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事業創出・投資と経営がしたいなら総合商社よりもDeNAの時代?
最終更新日:2022年03月29日
「事業を生み出す、仕組みを作り出す、起業家精神を大事に」というのは総合商社の採用HPや説明会でも何度も聞く内容だと思います。実際に総合商社は様々な事業を関係各社と協力して生み出しています。一方で、事業を生みだすという点ではインターネット事業のスピード感が目立ちます。中でもDeNAは大企業と提携しながら新規の事業をいくつも生み出しています。
投資と経営についても総合商社を志望する就活生からよく聞く言葉の一つで、実際に総合商社による巨額買収が新聞を賑わせることがあります。一方でDeNAもたくみにシナジーにある事業を買収しており、投資と経営でもDeNAは総合商社同様に積極的に展開しています。
今回はDeNAが実際に大企業と生み出した事業と実際に投資した案件について見ていきたいと思います。
DeNAと住友商事が合同で健康保険組合向けの新サービス「KenCoM」の運営開始
2015年2月にDeNAは住友商事と合同で健康保険組合向けの新サービス「KenCoM」の運営をスタートすることをリリースしました。
DeNAは「SickケアからHealthケアへ」をコンセプトに、主として予防・未病の観点からヘルスケア事業に取り組んでいます。一方、住友商事では総務省、厚生労働省などの受託事業を通じてICT健康・予防の先進モデルに取り組んできました。今般、ITサービスの開発・運営力に強みをもつDeNAと事業モデル構築や法人営業力に強みをもつ住友商事とで合弁会社を設立し、一人ひとりの健康度に応じて最適かつ有用な情報をウェブ上で提供する健康レコメンデーションメディア「KenCoM(ケンコム)」の運営を開始します。
上記引用の通り、ITサービスの開発・運営をDeNAが担当し、多数のグループ会社、取引先を持つ住友商事が営業力を駆使してシナジーを追求していくモデルのようです。2016年7月現在、すでにサービスがスタートしており、2016年7月には、損保ジャパン日本興亜ひまわり生命保険との業務提携開始をリリースしています。
DeNAと任天堂の業務・資本提携
2015年3月には、DeNAと任天堂の業務・資本提携が発表されました。もともとモバゲーでスマートフォン向けゲームアプリの開発・運営ノウハウのあるDeNAに対して、任天堂はスマートフォン向けアプリの開発が投資家から求められていたものの慎重な姿勢をみせていました。任天堂のヒットゲームである「ファイアーエムブレム」や「どうぶつの森」のスマートフォン向けゲームをDeNAが共同開発するようです。業務提携の狙いについては、リリース当時の共同記者発表の質疑応答で、当時の任天堂岩田社長が下記のように答えています。
多くの方がお分かりだと思いますが、念のため誤解のないように申し上げておきますと、「フロントサイド」というのは、お客様がスマートデバイスで実際に操作する、スマートデバイス上で動くアプリの部分ですね。これは、任天堂が(ゲームの)手触りのような部分をつくることに関してはノウハウがたくさんありますので、私たちがやる方がお客様にとって競争力があるだろうと考えています。逆に、ウェブサービス、サーバー側、あるいはお客様の行動分析といった部分ではDeNAさんに知見がたくさん貯まっていますし、そこから得られるデータを素早く分析して、次にどのようにサービスを進化させていくのかという分析能力はDeNAさんが非常に高くお持ちですので、そういう分担をする割合が高いだろうと考えてください。
スマートフォンユーザーが拡大する中で、これまでの運用で培ったノウハウを大企業との提携においても応用していることがわかる事例かもしれません。
DeNAが仏EasyMile社とイオンモールにおける無人運転バスシステムの試験導入
DeNAは2015年より自動運転事業の進出を発表しており、2015年5月に自動運転技術開発用プラットフォーム事業を展開していた株式会社ZMPと合弁会社を設立して自動運転事業に参入しています。自動運転は自動車会社各社も注目している事業であり、今後の展開が注目されています。
2016年7月のリリースでは実際にイオンモールの私有地にて無人運転バスシステムを試験的に導入することが発表されました。現状、日本国内では自動運転は私有地のみ可能なため商業施設などの私有地内部での運用を想定しているようです。
今後、伸びそうな事業に対して事前に種をまいておき、スピード感を持って事業化を進めていく例の一つとして考えられる例かもしれません。
ちなみに2016年6月に日経新聞がDeNAとNTTドコモが自動運転分野で提携すると報道しましたが、2016年7月現在、両者からリリースはなく、DeNAは当社が発表したものではないと否定のリリースを出しています。
参考:本日の一部報道について
iemoとMERYの2社を計50億円で買収
2014年10月にはキュレーションメディア事業に参入するために、iemoとMERYの2社を総額50億円で完全子会社化しており、さらに2015年にもFind Travelを買収し子会社化しています。買収後も男性向けコンテンツを中心にした「JOOY」や妊娠子育てをテーマにした「cuta」など様々なキュレーションメディアを立ち上げており、投資家向けのIR資料にもセグメント情報として大きく掲載していることから今後も注力する分野であることが伺えます。
M&Aによる完全子会社化以外にもシード、アーリーステージのベンチャー投資も積極的で、空き駐車場シェアリングサービスのakippa株式会社や生鮮食品流通プラットフォームの八面六臂株式会社など様々な企業に投資をしています。
参考:事業情報 ベンチャー投資
事業創出・投資と経営という観点から見るとDeNAは総合商社よりも面白いかも
総合商社の投資と経営は華やかそうに見えますが、実際には投資の検討段階から実行段階までは数年〜5年必要なケースも少なくスピード感という点ではどうしても遅くなってしまいがちです。一方でインターネットサービスにおける事業創出や投資はスピード感が早く、上記の通り、自動運転については参入1年間で実際に無人運転バスの試験運用までこぎつけています。
スピード感を持って事業創出・投資と経営に関わりたいという意味ではDeNAは総合商社よりも面白いと感じる人も多いかもしれません。一方で「海外」という観点からいくと、利益・売上の多くが総合商社に比べるとDeNAは少ない部分も多く、世界を舞台に仕事がしたいと思う学生にとっては総合商社に魅力を感じるかもしれません。
いずれにせよ、このように一見異なる業界だけど、内容として共通する部分がある業界を比べて考えてみることは業界研究の上では非常に有効です。下記のコラムも参考に、業界同士を比較するとはどういうことか考えてみてください。
最後に
事業創出や投資・経営という部分ではDeNAと総合商社は共通点が多いものの、両方の企業を受けている学生は少ないように感じています。ベンチャー企業と大企業、どちらの内定ももらった上でどちらの働き方が自分に向いているのか考えるとより納得のいく就職活動になりやすく、就職してからのキャリア感にもプラスになるでしょう。下記のコラムも参考にぜひどちらの企業も受けてみてほしいと思います。
photo by Ravi Shah
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