「転職」で総合商社を比較する ―投資側への転職なら三菱商事を選べ―

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最終更新日:2023年10月26日

「転職」で総合商社を比較する ―投資側への転職なら三菱商事を選べ―

本選考とインターンの締め切り情報

新卒就活中の皆さんは、どれだけ【入社後の転職】を視野に入れているでしょうか?日本的な終身雇用原則が崩れつつあるなか、同一企業に40年勤め上げることを過度に信奉せず、将来的な転職までを見越して新卒入社先を検討するべきでしょう。

unistyleでも「勝ち組企業に内定したと思ってる学生は「ブラック・スワン」を読んでおこう」・「10年前は東電・シャープに入社した人は勝ち組だった」を始めとした記事で、入社時のブランドや給与水準が永劫保証されているわけではないとお伝えしています。

また、入社してから転職活動のための業界研究ができる時間は限られていることから、就職活動の段階でベンチャー起業も含めて幅広く様々な業界を受けることが重要であると考えています。

今回は、いわゆる日本的大企業の代表格とも言える「総合商社」をピックアップしました。

実際の転職者データをもとに、【総合商社に新卒入社した方の転職キャリア】について考察していきたいと思います。

転職キャリアのリサーチ

unistyleでは「人気企業に新卒入社したあとに転職して辿り着くエリートキャリア」を考えるため、

◆プライベート・エクイティ・ファンド(PE)
◆ベンチャー・キャピタル(VC)
◆戦略コンサル
◆ベンチャー企業の創業者および役員(未上場も含む)

以上4つの集団の現職者に対象を限定し、これに該当するビジネスエリート計1231名のキャリアをリサーチすることで「一流転職市場のリアル」に迫りました。
(なお、全ての情報は有価証券報告書ないし企業HPから収集したものです)

総合商社の転職事情

今回は【総合商社からの転職ルート】、特に【ファンドへの転職】にフォーカスします。

新卒就活市場において非常に人気の高い総合商社ですが、その後の転職までを視野に入れて検討している学生は決して多くないと思います。

・実際に総合商社から転職した方が、その後にどんなキャリアを歩んでいるか
・各総合商社を比較したとき、その転職キャリアの傾向に違いはあるか

本記事から以上2点を把握し、キャリア選択の好材料としていただきたく思います。

a. 総合商社から転職する人数は多くない

最初の論点は、「そもそも総合商社からの転職者はどの程度いるか」という点です。

以下、4つの集団それぞれにおける総合商社7社(三菱商事、三井物産、伊藤忠商事、住友商事、丸紅、双日、豊田通商)出身者の人数を合計しました。

◆各集団の7大商社出身者(人)

PE
(N=169)
VC
(N=182)
戦略コンサル
(N=138)
ベンチャー役員
(N=742)
合計
(N=1231)
16(1) 12(3) 7(1) 32(4) 67(9)

※()内は総合商社出身者のうち、各商社に中途入社した人数

【総合商社からのエリート転職者は、決して多くはない】と評価していいでしょう。

以下の表の通り、母集団1231名のなかでリクルート出身者が63名、マッキンゼー出身者が50名ということを鑑みれば、総合商社7社合計で67名というのは大きい数字ではありません。

◆母集団(N=1231)のうち、出身者が多い上位5社(人)

1 リクルート 63
2 McKinsey & Co. 50
3 Accenture 49
4 BCG 34
5 Goldman Sachs 33


実際のところ、総合商社は給与水準も高いうえ、年功序列・終身雇用の日本企業体質が多分に根付いており、極めて離職率の低い層の企業と言えます。したがって、各総合商社の社員は「そもそも転職市場に出て来にくい」層であり、また「転職市場価値が必ずしも高くない」層だ、というのが実態でしょう。

b. 総合商社から転職する3類型(投資/経営/起業)

しかし、それでも転職に踏み切る総合商社社員が一定数いるのも事実です。総合商社を出る方の転職ルートは、主に3つに分類できると考えられます。

◆総合商社を飛び出す転職の3類型

  「投資」 「経営」 「起業」
志向 事業・企業に
投資する側に回りたい
企業経営の上流に
深く携わりたい
自ら新規事業を
立ち上げたい
・投資ファンド
・投資銀行
・コンサルファーム
・ベンチャー役員
・スタートアップ創業

 

【投資】
総合商社でプレイヤーとして事業に関わるよりも、そこに投資する側に移りたいと考える層です。
商社社内の投資機能では満足できない、あるいはそこへの配属が叶わないケースや、より大きな額の給与を望むケース、その後のキャリアアップの為の助走として利用するケース等が考えられます。
例:投資ファンド(PE、VCなど)、投資銀行(ゴールドマン・サックスなど)

【経営】
若いうちから企業経営の上流部分に携わりたいと考える層です。
コンサルタントとして幅広い業界の企業経営に関与する、実際に社内の役員メンバーとして経営に参画する、といった実現方法に辿り着きます。
特に前者は、その後のキャリア形成のための修行期間として捉える方も多いようです。
例:コンサル(マッキンゼー、BCGなど)、各種ベンチャーの役員ポスト

【起業】
興したい事業の実現のため、独立・起業という手段を選択する層です。
自分の「やりたい事業」のイメージをクリアに持ち、かつそれが総合商社で実現できない、あるいは若いうちに実現したいケースに選択されます(三菱商事の「Soup Stock Tokyo」、伊藤忠商事の「カブドットコム証券」のような、「総合商社に残ったまま社内起業」という選択肢も無いわけではありませんが、運良くこれを主導できるのは未だレアケースと言わざるを得ません)。
例:スタートアップの創業メンバー(CEO、COOなど)

以下では、この3つの類型のうち【投資】、特に投資ファンドへの転職にフォーカスし、各商社間の転職実績比較から「総合商社から投資サイドに転職する際のリアル」を明らかにします。

ファンドへの転職:際立つ三菱商事の強さ

a. 投資ファンドへの転職実績を比較する
unistyleが調査した、国内PE・VCファンドの現職メンバーにおける各商社の内訳です。

◆PE・VCファンドにおける五大商社出身者の内訳(人)

  三菱商事 三井物産 伊藤忠商事 住友商事 丸紅 合計
PE 11(1) 2(0) 1(0) 0(0) 2(0) 16(1)
VC 6(1) 3(2) 2(0) 1(0) 0(0) 12(3)
17(2) 5(2) 3(0) 1(0) 2(0) 28(4)

※()内は出身者のうち各商社に中途入社した人数

三菱商事が圧倒的に多く、大きく水をあけられて三井物産、伊藤忠商事と続く格好となっています。住友商事、丸紅はそれぞれ少なく、投資ファンドへの転職という観点においては商社間で明白な差が見えてきます。
※なお、各社グループ内ファンド(三菱商事:丸の内キャピタル、伊藤忠商事:伊藤忠テクノロジーベンチャーズなど)は調査対象から除外しています。

b. 示唆:「ファンドへの転職」なら、三菱商事を選ぶ
この比較から導かれるのは、【総合商社で働きながら投資側への転職を見据えるなら、三菱商事が最良の選択だ】という示唆です。

2015年度の決算では連結最終損益において設立以来初の最終赤字を計上し、伊藤忠商事に業界首位の座を明け渡した三菱商事。
しかし、上記の「投資ファンドメンバー輩出数」においては、同社の揺るがない「人材力」「ブランド力」が透けて見える結果となりました。

三菱商事の「17名(うち2名は中途採用で三菱商事入社)」という輩出人数は、他業界の企業を含めたなかでも相当多い数値です(以下表を参照)。上位2社へは中途採用で入社するケースが多いため、こと「新卒入社したケース」に限定してみると、三菱商事の「15名」という数値は全業界の中でも最多となります。

将来的な投資ファンド入りを検討しているならば、三菱商事は全企業群のなかでも最良の選択のひとつであると言えるでしょう。


◆投資ファンド(PE+VC)メンバー輩出人数・上位5社(人)

1 McKinsey & Co. 24(12)
2 Goldman Sachs 18(6)
3 三菱商事 17(2)
3 日本興業銀行(現:みずほFG) 17(3)
5 BCG 16(6)

※()内は出身者のうち、各社に中途入社した人数

ファンドへの転職事例:外コン・外銀の経由も有効

次に、総合商社出身者が実際にどんな転職ルートを辿って投資ファンドに到達しているのか、実例を通じて考察しましょう。
a. 総合商社からファンドへの転職事例を見る

【例1】水谷 謙作 氏(現・インテグラル/元・三菱商事)

慶應義塾大学/理工学部卒
慶應義塾大学大学院/理工学研究科修了
一橋大学大学院/国際企業戦略研究科(金融戦略MBA)修了

1998年 三菱商事入社/機械グループ・プラントプロジェクト本部
2003年 同社/金融事業本部・M&Aユニット
2005年 モルガン・スタンレー証券/投資銀行本部・M&Aアドバイザリー部
2006年 GCA入社/M&Aアドバイザリー/メザニン出向
2007年 インテグラル入社/パートナー(現職)

参考:インテグラル株式会社 メンバー

三菱商事から投資銀行、M&Aアドバイザリーファームへと転職してM&A経験を積み、現在はPEファンド・インテグラル社パートナーとして活躍されています。
当初は三菱商事・機械グループにおいてプラントの海外輸出や事業投資に従事されており、その後に「投資」特に「M&A」という切り口でキャリアを展開されたようです。


【例2】侍留 啓介 氏(現・CLSAサンライズ・キャピタル/元・三菱商事)

早稲田大学/商学部卒
シカゴ大学大学院/MBA

2004年 三菱商事入社/金融事業本部
2012年 マッキンゼー・アンド・カンパニー入社
2015年 CLSAサンライズ・キャピタル入社/ヴァイス・プレジデント(現職)

参考:CLSAサンライズ・キャピタル チーム

三菱商事からマッキンゼー・アンド・カンパニーに転職し、その後にポスト・コンサルとしてPEファンドのキャリアを選択された例です。また、シカゴ大にてMBAを取得されていることも、その後のキャリア形成に重要な影響を与えていると推測できます。

【例3】久保田 雅也 氏(現・WiL社パートナー/元・伊藤忠商事)

慶應義塾大学/経済学部卒

1997年 伊藤忠商事入社
1998年 リーマン・ブラザーズ証券/投資銀行本部
2008年 バークレイズ証券/投資銀行本部
2011年 SMBC日興証券/投資銀行本部
2014年 WiL共同創業/パートナー(現職)

参考:WiL Team

伊藤忠商事を僅か1年で退職し、16年間一貫して投資銀行のフィールドを歩んだのち、VCファンド・WiLの立ち上げに踏み切られた方です。なお、同社WiLの共同創業者のお一人である西条晋一氏(元サイバーエージェント、現コイニー取締役など)も伊藤忠商事のご出身です。

b. 示唆:「ファンドへの転職」なら、外コン・外銀の経由も有効だ
総合商社からファンドへの転職を考えるとき、上に例として挙げさせていただいた方々のように【総合商社から外資系投資銀行や戦略コンサルを経由し、そののちにファンドに転身する】というルートを辿る方が相当数いるようです(以下、表参照)。

◆総合商社に新卒入社後、投資ファンドに辿り着くまでに経由した企業(人)

  投資銀行 戦略コンサル ファンドへ直接 その他
PE:14名 3 5 6 0
VC:9名 1 0 3 5

とりわけPEファンドにおいては半数以上が外資投資銀行・コンサルを経由しているため、【将来的にはファンドで投資業務に従事したいが、そのための助走期間として投資銀行・コンサルに転職する】という転職アプローチも有効である、という仮説が立ちます。

最後に

いかがでしたでしょうか。本記事では、

◎総合商社からの転職3類型(投資/経営/起業)
総合商社からの転職者は大きく分けて3パターン、
①投資、②経営、③起業の3つがあります。

◎「ファンドへの転職」なら、三菱商事を選ぶ
なかでも「投資」の転職としてPE・VCファンドを目指すケースでは、総合商社のなかでは三菱商事が圧倒的な実績を挙げていると言えます。

◎「ファンドへの転職」なら、外コン・外銀の経由も有効だ
そして、投資ファンドを目指す上では、まず総合商社から外資系投資銀行、戦略コンサルに転職し、そこを経由するかたちでファンドに移るというアプローチも有効なようです。

以上の3点がポイントになるとまとめることができます。

「本当に自分が入社すべきは総合商社なのか」「総合商社のなかでもどこを選ぶのか」という問いを考えるとき、上記のような転職市場における実態というポイントも重要な切り口の1つになるでしょう。皆さんのキャリアを考えるうえで、本記事を参考にしていただければ幸いです。

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就職活動における運と相性 ー「人事を尽くして天命を待つ」の意味ー 就職活動における運と相性 ー「人事を尽くして天命を待つ」の意味ー 人事を尽くして天命を待つとは、人間の能力でできる限りのことをしたら、あとは焦らずに、その結果は天の意思に任せるということ。出典:故事ことわざ辞典人事を尽くして天命を待つ5月に入り、既に何社か内定を獲得している方、もしくは最終面接ぐらいまで選考が進んでいる方も多く出てきている頃だと思います。内定の取れる/取らないに一喜一憂したくなるこの時期ですが、その結果を決めるうえで重要な示唆を含むことわざがあります。それが、冒頭で挙げた「人事を尽くして天命を待つ」です。「自分でやれる最大限の努力をしたら後はその結果は天に任せる」という意味の何てことない普通のことわざですが、就職活動においてはこの意味は重要な概念を含むと考えています。今回は「人事を尽くして天命を待つ」をキーワードに、就職活動を語るうえで外せない「相性」について事例を交えながら深堀りしていきます。なぜ就職活動で"相性"が存在するのかunistyleではもはや念仏のように繰り返していますが、企業にとって就職活動とは自社の利益に貢献できる人材を採用するための活動です。「」でもお伝えしているように、これに加えて選考基準には「仲間とうまくやれそうか」という観点も含んでいます。仕事とは、企業という組織の中で複数人と関わり合って進めていくものである以上、どれだけ優秀な人材であっても自社の風土とかけ離れているようでは円滑な業務遂行に貢献することは困難です。一般に、就職活動で見られる相性とはこの「そこで働く人も含めた組織文化との相性」を指します。それが採用基準の一つである以上、面接を中心とした各フローで相性が見られることになるのは自然なことでしょう。「人事を尽くす」と「天命」はそれぞれ何を指すのかさて、冒頭で触れた「人事を尽くして天命を待つ」ですが、就職活動に当てはめると具体的にどのような意味になるのでしょうか。まず、「人事を尽くす」とは語義上は「自分が出来る最大限の努力をすること」を指します。就職活動では、「内定を獲得するうえで必要な選考フローを突破するための行動」とまとめられるでしょう。具体的には、ESの添削やり取り・Webテストの勉強・OB訪問などがそれに該当します。この「人事を尽くす」についてはあまり解釈の差は生まれ得ないと思います。一方、「天命」とは語義上は「天によって定められた人の宿命」を指します。ことわざの方でも「天の意思に任せる」という意味になっていることから、自分の力ではどうしようもない、運命論的に定められているものという解釈が一般的なものと思われます。就職活動で自分の力ではどうしようもないことと言えば、「面接当日に誰が面接官になるか」「就職市場全体の動向(いわゆる氷河期か・売り手市場か)」等がそれに該当します。「内定を獲得するための努力は出来る限りして、後は運を天に任せるだけだよね」というある意味当たり前の話になりそうですが、就職活動において「天命」とみなされるものとして代表的なのが「業界/企業との相性」になります。いわゆる就職偏差値のような内定獲得の難易度の高低は現実に存在しますが、個人から見れば相性次第でそれは難しくも簡単にも感じることがあります。「東大は余裕で受かるのに慶應は全然受からなかった」という学生は稀である一方で、「総合商社の志望動機はすらすら出てきて選考もうまくいったけど(それより偏差値の低い)広告代理店は苦戦した」というようなケースは就職活動ではいくらでもあるものだと思っています。参考:「天命」とは本当に「自分ではどうすることもできない」ものなのか?ことわざ上「天命」とは「天の意思」である以上、就職活動でも相性は自分の力ではどうすることができないものとして語られる風潮がある印象です。ここでは、そんな「天命」や「相性」の中でも、制御可能な側面に焦点を当てます。まずは相性の良し悪しを知ることから就職活動において、各業界/企業の持つ組織風土や面接官個人との相性によって選考結果が左右されることは事実です。一方、その業界/企業がどのようなビジネスモデルを構築しており、それに基づきどのような働き方が要求されるか・どのような素養が求められるかを考えることは業界研究を通してクリアにすべき点でしょう。また、いわゆる社風と呼ばれる組織風土も、先述したビジネスモデルや業界での立ち位置・沿革等調査可能な要因で決定される面があります。もちろん、特に大企業の場合いくらOB訪問を重ねたところで、面接官や将来の働き先との相性を完璧に理解するのは不可能でしょう。とは言え、「天命」である相性の良し悪しを知るには選考への参加を始めとした行動が必要であり、それがわからないことには「もしかしたら業界研究が甘かったかな」といったように原因分析→次の行動へ正しい方向に進めることは困難でしょう。unistyle創業者の樋口も、「相性を知る」ためには選考を受けることが必要であると以下のように述べています。結局、どんなに優秀な人でも就職活動において10割の打率は望めない。面接官との相性もあるから絶対に受かるってことはあり得ない。またどんなに業界研究して知識をつけても、経験・考え方がその業界に合ってない場合は評価されない。志望業界に合ってるかどうかは実際受けてみないとわからないし。—KotaroHiguchi(@happytarou0228)2016年9月20日こういった意味では、「天命」にも「待つ」だけではなく尽くせる部分があるというのがまず一つ目の制御可能な側面になります。「天命」とは「天与の才能」ではないかという考え方先述の通り、「天命」とは「天によって定められた人の宿命」という語義である以上、生きていくうちに自然と決定していくものだという見方が一般的かと思います。一方、この語義から若干外れた解釈も存在しているようです。(ものすごく簡単に言ってしまえば、)“天命”とは、自分に与えられた“天与の才能”を活かすこと。出典:和楽の道“人事を尽くして天命を待つ”に隠された、もう1つの意味本エントリーを参照すると、「天命」とは端的に言えば「才能」を指し、それを活かすのに注力することが肝心だという考えが書かれています。すなわち、家庭環境・生まれた地域・通う学校といった、自分では選択できない先天的なものも天命として捉え、それをどう活用するかでその後の結果は変わってくるという見方になります。確かに自分では(今さら)どうしようもないという意味では、先天的素養と天命には共通項があるように見えます。遺伝子決定論と天命先ほど「通う学校」が先天的なものという記載をしましたが、小学校までならまだしも大学は受験結果に応じて入学先が変わるものなのだから「先天的」というのは間違っていると考えるのが普通だと思います。余談ですが、生物学には遺伝子決定論という見方があり、身体的・行動的特性は遺伝子によって決定される(=先天的だ)という考え方が存在します。極論、今晩終電を逃すか・その日に必要な勉強ができるか・課題の期限に間に合うかといった一見自分の意思や取り組みでコントロール出来そうなものも遺伝子により決定しており、大学合格の有無でさえも生まれたときから決まっているというポジショントークがあるようです。(もっと言えば、今この部分を読んで「なるほど。では努力してもあまり意味がないな」と捉えるか「そんな運命論的な話なんてくだらない。自分の道は自分で切り開くんだ」と捉えるのかも遺伝子によって決定されるという考え方です)いずれにせよ、通う大学や周囲の同級生というのは就職活動時から見れば基本的に変えることの出来ないものであるため、先天的でなくとも「天命」の要素はゼロではないという考え自体はあっていいと思っています。(あくまで「就職活動」という時期に限る話ですが)徹底的に「天命」を活かし続けたとある就活生「天命」を「天与の才能」と捉えていた実例として、私が見てきた就活生のうち「第一志望の内定者がサークルの直属の先輩にいる」という好環境に恵まれた方がいました。単純に考えて選考を優位に進められそうな環境ではあった中で、徹底的にESの添削を重ねる・選考に関する情報を自ら引き出すなど、今いる環境をとにかく有効活用していた印象があります。その方は見事第一志望の内定を獲得し現在もそこで働いています。近年、新規事業立案というような「無いものから新たな価値を生み出す」ことがトレンドになっており、そのような素養を伝える就活生は多く見てきていますが、「今ある環境を最大限有効活用する」という段階がそもそも出来ていない人というのはまだまだ多いと思っています。上記例でも「先輩にES添削をお願いしても忙しくて断られるかも」といった考えから行動に移せない方は多いですが、「自分の人生の重要な分岐点である就職活動のため」と考えれば今いる環境や天与の才能を活かさない理由はないでしょう。しつこくて多少先輩に嫌われようが、自身の内定獲得の可能性を高められるのであればそんな懸念は基本無視すべきです。(もちろんそのやり取りにも最低限守るべきマナーは存在しますが)参考:最後に:天命を活かすか、言い訳にするかはあなた次第就職活動おいて運や相性といった天命的要素によって合否が左右されるのは事実であり、いかなる取り組みをしたところで全社に絶対内定できるということはあり得ません。しかし、「天命だから仕方ないよね」と必要以上に言い訳するのもそれまた違う話であり、「天与の才能」という意味の天命は徹底的に活かし、尽くせる努力は尽くし切るということが結局大事なのだと考えます。ましてや、unistyleユーザーの皆さんには就職活動は運ゲーだから気楽にやろうなんて考えには至ってほしくないと思っています。就職活動で息詰まったとき、本当にそれは「運」や「相性」で片づけてよい「どうしようもないもの」と言えるのか。是非その際は今一度立ち止まって考え、本記事も参考に言い訳による機会損失を少しでも減らしていただければと思います。 12,643 views
【20卒早稲田政治経済学部】乃木鮭くんの就活体験記vol.5|2018.11 interview 【20卒早稲田政治経済学部】乃木鮭くんの就活体験記vol.5|2018.11 interview 今回は早稲田大学政治経済学部の乃木鮭くんに2018年10月にインタビューした内容を掲載します。↓↓↓乃木鮭くんのこれまでのインタビュー記事はこちら↓↓↓7月分インタビュー8月分インタビュー9月分インタビュー10月分インタビュー早稲田大学乃木鮭くんの履歴書乃木鮭くんの履歴書◆性別└男性◆大学└早稲田大学政治経済学部に現役入学。第一志望は東京大学であったが不合格。◆趣味└海外ドラマ・コメディショー鑑賞◆サークル└政治サークルと趣味程度の同好会に所属。今は両方とも引退。◆アルバイト└教授の研究補助と学内のIT関連アルバイト。◆留学└3年次にカナダに8ヶ月交換留学。◆資格└TOEFL98点・TOEIC880点・英検準1級(高校で取得)・統計検定3級◆就活をはじめた時期└2018年5月末◆志望業界└メーカー(自動車、重化学、鉄鋼)、総合商社、外資系投資銀行、外資系コンサル。◆希望職種└法人営業。世界を股にかけて働きたいという思いが強い。本インタビューはunistyle編集部のむたか(@mutaka_unistyle)とくらもん(@esquestion)にて行っております。10~11月の活動を振り返って自分の活動量・内容について「10~11月の就職活動はどんな感じだった?」「日産自動車冬季フォローアップインターンシップ、レバレジーズ説明選考会および本選考面接、ベイカレントコンサルティング本選考面接、日本銀行インターンシップエントリー(ES)および集団面接、UBSエントリー(ES&Webテスト)、KPMGコンサルティングエントリー(ES)、シティグループエントリー(ES。Webテストはサマーインターンエントリー時のスコアが使われるとのことでした。)をしました。ベイカレント、UBS、KPMGについては落選してしまいましたが、レバレジーズ、日本銀行、シティグループについては連絡待ち中です。」「なるほどね。改めて結構がっつり行動している感じだね。」「そうですね。日産はより詳しい企業理解を求めての行動ですが、レバレジーズや日本銀行は新しくエントリーした企業になりますし、UBSやKPMG、シティなどについては選考が始まったというところですね。いよいよ本選考がはじまるんだと実感しています。別件ですが、自己研鑽の目的もあって受験したTOEICが980点だったので、アピール材料が増えました。」「980点は素晴らしいね!それぞれの感想や学びなどについて、教えてもらえるかな?」「日産のインターンシップはサマーのフォローアップということで参加したんですが、全体として夏より学生のレベルが上がっている印象を受けました。グループワークのようなものを行ったのですが、限られた時間の中で鋭い洞察や論理的な意見形成、それを明快に伝達する力、そして自分の意見があったうえで周りを巻き込んでいく力など、参加者全員の総合的な能力が高かったです。落ちてしまった選考については、準備不足が一番の理由には上がると思っています。やはり、まだ自分を売り込む際の伝え方という点で改善の余地はかなりあると感じています。結局、あるエピソードを語るにしても、言い方があまりよくないかもしれないですが、採用する側にウケる型にはめることができていないことは敗因として大きいのではないかと考えています。エピソードの内容、伝え方どれをとってもまだ自分本位なものになってしまっているのかもしれません。採用する側の目線に立つということは今後ますます意識していきたいと思います。」自分の行動量・内容まとめ・積極的に行動し、インターンのみならず本選考にも参加。・インターンや選考落選を通じて、より客観的に自分を見ることができるようになりつつはあるが、課題山積みという自覚が強い。周りの活動量・内容について「周囲の友人たちの就活状況はどう?前回の話だと、大学の友人はまだそこまでという感じだったけど。」「周りについてもいよいよ就活が活発になってきた印象を受けます。外資コンサルや外資金融、ベンチャーを受ける人は本選考やオータムでのインターンに参加したというは聞きますし、日系大手志望者についても冬インターン参加を意識してイベント参加などを通じた情報収集を意欲的におこなっていたり、筆記対策や自己分析を進めている人はどんどん増えてきていると感じています。留学経験者なんかはボスキャリに参加している人もいたようです。私の最終的な志望先である日系大手各社は、3年生でボスキャリに参加しても内定までの優遇を得ることが難しいと聞きましたので今回は参加しませんでした。いずれにしろ周りも就職活動のギアを一つや二つ上げてきているなという印象を受けます。」「情報収集は引き続き就活サイトやTwitterが多いのかな?前回のお話では『是非いろんな人に会ってみて下さい』とお伝えしたと思うけど、あれからどうなった?」「積極的にいろいろな人に話を聞きにいけているかはわかりませんが、以前よりは情報収集を意識的に行うようになりましたし、まずは身近からということで、周りの友人や知り合いにも就活の進捗を聞くようにはなった点では、一歩前進かなと思っています。」周りの行動量・内容まとめ・周りに就活情報を交換する友人は引き続き少ないものの、以前よりは活発に情報収集はしている。企業選びの軸「前回企業選びの軸を聞いたときは、海外勤務希望→腰を据えて英語を用いて国内勤務希望となって、さらにそこから、英語に拘りを持たず国内勤務を希望、に変わっていったけど、あれからどうなったかな?」「すこし自分語りをさせてください。自分で言うのも恥ずかしい話ですが、自分の性格を一言で表せば「冷静な頭脳と温かい心(coolheadbutwarmheart)」だと思っています。マーシャルという経済学者の言った言葉なのですが、まさに自分を表していると思っています。これまでの人生において「なぜ」それをやるのかという部分については論理よりも感情が先行して行動することが多かったです。高校時代の英語ディベートや、大学時代のサークルや留学、どれをとっても将来役に立つからというような理由ではなく、ただ純粋にそれが好きで追い求めていたいものであったからしてきただけでした。」「なのでそういうものについて語るときについ熱意があふれ出てしまって、人からは意外と熱いんだねという評価をいただくことが多々あります。温かい心よりは熱い心かもしれないですね。でもこの評価で、「意外と」という部分が個人的には重要な部分で、自分って別に熱血漢でどんなときも熱さと勢いだけでどうにかしてきたタイプでもないと思っていますし、「意外と」の評価の理由であるとも信じています。それが冷静な頭脳という部分にも繋がってくるのですが、これまでの人生で自分が全力で頑張ってきたことについて、「どう」行動してきたのかという部分については理詰めで行動してきたと思っています。目指すべき具体的な行動目標があったとき、自分たちの現状がどうであって、目標を効率的効果的に達成するためにこれからどう行動するべきか、その行動をするためには何が必要かなどなど努めて論理的に分析する姿勢を大切にしてきましたし、実際そのように行動できていたかなと自分なりには信じています。」「例を挙げれば留学の際には語学力の向上という目標は一つあったので、その目標を明確化したり、自分の現状の英語力についてできるだけ客観的な現状分析をして、そのうえでいかにすれば最短経路で目標を達成できるのか、はたまた自分の現状やこれまでの英語力の成長カーブを省みて当初立てた目標は本当に実現可能なのかなど、客観的に考え続ける姿勢は大切にしてきました。実際の行動では努力と気合でどうにかするというよりは、一つ一つの事柄について、なぜそうなのか?そこから引き出される含意は何か?という理屈ベースでの行動を少なくとも大切にはしてきました。それゆえ行動の部分では冷静な頭脳の尊重ということが挙げられます。」「前置きが長くなりましたが、ではこの自分の性格がどう企業選びの軸に関わってくるのかお話しすると、前者は「なぜ」そこで働きたいかの理由を自分に与え、後者は「どう」自分が働きたいという理由に対応するのではないのかと考えています。前者は、自分の「好き」や興味関心を大切にして、それを仕事として実現できる業界に行きたいと考えています。でもこれって実は問題で、本音の根本的な志望動機で言えば結局好きだからその業界なりその企業で働きたいみたいな理由になってしまうんですよね。自分としては大真面目なんですけど、傍から見たら全くイケてない志望動機ですし、自分でもこれで選考通るとはもちろん思ってません。だからといってうまくいい感じの志望動機作り上げても、結局なんかウソっぽく伝わってしまってしまいそうで。そこの矛盾で悩んでいます。」「一方どう働きたいかの部分については、一般的な話になってしまうのですが、好き嫌いやりたいやりたくないみたいなこだわりはないので、そうというよりは自分に一番適性のありそうな職種につければと考えています。今までの自分を省みて分析したときにこれからの成長の見込みが一番大きそうな能力を生かせる職種につきたいです。一方でその能力が一体何なのかという部分については、常に自分の推論が正しいか検証を続けていかねばならない部分であるとも考えています。」「なるほどね。これまでのインタビューを経て、自己理解がどんどん深まるだけでなく、言語化することもできるようになってきたね。話してくれている内容自体はよく理解できるし、原体験が明確なのでいいと思う。これらを踏まえて、どういう軸と言えそう?」「今までの流れを踏まえて、勤務地については国内志望ということもそれほどなくなり、国外でも国内でも良いと考えています。でもこれは決して何でもいいやという投げやりな気持ちではなく、東京から大阪に転勤する感覚で、例えば上海やロサンゼルスに行ってもいいということで、国内だから海外だからというこだわりは今はそれほどないという意味合いです。一方で、世界を駆け回るというよりはやはり腰を据えていたいという気持ちはあるので、一つの赴任先で長く生活していたいとは思っています。それが国内か海外かは問いません。英語については、何が何でも使えなくちゃ嫌だということはないですが、かといって英語がここまでの人生で培った自分の資産という認識もあるのでそれをもう一生使わずに終えてしまうのもなんだか寂しくはあります。正直英語をどうしたいかについての結論は出ていないですが、少なくとも、英語を負担には感じないという一つのアピールポイントとして就活での武器としていければとは思っています。」志望業界・職種「企業選びの軸がさらに変化したということは志望業界や職種も変わった?前回は、メーカー(自動車、重化学、鉄鋼)、外資系投資銀行、外資系コンサル志望だったけど、順位変動含め何かあったかな?」「自動車業界と金融業界を主軸に考えを進めていきたいと思っています。理由は、好きだし興味のある商品だからです。今までの自分が何かを始めたきっかけを考えてみたときに、興味ベースで初めてみたということがほとんどだったので、たぶん業界選びについても自分の興味がまず第一に来るのだろうなと思っています。これまでを省みても入りが「為になるから」みたいな動機で始めたものって長続きしなかったんです。この辺りは多分人間性的なものが影響していると思っており、自分はまさに好きこそものの上手なれタイプだと感じています。なので、興味ベースで自動車と金融を志望しています。外資系企業は直感的な部分で何か違うという違和感があったのと、そもそも選考が早いから受けていたという側面も大きかったのでそろそろ受けるのは終わりにしてもいいのかなと思っています。」「職種については、前回通り法人営業を志望しています。繰り返しになってしまうのですが、お互いにある程度前提知識があったうえで交渉をするという状況はディベートであったり自分が今まで得意と感じていたスキルが生かせる職種だと思っていることが理由になります。ただ、ここについては何が何でも法人営業というわけではなく、他にも自分は何が得意でという部分の分析は続けてく中で柔軟に修正していきたいと考えています。」ガクチカ・自己PR「学チカ、自己PRについてはどう?自己分析は深まったかな?」「自己分析については深めるというよりは整理するということを最近は意識しています。深く考えていった結果、あれもあったなこれもあったなと情報過多になり、結局自分はこれで何を伝えたかったんだろうと見失ってしまうことが多々ありました。深めるという作業はそこそこやってきたとは思うので、これからはそれを踏まえて、自分を一つの商品と考えたときに、第一に相手に自分がどういう人間と見てをもらいたいのかテーマを明確に決めたうえで、そう感じてもらうためには自分のどういう能力なりどの側面を押し出していくべきか、それを裏付けるエピソードはなにかなど、今までの自己分析の結果を整理していったうえで、足りない部分については適時分析をしていきたいなと考えています。」8月と9月を比較した変化まとめ・自己理解、自己認知度合いが非常に高まりつつあり、これまでの人生をしっかりと振り返ることができている印象。・一方で、まとまりはまだなく、説明するには冗長的に感じるところがあるため、簡潔に伝えるスキルを身につける必要があると感じる。12月にやろうと思っていること「12月以降やっていこうとしていることはある?」「自動車メーカー主催のイベントに参加しようと考えています。就職活動をしていてもなかなか自動車メーカーの社員の方とお会いする機会というものはなかったので、実際に社員の方々とお話して会社の雰囲気や、まわりの学生自動車メーカーを志望する学生の傾向など見れたらいいなと考えています。あと、自己分析という部分に関しては引き続き整理の部分を進めていきたいです。」12月にやろうと思っていることまとめ・業界を絞り込み、企業理解を深めるフェーズに。今就活で悩んでいること「今就活で困っていることとか悩んでいることはある?」「言い方は悪いかもしれないですが、やはり就活ウケのしやすい語り口をいまだに会得できていないことが悩みです。就活で見られているのはこれまで自分が何を成し遂げてきたかではなく、自分はどういう経験の中でどう考えどう行動してどう成長してきた、そしてその再現性の立証という流れを伝えることだとここまでの就職活動を振り返り思うようになりました。しかし、これは伝え方の部分だと思うんで、そういうある意味コツみたいな部分も感覚レベルで理解していけたらなと思っています。」今就活で悩んでいることまとめ・話したいことはまとまったが、表現方法・伝え方に関しての課題意識が強くあり、howtoが見えていない状態。場数を踏み、フィードバックをもらいながら伸ばしていくことが重要。unistyle編集部より乃木鮭くんへのフィードバック活動量はひと段落といった乃木鮭くんですが、ある程度活動したあとはしっかりと振り返りの時間を設けることは大切だとunistyleでは考えているので、9月の過ごし方としてはベターだったと言えるでしょう。まだまだ企業選びの軸やその基となる自己分析・自己理解が定まっていないようですが、これは問題ではないでしょう。ファーストキャリアで全てが決まるとは思っていませんし、今悩んだだけ最後には最適解を導けると思っていますので、悩めるうちにしっかり悩むのが吉でしょう。また、今後の活動の見通しをある程度立てられているのは良いと感じました。言わずもがな、就活は情報戦でありスケジュールがキモになってくるところがあるので、今時点で冬の活動計画が具体的な点は社会人になっても評価されるポイントと言えるでしょう。一方で、情報収集先がほとんどWEBという点に懸念を覚えています。オフラインだからこそ得られる情報は鮮度が高く情報の信憑性も高いと思いますし、自己分析や自己理解についても他者からの評価・意見によって知る側面も多々あると思いますので、積極的に行ってほしいと感じています。ここに関しては、根性論のようになってしまいますが、勇気を出して行動するのみです。就活においては、身の安全を確保したかったら"じっとする"よりも"冒険する"方が僕はいいと思っていて、どれだけ"知らない"を少なく出来るかが勝ち筋なんだよね。やっぱり。就活って不安とか恐怖によって億劫に感じること多いと思うけど、社会人も同じで、やっぱりなー、行動するしかないんだよね。—むたか/就活サイトunistyle(@mutaka_unistyle)2018年10月19日最初はなんでも怖いものです。でもそこで立ち止まってしまうと何の進歩もありません。行動すこそ恐怖に打ち勝つ最良の施策だと思いますので、是非積極的に外に足を運んでみましょう。乃木鮭くんへのオススメ記事戦略的自己分析のやり方|企業視点を踏まえた内定する自己分析の方法→自己分析の「方法」だけでなく、自己分析をする目的や選考での活用法まで書いています。ESを書く際や面接でも役に立つ内容が書かれているので、一度だけでなく何度も読み返してほしい記事です。▼20卒早稲田生限定の就活イベントを企画しました。詳しくはこちら。 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小説で業界研究!池井戸潤のおすすめ小説集 小説で業界研究!池井戸潤のおすすめ小説集 就職活動において、小説や漫画で業界研究をするというのは非常に有効な手段であると思います。特に『半沢直樹シリーズ』で一躍時の人となった池井戸潤氏は、数多くの経済小説を書いており、各業界を理解する入り口として非常に面白い題材だといえます。今回はそんな池井戸作品の中で、それぞれどのような業界が学べるかまとめてみました。本記事のコンテンツ・池井戸潤で学ぶ業界研究└銀行業界:『半沢直樹シリーズ』└重工・メーカー業界:『下町ロケット』└自動車業界:『空飛ぶタイヤ』└建設業界:『鉄の骨』└スポーツビジネス:『陸王』・最後に池井戸潤で学ぶ業界研究銀行業界:『半沢直樹シリーズ』オレたちバブル入行組(文春文庫)オレたち花のバブル組(文春文庫)ロスジェネの逆襲(文春文庫)銀翼のイカロス言わずと知れた半沢直樹シリーズ。池井戸潤氏本人が銀行に勤めていたこともあり、現役行員は「実際には半沢直樹がいないだけで、後はかなりリアル」と話していたようにかなりリアルな銀行の内情が描かれているようです。参考:また銀行業界だけでなく、ロスジェネの逆襲ではインターネット業界、銀翼のイカロスではJALの経営再建をモデルにしてるなど他業界の勉強にもなります。池井戸潤作品を読むならまずはこれからという作品の一つです。重工・メーカー業界:『下町ロケット』下町ロケット(小学館文庫)下町ロケット2ガウディ計画三菱重工をモデルにしたと思われている帝国重工が出て来る『下町ロケット』は重工業界やメーカーの開発部隊の理解を深めるのに役立つ1冊といえます。自社の技術に自信を持つメーカーのプライドが垣間見え、また技術者、営業、経理と会社のメンバーが一体となって大きな会社に立ち向かう姿に胸を打たれます。帝国重工側も嫌な人ばかりだけでなく、味方になってくれる人もいたりと発注する巨大企業側の視点にも立てるので重工業界を志望する人にはおすすめです。続編の『下町ロケット2ガウディ計画』は医療機器の開発秘話で、メーカーにおける新商品開発に熱くなれます。自動車業界:『空飛ぶタイヤ』空飛ぶタイヤ(実業之日本社文庫)2000年におきた三菱リコール隠し事件をモデルにした「空飛ぶタイヤ」2016年にも燃費不正問題で話題に上がった三菱自動車ですが、三菱リコール隠し事件で赤字が拡大した結果、三菱重工、三菱商事、三菱UFJ銀行に増資の支援を行い、三菱商事から三菱自動車に来ていた益子氏は経営再建を託されて社長に就任しました。社長就任後、リコール隠しなどの体制を払拭しようと試みたものの、燃費不正問題が明らかになり、三菱自動車における問題先送り体質の根の深さが露呈してしまう結果となりました。『空飛ぶタイヤ』では、三菱自動車の内部においてどのようにリコール隠しが行われたのか、それがどのように明らかになっていくのかをリアルに描いています。建設業界:『鉄の骨』鉄の骨(講談社文庫)こんなに使える経済学―肥満から出世まで(ちくま新書)中堅ゼネコンの大口公共事業の受注部署で通称「談合課」に配属された若手社員が主人公の話。談合のフィクサー的な人間と会社の連絡役的な仕事を行う若手社員、談合に対して、実直に技術で向き合うのか談合に手を染めるのか、建設業界における談合の根の深さと葛藤を感じさせる作品になっています。ちなみに談合については、経済学的な分析も進んでおり、「こんなに使える経済学」でも一つの章を使って説明されています。経済学部、商学部所属の大学生についてはこういった件にも興味を持ちながら業界研究を進めてみると勉強にも就職活動にもプラスになるかもしれません。スポーツビジネス:『陸王』陸王2016年に発売された『陸王』は、アディダスやナイキなどのスポーツビジネスと実業団スポーツとの結びつきを描いたものです。体育会系の学生には非常に身近に感じられる内容かもしれません。中堅の足袋メーカーが社運をかけて、ランニングシューズの開発に立ち向かう話、池井戸作品らしく、銀行の人も出てきて彼らとメーカーとの関わりや銀行員の方の葛藤も一つの見所となっています。最後に半沢直樹シリーズだけでなく池井戸潤氏の本は全てスラスラ楽しく読める上に、業界研究にもなり、働く人のモチベーション理解にもつながるものが多いです。今回ご紹介した各業界の志望者でなくても楽しめる作品ばかりなのでぜひ手にとって見てください。参考:photobyDaveDugdale 18,457 views
総合商社の配属リスクと総合商社におけるタテヨコ議論 総合商社の配属リスクと総合商社におけるタテヨコ議論 総合商社には「配属リスク」があるという話は聞いたことがあるかもしれません。「ラーメンからミサイルまで」というキャッチフレーズは総合商社を志望する人は一度が聞いたことがあるのではないでしょうか。商材の範囲の広さを表現したものですが、確かに幅広い商材を扱っておりそれがゆえに総合商社の事業内容を理解するのが難しいと感じている就活生の方も多いかと思います。一方で、事業内容の幅広さに惹かれて総合商社志望しようと思ったら、「総合商社は一度配属された部門で過ごすことが多いため、配属リスクが高いよ」といったOBの言葉に迷ってしまうなんて方もいるでしょう。今回は総合商社における配属リスクについてと、総合商社の内部でたびたび議論されている人材育成の「タテヨコ議論」について紹介しようと思います。総合商社では一度配属された部門から異動できない?総合商社の背番号制について多くの総合商社においては、「背番号制」という一度配属された部門が自分自身の背番号となり、食糧部門に配属されたら例外がない限りずっと食糧部門で会社人生を進んでいくことになります。社内公募により、手をあげて他の部署に進むことも出来なくはないのですが、数としてはかなり少数です。そのため、例年、ファッション関連の部署に行きたかったのに食糧部門に配属された、エネルギー関連の部署に行きたかったのに総本社の経理部に配属されたと涙する新入社員が一定数出ることになります。こういった配属リスクや背番号制を知らないまま、総合商社は様々な商材を扱っているから様々なビジネスに関われるのだろうと勘違いをして志望動機を構成してしまう就活生がかなり多く存在しています。総合商社は中小企業の寄せ集め!?出世も異動も部門の中で行われる総合商社というと大企業だと多くの人が思っていますが、中で働いてみると、大企業であることは間違いないものの、中小企業の寄せ集めであると感じる人が多いように思います。総合商社の一つの部門に所属する社員数は実はそこまで多くなく200名~500名程度です。部門の中でも部が明確に分かれており、部の間の異動も少ない場合は、100人ぐらいの部で、出世も異動も行われるため、一緒に働く人のことがかなりよくわかる環境であると言えます。銀行などの金融機関の営業職になると、全国にある支店への転勤や本社営業部などへの異動もありえるため、かなり幅広い人と関わることがわかるかと思います。総合商社はこのように中小企業の寄せ集め的な側面があるため、部署ごとにかなり雰囲気やライフスタイルが異なります。毎日のように接待、飲み会があるような部署もあれば、飲み会だけではなく業務によって夜遅くまで残る部署もあれば、仕事は時間内にさっと終わらせてワークライフバランスを重視するような部署も存在しています。働き方という観点からも総合商社には配属リスクがひそんでいると言えるかもしれません。総合商社におけるタテヨコ議論とはこのように総合商社では背番号制という一つの部門にずっと縛られる人材制度となっていますが、一方でせっかく様々な事業を展開しているのだからその特性を活かして様々な事業に精通した人材を育成すべきではないかという意見が総合商社の中でも起きたりします。人材をヨコ(様々な事業領域)に広く経験させることで後半な知識を持った人材を育てた方が様々な事業に投資を行う総合商社にとってよいのではないかという意見です。このヨコの意見に対して、総合商社が相手にするのは食糧部門であれば食品メーカーに20年勤めたその道のプロフェッショナルであり、その道のプロに対して説得力のある意見や提案を行うことを考えると、一つの部門(タテ)の中でその事業についての知見を深めなければ太刀打ちできないというタテの意見も存在します。どちらの意見も説得力がある程度あり、どちらの意見が正しいとは言えないという状況で、総合商社の中にいる人でも意見は割れており、三井物産はどちらかというとヨコの意見に傾いており、人材のローテーションを実施しようと考えているようです。ヨコの意見も広がりながらも、まだタテの育成が総合商社の中では主流なことを考えると、その事業領域のプロフェッショナルを育てることが、投資の際の目利きや事業育成には重要なのかもしれません。もちろん5年後、10年後には総合商社において様々な事業を経験させるヨコの育成が主流になることは否定できないでしょう。最後に総合商社を志望している就活生の方は、早めに「総合商社だから何でもできる」という勘違いから脱してほしいと思います。そして上記のようなリスクがありながらも、なぜ総合商社を志望するのかを考えることができると、配属リスクあるけどそれでも総合商社に入りたいの?といった総合商社の面接で頻出の質問にも答えやすくなるでしょう。総合商社のブランドや現在の人気だけでなく、悪い点やデメリットにも目を向けた上で志望してほしいと思います。【参考】三井物産内定者のES回答「志望理由」『日本の強みを活かし、日本・世界を豊かにすること』が私の夢です。この想いはこれまで40カ国訪れた海外経験が起因しています。訪れた先々で自分が日本人である事を誇りに思い、日本・世界の豊かさに貢献したいと思いました。日本・世界を豊かにすること、内需と外需の両方に携わり、かつその規模が大きい総合商社を志望しています。その中でもOB訪問を通じて感じた仕事への強い責任感と誇りに共感し、貴社を志望しています。【参考】丸紅内定者のES回答「丸紅での仕事を通じて成し遂げたい夢(300文字以内)」将来日本を始め、世界中の豊かさに繋がるような新規ビジネスを創出することが私の夢です。特に食料事業等、消費者より近い分野に興味があります。大学のアメフト部では、其々異なる体格やスキルを持った選手達を巻き込んで新たなプレイを考案してきました。その経験から得た、1)周りを巻き込む力、2)提案し実行する力を生かし、総合商社において幅広い分野の企業や人をつなぎ合わせ、時代のニーズに合わせた新たな価値を社会に提供し、夢の実現に挑戦しようと考えます。非資源分野において攻めの姿勢を持ち、さらに若手から大きな裁量を持ち仕事に取り組めると感じた出来た貴社で、永く会社の柱となる事業を生み出したいと考えます。【参考】総合商社内定者のES回答「あなたが仕事を通して成し遂げたい目標は何ですか。今までの経験やご自身の考えをふまえて、そのように考える理由と併せて教えてください。(250文字以内)」日本の優れた技術やモノを海外に発信することで「強い日本」を取り戻したい。外交官である父が日本の魅力を伝えるのを見て海外で育ち、日本を人一倍意識してきたことから、今日の日本が悲観されている現状に強く悔しさを感じている。そしてIMF世銀総会ボランティアでの企業の最先端技術の紹介を通じ、日本が依然世界に通用することを交わした幾度もの握手から実感することができた。時代の変化に柔軟に対応し、新たなビジネスの場を創出し続ける総合商社において、低迷する日本企業が世界で活躍できるような仕組みづくりに携わりたい。【参考】三菱商事内定者のES回答「あなたが三菱商事で挑戦したいこと、実現したい夢について教えてください。その際、特に興味のある分野や職種があれば、具体的に触れて頂いても構いません。(全角250文字以内)」世界中の仲間を巻き込み新たな価値を創造すること、これが貴社で実現したい夢です。中でも水インフラ事業に携わり、途上国の生活基盤を支えたいと考えます。幼少期の11年をフィリピンで過ごし、日本とフィリピンを比較する中で、水インフラこそが国の経済状況や人々の生活基盤を支える役割を果たす事を強く痛感しております。豊富な経験と実績を持ち、今後インフラ事業に注力をする貴社だからこそ、幅広い事業に挑戦する環境が整っていると考えます。水需要が高まる途上国へ新たな価値を創造し、大きな達成感を味わいたいと考えます。(249文字)総合商社の業界・企業研究に役立つunistyleの記事 50,131 views

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