優秀な就活生は3年後の転職を見据えて幅広くベンチャー企業まで受けている

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最終更新日:2023年10月30日

優秀な就活生は3年後の転職を見据えて幅広くベンチャー企業まで受けている

自己分析

unistyleを運営していると非常に優秀な学生に出会う機会が結構あります。最近、何人かの就職活動生と話をしていたら、ファーストキャリアとしては総合商社や外資系コンサル、外資系投資銀行を選ぶけれども、3年たったら転職する可能性もなくはない、だから就職活動のうちからめぼしい勢いのありそうなベンチャー企業については受けているという人がいました。彼らがどのように考えて就職活動をしていたのかご紹介したいと思います。

本選考とインターンの締め切り情報

就職活動はその会社のエースが丁寧に事業説明をしてくれる最後の機会

就職活動ほど恵まれた業界研究の機会はないということを、優秀な就活生は十分に理解しています。特に雇用の流動性が高くない日本においては、新卒で優秀な人材を囲い込むことが重要になるため、各社新卒採用にはかなりの予算と労力をかけて取り組みます。新卒採用の説明会で駆り出される現場の社員はエース級の社員であることが多く、そもそも説明会で話す人事が元エース社員で、出世コースとして人事部に配属されているケースもあります。(日系メーカーや金融は人事の力が強く、人事部は出世コースだと言われていたりします)

そんなエース社員に対して、根掘り葉掘り、業界や企業について聞く事のできる機会は就職してからはありえません。多くの就活生は内定をするのに必要な情報をかき集めることに必死で、冷静に自分たちの状況が見えていないかもしれませんが、幅広く社会勉強するという意味ではこれ以上の機会はありません。

3年後の転職を見据えた優秀な就活生はこの機会を存分に活かそうと、次の成長産業は何か、世界がどういった流れの中にあるのか就職活動の会社説明会を通して知ろうとしています。

入社したら時間をかけて業界研究してる暇はない

また総合商社、コンサル、投資銀行など今の学生に人気の業界は給与は高いけど、忙しいという業界が少なくありません。そういった業界に就職してしまうと、転職活動をするために時間を作ることが難しく、入社してから転職活動のための業界研究をしている時間はなくなってしまいます。業界によっては平日は朝から晩まで働き詰めなんてこともあります。そうした事態も見据えて、就職活動の段階で幅広く様々な業界を受けようとしています。

ベンチャーの経営陣には有名企業から転職・起業してきた人が多い

例えば、名刺管理アプリ・ソフトを運営しているSansan株式会社は、創業者の寺田氏は三井物産出身、取締役にもオラクル、ユニシス、モルガン・スタンレーなどなど大手企業出身者が並んでいます。VOYAGE GROUPも創業者の宇佐美氏はデロイト出身、CFOはコーポレートディレクション出身です。

特に新進気鋭のベンチャー企業で新卒採用に力を入れている企業であれば、これらのピカピカの経歴を持った人を広告塔に説明会に呼ぶことも多く、彼らのキャリアに対する考え方から学べることは多いといえます。

優秀な就活生は就職活動を前向きに楽しんでいる

これらの優秀な就活生は好奇心が旺盛で、世の中のビジネスに興味を持ち、ビジネスを生み出している人に興味を持って行動しています。内定をゴールに、面接受けがいい受け答えを探して、説明会に来てる人が多い中で、将来の自分のキャリアに対して主体的に情報収集を行っている人は、説明会にいても目立ち、評価されることが多いといえます。前述の通り、こんなにも世の中のビジネスについてエース社員が懇切丁寧に説明してくれる機会は二度とありません。積極的に楽しみながら就職活動が出来ると自然と結果もついてくるでしょう。

最後に

勉強や仕事における「作業興奮」という言葉を聞いたことがある人は多いのではないでしょうか。作業興奮とは、勉強でも仕事でも無理やり始めることでやる気が出てくるというものです。就職活動を面倒に思ってしまう人も多いかもしれませんが、無理矢理にでも自分を奮い立たせて説明会に参加したり、選考を受けることで作業興奮の効果でやる気がでてくるかもしれません。自分はそこまで優秀じゃないと思ってしまう人も、最初は無理矢理でもいいので参加してみてはいかがでしょうか。

ベンチャー業界の情報収集に役立つ!就活生向けLINEオープンチャットを紹介

ベンチャー志望学生向けオープンチャットの紹介

unistyleでは業界別の就活用LINEオープンチャットを運営しており、数多くの就活生が匿名で就活に関する情報交換をしています。

実際にベンチャー業界志望者向けのグループでも、各社の選考に関するトークが活発に交わされています。

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【就活生に捧ぐ】一流企業13社の退職理由、まとめました。 【就活生に捧ぐ】一流企業13社の退職理由、まとめました。 「退職エントリ」というものをご存知でしょうか。今回は、新卒入社の方がなぜ退社という決断に至ったのかという記事のまとめを提示します。就活では、どうしたら志望企業に入れるかということに重きを置きがちですが、実際にその企業で働いていた人達がどういった理由で退職に至ったのかという視点をまとめました。是非、志望している企業・業界の一側面として参考にしてみてください。【本記事のコンテンツ】▶︎一流企業の退職エントリまとめ└リクルート└GMO└メルカリ└DeNA└ピクシブ└アマゾン└富士通└KDDI└サイバーエージェント└パナソニック└キヤノン└住友化学└富士ゼロックス▶︎最後に一流企業の退職エントリまとめ退職エントリは、大きく2つのパターンが存在するようです。1つはキャリアアップのための退職、もう1つは入社後のミスマッチによる退職です。キャリアアップのための退職▶︎ご報告:リクルートを退職しましたこちらは副業もされながらリクルートで営業職として働いていた方の退職ブログです。リクルートで得たスキルを次のキャリアに活かしていけるという非常にポジティブなものです。▶︎GMOペパボを退職しましたこの方は自分自身のキャリアステージと仕事との間に差が生まれたことによる退職です。「より規模の大きい仕事がしたい。」と考えて転職に踏み切っており、非常に前向きな退職理由であると言えます。▶︎株式会社メルカリを退職しました「メルカリでやりたいことってもうないかも」という言葉に象徴されますが、この方も社内でやりたいことをやり尽くし、次のステップへ進むために退職を決意しています。年収も不満はなかったとのことですが、「どんな仕事をするか」を重視しての決断と言えます。▶︎DeNAを退職しました長く同じ会社に身を置くことで「飽き」がきてしまうのも1つの退職理由として存在するようです。DeNA等のベンチャー系企業以上に、日系大手企業は勤続年数が長くなる傾向にあります。その中でキャリアプランをしっかりと持ち、常に目標を追っていく姿勢が現職に飽きないという観点では重要でしょう。▶︎ピクシブ株式会社を退職していました会社という組織に属している限り、制限されてしまうことは多くあります。個人としての活動をより突き詰めていきたいと考えて属している企業を退職するという流れは近年フリーランスという働き方が注目されているだけに、増加傾向にあるのではないでしょうか。▶︎GoodbyeAmazon!見慣れた職場と仕事内容から脱し、新しい挑戦をするための退職です。入社前後のミスマッチによる退職▶︎富士通を退職した話この方の退職理由はブログの冒頭でも書かれているようにキャリアパスとのミスマッチです。大手企業の配属リスクについての実態が赤裸々に述べられています。ただ、企業の規模が大きく、入社人数が多ければ多いほど希望職種に就くことが難しいのは避けられない現実でもあります。内定先前後にはその企業の配属があり得るグループ会社なども含めて情報収集をしておくとミスマッチも最小限に抑えることができるのではないでしょうか。▶︎10年弱勤めたKDDI/KDDI研究所を退職しましたこの方はキャリアのステップアップのための円満退社とのことです。同じ職場で働き続けることは居心地が良いことではありますが、自己の成長に対するモチベーションを下げてしまうことにもなりかねません。▶︎株式会社サイバーエージェントを退職しましたメルカリに転職された方の退職理由です。主な理由は「評価のミスマッチ」であり、これまでの退職エントリーとは少し異なる理由で退職を決意しています。メガベンチャー・ベンチャー企業では「やりたいことをやらせてもらえる」という裁量が与えられる代わりにそこで出した成果が給与などの待遇に結びつきにくい可能性があります。「裁量権がある会社で結果を出せば早く出世し、同期から頭一つ抜けることができる」という印象を持つ方も多いかもしれませんが、実際にどのような成果を出すと評価されるのか・成果がどれほど評価に結びつくのかについてはOB訪問を通して社内の情報を得る必要があるでしょう。▶︎パナソニックを退社しましたこの方は開発職で入社されましたが、実際に思い描いていたような開発ができる環境ではなく退職を決意しています。富士通の退職理由とも共通しますが、大手メーカーの開発職の場合、実際に配属直後から開発業務に携わることができない社員もいる、という現実があるようです。▶︎キヤノン株式会社を退職しました「技術者として生きたい。」という退職理由で富士通やパナソニックの退職エントリと似た内容です。▶︎住友化学を退職しました待遇面でのミスマッチによる退職エントリです。一括りに待遇と言っても、給料が低いことは退職理由だが終身雇用制であることは良いと感じていた等、要素によって感じ方にばらつきがあるようです。その他▶︎富士ゼロックスを退職しました新卒で入社してから20年間という歳月を経て早期退職された方の退職エントリです。これまでに紹介したものとはまた1つ違った側面が見えてくるのではないでしょうか。研究側で自由にやってきたものの途中からうまく行かず、それが不良債権のように溜まった結果退職に追い込まれてしまった事例です。裁量がある仕事のリスクは上手くいかなかったときにその責任を取る必要があることでしょう。最後に今回紹介した企業はいわゆるホワイト企業や世界的なグローバル企業など、学生が憧れる企業群でした。一見華やかに見え、「入社できたら理想の社会人生活を送ることができる。」と思うような企業でも、ビジネスモデル上の自分の役割や組織構造にミスマッチを起こし、退職する人がいます。このことから説明会などの表面的な情報以上に、より本質的な理解のうえで企業選びをすることが求められそうです。 26,641 views
企業選びの基準丨スタートが遅れた就活生が複数内定を得る方法 企業選びの基準丨スタートが遅れた就活生が複数内定を得る方法 こんにちは。大手金融、製薬内定のHです。今回は2カ月遅れで就活を始めた私が、どのような基準で企業の選考を受けたか、私のもつどのエピソードがどの業界に評価されたか、あるいは評価されなかったかなどを書いていきたいと思います。本記事のコンテンツ1.自分のもつエピソードと相性のいい業界・職種を考える2.他業界で使ったネタとそれを利用したエントリーの方法3.反省4.最後に1.自分のもつエピソードと相性のいい業界・職種を考える私の就活は特に時間が無かったので、とにかく効率よく内定を取ることを第一に考えていました。その上で私が選んだ方法は、「自分の持つ武器と相性のいい業界を中心に受ける」ということでした。私が主な武器として使っていた話は①「部活動で成績向上のために行った取り組み」②「イベントサークルで知識・経験が無いままリーダーとして過去最大の集客を目指した経験」③「ゼミでのハイペースな評論執筆活動」です。こうしたエピソードから特に抽出されるのは・目的達成能力・仕事への責任感・リーダーシップ・ストレス耐性の要素だと考えられます。そして、これらを組み合わせて「個人・チーム問わずノルマを厳しく課される環境」であれば私の能力が最大に評価されると判断して、業界の中でも企画などクリエイティブな能力よりも特に営業の成績を追究することが求められる、「金融(営業)」「製薬(MR)」を中心にエントリーをしていきました。主だったところだと【銀行】三菱東京UFJ銀行・三井住友銀行・みずほ銀行【証券】野村證券・大和証券・SMBC日興証券【損保】東京海上日動・三井住友海上・損保ジャパン【生保】日本生命・第一生命・住友生命【製薬】武田薬品工業・アステラス製薬・第一三共・協和発酵キリン・小林製薬などでした。やはり上記のような「個人で逆境を乗り越えた経験」「どのようにしてモチベーションを維持したか」「どのようにチームを巻き込んでいったか」の話題を中心に聞かれ、他業界の面接よりも面接官の反応は良かったように感じています。結果としてはこの2業界はブッキングして辞退したものを除いてだいたい3次面接までこぎ着け、3つ内定を得ることができました。上記各業界のエントリーシートはこちら自身の経験から志望動機を書いた生活の木内定者のES国際石油帝石内定者の回答明治内定者の回答2.他業界で使ったネタとそれを利用したエントリーの方法以前コラム(※)にも書きましたが、私は内定獲得の確率を高めるためにひたすらESを量産してエントリー数を増やす、という作戦を取っていたので、この他にも色々な業界を受けました。※【Hさん執筆記事】2か月遅れでスタートして複数内定を勝ち取った就活生の他人と差別化する3つの戦略上記以外に受けが良かった話は、「周囲を巻き込んで目標を達成するためのコミュニケーションの方法」「自分なりのチームプレーのあり方を考えるようになった経験」「広告作成の中で考えたインプットとアウトプットの比重の掛け方」などのネタだったと感じています。こうした自分の武器とも相性が良さそうだと感じて他に受けた業界は、【部活のエピソード】①チームプレーについての考え方→【総合商社】(三井物産・伊藤忠商事・住友商事・丸紅・双日など)②コミュニケーション→飲み会→【飲料】(アサヒビール・キリンビール・サントリー・サッポロビールなど)③食事とパフォーマンスの関係性→【食品】(キリンビバレッジ・アサヒ飲料・カゴメ・カルピスなど)④身につけるものとパフォーマンスの関係性→【衣料】(ワコール・三越伊勢丹・高島屋など)⑤日用品とパフォーマンスの関係→【化粧品・生活】(資生堂・花王・カネボウ・ユニ・チャームなど)【広告作成のエピソード】①広告・番組作成の経験→【マスコミ】(日本テレビ・NHK・テレビ朝日など)【広告代理店】(電通・博報堂・ADK)②Webサイト作成やWeb上での宣伝経験→【通信】(NTT東日本・NTTデータ・NTTコミュニケーションズ・NTTドコモ・KDDIソフトバンクなど)【IT】(サイバーエージェント・Yahooなど)【ゼミのエピソード】①評論製作、映画監督とのやりとりをした経験→【出版印刷】(大日本印刷・凸版印刷)といったところです。私はこうしてとにかく持ちゴマをひたすら増やすべく手広く受けましたが、結果としてESで落ちることは損保ジャパン・みずほ銀行くらいで済んだので、自分の武器から逆算して企業を考えるのはかなりアリなのではないかと思います。上記各業界のエントリーシートはこちら3.反省ただ、あまりに手広く受けたため、正直なところ研究の時間は追いつきませんでした。記念受験的になってしまったところも無いわけではありませんし、対策が間に合わなくて辞退した企業もあります。時間が無い中で効率的に分析する手法をきちんと用意していれば、あと少しでもOB訪問できていれば、可能性が広がっていたかも…と今になって思っています。この方法に興味をもたれた方は、効率を重視してエントリーの「量」を増やした後は、研究や練習によって面接の「質」を高めることに時間をかけて取り組むこと、それをもって私の屍を踏破して頂ければと思います。最後にスタートが遅れてしまった学生さんも多くいらっしゃると思います。正解例ではありませんが、本記事から何かご自身の就活のヒントが得られればと思います。長筆乱文となりましたが、最後まで読んで頂きありがとうございました。photobyMartialArtsNomad.com 53,059 views
大手企業がリストラの嵐~その背景・今後・就活生の行動指針を考察してみた~ 大手企業がリストラの嵐~その背景・今後・就活生の行動指針を考察してみた~ ここ最近、大企業による大規模なリストラや早期退職のニュースをよく目にします。実際に「大企業による直近2年間のリストラ・早期退職」を調べてみると、以下のような企業が確認できました。日産自動車→2023年3月までに世界の日産グループ従業員の10%、1万2,500人を削減すると発表。富士通→2018年10月に5,000人の従業員を配置転換し、そのうちの2,850人が退職。損保ジャパン日本興亜→2019年6月末、従業員4,000人を削減し、買収したワタミの介護人材に回すことを発表。※ここでは3社しか取り上げていませんが、後述でその他の企業も取り上げています。上記に挙げた企業はあくまでも一例にはなりますが、3社ともに「各業界を代表する大手企業」であり、"大手企業=安定している・リストラなどはめったにない"という認識を持っていた就活生は驚いたのではないでしょうか。各社でそれぞれ事情は異なるにしても、最近のリストラの嵐はここ数年間では見られなかった兆候ですし、上記3社の事例も氷山の一角に過ぎず、他の大手企業でも大規模なリストラ・早期退職が実施されています。今や「大手企業=安定している・リストラなどはめったにない」という神話はないに等しく、就活生の方もこういった事実をしっかりと認識しなければならないと言えるでしょう。そこで本記事では「直近の大規模リストラ・早期退職の実情」を解説していきたいと思います。"そもそもリストラや早期退職とは何か?"といった基本的な内容から、"各社や日本全体の実情・この実情を受けて就活生はどうすればよいのか"まで解説していきますので、ぜひ最後までご覧ください。本記事の構成そもそも「リストラ・早期退職・希望退職」とは何なのか?直近2年間で大規模なリストラ・早期退職を実施した大手企業全12社とその背景なぜ早期退職・希望退職に応募するのか?大手企業のリストラ・早期退職から読み解く日本社会の実情と今後この実情を受け、就活生はどうするべきなのか?まとめそもそも「リストラ・早期退職・希望退職」とは何なのか?「国内におけるリストラ・早期退職」の実情を解説する前に、まずはそもそもの概念・意味を紹介します。違いが分からずによく混合されてしまう「リストラ・早期退職・希望退職」ですが、簡単に説明すると以下のように定義づけることができます。リストラとは英語の「Restructuring」の略語であり、本来の意味は「再構築」です。ビジネス上の意味(本記事での意味)としては、「企業都合により、人員削減の手段として行う解雇のこと」を指します。早期退職とは「定年を迎える前に退職となること」を指します。早期退職はリストラと混合される場合が多いのですが、その違いは"強制力の有無"に集約されます。リストラは「企業都合による解雇であり、従業員の意思は考慮されない」という特徴があり、早期退職は「定年を迎える前に退職となることであり、従業員の意思で行う場合がほとんど」という違いがあります。希望退職とは「企業が従業員の主体的な退職を募る仕組みのこと」を指します。希望退職は早期退職の内の一つではありますが、早期退職と希望退職は"退職の目的・利用時期"に違いがあります。具体的に説明すると、希望退職は「企業の業績が悪くなり、従業員の人件費削減などを目的として行われるもの」であり、一方で「企業の業績とは関係なく、人件費削減や従業員の若返りを促すために行われるもの」を一般的には早期退職と呼びます。(「選択定年」と呼ばれることもあります)また、希望退職は「企業都合で一時的に募集する制度であるため、希望者の年齢などに特に制限はない」という特徴があり、一方で希望退職を除く早期退職(選択定年)は「一定の年齢以上であることが条件とされていることが多く、その決められた年齢に達していなければそもそも応募することができない」という違いがあります。直近2年間で大規模なリストラ・早期退職を実施した大手企業全12社とその背景「リストラ・早期退職・希望退職」の意味や違いを理解したところで、"実際にどのような大手企業が大規模なリストラ・早期退職を実施したのか"を見ていきます。筆者の調べた範囲内にはなりますが、以下のような企業が実施・発表をしたようです。(本記事では、直近2年間を2017年末~2019年末という定義で記載しています)日産自動車→2023年3月までに世界の日産グループ従業員の10%、1万2500人を削減すると発表。富士通→2018年10月に5,000人の従業員を配置転換し、そのうちの2,850人が退職。東芝→2018年11月、東芝・東芝エネルギーシステムズ(ESS)・東芝デジタルソリューションズ(TDSL)の3社で1,060人の早期退職を募集し、結果的に823人の従業員が早期退職に応募。また、2019年5月に東芝デバイス&ストレージ(TDSC)でリストラが発表され、350人の早期退職枠に対して414人もの従業員が応募。NEC(日本電気)→2018年11月、45歳以上で勤続年数5年以上の従業員を対象に実施した希望退職に2,170人が応募したと発表。富士ゼロックス→2018年上半期、全世界で1万名もの大規模なリストラを敢行。損保ジャパン日本興亜→2019年6月末、従業員4,000人を削減し、買収したワタミの介護子会社に回すことを発表。みずほフィナンシャルグループ→2017年末、グループ全体で1万9000人の従業員をリストラすると発表。三菱UFJフィナンシャルグループ→2017年末、グループ全体で9,500人分の業務量を削減すると発表。三井住友フィナンシャルグループ→2017年末、グループ全体で4,000人分の業務量を削減すると発表。その後の2019年5月、当初の計画から5,000人弱分に増える見通しであると再度発表。キリンホールディングス→2019年10月~11月にかけ、傘下であるキリンビール・キリンビバレッジ・メルシャンで5,000人規模の人員再配置を実施。日本ハム→2018年10月、45歳以上の従業員を対象に全従業員(子会社への出向を含む)の約1割にあたる200人を上限に早期退職者を募ると発表。結果的に当初の募集人員を超える213人が応募。アステラス製薬→2018年度に日本国内で実施した早期退職優遇制度に約700人が応募し、その結果国内のMRの人数は2,000人前後になったと発表。上記で取り上げた企業はいずれも日本を代表する大企業ばかりであり、それゆえにリストラ・早期退職の人数も何千・何万というかなり大きな数字となっています。例年、就活生からの人気が高い企業も多く該当しており、「こんなにリストラしてるの!?」と改めて驚いた方も多いのではないでしょうか。数字(リストラや早期退職の規模)だけを見てもイメージはつきにくいかと思いますので、各社の背景をそれぞれ紹介していきます。各社のリストラ・早期退職の背景【日産自動車】カルロス・ゴーン(元CEO)に関する問題や世界各地で収益が悪化した結果、近年の業績不振を立て直すための生産体制の見直し・人員整理をするため、リストラを敢行。【富士通】成長領域のITサービスなどを強化し、間接部門の効率化を目指す「成長に向けたリソースシフト」の一環として希望・早期退職の募集を実施。【東芝】収益力強化に向けた構造改革計画の一環で希望退職・早期退職の募集を実施。【NEC(日本電気)】固定費削減による収益構造改革の一環として人員整理をするため、希望退職という名のリストラを実施。【富士ゼロックス】業績が悪化しているというわけではなく、比較的安定して推移しているが、今後雲行きが怪しくなっていくと予想した結果の大規模なリストラだと言われている。おおまかな目的は経費の削減。【損保ジャパン日本興亜】IT活用による事業の効率化の影響で、国内従業員を4,000人削減する施策を実施し、買収したワタミの介護子会社に配置転換を実施。この報道が出た際は賛否両論の意見が飛び交い、「いわば新たなリストラ手法」とも言われた。【みずほフィナンシャルグループ】【三菱UFJフィナンシャルグループ】【三井住友フィナンシャルグループ】RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)導入による業務の効率化、店舗網の大幅な縮小の影響による人員削減のため、大規模なリストラを敢行。※RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション):デスクワークなどの一連の事務作業を、PC内のソフトウェア型のロボットが代行・自動化すること。【キリンホールディングス】2018年度通期決算で過去最高益を達成したにも関わらず、早期退職を実施。他社のリストラの要因(業績悪化による人員削減など)とは少し異なり、業績が好調なうちに従業員の整理を行い、さらなる成長や事業展開を図ることが狙い。【日本ハム】今後、既存事業の効率化による収益性の強化を進めていくにあたり、従業員構成を適正化させるために早期退職の応募を実施。選択定年制度を限定的に拡充する形を取った。【アステラス製薬】薬価の引き下げや後発医薬品(ジェネリック医薬品)の普及などの影響で国内の事業環境が厳しくなり、従業員(MR)の人数を削減するために早期退職を実施。上記に記載した通り、各社でそれぞれリストラ・早期退職を実施した要因は異なりますが、同業界の中ではある程度共通点があるように感じます。そしてその要因は以下の2種類に大別されると考えられます。業績の悪化・規模の縮小により、人員削減・人員整理をする必要があるため。業績の良し悪しに関わらず、生産性向上・組織や制度の変更を促進するため。業績悪化・規模の縮小により、人員削減・人員整理をする必要があるため。こちらの要因に関しては、「富士通・東芝・NEC(日本電気)・富士ゼロックスといったハードウェアメーカー業界」の事例が挙げられます。ハードウェアメーカー業界の大規模なリストラ・早期退職は、"主力事業であるハードウェア製品の不調"が主な要因とされています。上記の企業でもソフトウェア領域は特に不調というわけではなく、ハードウェア領域の業績不振による人員削減という側面が大きかったと言われています。また、「みずほフィナンシャルグループ・三菱UFJフィナンシャルグループ・三井住友フィナンシャルグループの3大メガバンク(銀行業界)」の事例もこちらのパターンに該当されるでしょう。上記でも記載したように、銀行業界のリストラは"RPA導入による業務の効率化"が主な要因とされています。新卒採用人数も年々減らしている3社ですが、メガバンク以外でも地方銀行が続々と統合を進めており、銀行業界全体として苦戦していることは間違いないでしょう。業績の良し悪しに関わらず、生産性向上・組織や制度の変更を促進するため。こちらの要因に関しては、2018年度通期決算で過去最高益を達成したにも関わらず早期退職を実施した「キリンホールディングス」の事例が該当します。上記で取り上げた12社の大半は前者の要因に該当するのですが、いまや「リストラ実施企業の3社に1社が業績好調な企業」であり、今回のキリンホールディングスの事例もそこまで珍しいものではないようです。そして今回のキリンホールディングスの事例であれば、"①バブル世代の退出を促す②若手への投資を進めて新陳代謝を図る③従来の人事・評価制度の改革を進める"などが早期退職の要因とされています。こういった要因による早期退職のことを「先行実施型の早期退職」とも呼び、「業績が好調な企業が財務的な余裕のあるうちに人員整理を進めるケース」は増えているようです。【参考】【BUSSINESSINSIDER】リストラ数は6年ぶりに1万人超え。業績好調でも早期退職者を募集する理由【ダイヤモンド・オンライン】キリンが早期退職を実施、過去最高益なのにリストラ着手の裏事情【スクープ】本記事で取り上げた12社の情報は下記の記事の内容をもとに作成しました。【参考記事】【産経ニュース】日産、世界で1万人超削減へ(2019.7.24)【日本経済新聞】富士通、2850人が早期退職営業・エンジニアに配転も(2019/2/19)【東芝プレスリリース】構造改革に伴う早期退職優遇制度の実験結果及び東芝デバイス&ストレージ株式会社における早期退職優遇制度の実施について(2019年5月13日)【NECプレスリリース】特別転進支援施策の実施に関するお知らせ(2018年6月29日)【SankeiBiz】富士ゼロックス1万人削減米社と経営統合(2018.1.31)【日本経済新聞】損保ジャパン、国内4000人削減IT活用で効率化(2019.6.24)【日本経済新聞】みずほ、店舗2割削減へ12%減益で1.9万人削減発表(2017/11/13)【Businessjournal】三菱UFJ銀行、1万人削減へ…業務を人からシステムに置き換え、従来型モデルが限界(2017.11.01)【時事ドットコム】業務量削減、5000人分に拡大=IT活用で自動化加速-三井住友FG(2019年5月22日)【時事ドットコム】キリン、希望退職募集=枠設けず、組織若返り狙い(2019年9月27日)【日本経済新聞】日ハム、45歳以上の早期退職募集(2018/10/31)【アステラス製薬プレスリリース】国内事業再編に関するお知らせ-アステラス製薬および国内グループ会社再編と早期退職優遇制度の導入-(2018年5月22日)なぜ早期退職・希望退職に応募するのか?これまで、「直近2年間で大規模なリストラ・早期退職を実施した企業とその背景」を紹介してきました。各社ともかなり大規模なリストラ・早期退職を実施したことが読み取れたと思いますが、早期退職と希望退職に関し、以下のような疑問を持った就活生の方もいたのではないでしょうか。普通に考えて定年まで勤め続けた方が良くない?多額の退職金をもらえるとしても会社に居続けたほうがメリットはあるでしょ?なぜわざわざ早期退職・希望退職に応募するのかが分からない。そこで続いては、上記のような疑問に対するアンサーとして、「早期退職や希望退職の背景」を具体例を挙げながらもう少し紐解いていこうと思います。早期退職・希望退職のカラクリと実情本記事の冒頭で「早期退職と希望退職は強制力がなく、従業員の意思に基づいて実施される」という紹介をしましたが、これには裏事情がある場合があります。結論から述べると、"早期退職や希望退職は100%従業員の意思に基づいて実施されるものと言えど、「早期退職(希望退職)or出向や降格」などの二者択一を迫られている場合がある"ということです。つまり、"downorout"を迫られていると言うこともできます。また、企業側は対象とする社員をあらかじめ選別している場合も往々にしてあり、リストラとほぼ同義であるとも読み取ることができるでしょう。実際に具体例を挙げるのであれば、以下のような実例が確認できました。早期退職を断ったら出向にするといわれたある製薬会社に勤めています。50歳の正社員です。私の働く部門が外注になり業者が入ってきました。私は上司から呼び出されあなたのやっている仕事を業者に教えてもらえないかと頼まれました。私は上司の頼みを引き受け、業者に自分の仕事を教え始めました。そのとき、会社は早期退職の募集を募り始めていました。ある日私は直属の部長に呼ばれました。あなたのやっている仕事はこれから業者にやらせます。したがってあなたのやる仕事はこれからありません。と言われました。そしてパッケージなるものを示されました。そのパッケージには次のことが書かれていました。1会社都合による退職。2特別退職金の支給。3再就職支援会社の無料利用です。面談が始まり何回もパッケージに応ずるよう圧力がかけられました。けして会社をやめなさいとは言わないのですが、あなたのスキルを活かす場所はこの会社にはもうありません。と何度も繰り返し言われました。今日は三回目の面談でした。早期退職に応じるつもりはないといいましたら、もしあなたが早期退職に応じなければ会社はあなたを今度入った業者に出向にします。と言われました。出向は会社命令であなたには断ることは出きない。と部長はいいました。出向とはどのようなものでしょうか。そして私は出向を断ることは出来ないのでしょうかどうかよろしくお願いいたします弁護士ドットコム:労働上記の実例は「とある製薬会社に勤めている50歳の正社員が早期退職を促す圧力をかけられ、早期退職をしなければ出向させると脅された」というものになります。これはあくまでも一つの例にはなりますが、上記のような事例は決して珍しくなく、早期退職のカラクリとして存在している事象なのです。※本記事の冒頭で「直近2年間で大規模なリストラ・早期退職を実施した大手企業全12社」を取り上げましたが、これらの企業が上記のような事例に当てはまるという意味ではありません。「早期退職・希望退職を実施している企業は全てこのような実情に基づいている」という訳ではありませんが、このような実情・カラクリが存在することも認識していただければと思います。大手企業のリストラ・早期退職から読み解く日本社会の実情と今後ここまで、「企業ごと・業界ごと」という観点から実情・背景を紹介してきましたが、続いてはもう少しマクロな視点から考察していきたいと思います。先ほど紹介したリストラ・早期退職の背景を受け、「現在の日本社会の実情・今後起こり得るであろう変化」は以下の2つに集約されると考えられます。定型業務・事務系業務などがロボット・IoTに代替される可能性がある日本特有の終身雇用制度が崩壊する上記2点に関しては巷でもよく言われている内容だとは思いますが、結論「この2点に集約される」と言えます。定型業務・事務系業務などがロボット・IoTに代替される可能性があるIT社会化が急速に進行していることで、これまで人間の手で請け負ってきたいくつかの業務がロボット・IoTに代替される可能性があります。その中でも、いわゆる「定型業務・事務系業務」と言われる業務が主に代替されると言われています。実際にそのような予測もいくつか発表されており、人材会社「エン・ジャパン株式会社」が2017年に発表した「AIに代替される仕事/されない仕事」についてという資料には以下のような調査結果が示されていました。Q.現在ミドル世代が就業している職種の中で、AIに代替されて、なくなると予想される職種を教えてください。【1位】経理・財務・会計系:42%【2位】秘書・アシスタント・一般事務系:41%【3位】コールセンター:37%【4位】人事・総務系:32%【5位】会計士・税理士:28%Q.AIに代替され、なくなるであろう職業が多いであろう「業種」を教えてください。【1位】IT・インターネット:41%【2位】コールセンター:41%【3位】金融:34%【4位】メーカー(コンピューター・通信系):30%【5位】メーカー(機械・自動車・メカトロ):27%【引用】ミドルの転職:「AIに代替される仕事/されない仕事」について(2017年版)※アンケート実施期間:2017年11月22日~2017年11月28日/有効回答数:181名上記の調査結果は一部を抜粋したものにはなりますが、このデータを見れば「メガバンクなどの金融業界の企業が、リストラや早期退職の実施で人員を削減・整理している実情」が理解できるのではないでしょうか。また、「IT・インターネットやメーカーといった業種」もAIに代替されやすい業種と予想されています。IT業界やメーカーといえば今でも就活生からの人気が高い業界ではありますが、競争が激しい業界であるがゆえに変化が激しく、今後のAIやIoTの導入にも積極的であるため、上位にランクインしたのだと考えられます。IT・インターネット業界は競争が激しいと言われているため、大手・中小・ベンチャー問わず"10年~20年先の姿は誰も正確には予測できない"と言っても過言ではないでしょう。日本特有の終身雇用制度が崩壊する「終身雇用を守るのが難しい」2019年5月にトヨタ自動車社長の豊田社長が発したこの言葉を、ご存知の方も多いのではないでしょうか。また同時期に、経団連の中西宏明会長も「終身雇用を続けるのは難しい/終身雇用は制度疲労」などという発言をしました。日本のトップとも言える企業の社長と経団連のトップがこういった趣旨の発言をしたということは、"日本特有の終身雇用制度の崩壊はすぐそこまで近づいている"といっても過言ではないでしょう。この両者の発言の趣旨・真意を考察することは本記事の趣旨と少し異なるため、ここでは割愛させていただきますが、もはや"新卒一括採用やメンバーシップ型雇用が当たり前"という状況はなくなるでしょう。(実際にベンチャー企業やIT企業などでは、こういった状況は見られなくなっています)本記事で取り上げた企業のリストラに関しても、「終身雇用前提で入社したのにまさか自分が!?」と思った従業員の方も多いでしょうし、この雇用制度の変化に関しては、大企業・中小企業問わず例外ではない事象でしょう。【関連記事】実際に10~20年前であれば、メガバンクやハードウェアメーカーは業績も好調であり、就活生の人気企業ランキングでも上位に名を連ねていました。しかし現在(2019年)では、「大規模なリストラ・早期退職を実施しなければいけない」という状況に陥っており、就活生からの人気も年々下降傾向にあります。ただ、本記事では別に「こういった業界・企業は今後も大規模なリストラを継続する可能性が高く将来性がないため、就職を考え直したほうが良い」ということをお伝えしたいわけではありません。ここでお伝えしたいことは、"こういった変化はもはや業界・企業規模など関係なく起こり得る事象である"ということです。実際に10~20年前に「メガバンクやハードウェアメーカーが現在のような状況に陥る」と予想していた方はごく少数だったと思いますし、こういった事象は「外的要因×内定要因」で起こり得るものであるため、いくら頑張って予想したところで100%当たることはまずありえません。ただ、"そういった事象に遭遇するリスクを減らすことは可能"だと考えています。そこでここまでの内容を踏まえ、「こういった実情を就活生はどう受け止めるべきなのか?そのリスクを減らすにはどうすればよいのか?」という観点の話を最後にお伝えしたいと思います。この実情を受け、就活生はどうするべきなのか?結論からいうと、"自分の市場価値を高め続け、会社から必要とされる人材になる"という内容に集約されます。人材市場価値(じんざいしじょうかち)とは、ビジネスパーソンをベースとした人材の市場における価値である。今日のようなネットワーク社会において、「井の中の蛙、大海を知らず」ではもはや勝ち残れない。社内だけでなく、社外(市場)で通用するかどうかを確認する指標(データ)として、組織人材分析や企業内研修等で活用されることが多い。また、就職・転職する際に、転職候補者の推定年収を算定する際にこの言葉を用いることが多い。【引用】ウィキペディア(Wikipedia)自分自身の市場価値が魅力的なものであれば、例え働いている企業が不景気になったところでより良い条件で転職できる可能性は高まりますし、そもそもリストラや早期退職(マイナスな側面での)に該当する人材になることもないでしょう。その一方で、この市場価値という言葉は"ある種のマジックワード"のように感じます。就活生の中でも「市場価値を高めたい!」ということをESや面接で述べる方は一定数いるかと思いますが、ほとんどの就活生は「自分の中での市場価値の定義」を理解しないまま、この文言を使っているのではないでしょうか。そこで、上記のような就活生や、「そもそも市場価値を高めるには?」という部分に疑問を持っている就活生に向け、"市場価値"というものを分解してみようと思います。「市場価値」を考察していくにあたり、ベストセラー書籍である『転職の思考法(著:北野唯我)』の内容を参考にさせていただくと、市場価値(マーケットバリュー)は以下の3つの要素の掛け算で決定されます。技術資産人的資産業界の生産性技術資産技術資産は「他の会社でも通用する技術的蓄積」と定義づけられます。その中でも、職種に紐付く「専門性」と職種に紐付かない「経験」の2つに分けられると書籍で述べられています。具体例を挙げるのであれば、専門性の技術資産は「営業やマーケティング」、経験の技術資産は「マネジメント経験や業界経験」が該当されるでしょう。人的資産人的資産は、言い換えるならば「人脈」と定義づけられます。業界の生産性業界の生産性は、言い換えるならば「その業界にいる人間が、平均一人当たりどれほどの価値を生み出しているか。」、より簡潔に言うと「一人当たりの粗利」と定義づけられます。そしてこの3つの要素の内、この業界の生産性が「市場価値に最も大きな影響を与える」と述べられています。業界の生産性は産業別(業界別)で大きく異なるため、より市場価値を高めたいのであれば「生産性の高い業界を選択する」というのは非常に理にかなっていると言えるでしょう。市場価値を高めたいのであれば、この3つの要素に「業界の成長性」を加味する上述した「(1)技術資産(2)人的資産(3)業界の生産性」は市場価値を構成する要素になりますが、この市場価値をより高めたいのであれあば、"成長している業界に身を置けるか、つまり「業界の成長性」"も考慮するべきだと述べています。【成長している業界とは】業界全体として「市場規模」が拡大している業界。というのも、成長している業界で働いたか否かによって「経験の技術資産の価値」が大きく変わるためです。成長している業界(成長の見込みがある業界)は、「今後同業界に参入してくる企業が多く、その上で各社は経験を積んだ社員を雇いたい」というニーズがあります。経験の技術資産に「業界経験」が該当すると上述しましたが、このことから「成長している業界で経験を積むことは、それだけで自身の市場価値に大きな影響を与える」ことが理解できるでしょう。【参考】転職の思考法(著:北野唯我)上述した内容を踏まえれば、「自分の市場価値を高め続け、会社から必要とされる人材になるためのイメージ」が少しは湧いたのではないでしょうか。「ファーストキャリアはとにかく成長している業界に行きなさい!」ということを伝えたい訳ではありませんが、市場価値を高めたいと考えている就活生にとっては、「業界の生産性・成長性」を考慮することは必須かもしれません。「リストラはもはや業界・企業規模など関係なく起こり得る」という現代において、それに遭遇するリスクを減らすのであれば、"どういった業界に身を置き、どのように自身のスキル・魅力を高めていくか"を就活生の内から考えておくべきでしょう。【関連記事】まとめ本記事では、直近で大規模なリストラ・早期退職を実施した大手企業とその背景の紹介に始まり、そこから読み解く日本社会の実情と市場価値とはという内容までを紹介しました。本記事を一通りご覧いただいた方はこういった実情を知り、どのような感想を持ったでしょうか。今や、日本を代表する大手企業でも「大規模なリストラ・早期退職」はそこまで珍しいものではなく、就活生の方もこういった実情を「他人事のように捉えてはいけない」ことが理解できたのではないでしょうか。ただ、改めてにはなりますが、「上記で取り上げたような大規模なリストラを実施している業界・企業は避けるべきだ!成長している業界(成長の見込みのある業界)に絶対行くべきだ!」などといったことを本記事を通して伝えたかった訳ではありません。"現在の日本社会(大手企業)の実情をどのように捉え、その上でどのように自身の行動に落とし込んでいけばよいか"ということを見つめ直す機会を提供することで、"納得のいく企業選び・自らの理想とするキャリアステップ"に近づいてもらえればと思い本記事を執筆しました。本記事を通じ、何か一つでも得るものがあったのであれば幸いです。【関連記事】 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東京一工出身の元就活生が語る、短時間で手間をかけずに大手企業に内定する方法【unistyle24卒インターン生就活体験談vol.5】 東京一工出身の元就活生が語る、短時間で手間をかけずに大手企業に内定する方法【unistyle24卒インターン生就活体験談vol.5】 こんにちは。大手デベロッパー会社内定の24卒です。突然ですが、「就活なんてできることならしたくないし、時間も取られたくない」と思ったことはありませんか?なるべく短時間で、効果的に選考を勝ち残る方法があればいいのに、、、と思っている方が多いのではないでしょうか。本記事では、大学院生活と両立しながら、「パクる」就活をして、短期間で内定をいただいた体験をもとに、効率的に大手企業に内定する方法や、各選考の対策法を解説します。コスパの良い就活をしたい人、大手にはいきたいけど就活に時間をかけたくない人必見です。関連記事本記事の構成筆者のプロフィール「パクる」就活をすれば、誰でも成功できる!大手デベロッパー内定者が実践した選考対策~ES編~大手デベロッパー内定者が実践した選考対策~WEBテスト編~大手デベロッパー内定者が実践した選考対策~GD編~大手デベロッパー内定者が実践した選考対策~面接編~「パクる」就活を意識した結果最後に筆者のプロフィール私のプロフィールは以下の通りです。◆大学:東京一工の理系院生◆アルバイト:塾講師◆性格:慎重派、緊張しやすい、めんどくさがりだけど完璧主義◆志望業界:不動産、コンサル◆現在:大手不動産会社から内定を獲得し、入社予定「パクる」就活をすれば、誰でも成功できる!「ESの文章が思いつかない」「面接しても自己流だとうまくいかない」など、就活をしていると、今まで以上に、「自分で文章を作成して人に魅力的に伝える」という能力を求められ、悩むことも多いと思います。苦手に思う人も多いのではないでしょうか。(私はとても苦手ですし、嫌いでした。そもそも1から文章を作成するのも選考対策するのもめんどくさい。。。)しかしこの能力は、他人を「パクる」ことで補填できます。他人の文章を「パクる」、他人の考えを「パクる」、他人の就活を「パクる」など、就活をする上で、他人の成功事例ほど参考になるものはありません。以下では、私が、どのように真似をして、効率よく、完成度の高い就活をすることができたかを各選考ごとに紹介します。選考を通らず悩んでいる人や、選考に向けて準備をしたい人は是非参考にしてください。大手デベロッパー内定者が実践した選考対策~ES編~「ガクチカや自己アピールが思いつかない」「いざ書いてみると冗長な文章になってしまう」という悩みを持っている人向けに、おすすめしたい「パクる」対策法は大きく分けて以下の2つになります。人の文章をパクる先輩の経験をパクるそれぞれ詳しく解説していきます。他人の文章をパクるunistyleやワンキャリアなどの就活サイトで、過去の就活生が投稿したESを探し、パクるというものです。ここで、ポイントを3つ紹介します1)文章をまとめることが苦手な人や、時間がない人におすすめ⇒自分と似たような経験や性格・志望動機を書いている人の文章を参考にして、ESを作成する実際の就活では、ESを参考にして面接で質問を聞かれることになるため、深堀りされても答えられるように、実際に経験したことや感じたことを織り交ぜてESを作成する必要があります。そのため、就活サイトからESを探す際には、「自分と似たような経験や考え方を持っている」人の文章を見つけ、コピーして改変していました。2)より魅力的に伝わるESを作りたい人におすすめ⇒同じ人の文章だけでなく、様々な人の文章を混ぜる<多くの人のESを見て、魅力的に感じたフレーズや文章を書きだし、それらをまとめて自分の文章にしていました。自分だけではキャッチーな言い回しが思いつかなかったこと、同じ人の文章をそのままコピーするとその人独自の癖が表出してしまうことを懸念し、いろいろな人のいいところを合わせてしまおうと考えました。文章をまとめる際には、様々な人の文章をあわせることで、統一感がなくならないように、多少書き直しを行いました。3)発想力に自信のない人におすすめ⇒(特に新規事業立案系の問に対して、)過去ESの案のみをもらう新規事業立案やキャッチフレーズなどの発想力を求められる質問は、思いつくまで時間がかかるし、思いついても粗野なものになってしまいがちです。だからと言って、過去のESをコピペしたところで、同じようにまねて書いた人や過去のESの内容と同じになってしまい、悪印象を与えるのではないか、とも考えてしまいます。そこでおすすめなのが他人の案をもとに1→10を作り出すやり方です。私は、過去の就活生のESを見て、いいなと感じた案を頂戴してブラッシュアップしたり、何人かの案を合わせて一つの案を作ったりしていました。0から作り出すのではなく、他人の意見を踏み台にして自分の案を考えることで、短時間でより魅力的、かつ考え込んだように見える案を作ることができます。先輩の経験をパクる就活生当時は、似た経験を持つ先輩に、ESを添削してもらい、ESの書き方や人事に響くポイントを教えてもらっていました。添削してもらうのと、してもらわないのでは、ESの中身の充実度が変わります。実際、添削してもらったことで、より伝わりやすく論理的で簡潔な文章を作ることができ、その結果、ESで落ちたことはほとんどありませんでした。先輩が得てきた就活での経験は、自分が就活するうえでも大いに役に立ちます。特に、ガクチカが似ていたり、志望動機が似ている先輩からアドバイスをもらえると、自分の考え方に合った、より効果的なブラッシュアップができます。関連記事大手デベロッパー内定者が実践した選考対策~WEBテスト編~まず、前提として、私のWEBテストの得意不得意を説明します。私は、理系ということもあり、特に言語に苦手意識を持っていました。特に、テストセンターの語彙問題が苦手で、なかなか満足のいく結果が得られず、計3回挑戦しました。そこで今回は、「非言語が苦手」、「問題集の問題は解けるが、本番の問題は苦手に感じる」といった悩みを持っている人向けに、大きく分けて二つの対策法をおすすめします。受験時に自信がなかった問題を暗記し、後で調べる先輩が実際に解いた問題を教えてもらう以下で詳しく解説します受験時に、自信がなかった問題を暗記し、後で調べるテストセンターを実際に受けていると「わからない」と感じる問題を見かけることもあると思います。加えて、テストセンターでは問題が使いまわされるため、同じ問題に再びぶつかってしまうこともあるでしょう。したがって、「受験時に見たけどわからなかった」問題を覚えて、受験後に調べておけば、次出た時は完璧にこたえることができます。実際、以前の受験時に学習しておいた問題が出て、自信をもって答えることができましたし、その結果納得のいく出来栄えになり、夏前にWEBテスト対策を終了することができました。問題集を解いて対策する、というのも一つの方法ではありますが、問題集に掲載されている問題がそのまま出るとは限りません。特に語彙問題が苦手な人は、実際に出た問題を覚えて学習するのが効率的な学習方法だと思います。先輩が解いた問題を教えてもらう上記対策同様、実際に出題された問題を参考に勉強するのが最も効率的であると考え、こちらの方法を用いて勉強していました。過去に出題された問題は、就活生の間で出回る解答集に記載されていることもありますので、よく探してみてください。関連記事大手デベロッパー内定者が実践した選考対策~GD編~グループディスカッションを経験する中で、人事部に評価される段階は二つあると、私は感じました。まず、話すことグループの議論に貢献すること話すことGDというのは、ネガティブチェックです。特に日系企業の選考ではネガティブチェックの傾向が強く、議論中に、「話していない人」や「話しても論点がずれてグループメンバーに理解してもらえない人」は一定数存在し、そのようなタイプの人が落ちると感じました。GDで落ちないために、最低限大事なことは「話すこと」です。多少なりとも話していれば、選考を通過する可能性は十分にあります。議論に貢献する上記「話すこと」に加えて、GDでは「グループの議論にどれだけ貢献したか」を評価されます。つまり、「はい」「いいと思います」とただ賛同を表明するだけでは価値がなく、「違う」と感じたことや「こうしたほうが上手くいくのではないか」と思ったことを発信する図々しさを持つことが大切です。これら二つの評価ポイントを理解した上で、GD選考が上手く通らないと感じる人は、うまいと思う人の立ち回りを真似して、自分がやりやすいポジションを探しましょう。やりやすいポジション、というのは「話す量が適切(6人グループで半分程度が受かると仮定すると、約3割)」になるようなポジションのことです。例えば、私の場合ですと、性格上話過ぎてしまうため、話過ぎそうなファシリテーターや、逆に話すタイミングを失いそうな書記は向いていないと感じ、タイムキーパーを積極的に勤めていました。そして、以下の流れで、議論への貢献と協調性をアピールしていました。タイムキーパーとして立ち回る手順①最初はおとなしくして、適宜、残り時間や議論の進行状況をアナウンス②①のタイミングで徐々に議論をまとめ、軸を作る③後半にかけて議論のイニシアチブをとるこのやり方は、議論への貢献度合いの高さをアピールできるうえ、独りよがりになりすぎずメンバーの意見も尊重できると考えています。実際GD選考は全て通過しました。関連記事大手デベロッパー内定者が実践した選考対策~面接編~「面接でどんな質問をされるか」、「自分の回答は質問に対して十分に答えられているか」といった不安を感じている方は以下の二つのポイントをしっかり抑えましょう。質問を徹底的に把握しておくこと解答を準備し、ブラッシュアップしておくこと聞かれる可能性の高い質問を把握質問を事前に把握し、準備しておけば、慌てることなく、簡潔な回答を、面接官に話すことができます。主に以下の3つの手段を用いて、質問を網羅的に把握していました。1)unistyleの選考レポート・ONECAREERなどの就活サイト過去に就活生が聞かれた質問を見ることができますので、それらの質問をリストアップしておきましょう。本命以外の企業でも同様に準備して使いまわせば、志望動機や企業独自の質問などもある程度網羅できます。2)インターンや早期選考で聞かれた質問インターンや早期選考などでは、ガクチカ、自己PR、志望動機など基本的な質問を聞かれることが多いです。事前の選考での質問を面接後にメモし、あとでまとめておくことで、面接での定番質問を網羅することができます。加えて、どのように答えたら、どのように深堀りされたかも記載しておくと便利です。面接の深堀では、会社問わず同じことを聞かれる可能性が高いため、自分なりの質問リストを作成することで、後の面接でも役立てることができます。3)SNSSNS上の投稿では、上記二つで収集した質問集を、画像等を用いて簡単にまとめています。見やすさやわかりやすさを意識する人はこれらのツールを用いて探してみるとよいと思います。回答の準備上記方法で質問をある程度準備できたら、本命以外の企業の面接で、回答に不足がないかチェックすることをお勧めします。チェックする際のポイントは二つあります。答えた時の面接官の反応答えたあとに聞かれる質問これら二つから、何を聞きたいのか、何を重要視しているのかを推察すると、面接における自分の回答の方向性を考え修正することができます。面接官の反応も深堀りの質問も想定内であった場合、自分の伝えたい内容が伝わっていると考えられますが、想定外だった場合は自分とは違うポイントを重視していると考えることができます。その場合、深堀りされた質問の回答を事前に考えたり、自分の想定している質問に誘導できるように伝え方を工夫したりする必要があります。二つの対策法を紹介しましたが、どんなに準備していても、面接官の反応が読み取れず不安になってしまったり、想定外の質問がきてしまったりする場合はあります。その時は自分のやってきた準備を信じて、自信をもって堂々と答えることが大事です。関連記事「パクる」就活を意識した結果これまで説明してきた「パクる」就活を実践した結果、ES・WEBテスト・GDに関してはほぼ100%通過し、コンサル2社・金融1社・大手デベロッパー1社の内定をいただいて終活しました。また、当初は就活なんてめんどくさいと思っていましたが、「パクる」就活を用いて就活に充てる時間を少なくした結果、研究生活も、バイトも、遊びも、長期旅行も充実させることができたと思います。最後に就活は自分の個性を見せていく場ですが、個性がなくても、アピールすることに慣れていなくても、「どのようにアピールすればうまくいくのか」は過去の知見で定まっています。だからこそ、過去の先輩方の就活や同期の就活への意識が高い人を参考にして、自分のアピール方法を定めていくことが効果的かつ効率的な就活方法です。「就活はめんどくさいけど大手にはいきたい!」「ほかのことにもっと時間を費やしたい!」「文章書くの苦手だしめんどくさい!」と思ったことが一度でもある就活生は、今回説明した「パクる」就活をぜひ「パクって」みてください。この記事を参考に、納得のいく就活ができることを願っています。 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