就職活動における「学歴」丨「スクリーニング基準」と「採用基準」

23,148 views

最終更新日:2023年10月30日

就職活動における「学歴」丨「スクリーニング基準」と「採用基準」

就活を進めていく上で、学歴に関する悩みはよく聞く話です。

以前のunistyleコラム「「ベンチャーで学歴は関係ない」はホント?スタートアップ役員の学歴を調査!」では、国内の優良ベンチャー企業にて執行役員以上のポストにあるビジネスパーソン310名の学歴を調査し、ベンチャービジネスにおける学歴を探りました。

今回は、戦略コンサルやファンドなどのエリート業界にも同様の調査を行い、業界ごとの学歴の傾向を比較し、その結果を踏まえ「学歴」との向き合い方を考察します。
 

本選考とインターンの締め切り情報

エリート業界における学歴の実態

まず、エリートキャリアの代表格として ①PEファンド、 ②戦略コンサルの2業界をピックアップし、それぞれの業界で活躍するビジネスパーソンの出身大学を調査してみましょう。

今回もunistyleが独自に調査した1,333名のエリート転職者データベースを用いて、PEファンド 169名、戦略コンサル 240名の学歴をまとめました。


両業界ともトップは東京大学。
とくに戦略コンサルにおいては2位・慶應義塾大学の2倍近い78名を輩出しており、実に業界全体のおよそ1/3を占めています。

それに続くのは慶應義塾大学、京都大学、早稲田大学。
とくに慶應義塾大学は早稲田大学の約2〜3倍の人数を輩出しており、ここでもその実業界での強さが顕著に現れています。

また、ひと学年の学生数がそれぞれ1,000人前後しかおらず、卒業生の絶対数が少ない一橋大学、東京工業大学の出身者が相当数在籍していることも注目すべきポイントでしょう。

一方、MARCHは5つの大学を合算してPEファンドに2名、戦略コンサルに5名となっており、上位大学と比較するとかなり小さい数値になっています。

PEファンド、戦略コンサルともに、前回記事のスタートアップ・ベンチャー役員の調査結果とほぼ同じ構造、あるいはより極端に高学歴な集団であるといえるでしょう。

結局のところ、【いわゆるビジネスエリートは、高学歴が大半を占める】はひとつの真実であるようです。

結局、就活生は「学歴」をどう考えるべきか

では、就職活動において私たちは自分の「学歴」とどう向き合うべきでしょうか。
「〇〇大学からでも総合商社に入れるのか」のような不安をどうコントロールすべきでしょうか。

その答えは、以前からunistyleで紹介している通り、【「スクリーニング基準」と「採用基準」を分けて考える】というポイントに集約されます。

伊賀泰代さん (元マッキンゼー採用担当) が著書『採用基準

で述べられているように、皆さんが企業の選考を突破するにあたってクリアすべき基準は2つあります。

すなわち、「スクリーニング基準」と「採用基準」です。

①「スクリーニング基準」

殺到した大量の応募者を、個別に選考できる人数まで絞り込むための基準です。
これは「選び取るため」ではなく「絞り込むため」の基準であり、システム上で処理できるような絶対的なフィルタリングのことを指します。

このスクリーニング基準の代表格が「学歴」です。

入試偏差値などを用いることで明確に序列化できるため、たとえばES選考の段階で「MARCH以上」のような具体的なラインを設定することで、このスクリーニング基準(学歴基準)に満たない応募者を切り捨てる(=個別に選考できる人数だけに絞り込む)ことができます。

就職活動において、このスクリーニング基準に関して時間を費やす必要はありません。

なぜなら、学生は自分の学歴をコントロールすることはできないからです。
もし自分の学歴が企業の学歴水準を満たしていなかったとしても、それは今さら動かすことのできない普遍的な事実であり、何らかの手を講じることによって解決できるものではありません。
自分にとってuncontrollableなことに時間を費やすのは、決して合理的とは言えないはずです。

したがって、学歴基準を満たさなかった場合、就活生にできるのは「自分が学歴基準を満たす企業の選考を受ける」ことだけになります。

(テストセンターやWebテストも「スクリーニング基準」のひとつですが、これらは言うまでもなく結果をコントロールすることができるので、早いうちから必要な対策を済ませておきましょう。)

②「採用基準」

ES通過したあと(=スクリーニング基準をクリアしたあと)、就活生はつぎに「採用基準」のフルイにかけられることになります。

「採用基準」は各企業によってそれぞれ個別に設定される基準であり、要するに「自社の企業活動に貢献できそうか」という観点から各学生を見極めるための基準です。

各企業は「(スクリーニング基準をクリアした学生のうち)自社が採用すべき学生は誰か」を総合的に判断しなければならないため、結果的に「採用基準」はスクリーニング基準よりも相対的・抽象的で複雑な基準になります。

そして、就職活動において学生が時間を費やすべきなのは、こちらの「採用基準」をクリアするための活動です。

たびたびunistyleでお伝えしているように、採用基準をクリアするためには

 ① 各企業の求める人材(=採用基準)を把握する

 ② 自分がその人物像に重なることを証明する

 ③ 面接官に対して、上記の内容を的確に伝える

ことが必要になります(こうした取り組みを怠ったがゆえに「採用基準」を満たせないとき、一流大学の学生が内定を獲得できないケースが生じます)。

したがって、面接やGDで落ちてしまった場合(=スクリーニング基準は満たしたが、採用基準を満たせなかった場合)は、

・採用基準が自分にマッチする企業を探し、エントリーする

・志望動機や自己PRの内容、伝え方をブラッシュアップする

などの打ち手を講じることで、就活生は現状の打開を図ることができます。

この点はスクリーニング基準とは異なり、それゆえ就活生は「採用基準」をクリアするための活動にこそ時間を費やすべきであると言えます。

最後に

本記事のメッセージは至ってシンプルです。

すなわち、
“「スクリーニング基準」と「採用基準」の違いを意識して就活を進めるべきだ”
ということです。

本記事の前半のリサーチでは、ファンドや戦略コンサルなどのエリート業界が高学歴ばかりで占められていることを確認できました。

しかし、その理由について「高学歴人材はビジネスでも優秀だから」とだけ結論付けるのではなく、「そうした業界のスクリーニング基準が高いから(=そもそも高学歴でないと選考の土俵に立てないから)」という側面も把握しておくべきでしょう。

ひとたびスクリーニング基準を満たしたなら、あとは実力勝負。

学歴や資格についてあれこれ憂慮するよりも、採用基準を満たすための取り組みに注力しましょう。

Photo by Quasic

おすすめコラム 4 件

「お前らは営業なんだ、売る以外に存在する意味なんかねぇんだ」営業のリアルを知れる一冊『狭小邸宅』を紹介します。 「お前らは営業なんだ、売る以外に存在する意味なんかねぇんだ」営業のリアルを知れる一冊『狭小邸宅』を紹介します。 新庄耕の小説『狭小邸宅』を読んだので紹介します。学生にはあまり馴染みがないかもしれませんが、内容のリアルさから一部の社会人の間では大きな話題になった作品です。『狭小邸宅』あらすじ学歴も経験も関係ない。すべての評価はどれだけ家を売ったかだけ。大学を卒業して松尾が入社したのは不動産会社。そこは、きついノルマとプレッシャー、過酷な歩合給、挨拶がわりの暴力が日常の世界だった……。物件案内のアポも取れず、当然家なんかちっとも売れない。ついに上司に「辞めてしまえ」と通告される。松尾の葛藤する姿が共感を呼んだ話題の青春小説。(出典:Amazon『狭小邸宅』紹介ページ)売れない不動産営業マンだった主人公の松尾が、上司である豊川課長の元で成長(=会社に適合)していき売れる営業マンになるものの、改めて自分が本来持っている価値観と現実とのギャップに苦悩して仕事に暗雲が立ち込めたところで終わる、そんな内容です。読後感の爽やかさなどは一切ないのですが、営業という仕事について、また組織と個人の関係性について、非常に的確に描写した作品だと感じました。『狭小邸宅』ポリコレなんて綺麗ごと、『狭小邸宅』名言抜粋ここで、本書の中で登場する印象的な言葉をいくつか紹介します。ポリティカル・コレクトネスに明らかに反した表現もたくさん出てくるのですが、いずれも綺麗ごとでない仕事や社会の本質を突いた言葉のように感じました。「いいか、不動産の営業はな、臨場感が全てだ。一世一代の買い物が素面で買えるかっ、臨場感を演出できない奴は絶対に売れない。客の気分を盛り上げてぶっ殺せっ。いいな、臨場感だ、テンションだっ、臨場感を演出しろっ」(出典:『狭小邸宅』p.87)「お前らは営業なんだ、売る以外に存在する意味なんかねぇんだっ。売れ、売って数字で自己表現しろっ。いいじゃねえかよっ、わかりやすいじゃねぇかよ、こんなにわかりやすく自分を表現できるなんて幸せじゃねえかよ、他の部署見てみろ、経理の奴らは自己表現できねぇんだ、可哀そうだろ、可哀そうじゃねえかよ。売るだけだ、売るだけでお前らは認められるんだっ、こんなわけのわからねぇ世の中でこんなにわかりやすいやり方で認められるなんて幸せじゃねぇかよ、最高に幸せじゃねぇかよ」(出典:『狭小邸宅』p.87〜88)上記の2つのセリフはともに、主人公の松尾が勤務する不動産会社の定例総会で社長が話した言葉です。ここでの「殺す」というのは客に家を買わせることを指します。松尾は徐々にこの「臨場感」を醸し出すことを身につけ、不動産会社の環境に順応していきます。また、2つ目のセリフでは、営業は数字で評価されるということを最高に端的に伝えています。世の中には「数字が人格」という社風の営業会社もあり、怖いと感じる方もいるだろうなと思う一方で、数字さえ上げれば大抵のマイナス評価は覆せるシンプルさはよい面にもなるとは思っています。逆に商社など、個人の成果が数字のような形で明確に見えない業界であれば、一度「できない奴」のレッテルを貼られると、それを払拭するのはなかなか難しく、それはそれで理不尽さを孕んでいるとも言えます。「自意識が強く、観念的で、理想や言い訳ばかり並べ立てる。それでいて肝心の目の前にある現実をなめる。一見それらしい顔をしておいて、腹の中では拝金主犠だ何だといって不動産屋を見下している。家ひとつまともに売れないくせに、不動産屋のことをわかったような気になってそれらしい顔をする。客の顔色を窺い、媚びへつらって客に安い優しさを見せることが仕事だと思ってる」(出典:『狭小邸宅』p.97)こちらは松尾の直属の上司である豊川課長の言葉です。不動産会社に限らず、企業は利益を追求しているため、個々のメンバーの人間的な感情が優先されない場面はほとんどの企業において多かれ少なかれあるものと思っています。というか、ほとんどの社会人はそのジレンマに悩みながら日々仕事をしているのではないでしょうか。「そんな強引に売り込むくらいなら自分は売らない」といったように、成績が上がらない際に組織の価値観を否定することで自分を正当化する思考プロセスを的確に指摘した名言だと感じました。(もちろん、社会的に見たときに組織の方が間違っていることもあるため、どちらが正解なのかはケースバイケースになるとは思います)「嘘なわけねぇだろ、カス。本当だよ。世田谷で庭付きの家なんててめぇなんかが買えるわけねぇだろ。そもそも大企業だろうと何だろうと、普通のサラリーマンじゃ一億の家なんて絶対買えない、ここにいる奴は誰ひとり買えない。どんなにあがいてもてめぇらが買えるのはペンシルハウスって決まってんだよ」(出典:『狭小邸宅』p.173〜174)このセリフは、主人公の松尾が大学時代の仲間と飲んだ際に、その場にいた男性に対して苛立ちながら放った言葉です。「ペンシルハウス」というのは地価の高い都心部において狭い土地の上に建てられる住宅を指します。土地や建物の形状が細長い”鉛筆”に喩えられています。当初は庭付きの戸建てに憧れて家を探していた顧客が、最終的に現実を受け入れて購入する妥協の象徴として描かれています。大手企業に勤務し、世間一般ではそれなりに順風満帆に生きているような人間であっても、結局妥協しないとマイホームを手に入れることができないという、そんな現実を顧客に突き付け続ける松尾の仕事の暗部が表れているセリフだと感じました。不動産営業だけではなく、他業界の営業でも似たような部分はあるここまで読んでいただいた中で、不動産営業はかなりブラックな業界だと感じられたかもしれませんが、営業として数字を追い求める業界・職種では少なからず似たような場面は存在しますし、それを認識した上で受けるべきだと考えています。安定していそうだから銀行、高給らしいから証券会社、華やかそうだからネット系企業の広告営業、パワーのある優秀な人材を輩出していてかっこいいからリクルート、などなど、何となくの雰囲気やイメージだけで企業を志望してしまう方も多いように感じています。今挙げたいずれの仕事も個人として数字を上げることが強く求められますし、また、広義の「詰め」について言えば、unistyleユーザーからの人気の高い総合商社をはじめとした、個人に数字が明確に紐付かない業界であっても間違いなく存在します。企業の採用説明会では、人事や現場のハイパフォーマーによる素敵な説明によって、仕事の綺麗な面にばかり目がいってしまうこともあるかもしれません。しかしながら、それこそ「臨場感を演出されてぶっ殺されて」いないかは注意するべきですし、どんな仕事にもよい面と綺麗ごとでは済まない面の両方があることは常に考えて欲しいと思います。最後に『狭小邸宅』のように仕事を題材にした小説から現場社員の働き方を知るというのも、一つ有効な業界研究だと思っています。有名なところでは『半沢直樹シリーズ』の著者である池井戸潤の著作などもおすすめします。どの登場人物に感情移入できるか、感情移入できない人物についてもなぜそのように行動しているのか、多くの人間が関わるビジネスの利害を考えてみると見えてくるものもあると思います。 33,610 views
外資系投資銀行の面接過去問リスト 外資系投資銀行の面接過去問リスト こんにちは。16卒の慶應生です。17卒の選考も外資系はすでに盛んに行われており、外資系投資銀行に関してもウィンターインターンそして本選考が佳境に入ってきています。今回は筆者自身が外資系投資銀行を受けた中で実際にされた質問も交えながら、外資系投資銀行の面接でされる質問をあげ、分析していきたいと思います。外資系投資銀行は基本的には部門別採用方式をとっており、面接も志望している部門の社員と行います。様々な質問がされますが、いくつかのタイプに分類することができます。面接でされる質問のタイプ・志望動機・自己PR・金融関連・クイズ・変化球1.志望動機・なぜ金融・なぜ外資系投資銀行・なぜ弊社・なぜこの部門・併願している部門と比較した時の志望度を教えて実は志望動機は非常に重要で、かなり深く掘り下げてきます。某企業の投資銀行部門は圧迫面接で有名なので、緊張感のある中でロジカルに答える必要があるでしょう。そもそもとして、どのようなキャリアを歩みたいのか、その上でどのような業界を志望しているのかという点から出発して、なぜ日系の金融機関ではなくて外資系投資銀行なのか、外資系投資銀行の中でも志望している部門なのかを整理することができるとよいでしょう。また志望している部門と他に併願している部門とを比較した時の志望度を答える質問は難易度が高いので、十二分に用意していきましょう。2.自己PR・3分で自己PRして・あなたが日本中の誰にも負けていないところを教えて・英語で自己PRして・座右の銘は?・自分を色に例えると?・あなたの人生で最も面白かったことは?・あなたが尊敬する人とその理由は?・自分の人生で一番の挫折は?・あなたの40年後までのキャリアプランに関して教えて基本的にはオーソドックスな自己PRです。自己分析をした上で自分が打ち出したいものを相手に伝えることが求められます。グループ面接で一緒の学生は非常に高いスペックを持っていることが予想されますが、ここで堂々としていることが重要です。自分のやってきたことに自信を持って飾らずに話しましょう。大きなことを言うよりも一貫性があり、論理的な方が大事です。3.金融関連・今日の日経平均株価と対ドルの円相場教えて・ここ1年で気になったM&Aのニュースとその理由を教えて・アベノミクスの三本の矢に賛成か?なぜ?・一つ気になっている株の銘柄を教えて。また今後どう値動きすると思う?普段の生活における情報感度の高さ、そして問題意識を持てる学生かどうかを見ています。気になったニュースに関しては必ず用意しておきましょう。できれば日経新聞の一面に掲載されるような大きなニュースではなく、あまり他の学生が触れないようなニュースを知っておくと差別化が図れるでしょう。Newspicks、スマートニュース、Gunosyを利用して情報収集をするのも良いと思います。Newspicksに関しては有識者のコメントがついているので、問題意識を持つのに良いきっかけとなると思います。下記のコラムでは総合商社の内定者が実際にNewspicksを活用して就活を行っていたことを紹介しているのでぜひご参照下さい。参考:実際に面接でも助かった!総合商社内定者が語るNewsPicks活用法4.クイズ・3桁の四則演算・サイコロの確率のクイズ・早い者勝ちのクイズ・突然のグループディスカッション数字への強さを見ています。投資銀行ではどの部門においても多くの数字を扱います。そのために数字を用いた正確な計算、数字のセンスがあるかを見ています。これに関してはあまり対策は打てないと思います。実際に筆者も早い者勝ちのクイズを出された際には戸惑い、答えを出すのに普段以上の時間がかかりました。外資系投資銀行のグループ面接ではほとんどの学生が高学歴で少なくとも私は東大、京大、一橋、東工大、慶應、早稲田以外の学生に会ったことはありませんでした。なのでクイズに対しての反応も早く非常にレベルの高いものとなります。普段から頭の柔軟性が必要とされるようなクイズに慣れておくことが良いでしょう。5.変化球・あなたのこれまでの人生に点数をつけて、その理由を教えて・あなたに値段をつけるならいくら?なんで?・リーダーシップに関して語って・ここにいる全員を笑わせて・君に内定を出したくなるような話をなにかして・無人島に一つだけ持っていけるとしたら何を持っていく?外資系投資銀行の面接における特徴が変化球の質問でしょう。現場の社員が多忙なスケジュールの合間を縫ってくるので、思いつきで上記のような質問をしてくることは多々あります。対策が打ちにくい質問が多いと思います。もしその場で答えることが難しいならば正直に少し考えさせて欲しいとの旨を伝えましょう。最後に外資系投資銀行は志望する学生のレベルが非常に高く、グループ面接などで一緒になった学生から学べる事もたくさんあります。ただ体育会や帰国子女でないと内定がもらえないということはなく、面接に関してもある程度の準備はできるのでぜひ、外資系投資銀行を志望していないとしてもチャレンジして欲しいと思います。本記事では外資系投資銀行の面接過去問リストを紹介してきました。こちらの動画では面接の全体像について解説しています。ぜひご覧ください。 20,494 views
複雑化する社会課題をビジネスで解決する「LITALICO(リタリコ)」 複雑化する社会課題をビジネスで解決する「LITALICO(リタリコ)」 「社会をよくする仕事がしたい」と考えている方はそれなりに多くいるのではないかと思います。しかしながら、どんな仕事も社会だったり誰かに対して価値を提供することで対価を得ているとも言えます。また、「社会をよくする」を深く考えずに語ると、単なる上滑りの綺麗ごとにも聞こえます。さて、こちらの記事でこれから紹介するLITALICOは、障害者の就労支援・学習支援の分野でビジネスを成立させて上場まで果たした企業です。障害者支援などに関心のある学生からはすでに一定の知名度がある企業ではありますが、LITALICOは「社会が抱える課題を解決する(=社会をよくする)」という軸に基づいて幅広く事業を展開しており、成長を通じて社会に新たな価値を提供できる、志(こころざし)とビジネス感覚を兼ね備えた人材を求めています。「仕事で社会をよくする」の理念を創業から貫いているLITALICOの事業を知ることで、仕事についての考えを一段深めることができるかもしれません。・LITALICOの19卒向けサマーインターン説明選考会開催中(※本コラムはLITALICOのPR記事です)LITALICOの主要事業LITALICOでは以下のようなサービスを提供しており、創業からの障害者支援事業や、それ以外にも社会課題解決につながる事業を幅広く展開していっています。・働くことに困難を感じる方向けの就労支援サービス「WINGLE」-身体障害・知的障害・精神障害のある方や、発達障害や難病のある方などに対して職業訓練や選考対策、就職後のサポートなどを一貫して行っています。・子どもたちの多様な学びを引き出す教育サービス「Leaf」-個々の認知特性や心理特性に合わせて指導できる専門性の高い講師を擁する学習教室です。自閉症、ダウン症、広汎性発達障害などの診断を受けている子どもでも安心して参加できます。・IT×ものづくり教室「Qremo」-子どもたちが最先端のものづくりを体感できる学習教室です。優秀なエンジニアがデジタルネイティブ世代の子どもたちにプログラミングやデザインなどを教え、未来のIT人材を育成しています。・子育て情報サイト「Conobie」-子を持つ親同士で育児に関する情報をシェアできるWebメディアです。家庭で子どもに対してより良い関わり方ができるよう支援しています。LITALICOは障害のある方の就労支援事業からスタートした企業ですが、上記の通り社会課題の解決という観点から事業の幅を広げていっています。社会の抱える課題も日々多様化・複雑化する中で、LITALICOも変化と成長を続けています。政府活動との対比社会課題の解決というと、政府が公共支出によって行うことも多くあります。LITALICOの最初の事業である障害者就労支援も、ビジネスとして有望視されていなかったために民間の参入はありませんでした。政府による社会課題解決アプローチであれば採算を考えずに実施できる一方で、決められた予算の範囲内の活動にとどまり、また、非効率であったり第三者によるモラルハザードが生じていても継続されてしまう可能性があります。LITALICOのようなビジネスを通じた社会課題解決であれば、利益を出せる限りは継続されるため、社会課題と事業がマッチすれば、効率的かつ安定的に貢献し続けることができます。一方で、儲からないと判断された際には撤退することになります。上記の通りそれぞれいい面悪い面がありますが、ビジネスによる社会課題解決アプローチで成長し上場まで果たしたLITALICOの社会的な意義は大きいように思います。社会と向き合い価値提供するための「成長」LITALICOが成長を続けているという話をしましたが、「社会をよくする」と並んで就職活動で用いられるマジックワードの一つに「成長したい」というものがあります。しかしながら、具体的に「成長」の中身を定義せずに使ってしまっている方も多いと思っています。どのような成長がしたいのか、成長の結果として誰に対してどんな価値を提供したいのか、これらを語れる方は特に就職活動初期段階ではまだまだ少ないかもしれません。また、成長欲求はややもすると自分本位になってしまう可能性があり、自己満足的に成長それ自体を目的にするのではなく、何を成し遂げたいのかが先にあっての成長と考える方が筋がいいと思っています。LITALICOは事業のベクトルを常に社会に向けており、事業・社員の成長はいずれも「社会をよくするにはどうしたらいいのか(=社会が抱える課題は何なのか、それを解決するために何ができるのか)」という考えに基づくものです。今まさに何となく「成長したい」と考えている方も、LITALICOに触れることで自分の成長の先にある目的が見えてくるかもしれません。最後にロールモデルが存在しない未開拓のビジネス領域で今後どのように成長していくか注目されるLITALICOですが、利益を出しつつ社会の課題を解決していくソーシャル・ベンチャーとして確かな地位を築いてきているという点で、非常に面白い企業だと言えます。LITALICOは事業の方向性が非常に明確な企業であり、企業選びの軸とぴったりハマる方もいるのではないかと思います。また、自身の軸を見つめ直すためにLITALICOに触れてみるのもよいように思います。この記事を読んだ皆さまが、評価されない上辺だけの「御社の企業理念に共感ーー」ではなく、心からよいと思える企業に出会えることを願っています。・LITALICOの19卒向けサマーインターン説明選考会開催中 24,385 views
元社員が語る「楽天の営業」とは〜ブラックと言われる企業に勤めて〜(後編) 元社員が語る「楽天の営業」とは〜ブラックと言われる企業に勤めて〜(後編) 前回、楽天株式会社で三年間ECコンサルタントを勤めた経験から、職務内容や楽天という企業の特徴を述べてきました(現在は違う業界、職種にて働いています)。前編はこちら後編では、三年間在籍していた上で感じていた疑問点などをお伝えできればと思っています。三年しかいなかった新卒が長々偉そうに話して申し訳ないです・・・が、新卒時に感じた違和感や疑問点って、とても大事だと思っています。同期などと話していてもそれぞれ感じていることが全く異なるし、働きだして数年経つと仕事に対しての感情が麻痺していく部分もあるので、こうして人に伝えたり対話したりすることで初心を忘れずに仕事に向き合うことができる気がします。もう少しお付き合いいただければ幸いです。ブラック企業だと思われてしまう弱さ前編では楽天という企業の特徴を述べてきましたが、営業が厳しくとも、楽天だからこそ得られるものは多くあります。そして給与等の面でも、ブラックとは言えないと私は思っています。ではなぜ、楽天の営業はブラックであると言われてしまい、就活生からも避けられるような評価を受けてしまうのでしょうか。ここからは、楽天がそのような評価を受けてしまっても仕方がないと私が感じていた弱さについて述べたいと思います。私が働いていた上で感じていたのは、「上司が若い」「新卒社員が多い」ということに対する弊害です。IT企業は創業年数が若い企業が多く、つまりは経営陣や上司の年齢が若いことが多いです。楽天も創業からまだ20年経っておらず、社長自身も50歳に満たないため、他日系企業と比べると圧倒的に若い企業です。私が新卒一年目の時、直属の上司は20代前半、その上の上司は20代後半、部長クラスの人たちもせいぜい30代前半から後半の人たちでした。もちろん年齢が若いからという理由だけでは無いですが、若い企業の特徴として「情熱で高い目標も乗り切ろう!」という雰囲気があり、ロジックがあまり無いのに勢いで仕事をすすめようとすることが多くありました。当時は上司の指示で21時を過ぎても顧客に架電業務を続けさせられたり、24時を過ぎてその日一日の流通総額を確認するまで社内に残るよう指示があったり、これは必要なことなのか?と疑問を持つような指示との戦いであったと記憶しています。そのように気力と勢いを持って仕事をしていくことが若い企業の成長の秘訣であるという面もありますが、普通に考えれば夜遅くに顧客に架電することは迷惑以外の何者でもないですし、しかもその時間に営業をされたとしたらその企業への信頼は上がっていくわけがないことはすぐに分かることです。若い上層部の人たちもあまり他社経験が無いため、本人も上から降ってくる高い目標に冷静に思考ができず、とにかく長い時間業務をして電話をし続ければ成果が出るはず、という安易な指示ばかり降りてきていたことは、納得ができない点でした。また、楽天は新卒社員を大量採用しており、その弊害も感じていました。新卒社員は他企業にて教育を受けたことが無いため一から仕事を教えなければいけないという労力はかかりますが、逆に言えば企業の洗脳がしやすいという企業側のメリットがあります。私の同期で同じ営業職に配属された人は70人ほどいましたが、一年後に元気に仕事をしている人は三分の二以下に減っていました。休職や退職という状態になってしまった人の多くは非常に真面目な人であり、上司の指示をくそまじめに遂行しようとした結果、体調や精神を病んでしまったケースがほとんどでした。(私はあまり真面目に聞いていなかったので三年続けることができました)新卒社員は自分に与えられた指示や仕事に対して、疑問を持つという意識があまりありません。もちろんがむしゃらに仕事をするという事は大切なのですが、初めて社会人としてこなす仕事に必死になってしまい、そもそもの問題点や目的を見失いバランスを崩してしまいやすいのです。楽天もまさにその典型で、有名大学を卒業した地頭の良い新卒をたくさん集めてもどんどん体力や精神に限界を感じて辞めていってしまうため、常に人が足りず一人当たりの仕事量は増える一方になり、さらに仕事効率は悪くなっていっていました。新卒社員が多い傾向があるIT企業は特に、そのような悪いスパイラルに陥りやすい環境にあると思いますので、常に自分で意識を持って与えられた指示業務に対する意図を考える時間を確保することがとても大切だと思います。このように、楽天では人の入れ替わりが激しく一人で行う業務量に無理が生じてしまったり、マネージメント力の低い上司からの指示が無理のあるものになってしまったりするために「ブラック企業である」と認識されがちなのだと私は感じています。これがもし、今後マネージメントや新卒育成に関して良い変化が生じてくれば、従業員に無駄に恨まれることなくさらに学びの多い企業へ成長していくのではないかと期待しています。最後に以上、楽天について私が感じた弱さも含めて述べてきましたが、私は新卒でこの企業に入社したことに対して後悔したことは一度もありません。友人と遊ぶ時間が他の会社の同期と比べて少なかったり、日曜はサザエさんどころかお昼の新婚さんいらっしゃいあたりから月曜に対する恐怖で震えていたりしましたが、それだけ仕事に真剣に向き合って考えてきた結果は今の人生に広い視野を与えてくれました。この文章を読んで、楽天という企業に対するイメージが少しでも具体化していただけたら幸いです。これも余談ですが、私は楽天三年目の秋に結婚したこともあり、労働環境や業務内容を考え元々やりたかった今の人事の仕事に転職しました。(楽天でもできれば人事の業務に就きたかったですが、志望が通りませんでした)今の仕事内容にも満足していますが、たまに楽天のスピード感や情熱が恋しかったりします。もっと追い込んで!と時々思ってしまうのは単に私がMだからかもしれませんが…今就職活動中の方は是非、給与、残業時間などの数字やインターネット上の評価だけにとらわれることなく、正しい企業選択を行っていただければと思っています。数字は確かな事実ですが、そこに対して産まれる価値は人によって十人十色です。実際に働いている人の意見をできるだけ多く聞き、実情を自分なりに判断した上で業種や企業を絞っていって下さい。後悔の無い就職活動ができるよう、応援しています! 54,141 views

現在ES掲載数

77,622

すべて見れる

上に戻る

会員登録・ログインして全てのコンテンツを見る

無料会員登録