ANAの人事担当者から学ぶ、「泥水を飲む覚悟」とは

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最終更新日:2023年10月26日

ANAの人事担当者から学ぶ、「泥水を飲む覚悟」とは

企業研究

こんにちは、16卒の航空業界内定者です。

先日、日経ビジネスオンラインでANAの人財戦略室マネージャーのインタビューが取り上げられておりました。航空業界というと「unistyle就職活動意識調査結果概要」を参照してもわかるように就活生からも人気が高く、それ故にこのマネージャーの方も就活生に対して意識してほしいことを述べています。

今回は航空業界内定者として自らが就職活動時に得た知見も踏まえ、記事を分析していきたいと思います。下記では「泥水を飲む覚悟」という言葉が使われていますが、これは何もANAに限った話ではないので、航空業界志望でない方も是非目を通して頂けると幸いです。

本選考とインターンの締め切り情報

まずANAの社風として、以下のように述べられています。

ANAの社風や求める人物像

ANAの社風を一言でいうと何ですか。

「変化に強い、変化が好きな人が多い」というのが社風です。

たとえば、半世紀ぶりの国産旅客機となる「MRJ」やボーイングの最新鋭中型旅客機「787」の採用を決めたのもANAは早かったですし、ビジネスクラスの座席をスタッガード(ジグザグ)型に配置するスタイルもANAが初めて採用しました。
 

では求める人物像も同様ですか。

そうですね。特に総合職だとアグレッシブな人がいいですね。分解すると、いろんなタイプはいますが、主体性があって自分から動く人。そういう人が社内でも活躍しています。昨日はシンガポール支店の社員の取材に立ち会いましたが、よくしゃべる、しゃべる(笑)。前に出たがる人が多いです。

参照:「ANA、アグレッシブな人材を求む 人財戦略室の松村宏二郎マネジャーに聞く」

松村氏の語る「変化に強い、変化が好きな人が多い」という社風については、競合のJALと比較する上でも重要な参考材料となると考えます。

上記の社風を象徴する他の例としては、キャビンアテンダント(CA)の正社員化にいち早く踏み切ったことが挙げられます。スカイマーク再建支援をANAが担当することになったというニュースも記憶に新しく、最近では、需要の拡大が見込まれるアジアでのシェア拡大を目指し、アライアンスの異なるベトナム航空にANAが出資することが発表されました。ベトナム航空はスカイチームというアライアンスに属し、一方でANAはスターアライアンスというアライアンスに属しているのですが、このように別のアライアンスの航空会社に出資する事例は今回は異例かつ初となります。

人物像についても納得で、OBの就職活動時の話をそのまま引用すると「自分からいかないと受からない」とのこと。「私が私が」という姿勢がないと難しいとおっしゃっていました。
ANAの求める人物像を理解した上で、以下ではトピックにも挙げた「泥水を飲む覚悟」についても言及していきます。

ANAの面接で評価される姿勢

エントリーシート(ES)はどんなところを見ていますか。

行動の事実や自分の経験をしっかり書いてあるかを見ています。
<中略>
事実や経験を書くといっても、単発や短期間のものよりは、「日記を18年間続けています」など、しっかり継続している方が説得力もあるし、興味は湧きます。

面接はどう臨めばいいですか。

話す内容をANAが好みそうだとかを考えて、無理に合わせる必要はありません。自社に合いそうかどうか、どんな部署で活躍できそうかは企業側がよく見ています。
<中略>
総合職の面接では地道なこともできるかどうかも見ています。本社のネットワークや海外とのアライアンスを扱う部署は花形だと言われますが、仮にそこに配属になっても一生その部署で仕事をするわけではありません。ANAにはいろんな仕事があります。
言葉は厳しいですが、泥水も飲む覚悟があるか、をよく見るようにしています。

参照:「ANA、アグレッシブな人材を求む 人財戦略室の松村宏二郎マネジャーに聞く」

私自身も就職活動を始めた当時は「会社が好みそうな経験を話そう」と躍起になりましたが、松村氏も示唆する通り、大事なのは自らが何に対して継続して情熱を注いできたのかを等身大で伝えることだと思います。

また、「泥水も飲む覚悟があるか」と述べていますが、やはり就活生の思い描く会社の姿と入社してからのイメージには多かれ少なかれ誤差が生じると思います。例え自分の望まない仕事を務めるとしても、それを責任をもってやり遂げられるかということの言い換えとして「泥水を飲む覚悟」とおっしゃっているのだと思います。

その覚悟を測る一つの指標として、「継続力」が見られているのだと感じます。その他評価される姿勢は会社によって様々かと思いますが、基本的には以下の記事にまとめられるとおりだと思いますので、参考にしてみてください。

会社や業界をフラットに眺める重要性

航空業界の総合職というと、海外に商談で旅立つビジネスマンを支援したり、フライトスケジュールを組んだりといった花形の仕事を私達就活生は想定しがちだと感じるのですが、一方で飛行機が遅れた場合のクレーム処理も仕事の一環です。

キャビンアテンダントであれば、搭乗者に対するおもてなしで日本の良さを伝えられる・海外との架け橋になれるといった憧れが先行しがちですが、飛行機で酔ってしまった方の対応といった飛行機内の不測の事態・リスクは低いですが飛行機事故と隣りあわせといった側面もあります。

ANAや航空業界にかかわらず、私達就活生は「自分のやりたいこと」を押し出して内定を獲得していきますが、同時に「自分のやりたくないこと」に対する覚悟も必要でしょう。

説明会では良い面ばかりがフォーカスされがちですが、OB訪問等を活用して会社や仕事をフラットに見る姿勢も忘れないようにすべきだと思います。

終わりに

華やかなイメージが先行しがちの航空業界ですが、憧れだからとりあえず受けるといった安易な姿勢で選考に臨むと入社後にギャップに苦しむことになるのではないかと思います。

自分の成し遂げたいことを達成するフィールドの一つの選択肢として航空業界が存在し、メリット・デメリットを踏まえた上で航空業界を志望すべきなのではないかと思います。強い意志と覚悟を持って選考に参加し、そのような方々と一緒に働けることを楽しみにしています。

航空業界の中での比較としては、以下の記事を参考にしてください。

photo by Martin Thomas

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リアビジョンが明確な方ほど、それに近づきやすい会社なのではないかと思います。鈴木さん:コツコツ地道な努力ができる人だと思います。職種上、何度直してもエラーが出たり、それを解消するための地道な作業があるので、そういったことに興味をもって前向きに取り組める人が向いていると思います。__お二人は大学時代にデータ分析に興味をもっていて、その流れでジールに入社したかと思いますが、実際に周囲にはデータ分析を専門的に勉強したことのある学生が多いのか、反対にデータに関する知識が浅い人も入ってきているのか、いかがでしょうか?鈴木さん:理系でないとこの会社に入れないかと言われれば、まったくそんなことはありません。私の同期も入社当初は知識が浅い状態でしたが、サポートがあるので大丈夫だったと言っていました。言ってしまえば手ぶらで来ても勉強できるので、知識面に関しては問題ないと思います。山本さん:私もデータの高度な知識はいらないと考えています。私がジールを選んだ理由の一つでもありますが、社内教育の環境が整っているうえ、入社後の3か月間の研修で、配属後も問題なく業務に取り組めるようなプログラムがあるためです。サポート体制が整っていて、リモート勤務でも孤独感を感じず、常に気にかけてくれる誰かがいると感じますし、部署全体でそうした面倒見の良い雰囲気があるため、そこがジールの良いところです。モチベーションの源泉は「チームの温かさ」__コツコツやること、そしてチャレンジを常に考えることがジールで働くうえで重要になってくるのですね。その仕事のモチベーションの源泉は何になるのでしょうか。鈴木さん:PJメンバーだけに関わらず、「みんなで頑張っていこう」という協力的な雰囲気がモチベーションにつながっています。特に私は1年目、エラーを起こしてばかりだったのですが、「自分で起こしたエラーは自分で解決してください」ではなく、それに対して先輩がフォローしてくれ、一緒に解決してくれました。そうした温かい経験が嬉しく、自分もいずれ同じように後輩のミスや悩みをカバーできるよう頑張らないとと思い、努力のモチベーションの源泉となっています。山本さん:コミュニケーションが頻繁に取れ、みんなで同じ方向に向かって頑張っていることを感じられるのはモチベーションになっています。私はもともとみんなで向き合って仕事をして……というスタイルが好きだったので、フルリモートでコミュニケーションが減ってしまうという状況下で、認識の齟齬などが発生するのが怖いと感じていました。しかし、リモートの状況下でも自分から積極的にコミュニケーションをとろうとし、またそれを受け入れてくださる環境があるため、コミュニケーションが十分取れ、チーム一丸となっているのを感じられるのはチャレンジへのモチベーションになっています。二人が伝えたい就活生へのメッセージ-自己分析が何より重要-二人が見つめるそれぞれの未来__大きな成長を感じる2年間を踏まえて、今後ジールでどのようなキャリアプランを描いていらっしゃいますか?山本さん:医療統計の分野に進んでいきたいと考えています。いずれ医療統計に関する資格を取って、上司に伝えるつもりです。資格取得に関する制度が社内で整備されているのは資格取得のモチベーションになっています。医療統計の分野は今盛り上がっている分野ではあるのですが、そこに自分が勢いをつけるという形で、将来的に自分がその分野を引っ張っていきたいと思っています。鈴木さん:セミナー講師などでアウトプットする機会をいただくようになってきましたが、私はまだまだ技術的にも、お客様とのコミュニケーション面でも「できないことがたくさんある」と感じている時期です。できない部分を今後、地道にコツコツ伸ばしていきたいと思っています。今、IT業界を目指す人へのリアルなアドバイス__IT業界を志望している就活生向けに、実際に就職したお二方から意識した方がいいことや、メッセージがあればお伺いできますか。山本さん:業界分析はもちろんなのですが、一番やってほしいのは自己分析だと思っています。自分が何をやりたいからデータを分析したいのか、ということももちろんですが、自分が例えば10年後どうなりたいかを大まかに決めたうえで、そこから段階を踏んで、自分がまず何をすべきなのかというのをしっかり考えてほしいと常に思っていますし、そこに合致する会社を選ぶべきだと思います。鈴木さん:私も自分をよく分析することが大事だと考えています。電車に乗っているときなど、日常の中で自分が好きなことや興味のあることを考え、思いついたときに携帯にメモしていました。たくさん思いついたものの中で、自分に一番太く結びつくものが絶対出てくると思うので、それを見つけていくことが大切だと思います。取材後記DX業界にチャレンジする際に感じがちな「興味はあるものの、データ分析という高度な知識を扱うのは、自分ではついていけなさそうだ」という不安も、制度の面、そして人間関係の面からも、サポート体制が充実しているジールであれば、感じる必要がないことが分かったのではないでしょうか。今回はジールに入社2年目にして活躍する鈴木さん、山本さんにお話を伺いました。そんなジールは現在24卒向けのエントリー募集を開始しています。本記事を通じて同社に興味を持った就活生は、下記の応募フォームから是非エントリーしてみてください。選考への応募はこちらから 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”長時間労働=ブラック(?)”〜何を基準にブラック企業とするのか〜 ”長時間労働=ブラック(?)”〜何を基準にブラック企業とするのか〜 「この企業ってブラック企業なのかな?」企業研究を進めていく中で「ブラック企業なのかホワイト企業なのか」は就活生にとって大きな関心の的の一つではないかと思われます。私自身も友人と就活トークをする中で必ずと言っていいほど話題に上がります。加えて、先日参加したインターンで企業側から「ウチは世間一般から見ればホワイトだよ」と言われたことから、企業側としても「ホワイトかブラックか」は関心の的である事が伺われます。中でも「ブラック」は「ホワイト」よりも関心の的であるように思われます。「働き方改革の一環で就労時間が〜」というフレーズはインターンに参加したことある方は一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。その一方、多くの学生が「ブラック(ホワイト)の定義」が曖昧なようにも思われます。本記事ではブラック(ホワイト)企業とはそもそもどのようなものなのか、またそのような情報との正しい付き合い方について考察を深めます。本記事の構成▶そもそもブラック(ホワイト)企業とは?▶”ブラック”=個人の価値観×先入観(?)▶新卒の離職率とブラック▶情報にどのように向き合うべきか▶まとめそもそもブラック(ホワイト)企業とは?そもそもブラック企業の定義とははどのようなものでしょうか。「ブラック企業定義」で検索すると多くの定義がヒットするので、代表して厚生労働省HPの労働条件のコラムから引用します。厚生労働省においては、「ブラック企業」について定義していませんが、一般的な特徴として、①労働者に対し極端な長時間労働やノルマを課す、②賃金不払残業やパワーハラスメントが横行するなど企業全体のコンプライアンス意識が低い、③このような状況下で労働者に対し過度の選別を行う、などと言われています。参考:厚生労働省労働条件「ブラック企業」ってどんな会社なの?如何でしょうか。おおよそ多くの学生が「ブラック=長時間労働」と捉えているのではないでしょうか。他にも「上からのパワハラ」なども多く耳にしており、定義に比較的近い考えをしているようにも思われます。ブラックバイトとブラック企業加えて、アルバイトに関する”ブラック”もよく耳にします。「飲食はブラック」「塾講師はブラック」などに始まり、アルバイトを選ぶ際に”ブラック”は重要な基準の一つになっていることかと思われます。では同様にブラックアルバイトの定義を見てみます。ブラック企業になぞらえ、2013年(平成25年)に、中京大学国際教養学部の大内裕和教授が提唱した。これは、学生・生徒の労働法規に無知なのを捉えて残業代そのものの不払いや割増賃金不払い、休憩時間を与えない、不合理な罰金の請求など、労働基準法に違反して学生や生徒に、違法な長時間労働をさせたり、契約内容と違った業務をさせたり、厳しいノルマを課したり、高校や大学の試験期間であっても休ませてくれないなど、扱いが酷いアルバイトのことである。参考:Wikipediaブラックバイトブラックバイトを英訳するとexploitativepart-timejobs(搾取的なアルバイト)となり、よりイメージが湧きやすいと思われます。「テスト期間中なのにシフトがある」「休憩がない」などは確かにブラックアルバイトの定義に沿っていることが伺えます。この点を踏まえて改めて、ブラック企業とアルバイトとの共通点を洗い出すと、2点の共通項を見出すことができます。ブラック企業(アルバイト)の共通点①(不当な)長時間労働②上からの不当な扱い(パワーハラスメント)厳密には異なりますが、『ブラック企業の定義=ブラックアルバイトの定義』で間違いないと思われます。就活生が、企業に思い描くブラックはおおよそアルバイトに対して持っていた考えと同義であると言えるでしょう。しかし、疑問が1点残ります。②のパワーハラスメントは昨今急激に注目されており、ニュースやSNSで企業のパワハラを毎週のように耳にしているので、想像に難くありません。一方で不当な長時間労働とはどの程度のことを指しているのでしょうか。「夜通し24時間働く」「有給がとれない」などの極端な例はブラックだと言い切れます。”ブラック”=個人の価値観×先入観(?)長時間労働について考察を深めるためにまずは労働時間に対する基本知識を復習します。労働条件に関する基本知識●法定労働時間は8h/日・40h/週●36協定(労働基準法36条)により、時間外労働を課す場合は労働基準監督署に届け出をしなければならない●1年間の時間外労働の上限は360時間とする上記を参考にすると、時間外労働時間は一ヶ月あたり30時間までということになります。一ヶ月20日働くと考えた場合、一日あたり1.5時間までということになります。朝9時から勤務が始まると仮定すると18時半には帰宅できるという計算です(休憩時間は除いています)。加えて、面白いことにOECDによると日本の労働時間の平均値は2280h/年(世界22位)と比較的低い数値になっています(1位はメキシコの2257h/年)。OECDの記載については下記に提示しております。この結果だけ見ると、”日本人=働き過ぎ”は間違った認識かもしれません。もちろん平均値であり、長く残業の多い企業から全く残業のない企業まであるでしょう。注意しなければならないのは、日本の労働ランキングは正規雇用に加えて、非正規雇用・短期労働などのパートタイムワーカーを含んだ値であるので、平均値として低く計上されている可能性も否めない点です。非正規雇用の割合は年々増加しており、平成29年度の非正規雇用の割合は37.3%と高い数値を示しています参考:厚生労働省非正規雇用OECDは「OrganisationforEconomicCo-operationandDevelopment:経済協力開発機構」の略で、本部はフランスのパリに置かれています。第二次大戦後、米国のマーシャル国務長官は経済的に混乱状態にあった欧州各国を救済すべきとの提案を行い、「マーシャルプラン」を発表しましたが、これを契機として、1948年4月、欧州16か国でOEEC(欧州経済協力機構)が発足しました。これがOECDの前身にあたります。その後、欧州経済の復興に伴い1961年9月、OEEC加盟国に米国及びカナダが加わり新たにOECD(経済協力開発機構)が発足しました。我が国は1964年にOECD加盟国となりました。参考:経済産業省OECDとは長時間労働はブラックなのか先日参加したインターン先2社から改めてブラック企業について考えさせられました。▶A社(日系IT)・勤務時間は9:00〜17:00・残業は部署と月によるが、夜通し行うようなことはない▶B社(外資系金融)・勤務時間は7:30〜17:00(マーケットの開閉が関係するため)・繁忙期には夜通し働くことも(通常期でも平日飲み会はできないほど忙しいと仰っていました)先にA社に参加していた私は、B社のインターンに参加した際にあまりの労働時間と激務に驚き「噂通り外資はキツくてブラック要素が大きいのかな」と感じてしまいました。一方でA社もB社の社員も(特にB社の社員は)自分の仕事内容について楽しそうに話してくださり、キャリアプランや自身の趣味について熱く語ってくれました。確かに、労働時間をブラック企業の基準にするならば、B社はA社と比較して労働時間がはるかに長くブラック企業ということになります。この経験から、”労働時間が長い=ブラック”と安直に考えていた自分を反省すると同時に改めてブラック企業について考えさせられることとなりました。ブラックは個人の価値観に左右される?B社の例を通して労働時間が単純にブラック企業を決める要因にはならないことにご理解頂けたかと思います。就活生側のブラックの基準として個人の価値観と先入観が強く影響を与えているように思われます。▶よくあるイメージ・噂の例・商社は体育会が多く飲み会も多い・外資系は実力主義で人間関係もドライ・「30代で家が建ち、40代で墓が立つ」と言われる某企業・民間の面接で公務員志望と答えると落とされる以上は就職活動を通してよく聞く”ウワサ”の一例です。上記はあくまで噂の範疇であり、実態は実際に務めている人から聞いたり、インターンシップを経験しないと見えてこないと思われます。『百聞は一見にしかず』という諺を誰もが知っている反面、”噂”に左右される面が大きいように感じられます。上述したB社は外資系でしたが、とてもドライな雰囲気とはかけ離れており、むしろ参加したインターン企業の中で一番フレンドリーな印象でした。ここから、ブラック企業を決める定義も個々人の価値観と先入観に左右されていると思われます。何時間働きたいとか給与はこれぐらい欲しいなど、個々人の満足する点・重要視する点は異なっており、ある基準点を超えなかった場合(あるいは超えた場合)ブラックと決めつけているのではないでしょうか。新卒の離職率とブラックマリッジブルーならぬ内定ブルーという言葉が示している通りなのか、”新卒の3割が3年で辞める”と耳にしています。転職や中途採用数の増加が近年の社会現象になりつつある中、新卒の3割が3年で辞めるのは30年前から変わらない問題だそうです。参考:「新卒社員の3割が3年で辞める」はなぜ30年間変わらないのかでは、何故転職を行うのか、その理由を示したのが以下です。初めて勤務した会社を辞めた理由(トップ4)①労働条件・休日・休暇の条件がよくなかった(22.2%)②人間関係がよくなかった(19.6%)③仕事が自分に合わない(18.8%)④賃金の条件がよくなかった(18.0%)参考:厚生労働省平成25年若者雇用実態調査の概況もちろん企業がブラックだったからという項目はありませんでしたが、退職の理由として労働条件や職場環境が原因として伺えます。結果を見ている中で「〜よくなかった」という形で回答を受け付けている点が引っかかりました。「〜よくなかった」ということは、当初自分が期待していた水準とのギャップとの差が影響を与えていると考えることができます。もちろん択一式の回答方法なので、「よくなかった条件」にバラつきがあることは否定できませんが、理想とのギャップが退職の一因となっており、決してブラックだったから退職というわけではないように思われます。情報にどのように向き合うべきかある企業について詳しく知るには、実際に勤めている人の話を聞くとかインターンシップに参加するに越したことはありません。もちろん全ての企業のインターンに参加したり、話を聞くのが理想ですが、ある程度は情報に頼らなければならない場面も生じてきます。バイアスがあると割り切る知人などと「◯◯のインターンどうだった?」とやり取りする場面であってもある程度の話者のバイアスがかかっていると割り切るべきでしょう。例えば先ほど提示したA社のインターンでも筆者と知人との間で認識の相違がありました。A社インターン●私(筆者)・社員からのフィードバックが手厚かった・開催期間は少し長く感じた・志望度が上がった●知人・フィドバックは思ったより少なかった・開催期間が長すぎた・志望度は少し下がった同じ日程・場所で参加したインターンシップでさえ感想がこれほど異なりました。同様のことがインターネットなどで拾ってくる情報にもいえるでしょう。ここから、自身の価値観を優先しつつ、「〜(の価値観では)ブラック企業なんだね」程度に情報を捉えるのがベストではないでしょうか。サンプルが増えると誤差がなくなる統計学を学習したことがある方はもちろんのこと、経験がない方でも「サンプルの数≒信頼度」のイメージはあるのではないでしょうか。先ほど、言伝の内容には大小ある程度バイアスがかかっている事を認識していただきました。先ほどA社を例に感想の相違を示しましたが、あくまでサンプル数(n=2)である事に注視していただきたいです。これはあくまで2人だけの感想であり、フィードバック・開催期間などの感想も、参加した全インターン生の意見を聞かない限り、より普遍的な意見を導き出すことはできません。同様にある企業について調べていく中で、より多くの情報に触れることで共通項なるものを見出すこともできると考えることができます。まとめ本記事では、ブラック企業を決める要因とは何であるのか、またそのような情報との付き合い方について考察を深めました。本記事のまとめ●ブラックの定義は学生のイメージとマッチしている●個人の価値観がブラックの基準になっている●見聞きした情報にはバイアスがあり絶対の基準ではないSNSの発達から個人の意見がより世間一般に広まるようになった影響からか、多くの企業が”ブラック企業”の風評に気を遣うようになってきているように思われます。加えて、働き方改革の推進も合わさって、より企業の透明化が進行しているようにも感じられます。”ブラック企業”否かは就活生にとって今も昔も関心の的であることには変わりがないでしょう。しかし、主観が大きく影響を与えていることを念頭に置いておけば、それほど難しく考える必要はないかもしれません。参考:元社員が語る「楽天の営業」とは〜ブラックと言われる企業に勤めて〜(前編):「裁量が大きい」「風通しのいい」会社とは何か?就活界の5つのマジックワードを徹底解説 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【20卒体験談】まちづくりをしたい私が”デベロッパー”ではなく”鉄道会社”を選ぶまでの話 【20卒体験談】まちづくりをしたい私が”デベロッパー”ではなく”鉄道会社”を選ぶまでの話 この度unistyleにて記事を投稿させていただくことになりました、20卒の内定者です。はじめに簡単な自己紹介をします。・都内の大学院に通う修士2年の学生・土木工学を専攻し、まちづくりに興味をもった状況で就活をスタート・最終的に大手私鉄会社に内々定まちづくりの会社ときくと、多くの方は真っ先にデベロッパーを思い浮かべるかと思います。もちろん、私も最初はデベロッパーを志望していましたが、最終的には鉄道会社を選択することになりました。今回は、なぜまちづくりをしたい私がそのフィールドとして”鉄道会社”を選んだのかについてお話できればと思います。本記事の構成なぜ鉄道業界を選んだのか大学院生の効率的情報戦略さいごになぜ鉄道業界を選んだのかまちづくり≠デベロッパー就職活動を開始した修士1年の6月頃、人の生活の基盤となるまちづくりに携わる仕事に就きたいと私は漠然と考えていました。とはいえ、それだけではどの業界を見ればいいのかさえ定まらず、夏インターン選考のES〆切が迫ってくる中で、一足はやく就職活動を終えたM2の先輩に相談してみると、こんな返事が返ってきました。「‘まちづくり’だと示す範囲がひろすぎる。もう少しその中で何がやりたいかを明確にした方がいい。」確かにその通りで、多くの業界(行政、ゼネコン、デベロッパー、鉄道会社、建設コンサルタント、etc)が何かしらの部分でまちづくりに関わっており、その関わり方はオーバーラップしている場合もあれば全く異なる場合もあります。例えば、法律や制度という観点で関わりたければ行政、実際にものをつくるのであればゼネコン、プランニングであればデベロッパー、といった具合に業界によって活躍できるフィールドが異なります。不動産業界の仕事は大きく分けて開発/販売・仲介/管理という3つに分類することができます。(中略)ハウスメーカーは住宅デベロッパーとも呼ばれますが、その名の通り住宅の開発を行っています。この「住宅デベロッパー」ような特定の分野での開発を行う会社は専門デベロッパーと呼ばれています。対して総合デベロッパーは住宅に限らずショッピングモールやリゾート地などの大規模な開発を行なっており、「街づくり」を担っていると言えます。参考:上流計画から出来上がりの部分まで関わりたい6月の段階では、まちづくりのどの部分に関わりたいのか明確に定まっておらず、また各々の企業がどのように関わっているのかの理解(企業研究)も浅い状態でした。そこで、夏インターンでは各業界研究を目的とし、「まちづくり」をキーワードに様々な業界の企業のインターンに参加しました。様々な企業のインターンに参加していく中で、まちづくりの上流(構想、プランニング)から下流(建設、マネジメント)まで全てに関わることのできるデベロッパー業界に興味を持ち、夏の終わり頃にはデベロッパーと鉄道デベに志望が固まっていました。中でもデベロッパー業界に惹かれた理由は大きく次の2点になります。どんなまちをつくるのか、というプランニングの部分に携わることができる実際に建物を建てた後、それで終わりではなくその先のマネジメントの部分にも関わることができるデベロッパーへの違和感、鉄道業界という選択夏のインターンを経て、デベロッパー・鉄道業界が第一志望となった私は、その2業界に絞って就活を進めていきました。しかし、OB訪問や説明会など企業研究等を進めていくうちに、自分の中でデベロッパーに対して違和感を持つようになりました。違和感の原因を突き詰めてみると、自分自身の就職活動の軸とのズレが原因であるとわかりました。そもそも、私は企業選びの軸を大きく2つ持っていました。1点目は地域スケールでの面的なまちづくり、2点目は中長期的な視点でのまちづくりです。大学・大学院と土木工学を専攻していたことで、目立たずとも人々の生活を身近なところで支える公共性の高い社会インフラの重要性や、社会インフラの開発における中長期的なものの見方の大切さは学んでいました。また、まちづくりに関しても単に建物を建てるだけではなく、地域単位でどのようなまちにしていくべきかというマインドが体に染みついていたことも企業選びの軸設定に影響があったと思います。そういった点で、不動産の開発がメインであり、建物の資産価値を高めることで高い収益性を出していき、開発エリアがある意味限定されないことから、投資・開発・回収を比較的短いサイクルでかつ様々な場所で展開していくデベロッパーは、私の中では、点的で短期的なまちづくりであるように感じられてしまいました。一方で、鉄道や不動産、生活サービスといった多様な事業領域の総合力を活かし、建物自体ではなく沿線地域全体の資産価値をあげることを主目的として、中長期的な視点で面的な開発を進めている鉄道会社に、より魅力を感じるようになりました。開発エリアが限定的という欠点もありますが、地に足のついたまちづくりをしていきたいと考えていた私にとっては、沿線から逃れられないという部分はむしろプラスに働きました。大学院生の効率的情報戦略就職活動はある意味婚活?に近いものであり、数ある企業の中から如何にして自分と相性の良い企業を見つけるか、が大事だと考えていました。例え同じ業界で同じような業務を行っていたとしても、社内の雰囲気などは企業によって大きく異なるということは、先に就職された方々にお話を伺うと明確でした。一方で、企業との接点の持ち方も多様な形態があり、研究と就活を両立させる必要のあった私にとっては、如何にして効率よく情報を収集していくかが重要なポイントでした。そこで、数ある情報媒を自分なりに分類(下表)し、各企業における現状の理解度と照らし合わせながら、次にやるべきことを明確にて実行しました。例えば、夏インターン選考では、簡単な企業研究とインターンで何を得たいのかを明確にしておけば十分なので、選考前に説明会やHPをみて、その企業の基本的な情報は押さえつつ、簡単にその企業でどのような仕事がしたいのかのイメージを持っておきます。そして夏インターンで興味のある部署がどのような業務に取り組んでいるのか理解するのと同時に、社員の方とコネクションを作ります。夏にコネクションを作っておくことで、私の場合、秋以降は社員訪問を多く行い、自分のやりたいこと、その企業でできることをより具体的にしていきました。こうすることで、本選考の際のより踏み込んだ質問に対しても自信を持って答えることができました。さいごに選択した私鉄会社が果たして正解だったのか言われると、私自身答えはまだわかりません。もしかしたら数年後に今の選択を後悔しているかもしれませんが、そもそもまだ働き始めてすらいません。複数社から内定を頂き、どこを選択するか悩んでいた時、ある企業の人事担当の方がおっしゃっていたことが今でも記憶にのこっています。何が正しいのかで選ぶのではなく、選んだ先があなたにとって正しく、むしろ正しかったといえるように努力をすることが大事だ。未来を予測することはできても、未来を当てることはできません。新卒カードはもちろん貴重なものではあるので、人生の大きな節目となる就職活動は慎重になると思いますが、いつだって頑張るのは現在だと思います。【参考記事】・・・・ 35,590 views

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