、自分の志望する企業に内定を貰えました。体育会やゼミ、アルバイト何でも良いですが、何かに打ち込んでいる人は就職留年を視野に入れても良いのではないかと思って書きます。なお、就職留年はリスクの高い行為でもあります。就職留年を検討している人は、一度就職エージェントneoに相談するのも良いでしょう。アドバイザーが要望に合わせた企業の提案をしてくれますし、そもそもの就職留年の是非に関してなど、客観的にアドバイスがもらえるため、何かヒントが見つかるかもしれません。少しでも興味があるという方は、下記の画像をクリックしてサービスを利用してみてください。参考:就職留年は不利なのか就職留年しないでの両立は大変だし、部の和を乱す「部内は敵だらけ!就活最強と言われる体育会の部内で繰り広げられる骨肉の争い」でも書きましたが、就職活動になると部内が殺伐とします。就活マシーンは部活のことなんて考えないで自分の将来のことを考えて利己的に動きがちです。4年間で最高の結果を得るためには、ほとんど全ての学生生活を注いだ方が良いと思います。もちろん要領よく4年間で終わらせるべきではあると思いますが、皆が皆そんなに器用に出来るとは思いません。某体育会は幹部全員が留年することを決めたらしい某大学の体育会では幹部が全員留年することを決めて、部活のために4年間を注ぐことを部内で決めたらしいです。何かに打ち込むことってやはり凄いことですし、こういう経験は今後の人生にも活きると思いますし、社会人になったら決して出来ない経験だと思います。大学受験で1年間浪人して大学に入るのと変わらないと思えば、就職留年を決意することも出来るのではないかと思います。参考:総合商社に内定した体育会系学生が就職活動で意識した三つの差別化方法就職留年する上でのアドバイス①1回目の就職活動もやっておく就職留年すると言っても練習や雰囲気を味わうために、1回目も就職活動を部活の支障をきたさない範囲でやっておくと翌年に楽になるかもしれないです。私自身も留年するつもりで5社程度受けて1社には内定をもらいましたが辞退しました。翌年、就職活動をした時に1回目の経験は非常に活きました。実際に面接を受けることや内定取ることが、第一志望から内定を獲得するための一番のコツだと思います。②2回目の就職活動も友達を作る!就職活動をする上で友達は大事です。周りの友達の多くは社会人になっており、なかなか同じような仲間を見つけづらいかもしれませんが、必ず作って下さい。私は同じような境遇の就職留年組や、unistyleのインターン生なんかと情報交換をたくさんすることで、就職活動を乗り切る事が出来ました。③友達にOB訪問が出来る!周りの友達の多くは4月から会社で働いています。私は6、7月に就職活動の息抜きも兼ねて、友達にOB訪問をしていました。まだ働いて数ヶ月ですが、会社の雰囲気や残業時間や給料といった説明会などでは聞く事が出来ない事も詳しく聞く事が出来て非常に参考になりました。また、OB訪問という名目だと昼ごはん代が会社の経費で落ちることが多かったので、両者にとってもwinwinです。④就職留年をした理由は必ず聞かれる!面接中に「何で就職留年したの?」と質問されることは何度かありました。「就職活動はきちんとしていたのですが、内定を貰うことができなくて……。」「単位が足りずに……。」といった返答をしてしまうと、面接官に悪い印象を与えることになると思います。面接官にネガティブな印象を与えないような返答をしっかり準備しておく必要があると思います。私はこのような質問に対して、「学生生活の全てを部活動に注いだ結果、留年していました。現在は部活を引退しているので、部活動に注いでいた力を就職活動にあて、将来自分が何をやりたいのかを全力で探しています!」と言っていました。この返答だと、面接官に悪い印象を持たせることなく、逆に部活に全力で取り組んでいたこともアピール出来ます。⑤就職留年している人は意外に多い実際に社会人として働いている友達に聞いたのですが、ストレートできちんと入社している人は意外に多くはないそうです。特に商社、広告、マスコミ、外資企業でダブりの人は多いそうです。そう考えると1年留年してるからといって、悲観的になる必要はないと思います。最後に何かに打ち込んでいるなら全力で打ち込んで、時間が足りないのであれば留年を考えるのも選択肢の一つだと思います。4年間で卒業しなければならないなんて固く考えずに、良い結果を残すための留年は良いことだと思います。悩んでいる方の参考になれば幸いです。photobyMartinThomas 20,564 views

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