総合商社の窓際族ウインドウズ2000の哀愁

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最終更新日:2023年10月27日

総合商社の窓際族ウインドウズ2000の哀愁

企業研究

Unistyle株式会社の樋口です。
窓際族には誰しもなりたくないものですし、入社する前から窓際族のことを考えることも少ないでしょう。一方で終身雇用を採用している日系大企業では、仕事ができないからといって簡単に首にすることはできず、だいぶ是正はされたもののずるずると雇用が続いているケースもいまだに存在しています。
今回は業績好調な総合商社における窓際族とはどんなものなのか人から聞いた話を中心にご紹介します。

本選考とインターンの締め切り情報

総合商社の窓際族「ウインドウズ2000」とは

ウインドウズ2000は2000年にリリースされたWindowsのOSです。その後、XPやVISTA、7、8と続き、現在では10と続き、ウインドウズ2000ははるか昔のOSとなってしまいました。総合商社の窓際族の人は一部ではウインドウズ2000と呼ばれているそうです。理由は①ウインドウズ2000のように前時代の仕事ができない人材であること、②それでも年功序列効果で年収2000万円近くもらっていることの二つがあるようです。

総合商社ではトレードから事業投資に大きく業務が変わる中で仕事に求められるものも、大きく変わりました。これまではいくらで買っていくらで売るかを中心に仕事をしていたのが、PL、BSを読み解き会計と事業投資を武器に商売をしていく必要がでてきました。某総合商社においてはPL、BSなどの会計の概念が曖昧な40代〜50代の社員の人もいるようです。そんな前時代的な働き方をウインドウズの古いOSにかけて、またそれにもかかわらず2000万円近い年収をもらっていることを揶揄してウインドウズ2000と呼んでいるとのことです。

ラインに乗れなかった商社マンの末路

出世街道を進むことをラインに乗るという言い方をするのは総合商社だけではないと思います。社長や役員などのお気に入りになり、上司の力で引き上げてもらい、引き上げてもらった人にもお気に入りの人がおり、その人を出世させることが、一連のラインのように続くことからつけられたものだと思われます。

ラインに乗った人はトントン拍子で出世をしていき、同期の中でも一番に課長になり、部長になり、役員になっていきます。一方でラインに乗れなかった人は、子会社の役員として出向させられたり、海外会社の空いたポストにあてられたりします。最後は子会社に出向したまま転籍させてもらえれば御の字といった感じでしょうか。中には40代の早い段階でラインからあきらかに外れてしまい、本社の中でもポストがなく、同期には役職があるにもかかわらず、特命チームの一員としてそれっぽいけれども重要ではない任務につかされてしまうこともあるようです。

誇りを持ち続けられる仕事をするのが大事かもしれない

メガバンクに就職して出世街道を歩むものの、最後の最後に役員になれず、失意のまま子会社の役員としてサラリーマン生活を終える行員を主人公にした「終わった人」という小説があります。

終わった人

この小説で、主人公の行員が引退後に「誇りを持ち続けられる仕事をすべき」と語る一節があります。肩書きや周囲からどう見られるかということばかり気になってしまいがちですが、それを追求した先にその道から外れてしまうと何が残るのかわからなくなってしまう、そんな主人公の気持ちが伝わってくる一節です。

最後に

もちろん入社前から、窓際族のことなど考えないでしょうし、夢と希望を持ちながら入社すべきだと思います。一方で多くの人が思い描くエリートとしての人生や競争に勝ち続けて周囲から認められる人生を歩み続けることができる人は多くありません。就職活動においても、自分が仕事に何を求めているのか、周囲の評価に頼らず誇りを持てる仕事とは何か考えることは、就職ランキングを気にするよりもよほど有意義なことだと思います。ぜひ一度自分の内面と向き合いながら、周囲の評価ではなく自分が誇りや自信を持つにはどうすればよいのか考えていただければと思います。

photo by Kai Hendry

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も、当たり前のように選考に落ちてしまうことがあります。そのためあまり考えたくないとは思いますが、落ちることも視野に入れ、多くの企業にエントリーするための準備の時間を作れると良いと思います。関連記事24卒GMARCH就活生の選考結果上記のようなマインドと戦略で就活に臨んだ結果、ベンチャー・大手合わせ3社から内定を獲得することができました。結果として1番最後に内定した大手製薬会社を選択し、同時に1年2ヶ月にも及んだ就活を終わらせることにしました。当初の志望業界とは全く違う結果になったこともあり、結果に100%満足できている訳ではありません。また、貴重な学生時代の多くの時間を就活に捧げてしまったという後悔も少しあります。ただ知名度の高い企業ということもあり、報告した時に家族や親戚が皆喜んでくれたので「この企業に内定できて良かった」とは思っています。また現在、就職先及び春からの新生活については前向きに捉えています。最後に本記事では「GMARCHから大手企業への内定」に関する難しいポイントや、選考の対策などについて解説してきました。内容を簡単にまとめると以下の通りです。GMARCHから大手企業に内定するのは狭き門である内定に必要なマインドを持つことが重要情報収集を積極的に行い、人一倍選考対策をすることが重要GMARCHの就活生が大手企業を目指すのはいばらの道とも言えます。人によっては上手くいかないことも多いのではないでしょうか。それでも大手企業に内定できれば、大手企業ならではの様々な恩恵を享受できると思います。また就活体験談の部分でも少し触れましたが「人一倍の努力が必要!」と言って無理なスケジュールを実行すると、かえって筆者のように体調を崩してしまうと思います。努力も重要ですが、適度に休憩することも重要です。末筆ながら、本記事を参考にし、1人でも多くの就活生が自分の望む企業に内定できることを願っています。 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留学生と就職活動<海外キャリアフォーラムに挑む前に必要なコト2つ> 留学生と就職活動<海外キャリアフォーラムに挑む前に必要なコト2つ> 2019年1月1日時点で企業から内定を頂いたと回答している学生が4.7%という結果を就職情報大手のディスコが発表しました。▼引用:20卒学生の1月1日時点の就職活動調査~キャリタス就活2020学生モニター調査結果(2019年1月発行)~20卒の知り合いの中にも内定者が出始め、早い人では既に就職活動を終えた学生もチラホラ見かけます。そんな中で先日、19卒の内定者と話をする機会がありました。彼らは1年間の交換留学を経験しており、交換留学生の就活事情について話を聞くことができました。ボストンキャリアフォーラム(以下ボスキャリ)や帰国後の秋採用など、たくさんの経験談の中でも『留学生=内定に圧倒的有利』な訳ではなかったというのが印象的でした。本記事では、筆者が留学経験者からお聞きしたお話や、現在実際に留学中で海外で就職活動を行っている学生の体験談を基に、ボスキャリを始めとする海外キャリアフォーラムの実態、体験談、そしてこれからどのように行動していくべきなのか、その考察を深めます。【本記事の構成】▶留学生の就活事情▶海外キャリアフォーラムとは▶海外キャリアフォーラム体験記▶納得の行く留学・就活をするために▶まとめ留学生の就活事情日本の学生が3月から情報を解禁し6月から始まる面接などの就活ルールに基づいて動きだしている一方、留学生の大多数は日本国内で就職活動が本格化している時期に学校が通常運行であるようで、就職活動どころではないようです。そのような留学生が就職活動においてデメリットを被らないように開催されているのが各種海外キャリアフォーラムです。キャリアフォーラム以外にも、海外企業にそのまま就職する選択肢を除くと、留学生の就職活動は以下の3つに分類できます。【留学生の就活における選択肢】①帰国後就職活動を実施する(秋採用・留学生向けの採用など)②卒業を1年遅らせて就職活動を行う③海外キャリアフォーラムで内定を得る帰国後就職活動を実施する少し前に東京大学が秋学期入学を実施すると宣言して話題を呼びましたが、留学生の新学期は殆どが9月から始まります。9月から12月にかけてが秋セメスター、2月から6月までが春セメスターとなっている大学が殆どで、留学生が帰国するのも春セメスターが終わる6月がピークな様です。6月に面接、内定が解禁となっていますのでギリギリ就職活動に間に合いそうな気がしますが、既に内定者がチラホラ出ている日本の形骸化が進んでいる就活市場を顧みた時”絶対性”がなく、あまりオススメはできません。留学中は勉学に集中し、帰国後直ぐに就職活動本番を迎えるのはリスクが高いように思われます。それでは、留学から帰ってきてからだと就活が不利になるのか?と言われたらそうとも限りません。留学生向けに秋採用を実施している企業も多くありますので、留学に行っていたからチャンスを逃すことも殆どないでしょう。それでも優秀な留学生同士の席の取り合いになるため厳しい戦いになるようです。これらを顧みた時、帰国してから内定を獲得し、そのまま卒業するとなると『早めの準備が成否を分ける』と言っても過言ではないと思われます。unistyleでは、内定を得るためのプロセスを上記の9つの段階に分類しています。準備段階に該当する①〜⑤は留学中でも実施することができるので、帰国後に就職活動を行う予定でしたら、①〜⑤を優先的に抑えていくべきでしょう。どれも就職活動を行う上で大切なステップになるので、それぞれのステップの詳細を以下にまとめましたのでご参照ください。▼参考・就職活動全体の流れを把握するなら・①詳細な自己分析を行うには・②詳細な業界分析・企業研究の実施・③3つの論点(自己PR・ガクチカ・志望動機)の整理の仕方・④評価されるESの作成の仕方とは・⑤効率的なテスト対策卒業を1年遅らせる帰国のタイミングが遅かったなどの理由やじっくり就職活動に取り組みたい人の中には卒業のタイミングを半年から1年遅らせる方もいるようです。大学にもう1年在学することとなるので学費などの費用面での心配は残りますが、じっくりと腰を据えて就職活動を行うといった点ではプラスに働くように思われます。ただ、帰国してからどのような事に取り組んできたのか、何故卒業を遅らせようと思ったのかなどの質問にしっかりと答えられる為に準備をしておくべきでしょう。海外キャリアフォーラムとは先程の留学生の就職活動で取る選択肢③として海外キャリアフォーラムを挙げました。では、そもそも海外キャリアフォーラムとはどのようなものでしょうか。海外キャリアフォーラムとは海外で開催されるキャリアフォーラムは主にCFN主催のものになります(CareerForum.Net株式会社ディスコによるバイリンガルの為の就職活動支援サービスです)。<キャリアフォーラムとは>・CFN(株式会社ディスコの海外採用サービス)主催・ロンドン、ボストン(最大級)、上海、東京など主要都市で開催・海外大学在学中、交換留学生対象(日英バイリンガル向け)・企業によっては内定が得られる・日系大手、外資系企業も参加(フォーラムによる)参考:CareeerForum.Net大きな特徴は海外大学在学者、交換留学生向けであり、内定が得られる点でしょう。英語が話せることが前提で進められるフォーラムである点も特徴的でしょう。どこからがバイリンガルなのか等ざっくりとした表現になっていますが、キャリアフォーラムへの参加条件は以下のように定められています。【キャリアフォーラム参加条件】キャリアフォーラムへの参加は次の条件を満たしていれば大丈夫です:1.バイリンガル、日本語・英語両方でビジネスを行えるだけの語学力を身につけている方2.海外の大学・大学院を卒業予定の方、また既に卒業された方3.日本の大学に在籍し、交換留学中の方4.職務経験をお持ちの方引用:キャリアフォーラム実施講座よくある質問フォーラムによって参加企業にばらつきがあるようですが、東京開催のものやボストン開催のものだと参加企業が200社を上回っています。参加費用・参加予約・コスト・その他幕張開催の説明会に参加する為に横浜から海浜幕張に出向く・・・のは電車賃だけの心配をすればいいですが、海外キャリアフォーラムは開催国が限られています。後述しますが、筆者の友人はフランスに滞在中でしたので、ボストンまで飛行機で移動し、連日ホテルに宿泊していたそうです。他にもカナダ・アメリカ国内等々ボストンまで移動しホテル滞在を行ったため(フォーラム自体は3日間開催など)、費用として10万円近く必要だったようです。移動や滞在などの面で高い費用がかかるからでしょうが、フォーラム自体は入退場無料で事前予約が必要など日本の説明会とあまり違いは見られません。また、キャリアフォーラム参加のためのホテルや交通アクセスのサポートも行ってくれています(ロンドンキャリアフォーラム交通・宿泊のご案内)。また、事前にレジュメを作成する必要があります。日本企業にESを提出する際は日本語が殆どですが、海外フォーラムでは英語でのレジュメの提出を要求してくる企業もあるようなので事前の準備は早めにしておく事が吉だそうです。海外キャリアフォーラム体験記ここからは実際にボスキャリに参加した友人の体験談を記載します。【ヒアリングした方々】・大学:早慶、MARCHの5名・留学先:フランス、カナダ、米国<質問内容>①滞在日数と費用②受けた企業の数③就活フローはどのように進んだか④周囲の学生の様子⑤事前準備はどれくらいしていたのか⑥振り返ってみての感想Q①:滞在日数と費用A:3日間〜4日間、滞在費用と航空券で5~10万円(渡航先による)ボスキャリが3日間開催の為、前日に現地入りしている方々が殆どということでした。宿泊費を抑えるために友人と一緒にホテルに泊まったり、Airbnbなどのサービスを活用したというケースも見られました。また、場所によっては距離が離れているため、思わぬ時差ボケに悩まされた方もいたようです。遠方からの参加の場合、フォーラム参加を決意したら、早めの航空券・ホテルの確保がベターなようです。Q②:受けた企業の数A:1社〜7社少ない人だと1社だけ、多い人で7社ほど受験したようです。3日間の中でフローが進んでいくので、一度にたくさんの企業を受けるのは負担になってしまい、結果として中途半端になってしまうことにもなりかねません。事前にどこが参加するのか、どこを受ける予定なのか明確にしておくべきでしょう。Q③:就活フローはどのように進んだのかA:(2ヶ月前くらい)Webエントリー(ES、Webテスト)→(企業によっては)事前Skype→当日の面接ボスキャリの流れとして以下の2タイプ存在します。①事前にES・テスト→当日面接のみ②フォーラム当日に直撃→面接(ウォークインと呼ぶそうです)渡航前や渡航して直ぐにESの作成やウェブテストを実施するパターンの企業が多く、バタバタしている時期に準備をしなければいけなかったのが大変だったとの感想もありました。企業によっては当日面接予約を実施していない場合もあるため、ここからも事前準備が成否を分けるといっても過言ではないでしょう。Q④:周囲の学生の様子A:交換留学生よりも正規留学(長期留学)の学生が多かった。事前準備をした学生としていない学生の差が大きい事前に準備をした学生と全く準備をしていない学生との差が大きかったとの声が多数でした。「皆が行くから自分も行く」という受け身の姿勢よりも、目的意識を持って行動をするべきなのは日本の就職活動と何も変わりません。他にも日本人で海外の大学に在学している学生の割合も大きかったようです。参加者の中にはダブルディグリープログラム(日本と海外の学位を同時に取得するシステム)の方もいらっしゃいましたが、それでも企業側は正規留学生の方をより欲しがっていた印象であったようです。Q⑤:事前準備はどれくらいしたのかA:1〜2ヶ月前ほとんどがキャリアフォーラムがスタートする数ヶ月前からスタートしていたようです。渡航前に先述したレジュメの作成やWebテストを行うことはあったようですが、本腰を入れてスタートしたのは数ヶ月前からが多数派でした。印象的だったのは「留学してバタバタしていて1ヶ月前から準備したけど遅すぎた」との回答でした。フォーラムが留学して直ぐに開催の為、あまり準備をする時間がなく、なんとかなるであろう精神でぶっつけ本番で挑むことになってしまった学生が一定数いたことも頷けます。Q⑥:振り返ってみての感想最後に協力者の皆様から全体を振り返ってみての感想を抜粋して掲載します。Sさん(フランス留学中):人気の企業はだいたい正規留学生を欲している印象がありました。実際周りの人を見ても内定取れている人は正規留学生が多かったです。しかし、入念に準備していた人は交換留学でも内定を貰えていたので、準備にどれだけ時間をかけたかで決まる印象です。留学で忙しく準備に時間を割けない人は多いですが、勝負は当日よりも事前準備で決まります。ボスキャリ行く人は事前準備を頑張るといいと思います。Aさん(米国留学):留学と就職活動を同時に行うのは大変でしたが、日本にいる大学生より就職活動時期が早いため、企業からのサポートが十分得られたと思います。しかし、短期留学生にとって就職活動を勉学と同様に進めることは難しいと思います。私は2年の留学で正規生扱でしたが、それでも大変でした。余裕を持って、行動することが大切だと思います。納得のいく留学・就活を送るために冒頭での先輩の体験談にもありましたが、「留学≠就活有利」であることは改めて実感していただけたかと思います。一般的に、就職市場において有利だといわれている留学経験者。特に1年以上の長期留学経験では語学力のみならず、多様な価値観に対する理解力やコミュニケーション能力の向上も期待できます。こうしたさまざまな能力が企業側に評価された結果なのではないでしょうか。しかし一方で、長期留学を経験した人の中にも「就職活動では苦労した」という話をちらほら耳にします。主に「なかなか内定を得られず就活が長期化してしまっている」「内定を得たものの、自分が納得のいく企業ではない」などというケースです。こうした状況を考えると、留学経験は必ずしも就職活動の武器になるとは限らないようです。【失敗する特徴5つ】①語学力自慢だけ②海外では〜◯◯なんだよね(自分の主張なし)③単に長く滞在しただけ④現地での取り組みを言語化できない⑤変に自身を持っている引用:無内定の長期留学経験者にありがちな5つの特徴上記引用記事でも触れられていましたが、年々留学生の数は上昇しており決して珍しくなく、留学生だからといって市場価値が高まる訳ではありません。失敗する留学生の共通する特徴の5つを踏まえ、改めて留学と就職活動を成功させるためには以下の2つが鍵となると考えています。目的意識を持った留学を失敗する5パターンの学生の1つとして挙がっていましたが、「語学力強化」の為の留学としてアピールすることはおすすめできません。上位校のTOEICの点数は(TOEICが英語力の全てではないですが便宜上)800点以上と言われています。「私は留学していたので、TOEIC◯◯◯点で英語は話せます!」とアピールしてもそれほど響きはしないでしょう。逆に「留学していたのにこれだけしか点数取れないの?」などのマイナスに働いていしまう可能性も考えられます。留学をしていないだけでTOEIC900点や英検1級、トリリンガルの人は上位校には沢山います。たとえ語学力をアピールするにしても、「私は将来世界を舞台に営業を行っていきたいと考えています。そこでこれまで英語力を伸ばすために試行錯誤し学習に力を入れてきましたが、限界を感じました。目標であったTOEIC950点を達成するには、環境を変えて挑戦するしかないと思い留学を決意しました。留学中は〇〇や☓☓を積極的に行い、□□という困難もありましたが、△△することで目標を達成することができました。」のようにロジックをしっかりと通す必要があるでしょう(この場合も何故英語力としてTOEICを選んだのかなど疑問は尽きませんが)。留学経験は就職活動では間違いなく聞かれると思われます。「何故留学をしようと思ったのか?日本ではできなかったのか?何を現地で学んだのか?それをどのように企業で活かすことができるのか?」。目的意識を持った留学でない限り(就活において)絶対的にプラスの影響を与えるとは限りません。参考:事前に入念な準備をインタビュワーの皆様が約2ヶ月ほど準備期間に充てたと回答してくださりましたが、準備不足だったと認識するのも無理もないでしょう。<引用:>unistyleでは、面接・内定が解禁される前年の6月から翌年6月までの1年スパンでの就職活動を計画しています。もちろん人によってペースは違いますし、自己分析などは常にブラッシュアップしていく必要があります。ボスキャリが始まる11月までに一通り準備を終わらせようと思うと、非留学生よりも半年近く早く取り組み始める必要があるように思われます。冒頭でも述べましたが、上記プロセスの内、留学中の為インターンやOB訪問の実施まで手が回らないにしても・自己分析→テスト対策は最低限優先して実施しておくべきでしょう。下地が全くないなかで面接に挑むことは難しいですが、土台をしっかりと組み立てた上での実践は難しくはないと思われます。先程の学生の中には、ボスキャリでは内定が貰えなかったけれども、1月より留学先で就職活動を初めて帰国後9月に第一志望企業より内定を貰っている方もいます。まとめいかがだったでしょうか。全体を通して留学生は就職が大変だという印象を与えてしまいましたが、決してそのような訳ではありません。自分の今の生活から飛び出し、家族も友人もおらず言葉も通じない世界に一人で飛び込んでいく姿勢は、誰にでもできることではなく、そのような勇気ある資質を企業は必要としていると思われます。ただ、貴重な機会である留学を、就職活動に左右されることなく過ごしていただきたいと思いこのような記事を執筆致しました。以下が本記事のまとめになります。【本記事のまとめ】・留学≠就職活動で有利・留学生の就職活動は大きく3種類(海外フォーラム・帰国後就活・卒業を1年遅らせ就職活動を行う)・海外フォーラムで満足の行く結果を残すには→目的を持った留学をする→事前の入念な準備を心がける【留学生向け記事一覧】・・・・・ 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商社ごとの違いとは? 商社ごとの違いとは? こんにちは。16卒の総合商社内定者です。ここ数年、就活生に絶大な人気を誇るのが総合商社業界であり、Unistyle就活意識調査においても志望業界ランキングトップ、第一志望群企業人気ランキングのトップ5を五大商社が独占しています。参考:unistyle就職活動意識調査結果概要私自身も五大商社の選考を受け、幸いにも数社から内定を頂くことができました。今回はその際に感じた各商社ごとの違いを語りたいと思います。本記事のコンテンツ・企業研究に関して・内定者および社員の雰囲気・最後に企業研究に関してここ数年、商社業界は業績が良く、過去最高益を達成したニュースなどが新聞を賑わせていますね。では実際に商社業界がどのような状況になっているのか分析をしてみましょう。私は企業研究をする際にホームページに穴をあける気持ちでくまなく見ていました。特にIR情報などは印刷し、赤ペン先生のごとくペンで書き込みをし、他商社比較を行っていました。IR情報の読み解き方については下記の記事にて説明しているので参考にして下さい。URL:最後のとどめの一手「IR情報を用いた逆質問」の考え方2014年度当期純利益三菱商事4,006億円三井物産3,065億円伊藤忠商事3,006億円丸紅1,056億円住友商事▲732億円2014年度に関しては原油価格の下落により、資源分野での収益の下落が顕著に表れています。また2015年度業績予想においては三井物産が資源価格下落の影響を受け収益を落とし、業績予想においては伊藤忠商事と三井物産の順位が入れ替わると言われています。セグメント別トップ3の収益(単位:億円)三菱商事生活産業1,205、機械913、エネルギー823三井物産エネルギー1,197、金属資源609、機械・インフラ457伊藤忠商事食料1144、住生活・情報790、機械546丸紅生活産業398、輸送機256、電力・プラント223住友商事輸送機・建機498、メディア・生活関連478、金属325各セグメントにおいて安定した収益を誇っている三菱商事、資源分野というタイヤで一輪車を漕いでいる三井物産、非資源分野でNo.1を獲得した伊藤忠商事、水や電力に強みをもつ丸紅、輸送機とメディアに強みをもつ住友商事などなど...セグメント別の収益を見ると各商社ごとに注力している分野の違いがわかりますね。特に三菱商事はどの分野においても業界上位3位以内に入り、安定した強さが光ります。また学生の人気としては三菱商事ならばどの部門も人気が高く、三井物産なら資源分野もしくは機械・インフラ、伊藤忠商事なら食料、住生活・情報、機械、丸紅なら紙パルプ、電力、住友商事ならばメディア、輸送機の業務に携わりたいと考える学生が多いと就職活動および内定後に聞いた話からわかりました。注力している地域各商社のIR情報からカントリーリスクエクスポージャーという資料に辿り着き、出資額順に重点国を予想しました。また三井物産は中期経営計画に重点国を記載しています。参考までに以下は住友商事のカントリーリスクエクスポージャーの資料です。参考:住友商事「主なカントリーリスクエクスポージャー(2015/3末)」[三菱商事]中南米(チリ、ペルー、ブラジル)、東南アジア(インドネシア、フィリピン、マレーシア、タイ)、ロシア、中国、インド[三井物産]中国、インド、インドネシア、ロシア、メキシコ、ミャンマー、モザンビーク、チリ、トルコ[伊藤忠商事]中国、東南アジア(フィリピン、ベトナム、インドネシア)、中南米(コロンビア、ブラジル、ベネズエラ)[丸紅]中国、インド、ミャンマー、南米、サブサハラ(南アフリカ、アンゴラ、ケニア)[住友商事]東南アジア(インドネシア、ベトナム、フィリピン)、中国、中南米(ボリビア、メキシコ、ブラジル)、マダガスカル、南アフリカ各商社が注力している地域を見てみると中国、東南アジアに関してはどの商社も多額の投資を行っています。ただ中南米やアフリカにおいては各商社ごとに注力している国にはバラつきがあり、まだまだこれから投資先を検討していくというように感じます。三井物産がモザンビークを重点国として発表したように、これからはそれぞれの商社が力を入れているセグメントによって進出していく国が異なると考えられます。内定者および社員の雰囲気内定式も終わり、他商社の内定者と関わる機会も増えてきました。選考中にお会いした社員と選考後に会った内定者の雰囲気はそこまで相違はなかったので、それを踏まえた上で各商社の雰囲気に関して書きたいと思います。【三菱商事「社会人デビュー」】業界不動の一位で毎年高学歴かつ優秀な内定者を集めています。そして今までの人生において挫折を味わった人が少ないように感じます。中学高校の試験では常に学年上位、スポーツでの入賞経験ありなど輝かしい実績を残してきており、エリート志向が非常に強い集団です。みなさんの親の世代では「商社ならば三菱商事に入っておけば間違いない」という風に考えている人も多くいるでしょう。一方で「三菱商事内定者」という素晴らしい看板を手にした瞬間に自分はスーパーマンであると過信し、自分にできないことはないなどと考えてしまう学生が多いようです。よく高校デビュー、大学デビューという言い回しがあるように社会人デビューの色が強い会社です。【三井物産「知的体育会」】五大商社の中でも採用人数における体育会出身者の割合が一番多いことで有名です。しかし、ただスポーツをやってきただけでなく、チームビルディングなどの頭を使うことに慣れているスポーツマンが多いように感じます。その為、体力のあるインテリ集団、「知的体育会」と呼ばれる人が多く属する会社といえるでしょう。「人の三井」といわれるように一人一人に魅力があり、OB訪問を通して印象に残った社員が多くいました。【伊藤忠商事「野武士集団」】今最も勢いのある商社といえるでしょう。お酒様など伝統的な宴会芸が語り継がれていることから宴会好きな人が多いようにも感じました。野武士集団という意味では個の力を重視しており、その点では「人の三井」に似たものがありますが、品格があるかどうかは怪しいです。よく合コンでは「伊藤忠はとりあえず脱ぐ」などという格言があるようになんでもやってやるという人が多いように感じました。【丸紅「俺たち商社マン」】2014年度の業績においては業界4位になったものの、人気ではまだ業界5位であったように感じます。つまり五大商社に入りたい人がギリギリ引っかかるのが丸紅であるということです。「商社マン=勝者マン」という言葉を信じているのかわかりませんが、自分が商社マンであることに誇りを持っているようです。しかし、情熱的な人が多く、泥水を飲む覚悟ができている人が多いように感じました。【住友商事「石橋を叩いて崩れ落ちる」】石橋を叩いて渡らないといわれるほど慎重な商社として知られている住友商事ですが、ついに昨年度、資源分野において大損をしました。とはいえ住友財閥の商社であり、そのブランドの人気は根強いです。会社の場所が勝どきと都会の喧騒を外れているからかはわかりませんが、おっとりしている人が多いように感じました。最後に盛りだくさんの内容でしたが、いかがでしたでしょうか。ひとえに総合商社といっても各社で雰囲気やビジネススタイルは異なり、さらには同じ会社においてもセグメントごとに雰囲気は違うと思います。これから就職活動を迎える学生には自分の足と目を使って、会社とその中で働く社員を見極めてほしいと思います。photobyMartinThomas 62,231 views
【業務時間の15%はイノベーションの創出に充てる】丸紅の新人事制度「15%ルール」から考察するこれからの副業のあり方 【業務時間の15%はイノベーションの創出に充てる】丸紅の新人事制度「15%ルール」から考察するこれからの副業のあり方 安倍晋三首相が提言した働き方改革の取り組みに伴い、大手企業が副業を解禁し始めたことが話題になっています。その中でも総合商社の一つである丸紅が「15%ルール」という新たな取り組みを始めたのは、総合商社に興味がある人のみならず、様々な人の興味を引いたことでしょう。今回は、一部報道で「社内副業」と呼ばれている丸紅が取り組んでいる「15%ルール」という新しい形の働き方について、副業についての考察を深めながら記事にしました。最近よく聞く”副業”とはそもそも「副業」とは、最も広い定義で考えると、本業とは別に収入を得ることです。そのため、自宅での内職や株式・FX投資、ネットオークションでの販売、クラウドソーシングでの記事やイラストの作成、アルバイト、別の会社で社員として働くダブルワーク、起業など色々な副業の形があります。狭義の意味だと、本業に支障が生じたり、会社に侵害を与えるものが副業となります。一昔前までは副業は本業に支障をきたす可能性があると考えられ、本業に集中することが主流でした。そのため、副業を禁ずる企業は珍しくありませんでした。しかし、昨今企業によっては副業を解禁し始めました。なぜなのでしょうか。企業が副業を解禁し始めた大きな理由として、政府が主導している「働き方改革」による影響が大きいです。「働き方改革」とは、人口減少、少子高齢化に伴い衰退している日本経済を立て直すべく、日本の企業文化、日本人のライフスタイル、日本の働くということに対する考え方そのものに着手する改革です。労働力人口が減少する中、働き方の多様化が求められるようになり、副業解禁はまさにその第一歩となります。例えば、政府が「働き方改革」の一環で行なった「モデル就業改革」の改定と「副業・兼業の促進に関するガイドライン」の公表があります。参考:モデル就業規則について|厚生労働省副業・兼業-厚生労働省この「モデル就業規則」の改定では、以前にあった『許可なく他の会社等の業務に従事しないこと。』という規定が削除され、『労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる。』という規定が新設されました。この規定により、副業がしやすくなりました。経済不況や年金システムの危うさによる終身雇用や年金に対しての不安、クラウドソーシングの普及により、副業が身近なもので気軽に始めることができるようになっているため、今後ますます副業をする人は増えていくでしょう。このような社会的背景によって、優秀な人材はどんどん副業するようになり、仮に副業を禁止している企業があれば、優秀な人材が自社から離れてしまうリスクを抱えることになります。優秀な人材には、所属している会社を通さずに仕事が依頼されるケースがあったり、自社ではビジネスにならないが他の友人や知人、他社とであればビジネスになる話もあります。優秀な人材であれば、外部で月に数万~数十万の報酬を得る事は不可能ではありません。そのため、企業は副業を解禁することによって、優秀な人材を他社に引き抜かれる可能性を防いでいます。大手企業での副業近年では、大手企業でも副業を解禁するケースが増えてきており、リクルートやLINE、ヤフー、メルカリ、サイバーエージェントなどのIT・webサービス企業、花王、ソニー、パナソニック、日産といったメーカー業など、様々な企業が副業を解禁しています。参考:【大企業編】2018年は副業解禁元年?副業OKの会社一覧珍しい事例としては、オンラインショッピング事業を手がけているエンファクトリーは「専業禁止」という方針を掲げており、専業に加え社員自身で別の事業を持つよう推進しています。社員が副業を主業として取り組む事で、キャリアを主体的にデザインするとともに、会社にイノベーションを与える力にもなっています。また、IT企業のサイボウズでは、副業が認められていますが、本業との区別が付けづらいため、複業とも言われています。「100人いれば100通りの働き方」を掲げ、複(副)業を認めるだけでなく、複業採用を行なっています。複(副)業をしている人を集める事で、多様性のある組織となっております。企業によって様々な規制がありながらも、本業とのバランスを考慮しながら副業が行われています。副業によるメリット副業が認められるようになったのは、副業を許可することにメリットがあるからです。個人のメリットと企業のメリットをそれぞれ挙げてみます。副業をすることによる個人のメリットは、スキルや経営力の向上、コネクション構築、節税に使うことができるなどがあります。副業は個人で活動を行うものであり、より高い報酬を得るためには、個人のスキルアップが欠かせません。起業をした場合には、財務や広報、営業など全てを自分で行う必要があります。そのため、経営者としての力を身につけることができます。また、独自の情報やコネクションを得ることができ、本業に役立つよう利用することができます。さらには副業による収入により、ビジネスに関わるものを経費化できるため、税制的に大きなメリットとなります。一方、企業側のメリットとしては、社員のスキルアップや優秀な人材の確保、自立心やモチベーションを促せるなどがあります。副業を奨励することで、社員に主体性を持たせることができるため、社員が高いモチベーションで行動し、本業においても高いパフォーマンスを発揮できる傾向があります。このように、個人と企業にとってメリットが多いと考えられます。副業によるデメリットしかし、副業にはデメリットもあります。これも個人と企業に分けて考えることができます。副業による個人のデメリットは、副業に時間を取られてしまい、本業が疎かになってしまう可能性や、法定労働時間を越すことなどがあります。本業と副業の労働時間を合わせて1日8時間、週40時間以上となると、法定労働時間を超えているため、36協定の締結や割増賃金の支払いが必要となり、注意する必要があります。企業側としても、社員の副業によって取引先などに秘匿性の高い社内の情報が漏れた場合、企業の信用を失う可能性が無いわけではありません。また、社員の労働時間管理、健康管理が必要となってきます。個人としてのデメリットは本人のキャパシティーに依存する要素が大きいため、明確に副業が認められている場合、もしくは副業をしても本業を疎かにしない程度に行うことが重要となってきます。丸紅の取り組み大手総合商社の一つである丸紅では、イノベーションを促進し、新たなビジネスモデルを奨励するために「15%ルール」という勤務時間の15%を新しい事業の考案などに使うことを可能とする制度が適用されました。参考:【直撃・丸紅人事部長】「社内副業、義務付け」報道の真実丸紅は「商社の枠組みを超える商社」となるために「人材×仕掛け×時間」という柱で、イノベーションを促進する施策をパッケージ化し、実施しています。「15%ルール」では主に時間にフォーカスしており、社員一人一人が商品軸を超えたイノベーションの創出や創意工夫による業務改善を考え、行動する時間を全社的に確保するための取り組みです。担当業務にかかわらず、新たな事業や業務プロセスの企画立案に向けた活動に、業務時間の15%を充てられるようにしています。この副業ですが、本業の時間を削って社内で副業を推進しているため、副業とは言えないという考え方もあると思います。実際、丸紅も「社内副業」は本業と対比されて言われているだけで、あくまでも「15%ルール」であると言っています。そのため、本来の副業の目的が薄れ、企業のために新規事業を考えるための時間であるとも言えます。そうなってしまっては、企業が個人の考え方を奪ってしまうと捉えられる可能性もあります。ですが、この「社内副業」は丸紅グループの考え方には合致していると考えることができます。丸紅の経営計画では、世界中のプレイヤーとの競争に勝ち、地域経済や社会に貢献する企業となるために、強い「個」が集結したグループを求めています。丸紅の求める強い「個」は以下の3つです。・高い志と好奇心を持ち、常にチャレンジとイノベーションを追求する人材・自らのミッションを高いレベルで達成するプロフェッショナル人材・自ら考え、行動し、実行する主体性を持った人材参考:丸紅採用HP高い志と主体性を持って、難易度の高い課題に取り組める人材を求めていることがわかります。今回の「15%ルール」は正に丸紅の求める強い「個」をより多く輩出するための取り組みであると言えます。既存事業のみならず新規事業もますます増えていくため、皆さんのやりたい事を見つける、もしくは作り出すための環境は整っているでしょう。「新規事業に挑戦してみたいけど、ベンチャーでやるのは少し不安」と考えている人はぜひ丸紅についてもっと調べてみてください。もし皆さんが丸紅に入社を希望する場合、これらの要素が求められているのを把握した上で、さらにそれを伸ばしていく必要がある事を頭に留めておくといいですね。unistyleの見解今回取り上げた丸紅の「15%ルール」は、社員の時間の無駄を削減し、その時間を有効活用することで新たな価値を創造しようとする取り組みです。副業のデメリットであった部分を撤廃し、さらなるイノベーションを創出することは、働く社員にとっても丸紅にとっても双方にメリットをもたらすと思います。人生100年時代と言わている昨今、貯蓄を用意しておく必要性や今ある仕事がなくなる可能性がある事を明確に理解しておく必要があります。サラリーマンで本業を営み、安定した収入を得ることで安心感を得ることは可能です。しかし、これからの時代は一つの収入源だけでは安心感を得ることは難しくなると考えられます。副業は収入源を増やせるだけでなく、新しいスキルを身につけられるため、これからの時代に適応するための手段として当たり前になると考えられます。皆さんが就職活動をやっていく上で、大企業で退職まで勤め上げるという選択肢が最も現実的かと思いますが、常にその他の選択肢を用意しながら働くことも考えてみてください。副業を本格化し、独立することを許可してくれるのみでなく、サポートの段階までしてくれる企業を選ぶことも企業選びの要素にするのもありだと思います。副業を珍しいことと思わず、むしろ副業は必要なものだと考え、キャリアの選択肢を増やして就職活動を行ってみてください。まとめ副業は収入源が増えるだけでなく、個人としてのスキルアップや高いモチベーションの維持につながります。今回取り上げた丸紅の副業は本業の時間の15%をイノベーションの創出に充てる制度のため、本来の副業とは異なったものですが、高いレベルの「個」を作り出すための制度として、優れたものであると考えられます。皆さんがご自身のキャリアを考えていくにあたり、「副業」を選択肢の一つとして捉えていくことが現実的なことであることがお分かりになったと思います。パラレルワーカーになるのも一つの選択肢として、考えてみてはいかがでしょうか。 13,027 views

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