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朝日新聞社員のインタビューにみる、新聞記者の仕事のやりがい及び新聞社・新聞記者のあり方の変化
最終更新日:2022年03月29日
今回の記事は、朝日新聞社の社員の方への取材記事になります。インタビューに応じてくださった今回の社員の方は、10年ほど記者をやり、今はビジネス部門に所属している方となります。新聞記者になった理由・やりがいや、インターネットやAIの普及に対し新聞社、ひいては新聞記者がどのように対応していくべきなのか等について語っていただきました。
インタビュー内容
志望動機はどのようなものでしたか
働いてからの姿をイメージできるかどうかを重視していました。理系の研究職の人とかと違って、文系の自分には、イメージ出来る仕事があまり無かったんです。一方、新聞記者の仕事は自分にもイメージ出来ました。取材して、記事を書いて、それが紙面に載る。そういう風にイメージ出来たし、楽しそうと感じたから新聞記者を選ぶことにしました。
元々記者で入社されていますが、今はビジネスの部署に所属していらっしゃいます。異動されたときに葛藤は無かったですか
元々ビジネスに関わりたいと思っていたので、特に無かったです。1つの職場に長くて30年いるとすると、10年は記者、10年はビジネス、最後の10年は好きなことをするというイメージを抱いていました。そして、ビジネスではネットへの対応をしたいと考えていました。就職活動をしていた頃は、ちょうどwindows95が流行ったあたり。メールとかを通じてネットってすごいなあと感じていました。それに、新聞記事のようなテキスト情報は、ネットとの相性がいいだろうと当時から考えていました。そこでいかにネットに対応していくかということを昔からやりたかったんです。
ネットの対応は、まさに今問題となっているところだと思います。やはり社内でもいかに対応していくかという危機感はあるのでしょうか
まさにその通りです。ネットビジネスのやり方は、分かってきてはいます。しかし、問題はいかに売り上げを確保するかというところ。電子版の問題点は、紙面に比べて広告費が安いという点です。だから、あまり急激に電子版が普及してしまうと、広告費が減り、経営が難しくなってしまう。どうやってネットビジネスを成り立たせるかというのは難しい問題です。ただ、だからこそ楽しくも感じています。まだ答えのない問題で、いろいろと試行錯誤できるので、そういった仕事ができることにはやりがいを感じています。
ネットの対応について、朝日新聞独自の取り組みはありますか
例えば、社公式で記者にツイッターをやってもらっています。目的は世間の人とつながること。ツイッターを通して一体どういう印象を読者が持っているのかということがわかるし、それを記事の執筆にも活かせます。こういったことをやっているところとやっていないところでは、長い目で見たら大きな違いを生むのではないかと考えています。
ほかにも様々な取り組みを朝日新聞ではやっていますが、これは記者の人たちからの声なのか、経営側の決定なのか、どちらでしょうか
どちらもあると思います。ただ、やりたいと言ったことを聞いてもらえる空気はあります。ネットメディアのwithnewsでは、従来の紙面からすれば思い切った記事も載せていますが、批判の声はあまり聞いたことがないですね。
さきほど、やっているところとやっていないところでは大きな差が出るという話がありました。最近日本経済新聞が、決算に関しては人工知能を使った記事を書き始めましたが、そのような取り組みは朝日ではやらないのでしょうか
個人的にはやったほうがいいと思います。まだ記事の精度が完璧ではなく、間違いがあれば批判も予想される中で日経が始めたことは大変すばらしいと思います。決算短信のような単純作業の記事は機械に任せて、人間は取材を通して面白いエピソードを拾ってくるとか、そういった仕事に注力するべきだと思います。
そのような動きが広まると、記者に求められる水準は今よりも高くなっていくのではないでしょうか
そうだと思います。決算短信を担当しているような人は、社内失業のような形になるはず。今後はその人しか書けなくて面白い、付加価値のある記事を書ける人じゃないと厳しくなると思います。でも、それは良い面もあると考えています。新聞社に入った時に、そんな単純作業をやりたいと思っていた人はいないはずです。本当にやりたいと思っていた記事をどんどん書けるようになっていくのではないでしょうか。
やりたいことという話があったが、ご自身はこれまでやりたいことは出来てきましたか
出来てきましたね。特に朝日は自由な文化が濃い新聞社だと思います。
印象に残っている記事はありますか
たくさんありますが、共通しているのは、「犯罪では無いけど悪いこと」を明るみに出せた時の事。そういった、警察が手を出せないところに記者の仕事があると思います。
記者を志望する学生にも、そういう社会のおかしな点に目を向けたい人に来てほしいですか
個人的には志望動機はなんでもいいです。それこそお金がほしいからでも。ただ、仕事をきちんとできる人に来てほしいですね。仕事ができるというのもいろいろありますが、例えば読者のニーズや関心に沿った記事を書ける人がいいです。
今後やりたいことはなにかお考えでしょうか
ネットでの新聞の居場所を作っていくこと。つまり、新聞をいかにネット上で社会に役立つ存在にするか、ということを目指しています。ネットの広まりで、情報を伝えるコストがとても低くなりました。ファストフードのように、安い早いうまい情報を届けられるようにしていきたいです。
今新聞社に就活をするとして、また朝日を選びますか
絶対に選びます。自由にやれるという点で、朝日よりいいところはないですね。
就活生にメッセージがあればお願いします
朝から夜までどういう仕事や体の動かし方を自分がしているかということを、イメージ出来る仕事に就いてほしいです。入社から3年での離職率が最近問題になっていますが、多くの人が大企業に入りたいとだけ考えて、実際に入社した時にこんなはずじゃなかったと感じるからなのではないでしょうか。自分のやりたいことと実際の仕事にミスマッチが無いようにしてほしいですね。そのために、有価証券報告書を読むだとか、話を聞きに行くだとかをしっかりやってほしいです。これは、決して就活対策のためだけにやるのではなく、やりたいことをやるために取り組んでほしいです。自分の興味とかやってきたことと無関係な職について、失敗するのは悲しいことですから。
最後に
いかがだったでしょうか。記者として働く醍醐味ややりがい、またテクノロジーの発達に伴う新聞記者のあり方などについて一社員としての考えが伝わってくる内容だったと思います。このように実際に働く社員の話や考えを聞き、その上で自分が将来歩んでいくキャリアを考えていくのは非常に大切なことだと思いますので、是非OB訪問等を積極的に行い、後悔のない就職活動に取り組んでいただければと思います。
photo by Jon S
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