外資系メーカー内定者が政府系機関ではなく民間企業を選んだ理由

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最終更新日:2023年10月27日

外資系メーカー内定者が政府系機関ではなく民間企業を選んだ理由

16卒で外資系メーカー内定の早慶女子です。
「海外と関わりながらグローバルに働きたい」と考えて就職活動を始めた私にとっては、当初はJICAやJETROのような海外事業関連の政府系機関も、海外展開に積極的な民間企業のどちらも魅力的でした。(JICA、JETROにJBICを加えた3機関は政府系機関の中でも"3J"と呼ばれ、海外関連の業務が非常に多く、海外志向の強い就活生からの人気も高いのです。)

結局、最後の最後まで迷った末に私が民間企業を選ぶ決定打となったのは、政府系機関と民間企業の「働き方」や「ビジョン」における大きな違いでした。
特にこれら3Jはグローバルに働く環境も整っているため、最近では商社などの人気業界と併願する就活生も多いようです。しかし「グローバルに働ける」という共通点を持っていながらも、政府系機関と民間企業ではかなり性質が異なる部分が多くあります。
私自身も就活を進めていく上でだんだんとそうした違いに気づき、自身の性格や適正を考えると民間の方が合っていると感じたため、最終的に民間企業を選びました。

本コラムでは、私が就活を通じて感じた「政府系機関(特に3J)と民間企業の違い」についてご紹介したいと思います。政府系と民間の両方に興味をもっている就活生の皆さんにとって、少しでもご参考となれば幸いです。

参考:
国際協力機構(JICA)の企業研究
日本貿易振興機構(JETRO)の企業研究 
国際協力銀行(JBIC)の企業研究

本選考とインターンの締め切り情報

公的機関と民間企業の3つの違い

①パブリックマインドがあるかないかの違い

政府系機関においては、常に「パブリックマインド」が根底にあります。例えば、どのような事業を行うにあたっても、「政府関係組織で働く者としての自覚」や「その事業が本当に日本の国益にかなうのかどうか」などという意識が必要だということです。また扱う案件もほとんどが国単位で規模も大きく、ダイナミックな仕事がしたいと思っている人にはぴったりかもしれません。それに対し民間企業では、表面的な言い方にはなってしまいますが「自社の利益にかなうかどうか」が最も大きな判断基準となります。一方で、すべての事業において国民に責任説明を果たさなくてはならない政府系機関に比較すると「社員一人ひとりのアイデアや意見がよりスピーディーに形になりやすい」と思います。こうした根本的な意識の部分から、政府系機関と民間企業の性質は大きく異なっているのです。
政府系では「社会で本当に必要とされている事業にじっくりと取り組む」ことができ、民間では「ライバルと張り合いながら自社の事業をより成長させていく楽しさ」を味わうことができるともいえるでしょう。

②利益追求型のビジネスモデルかそうでないかの違い

先ほどの①ともよく関連していますが、事業の目的が「自社の利益追求」かどうかという点も、政府系と民間の大きな違いです。
例えば、独立行政法人であるJICAでは、日本のODA(政府開発援助)の実施機関として、"同組織の利益になるかどうかには一切関係なく"発展途上国への支援業務を行っています。一方で民間企業においては、CSR(企業の社会的責任)活動である場合などを除き、自社の利益を上げる活動でなければ基本的にビジネスとして成立しません。そのため政府系機関のみを志望する就活生の志望理由には「利潤追求型ではないビジネスに魅力を感じた」といった内容が目立ちます。

③給与体系の違い

上記の①と②のような違いに加えて挙げておきたいのは、両者の給与体系の違いです。
政府系機関の給与は基本的に公務員のそれと変わりありませんので、民間企業に比較すると実は少し低いものだといえます。JICAの説明会に参加した際に給与の話になると、「みんなが思っているほど低くないよ」という話を毎回されてしまい、逆に「そんなに低いのか」と思ったことを覚えています。
仕事のどこにやりがいを感じるかはもちろん人それぞれですが、入社してから「こんなはずではなかった!」ということのないように、一度は志望企業の福利厚生をホームページなどで確認しておくことをお勧めします。

まとめ

いかがでしたでしょうか。これまで見てきた政府系機関と民間企業の違いは一部分にすぎず、他にも異なる部分は多くあると思います。私自身も就活開始当初は「グローバルに働ける環境」という視点のみで政府系・民間の区別なく就職先を考えていましたが、最終的には「自分のアイデアや意見を活かせる環境でスピーディー働きたい」という結論にいたり、民間企業を選択しました。人によって企業選びの軸はそれぞれですので、自分にはどちらが合うのか、自分はどちらの働き方のほうがやりがいを感じられるのかをよく考えることが必要だと思います。
就活生の皆さんも、これからセミナーや説明会などに積極的に参加することで、自身の肌感覚として「会う会社・組織」を見つけていただければと思います。

photo by StateofIsrael

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費やします。一方、そのようなゼミで忙しい学生に限って、サークルなど他のことを疎かにはせず、自分で時間を作りだしてうまくスケジュールをやりくりしているケースが多い印象があります。就職活動中にも、スケジュールを確保しつつ限られた時間内で行動量を増やすことは重要であり、優秀ゼミの学生の多くがそれができる素質を持っていることも一因だと思います。参考:優秀ゼミが就活でも強い理由5:努力ができる主体性を持った人材が育ちやすい個人的にはこれが最大の要因ではないかと考えています。就職活動では自身の過去の経験に基いて質問が投げかけられることが多いのですが、ゼミという一コミュニティーでの活動を意欲的に取組み、その環境で努力し(エグっ)ている人はそうでない人より魅力的に感じられるのは自然な捉え方だと思います。また、課題の多さや共同論文の執筆といった活動が目立つゼミでは、何らの形でゼミ全体として成果を残そうとしているところが多い印象があります。一人ひとりが自身の役割を明確にして、ゼミという組織に対してどう貢献できるかを考え、それに対して主体的に行動できる。この素質は仕事をしていくうえでも重要であるため、学生時代から組織のメンバーとしての役割を果たす経験をしてきた人は就職活動でも評価されやすいと考えています。また、人気ゼミの話からはやや逸れますが、"あえて"ゼミに入らない層も就職活動で強い傾向にあると考えています(勉強したくないからといった理由は別です)。実際多くの学生が「みんなが入るから」「就活での学業のネタ作り」程度の理由でゼミに入るという選択をしており、そのような何となくの選択よりも在学中に打ち込めるものがある人は評価が高まりやすいでしょう。では、倍率の高いゼミに振り込むべきなのか?このような話をしていると人気ゼミに入るインセンティブが働いているような気がするのですが、多くの大学・学部では全員が希望したゼミに入れるわけではないと思います。当然人気ゼミは入ゼミ倍率が高く、場合によっては一度・二度と落ちたらほとんど"いい"ゼミが残っていない、もしくはそもそもゼミに所属できない"ノンゼミ"状態になってしまうというところもあるでしょう。では、そのリスクを負ってまで倍率の高いゼミに振り込むべきなのか。もちろんそのゼミに対する思い入れも含め人それぞれといってしまえばそれまでですが、筆者は自信が無ければ高倍率のゼミは避けた方が無難というスタンスを取っています。人気ゼミを避けた方がいいケース1:ゼミ試験の"採用基準"の曖昧さ入ゼミ試験であれ採用試験であれ、受け入れる側は採用基準を設け入ゼミ/入社の可否を判断しています。もちろん企業の採用基準はそれぞれなわけですが、総合職に求められる素質はある程度共通しており、一社内定した人が次々と他社の内定を勝ち取っていくということが往々にしてあります。新卒採用担当の方の話を聞くと、外資系コンサルや外資系投資銀行の内定を持っているような優秀な学生が欲しいということをよく聞きます。このように他業界で評価された人材であれば優秀なはずとして、内定があることをさりげなく伝えると高く評価されることがあります。参考:一方、営利団体である企業とは異なり、目標やゼミとしての成功に対する考え方はそれぞれであることから、採用基準が満たせるかどうかはより運要素が強いと考えています。そもそも、「女子だったら全員合格」「〜〜団体に入っていればコネで絶対に入ゼミできる」といったように、就職活動ではまずあり得ない採用基準を設けているところも多いと思っています。対策してもどうしようもない要素が多いぶん根拠なしに高倍率のゼミに振り込むことはリスクが高い選択と言えるでしょう。参考:人気ゼミを避けた方がいいケース2:「どのゼミか」よりも「ゼミに入っているか」所属ゼミについては就職活動でエントリーシートでも書く欄があることは多いのですが、そのゼミ名自体で評価をしている企業はほぼないと言っていいと思います。先述した小林ゼミぐらい有名になれば何か有利に働くことはもしかしたらあるかもしれませんが、基本的にゼミ名が採用に直結するということはありません。それよりも、所属ゼミ欄が空欄だと面接でそこを突っ込まれることがあります。人気ゼミに入っているというプラスよりもゼミに所属していないというマイナスの方が大きかったりもします。もちろん、ゼミに所属していない理由を採用側が納得するよう説明できれば問題はありません(ゼミに所属していることがスタンダードだという捉え方にもやや問題がある気もしますが)。人気ゼミを避けた方がいいケース3:生存者バイアスに基づくアドバイス人気ゼミに所属する先輩から入ゼミについてアドバイスを求めると、「倍率なんか気にせず入りたいゼミを受けなければ後で絶対後悔するよ」といったように、高倍率でも気にせず受けることを勧める人の方が多いと思います。しかし、こういったアドバイスはあくまで入ゼミ試験を突破したもの、すなわち生存者バイアスに基づくアドバイスに過ぎないという事実は認識しておくべきでしょう。ゼミ員からすれば志願者を増やし自分が所属するゼミをより人気にしたいと考えるでしょうし、アドバイスされた人が仮にゼミ試験に落ちたとしても何か責任を問われるというわけではありません。「誰が」そのアドバイスを述べたのかを相手方の立場・意図に沿って把握することはゼミ試験に限らず就職活動でも重要です。アドバイスを鵜呑みにするのではなく、あくまで参考として自分の頭で考えるためにも、特にこの生存者バイアスについては認識しておくべきだと考えます。最後に所属するコミュニティーは就職活動結果に影響を与える面は多いのですが、先述の通り「このコミュニティーに所属していれば即内定」ということはほとんどなく、過度にそれを気にし過ぎることは無いと思っています。ゼミであれ企業であれ、「どこに行くか」以上に「そこでどう活躍していくか」という方が大事だったりもするため、結局は自分自身の行動次第でよりよい結果に導くことは可能です。本記事を皆さんのゼミ選びの考え方として役立てていただければと思います。なお、就職活動に不安があるという方には就職エージェントneoがおすすめです。アドバイザーからは、自分の就活の軸に合った企業選びを手伝ってもらえるだけでなく、その企業のエントリーシート・面接といった選考対策のサポートを受けることができます。少しでも興味のあるという方は、下記の画像をクリックしてサービスを利用してみてください。 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安定した大企業に就職する学生におすすめしたい10%起業とバーベル戦略 安定した大企業に就職する学生におすすめしたい10%起業とバーベル戦略 自分自身の実力もわからない中で、最初から起業やスタートアップ、ベンチャー企業に飛び込むのではなく、まずは大企業に就職しようと考えている人は多いのではないでしょうか。一方で、近年は予測できないような激しい変化が頻繁に起こる時代であり、東日本大震災により大きな影響を受けた東京電力、事業不振から海外資本の傘下になったシャープ、会社主導による不正に揺れる東芝・三菱自動車など、一個人ではどうしようも出来ない予測不可能なリスクが起きてしまう時代です。参考:勝ち組企業に内定したと思ってる学生は「ブラック・スワン」を読んでおこうこのような不測の事態に備える一つの考え方として、最近読んだ本である「10%起業1割の時間で成功をつかむ方法」と参考にしているブログ記事の「安定した大企業に就職するならブラックスワン対策に「バーベル戦略」がお勧め」の2つを紹介しながら説明したいと思います。10%起業1割の時間で成功をつかむ方法参考:安定した大企業に就職するならブラックスワン対策に「バーベル戦略」がお勧めキャリアにおけるブラック・スワンの実例ブラック・スワンとは上記のコラムでも紹介しましたが、以下の様な特徴を持つものです。異常であること(過去に照らせば、そんなことが起こるとは思われず、普通に考えられる範囲の外側にあること)とても大きな衝撃があること異常であるにもかかわらず、人間生まれついての性質で、起こってから適当な説明をでっち上げて筋道をつけたり、予測が可能だったと思うようなこと引用:「ブラック・スワン」P4よりそして、以下のようなエピソードに代表されます。七面鳥がいて、毎日エサをもらっている。エサをもらうたび、七面鳥は、人類の中でも親切な人たちがエサをくれるのだ、それが一般的に成り立つ日々の法則なのだと信じ込んでいく。政治家の連中がよく使う言葉を借りるなら、「一番の利益を考えて」くれている、というわけだ。感謝祭の前の水曜日の午後、思いもしなかったことが七面鳥に降りかかる。七面鳥の信念は覆されるだろう。(中略)七面鳥は、昨日の出来事から、明日何が待っているか推し量れるだろうか?たぶんいろいろわかることはあるだろう。でも、七面鳥自身が思っているよりも、わかることはちょっと少ない。そして、その「ちょっと」で話はまったく変わってくるかもしれないのだ。引用:「ブラック・スワン」P88より私たちが生きている世界においては、キャリアの分野においてもブラック・スワンが散見されます。学生時代から優秀で評価も高く外資系投資銀行に入社したものの、1年目から日本法人が撤退したためにリストラされてしまう人もいます。近年では2016年にバークレイズが日本を含むアジアの株式業務から撤退しています。参考:英バークレイズ、日本含むアジアの株式業務から撤退東日本大震災の前までは超優良安定企業として有名だった東京電力も、震災後は収入は減り世間の風当たりも非常に強くなりました。電機産業については、シャープ、ソニーが事業不振からリストラを敢行しています。切り捨てSONYリストラ部屋は何を奪ったか不正会計で揺れた東芝、燃費データの不正で揺れた三菱自動車などの事例もあります。このような事例についてはいくら個人として優秀でもコントロールできない上に、運が悪ければ誰にでも起こりうるブラック・スワンだといえます。10%起業・バーベル戦略とはどういう考え方かこのようなブラック・スワンに対処する考え方が10%起業であり、バーベル戦略です。10%起業は紹介した本に詳しいのですが、要約すると安定的な大企業での仕事は確保しながら、残りの10%なり15%なりの時間と資金をリターンの大きいサイドプロジェクト(起業)に振り分けることです。バーベル戦略も同様にローリスク・ローリターンの大企業の仕事に85%〜90%の労力を割きながらも残りの10%〜15%をハイリスク・ハイリターンのプロジェクトにつぎ込む戦略のことです。安定的な大企業での仕事を着実にこなしながら、勤務後や週末の時間を使い、起業できるようなアイディアを形にしていくのが10%起業やバーベル戦略の考え方になります。勤めている安定していると思っていた大企業が揺らいだ時に、サイドプロジェクトで得た知見でキャリアアップの転職をしたり、サイドプロジェクトを事業として立ち上げるということも考えられるでしょう。具体的なサイドプロジェクトの例実際にサイドプロジェクトから大きく立ち上がったサービスや企業も少なくありません。元々unistyle自体も創業者二人が安定的大企業に勤務しながら事業の案を考えて、サイドプロジェクトとして走らせていたものを事業化したものになります。有名なサービスでは最近CMを打ったマネーフォワードも、勤務しながらプロトタイプを週末に作成していたようです。松本大社長に提案しても、やはり書面での説明になりますから、いまいち伝わりづらいですし、私たちもそこまで自信を持っているわけではありませんでした。だからまずはモノをつくろうと。今でも強く思うことですが、アイデアのみでは1%の価値もないですから、とにかく「つくろう」とテスト版の制作にかかりました。ただ、当初は私も瀧もそれぞれの会社に籍がありましたから、フリーで活動していた浅野千尋、今は弊社のCTO(最高技術責任者)に就任していますが、彼が中心となり、知り合いにも声をかけまくって週末にひたすら作業していましたね。参考:高田馬場のワンルームで起業/辻マネーフォワード社長(1)GREEについても、元々は当時楽天に勤務していた田中社長の個人的な趣味として運営していたものがきっかけになっています。2000年2月、楽天に入社。個人間オークション、ブログ(楽天ブログ)、アドネットワーク(アフィリエイトプログラム)、プロダクトレビューを始め、さまざまな新規コンシューマ向けインターネットサービスの企画・開発を行う。2003年の冬から個人的な趣味の一環としてソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)GREEの開発を開始。2004年2月にはGREEを一般公開し、個人サイトとしてサービスを開始。10月には楽天を退社する。参考:wikipedia田中良和(実業家)学生が在籍しながら立ち上げたfacebookなどのサービスも10%起業・バーベル戦略の一例ということができます。もちろん自分自身で立ち上げて行うだけでなく、友人・知り合いが立ち上げたスタートアップを勤務後や週末に手伝うといったことも立派なサイドプロジェクトの一つだといえます。事業がうまく立ち上がり、これなら自分のリソースを100%かけてもいいと判断できるタイミングでその会社にジョインするのも十分にありでしょう。このように安定的な自分の立場は確保しながらも、残りの時間で大きくリターンの得られるプロジェクトに投資するのは安定した大企業に勤めている、勤めようとしている人こそ、ブラック・スワンに備えてやるべきことであるといえます。10%起業・バーベル戦略のメリット基本的に10%起業やバーベル戦略に大きなデメリットは存在しません。もちろん副業規定に抵触しないようにするであったり、所属する会社と競合してしまい利益相反になるような事業を行わないように気をつける必要はあります。また趣味や自分の時間は失われますが、そういった時間を失ってでもやりたいと思えることをサイドプロジェクトにすることが、継続する上でも実際に自分のためになる上でも大事なことだといえます。サイドプロジェクトのメリットは少なくありません。サイドプロジェクトの時間を捻出するためにこれまで以上に仕事に対する時間意識が強くなり早く効率的に仕事を終えようと思うはずです。今まではいやいや上司や取引先の言いなりになっていたものが、サイドプロジェクトをやることにより仕事の意識が変わり、主体性を持って今の仕事に取り組める様になるでしょう。何よりも主体的に誰かと自分たちのアイディアを形にしていくのは非常に楽しく興奮を与えてくれるものです。もちろんサイドプロジェクトをやるそもそもの目的であるブラック・スワンに備えるということにもつながります。サイドプロジェクトは失敗したとしても自分のリソースの10%に過ぎません、10%を費やして得られた知見や関係性で十分元が取れるでしょう。最後に大企業は安定していると言っても例外といえる事象が次々に起こってしまう時代の中で、ブラック・スワン的なリスクにも主体性を持って対処することは仕事をする人全てにとって重要になってきました。大企業にしがみつきながら何も起こらないように祈りながら(もしくはリスクに気づかずに何も考えないようにしながら)過ごすのも一つかもしれませんが、出来る限り自分の人生に対して、自分でコントロールしたいものです。今回ご紹介した考え方を参考に自分ならどうするかぜひ考えてみください。photobyThoroughlyReviewed 19,547 views
ゴリゴリ理系化学部→広告代理店へ|理系就活を辞めたワケ【unistyle24卒インターン生就活体験談vol.6】 ゴリゴリ理系化学部→広告代理店へ|理系就活を辞めたワケ【unistyle24卒インターン生就活体験談vol.6】 こんにちは。24卒のインターン生です。突然ですが、皆さんはスキルや専門性など、これまでの延長線上で就活しなければならないと思ってはいませんか?もちろん、自分のなかで納得できているならそのままでいいですし、やりたいことから逆算してスキル・専門性を磨いている方は、素晴らしいと思うのでこれからも励んでいただければと思います。ただ、「何となく違和感はあるけど、これまでやってきたことがもったいない気がする、、」「特にやりたいこともないから、このままの延長線で就活すればいいや、、」そう感じてる方はいませんか?僕は、理系オブ理系(化学系・応用化学専攻)から、全くの異分野である広告代理店に就職を決めた身として、上記のように感じてる就活生に対し「本当にそれでいいの?」と問いたくて、この記事を書いてみました。少しでも心あたりのある方は当記事を読んで、一緒に自分の将来について考えていきましょう!関連記事本記事の構成筆者のプロフィール理系に進んだ背景・化学部はこんなことやってます・学部選びの背景・実際に大学で学んでどうだったか就活時に考えたこと・強烈に違和感を感じたエピソード・「就社活動」はしたくない・自分の好きなこと・嫌いなことはなんだろう・これまでの延長線上で仕事をしないといけないのかなぜ理系から広告代理店へ文系就職した?・マーケティングの仕事がしたい・事業会社vs支援会社最後に・自分が感じた違和感を大切にしてほしい・キャリアを考える際におすすめな本筆者のプロフィール僕のプロフィールは以下の通りです。◆性別:男性◆大学:MARCH◆アルバイト:長期インターン・カフェ・デリバリー・スーパー◆志望業界志望変遷:メーカー→IT(SaaS)→広告(デジタルマーケティング)◆性格好奇心旺盛で興味範囲が広く、色んなものを知りたい欲が強い単純作業やじっとしていることが幼少期から苦手◆現在大学4年生、大手インターネット広告代理店へ入社予定理系に進んだ背景・化学部はこんなことやってますまず、そもそもなんで理系に進んだのか、大学で実際にどんな勉強をしていたのかを簡単に紹介します!学部選びの背景「理系に進んで将来こんなことがしたい」なんてものはなく、一言でいうと「なんとなく」理系に進みました。というのも、中学から理科が好きで、成績も他の科目はだいたいオール3だけど、理科だけ5を連発といった感じでした。その中でも特に化学が好きで得意だったので、高校も化学の成績だけやたらと高い。親に理系へ行くことを勧められ、当時心理学に興味があって文系のほうがいいなと薄々感じてたものの、化学が好きだし、他の理数科目も嫌いじゃないし、理系のほうが潰しが効く。将来のことを大して考えてなかった当時の自分は親の意向に流されるままに、自己決定感のない選択をしました。実際に大学で学んでどうだったかでは実際にどんな学生生活だったか、各学年ごとのカリキュラムとともに紹介します!1年生:化学・物理・数学について基礎的な内容で高校の続きを学ぶ感じ、後期から毎週の実験が必修になり3年後期まで続く、ちなみに必修の実験レポートは1つでも出しそびれると一発留年。2年生:てんこ盛りの必修授業とテストで前期はフルコマ状態、オンラインじゃなきゃ死んでました。3年生:1,2年でちゃんと単位とってた人は少し暇になり、やっと遊べると思いきや就活が始まる。1,2年でちゃんと単位を取れなかった人はちらほら留年します。後期から研究室単位のゼミが始まる。4年生:1年間の卒業研究。無機材料(化粧品や半導体の原料)の研究をしていました。なにかと理由をつけてサボったけど週4稼働。夜まで居残りすることはあまりなかったので、これでもホワイトなほう。ざっくりですが、こんな感じでした!ちなみに、他大の化学・生物系の人の話を聞いていると、これでもまだ楽なほうかと思います笑(卒業研究で週5フルタイムはザラにある)やってみて、「思ってたのと違う」が一番感じたことでした。まず考え方の部分でいうと具体的には、想像<論理の世界で、考える視点が高校化学と比較して非常にミクロ。扱う化学現象そのものや社会の影響イメージがイマイチピンとこないということです。高校までは、化学現象を頭で想像しながら、それを数式やデータを用いて考えていく、例えるなら「右脳と左脳を往復しながら考える」ことが好きだし得意だったと、大学で気づきました。単純に勉強不足では?と言われたらそれまでですが、僕はこれがあと2年も増えると考えると院進しようと思えなかったし、研究職につくのはなおさら無理だと感じました。今振り返ると文系就職をした一番最初のきっかけはここからだと思います。また忙しさの面でも、僕と同じようになんとなく理系に進んだ人は意外と多くて、文系の友達を見て後悔する学生もちらほらいました。ちなみに男ばっかりなイメージはあるかもしれませんが、化学系は理系の中で女子は多めで、男女半々くらいだったのが不幸中の幸いといったところです笑就活時に考えたこと・強烈に違和感を感じたエピソードそんなこんなで理系就職に違和感を感じ始めていた僕が、就活を進める中で考えたことや感じた違和感について以下でお伝えしていきます。「就社活動」はしたくない今でも鮮明に覚えている、就活時に強烈に違和感を感じた出来事がありました。それは、とある企業の説明会におけるキャリアセミナーのパートの冒頭で「新卒就活は結婚活動と同じです」というフレーズを聞いたときでした。オンラインでの説明会でしたが「え、違うでしょ、、」と思わず声に出てしまいました。まるで新卒入社の会社を一生添い遂げるパートナーとして捉えるような考え方。「それって恋愛したことないのに結婚相手決めろって言ってるのと同じじゃない?」と違和感のあまり、説明会を途中退出しました。この考え方を完全否定するつもりはありませんが、好奇心旺盛で色んな環境に触れてみたい自分にとって、明らかに不適合なものでした。加えて変化の激しい今の時代、会社がずっと面倒をみてくれるわけもなく、ベテラン社員の退職勧奨も現に行われているという状況です。結果的に定年まで勤め上げることができたとしても1つの会社に依存する状態って精神的にかなり苦しいのではないかと思います。このような経験もあって、自分が会社に依存しない状態を実現しやすい業界・企業に就職することを、優先度高く設定して就活を進めていくことにしました。自分の好きなこと・嫌いなことはなんだろう「会社に依存したくない」これを自分がこれから働く上でのキーワードのひとつとして就活を進めていこうと決心した僕は、「それで、何がやりたいんだっけ」と次なる壁にぶちあたります。やりたいことなんて明確にありませんでした。きっと多くの就活生もそうなんじゃないかなと思います。僕ももれなくその一人。なのでやりたいことは考えてもわかるものじゃないと思った僕は、今後もおそらく変わらないであろう「好き・嫌いなこと」から考えることにしました。やりたいことは明確じゃないけど、好き嫌いは明確にある。好きなことが、やりたいことや得意なことに繋がりやすいのではないか、そう考えました。これはある本を読んだのをきっかけに思い至ったのですが、それは最後に紹介します。好きなことは「こと」とあるように動詞で考えます。「もの(名詞)」ではありません。「好きなもの」はその時その時で変わりやすいものだと思うからです。そしてもっといえば、好きなことの中でも勝手にやってしまうことが、今後も変わらず好きなことであり、やりたいことや得意なことへ、より繋がっていくのではないかと自分なりに考えました。これまでの延長線上で仕事をしないといけないのかここまでの「会社に依存したくない」価値観や自分の好き嫌いについて考えていった結果、やはり研究職やメーカー(マーケ職は別)にも、あまり就職したいと思っていない自分に気づきました。でも、まだ迷っていました。理系なので専門性を活かして就職。が、いわゆる定石です。実際に半分以上が院へいくし、確かに院に行けば6年間専門性を磨いてることになり、食いっぱぐれることはよほどないです。でも安定にそこまで魅力を感じないし、やりたくないことのためにやりたくないことをやるのは、しんどいです。学部卒でメーカー就職しても院卒ほどではないがある程度は有利です。でも正直就職したいと思っていないし、学部選びのとき以上の後悔(自己決定感のない選択)をしそうだと感じました。そこで「化学系だからメーカー就職しないといけないんだっけ?」「そもそも過去の延長線上で仕事しないといけないんだっけ?」と思い至りました。理系の素養も抽象化すれば、他の領域でも活かせるはず。これは理系に限った話ではなく、あらゆる領域でいえることだと思います。例えば、データをもとに定量的に考える力、論理的思考力、定数と変数(変えられるものと変えられないもの)を分けて考える力、仮説検証の考え方、これら等が挙げられます。このように思い至った結果、僕は理系の専門性を活かした就活を辞めました。なぜ理系から広告代理店へ文系就職した?まさか広告代理店へ就職するなんて、正直言うと就活を始めた頃には1ミリも考えていませんでした。「広告なんて鬱陶しいから、ないほうがいい」とさえ思っていました。そんな僕が、なぜ広告業界を志望したか、理系で培った素養をどう活そうと考えたか、簡単ですがお伝えしたいと思います。マーケティングの仕事がしたい元々「広告なんかないほうがいい」なんて思ってたほどなので、もちろん広告を作りたいという動機では志望していません。志望した一番の理由は、マーケティングの仕事がしたいからです。きっかけは長期インターンの経験でした。マーケティングの仕事をしたいと思ったのは、主に以下の3つのポイントです。①考え方がおもしろい②理系の素養を活かしやすい③業界の成長性(デジタル領域)①考え方がおもしろい広告はかなりクリエイティブなイメージを持たれるかもしれませんが、実際は意外とロジカルです。人の感情・行動を想像する右脳的な側面と、想像とデータをもとに論理的に施策等を考える左脳的な側面がマーケティングにはあって、この2つの側面を往復していくその考え方が僕はおもしろいと感じました。②理系の素養を活かしやすい先程の「右脳と左脳の往復思考」はまさに僕がこれまで学んできた化学の考え方と似ています。(科学現象を想像し、理論や数式に当てはめて考える)加えて前パートでも述べた、定量的に考える力、論理的思考力、定数と変数を分けて考える力は文系職全般に応用が効くと思いますが、特にマーケティングの考え方において、これらの力は真価を発揮できると僕は考えています。③業界の成長性・変化の速さ(デジタル領域)これは特にデジタル領域の話になります。インターネットが浸透してデジタル化が進むことは不可逆な流れなので、今後も成長性は高いと考えています。高い成長性=場数やチャンスが巡ってきやすい環境であるといえるし、なにより好奇心旺盛な自分にとって業界の変化スピードが速いことは魅力的でした。事業会社vs支援会社とはいえ、マーケティングの仕事は事業会社のマーケティング部でもできます。新卒でどちらから始めるか悩みました。なぜ広告代理店という支援会社の立場を選んだのか、ポイントは以下の3つです。①好奇心旺盛&視野を広げたい②特定の関わりたい製品やサービスがまだない③新卒での枠が狭い①好奇心旺盛&視野を広げたい自社の商品にひたすら向きあう事業会社とは異なり、支援会社ならば様々な業界やプロジェクトに関わることができます。好奇心旺盛な性格で、特に20代は様々な業界・プロジェクトを通して視野を広げていきたい自分にとってピッタリだと思いました。②特定の関わりたい製品やサービスがまだない様々な業界・プロジェクトに関わりたいとはいえ、自分が本当に世の中に広めたいものであれば、それにひたすら向きあう仕事もしてみたいと思っています。ただそのような単なる「好きなもの」を超えたものが、自分の中でまだ見つかっていません。③新卒での枠が狭いこれは、これから事業会社マーケ志望の就活生にも一度は考えてほしい観点です。ほとんどの事業会社のマーケ職における新卒採用枠は毎年若干名程度、そもそも新卒で募集していない企業も多いです。新卒で募集していない企業は、一般的に営業職などを経てから社内異動することによって職務に就きます。企業の方針にもよりますが、そこまでに早くても3~5年は掛かったりするので、新卒からマーケティングに携わりたいのであれば僕は支援会社という選択をおすすめします。関連記事最後に自分が感じた違和感を大切にしてほしい僕がこの記事で最も伝えたかったことは、自分が感じた違和感を大切にしてほしいということです。「せっかく理系出たのにもったいない」と言われたこともありますが、はっきり言って「違和感感じてるのに進むほうが今後の人生も踏まえてもっともったいない」です。今まで自分がかけた労力や時間を否定するように感じるかもしれませんが、それは思い込みです。加えてこれまでにお伝えしたように、抽象化すれば何かしらに活かすことはできるので、今までの労力は無駄にはなりません。キャリアを考える際におすすめな本僕が大学生から始めて最も良かったと思うものが読書です。おまけですが、本記事に関連する3つのおすすめ本を紹介します。RANGE(レンジ)知識の「幅」が最強の武器になる:知識・経験の幅広さの重要性を説く本。自分の気質に近い人やアイデアを仕事にしたい人におすすめです。DarkHorse(ダークホース)「好きなことだけで生きる人」が成功する時代:好きを仕事にしたい、キャリアや人生って逆算して考えないといけないの?と感じてる人におすすめです。苦しかったときの話をしようかビジネスマンの父が我が子のために書きためた「働くことの本質」:先述した好きな「こと」で自己分析するきっかけとなった本です。シンプルに就活のやる気でるのでおすすめです。関連記事 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