業界内時価総額日本一!化学メーカー信越化学工業に文系学生も注目すべき

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最終更新日:2023年10月30日

業界内時価総額日本一!化学メーカー信越化学工業に文系学生も注目すべき

企業研究

信越化学工業などの化学メーカーは、一部の文系学生からは人気のある業界です。しかしながら、三菱化学、三井化学、住友化学などに比べて、信越化学工業を受ける学生はやや少ないようです。


実際、過去実施したunistyle就職活動意識調査でも、文系学生約700名のうち化学メーカー各社を志望する学生数は三菱化学53名、三井化学49名、住友化学43名、信越化学工業28名という結果になっています。これは、三菱三井住友という財閥のイメージや知名度によって差がついているように思います。

 

もちろん、何となくイメージや知名度だけに振り回されるのではなく、例えば売上や利益など各企業の財務数値をしっかり調べて企業研究をしているという方も多いことでしょう。さらに皆さんが企業研究を進めて行くと、財務数値と同様に、「時価総額」という指標も良く耳にするようになると思います。

(※時価総額とは、上場企業の株価に発行済株数をかけたもので、企業価値を評価する際の指標です。時価総額の大きさは企業規模や業績のみならず、資金調達力を読む指標にもなります)

 

日本の化学業界において時価総額第1位の企業は、三菱でも三井でも住友でもなく、実は信越化学工業です。塩化ビニル樹脂や半導体シリコンなどの分野では世界トップシェアであり、海外売上高比率も72%と業界随一のグローバル企業でもあります。


三菱三井住友を受けるつもりの文系学生の皆さんが、信越化学工業を受けないのは非常にもったいないことです。また、そもそも化学メーカーを見ていないという方も、次に紹介する企業選びの軸に合致するのであれば、ぜひ化学業界も視野に入れてみてはいかがでしょうか。


なお、理系対象のインターンも現在募集しているため、理系の方についてもぜひ就職先として検討してください。

(※本コラムは信越化学工業株式会社のPR記事です)

本選考とインターンの締め切り情報


信越化学工業などの化学メーカーを志望する文系学生の企業選びの軸

①「日本の技術力を世界に発信したい」

日本の強みとして多くの人が挙げるのは、メイドインジャパンの技術力や品質の高さではないでしょうか。自社製品が世界中で求められ、また、ユーザーから信頼されている様子を見て、自分の仕事にやりがいを持つ方も多いことでしょう。また、日本のプレゼンスを向上させたいといった軸と関連付けて、総合商社などと併願する学生も多くいるようです。


②「人々の生活に密着した仕事に携わりたい」

上記と同様に、普段身の回りに溢れる製品に自社の素材や技術が用いられていることにやりがいを感じられるという方もいるのではないでしょうか。金融など無形の商品を扱う業界に比べて、化学業界は自社技術の活用事例を日常生活で頻繁に目にすることがあるため、そこに喜びを見出す方もいるでしょう。


③「自身のアイディアを製品に反映できる仕事がしたい」

クライアントと協力して新製品の開発に携わることも化学メーカーの醍醐味だと言えます。消費財メーカーであれば自社製品の普及が営業のミッションになりますが、化学メーカーの営業はクライアントのニーズと自社の技術とをうまく結びつけることが求められます。

自身のアイデアを形にして他者に価値を提供することや、新たなイノベーションの担い手となることに魅力を感じる方にも、化学メーカーを見て欲しいと思います。


信越化学工業が求める人材・向いている人

信越化学工業に限らず化学メーカーは、営業先のメーカーと自社開発部門との橋渡しとなり、立場の異なる人々をまとめ上げて、新たな製品の開発につなげられる人材を求めていると言えます。


下記、採用ホームページの社員インタビューを抜粋しています。現場で働く社員の姿を垣間見ることができますので、参考にしてください。

>> 一番印象に残っている仕事はなんですか?

5年間サンプル供給を続けてきたある顧客の新製品にて、当社がファーストベンダーとして採用され量産になったことです。品質や納期など顧客の厳しい要求を、技術部門や製造部門と一緒に乗り越えていくのは非常に大きなやりがいとなります。半導体材料では顧客認定という独特の制度があり、顧客の製品にファーストベンダーとして採用されることが非常に重要です。セカンドベンダーでの参入は、品質や価格面で非常に大きなハードルがあります。地道にサンプルワークを続け、顧客のビジネスが軌道に乗り、結果として当社の製品の売上も増えるというのは営業部門としては格別の喜びです。

信越化学工業採用ホームページより)

なお、信越化学工業では豊富な手元資金をもとに今後3年間で総額3,200億円の設備投資を予定しており、海外でのプロジェクトに携わる機会も多くあります。そのため、まったく文化の異なる土地で手腕を発揮するために、精神的にタフであることも求められます。


大学を横断したイベントの企画や運営、社会人との交流など、立場や価値観の異なる人々と協力してことを成した経験を持ち、また、そこに強いやりがいを感じる人にはおすすめの企業です。


入社後のキャリアプランについて

事務系(営業、管理部門)では、入社後3~5年を目途に、3人に1人くらいの割合で海外赴任や海外プロジェクトに携わるとのことです。技術系(研究、生産技術など)でも、8~10%程度の社員が海外で仕事をしています。

少数精鋭の人材育成方針の下、過去には、入社1年目から大きな取引先の担当を任され、2年目にして今では誰もが目にしたことのあるような製品をクライアントと二人三脚で作り上げた社員もいます。


入社して間もない頃から大きなクライアントや案件を担当することで、自らの能力やスキルをじっくりと磨いていけることは、信越化学工業など歴史ある大手企業に就職することの意義の一つかもしれません。


最後に

就職活動では、表面的なイメージで事前に受ける会社や業界を絞ってしまうのではなく、自分の経験からどんな仕事が向いているのか大まかに考えてみて、当てはまる業界をどんどん受けていくことをおすすめします。


ちなみに、信越化学工業の採用担当の方は文系出身で、「若手の内から、大きな権限と責任の伴う仕事に携わりたい」という軸で就職活動を行い、総合商社なども見ながら信越化学工業に出会ったとのことです。

文系学生の皆さんは、化学メーカーを敬遠してしまう方も多いようですが、食わず嫌いせずに就職先として検討して欲しいと思います。化学業界を理解することで、川上から川下に至る産業界のつながりを理解することができ、視野が広がることと思います。

なお、現在、信越化学工業では理系対象のインターンを募集しています。本記事は文系学生向けでしたが、理系の皆さんは是非お申し込みください。

photo by Martin Thomas

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「GAFA」、ネット広告やITサービス系の企業を志望している就活生なら必ず一度は耳にしたことがあるでしょう。これは、Google、Amazon、Facebook、Appleの4社を総称した言葉です。この4社の登場によりビジネスの世界だけでなく、私たちの生活も大きく変化しました。実際に、Googleで検索したり、Amazonで商品を購入したり、Facebookで友達の近況を見たり、そうしたことをAppleのiPhoneで見る、というのが私たちの生活の当たり前になっています。さらに、IoTという言葉が登場したように、今後はどんなモノにもインターネットが接続される時代になっています。「私はメーカー志望だからGAFAは関係ない」なんて言っていられなくなります。志望業界を問わず、全就活生の最低限の基本知識としてGAFAについて分かりやすく説明していますので、ぜひご一読ください。本記事の構成GAFAとは?Google世界最大の広告主であるGoogle。その収益の86%を占める【検索連動型広告】のビジネスモデルとは?Amazon世界最大のECサイトであるAmazonが赤字?その赤字を生むビジネスモデルの背景にはあるカラクリとは。Facebook23億8000万人(2018年12月31日時点)のユーザーを誇る世界最大のSNSであるFacebookだが、若年層のユーザー数減少の危機に直面中?Apple世界中に熱狂的なファンを抱えるApple。iPodやiPhoneなど次々と革新的な製品を生み出してきたが、主力のiPhoneの販売台数が伸び悩む。なぜGAFAがここまで成長できたのか?GAFAの敵がついに出現!その正体とは?GAFAの今後の展望は?次のビジネスは自動運転で確定か?最後にGAFAとは?GAFAとはGoogle、Amazon、Facebook、Appleの4社を総称した言葉です。ビッグデータを応用した巨大IT企業であるこの4社の登場により、ビジネスの世界のみならず私たちの生活も大きく激変しました。その経済規模は、4社合計の時価総額約3兆ドル(約330兆円)というとてつもない数字からもわかるかと思います。日本の国家予算の約101兆円(2019年度)に対して、GAFAの時価総額はその3倍を超える規模となっています。また、イギリスの国家予算を超えて世界第5位となり、大国並みの影響力を発揮するようになりました。【参考】4社で時価総額3兆ドルITの巨人「GAFA」の支配はどこまで続くのか(GLOBE+/朝日新聞)ここからは、大国並みの経済規模にまで成長したGAFAの「創設から現代に至るまでの沿革、事業領域、特徴やビジネスモデル、GAFAの敵、今後の展望」を簡単に説明していきます。Google主な事業領域:「検索」「検索」というインターネットを使用する際に必要な工程にプラットフォームを整備し、どんなときでも誰でもが通る「インターネットの入り口を作った」という点がGoogleの成功の最大の要因だと考えられます。Googleの検索機能にはChrome・翻訳・GoogleMapなどがありますが、その中でもGoogle最大の強みが検索におけるページランク技術です。【ページランク技術】とはページランク技術(PageRank)は、検索ワードに対するウェブページの重要度を決定するためのアルゴリズム(算法・計算式)であり、評価の高いページを上位表示するために用いられている中心的な技術。検索だけでなく動画や音楽の分野ではYoutube・YoutubeMusicなど、通話・テキスト分野ではGmail・メッセージ、仕事の効率化を図る分野ではドキュメント・スプレッドシート・GoogleDrive、日常生活で役に立つフォト・連絡先・カレンダーなど、ユーザー体験を向上させています。また、ソフトウェア・サービスだけでなく、ハードウェアにも注力しており、GooglePixel・Andoroid端末などのMadebyGoogleデバイスではAppleと対抗するほど売り上げを伸ばしています。【参考】Android搭載機の世界出荷台数、2014年は10億台突破する見通し、Gartnerの予測(日経×TECH)ビジネスモデル【検索連動型広告】ユーザーの検索に応じて最適な広告を表示するシステム広告収益が主な収入源で、Googleの収益の約86%を広告収益が占めています(2018年第一四半期)。このひとりひとりのユーザーにとって最適な広告を表示するために、Googleが収集したビッグデータを活用し、ユーザーにとって最も有益な広告を表示することで、広告主の企業としても効率の良く広告を出せるようになっています。アメリカでは、インターネット広告の売上をGoogleとFacebookの2社が独占しています。2019年のアメリカでのデジタル広告費6.3兆円に対して、GoogleやFacebookを含むトップ10がアメリカデジタル広告費の77%を占めています。また、2017年にはGoogleとFacebookの2社が世界のデジタル広告費の約61%を占めています。【参考】Google、広告が好調で増収増益:「AIファースト企業に」(Yahooニュース)TotalMedisAdRevenue2017/statista米国の今年上半期のデジタル広告費は6.3兆円、伸びは鈍化(TCスクール)沿革創設者:ラリー・ペイジ、サーゲイ・ブリン1995年:スタンフォード大学でラリー・ペイジとサーゲイ・ブリンが出会い共同経営者として検索エンジンを開発1998年:Google設立・法人化2001年:Googleグループを設立2004年8月19日:株式公開(NASDAQ)「世界中の情報を整理し、世界中の人がアクセスできて使えるようにすること」というミッションのもと、世界中の数十億のユーザーに数百というプロダクトを届けています。2019年度会計第三四半期(9月30日締め)では、売上高は前年同期比20%増の404億9000万ドル(4兆4500億円)となっており、Googleがその事業を順調に拡大していることがわかります。【参考】グーグル親会社Alphabetの第3四半期決算、20%増収--利益は予想下回る(ZDNetJapan)Google:これまでの歩みと現在Amazon主な領域:「購買」Amazonは、ECサイトであるAmazon.comを運営しています。誰しもが毎日行う「購買」というフェーズにプラットフォームを構築しました。【EC】とはECとはElectronicCommerceの略称で、日本語では「電子商取引」と呼ばれます。ネットワーク上で、商品やサービスを売買するビジネスのことを指します。Amazonの主な事業は以下の3つがあります。①EC事業②アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)③広告事業消費者目線ではECサイトでの利益がAmazonの営業利益の大部分を占めているように思えますが、実際にはEC事業の割合はそこまで大きくはないです。2018年のAmazonの売上高は2328億ドル(25兆6000億円)であるのに対し、EC事業による利益は52.8%に過ぎまぜん。残りの収益はアマゾン・ウェブ・サービス(AWS)や広告事業によるものです。AWSとは、Amazonが自社ECサイト用に構築していたサーバーシステムを他の企業に貸し出すサービスのために初期費用が抑えられています。そのために、顧客に低価格でサーバーを貸し出すことが可能になっており、2018年第二四半期には前年同期比49%の成長率と26%の高い営業利益率を誇る事業に成長しました。近年ではアマゾンの広告事業が急速に成長しています。その広告事業というのは、ユーザーがAmazonで商品を検索した際に関連する商品の広告を表示する検索広告が中心になっています。広告主である企業は、Googleへの広告からAmazonへの広告にシフトする傾向がみられます。それは、Googleでの「検索」というフェーズに広告をだすよりも、Amazonでの「購買」というフェーズに広告を出すほうが、ユーザーの購買行動を喚起できるからだと考察できます。【参考】米アマゾンの2018年売上は3割増の2328億ドル、ネット通販売上は13%増の1229億ドルアマゾンの広告事業がグーグルを脅かす・検索広告が急成長、米国で第2位の企業に(JBpress)ビジネスモデル「利益を出さない」と言われるAmazonには「バーチャス・サイクル」というビジネスモデルがあります。成長モデルと再成長モデルを融合させた「バーチャス・サイクル」により、成長モデルでの利益を次のビジネスへの投資に回すことで再成長を促しているため、利益を利益として享受しないということです。(画像引用元:https://www.zentail.com/blog/bezos-virtuous-cycle-leverage-invest-infrastructure)①成長モデルバーチャス・サイクルの第一段階は「成長モデル」です。この成長モデルでは、顧客視点に立脚し、「Amazonならどんな商品でも売っている」というUX(ユーザー体験)を与え、次回もAmazonで購入させることで利益を生み出しています。普通の店舗型小売店では2割ほどの人気商品が全体の売上の8割を占めていますが、Amazon.comではニッチでニーズの少ない商品が人気商品よりも売上が大きくなっています。これをロングテール戦略と呼びます。陳列棚に限りがある店舗型小売店とは違い、Amazon.comのようなECサイトではどんな商品でも無限に掲載することができます。Amazon.comではここを強みとしており、人気商品は低下価格に抑えてユーザーを呼び込み、ニーズが少ないニッチな商品を幅広く揃え通常価格で販売することでUXを高めています。②再成長モデルバーチャス・サイクルの第二段階は再成長モデルです。第一段階の成長モデルで得た利益を次のビジネスへの投資に充てています。再成長モデルで今までに投資されてきたビジネスには、AWS、AmazonPrime、AmazonDash、Amazongo、ドローン配達などがあります。このように成長モデルで得た利益を次のビジネスへの先行投資に回す再成長モデルを合わせたバーチャス・サイクルがAmazonの利益を出さないビジネスモデルです。【参考】LearnfromtheBezosVirtuousCycle(Zentail)事業投資①Dashビジネス(画像引用元:https://jp.techcrunch.com/2019/08/02/2019-08-01-amazon-is-killing-off-the-dash-button-later-this-month/)AmazonDashとはDashButtonやDashReplenishmentServiceのことで、日用消耗品や食料品などの特定の商品のロゴが描かれた注文ボタンを押すと自動的に配送されるというサービスです。しかし、このDashボタンのサービスは2019年8月には終了しました。サービスが不調だったわけではなく、Dashビジネスの主力をDashReplenishmentService(以降DRS)に切り替えたからです。DRSというのは、家庭での日用消耗品の在庫がなくなったことを検知し、自動的にAmazonから新しい商品が届くというサービスで、アメリカでは2016年1月にスタートしています。もはや、「ボタンを押す」という作業すら省き利便性を向上させることでUXをさらに高めています。【参考】アマゾンが「Dashボタン」を終了させる理由──実はDashビジネスは好調だった②Amazongo(画像引用元:https://japan.cnet.com/article/35125863/)ECサイトのAmazon.comはECサイトvsリアル店舗という構図で数多くのリアル店舗と競合してきましたが、このAmazongoはリアル店舗vsリアル店舗という構図で、真っ向勝負の姿勢を見せています。Amazongoは無人コンビニと言われ、店内にある無数の監視カメラとAIによってどの人がどの商品を何個持ってゲートを通ったのかを判定し自動的に決済が完了しているというサービスのことです。DRSでは「ボタンを押す」という作業すら省き徹底的にユーザー体験を向上してきたAmazonですが、今回のAmazongoはリアル店舗で「会計をする」という作業を省くという点で革新的なサービスとなっています。③ドローン配達Amazonのドローン配達はその名の通り、配達にドローンを用いることです。このドローン配達のメリットとしては、輸送が難しい山間部への配達が可能になったり、空輸のために最短ルート・最短時間での配達が可能になります。配達にかかる人件費の削減と今まで以上に早く商品を届けることを実現するために、現在ではその実証実験が行われており、近いうちにサービスを開始するとしています。【参考】アマゾン、ドローン配送を開始へ数カ月以内に(日経新聞)沿革創設者:ジェフ・ベゾス1994年(平成6年)7月:Amazon.com,Incの前身となる法人「Cadabra.com」を登記。1995年7月:Amazon.comが正式オープン2000年1月:Amazon.co.jpにて本のストアがオープンジェフ・ベゾフがAmazon創設前に所属していた企業で行ったインターネットビジネスの調査によって、インターネットが年2,300%という驚異的なペースで普及していることが分かりました。そこで、ネット販売に適した商材を検討したところ、結果的に残ったのが本でした。本の流通業界で大きくシェアを確保している企業がいなかったため、Amazonは書籍の販売からスタートを切ったというわけです。Facebook主な事業領域:「SNS」Facebookは世界中での利用者が23億8000万人(2018年12月31日時点)を誇る世界最大のSNSです。どんな人でも誰とでも繋がることができるという、オープンなデジタル上の公共スペースというのがFacebookの最大の特徴です。Facebook社が運営するSNSには、自社のFacebookや買収したInstagram・Whatsappなどがあります。ビジネスモデルFacebookはその収益の大部分をデジタル広告によって得ており、2015年にはFacebook全体の95%を広告収益が占めました。Facebookの広告はユーザープロフィールでの趣味嗜好などの個人情報を使って、表示する広告を各ユーザーごとにカスタマイズすることが可能で、ユーザーが快適にサービスを利用できるように低品質な広告は表示しないアルゴリズムに変更しています。そのために、ユーザーにとって興味のある広告が表示されるため広告が不快にならず、広告主にとっても効率の良い広告を出せるようになっています。今ではGoogleと肩を並べる世界最大のデジタル広告主にまで成長したFacebookですが、競合となるSNSが次々と生み出されている状況で、若年層のユーザー減少という課題を解決するために、以下のようなビジネスモデルの転換を模索しているようです。ビジネスモデルの転換①「急激なユーザー離れを受けて転換へ」公共的なSNSからプライベートな対話へのシフト・プライバシーの保護②「中国型モデルに接近するフェイスブック」中国モデルを参考にした決済、電子商取引のサービス導入による利便性の向上【引用】フェイスブックが大胆にビジネスモデルを転換へ(NRISolutions)沿革創設者:マーク・ザッカーバーグ2004年2月:ハーバード大学生向けの「TheFacebook」を立ち上げる。2005年・2006年:ベンチャーキャピタリストから巨額資金の獲得に成功2012年:株式公開2017年7月:株価が5.7%急騰し175ドルに到達。時価総額は0.5兆ドルに達し、ユーザー数が20億人(世界人口の27%)に到達。2018年12月31日:ユーザー数が23億8000万人を記録ハーバード大学の学生間での交流を促進するために始まったというのは有名な話ですが、今では一つの大学という規模をゆうに超え、世界最大のSNSに成長しました。その理由の一つに、Facebookのミッション​​​​​「誰もが安心して情報を共有できる、オープンでつながりのある世界を実現したい」があります。誰であっても誰とでも繋がることができるオープンな「デジタル上の公共スペース」というプラットフォームを作り上げることで、世界最大の利用者を誇るSNSにまで発展することができました。【参考】FACEBOOK公式サイトApple主な事業領域:「ハードとソフト」Appleの事業領域はiPhoneなどのハードウェアから、iOSやAppleStoreなどのソフトウェア・サービスなど幅広く展開しています。ハードウェア:iPod、iPhone、iPad、AppleWatch、iMacソフトウェア・サービス:iOS、AppleStore、AppleMusic、iTunesAppleはこれまでiPhoneの売上に依存してきましたが、現在ではiPhoneの販売台数が頭打ちになってきている状況で、今後はソフトウェアに注力していく方針のようです。【参考】iPhone依存率が50%を切ったアップルの転換点(東洋経済新聞)米アップル、サービス事業が急成長iPhoneに次ぐ柱(日経新聞)沿革創設者:スティーブ・ジョブズ、スティーブ・ウォズニアック1976年:スティーブ・ジョブズとスティーブ・ウォズニアックがガレージで創業。1977年:法人化。AppleIIの発売が成功。1983年:スティーブ・ジョブズが社長に。1984年:Macintoshを発売するも、失敗。スティーブ・ジョブズがAppleから去る。1997年:CEOとしてジョブズがAppleに復帰。2001年:iPod発売2007年:iPhone発売2010年:営業利益1兆円を突破2011年10月5日:スティーブ・ジョブズが死去2014年:iPhone6シリーズが大ヒット、通期の売上高も18億円に。iPodやiPhoneなど、革新的な技術を持ち、かつ洗練されたシンプルなデザインの製品を数多く生み出しているApple。そのミッションは、「革新的なハードウェア・ソフトウェア・サービスを通じて顧客に最高のユーザー体験を届けること」としており、それゆえに新製品の発売の度に長蛇の列ができてしまうほど熱狂的なファンを獲得することに成功しました。なぜGAFAがここまで成長できたのか?大国の国家予算規模までに成長したGAFAですが、その成長要因をGAFAの共通項から分析します。GAFAに共通している特徴①ビッグデータの活用②AIなど最新技術に莫大な投資・将来的に競合となりうる企業はMAで経営統合・買収③長期的経営思考とスピード④各社独自の経営方針①ビッグデータの活用それぞれの得意分野でユーザー体験を提供することでユーザーが増え、ビッグデータを収集・分析することで、さらなるユーザー体験を向上させることができます。そして、さらにユーザーが増えるという好循環を生むことができます。そのため、GAFAの最大の強みはビッグデータをいち早く収集・独占してきたことでしょう。Google膨大なビッグデータにページランク技術を活用することで検索結果に順位付けをするアルゴリズムを構築。高精度でユーザーにとって価値が高い順番に検索結果を表示することを可能にしています。ユーザーがGoogleを利用すればするほどデータが収集され、さらにアルゴリズムの精度が高くなっていきます。【参考】Google’sCTRanswerjustwhatyou’dexpect,andthisiswhySEOsgobananas(SearachEngineLand)Amazon大量の購買情報からAIを用いて、ユーザーひとりひとりの嗜好を分析し、ユーザーごとの購買予測に基づいて購買の可能性の高い別商品を提示するリコメンデーション機能を活用しています。また、購買傾向に類似性のある別のユーザーが買った商品などの提案をすることで、ユーザーひとり当たりの購買品数、購買頻度を高めています。【参考】ユニクロを脅かすアマゾンの"超個客主義"/他社を突き放すビッグデータ経営(PRESIDENTOnline)Facebookユーザーにとって興味のない広告・関連性の低い広告を表示しないようにアルゴリズムを適宜更新しています。また、広告がユーザーに不快にならないようにサイズを小さくする取り組みもあります。ユーザーが快適にサービスを利用できる環境を整備し、ユーザーと関連性の高い広告を表示しています。【参考】ビッグデータは天使か悪魔かFB「狙う広告」見直し(日本経済新聞)AppleAppleのビッグデータの活用は、個人情報を活用しないという点で他の3社とは違います。iCloudにサインインすることでユーザーの行動と個人情報が紐づきますが、サインインを必要としないサービスでユーザーの行動データを収集しています。その例にAppleMapsがあります。サインインをする必要がないので個人情報に紐づくことなく、ユーザーの行動を収集し、MapsにAR(拡張現実)を対応させる動きを見せています。【参考】プライバシーポリシー(Apple公式HP)②AIなど最新技術に莫大な先行投資・将来的に競合となりうる企業はMAで経営統合・買収GAFAの特徴の2つ目は最新技術への莫大な先行投資です。最新技術を他社よりもいち早く確保することが急務となっています。事業規模がどんなに小さくても最新技術を有し将来的に競合となりうる企業は買収するというのが定石となっています。買収し自社に取り組むことで、競合となりうる脅威を潰し自社のプロダクトや事業領域を広げています。GAFA各社のこれまでの主な買収は以下の通りです。Google2004年10月:keyholeを買収、現Googlemaps、Googleearth。2005年3月:Urchinを買収、現GoogleAnalytics。2005年7月:携帯電話ソフトウェア会社であるAndroidを買収。2006年10月:動画配信サービスYouTubeを16億5000万ドル(約2000億円)で買収。2007年11月、携帯電話用ソフトウェアのプラットフォームであるAndroidを発表2017年9月:台湾を拠点とするスマートフォンメーカーであるHTC社の一部を11億ドルで買収。Amazon1998年:イギリスのオンライン書籍販売の「bookpages」を買収。1998年:ドイツのオンライン書籍販売の「Telebuch.de」を買収。1999年:Webサイトのアクセス状況を順位付けするサイトであるAlexaInternetを買収。Amazono.comでのページランキングに技術が活用されています。2012年:倉庫内のロボット配送の「KivaSystems」を7億7,500万ドル(639億1580万円)で買収。2017年6月:高級スーパーである「WholeFoodsMarket」を137億ドル(1兆5,000億円)で買収。Amazonは1994年に創業してから2017年までに79社を買収しており、その目的としては扱う商材を拡充する目的と、物流施設のインフラ整備、販売ノウハウの確保という目的があるかと思います。カメラとリアルタイム画像処理システムを搭載したKivaSystemsのロボットを、Amazonの物流施設での運搬に導入したところ、2015年には1倉庫あたり2,200万ドルの経費削減に繋がったそうです。また、Amazonは無人コンビニである「AmazonGo」などのリアル店舗への進出を行なっていますが、「WholeFoodsMarket」の買収によってリアル店舗への進出と生鮮食料品分野の販売ノウハウを取得しようとしました。Facebook2012年4月:写真共有サービスのInstagramを10億ドルで買収。2014年2月:スマホ向けのメッセージング・サービスのWhatsAppを190億ドルで買収。Instagramはサービス開始2年で既に3000万人以上のユーザーを抱えていました。Facebookは、若い消費者の関心がInstagramに向いていることに気付き買収を決断しました。将来的に競合となりうる企業を排除するための買収ともいわれていますが、この買収がFacebookの成長の最大の要因と考えられています。Apple2009年7月:オンライン地図、API技術を有するplacebaseを買収→2012年9月AppleMapsを搭載したios6.0をアップデート2010年4月:音声によるパーソナルアシスタント、Siriを買収→2011年10月、Siriを搭載したios5.0をアップデート2012年7月:指紋認証によるセキュリティ開発のautentechを買収→2013年7月、指紋センサー搭載のios7.0をアップデート2019年5月:Intelのスマホモデム事業を10億ドルで買収すると発表、iPhoneに搭載する5Gモデムの開発に向けたIntelの従業員と知的財産の獲得が目的と考えられています。2010年以降、AppleがAIスタートアップの買収が最多で20社。【参考】アップル、買収20社で最多AIスタートアップ争奪戦(日本経済新聞)③長期的経営思考とスピード長期的経営思考とは「会社の企業価値を最大化するために、長期的な目線で事業や財務に関する戦略を総合的に組み立てる考え方」のことです。GAFAに共通していることは、短期的にどれだけのマイナスがでようと、長期的な目線に立って将来の成長のために勇気をもって先行投資をしてきたことです。長期的経営思考・短期的な損失を厭わない。・どこよりも早い先行投資によって市場での競争優位性を高め、後発企業の参入障壁を大きくする。・投資の目線が長期的で未来志向。また、経営判断のスピードが異常に早いということもGAFAの4社に共通していることです。GAFAは他社よりも早く先行投資することで市場での競争優位性を確保しています。そのためには、新規事業に投資してもいいのかどうか悩んでいる時間がありません。悩んでいるうちに他社に出し抜かれビジネスチャンスがどんどん減少していきます。GAFAの経営判断は経営計画が20%の段階での事業を5つスタートさせ、ヒットした事業が1つでもあれば他の4つを切り捨てて、そのヒットした1つの事業を伸ばしていくというように言われています。経営計画が100%の1つの事業を確実に進める日系企業とはその判断スピードが全く違い、日系企業がカメならGAFAはF1カーに例えられます。【参考】シリコンバレーの企業はどのようにしてスピードを上げているのか?④各社独自の経営戦略GAFAの成長には、各社独自のルールや戦略といった経営戦略が影響しているかと思われます。Google「20%ルール」この20%ルールというのは、「従業員は、勤務時間の20%の時間を通常の職務ではなく、自分の行いたいプロジェクトに費やすことができる」というものです。採算性を度外視した制度ではありますが、のちに莫大な利益を生む「Gmail」など多くの事業を創出しています。現在ではこのルールはないに等しいとされていますが、事業創出の目的はしっかりと果たせた制度であったことは疑いないでしょう。【参考】Googleの取り組み(Google公式HP)Amazon赤字のまま成長Amazonの成長要因はバーチャス・サイクルにあるということは説明しましたが、投資額が利益よりも大きいために何度も赤字を繰り返しています。しかし、そうした投資のおかげで誕生したクラウドコンピューティングサービスであるAWSはGoogleやMicrosoftですら参入をためらうようなレベルで市場シェアを高めました。近年では有料会員制動画コンテンツであるAmazonPrimeに多額の資金をつぎ込んでおり、2018年の年初時点でアメリカでの会員数は1億人に迫る勢いです。従来の赤字を出してでも先行投資をやめない姿勢を崩さずに、次の事業を成功させてきたことがAmazonの最大の特徴と言えるでしょう。クラウド事業の好調もあり現在では黒字に転じていますが、その利益もAmazonPrimeへの投資に回されていて、今度ますます拡大していくことが予測されます。【参考】Amazonが2019年第3四半期の決算を公表売上24%増ながらプライムへの投資が純利益を圧迫FacebookFacebookはサービスの拡充だけを成長戦略にするのではなく、ネットワーク効果を狙う方針です。これはつまり、ユーザー体験の向上だけでなく、ユーザー数を拡大していくということを意味します。2012年の写真共有アプリ「Instagram」と、2014年のインスタントメッセンジャーアプリ「Whatsapp」の買収により、ユーザーの規模を拡大させています。もともとのFacebookに加え、InstagramやWhatsappのユーザーを取り込むことに成功したということです。また、マルチホーミングを嫌うユーザーに対し、Instagramでのショッピング機能を拡充していくことで一つのメディア・サービスで行動を一貫できるようにしています。【ネットワーク効果】とはユーザーが増えれば増えるほど、その製品やサービスの価値が増加し、さらにユーザーが増えていくということです。ネットワーク外部性とも呼ばれます。【参考】FacebookがInstagram買収に大金を投じた理由--両社の狙いと写真共有にもたらす影響(cnetJapan)Apple連結売上高に占めるiPhoneの割合が非常に高く、その売上に依存しています。そのiPhoneのブランディングがAppleの成功の大きな要因となっています。①差別化戦略Appleは、iPodやiPhoneなど今までになかったような製品を生み出すことで、新しいユーザー体験を作ってきました。Apple製品は革新的な技術で、かつ洗練されたシンプルなデザインが特徴的です。新製品の発表もさながらファッションショーのようなエンターテインメントとなっています。製品のネーミングも、頭文字にiを付けることでユーザーにApple製品だを認識しやすくしています。②集中戦略iMac、iPod、iPhoneというハードウェアで、iOS、iTunes、AppleStoreというソフトウェア・サービスを提供することでAppleの一貫したサービスを提供しています。マルチホーミングを嫌うユーザーに対し、ハードウェアからソフトウェアまでAppleだけで完結できるような集中戦略をとっています。【参考】Appleが成功し続けてきた理由の一つ「絶対優位のデザイン戦略」とはGAFAの敵がついに出現!その正体とは?超大国並の事業規模にまで拡大したGAFAに向かうところ敵なし、というように思ってしまいがちですが、実は様々な問題を孕んでいます。その問題点とは何なのでしょうか。成長過程の中で将来的に競合となりうる企業を買収し自社に取り組むことで、脅威を排除していくというのがGAFAの定石だと解説しましたが、今後GAFAの脅威となりうる企業もまだまだたくさんあります。そのGAFAの敵とはいったい何なのか。その正体を探ってみると、企業だけがGAFAの敵ではないことが分かりました。GAFAの抱える問題点と、GAFAに迫る敵について解説します。GAFAが抱える問題点とは?問題点①:個人情報の流出問題点②:フェイクニュース問題点③:アメリカ大統領選挙の際にロシア干渉問題点④:テロ集団の調査協力を拒否問題点⑤:脱税の疑い・デジタル課税問題点⑥:市場独占・ビッグデータの独占問題点⑦:イノベーションの芽を摘む問題点①:個人情報の流出GAFAという巨大な企業ですらユーザーの個人情報の流出が多発しています。どんな企業であってもユーザーやクライアントの情報が流出することが危険なことは理解できるでしょう。ましてや、GAFAのように自分の住所やクレジットカード情報を紐づけているサービスであれば猶更一大事です。個人情報の流出というのはその企業の信用に関わる重要な出来事であるものの、それが多発してしまうというのは改善すべき問題点です。・2018年10月、Facebookで約3000万人の個人情報の流出。・2018年12月、Google+で約5250万人の個人情報が流出。・2019年5月、アップルをiTunes利用者が提訴、購入データと個人情報の流出で(Bloomberg)・2019年9月、アマゾン、アプリで誤作動他人の氏名・注文履歴表示(日経新聞)・2019年12月、Facebookで約2億6700万人の個人情報が流出。問題点②:フェイクニュースFacebookで、嘘の情報を真実かのように垂れ流されるフェイクニュースが問題になっています。こういったSNS上のデマというのは往々にして見かけるもので、ユーザー個人が情報の真偽を見定める必要があると言われます。しかし、このフェイクニュースが問題になっているのは、Facebookが言論の自由を守るためにフェイクニュースを認識していても削除していないことにあります。ただし、「ディープフェイク」には流石に対応しなければならなかったようです。「ディープフェイク」というのは、特定の人の画像からAIが、あたかもその人が話しているかのような動画のことです。そのディープフェイクの動画内では、FacebookCEOのマーク・ザッカーバーグが秘密組織への感謝を述べるという動画になっています。こうしたディープフェイク動画に対しては流石に削除するポリシーを明言しています。【参考】Facebook、誤解を招くディープフェイク動画は削除する新ポリシー(ITMediaNews)問題点③:ロシアからの干渉上記で取り上げた問題点②フェイクニュースに関連する問題です。2016年アメリカ大統領選挙の際に、Facebook上でロシア系企業やロシア政府関連のアカウントからアメリカ内での世論を分断するためにフェイクニュースを流されたことが問題になりました。【参考】フェイスブックロシア発偽情報、米国で1億2600万人に届いたと問題点④:テロ集団の調査協力を拒否2015年12月にアメリカで起きた銃乱射事件に際して、アメリカ政府がAppleに対してテロ犯のiPhoneのロック解除を要請したにも関わらず、Appleがそれを拒否したという問題です。アメリカNPO法人のPewReserchCenterのアンケートでは、51%の民衆がロック解除をすべきという意見でした。しかし、Appleは自社のユーザーのプライバシー保護を理由に断固として拒否し、調査に協力しませんでした。【参考】AMessagetoOurCustomers(Apple.com)Apple対FBIの「ロック解除論争」問題点⑤:脱税・デジタル課税GAFAはその事業規模に対して適切な法人税を納めていないという意見が散見されています。一般的な企業の場合、本社や支店、工場などの物理的な拠点を置く場所に法人税を課しているが、プラットフォーム企業はネット上にそのビジネスを置くため法人税から逃れられるわけです。アメリカ大手スーパーマーケットであるWalmartが2008年以降に支払ってきた法人税が約640億ドルなのに対し、Amazonは約14億ドルにとどまっています。【参考】ウォルマート幹部、アマゾンに対し「税金を払え」(日経ビジネス)問題点⑥:市場独占・ビッグデータの独占GAFAによって市場が独占されているため、日本における独占禁止法違反・アメリカにおける反トラスト法違反の疑いがあります。GAFAが市場を独占していることは明白ですが、彼らのワシントン上院議会でのロビー活動によって反トラスト法を掻い潜り逃げ続けている状況です。【参考】テク大手ロビー活動に本腰、反トラスト調査受け(THEWALLSTREETJOURNAL)問題点⑦:イノベーションの芽を摘むGAFAの現状の競合他社はGAFAからすれば小さい企業です。何もしなくても自然と倒れるのを待つか、成長してきた場合には買収して自社に取り込むというのがGAFAの定石です。そのため、今までのようなイノベーションが見込めなくなっています。【参考】「GAFAやめました」若者が離れ始めた根本理由・GAFAは「イノベーションの芽を摘む」存在に(licedoornews)GAFAの敵はアメリカ政府?日本政府・EUがGAFAを包囲?GAFAの最大の敵はアメリカ政府だと言えるでしょう。超大国並の経済的影響力を持っているものの、様々な問題を抱えアメリカに法人税を払わずテロ犯への調査協力をも拒否するGAFAはアメリカ政府からしたら目の上のたん瘤のような厄介な企業です。アメリカ政府はGAFAに対する規制を今後強化していく方針で、日本政府やEUでも同様の風潮が見られます。①アメリカ政府これまでアメリカ連邦議会では、ビジネスを縛る規制を減らし、自由な事業展開の後押しを重視してきました。しかし、2019年から下院で企業規制に積極的な民主党が多数派を握るようになり、大統領選挙でのフェイクニュースなどGAFAに関する問題や疑惑が次々と浮上する中、「IT規制論(テック規制論)」が強まっています。また、GAFAが今まで逃れ続けてきた反トラスト法に関して公聴会が開かれ、調査が進められています。【参考】GAFA包囲網米巨大ITのデータ独占に不信感(産経新聞)②日本政府日本政府は、「デジタル・プラットフォーマー取引透明化法」という新しい法案を国会に提出予定です。この法案は、GAFAと中小企業間での不透明な契約を透明化するという内容になっており、ビッグデータを独占するGAFAに対して規制を強めていく方針です。【参考】政府、GAFA4社から聴取~データ独占規制は“いたちごっこ”の様相も③欧州連合欧州連合(EU)が、個人情報保護の取り組みとして「一般データ保護規則」(GDPR)を2019年5月に施行しました。EU圏内で取得したクレジットカードなどの個人情報をEU圏外に移転することを禁止しており、GAFAのビッグデータ活用に対する規制策を講じています。米中の技術覇権争いの激化でビジネスや安全保障でのデータの重要性が増している中で、GAFAから「データ主権」を欧州に取り戻す狙いがあり、EUはGAFAへの対決姿勢を一段と強める方針のようです。【参考】EU、GAFA規制一段と。「データ主権」回復狙う。新体制、12月発足へ(日経新聞)シリコンバレーの時代は終わった?GAFAのライバルは「BATH」?ユニコーン企業?ITベンチャー企業のスタートアップの場として人気が高いシリコンバレー。GAFAもシリコンバレー発のIT企業ですが、「IT企業ならシリコンバレー」という時代はもう終わったという見解もあります。それは、そもそものビジネスの舞台がアメリカだけでなく、GDPの成長が著しい中国に変わりつつあるということが背景にあります。【参考】「シリコンバレーの時代は終わった」と言える訳・米西海岸だけが先端技術の場所じゃない(東洋経済新聞)中国企業の隆盛「BATH」と呼ばれる成長が著しい中国企業があります。それはバイドゥ・アリババ・テンセント・ファーウェイの4つ企業の総称です。それぞれは以下のような事業領域で中国最大手の位置につけています。【BATH】バイドゥ:検索エンジンアリババ:ECサイトテンセント:ネットサービスファーウェイ:通信機器メーカー外資系企業の中国市場への参入を制限している中国政府の政策によって、GAFAがなかなか手を出せませんでした。そんな中、BATHが各々の事業領域で最大手につけているということは、世界最大の人口を誇る中国で14億人のユーザーをBATHが独占しているということです。中国で勢力を拡大しているBATHがGAFAの脅威になるのでは?と言われることが多くなってきました。【参考】巨大ITはGAFAだけじゃない中国「BAT」とは?(朝日新聞)ユニコーン企業GAFAの敵となりうるのはBATHだけでなく、ユニコーン企業の存在も度外視することはできません。【ユニコーン企業】とは急速に拡大成長したIT企業のことを指します。ユニコーン企業には次の4つの条件があります。①評価額10億ドル以上②起業10年以内③非上場④テクノロジー企業このユニコーン企業の代表例がUberTechnologyとAirbnbで、UberTechnologyはタクシー配車サービス、Airbnbは民泊サービスを展開しているユニコーン企業です。もともとFacebookもユニコーン企業の1つで、ユーザーが増えれば増えるほどビッグデータが収集できるようになり広告収益も拡大していきました。そのように、UberTechnologyやAirbnbもユーザーの拡大によってはGAFAの敵になる可能性は十分にあります。しかし、「移動」と「宿泊」というフェーズがGAFAの「検索」「購買」「SNS」といったフェーズよりも限定的なため、GAFAに打ち勝つのは至難かと思われます。GAFAの今後の展望は?次のビジネスは自動運転で確定か?GAFAの成長が、ビッグデータを収集・分析することで広告収益を高め、その利益で次のビジネスへの投資に利用するというものでした。しかし、近年では中国のBATHやUberTechnologyなどの新興企業との競合や、アメリカ政府をはじめとする各国政府の包囲網など、立ちはだかる障害がたくさんあります。GAFAが次なるビジネスを見つけるのが先か、その前に成長が頭打ちになりBATHやUberTechnologyに追いつかれてしまうのが先か、GAFAの今後の動きがIT業界の趨勢を占うようになっています。GAFAの次のビジネスとして最も可能性が高いと言えるのは自動運転でしょう。この分野にはGoogle・Amazon・Appleがすでに参入しています。GoogleはスタートアップのWaymoを買収し、自動運転タクシーの商用サービスを2018年12月にスタートさせ、2019年にはドライバーなしの実証実験も行っています。Amazonはドローンで配達できない大きなサイズの商品用に自動運転技術を搭載した配達ロボット「AmazonScout(アマゾン・スカウト)」の実証実験を予定しています。この自動運転ビジネスとして確立すれば、日本の自動車産業に影響が及ぶことは間違いありません。また、タクシー配車サービスを展開するUberTechnologyにも自動運転が導入される未来を予測するのも難しくありません。そうなるとGAFAとUberTechnologyが同じ事業領域で競合することとなります。もしかすると、GAFAがUberTechnologyを買収する?なんていうニュースが飛び込んでくるかもしれません。当然、GAFAが事業を拡大していけばいくほど、彼らの市場独占を嫌う各国政府の規制もさらに強くなっていくことでしょう。GAFAがその規制の網をかいくぐり今後どんな展開を見せるのか目が離せません。【参考】グーグルは「1200億円以上」を自動運転に投資裁判資料で判明謎多きAppleの自動運転事業、2020年は「台風の目」となるのか最後に今回はGAFAの事業領域やビジネスモデル、その成長要因と迫りくる敵、今後の展望について解説しました。「検索」「購買」「SNS」というフェーズにプラットフォームを整備してきましたが、次の次の次まで先行投資をしてきたGAFAですから、私たちが想像もしない分野にまでビジネス展開のビジョンを描いているかもしれません。IoTの時代に、GAFAについて知っておくことはどの業界に身を置いても重要なことですので、GAFAに関する基本知識を頭に入れておきましょう。他にも、GAFAやIT企業に関する記事を見たい方は以下の関連記事をご覧ください。関連記事Googleの企業研究Amazonの企業研究IT業界の業界研究 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元社員が語る「楽天の営業」とは〜ブラックと言われる企業に勤めて〜(前編) 元社員が語る「楽天の営業」とは〜ブラックと言われる企業に勤めて〜(前編) 本記事では、楽天の元社員である私が楽天の「ECコンサルタント」という職種、労働環境や仕事、給与や福利厚生について説明します。本記事のコンテンツ・ECコンサルタントとは・労働環境と仕事・給与と福利厚生楽天のECコンサルタントとはこんにちは。私は新卒で楽天株式会社に入社後、三年間ECコンサルタントとして働き、退社後今は別業界で人事として働いている者です。今回は、IT企業の中でも有名な「楽天」という中でも何かと噂の多いECコンサルタントという職種を経験した身として、実情はどうなのかという点をお伝えできればと思います。ちなみに私が在籍していたのは2010~2012年の間ですので、現在とは状況が異なる点もあることをご了承下さい。ECC(ECコンサルタントの略称)という仕事は、簡単に言えば楽天に出店している店舗を一人当たり100店舗程担当し、電話や往訪などを行いながら売上増大の為のアドバイスを行うという仕事です。名目上はコンサルタントなのですが、ECCには3つの指標(広告目標、流通目標、講座販売目標)が常に課されており、その中でも広告販売の目標のウェイトが高いため、顧客へのアドバイスが広告営業に偏りがちになってしまうという現状があります。また、3つの指標を達成するために業務量はどうしても多くなり勤務時間が長くなる傾向があるため、ブラックであると言われがちです。楽天という企業では目標は絶対達成しなくてはいけないので(他企業も基本は絶対達成だと思いますが、間違いなく他企業よりも達成に対するプレッシャーが大きいと思います)、仕事がきついと感じる人が多く、ECCに配属された人は一年経たず辞めてしまう人も多いのです。では、楽天の営業として働くということはどのようなものなのか、実際噂通りブラックなのか、体験を踏まえて下記に述べたいと思います。楽天の労働環境と仕事「楽天ECC」というワードで検索すると、様々な恐ろしい情報が出てきます。「過酷な労働環境」「新卒がどんどん辞める」「肌荒れ、膀胱炎は当たり前←笑」など、楽天を告発するような文章や、就活生に向けて避けるように呼びかける言葉もあります。実際私も入社後半年位から残業時間が月100時間近くなり、終電を逃すことも度々ありました。そして確かに肌荒れも膀胱炎も経験済です。入社前にOB訪問で話は聞いていたのである程度覚悟していたとは言え、実際一日3~4時間睡眠の日が続くと日に日に思考力が低下するのを感じていました。また、私の部署では帰社時間を22時より遅く打刻することはできず、(できなくはないのですが、何工数もの承認作業が必要であり、申請の手間と時間を考えると実質不可能に近いものでした)上記のような、日々24時近くまでという拘束時間を会社に正しく把握してもらえていると思ったことはありませんでした。このような実情だけを見ると、労働環境が過酷なブラック企業であると感じる人も多いでしょう。しかし実際は、インターネット上にあるように、「ECCはひどい仕事だ!」「過酷で健康を損なう職場だ!」と感じている人ばかりではありませんでした。少なくとも当時の私は違い、「ブラック企業に勤めている」という意識はあまりありませんでした。なぜなら、拘束時間の長さなどの労働環境を除いても、自分に任せてもらえている仕事の規模の大きさに面白みを感じ、自主的に仕事と長く向き合っている面も大きかったからです。ITの知識とサービスというのはどんな業界業種に限らず必要なことであり、現代社会で避けて通ることはできません。楽天はそのサービスを他社へ提供し相互に企業成長していくことが使命なので、どんな業種の偉い人とも「IT」という分野に関しては対等に話をすることができたのです。経営を何も知らない一年目のペーペーでも、年商何億何十億という企業の社長と対等に話し提案することができるというのは本当に貴重な経験でした。毎回提案の時には吐きそうなほど緊張していましたが、必死にそれを見せないよう、新人に見られないよう、それでいて相手を軽んじる態度にならないよう、頭をフル回転させて話をするのが面白かったのを憶えています。結果提案が通っても通らなくても、日々自分の経験値の上昇を感じ、非常に充実していた毎日でした。このように業界に限らず様々な人と関わることができ、入社早くから責任のある仕事ができたという点では、今でも楽天という会社に非常に感謝しています。確かに労働時間は多い傾向にありますが、責任の大きな仕事をしている分学べることはとても多いです。労働時間を見てブラックであると言ってしまえばそれまでなのですが、業務内容によってはそう感じていない人も多くいるということを知ってほしいと思います。楽天の給与と福利厚生次に、給与と福利厚生についてです。私の新卒時の初任給は月給30万円で、他企業と比べるとかなり高かったと思います。そこだけで入社を決めたと言っていた同期もたくさんいました。ただ、どうしても就職活動時は初任給に目がいきがちですが、仕事を続けていくにあたり重要なのは初任給ではありません。昇給の仕方や福利厚生、残業代や賞与など、基本給以外の要素で収入は大きく変わります。楽天では当時基本給と通勤手当以外特に手当は無く、インセンティブ手当も他企業の営業と比べると少ないものでした。残業代も実際に働いた時間通りには入りませんし、退職金や住居手当、家族手当等福利厚生も一切無いため、基本給内でいかにやりくりして貯蓄していくかが重要でした。しかし、目標を大幅に達成したりした場合は別途インセンティブが支給されますし、優秀な働きをしている人は年齢や年次に関係なく昇格、昇給することができます。そのような点で言えば、きちんと自分の仕事に対する対価が給与として支払われているため、いわゆるブラックであるとは言えないでしょう。また、楽天に限らずIT企業はあまり年功序列が厳しくない企業が多いと思いますので、やりたいと思ったことに対して手を挙げやすくキャリアを自分の意志で積んでいきやすいという点はIT企業で働く大きなメリットであると言えます。就活生の方々は、初任給などの募集要項に書かれている数字だけで判断するのではなく、福利厚生や昇給基準など、長く続けるために自分に必要な要素をよく考え、自身の志望を決めていただければと思います。余談ですが、楽天では社内食堂が無料であることが福利厚生として大きくアピールされていましたが、営業で転勤になった場合は社食が無い場合が多く、普通に自分でランチ代を出さなくてはいけなかったため、転勤を命じられた時はその不公平さに泣きました。福利厚生なんてそんなものです。(後編はこちら)※後編では、筆者の感じる「ブラック企業だと思われてしまう楽天の弱さ」をお伝えします。 131,946 views
上場企業本部長が語る、エリートの中で唯一英語もできない牛丼屋のアルバイトを採用した理由 上場企業本部長が語る、エリートの中で唯一英語もできない牛丼屋のアルバイトを採用した理由 こんにちは、16卒の慶應生です。先日、ゼミのOBの方で日系重電メーカーで営業本部長として活躍され、新卒採用の面接にも携わっている方にお話を聞く機会がありました。その方は文系のエースを採用する面接官で、人事と社員二人、学生一人の面接を行い、20名を約半分にして最終面接まで上げているそうです。日本を代表する企業ということもあって、その20名は全員が早慶以上、TOEICスコアは平均880点、トリリンガルや留学生も3割程度いたみたいです。ただ、その中でも、某大学のTOEIC660点、学生時代頑張ったことは牛丼屋のアルバイト、という学生を上に通したことが自分でも印象に残っている、という話をして頂いたため、本日はそのことについて書きたいと思います。本記事のアウトライン・採りたい学生とは?・絶対にする質問「いつも何してるの?」・就活生と社会人、意識の違い・現場の目線、人事の目線・多角的に自身を表現する採りたい学生とは?「こいつなら自分自身の元で働かせて育てたい。」その方が面接で見ていることはこういう学生であるかどうかということだそうです。そのための要素として、素直か、ガッツがあるか、言ったことをしっかりと自分で考えながらやれるか、仕事をやめないかの4点を上げていました。実際に新卒2年目の社員で「思っていた仕事と違った、俺がやりたいことはここではできない」と言ってつい最近やめたことがあるそうです。能力が高いことは間違い無いけれども、若い頃は下積みなのだからな…と思ったとのことです。特に重電系メーカーの製品は文系だと勉強することが多く、若手の下積み時代に言われたことをしっかりとやる、という姿勢ができていない社員が増えてきていると嘆いていました。絶対にする質問「いつも何してるの?」「例えば国際交流のイベントって期間が決まってるわけでしょ?多分準備もやって3ヶ月〜半年くらいな気がするんだけど、その他のいつもの時間って何してたの?」こういった質問をその方は必ず投げかけていたそうです。この質問を投げかけると多くの学生は、「他大学との交流だとか…」とお茶を濁したような回答をしていたようです。そうなると、「こいつは、普段はあんまなんも考えずに生活してきたのかな?」だとか、「就活のために用意してきたエピソードなのかな?」という風な印象を持ってしまうようです。就活生と社会人、意識の違い「実際大学生って基本的な生活は授業出てサークルやってバイトして飲み会して…って感じでしょ?それだったらその生活の中でその人がどんなこと考えて、どんな風に他の人と関わってるかを聞きたいんだよね。」ここまで来た学生が能力が高いことは間違いない。つまり、イベントがあってそれを何が必要で、と実行できる力があることはわかっている、だからこそそういうイベントが無い時こそ、その人がどんなことを考えてどんな人間関係を築いて、どんな問題意識を持っているか、ある意味本来のその人自身が出てくるということです。実際体育会系の学生が就職活動で強いと言われてるのは、下積みの1年生の時から、最高学年の4年生まで、どんな状況立場でも日々勝利のために試行錯誤して、自身の役割を認識し泥臭く頑張ってきている、それが特に仕事を始めたばかりの新入社員には必要なマインドだからだよ、とおっしゃっていました。現場の目線・人事の目線「牛丼チェーン店の子は、与えられたことをしっかりやりながらも、どうやったらもっといい店になるだろうかというようなことを考えていた。普段の生活、例えばゼミの話とかを聞いていてもそれが伝わってきたよ。少し抜けてる部分はあるけど、こいつなら俺が面倒みてやるから通してあげようよ、って言ったんだよね。」これが、所謂ハイスペックと言われるような学生たちがひしめく中で、先に題名でも述べた通り、英語も全くできない、吉野家のアルバイトのアピールをしてきた学生を通した理由です。参考:ただし、人事の方とは最後までもめたともおっしゃっていました。二人の意見が一致して間違いなく通そう、となった学生は20人中2人、それ以外の学生は誰を通すかで意見が割れ、吉野家の学生についても人事は△を出していたとのことです。どうやら現場と人事が見ている視点は異なっているようで、現場の人は「こいつが自分の部下なら面倒を見たい」と思う学生を、人事は「将来的に経営層として能力を発揮できるのか」という学生を評価しているようです。多角的に自身を表現する上記はあくまでも一例です。ただ特に最終面接近くにになると、その人が一貫した価値観を持っているか、ということが問われていることは私自身も感じます。今まで受けた面接でも、「君の強みとそれを生かしたエピソード何個か教えてもらえるかな?」であるとか、「さっき君ってこういう風な人間ですって言ってたけど、それって今話してたエピソードと矛盾してない?どういうこと??」というように、一貫した人物像をよく問われます。単発のイベントだけでなく、普段の日々の行動を振り返りながら一貫した自分自身を様々な角度から表現することが大切なように思います。【参考】 55,453 views

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