「転職」で眺める電通/博報堂 ―「電博」発スタートアップを目指せ―

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最終更新日:2023年10月27日

「転職」で眺める電通/博報堂 ―「電博」発スタートアップを目指せ―

企業研究

新卒就活中の皆さんは、どれだけ【入社後の転職】を視野に入れているでしょうか?

日本的な終身雇用原則が崩れつつあるなか、同一企業に40年勤め上げることを過度に信奉せず、将来的な転職までを見越して新卒入社先を検討するべきでしょう。

unistyleでも「勝ち組企業に内定したと思ってる学生は「ブラック・スワン」を読んでおこう」・「 10年前は東電・シャープに入社した人は勝ち組だった」等の記事で、入社時のブランドや給与水準が永劫保証されているわけではないことを強調しています。

また、入社してから転職活動のための業界研究を行う時間は限られていることから、新卒就活の段階でベンチャー企業も含めて幅広い業界を受けることがキーになります。

「転職」シリーズ・第2回のテーマは「電通/博報堂」。実際の転職者データをもとに【電通/博報堂に新卒入社した方の転職キャリア】を分析します。

本選考とインターンの締め切り情報

0.転職キャリアのリサーチ

unistyleでは「人気企業に新卒入社したあとに転職して辿り着くエリートキャリア」を考えるため、

  • プライベート・エクイティ・ファンド(PE)
  • ベンチャー・キャピタル(VC)
  • 戦略コンサル
  • ベンチャー企業の創業者および役員(未上場も含む)

以上4つの集団の現職者に対象を限定し、これに該当するビジネスエリート計1231名のキャリアをリサーチすることで「一流転職市場のリアル」に迫りました。(なお、全ての情報は各社有価証券報告書ないし企業HPから収集したものです。)

1.電通/博報堂の転職事情

本記事では、上記のデータをもとに【新卒で電通/博報堂に入社し、その後に今回の調査対象の企業群に転職した方のキャリア】を考察します。

a. 転職者そのものは多くない

前提としておくべきは、電通/博報堂から転職する方は決して多くないということです。​



離職率が低い総合商社と比較しても、電通/博報堂出身者が今回の転職者集団に占める絶対数の割合は低いと言えるでしょう。

さらにリクルート、マッキンゼー・アンド・カンパニー等と比較すると、その差は歴然です。​

b. エスタブリッシュメントよりベンチャー界隈だ

次に、実際の電通/博報堂社員がどんな企業に転職しているか、その内訳を見ていきましょう。​

このデータから主に2つ、重要なポイントが明らかになります。

【示唆(1)】エスタブリッシュメントには転職しない(できない?)

電通/博報堂は、いわゆるエスタブリッシュメント的企業(PEファンド、戦略コンサル)には1人も転職者を輩出していません。総合商社2社との比較からも、この数値には間違いなく大きな意味があると言えるでしょう。

そもそも電通/博報堂に入社する方がそうした志向性(大規模な投資、上流の企業経営への興味)を持たないという解釈もできる一方、広告代理店で経験を積んだ人材が、PEファンドや戦略コンサルが求める人物像にマッチしないという側面もあるかもしれません。

【示唆(2)】選ばれるのはベンチャー界隈の投資・経営だ

一方、VCメンバーやベンチャー役員など、ベンチャー企業周辺の主要ポストには電通/博報堂の出身者が一定数在籍しているようです。VCにおいては電通が、ベンチャー役員においては博報堂が、それぞれ総合商社2社よりも多数の人材を輩出していることが分かります。

以上2点から、【電通/博報堂出身者は、エスタブリッシュメント企業には転職しないが、ベンチャー企業周辺の投資・経営には親和性が高い】という仮説が導かれます。

c. 「投資」の電通、「起業・経営」の博報堂

両社の転職傾向が掴めたところで、次はVCメンバー、ベンチャー役員への転職市場における電通/博報堂の両社を比較してみましょう。


両社を比較すると、ベンチャー周辺転職の傾向の違いが見えます。

【示唆(1)】電通出身者はスタートアップ「投資」に強い

VCメンバー輩出数において、博報堂が0人であるのに対し、電通は6名(うち2名は電通ベンチャーズ)と強みを見せています。電通からベンチャー界隈に転職する層は、スタートアップ起業に「投資する」側に回る傾向が強いようです。

このことは、電通社内でも投資・買収業務が増加傾向にあることに起因していると考えられます。

電通は2016年夏にもマークル社(米国のデータマーケティング会社、2015年の売上高は4億3600万ドル)を買収するなど、近年になって企業買収を積極的に行っており、2015年度には日系企業で第5位となる6,569億円の「のれん*」を計上しています(2016年度12月期には更に増加し、7,187億円に膨れ上がっています)。

また、電通の連結子会社数は844社(2016年度12月期)で、博報堂の58社(2016年度3月期)に大きな差をつけています。

こうした社内の潮流もあって、電通出身者はスタートアップに「投資する」役割に回る傾向が強いようです。

*のれん
→企業買収の際に発生する、「被買収企業の時価評価純資産」と「実際の買収金額」の差額のこと。2015年度の日系企業ではソフトバンクがトップ、次点にJT、日本電信電話が続く。

【示唆(2)】博報堂出身者はスタートアップ「起業・経営」に強い

社員の絶対数が倍近く異なることも踏まえると、博報堂出身者には上場ベンチャーの役員、特に創業者が非常に多いことが分かります。

電通との比較において、博報堂は「個性的」「個人主義的」「クリエイティブ」というキーワードで語られます。広告代理店業務のなかで自分のやりたい事業を発見する社員、それを実現するために独立起業という選択肢を選ぶ社員が多いという観点から、こうした印象はあながち間違っていないと言えるでしょう。博報堂社内の気風が、スタートアップ創業者の多さに現れているのかもしれません。

2.電通/博報堂からのスタートアップ

以下では、実際に電通/博報堂出身者が立ち上げたスタートアップを紹介します。

a. 電通からのスタートアップ

【例1】アーキタイプ archetype*(創業者:中嶋 淳 氏)

【中嶋氏プロフィール】

一橋大学/社会学部卒
1989年 電通入社
2000年 インスパイア入社/取締役副社長
2006年 アーキタイプ創業/代表取締役

参考:アーキタイプ株式会社 team

アーキタイプ株式会社はスタートアップ企業の支援を行うインキュベーション企業です。創業者である中嶋氏は、新卒で電通に入社して11年間の経験を積んだ後、投資会社・インスパイアを経て同社を設立されました。

【例2】Cloud Payment(創業者:清久 健也 氏)

【清久氏プロフィール】

東京大学/工学部卒
1993年 電通入社
2000年 J-Payment創業
2014年 「Cloud Payment」に社名変更/代表取締役社長
 

参考:CAREER WOOS  トップインタビュー

インターネット決済代行サービスや請求管理クラウドサービス「経理のミカタ」等を運営するCloud Payment株式会社も、電通出身の清久氏が創業したスタートアップです。未上場ではありますが、国内でも非常に注目度の高いベンチャー企業のひとつであると言えるでしょう。

b. 博報堂からのスタートアップ

【例1】freee(創業者:佐々木 大輔 氏)

【佐々木氏プロフィール】

一橋大学/商学部卒
2004年 博報堂入社
2006年 CLSAサンライズ・キャピタル入社/投資アナリスト
2007年 ALBERT入社/CFO
2008年 Google入社
2012年 freee創業/代表取締役
 

参考:freee株式会社 会社概要

全自動型クラウド会計ソフト「freee」を提供するfreee株式会社の創業者、佐々木氏も博報堂OB起業家の1人です。新卒で博報堂に入社したのちにファンド、ベンチャー、Googleを渡り歩き、2012年にスモールビジネス向け会計プラットフォーム「freee」をリリースされました。

【例2】エニグモ(創業者:須田 将啓 氏)

【須田氏プロフィール】

慶應義塾大学/大学院/理工学研究科修了
2000年 博報堂入社
2004年 エニグモ創業/代表取締役CEO
 

参考:エニグモ 役員紹介

海外ファッション通販サイト「BUYMA(バイマ)」を運営するエニグモ株式会社を創業されたのは、博報堂OBの須田氏です。新卒で入社した博報堂に4年間在籍したのち、同社の同僚である田中禎人氏と共にエニグモ株式会社を創業されました(現在、田中氏はエニグモを退社済みです)

3.最後に

以下、本記事のサマリーです。ポイントは主に3点です。

◎エスタブリッシュメントよりベンチャー界隈だ
電通/博報堂からの転職者は、PEファンドや戦略コンサルよりも、VCファンドのメンバーやベンチャーの役員、創業者としてのキャリアを選ぶ傾向が強い。

◎「投資」の電通、「起業・経営」の博報堂
電通/博報堂の間にも転職傾向の差異が見られ、電通はベンチャーに「投資」するサイド、博報堂はベンチャーを「起業・経営」するサイドを選ぶ社員が多い。

◎「電博」発スタートアップ
電通/博報堂出身者が起業したスタートアップは、to C・to Bに関わらず、既存の事業領域にITを巧く絡めて価値を出す、魅力的なサービスを提供する企業が多い。

電通/博報堂は、「ものの売り方」という価値を様々な業界・企業に提供しています。様々なマーケットに入り込んで消費者・事業者のインサイトに触れることができる点で、自ら事業を興すためのヒントを得やすい環境です。

給与面のリスクを回避しつつ、知見を広めながら起業の機会を伺いたいと考える方にとっても、素晴らしい選択肢のひとつになるはずです。

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びの軸」などが紹介されています。まとめ:自分なりの逆質問を考えるには?「大手企業内定者の逆質問を参考にするのは良いが、丸々真似するべきではない」ことは理解していただけたと思いますので、最後に「自分なりの逆質問を考えるには?」という観点から述べさせていただきます。改めてにはなりますが、大手企業内定者の逆質問をそのまま真似してもあまり意味はありません。大切なのは"逆質問をする目的を正しく理解し、その上で大手企業の内定者が実際の本選考でした逆質問などを参考にし、自分なりの逆質問を作成すること"だと考えられます。unistyleには、逆質問をテーマにした記事がいくつか掲載されています。本記事の内容と関連記事なども確認し、逆質問作成の参考にしていただければと思います。逆質問の考え方・作り方を知りたい方はこちらの記事へ逆質問のNG例を知りたい方はこちらの記事へ逆質問の具体的なイメージを掴みたい方はこちらの記事へ逆質問の考え方・作り方を知りたい方はこちらの記事へ逆質問の作り方・考え方を解説した上で、例文も掲載している記事になります。本記事の内容と関連している部分も多数ありますので、本記事と併せてご確認ください。【記事の構成】●面接官が逆質問をする意図●面接官に好印象を与える逆質問の考え方●面接官に好印象を与える逆質問の作り方●最終面接の逆質問例●最後に逆質問のNG例を知りたい方はこちらの記事へ評価されない逆質問の特徴を解説しています。自分自身で考えていた逆質問がNG例に該当していないか、確認してみてください。【記事の構成】●逆質問は非常に評価されてる、質問は差が出やすい●自分のできなさから来る不安を解消するための質問は評価されない●調べればわかる質問をわざわざ対面で聞くのは評価されない●それ聞いてどうするの?と思われる質問は評価されない●良い質問の最低条件は「質問の意図を伝えること」●最後に逆質問の具体的なイメージを掴みたい方はこちらの記事へ実例を元に「逆質問がどのように進むのか」を紹介した記事です。逆質問のリアルなイメージを掴みたい方にとって参考になる内容が記載されています。【記事の構成】●生命保険の1次面接●シンクタンクの2次面接●ITメガベンチャーの最終面接●全体へのフィードバック 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【博報堂社員が語る】電博の社員から見る働き方の違い 【博報堂社員が語る】電博の社員から見る働き方の違い 就活生に大人気の広告代理店。その中でも二大巨頭とされる電博。エントリーシートも特殊な設問が多く、例えば電通では「2020年東京オリンピックを題材に作文を書きなさい」であったりだとか、「座右の銘×広告の仕事という題材で作文を書きなさい」など、普段から広告の仕事とはなにか、と考えていないといけない設問が多く出ます。また、電博と世間一般には認知されていますが、実はこれは博報堂が行ったブランド戦略とも言われており、揶揄される声を聞くこともあります。実際に両者を比較(2014年3月期)してみると電通:売上高2兆3090億円/従業員数7425人博報堂:売上高1兆950億円/従業員数3122人と売上高、従業員数ともにおよそ2倍の差が生じています。規模の差は大きく異なるとは言っても、実際の働き方の違い、商材の違いはよく分からない学生が多いのも事実です。本記事では、博報堂社員の方にOB訪問をした際に聞いた話を元に、電博の社員・働き方の違いについて迫ってみたいと思います。参考:電博社員の違い両者の共通点:高学歴出身者が多い。参考:これはやはり言えることだそうです。上記の記事にもあるように、博報堂の場合、東早慶一工出身者で全体の76%を占めており、実感としても早慶以上が大半を占めるとのことです。とは言っても、その中で社員の違いはあるようで電通:とにもかくにも営業が強い。リーダーシップを取ってグイグイ引っ張っていく人が多い。博報堂:良くも悪くも個性的な人が多い。体育会系のノリはあまりなく、リーダーシップを取る人ももちろんいるがそれも一つの個性として見られる。とのことでした。もちろん博報堂にも体育会系出身者がいるのも確かですし、逆に電通にも少しおとなし目の社員の方がいることは確かでしょう。しかしながら、印象としてはやはりこのような雰囲気があるようです。ちなみに博報堂社員の方によると、社員の個性を分類分けすると以下4パターンほどに分けられるそうです。(1)ゴリゴリ体育会タイプ主にテレビ局との営業をしている人たちだそうです。例えばラグビー、アメフトのような、いわゆる体育会系組織で成果を残してきた人たちが多いようです。それこそ各種目の日本代表レベルが集うようです。(2)クリエイティブタイプ広告の製作やコピーライターなどがこのタイプにあたるようです。芸大出身を中心に一芸に秀でている人が多く、多くの人が想像するような広告の仕事を担っている人が多くここに分類されるようです。(3)キレものタイプ東大生や理系・文系問わず大学院で学問を学んできた人などがこのタイプです。広告の仕事だと、マーケットや消費者への調査が必須となります。そのような役割を担うのがこのタイプのようです。(4)話うまいタイプ上記3つに該当しないタイプの学生でしょう。キレものタイプ達が分析した市場調査を元に、クライアントに新たな提案をし、社内に持ち帰ってクリエイティブタイプの人に依頼をする、言わば泥臭い社内外の調整役を担う人たちです。社員の違いはなぜ?〜電博の働き方の違い〜学生から見れば、同じようにクライアントを持ってCM等を作っているように感じる広告代理店。それではなぜ両社で社員の違いが生じるのでしょうか。それは働き方の違いから生じるようです。その両社の違いとは、電通:「新しいものを売る」博報堂:「今あるものをより魅力的に売る」ということです。電通の場合は短期間でおもしろいCMを作って爆発的に売るイメージで、博報堂は元々ある製品のブランド価値を長い時間かけて醸成し、新しい魅力を消費者に提供して売るイメージだそうです。例として挙げられるのは、酒類の広告で電通:発泡酒博報堂:ビールの大半を両社手がけているようです。理由としては、発泡酒は新製品がどんどん出るため、短期間で爆発的に売ることに長けている電通が手がけており、ビールは新製品自体があまり出ず人気を復活させるという一面が大きいため、製品のブランディングと新しい魅力を再発見して消費者に提案することに長けた博報堂が手がけているようです。まとめ電博を両方受ける学生は多くいると思いますが、なぜ電通じゃないか、なぜ博報堂じゃないのか、という質問は必ず聞かれるでしょう。「このCMがすきだから‥」という理由は表層的で弱いようです。また先に述べた違いを理解せずに、例えば電通で「今あるものをもっと魅力的に!」といっても面接官には伝わりません。以上のような働き方、社員の雰囲気を理解した上で、自分の経験と重ねることで、説得力のある志望動機を話せるかと思います。また代理店の働き方を理解した上で、自分自身の長所をどう活かせるのか、ということが話せると良いと思います。参考:電博の企業研究・広告業界の業界研究に関するunistyleの記事 76,732 views
【厳選】すべての就活生が読んでおくべき4冊の必読書 【厳選】すべての就活生が読んでおくべき4冊の必読書 かつて伊藤忠商事で社長・会長を歴任した丹羽宇一郎氏も、著書『死ぬほど読書(幻冬舎新書)』のなかで「本はいってみれば、人間力を磨くための栄養です。草木にとっての水のようなものといえます」と綴っています。本記事では、就職活動を控えた方や、真っただ中の方に向けて、選りすぐりの必読書・4冊をご紹介します。また、記事の最後ではそれとは別に、就職活動の各フェーズで効果を発揮する5冊の選考対策本も紹介していますので、こちらも併せて参考にしてください。【本記事のトピック】■就活生が本を読むべき2つの理由■必読書・4選└内田和成『仮説思考』└杉野幹人『超・箇条書き』└伊賀泰代『採用基準』└橘玲『幸福の資本論』■付録:【完全版】おすすめ選考対策本・5選└【テスト対策】『これが本当のSPI3だ!』└【GD・ケース対策】『東大生が書いた問題を解く力を鍛えるケース問題ノート』└【GD・ケース対策】『現役東大生が書いた地頭を鍛えるフェルミ推定ノート』└【自己分析】『さあ、才能(じぶん)に目覚めよう新版ストレングス・ファインダー2.0』└【業界研究】『日経業界地図2018年版』■最後に:就活生よ、本を読もう!就活生が本を読むべき2つの理由まずは導入として、「なぜ就活生は本を読むべきなのか」、この問いについて少しだけ検討してみましょう。就活生の皆さんが(これまでにも増して)活字を読むべき理由は、2つあります。①キャリアを考えるための土台になる1つめに、あなたの幸福なキャリアを深く考えるための土台ができるためです。就職活動とは、数ある選択肢のなかから、あなた自身の幸福を最大化するようなファーストキャリアを選び取るプロセスです。さまざまな考え方や知識をインプットして見識を広め、改めてあなたの価値観を見つめなおすには、最適なタイミングのひとつであるといえるでしょう。②選考で評価されやすくなる2つめに、思考法や伝え方の原則を学ぶことで選考で評価されやすくなるためです。効率のよい思考法や相手が理解しやすい伝え方を心得ているだけで、就職活動の選考でのパフォーマンスは大きく改善されます。とりわけ、ビジネスの現場で活躍している著者の書籍を読み、そこから彼らの思考法やコミュニケーションスキルを学び取ることは、企業の選考で課される面接やグループディスカッション(GD)に直接的に活きてくるはずです。これらの理由から、読書は就職活動で納得のいく結果を手にするための最強のソリューションのひとつだと言えます。必読書・4選前置きが長くなりましたが、以下、unistyleから学生のみなさんに推奨したい4冊を紹介します。必読書①:内田和成『仮説思考』トップファームのひとつ、ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)でディレクターまで上りつめた内田和成氏が、短時間で高い成果を出すための思考法を分かりやすく解説した一冊です。仮説思考BCG流問題発見・解決の発想法「仮説」とは、「まだ証明はしていないが、最も答えに近いと思われる答え」(本書より抜粋)のことであり、これを用いた思考法のことを「仮説思考」と呼んでいます。これは、絶対的な解が存在しないビジネスの世界において、高い成果を出すためには欠かせない思考法のひとつだといえます。これを会得し、実践することは、面接で高く評価されるような魅力的な経験・エピソードにつながるほか、GDやケース面接での議論にも活きてくるはずです。また、中長期的なメリットとして、入社後に実際のビジネスの現場で活躍するための素地をつくることにもつながるでしょう。必読書②:杉野幹人『超・箇条書き』トップティアのコンサルティングファーム、A.T.カーニーでマネジャーを務める杉野幹人氏の著書。超・箇条書き―――「10倍速く、魅力的に」伝える技術「短く、魅力的に伝える」ための必須スキル「BulletPoints(箇条書き)」について、実践的なテクニックまでが詳細に解説されています。皆さんがどんなに魅力的なアピールポイントを持っていたとしても、それを正しく企業側に伝えることができなければ、残念ながら何の意味もありません。本書が指南する「超・箇条書き」というスキルは、ESの作成はもちろん、面接でのアピールやGD・ケース面接でのディスカッションなど、就職活動のあらゆるフェーズで劇的な効果を発揮するはずです。必読書③:伊賀泰代『採用基準』マッキンゼー・アンド・カンパニーの採用マネジャーを12年のあいだ務めた伊賀泰代氏が、社会から本当に必要とされる優秀な人材像を明らかにした一冊です。採用基準「マッキンゼーが求める人材」は、実は「いまの日本社会が必要としている人材」とまったく同じであるとしたうえで、その条件(採用基準)となるたった1つの資質を解説しています(その資質が何であるかは、ぜひ実際に著書を手に取って確認してください)。マッキンゼーのようなコンサルティングファームを志望する学生だけでなく、これからビジネスのフィールドで活躍したいと考えているすべての学生が読むべき内容になっています。なお、本書については、unistyleにおいて以下の記事でも言及しています。■必読書④:橘玲『幸福の資本論』作家・社会評論家である橘玲氏が、「これからの社会で”幸福に生きる”ためには、どのように人生を設計すべきか」という本質的な論点を検討した一冊です。幸福の「資本」論―――あなたの未来を決める「3つの資本」と「8つの人生パターン」橘氏は、人間が手にすることのできる資本を「金融資産(資本)」「人的資本」「社会資本」の3つに分けて定義したうえで、すべての人間の「幸福」な人生パターンはこれら3つの組み合わせによって説明できるとしています。ファーストキャリアとする企業を選び、社会人生活のエントランスをくぐる前に、ぜひ本書をヒントに「自分にとって”幸福な人生”とは何か」を考えてみてください。付録:【完全版】おすすめ選考対策本5選ここまで紹介してきた必読書とは別に、自己分析や業界研究、面接対策など、実際の選考に向けて具体的な対策を行うための5冊のおすすめ就活本も挙げておきます。書店の就活コーナーには大量の書籍が並べられており、どれを買えばいいか分からなくなってしまう方も多いかと思いますが、ひとまずは以下の5冊を選べば間違いはありません。【テスト対策】『これが本当のSPI3だ!』主要3方式<テストセンター・ペーパー・WEBテスティング>対応】これが本当のSPI3だ!【2019年度版】SPIの主要3方式(テストセンター・ペーパーテスト・WEBテスティング)すべてに対応したテスト対策問題集。(もちろん、個人の得手・不得手にもよりますが)これ一冊をしっかりと解き込んでおけば、一般的な水準のテスト対策としては十分でしょう。▼テスト対策については、以下の記事もご覧ください。■■【GD・ケース対策】『東大生が書いた問題を解く力を鍛えるケース問題ノート』東大生が書いた問題を解く力を鍛えるケース問題ノート50の厳選フレームワークで、どんな難問もスッキリ「地図化」本来は外資コンサルなどの選考で課されるケース問題対策本ですが、グループディスカッション(GD)対策としても高い効果を発揮します(なぜなら、GDとケース問題の違いは「与えられた問題を複数人で解くか、ひとりで解くか」にすぎないため)。また、以下の記事にもあるように、最近では総合商社を始めとした日系大手企業でもケース問題が課される機会が増えています。■シンプルなフレームワークの助けを借りながら例題に取り組めば、みるみる実力がつくはずです。コンサル志望者はもちろん、グループディスカッションに苦手意識がある日系大手志望の方も今すぐ取り組みましょう。▼GD対策については、以下の記事もご覧ください。■■■【GD・ケース対策】『現役東大生が書いた地頭を鍛えるフェルミ推定ノート』現役東大生が書いた地頭を鍛えるフェルミ推定ノート――「6パターン・5ステップ」でどんな難問もスラスラ解ける!上記の『ケース問題ノート』と併用したいのが、こちらの『フェルミ推定ノート』です。フェルミ推定とは、「日本全国にマンホールはいくつ存在するか」など、正確に求めるのが難しい数値を論理的に概算することをいいます。ビジネスライクな数的思考力を鍛えられるほか、ケース問題やグループディスカッションのなかで売上推定を行うときなど、ケースワークに取り組むうえで大いに役立ちます。本書は数学が苦手な文系学生でも親しみやすいよう、具体的な例題を交えながらシンプルに書かれており、効率よく学習を進めることができます。すべての就活生におすすめしたいワークブックです。【自己分析】『さあ、才能(じぶん)に目覚めよう新版ストレングス・ファインダー2.0』さあ、才能(じぶん)に目覚めよう新版ストレングス・ファインダー2.0あなた自身の強みを知るために一役買う、ベストセラー本です。一冊ごとに固有のシリアルナンバーが付属しており、Web上でこれを入力して〈ストレングス・ファインダー2.0〉という診断テストを受けると、あなた自身が持つ「5つの資質」を知ることができます。独力での自己分析に行き詰まってしまったとき、新しい視点から自分を顧みたいときなどに活用するとよいでしょう。ただし、こうした書籍はあくまでツールに過ぎません。「やって満足」で終わらないよう、戦略的に自己分析を進めましょう。▼自己分析については、以下の記事を必ずご覧ください。■■【業界研究】『日経業界地図2018年版』日経業界地図2018年版日経新聞社が毎年リリースしている業界地図も、さまざまな業界を広く・浅く俯瞰するのには役立ちます。志望業界の見当がつかない方や産業構造を広く知りたい方などは、本書を入り口にして業界研究を始めるとよいでしょう。(もちろん、より本格的な業界研究を行う際は、また別の手段を講じる必要があります。)▼業界研究については、以下の記事を必ずご覧ください。■最後に:就活生よ、本を読もう!本記事では、unistyleが学生の皆さんにおすすめしたい4冊の必読書、さらに付録として5冊の選考対策本をご紹介しました。以下、ラインナップを再掲しておきます。【4冊の必読書】■内田和成『仮説思考』■杉野幹人『超・箇条書き』■伊賀泰代『採用基準』■橘玲『幸福の資本論』【付録:5冊の選考対策本】■『これが本当のSPI3だ!』■『東大生が書いた問題を解く力を鍛えるケース問題ノート』■『現役東大生が書いた地頭を鍛えるフェルミ推定ノート』■『さあ、才能(じぶん)に目覚めよう新版ストレングス・ファインダー2.0』■『日経業界地図2018年版』就職活動というタイミング、そして本記事で挙げた4冊の良著をきっかけにして、ぜひたくさんの本を読んでみてください。読破した本たちはきっと、皆さんの人生の肥やしになるはずです。下記には、その他各業界志望者におすすめの書籍を紹介した記事へのリンクもありますので、併せて参考にしてみてください。参考: 160,633 views
安定志向の自分が国家総合職(旧:国家Ⅰ種)ではなく民間就職に舵を切った理由 安定志向の自分が国家総合職(旧:国家Ⅰ種)ではなく民間就職に舵を切った理由 こんにちは、現在就活中の19卒国公立大生です。私は現在、大学を一年間休学しています。大学3年次は、公務員試験(特に国家公務員総合職)に向けて勉学に励んでいました。その後、国家総合職に最終合格したものの、休学という選択肢を選びました。今回は、タイトルにあるように国家総合職に最終合格した私が、なぜ休学してまで民間就活に舵を切ったのかについてお話したいと思います。【本記事のアウトライン】・国家総合職とは何か、その試験制度や年収について・国家総合職が学歴社会といわれる所以・私が民間就活に切り替えた理由・減少傾向にある国家総合職志望者国家総合職(旧:国家Ⅰ種)の試験制度・待遇まずは、国家総合職についてご存じない方やあまり詳しく知らないという方に向けて、試験制度についてざっくり説明させて頂きたいと思います。国家総合職試験は、以前は国家Ⅰ種試験と呼ばれていました。いわゆる「キャリア官僚」になるための試験を指します。公務員試験の中でも最難関と言われており、最終合格はもちろん、その後の内々定までたどり着く人はごく少数です。まずはその試験フローについて以下にまとめてみました。1次試験(マークシート式)→2次試験(論述式、人物試験)⇒[[最終合格]]↓官庁訪問(GD、採用面接)]⇒[[内々定]]1次試験と2次試験に合格してはじめて最終合格者となり、官庁訪問を行う権利を得ることができます。私の受けた大卒程度、法律区分の国家総合職試験の1次試験の倍率は8倍程度、2次試験の倍率は2倍程度となっており、全体の実質倍率は約15倍となっております。もっとも、ここでただ試験に最終合格すればいいというものではなく席次も非常に重要となります。財務省や外務省、経産省、警察庁などの人気省庁を志望する場合は特に席次を意識する必要があるといえます。最終合格時点では、大袈裟に言うと民間でいうESとWebテストが通過した段階に過ぎません。官庁訪問では10数回の面接が複数日に渡り行われ、省庁によっても差がありますが、その倍率は2.5倍ともいわれています。官庁訪問では、省庁に関する知識はもちろんのこと、政治や経済、社会、カルチャーなど幅広い知識が必要となります。そして、その熾烈な官庁訪問を見事乗り越えると内々定となります。つまり、内々定を得るためには、全体として見ると約30倍もの高い倍率を勝ち抜いていく必要があります。ここで、官庁訪問とは何かご存知ない方もいるかと思いますので、簡単に説明させて頂きます。官庁訪問とは、各省庁に採用面接を受けに行くもので、最大3省庁を受けることができます。丸一日拘束される場合がほとんどで、これが数日に渡って行われます。この官庁訪問が、国家総合職試験の最大の山場であり、ここで内々定を貰うことができなければ、無い内定となります。次に、国家総合職の職務内容についてみていきましょう。国家公務員には総合職と一般職の2種類があり、大まかに説明すると民間企業同様、総合職が将来の幹部候補としての職務、一般職は主に事務処理等を担当することとなります。両者の大きな違いは、「昇進スピード」と「就くことのできる役職」の2つです。総合職の方が、より早く管理職ポストに就くことができ、最終的には事務方のトップである事務次官のポストも狙うことができます。もっとも、一般職採用であっても本人の希望や努力次第で管理職を目指すことも十分に可能なようです。続いて、キャリアパスについて簡単に説明します。ここでは、国土交通省のHPを参考にみていきたいと思います。1年目〜3年目採用直後は、本省係員として配属され、政策立案や法令事務などに携わります。4年目~6年目本省係長として、よりオリジナリティのある政策立案や法令作成業務などに携わります。地方支分部局の課長としての赴任、他省庁への出向等の機会があります。7年目〜本省課長補佐クラスとして、国土交通省の政策の企画・立案の中枢となっていきます。その後は、在外公館の一等書記官、地方公共団体の部課長、地方支分部局の部長等のキャリアを経て、本省課長等へ昇進し、国土交通行政において重要な役割を果たしていくことになります。参考:国土交通省採用HP他省庁でも概ね同様のキャリアパスを歩んでいくこととなります。また、総合職に関しては海外留学や海外勤務の機会も多分にあるようです。最後に、皆さんが最も気になっているであろう給与について見てみましょう。キャリアパスと給与について人事院が発表している年収モデルから以下のようにまとめました。【国家公務員モデル給与例(扶養親族がいない場合)】参考:平成29年人事院勧告もっとも、これには残業代等が含まれていないため、実際の年収としてはプラスαで100〜300万円上乗せした金額をイメージしてもらえれば良いかと思います。昇進するにつれて金額も上がり、給与自体は民間大手と大差ないといえますが、その仕事量からするとやや低いといえるかもしれません。また、トップの事務次官ともなると年収は約2300万円になるようです。もっとも、官僚の出世争いは熾烈でトップ事務次官になれるのはたった一人です。出世争いに敗れるといわゆる天下りをして再就職することが多いです。そのため、上記の通り一人ひとりのキャリアが大きく異なり、給与に関しても相当な個人差があるといえます。学歴社会の国家総合職(旧:国家Ⅰ種)ここでは、私が民間就活に切り替えた理由についてお話したいと思います。結論からいうと、私の学歴では将来的に活躍しにくい職場だと判断したためです。なぜそう考えたかについて書いていきたいと思います。要因としては以下の3つが挙げられます。①国家総合職は他に類を見ない学歴社会である②旧帝・早慶以外は官庁訪問で切られる可能性が高い上に訪問できる官庁も限られてくる③官庁訪問を乗り越え就職できたとしても出世が見込めない国家総合職が学歴社会であるといわれる所以について説明していきたいと思います。以下のデータをご覧ください。【平成29年度(2017年度)国家公務員採用総合職試験・出身大学別合格者数】​参考:ReseMom一目見てご理解頂けると思いますが、東京大学の合格者が圧倒的に多いことが分かります。2017年度の国家総合職最終合格者は1878人であるため、合格者の約5人に1人が東大生という計算になります。なお東京大は各省庁の総合職の就職者数を発表している。内訳は、総務省27人、国土交通省26人、経済産業省23人、農林水産省17人などとなっている。昨年、各省庁の採用予定者数のうち東京大の人数は、総務省が49人中27人、経済産業省が43人中23人、外務省が28人中15人、金融庁が18人中10人となっており、これらでは5割以上を占めている。やはり人気省庁では東京大の強さは際立っている。参考:PRESIDENTOnline以上からも、国家総合職に占める東大のウェイトの大きさがよく分かります。また、官庁の中で最も人気である財務省を例に見てみると、事務方のトップである財務事務次官の歴代出身大学は、57人中55人が東京大学、残り2人が京都大学となっております。これについては、官僚に占める東京大学出身者の割合が高いため、事務次官の割合が高くなることも不自然ではありませんが、やはり少なからず学閥が関係しているとも考えられます。このように、国家総合職に就職する人、出世していく人の学歴には、民間では考えられないほどの偏りがあるといえます。そのため、当然ながら学閥が力を持ち、出身大学が官庁訪問や出世でも大きく影響するのが実情です。官庁訪問に学閥が影響するという理由は、大学のOB・OGである現官僚との繋がりを持てるか否かで省庁の採用情報などを得ることができるか否かが変わってくるためです。当然ながら、OB・OGが多い大学の方が情報量という面で有利な傾向にあります。ここからは、私が見聞きしたりインターネットなどで囁かれたりしている情報ですが、省庁によってはOB・OG経由で官庁訪問に来るよう連絡したり(内々定を必ず出すとの旨を伝えた上で)、官庁訪問で学歴順に面接を行い低学歴(ここでは旧帝・早慶以外)の人については面接をしてもらえなかったりといった話があります。これらについては、確証が取れているものではなく、あくまで噂にすぎないのでその点お間違いのないようご注意下さい。しかし、このような噂が出回るほど国家総合職は学歴社会であるのは事実でしょう。以上が、国家総合職が学歴社会であるとの所以です。つまり、正直なところ自分の大学だと先が知れていて、また、前述の通り年収もそこまででもありません。そのため、私は国家総合職という選択肢を選びませんでした。もちろん、民間でも学閥はあると思いますが、それでも数字などビジネスの結果で巻き返せる余地が大きいと考えています。私は自分の実力が正当に評価される環境で働きたいと思い、民間就活を選びました。東大生に関しても国家総合職の人気は落ちている東大の牙城ともいえる国家総合職ですが、東大生の中でも人気が落ちてきているようです。まず、国家総合職自体の志願者数の変遷について見てみます。キャリア官僚を志す学生が減少している。2017年度の総合職の第1次試験の合格発表が12日に迫ったが、人事院によると、17年度の総合職試験(11年度までは1種試験、1984年度までは上級試験)の申込者数は前年度比6%減の2万591人。1970年度以来47年ぶりの低水準だった。参考:日本経済新聞以上の新聞記事からも分かるように、そもそも官僚を志す人の割合は減少傾向にあります。一般的に、国家公務員に限らず公務員志願者数は景気によって増減するといわれています。公務員は安定しているとのイメージから、好景気の際は志願者数は減り、反対に不景気の際は志願者数が増える傾向にあります。次に、東大生の国家総合職就職不人気について見てみましょう。毎年「国家I種」試験の合格者を多数輩出する東大前で学生に話を聞くと、「父も官僚なので子どもの頃から憧れてるんですけど、仕事の割に給料が安いイメージがある。周りの友達も外資など、民間企業に行く人が多くて、公務員志望はあまりいません」「なるのが大変な割には外資や大手銀行に比べて給料がよくないので、ちょっとコスパが悪いのかなって」「気持ちが強い人じゃない仕事だと思う。薄給だけれど、仕事はそれなりに大変」と、あまり良いイメージを持たれていないようだ。参考:AbemaTIMESやはり、景気の影響だけでなく薄給・激務といったマイナスイメージから東大生も国家総合職を敬遠する傾向にあるようです。売り手市場であるのに加えて、分配側ではなく価値を生み出す側(ビジネスサイド)で力を発揮したいと考えている人の割合が高まっていることも関係しているのではないでしょうか。これには、仕事に対する価値観も影響しているのではないかと考えます。現行政府が働き方改革を推進しているように、バブル期のようにひたすら働くことが良しとされる時代ではなくなりました。世間体や出世だけに価値基準を置くのではなく、自己の能力をより発揮でき、より働きやすい環境であるかを基準に仕事を選ぶ方が増えているのではないでしょうか。以上のように、東大生の国家総合職への人気も低下傾向にあるといえそうです。最後に皆さん、最後までお付き合い頂きありがとうございました。ここまで、私がなぜ国家総合職でなく民間就活を選択したのかについてお話してきました。一言申し上げておくと当記事は、決して官僚になることや官僚社会の内部体制について批判することを目的としたものではありません。むしろ、国の中枢に入って日本を支えたいという志が高い方に、国家総合職を目指して頂きたいと考えています。激務・薄給・学歴社会等悪い噂ばかりが目立つ国家総合職ですが、その社会貢献性や公共性は民間企業と比較にならないくらい大きいでしょう。また、私自身も省庁の説明会等に何度も参加し、官僚の方々の熱意や意欲については並々ならぬものを感じました。現在では、官庁訪問で大学名を名乗らせなかったり面接カードにも大学名を書かせなかったりと学歴社会であった国家総合職も変わりつつあります。今後は、より学歴に関係なく活躍できる環境になっていくことは間違いないでしょう。また、皆さんの中には、公務員か民間で悩んでいる方もいらっしゃるかもしれません。そういう方については公務員勉強と民間就活を並行して自分の適性、志向を考えていけばいいのではないでしょうか。私の周囲にも両立をしていた人は現に沢山いました。私自身は初めから公務員と決め打ちしたために休学することになってしまったため、時間をかけて自分の適性をよく見極めることが重要かと思います。もっとも、安易な考えで公務員勉強もしておこうという考えであれば、賛成はできません。国家総合職を含め、公務員試験は片手間で合格できるような簡単な試験ではありません。勉強と就活の両立をするのであれば、それだけの覚悟をもって挑むべきでしょう。この記事が、皆さんの就職活動に少しでも役立てば幸いです。今後もunistyleを是非ご活用ください。【参考】・・・photobyStooMathiesen 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