unistyle

MENU

更新情報2016/12/09(金)内容を更新しました!

週刊エコノミスト「商社の憂鬱」から考える総合商社の抱える大きなリスク

週刊エコノミスト「商社の憂鬱」から考える総合商社の抱える大きなリスク

最終更新日:2016年12月09日

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

2016年3月15日号週刊エコノミストが「商社の憂鬱」という総合商社特集でした。商社を志望する学生にとっては商社の抱えるリスクの観点からビジネスモデルを理解するのにうってつけの一冊になっていますのでぜひ購入してみて欲しいと思います。週刊エコノミストは毎日新聞出版が発行する会社経営者や管理職などを対象とした経済専門誌です。日経新聞だとストレートニュースすぎて、理解が追いつかない人にとってはストーリーとしてニュースを理解できるので、経済専門誌はオススメです。エコノミスト以外にも東洋経済や週刊ダイヤモンドなども経済を理解する入り口としてよいので、面白そうな特集がされている時には手にとって見ましょう。

週刊エコノミスト 2016年03月15日号 [雑誌]

 

順中満帆に見える総合商社ですが、水面下では様々なリスクが渦巻いていることが理解できる特集となっています。総合商社の歴史は巨額減損との戦いの歴史でもあります。総合商社の減損の歴史については下記の記事も参考にしてください。

今回は週刊エコノミストの記事も参考にしながら総合商社のリスクについて紹介していきたいと思います。

資源価格下落による決算への影響

石油価格の有力な指標の一つであるWTIはピーク時の2008年の140ドル/バレルから直近では30ドルを割る水準まで落ち込みました。また銅や鉄鉱石など様々な資源価格が下落しており、その影響で大手総合商社は各社減損を計上し、投資した試算の価格の見直しを行っています。

住友商事は昨年に続き2016年3月期の決算においてもニッケル価格の下落による減損770億円を計上しました。住友商事だけでなく各社ともに資源価格の下落による減損の影響を受けています。

エコノミストによると、順調に見える三菱商事も赤字決算の可能性があると指摘しています。最大のリスクがチリの銅鉱山の減損リスクで、2011年に25.4%を4200億円で取得したチリ国銅資源権益保有会社のアングロ・アメリカン・スール社がそれに当たります。

その後2012年に4.1%を売却しているため、4200億円全額がリスク資産として残っているわけではありませんがその多くがまだ三菱商事保有の資産となっています。ちなみにLME(ロンドン金属取引所)銅相場によると2011年1月の同価格が9533ドル/トンに対して、2016年2月の同価格は4598ドル/トンと約半額となっています。もし現状の約4000億円の投資の価値を半分程度に見直すと2000億円の減損を計上する必要があります。今期で減損を計上せずとも同価格が上昇しないかぎりは常に減損のリスクにさらされることになります。

ニッケル、銅だけでなく、石油価格も下落が激しく、鉄鉱石の価格も大きく下落しています。このように資源権益に投資している総合商社は常に減損のリスクにさらされています。

(追記)
記事執筆後の3月23日に三井物産が資源関係の銘柄の大幅減損を発表しました。合計2600億円の減損の中でも大きな割合を占めるのが、チリ銅事業の減損で1150億円に登ります。これは恐らく2011年に3000億円程度出資したチリ国「カセロネス銅・モリブデン鉱床開発プロジェクト」の減損だと考えられます。上記で紹介した三菱商事の同事業についても同様のリスクが顕在化する可能性が高いといえるでしょう。

追記後の3月24日に三菱商事も資源価格の下落から減損を発表しました。4500億円の減損を発表しましたが、うち2800億円がチリの銅山に関するものでした。

 

 


中国経済の先行き不透明感と伊藤忠が抱える巨額のリスク

2016年3月期の純利益予想でついに総合商社首位にたった伊藤忠商事ですが、首位の座も安泰というわけではないようです。エコノミストでも伊藤忠の中国リスクにはかなり触れています。伊藤忠商事は非資源分野への投資に注力しており、他社と比べると資源分野のマイナスが少なくすんでおり、その影響もあり純利益予想でトップに立つことができたといえます。

一方で中国最強商社と言われる通り、伊藤忠のリスクアセットは中国に集中しており、伊藤忠が公表している主な国別投融資保証残高によると、主要9カ国合計1兆7699億円のうち、中国は1兆1757億円と大半を占めています。これは他社と比べても異質なポートフォリオで伊藤忠のみ中国に全てをつぎ込んだポートフォリオとなっています。

中国経済が順調であればこの投資はプラスに働きますが、昨年より中国の経済環境は不透明感を増しています。中国の株価指数の一つ上海総合指数は、2015年6月に5000をつけたのをピークに2016年3月には3000を割る水準で推移しています。伊藤忠は中国最大のコングロマリットであるCITICに6000億円投資していますが、伊藤忠が取得した価格の14HKDから2月には一時30%ダウンの11HKDを切る水準にまで下落しています。CITIC買収による効果もいまだ不透明であることが言われています。今後巨額の投資に見合う利益を生み出せるのか、株価の下落による減損を受け入れることになるのかしばらくは油断ならない事態が続きそうです。

最後に

3月15日のエコノミストはここで紹介した話題以外にも、7大総合商社の内定者の学歴やバリューチェーンの虚実など読み応えのあるコンテンツとなっています。既に店頭からは姿を消している可能性があるので、取り寄せるかネットで買うなどして総合商社志望者は目を通しておくとよいでしょう。

総合商社はこの10年間利益を伸ばし、商社夏の時代を経験してきました。一方で90年代後半から00年代前半は商社冬の時代を経験し、そこでの取り組みが功を奏す形で商社の復活につながってきました。現在、順調な総合商社も上記で見てきた通り、一転するとシャープや東芝のように一気に傾く可能性がそれぞれの会社にありえます。エリート意識の帰結としての総合商社志望は危険であり、他者にどううつるかだけでなく自分自身が仕事に求めること、それと総合商社の仕事が結びつくのかもう一度考えてほしいと思います。

photo by John

unistyle編集部では、就活生に納得のいく就職活動をしてもらうための情報発信を行っています。
・公式Twitterアカウント
・公式Facebookアカウント

unistyle
新規会員登録
unistyle
unistyle
37,838枚以上の企業ES・選考情報が見放題
unistyleに無料会員登録