自動車の未来、4つの論点。三井物産が欧州EV事業に参入【unistyle業界ニュース】

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最終更新日:2023年10月31日

自動車の未来、4つの論点。三井物産が欧州EV事業に参入【unistyle業界ニュース】

本選考とインターンの締め切り情報

2017年10月26日。
三井物産はダイムラー (Daimler AG) と提携のうえ、ヨーロッパでEV (電気自動車) 向け充電・電力事業を展開するベンチャー企業、The Mobility House AG社への出資参画をアナウンスしました。

The Mobility House AGはドイツに本拠をおき、ヨーロッパ市場向けにEV向けスマート充電ソリューションを提供するベンチャー企業です。

環境問題への懸念から世界的にEV移行が期待されていることを受けて、EV充電システムの開発・供給を手がける同社への出資を決めたものと考えられます。

また、三井物産はこの出資参画を通じて「同社の成長を支援すると共に、三井物産が自動車・電力インフラ・エネルギー事業で培ってきた総合力の発揮により、再生可能エネルギーとEV導入が加速している欧州の先進的ビジネスモデルの事業化に取り組み、米国や日本等の他地域における事業拡大」を目指すとのことです。

トヨタや日産、ホンダなどの完成車メーカーはもちろん、ブリヂストンやデンソーなどの部品メーカーも含め、長きにわたって日本の主力産業として発展し続けてきた自動車業界。
就活マーケットにおいても学生からの人気が高く、各社とも多数のエントリーが殺到する状況が続いています。

しかし、三井物産が出資を決定したEV事業に見られるように、テクノロジーの発展や生活スタイルの変化にともない、自動車業界も変革を迫られています。

本記事では、自動車メーカーや総合商社をはじめとする企業の実際の動きを例に取りながら、自動車業界の未来について考えてみましょう。

21世紀型の自動車ビジネス、4つの論点


まず、自動車業界に訪れつつある変化の波を確認しておきましょう。
ここでは自動車ビジネスの新しい動きとして、特に注目すべき論点を4つ解説します。

論点①「EV」

EV (Electirc Vehicle:電気自動車) は、その名の通り、電動モーターによって走行する自動車のことを指します。

従来のガソリンエンジンを搭載せずに電力で駆動するため、騒音の少ない快適な走行が可能になるとともに、大気汚染をはじめとする環境問題への対応策としても注目されています(ただし、「火力発電などに下支えされる以上、トータルなCO2排出量は減少しない」という議論も存在するようです)。

既存の大手自動車メーカーがこぞって研究開発を進めていることはもちろん、シリコンバレーに拠点をおくTesla (テスラ・モーターズ) のように、EVに特化した新興企業も幅をきかせているマーケットです。

世界の自動車全体におけるEVのシェアは0.2% (2016年) に過ぎないものの、同年のEVの世界販売台数は200万台に達するなど、今後も急成長が見込まれています。
EVの生産・販売そのものの拡大が見込まれることはもちろん、EV向けのバッテリーや充電システムの開発など、周辺でも数多くの新規ビジネスが生まれています。

そして、EVの普及は既存の自動車産業をおびやかす存在にもなり得ます。
とりわけ、すぐれた技術力を武器にガソリン車市場を席巻してきた日本の完成車メーカー・部品メーカーにとっては、EVの普及は死活問題となるでしょう。

論点②「自動運転」

人間の操作を部分的に、あるいは完全に必要とせずに走行できる「自動運転」の技術も、高い注目を集めている領域です。

自動運転は、搭載される機能によって0〜5のレベルが設定されています。
レベル2までは走行コースの補正など「運転サポート」であり、すでに各社の製品で導入・実用化されています。
レベル3からがいわゆる「自動運転」の領域となり、現在はこの実現のため、各企業によって開発競争が行われている段階にあります。

トヨタやフォルクスワーゲンのような大手自動車メーカーはもちろん、海外ではGoogleやApple、Microsoft、Baidu、日本国内でもDeNAやソフトバンクなどの大手IT企業が次々と参入しており、各社とも莫大な予算を注ぎ込んで実用化を目指しています。

論点③「カーシェアリング」

「カーシェアリング」は、個人・法人が所有するクルマを一定期間だけ他者に貸し出すことを指します。
不動産の分野で「Airbnb (エアビーアンドビー)」が普及したように、自動車市場にも「シェアリングエコノミー」の波が到来しつつあります。

例えば、DeNAが展開するカーシェアリング・サービス「Anyca (エニカ)」。
スマホ上のアプリを通じ、個人間で自家用車を貸し借りできるC2C (Customer to Customer) 仲介サービスです。

レンタカーにくらべて価格が割安であること、車種が豊富 (高級スポーツカーやいわゆる「痛車」もラインナップされている) であることなどから、2015年のリリース以来、都内を中心に利用者が増加しているようです。

戦後の日本において「マイカー購入」は、一般的なサラリーマン世帯にとって大きなマイルストーンのひとつでした。
しかし、レンタカーだけでなくカーシェアリングまでもが成長を遂げたとき、クルマを「購入」することは首都圏の消費者にとって一般的でなくなるのかもしれません。

この消費スタイルの変化は、既存の自動車ビジネスの構造を根底から覆してしまう可能性を秘めています。
首都圏の消費者が「所有」から「利用」へと移行しつつあるなか、従来の「自動車を作って売る」ビジネスはどれほど影響を受けるでしょうか。

論点④「大手メーカーに相次ぐ不祥事」

長年のあいだ日本の主力産業として外貨を稼いできた自動車産業。
しかし、ここ最近になって大手メーカーの不祥事が相次いで発覚し、国内メーカーのガバナンス、ひいては日本車の信頼が問われる事態に陥っています。

2016年、三菱自動車が燃費データを恣意的に改ざんしていたことが発覚。
また2017年10月には、神戸製鋼所が品質データを改ざんしていたこと (該当の部材がホンダなどに供給されていたことも判明)、日産自動車とスバルが無資格の従業員を製品検査にあたらせていたことが立て続けに判明しました。

”Made in Japan” ブランドへの信頼が大きく損なわれかねない不祥事。
自動運転やEVの分野で遅れをとる国内メーカーにとって、ガバナンスの問題も大きな懸念事項になってしまいました。

総合商社の自動車ビジネス

上記のように、自動車業界は決して安定しているとは言いがたい環境に置かれています。
この業界の変革に対応すべく、各企業とも新たな商機をうかがって活動しています。

冒頭の三井物産のEV事業をふまえ、ここでは総合商社にフォーカス。
総合商社の自動車ビジネスの実例を3つ紹介します。

三菱商事:日産と提携、欧州EV電力供給事業

三井物産同様、三菱商事もヨーロッパのEV市場に目を光らせています。
2017年10月、三菱商事は日産自動車と提携し、オランダなどでEV向け電力ステーション整備に乗り出すことを発表しました。

伊藤忠商事:輸入車販売のヤナセをTOB、子会社化

2017年5月、伊藤忠商事は輸入車販売・国内最大手のヤナセに対してTOB (株式公開買い付け) を実施し、同社を子会社化することを発表しました。

近年、輸入車市場は絶好調。ヤナセなどのディーラーを通じ、海外メーカーのクルマが日本市場に多数流入しています。
これも国内の自動車市場を左右する要因のひとつになるかもしれません。

三井物産:シンガポールのカーシェア大手に出資

三井物産は冒頭のEV事業だけでなく、自動車領域で複数の新規事業を推進しています。
全社的な重点注力分野のひとつに「モビリティ」を掲げ、シンガポールでは2010年より現地カーシェアリング大手に出資するなど、新しいビジネス領域の開拓にも積極的に乗り出しているといえます。

最後に

日本の主力産業のひとつ、自動車産業。

その未来は決して安泰ではなく、テクノロジーの発展による物質的変化、消費スタイルの変容による文化的変化によって、業界全体が大きな変革期を迎えようとしています。

自動車メーカーや総合商社の自動車部門は、既存のビジネスモデルでは収益を維持できなくなる恐れがある一方、EVや自動運転、カーシェアリングなどの領域での新規事業開発に関わることができるフィールドにもなるでしょう。

自動車業界全体の現状をきちんと把握し、説得力のある志望動機を述べられるよう準備を重ねましょう。

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日系大手志望者がベンチャー企業を受けるべき3つの理由 日系大手志望者がベンチャー企業を受けるべき3つの理由 こんにちは、16卒就活生です。就活するにあたってもともと大手志向が強かった私ですが、ふとしたきっかけで「ベンチャー企業」に触れ、その魅力に大きく心動かされつつあります。数社に内定を頂いたものの、最終的な決断を未だに下せないでいますが、一つ言えるのは「ベンチャー」という世界、一度も触れないままに食わず嫌いしてしまうのはあまりにももったいない、ということです。ぜひ一度「試食」してみてはいかがでしょうか。「ベンチャー」というと、給料が低い・仕事がしんどい・不安定...といったネガティヴイメージから食わず嫌いしてしまう就活生が多いのではないでしょうか。私自身も大手志向が強く、ベンチャーに対して興味を持ったのは「選考慣れのために受けてみるか」といった失礼な理由からでした。しかし、実際に受けてみると得るものの多いこと。今回はその内容を3つにまとめました。大手志望者がベンチャー企業の選考を受けるべき3つの理由【1】選考過程に慣れる面接やグループディスカッションは「経験」が結果に直結します。自分の本命企業を受ける前にできるだけ多くの場数を踏んで慣れておきたい、と考えている就活生は多いのではないでしょうか。ベンチャーの新卒採用は「説明会&一次選考会」「筆記試験無し」と、スピード感のある選考が多く、時間・手間の負担が非常に少ないです。かつ、選考を進めば部長や社長といった役職の高い社会人との面接を経験することができます。例を挙げると、「レバレジーズ」という企業の面接では自分が今まで取り組んだことに対して、なぜそれに取り組んだのか、という点から始まり、取り組みのゴール、そのゴールを設定した理由、達成できた、あるいはできなかった理由、現在であればどのように改善するか、なぜ他の手段ではダメだったのか、と徹底的に質問されました。この選考をきっかけに自身の「学生時代頑張ったこと」をあらゆる角度から徹底的に検証する癖がつき、以降の面接でも自らの考えを明確に伝えることができるようになりました。【2】ビジネスの「基礎知識」を得る市場動向を正確に把握できるかどうかがベンチャーの生命線。説明会では100%「これからの日本の市場動向」を解説します。少子高齢化、ITの台頭、アジアの新興国の成長…それによって今後拡大する、縮小する業界…私の場合は「Adways」という広告ベンチャーで知った「広告業界のビジネスモデルの変化」は目から鱗で、その内容を知ることでWebが関係する業界(今やほぼすべての業界ですね)に対する業界研究を一段階深くできたと感じています。また、彼らから得られる情報は、大企業にチャレンジする皆さんが最低限押さえておくべき「基礎知識」とも言えます。激変する現代の市場環境に関して「まったく無知」でいることに不安を覚える方、とはいえ日経新聞読んでもいまいちわからない…と悩んでいる方にとっては、ベンチャーの説明会へ参加して、市場の最前線で働く人々の声を聴くことが「基礎知識」を獲得する一番の近道であると感じています。【3】視野を拡げる私はこれまで自身の将来について真剣に考えたことがなく、漠然と「良い会社に入って就職して、年をとって、幸せになる。」気でいました。しかしその対極にあるベンチャーという生き方。リスクをかけ、自らの道を選び全力で取り組むという生き方に触れた今、「若いうちからチャレンジしたい、将来経営者になりたい」といった欲望が自分の中にもあることに気づくことができました。新卒ベンチャーという選択はもちろん、大手の中でもどういった社風の大手を選択するか、あるいは大手→ベンチャーといった転職も含めて、今後自身のキャリアを考え抜くきっかけを得ることができました。このように、ベンチャーに進む「理由」、リスクをとる「勇気」をもった人々に実際に触れれば、自身のキャリアに関する考えが変わるかもしれません。志望動機を作り込む必要はない志望動機に関しては「若いうちから成長できる環境であること」を中心に組み立てるとはまりやすいかと考えます。筆者の場合は「経営者になりたい」→「ビジネスの経験がない自分にとっては分社化が理想」→「若いうちから新規事業に関わって成長したい」を一連の軸として、自分の経験に結びつけて帰結させました。「裁量がほしいだけなら、他のベンチャーでもいいんじゃない?」という質問を必ず受けますが、その際は事業内容に落とし込むか、企業理念への共感(社長の魅力)を挙げるとよいかと思います。筆者は後者でしたが、特にしつこく掘られることもありませんでした。また、事業内容に関しては「特に拘わらずに色々なベンチャーを見ている」と正直に答えていました。変化の激しくメンバー自体が比較的小規模である世界なだけに、事業の内容というよりもむしろ、企業理念、社風への共感が重視される傾向にある、と感じました。終わりに大手志向の就活生もベンチャーの選考からは必ず多くの収穫を得ることができると思います。ES等の合間を縫ってぜひ選考に参加してみてください! 31,222 views
「私がリーダーをやります!?」GDの現場にいる”クラッシャー”の傾向とその対策 「私がリーダーをやります!?」GDの現場にいる”クラッシャー”の傾向とその対策 クラッシャーとは、「破壊するもの」という意味であり、通常破砕機を指す。この言葉には「破砕機」という言葉以外にも「破壊する人」という意味が存在する。また、人名としても使われることがある。参考:クラッシャー(くらっしゃー)とはこんにちは、無事内定式を終えました、18卒就活生です。新学期が始まったこともあり、周りの友人とインターンの参加状況を確認して、「みんなと比べてインターンの参加数が少ないかもな...」などいろいろと思うことがある方も多いかもしれません。この「参加数」というキーワードについて、unistyleでは以下のような定義付けをしています。内定数=(1)エントリー数×(2)筆記試験通過率×(3)グループディスカッション通過率×(4)エントリーシート・面接通過率参考:上記は本選考についての式にはなりますが、インターンの場合でもフローに大差はないため、「内定数」という左辺を「選考があるインターン参加数」に置き換えて基本は問題ないと思っています。インターンの場合は先着順やマイページからの申し込みだけで参加に至る企業も多いのは確かですが、3days・5daysといったある程度の期間があるインターンや本選考との繋がりが深い企業の場合、上記のような選考フローを設け早い時期から優秀な学生と接点を持つことが多い印象があります。そういったインターンへの参加数を増やしたいのであれば、単純にエントリー数を増やすか、各選考フローの通過率を高めるしかないということはご理解いただけると思います。その中で、多くの学生が嫌がるフローがグループディスカッション(GD)でしょう。その理由の一つとして、「周囲の影響により選考の結果が左右される」という考えがあると思われます。例えば、ESを書いたり面接を受ける際に他の受験生からの影響を受けることはありません。唯一他に複数の受験生と同時に選考を受ける集団面接についても、「用意していた回答に近い内容を先に言われた」といったことはあるにせよ、直接受験生同士でコミュニケーションを取ることはほとんどなく、GDよりは周囲からの影響を気にする度合いは低くなるでしょう。こういった周囲の学生の存在に関連して、GDの選考の場で「こいつ使えないな」「こいつ黙ってくれないかな」と議論の妨げになるような学生に出会った人も多いことでしょう。このようなタイプの学生は「議論をぶち壊す人」として"クラッシャー"というワードが就活用語としてしばしば用いられています。特にインターン選考の場合は時期の関係からGD慣れしていない学生が多いこと、選考通過率が低く本選考と比較して"意識高い系"の学生が多いことから闇雲に発言する学生が目立ち、クラッシャーの遭遇率が高くなる傾向にあると考えています。(某就活セミナーでは、インターンは選考に参加している時点である程度就活への意識があることから母集団が中学受験に近く、本選考はとりあえず就活しなければという層も多いため高校受験の層に近いという例えが使われているようです)その影響もあってか、GDでは自分がどう発言したかではなく、議論のテーマやメンバーの学生の質の方が重要であるという、運要素が強い選考方法だという見方もなされている印象があります。果たして、この考えは妥当なものと言えるのでしょうか?以上を踏まえ、今回はGDにおけるクラッシャーのパターンを確認したうえで、そういったクラッシャー学生にどう向き合っていけばいいのか、unistyle上の記事も参考にGDのアドバイスを加えていきたいと思います。※本記事では"クラッシャーを"「自身の発言でGDにおける円滑な議論の遂行を妨げる人」と定義付けして話を進めていきます。そのため、「」の(1)「もしかしてあなたも面接官?」【GDで一度も発言しないミステリアス就活生】のような寡黙な学生はクラッシャーには含みません。本記事の構成グループディスカッション(GD)の評価基準ーGDは運ゲーなのか?クラッシャーを評価項目ごとに考察するー彼らの何が問題なのか?GD選考の場でよく見るクラッシャータイプ3選GDでのおすすめの立ち位置発表は評価を高めるチャンス!最後に:クラッシャーがいても通過できるよう対策しておくことが大切グループディスカッション(GD)の評価基準ーGDは運ゲーなのか?GD選考の場でクラッシャーの存在が気になる要因として「クラッシャーがいることで自分のGD通過率が下がるのでは?」という考えが根底にあると思っています。GDの選考通過率を高めるうえで意識しておくべき評価基準について、unistyleでは以下の4項目があると考えています。グループディスカッションの評価においては、「一緒に働きたいと思えるか」、「ビジネスの素質が高いか」という視点が根底にあります。この二つの視点に基づき、(1)基本姿勢、(2)理解力、(3)主張力、(4)統率力の大雑把に四項目程度で評価しています。参考:このうち、議論の流れを適切に理解する力である(2)理解力・自分の意見を周囲に伝える力である(3)主張力に関しては、比較的クラッシャーの影響を受けにくい評価基準であると考えています。GDでは周囲との関わりが評価の全てではなく、「その人自身が何を述べているか」という"個"の要素も含んでいることは認識しておくべきでしょう。すなわち、チームメンバーによって評価のされ方が変わってくるのは評価全体の一部でしかなく、「GDはチームメンバー次第の運ゲーだ」という考えにはやや無理があると言えるでしょう。クラッシャーを評価項目ごとに考察するー彼らの何が問題なのか?とは言え、上記を踏まえても学生がクラッシャーの存在をないがしろにするというわけではないでしょう。周囲への学生の影響もさることながら、クラッシャーは「クラッシャー自身が自分の評価を下げている」ことに問題があると考えています。先ほどの評価項目に沿って見ていきましょう。(1)基本姿勢これはビジネスマンとしての基本的なマナーが備わっているかを見ています。さらに細かい分類として下記のような項目に分けて評価を実施しています。基本的なスキルですので、このポイントができていないと大きく評価を落とすことにもなりかねません。・人の意見を遮らずに聞けるか・自分と異なる意見でも尊重できるか・発言していない人に発言を促す、大きな声で話すなど周囲の状況に気を配れるか参考:「基本姿勢」と言われると「班員の役割を明確にする」といったテンプレート化したテクニックに注目が行きがちですが、この場合はビジネスの場で行う議論として基本的なマナーが守れているかが重要になります。「」で再三述べた通り、選考の初めに書くことが多いエントリーシート(ES)もビジネス文書の一つであり、社会人として基礎となる資質が十分に備わっているかを見るうえで両者に共通した意図があるとも言えるでしょう。一方、クラッシャーと言われる学生の多くが「人の意見を遮らない」「自分とは異なる意見も尊重する」あたりのマナーが守れていない傾向にあり、とにかく自身の発言量を増やし考えが採用されるよう闇雲に議論に参加している点で評価を落としていると考えられるでしょう。(2)理解力「」でも述べたように、「人に理解してもらう」ためには自分の中でそれ以上の理解があることが前提です。すなわち、議論の流れを汲み取り適切に理解する力は、以降の評価項目を高めるうえでの前提事項になります。「理解」自体は頭の中でなされるものですが、それが出来ていることを選考官にアピールするには「発言」で示すしかないため、理解した内容を議論の場でアウトプットする力も同時に求められます。すなわち、理解力はそれ単体で評価されるものではなく、(3)主張力の評価と関連付けながらアピールしていくことが求められます。この性質から、議論の後に選考官から質問の時間が設けられ、この理解力を中心に判断しようという企業も一定数存在しています。(3)主張力主張力と言うと、「いかに発言量を増やして目立ち自分の意見を押し通すか」のように見られますが、明確な根拠に基づく論理的な発言ができているかという方が大事であると考えています。多くのクラッシャーは前者の方に意識が集中しており、いわゆる発言の質において評価を得られていないことが問題だと考えています。(4)統率力統率力は一般に"リーダーシップ"に近い能力であると言えます。以下の記事でも挙げられているように、リーダーシップは多くの企業で共通して求められることから、GDの段階からその資質があるか見たいという意図が感じられます。リーダーシップとは、「主体性、誠実さ、責任感などから人と信頼関係を構築し、周りの人を巻き込む力」、「自分の考えやビジョンを発信し、周りと共有する力」であると言えます。参考:多くのクラッシャーは「周囲を巻き込む」ということは意識して発言をしている印象があります。しかし、③主張力に欠けた的外れな発言が目立つことでこの統率力もマイナスに評価されてしまいがちです。これでは建設的な議論の実施や周囲の学生からの信頼獲得は難しいでしょう。また、上記の定義に沿えば「周囲より先んじて発言する人=リーダー」なのではなく、メンバー全員がリーダーとして議論に貢献する形も実現し得ることが理解できるでしょう。そのため、世間一般で言われている「リーダー役は有利だ」という意見や、そもそも「リーダー役」という役割の設定自体にも疑問を感じられると思います。GD選考の場でよく見るクラッシャータイプ3選ここまでの内容から、クラッシャーは自分自身の評価を下げているため、自らがクラッシャーとなり他の就活生にマイナスに働きかけることが適策でないのは容易に想像できるでしょう。ここでは、GDの選考でありがちなクラッシャーのパターンを紹介し、それにどう対応すべきか、もしくは自分自身がそのようにならないためには何を意識しておくべきかについて考えていきたいと思います。タイプ1:フレームワーク振りかざしロジカル(笑)系就活生フレームワーク振りかざしロジカル(笑)系就活生とは、就活本や就活サイトに掲載されているGD攻略テクニックのツールとして有名なフレームワークを使ってくる就活生のことを指します。代表的なフレームワークには以下のようなものが挙げられます。"SWOT","PDCAサイクル","ファイブフォース","イシュー・ツリー","MECE"ざっと見ても"意識高そう"な単語が並んでいますね。フレームワークは使うこと自体が問題なのではなく、フレームワークの意味を理解していないフレームワークの使い方を理解していない上記の2点が問題だと考えています。例えば極端な例にはなりますが、企業のとりまく内部/外部環境の分析を行うSWOT分析を、「愛とは何か?」という抽象度の高いお題で用いようといしても有用度に欠けるため、使い方を理解していないクラッシャーだとみなされる可能性は高いでしょう。フレームワークはそれが導入された意図や実用例を正しく理解したうえで、ある程度自分で実践を積んで使い方をマスターしておくことが必要になります。多くのクラッシャーはこれが出来ておらず、ただただ自分が知識として持っているツールを示すことに終始してしまっている印象があります。採用側はツールの知識を見たいのではなく、議論の本質を掴み((2)理解力)、それに沿った論理立った意見を述べる((3)主張力)ことが求められています。一方先述の通り、インターンでは比較的"意識高い系"の学生の割合が高いため、このタイプの学生の遭遇率も高まりやすいのかなと考えています。この手の就活生に遭遇し適切なフレームワークを用いた議論が進まなさそうな場合は、フレームワークを使う理由が理解できない旨をメンバーに配慮しつつ示すことが一つ有効かと思われます。「あなたは〇〇を使って議論を進めようとしているけど、それはこの議題には〇〇という観点で不適当。メンバーが理解できないような意味わからないフレームワークを使うのは限られた時間で結論を出すこの場では間違ってるし、メンバーのためにもならない」といった内容を(もちろんもっと丁寧に)述べ、相手の主張の穴をつけると(1)基本姿勢(周囲への配慮)・(3)主張力(論理性)・(4)統率力の面で逆に評価を高めるチャンスとも言えるかもしれません。また、この考えはGDだけでなく面接の場でもある程度共通していると考えています。例えば「博報堂はクリエイティブ色が強い」としばしば言われますが、それを同業比較で述べるには、「そもそもクリエイティブとは何か」「クリエイティブの強さが発揮された事例はあるか」といった形で自分なりにしっかりと意味を咀嚼しておく必要があります。変にそれっぽいさまになりそうな言葉を並べるよりも、「理解できないことは理解できない」ものとして正直に伝えることは、企業の選考云々関係なく大切なことではないでしょうか。基本的に同じような人材を取りたいので、同じ志望理由で問題ありません。電通:業界トップの自負と、博報堂とは圧倒的に違う成果への執着に魅力を感じた博報堂:二番手から一番手を追いかけることの面白みに惹かれる。自身も今までの経験からそのようなことをしていたくらいですかね。下手に博報堂はクリエイティブがつよいからー、みたいなのは言わないほうがいいです。どこがどう強いのか言えないと思いますので笑参考:タイプ2:リーダーやりたがり無能系就活生リーダーやりたがり無能系就活生とは、GD選考を通過しやすい役割と言われがちなリーダー(司会役)を進んで引き受けるものの、(3)主張力・(4)統率力に欠け全くメンバーをまとめられず、全体の議論の質を落として他の就活生を道連れにする就活生を指します。こちらは筆者が某日系大手メーカーの選考で遭遇したタイプになります。(お題は一部改変しています)■お題:「弊社は今後市場・製品の2軸で既存/製品新規のそれぞれ計4領域のどこに注力するべきか」■人員:選考官(現場社員)2人・学生6人自分:筆者自身就活生A:GD慣れしていそうかつ人当たりが良い。日系コンサル内定保持。就活生B:問題のリーダーやりたがり無能系就活生就活生CD:GDは初めて。共にいい人そうではある。就活生E:口数少ないミステリアス就活生このお題はこの企業が実際にどのような市場に・どのような製品を提供しているかを理解しておくことが求められるため、志望度の高さも同時に見られていると考えられます。10分間の個人ワークの後、選考官の合図で議論がスタートしました。就活生A「それでは、現状この会社にどのような既存市場/既存製品があるか確認し、そこからどれだけズレたら新規とみなすかを全体で一致させましょうか。」就活生B「いや、ちょっと待ってください」自分「???」就活生B「私がリーダーをやります!」一同「??????」GDの選考経験を積んでおり、(3)主張力・(4)統率力に長ける印象の就活生A。彼の先導のもとアイデアを出し合えば円滑に議論が進行する。そんな空気が漂う中、リーダーやりたがり無能系就活生Bが開口一番、就活生Aが議論の中心になる流れをブロックしに来ました。「あなたがリーダーになるのはやめて下さい」とはさすがに言えない一同。その後、就活生Bは「それではそもそも市場とは何か経済学的観点から考察しましょう。あ、皆さん経済学についてご存知ですか?マルクスが...」「この企業の資本金は〇〇円であることを考えると...」といった的外れな発言を繰り返し、議論の方向性が定まらないまましばらく進む形になってしまいました。この手の学生に対しては「」も参考に、議論がスタートする前にクラッシャーであることを把握することが必要になってくるでしょう。開始前の控え室や自己紹介の時間で「自己主張の激しいうるさい人」なのか「できる人」なのかを見極められるよう、その人の選考経験や何気ないコミュニケーションの質から判断できるといいでしょう。また、今回の経済学や企業情報の知識など自分がとにかく評価されようと論点がズレた発言をすることが多いのがこのタイプの特徴と言えます。前提のすり合わせといった方向性を明確にする発言を意識し、関係ない発言をあまりに続ける場合はそのズレを指摘することが逆に自身の評価に繋がると考えられます。さらに、そもそもリーダーという役割の設定自体疑問に残りますので、出来ればリーダーをやる発言が出た段階でこの手のクラッシャーは止めておきたいところです。(実際、選考の場では「役割は決めずに議論してください」と指示されることもたまにあります)。よく司会、タイムキーパー、書記を決めた方が良いですか?と質問してくる就活生がいますが、これは上記のことから必要がないと断言できますね。自分の役割のみに徹した場合、多くが納得するような生産的な議論は行えません。正直なところ誰が司会、タイムキーパー、書記をやろうがどうでもよいことです。それよりももっと核にある生産的な議論を行うことに焦点を当てましょう。タイプ3:一発逆転!?最後に「そもそも」系就活生こちらは「そもそも」という発言自体に問題があるわけではありません。議論の場であれば、例えば「そもそも」といった発言で前提を問いただそうとする人はいいな、と思います。CDIのGDでは、困っている人から相談を受けて答えを出す、という仮想ケースのパターンが多いのですが、相談主がそもそも何に困っているのかという「お題」の裏側まで想像力を働かせようとする人は、人の悩みの根本的な原因を考えることを自然にできる人なのだろうと思います。このように、物事の根源を突き止めるような前提確認としての「そもそも」は、思考の深さを示すことにも繋がり評価対象となると考えられます。一方、議論の土俵が固まり最後にまとめという段階まで来ての「そもそも」は、議論を深めるというよりは時間のロスと判断されてしまうかもしれません。例えば先ほどの議題で「今、海外市場を『新市場』として話が進みそうだけど、そもそもこの企業は海外売上率が〇割を超えているから『海外』と一括りにして新市場とみなすのはまずいんじゃない?」という発言は確かに的を得ていると言えます。しかし、議論がある程度進む前にこれを指摘しないと、修正幅が大きくなるぶん、他の学生からしても「何を今さら」と印象を落としてしまうことが考えられます。この手の学生はそれまで発言量が少なく「このままでは落ちる」と考え、最後の一発逆転を狙い気の利いた発言をしよう意図から生まれることが多い印象があります。GD選考の経験が乏しく、何を発言していいかわからないまま終盤に「とりあえず」の発言をすることは「そもそも」に限らず危険だと思っています。「時間内に結論を出す」こともGDでは一つのポイントであるため、議論の問題点に気づいた場合はできるだけ早く指摘し、評価される「そもそも」を生み出すことが重要とまとめられるのではないでしょうか。GDでのおすすめの立ち位置「」の学生は「人の意見を聞いて咀嚼し新しい意見を出すこと」をおすすめの立ち位置として挙げられていましたが、筆者の方からも一つ紹介したいと思います。筆者は「論点や議論の流れを最初に提示し、以降適宜修正すること」を常に意識しGD選考にのぞんでいました。これまで「議論の問題点に気づいたら適宜修正する」などいろいろと言ってきましたが、「論点ずれてますよね」といった指摘は議論が進んでいく中では案外なかなか言えないものです。それがしやすいのは「その議論の流れを作った人」が一番だと選考を通じて感じました。修正役は議論を俯瞰した立場から参加できる(木を見るより森を見るという感じです)ため、とにかく発言量を増やすそうといったことにはならず、一種の"余裕"生まれます。また、議論の後半で起こりがちな「〜〜という施策はどうでしょう?」というアイデア出しの段階ではどうしてもアイデアの質や斬新さが問われる傾向にあり、前提知識やお題の得意/不得意に左右されるため若干運要素が高まるものだと思っています。このポジションを狙うには、ある程度事前の控室や自己紹介の段階で「できるやつ」判定をされておくことが有効な気がします。(筆者はGD慣れしてない段階から「外資の選考とかでけっこう経験積んでます」とできるやつアピールをさり気なくしていました笑)ここまでの嘘はつかないにしても、「私、GDすごい苦手で〜〜」のような「慣れてないアピール」をしたところで、周囲が気を利かせて助けてくれるようになるわけではないことは認識しておくべきでしょう。学生は皆GDの選考を突破するために会場に来ているわけであり、経験が浅い学生がいるとむしろラッキーを思われてしまうかもしれません。(逆に発言の機会を与えてくる人がいればその人は「できる人」の可能性が高いと思います)また、「『できる人』認定をされてうまく働きかけができなかったら評価が落ちるのでは」という意見もありますが、自己紹介の内容によって評価基準が高まるとは考えにくいことから、過度にその心配をする必要はないと考えています。いずれにせよ、「できる人」には周囲からの期待感が高まるため、その期待に応えられるような(3)主張力・(4)統率力が発揮できるよう対策を重ねておくべきでしょう。発表は評価を高めるチャンス!最後に、GDの議論後にしばしば行われる発表について述べたいと思います。今回は最頻出の「議論のまとめを述べる発表」について考えていきます。結論、筆者は代表者を立てて行うような発表では是非積極的に名乗り出るべきだと考えています。◎発表=理解(インプット)+説明(アウトプット)(2)理解力の項でも述べた通り、GDで的を得た発言をするには議論の内容を正しく理解しておく必要があります。発表の場合もこれは同様で、どのように論点が推移したか・各アイデアはどの論点に紐づくかといった理解がなされていることが、発表の質を高めるうえでは必要になります。しかし、「発言」しないことには「理解」は示せません。そのため、発表はこれまで議論をしっかり聞いていたけどなかなか発言できなかったときの最後のアピールチャンスと言えます。参考:また、議論自体は周囲との関わりの中で進められますが、発表は(複数名の場合でも)発言中は周囲の影響を受けないため、事前に練習や対策をしておきやすいフェーズと言えるでしょう。具体的には、Ⅰ:結論→Ⅱ:前提の確認→Ⅲ:理由付け→Ⅳ:締めの言葉の順に話すことが有効かと思います。例えば先ほどのお題の場合ですと、Ⅰ結論:私たちは「新規市場/既存製品」に注力すべきだと考えました。Ⅱ前提の確認:配布資料のうち、売上率が1%以下の国を"新市場"、御社の3大主力製品である〇〇・✕✕・△△以外を"新商品"と定義し話を進めました。Ⅲ理由付け:市場については〜〜のため。製品については〜〜のためです。Ⅳ締めの言葉:以上で発表を終わります。簡単ではありますが、だいたい上記のような方針でまとめられるといいでしょう。基本的に発表は1分〜2分程度で簡潔にまとめることが要求されます。多くの学生は構成が定まっておらず話が間延びして、要点が伝わらないままダラダラとした印象を与えてしまっている気がします。例えば、「〜〜という話も出たんですけどー」のように横道に逸れた内容を伝えるのは、基本的に蛇足です。また、話す内容を終えたら必ず「以上で発表を終わります。」のように終了の旨を伝えるようにしましょう。最後に:クラッシャーがいても通過できるよう対策しておくことが大切グループディスカッション選考ではメンバーを指定することができないため、選考通過も運要素が強いものだという風潮があるように感じています。しかし以下の記事にあるように、メンバーがどうであれ重要なのは、自分一人で論理的に結論まで導く力であることは認識しておくべきでしょう。「自分一人」である以上、この力にクラッシャーの有無は関係ありません。すなわち、「クラッシャーがいるから通らない」ではなく、むしろそれを利用して評価を高めようぐらいの気概を持って選考にのぞむ方が的確だと思っています。また多くの企業の場合、GDを通過しなければその先の面接選考に進むことはできません。企業側に自身の熱意を伝えられないまま選考が終わってしまうのは非常にもったいないことだと言えるでしょう。だからこそ、クラッシャーの存在を言い訳にせず、自己研鑽に励み対策を重ねていくことが大切なのではないでしょうか。以上、グループディスカッションの先の選考に進む橋渡しとして、本記事を役立てていただければ幸いです。こちらの記事・動画でもグループディスカッションについて紹介しています。ぜひご覧ください。グループディスカッション(GD)完全攻略記事一覧1.【まず始めにこれを読もう!】GDとは?基礎知識を解説2.GDの対策方法・コツ3.GD頻出テーマと業界別の過去に出題されたテーマ4.GDのテーマごとの進め方5.GDの役割別(司会・書記・タイムキーパー)の対策方法6.一人でも複数人でも出来るGD練習方法(11選) 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