「差別化」を狙い加速する通信キャリア大手3社のベンチャー支援

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最終更新日:2023年10月26日

「差別化」を狙い加速する通信キャリア大手3社のベンチャー支援

以前unistyleでは大手通信キャリア業界3社の比較記事である「NTTドコモ・KDDI・ソフトバンクの事業・社風・選考比較」の記事を紹介しました。そちらでは主に収益のメインとなるような事業の比較を行いましたが、今回は各社が積極的に展開しているベンチャーとの連携についてフォーカスして紹介したいと思います。

今日、同質化が進んでいる通信キャリア3社は「差別化の決定打」となるような新たなサービスを模索している最中であり、新規事業創出などの目的で積極的にスタートアップ支援やベンチャーキャピタルの事業に取り組んでいます。

例えば、業界の中でも特に積極的にベンチャーとの連携を図っているKDDIはパートナーの大企業と共に新たなスタートアップ支援の枠組みを開始しており、様々な企業のノウハウや資産を活用し、スタートアップが急成長できる支援を展開しております。

また、NTTドコモもKDDIに続いて2013年にスタートアップ支援の体制を整え、NTTグループでのベンチャー投資をドコモに集約・再編し「NTTドコモ・ベンチャーズ」を設立しました。

今回は通信キャリア3社について、それぞれのスタートアップ支援に関する動向について紹介していきたいと思います。同業界を志望する学生であるならば、企業研究の1つのポイントとしても各社の挑戦的かつ新たな取り組みを知ることは選考を受けることにおいても重要になってくるのは間違いないと思うので、是非参考にして下さい。

本選考とインターンの締め切り情報

NTTドコモ

先程紹介したとおり、NTTドコモ・ベンチャーズはNTTドコモの100%子会社としてCVC(コーポレートベンチャーキャピタル)運営やベンチャー企業支援プログラム等を展開しています。

その事業の柱は大きく分けて2つあり、ひとつ目はベンチャーキャピタルの運営であり、ふたつ目はベンチャー支援プログラ"ドコモ・イノベーションビレッジ"の運営です。ドコモの100%子会社ではあるものの、NTTグループ全体のスタートアップおよびベンチャーコミュニティとの”総合窓口”としての性格を有しています。

同社取締役の秋元氏は「NTTドコモ・ベンチャーズの本質的な目的は、ベンチャーならではの斬新なアイデアやスピード感をNTTグループと結びつけることで、サービスや技術、プロセスのイノベーションを加速して、NTTグループの新事業領域を創出していくことにある」とアスキーのインタビューにて語っています。

同社の基本的な投資金額は数千万円〜1億円程度となっており、日本最大級の実名型グルメサービスを展開しているRettyに対する3,535万円の出資など、将来性のあるスタートアップに対して積極的な投資を行っています。

また、グローバルな投資を行っていることも同社の特徴であると言えるでしょう。投資先の企業は日本発のスタートアップだけではなく、ヨーロッパやイスラエルなど他地域にわたっています。

例として、NTTドコモ・ベンチャーズは2016年2月にクレジットカード決済のチャージバックリスクを保証するイスラエルのスタートアップ企業であるRiskified Ltd.に出資することを決めています。同社の技術は今後もEC市場の拡大やそれに伴う不正使用被害の拡大に合わせて、技術の使用機会の拡大することが期待できるため、今回の出資に至ったそうです。

これら以外にも、NTTドコモ・ベンチャーズの公式HPにて過去の投資実績についても紹介されているのでそちらも是非参考にしてください。

KDDI

KDDI Ventures Programは将来を担う発展途上のスタートアップに対しては育成・支援プログラムの「KDDI∞Labo(無限ラボ)」、次世代を見据えた新しい取り組みを行うベンチャー企業に対してはコーポレートベンチャーファンドの「KDDI Open Innovation Fundk」と、ステージに合わせた2つのスタートアップ支援を2012年からスタートさせています。

KDDIでは、あたらしい未来を作り出すベンチャー企業、スタートアップの方々を投資、設備、プロモーションなど豊富なアセットで支援しています。
世界を変えるための挑戦を止めてはいけない。
KDDIは挑戦を求めるあなたと新しい世界を作り続けます。

 

参考:KDDI Ventures Program 公式HP

「無限ラボ」は、韓国のテクノロジースタートアップの日本進出支援、および事業提携を目指し、日本国内では大学や研究機関と連携し、企業化人材育成や研究成果の事業化など世界規模でのスタートアップ支援を行っています。

無限ラボは一定の期間ごとに毎期4〜5チームが参加し、KDDIを始めとする参画企業から多方面の支援を受けながら3ヶ月感でサービスの完成・事業化を目指すプログラムを展開しています。参加したチームの多くがサービスを期間内に発足させ、KDDIのアプリ取り放題サービス「auスマートパス」などでデビューを果たしています。

例えば、KDDIは無限ラボの第1期プログラムに参加したシンクランチ株式会社に出資を実施しました。同社はFacebookのアカウント情報を用いたビジネスランチセッティングサービス「ソーシャルランチ」を展開していました。リリース後順調にユーザー数を伸ばしていましたが、2012年にはソーシャルゲーム事業を行うDonutsが同社を買収しました。

KDDI代表取締役社長である田中氏は、スタートアップ企業が次の段階に進むためにはKDDIのような事業会社が果たす役割が「超重要」であると無限ラボ第3期の表彰会で語りました。

質疑応答では、「製品が良くても企業として存続して大きくなっていくのは非常に難しい。プロモーションをやろうとネットに載せるだけでは厳しいし、記事を書いてもらって拡散するだけでも厳しい。彼らのコンセプトやプロダクトを広げるために支援する人達がいる、スマートパスの中に入れば、400万人に見てもらい、機会が格段に増える。使い始める行為にまで押し上げる」と語っていました。

ソフトバンク

業界の他2社に比べるといくつかの大規模な投資案件が目立つソフトバンク。古くは米ヤフーへの出資と日本での合併設立です。いまだに知名度が低かった当時のヤフーに潜在的価値を見出し、1億ドルを超える資金を投じ、それが結果として莫大な利益を生み出すことにつながりました。

また、ソフトバンクは2000年に中国のネット通販などを運営する「アリババ」に20億円を出資しましたが、同社の劇的な成長により今ではその投資額は6兆円前後の価値にまで成長しました。そしてアリババは2016年9月19日に世界最大規模の上場を成し遂げ、今後より積極的な海外展開に動き出すようです。

このように、積極的なM&Aや投資を実施してきたソフトバンクはグループにおけるベンチャー企業向けの投資部門として「ソフトバンクキャピタル株式会社」を保有しています。

米国に本拠地を構え、ベンチャー企業を掘り起こす投資専門会社である同社は、合計10人程度の投資の専門家チームを組んでおり、早期段階のベンチャー企業に投資を行うベンチャーキャピタルです。KDDI・NTTドコモと比較してグローバル規模のベンチャー投資の比率が高いことも同社の特徴でしょう。

過去の投資実績としてはソーシャルニュースの分野で先駆けになった「ハフィストン・ポスト」や、ソーシャル上で拡散するバイラルニュースを提供している「バズフィード(BUZZ FEED)」などが挙げられます。最も初期の段階からこれら事業者向けの投資を続けているようです。その他フランスに本社を持つ「クリテオ(criteo)」など、グローバルな規模で積極的に投資を行ってるようです。

最後に

今回は大手通信キャリア3社のスタートアップ支援に関する動向にフォーカスしてまとめてみました。元来、他の産業と比較して差別化が難しいとされてきており、かつ今日も同質化競争が繰り広げられている通信キャリア業界において、ベンチャー企業との連携による新規事業の創出は他社との差別化におけるカギとなることは間違いないでしょう。

また実際の選考においても、通信キャリア3社は学生に対して柔軟な発想力を求めるような設問が目立ちます。以下の具体例を確認してみましょう。

「ドコモはまだまだつまらない」――あなたならどうオモシロくしますか。また、あなたはどう貢献しますか。(300文字以内)

 

参考:NTTドコモ エントリーシート(21)

情報革命で人々を幸せにするために、ソフトバンクに必要なことは何だと思いますか?その達成のために、あなたならソフトバンクでどんな挑戦をしたいか教えてください。(200字以上)

 

参考:ソフトバンク【内定】 エントリーシート(25)

KDDIでやりたいこと、実現したいことを教えてください。

 

参考:KDDI エントリーシート(12)

このような設問の回答として、学生自身の過去の経験と照らし合わせて答えることも大事ですが、柔軟な発想力、そして自分だけの個性・価値観をアピールする方法として斬新なアイデアを紹介することも設問に対する回答として非常に魅力的でしょう。

今回の記事がみなさんの参考になれば幸いです。

また、本記事では通信キャリア大手3社のベンチャー支援について解説してきましたが、こちらの動画ではIT業界の全体像について紹介しています。こちらの動画もあわせてご覧ください。

次の動画ではIT業界のビジネスモデルについて紹介しています。

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OB訪問した際に別の社員を紹介していただく約束を取り付けていれば、メールで改めてそのことに言及しても良いかもしれません。ただし、直接やりとりしていない場合にメールでお願いごとをすると心象が悪いので、紹介のお願いをするならば直接しましょう。直接会った際にすればいいお願い事を、後でメールでされると誰しも面倒に思うものです。それに加え、その日のOB訪問で感じた、自分の課題の整理をできると良いでしょう。OB訪問時に質問する中で、自分の知らないトピックや内容が出てきた際には、それらを取捨選択して自分のESや面接で話す内容に盛り込む必要性があります。時間が経たないうちにこれを実践できれば良いと思います。具体的には、OB訪問の御礼メールは一時間以内に打つべきです。社会人は常にやるべきことがあり、次々にとりかからねばならない仕事があるので、「鉄は熱いうちに打て」というわけではありませんが、早めにメールしておくのが得策でしょう。参考:これから総合商社のOB訪問を行う人が持つべき心構え次回のOB訪問に繋げていく別の社員紹介であれ、同じ社員に再度伺うのであれ、聞きたいことを整理してブラッシュアップする必要があります。同企業で、二回目以降にOB訪問するパターンには以下の二種類があります。①同じ社員に再びOB訪問する②紹介していただいた別の社員にOB訪問する①同じ社員に再びOB訪問するこの方法でOB訪問する学生は非常に少ないように思われますが、私の実体験からも、この方法でのOB訪問が最も有意義な時間となりました。「沢山の社会人から色々な話を聞くことによって見聞を広めなさい」「自分の興味がある仕事を見つけて、そこに携わる社員を紹介してもらいなさい」という類のアドバイスをもらう就活生は非常に多いように思いますが、これは半分正解で半分は間違いです。今回は、この方法でOB訪問を行うメリット・効果についても言及したいと思います。前提初めて会ってせいぜい一時間の、どこの馬の骨とも知らぬ大学生に対して、わざわざ丁寧に話を聞いて的確なアドバイスをしようと思う、お人好しな社会人はほとんどいません。(いないと思って臨みましょう。)自分のことをわかっていただいた上で、親身なアドバイスを頂くためには、何回も足を運んで信頼関係を醸成することが必要不可欠です。効果何度も時間を作って下さるのは、「この学生になら時間を割いてもいいな」と思われているからこそです。そういう気持ちに応えるためにも、自分のその会社での仕事への熱意を示すためにも、心身ともに本気でOB訪問に取り組むようになります。社会人側としても、いち学生に多くの時間を割くからには頑張って欲しいという想いが生まれて、懇切丁寧にご指導下さるケースも多いです。メリット具体的には、学生時代頑張ったことの説明の仕方や志望動機の練り方などを細かくみていただくことによって、面接での受け答えにキレを出すことができます。現場で仕事に携わる人が持つ仕事観と自分のイメージを擦り合わせることが出来るので、実際の面接でも面接官を納得させられるようなことを話せる可能性が上がります。もし社会人の方に、自己PRや志望動機に関してきめ細かく指導してもらいたいという気持ちがあれば、勇気を出して、同一の社会人に複数回OB訪問してみるといい結果が出るかもしれません。②紹介していただいた別の社員にOB訪問する多くの人はOB訪問というとこちらのパターンをイメージするかと思います。一回のOB訪問ののち、興味のある分野に携わる別の社員を紹介していいただくというパターンです。注意したいポイント一人の社員にOB訪問したからといって必ず別社員を紹介してもらえるかと言うと、それは大きな間違いです。社員の側からすると、学生を別社員に紹介するというのはそれなりにハードルが高いです。例えば、自分が上司や同僚に紹介した学生の評価が低いとすると、彼らは「〇〇に紹介された学生に時間を潰された」と思い、今度はそういう学生を紹介した自分の評価を下げてしまうことに繋がるかもしれないからです。ですから社会人に別の社員を紹介していただくためには、自分がまず高い評価を得なければならないということです。また、一度紹介してもらえると芋づる式に紹介されるという話もよく言われることですが、これは採用広報解禁後の場合が多いです。先陣を切って年末から年始めにOB訪問をする場合は、OB訪問をする学生の母数も少なく、企業側も本腰を入れていません。3月以前(現在の体制では)にOB訪問をして別の社員を紹介していただけなかったからといって、大して気にする必要はないでしょう。OB訪問は選考に影響するかどうかOB訪問をせずとも内定を獲得できる学生は数多くいます。ですが、単刀直入に申し上げて、OB訪問は必ず選考に影響すると言えます。多くの大企業では、OB訪問を受けた社員は学生のプロフィールと評価を纏めたものを人事に提出していると言われています。企業側から考えると、優秀な学生でかつ自社を志望してくれる学生がいれば、早めにマークしておきたいと思うのはごく自然なことです。実際に、いくつかの企業にOB訪問をしていた日系大手の内定者は、普通の学生と選考ルートが違ったと述べていました。実際にこのような例は日系大手企業でよくあることで、下に学生が述べていた就活におけるケースを記載しておきます。三菱商事・・・一次面接が会議室(通常はブース)住友商事・・・一次面接を免除伊藤忠商事・・・OB訪問人数・印象を質問三井不動産・・・特別選考イベントに招待東京海上・・・最終前にOB訪問の有無を確認トヨタ・・・説明会なしでリクルーターがつく逆に、先程も述べたとおり、OB訪問は全くしていないという内定者が数多くいるのも事実です。大手広告代理店や、総合商社のようにOB訪問が必須と言われる業界にもOB訪問をせずに内定している学生は数多くいます。結局のところ、優秀であれば内定は獲得できるのかもしれませんが、「OB訪問をして自己分析・企業研究をしっかりしていれば…」というような悔いを残すことが絶対にないよう、志望度の高い企業には一通りOB訪問しておくことを強くお薦めします。特に、複数回のOB訪問を同一の社会人相手に繰り返すことで、志望度の高さを示すとともに、毎度のブラッシュアップで企業側に自分の成長を見せておくというのも一つの戦略として良いかもしれません。最後にいかがでしたか。今回は、就活生の第一関門であるOB訪問にまつわる話について述べさせて頂きました。特に、インターンシップなどには中々参加できない層の学生にとっては、OB訪問が命です。社会人との接点であるOB訪問においては、学生の独りよがりにならずに、上手くコミュニケーションを取って信頼関係を築けていけるかどうかがカギになってきそうです。photobyVilmosVincze 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【商社・コンサル志望の学生は見るべき】日本貿易振興機構(JETRO)の仕事内容とは? 【商社・コンサル志望の学生は見るべき】日本貿易振興機構(JETRO)の仕事内容とは? 日本貿易振興機構(以下JETRO)は、経済産業省所管の通商政策の実行機関です。もともとの成り立ちとしては、1951年に大阪で設立された財団法人海外市場調査会が現在のJETROの前身です。貿易と投資の振興を通じて世界における日本のプレゼンスを高め、日本経済を豊かにするのがJETROの仕事であり、軸によっては総合商社などと併願して受けるという方もいると思っています。本記事のコンテンツ・JETROは具体的に何をやっているのか・商社やコンサルとの違い・最後にJETROは具体的に何をやっているのか日本企業の海外ビジネス進出のサポート、および対日投資の促進がJETROの主要事業であり、それぞれ具体例を挙げて紹介します。対日投資促進◎コネクタの製造・販売を行うドイツ企業ODUが東京に日本法人を設立医療、産業用電子機器、自動車、測定機器など、幅広い分野向けの高機能コネクタの製造・販売を行うドイツ企業ODUGmbH&Co.KG(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)が東京に日本法人、オーディーユージャパン株式会社を設立した。同社は1942年の設立以来、ドイツ本社を始め、欧州・米国・アジアに9ヶ所の営業拠点と3ヶ所の製造拠点を有しており、世界中で1,650人を超える従業員が働く国際的なリーディングカンパニーとして事業拡大をしてきた。これまで商社経由で日本へ輸出を行ってきたが、日本進出により、戦略的に重要なアジア市場での存在感を強化し、日本企業との更なる取引拡大をねらう。(JETROホームページ:「外国企業誘致-対日投資情報-」より)日本市場の魅力を世界に発信するJETROは、自国への企業誘致合戦が激しいグローバルマーケットにおいて、最前線で戦う組織と言えます。シンガポールや香港、中国などアジアでも強力なライバルが存在する中、政府や自治体、日本市場で成功した外資系企業などと連携し、世界中でPRをしています。また、海外企業の日本進出の際には、一時的なオフィス提供〜拠点設立の際の登記のアレンジ〜労務相談や人材確保サポート〜商売を行う上での許認可などの法制度などの情報提供などのコンサルティングサービスを一貫して提供しています。いずれのサービスも無料で行っており、民間のファームにコンサルフィーを払えないという中堅・中小企業にとって非常にありがたい存在だと言えます。日本国内でのJETROの情報網を用いたビジネスマッチングや政府への提言活動も行っており、海外企業による日本投資を支援することで、日本国内のビジネス活性化に寄与しています。日本企業の海外進出支援◎株式会社桝田酒造店ジェトロとの連携関係で地酒を世界に12年11月、同社は輸出有望案件支援企業に採択され専門家のサポートを得ることとなった。14年2月にはIdentitàGolose(食の国際イベント、開催地ミラノ)に出展。同年9月、専門商社を通じて「満寿泉純米大吟醸」をイタリアへ出荷した。また、タイの輸入卸業者と商談した際には、日タイEPAにもとづく特定原産地証明書の申請手続き等について専門家のアドバイスを受け、同年10月「満寿泉純米大吟醸寿(ことぶき)」の輸出に成功した。バンコクにおいては低温輸送、QRコードの実証実験を行い、タイでの継続取引も始まった。(JETROホームページ:「ジェトロ活用事例」より)JETROは日本企業の海外進出の際に、法制度やマーケット情報などの現地調査や、海外のバイヤーを日本に招いての商談会アレンジといったサービスを提供しています。また、上記の事例にある「輸出有望案件支援」とは、優れた商品・技術力を持つ日本企業の海外展開を支援するもので、各種輸出指導〜海外バイヤーの発掘〜海外への商談同行〜輸出契約締結までワンストップでサポートしています。こちらもコンサルティングに関する費用は原則無料で提供しています。その他、政策立案に必要となる調査や分析この記事のはじめにJETROは経産省が立案した政策の実行機関だとお伝えしましたが、政策立案にあたっての事前調査をJETROが行うこともあります。大企業を含む海外に既に進出をした日系企業のビジネス環境を調査し、現地政府に問題点などを提言する活動も活発に行っています。経産省とJETROの間での双方向の人材交流も盛んに行われており、経産省の人間がJETROに出向する場合や、JETRO職員が経産省に出向する場合もあります。それぞれの現場で働く人間の声を政策に反映させ、スムーズな事業展開を行うためだと考えられます。商社やコンサルとの違いここまでJETROの事業内容を紹介してきましたが、例えば商社でもマッチングによるビジネス創出はできるし、コンサルでもクライアント企業の海外展開支援を行えると考える方も多いと思いますし、実際その通りです。違いを挙げるとすれば、JETROの事業内容はいずれも「日本経済を豊かにする」ために実施しているのであり、貿易投資の振興を目的に、主要顧客である中小企業のためになる施策をビジネス前提ではなく実施しているという点です。商社が目を向けない規模の案件にも、細やかに対応するのがJETROです。また、海外進出のために民間のコンサルティングファームに依頼する経済的な余裕のない企業のために、JETROでは一定までのサービスであれば無料で提供しています。また、万博の開催や、OishiiJapanキャンペーン、InvestJapanキャンペーンなど、複数の業界や企業を束ねて世界に向けて情報発信する仕事もJETROには多くあります。商社におけるグループ会社等の関係や、コンサルにおけるクライアントとの関係などビジネス関係に限らず、オールジャパンの視点で海外に日本を発信できることもJETRO独自の面白さかもしれません。参考:FoodJapan2016開催速報・詳細上記のように、独立行政法人であるJETROでは、民間では扱いづらいような、でも重要な業務を担っていると言えます。一方で、JETROは常にサポート役に終始するため自分ごとの事業が行えないということは認識すべきです。また、報酬を受け取らないサービス供与のような、クライアントと自分たちとの利害の一致がない仕事にやりがいを感じられないという方には向かないかもしれません。純粋に、日本のプレゼンスを高めることや、誰かのためになる仕事に熱意を持って打ち込めるという方に向いている組織だと感じます。最後にJETROは非営利の法人であり事業内容自体はビジネスではないと伝えましたが、クライアントはいずれも営利企業であるために当然ビジネス感覚も求められます。中小企業経営者にとって海外展開や日本拠点設立は大きな選択であり、彼ら/彼女らと同様の目線で話ができないと、クライアントからの信頼を得ることはできないと考えます。ビジネス視点も持ちつつ、収益に追われずに純粋に日本のプレゼンス向上や、目の前の企業の役に立ちたいと真剣に考えられる人にJETROを受けて欲しいと思っています。参考:JETROのES・選考レポートはこちらJETROの新卒採用サイトはこちら 32,926 views
人材戦略に見る三菱商事と三井物産の違い、オーソドックスな三菱商事VS 奇抜さで勝負の三井物産 人材戦略に見る三菱商事と三井物産の違い、オーソドックスな三菱商事VS 奇抜さで勝負の三井物産 組織の三菱VS人の三井として社風を説明されることの多い三菱商事と三井物産ですが、人材戦略についても大きな違いが見られます。今回はこの2社の人材採用の違いについて入り口である採用部分と、入社してからの人材育成の2つの部分から説明したいと思います。奇抜なESの三井物産とオーソドックスな三菱商事インターンシップのESにおいて三井物産はかなり攻めの姿勢で設問を作っています。16卒のインターンESのお題は「あなた自身に値段をつけ、合わせてその理由を記述してください。(800文字以内)」、17卒のインターンESのお題は「あなたは「どこでもドア」の開発に成功しました。いくらで販売しますか。値付けの理由も含めて説明してください。」というものでした。参考:16卒三井物産のインターンESで書くべき内容参考:17卒三井物産インターンESの内容「どこでもドアの値決め」を考えてみる18卒の三井物産のインターンESのテーマも「タダで手に入るものでビジネスを成立させてください。また年間の売り上げ・利益を簡単に説明してください。」というものでした。このように三井物産はかなりESで奇抜な攻めの設問ばかりが並びます。一方で三菱商事については、18卒のインターンESもオーソドックスな内容で、「これまでに最も成長を実感したエピソードについて、何が成長のカギであったかを含めて、教えて下さい。」と「あなた自身、または身近な存在の経験や行動を踏まえて、ご自身が考える「リーダー像」について説明してください。」というものです。奇抜な三井物産の設問に比べると本選考に近い、その人の考え方を問う設問であるといえます。伝統的で保守的な社風と言われる三菱商事と、自由闊達な社風と言われる三井物産の違いがよく現れている様に思います。伝統的で保守的という考え方を嫌う学生も多いかと思いますが、奇をてらわずに、基本に忠実に成果を求める真摯な姿勢というのは大事なことだといえます。ジョブ・ローテーションの三井物産と背番号制が強い三菱商事採用後の人材育成においても三菱商事と三井物産では大きな違いが見られます。三井物産では下記のように、社員に様々な分野の業務を経験させることで経営人材として成長させようとしています。則安:最近、当社では「人材ポートフォリオ」といって、社員にいろんなバックグラウンドを経験させるプログラムを進めています。私の場合、1992年に入社して以来、主に繊維分野で仕事していましたが、2009年7月に「総合リサイクルの事業を軌道に乗せる」というミッションを与えられ、金属資源本部に異動となりました。引用:何をやっているの?総合商社〜三井物産の挑戦と創造〜一方で三菱商事は商社には伝統的な背番号制で、最初に配属された部署から大きく異動せずに、その分野におけるプロフェッショナルとして育成されます。総合商社における人材育成については、せっかく「総合」商社であるのだから、様々なバックグラウンドを経験させて総合商社だからこそ育成できる人材を育成すべきという「ヨコ」の連携を重視した育成方針と、相対する顧客はその分野一筋のプロフェッショナルであり、生半可な経験では太刀打ちできないのだから一つの部門で相対する顧客にも引けをとらないプロを育てるべきという「タテ」の連携を重視した育成方針の議論が常に起こっています。参考:総合商社の配属リスクと総合商社におけるタテヨコ議論総合商社の中でも、三井物産や双日はジョブ・ローテーションを取り入れたヨコの連携を重視しており、三菱商事や伊藤忠商事はタテの連携を特に重視しているように感じます。どちらが正解ということもないのですが、直近の業績、特に非資源分野の収益を見るとタテを重視した商社に現状では軍配があがります。最後に型破りな商社マンとして有名な伊藤忠商事の岡藤社長は「三井物産はジョブ・ローテーションなんかやってるから非資源分野で利益が出ない」なんて発言したという噂があります。現状では奇抜なことをせずに、商社の伝統的な採用、人材育成をやっている会社に軍配が上がっていますが、変化の激しいこの時代、新しいことにチャレンジすることも非常に大事なことです。追求すべき本質的な価値を見据えて最適な人材戦略をとっているのはどちらの会社なのか、それは今後10年間の経営成績ではっきりしてくるでしょう。photobyUCFFool 27,005 views
【ケース】アイドルグループのCMによる売上増加額はいくらか?【BCG14卒論述試験過去問】 【ケース】アイドルグループのCMによる売上増加額はいくらか?【BCG14卒論述試験過去問】 外資コンサル業界完全攻略記事一覧1.【業界研究】外資コンサルの仕組み・大手企業ランキング・選考対策まで一挙大公開!2.【業界研究|コンサルティング】コンサルティングとは?から選考対策までを徹底解説3.【業界研究】外資コンサル大手企業一覧まとめ4.【業界研究】外資コンサルの年収ランキングを大公開!今回は14卒のサマーインターンにてボストンコンサルティンググループの論述試験で出題された問題について説明したいと思います。1.前提条件の確認とアプローチ方法の選定今回の問題は下記の様なものとなっております。住宅賃貸会社があるアイドルグループを使って住宅賃貸会社のCMを打ちました。年間の売上増加はいくらか求めて下さい。尚、アイドルグループはCD売上が1200万枚、現在CMやテレビで活躍しています。この会社は賃貸物件の仲介をメイン事業としており、家賃の1ヶ月分をマージンとしてもらう仕組みで、シェアは10%となっています。尚、競合他社はCMを全く打たない事とします前提条件とともに問題内容についても確認したいと思います。【前提条件】住宅賃貸会社がアイドルグループを起用したCMによる売上増加効果を計算します。住宅賃貸会社のシェアは10%で、競合他社はCMをまったく打たないこととします。【アプローチ方法選定】日本の賃貸住宅の世帯数と、一年間に引っ越す件数から賃貸住宅の市場規模を求めた上で、CM効果により、この住宅賃貸会社を利用して引っ越した割合を概算し、売上アップ効果を求めたいと思います。2.実際の計算①賃貸住宅の市場規模賃貸住宅の市場規模=年間引越件数×賃貸住宅への引越率×平均家賃単価で、求めることができそうです。日本の人口を120百万人、1世帯平均3人として40百万世帯があるとして計算します。年間の引越件数は、日本の世帯数のうち、賃貸物件の割合から、平均引越年数で割り、そのうちの何%がまた賃貸物件に引越をするのかそれぞれ求めることで計算したいと思います。年間引越件数=日本の総世帯数×賃貸物件割合÷平均引越年数×賃貸物件引越率日本の世帯数を40百万件として、都市部の世帯数を20百万世帯、田舎の世帯数を20百万世帯と仮定します。都市部の70%が賃貸物件、田舎の30%が賃貸物件と仮定すると、都市部の賃貸物件は14百万世帯、田舎の賃貸物件は6百万世帯、合計20百万世帯と計算できます。平均引越年数は単身世帯とそれ以外の世帯で大きく変わると考えられるので、20百万世帯のうち単身世帯半分の10百万世帯、2人以上の世帯を10百万世帯と仮定します。単身世帯は更新期間の2年間で約半数が引越をすると考えられるので、平均して4年間で引っ越すものと考えます。2人以上の世帯においては、既に家族を持ち、引越を積極的にはしない層も多いと考えられるため、単身世帯の倍の平均して8年間で引っ越すものと考えます。また引越をする世帯全てが賃貸物件に引っ越すわけではなく、持ち家の購入や実家へ買えるなどの要因も考慮して、賃貸から賃貸へ引っ越す割合を80%と仮定すると賃貸市場における引越取扱件数は年間引越取扱件数は単身世帯=10百万世帯÷4年間×80%=2百万世帯2人以上世帯=10百万世帯÷8年間×80%=1百万世帯合計3百万世帯単身世帯の平均家賃を5万円、2人以上世帯の平均家賃を8万円と仮定すると、単身世帯:2百万世帯×5万円=1,000億円2人以上世帯:1百万世帯×8万円=800億円合計1,800億円住宅賃貸会社の市場規模は1,800億円と推定できます。②CM効果の算出年間引越件数3百万世帯のうち、既にこの企業が取り扱っている件数が10%にあたる30万件あるため、残りの270万世帯に対して、CMによりどれだけアプローチが可能で、そのうちどれだけの割合の人がこの企業を経由して引越を行うか求めることでCM効果を求めたいと思います。CM効果=(年間引越件数-この企業のシェア分)×CMアプローチ率×実際にこの企業を選択する率テレビCMによりアプローチできる人の割合を30%と仮定し、テレビCMでアプローチした人の2%が実際にその住宅賃貸会社を利用すると仮定すると、単身世帯:2百万世帯×90%(この企業の元々のシェア10%はCM効果としてカウントしないため)×30%×2%×5万円=5.4億円2人以上世帯:1百万世帯×90%×30%×2%×8万円=4.32億円合計すると約10億円が広告効果と考えることができます。よってCMによる売上効果は約10億円と考えられます。3.検証不動産の市場規模に関するデータは中々拾うことができませんでしたが、賃貸住宅の戸数は約17百万世帯ということで、上記の20百万世帯という推計は大きく外れてはいないものと考えられます。MDB市場レポートという資料によると不動産仲介手数料の市場規模は2005年度で2,328億円となり、フェルミ推定の値である1,800億円に近いと言えば近いのですが、2,328億円にはオフィスの賃貸仲介も含まれているため、住宅の賃貸市場はもっとずっと小さいことが予想されます。また広告効果についてですが、テレビCMの制作料金は広告代理店及びタレントに対するギャラも含めて、1本50百万円程度との話を聞きます。またテレビ局に支払う金額は下記のサイトによると、15秒CM1本につき40万円〜70万円とのことです。CMはかなりの量を流して初めて効果があるため、一日に5本、1ヶ月間流し続けるとすると、60百万円〜105百万円かかる計算になります。制作料金と合わせて考えると、10億円の広告効果は、広告費の比率が10%〜15%程度と、まずまずの計算なのではと感じています。【アパマンショップ決算説明資料】【ケース問題を解く上で必読の3冊】東大生が書いた問題を解く力を鍛えるケース問題ノート50の厳選フレームワークで、どんな難問もスッキリ「地図化」現役東大生が書いた地頭を鍛えるフェルミ推定ノート――「6パターン・5ステップ」でどんな難問もスラスラ解ける!過去問で鍛える地頭力外資系コンサルの面接試験問題【余裕があったら読んでおきたい+2冊】戦略コンサルティング・ファームの面接試験―難関突破のための傾向と対策ビル・ゲイツの面接試験―富士山をどう動かしますか?photobyUniversityofExeter外資コンサル業界完全攻略記事一覧1.【業界研究】外資コンサルの仕組み・大手企業ランキング・選考対策まで一挙大公開!2.【業界研究|コンサルティング】コンサルティングとは?から選考対策までを徹底解説3.【業界研究】外資コンサル大手企業一覧まとめ4.【業界研究】外資コンサルの年収ランキングを大公開! 21,006 views

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