【第4回:現役コンサルタントが語る】「コンサルタント」という言葉の響きに憧れを感じた時に読む話

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最終更新日:2023年10月27日

【第4回:現役コンサルタントが語る】「コンサルタント」という言葉の響きに憧れを感じた時に読む話

企業研究

株式会社コーポレイト ディレクション(CDI)の現役コンサルタントによる全4回のシリーズ寄稿です。

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【前回の記事はこちら】
▶︎▶︎▶︎【第3回:現役コンサルタントが語る】解を導くのがコンサルの仕事か?

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戦略コンサルタントは、難しい問題にもパキパキと答えを出していくスマートな仕事、という憧れを抱いたことのある方もいるかもしれません。しかし、これまでの3回分のコラムを読んでくださった方であれば、戦略コンサルティングとは愚直に考え続けることが求められ、決してスマートな仕事ではないことがお分かりいただけたと思います。

すでにいい具合に「憧れ」を崩せているとは思うのですが、今回はさらに追い打ちをかけるべく(笑)、どういう心構えでこの業界に飛び込んでいただきたいか、お伝えしたいと思います。

本選考とインターンの締め切り情報

「自分の頭で考え続ける」ことのプレッシャーに耐えられるか?

第3回のコラムでは、戦略コンサルタントの本質的な価値は解を導くことではなく認識を示すことであること、また、認識を示すことがいかに大変かについて、お伝えさせていただきました。

認識にかかわるプロセスは、新米コンサルタントも熟練コンサルタントも平等にかかわることが求められます。

とはいえ、新米コンサルタントが最初から議論をリードできることはそうそうありません。ではどうすれば勝負できるかというと、事前にとにかく時間を取って深く考えてから議論の場に臨む、くらいしか方法はありません。概念的には、能力×掛けた時間=アウトプットの質、ですから、能力が不充分なうちはとにかく掛けた時間で勝負するしかありません。

しかしながら、新米コンサルタントはそれと同時に基礎力としての「解を導く力」も身につけていかなければなりません。いくら始めに「こうだと思う」と認識することが本質とはいえ、その後で思ったことが正しいと証明できなければ意味が無いからです。前回のコラムで挙げた例で申し上げると、解を導くための「高校までの勉強」と、解くべき問いを立てるという「大学の研究」を同時にやることが求められます。

よって、新米コンサルタントとして入社すると、まずは時間的プレッシャーと、自分の頭で考えて自分の言葉で何か言わなければならないという精神的プレッシャーにさらされることになります。新米コンサルタントの生の声として、「調査分析の作業に追われて大変だ」という言い方をされることがありますが、本質は少し違っていて、「調査分析の作業に追われながら、自分の頭で考え続けなければならない」ことが大変さの根源です。

作業時間の確保は最悪体力で何とかなりますが、自分の頭で考え自分の認識を示すことには、精神的なプレッシャーも伴います。プロジェクトチーム(およびそのメンバーである自分)の認識・発言で、クライアントの重要課題に関する明暗が分かれる。「そもそもこの『問い』を解くことが本当に正しいのだろうか」「本当にこの提言でよかったのだろうか」。こういった思いは、経験年数にかかわらずどんなコンサルタントでも常に持っている孤独な不安であると思います。常に不安と向き合っているからこそ、極端な話、報告の前日であっても、伝えるべきメッセージが違うと思えば報告書の大幅な組み直しも辞しません。

この考え続けるプレッシャーに耐えられるか、もしくはその状況すら楽しんでしまえるかは、コンサルタントとしてきわめて重要な資質になります。第2回のコラムで、考えることが好きな人を好評価しているとお伝えした根本的な理由は、ここにあります。

「腰を据えて」取り組む覚悟はあるか?

解を導く力は技能に近いので、一定以上の能力を持つ人であれば、しばらく時間を掛けて真面目に取り組めばできるようになる属性の能力です。一方、認識する力とそれを伝える力は、明確な正解が無い分、すぐにできるようになるものではない上、どこまで行っても究めきったというゴールが無い属性の能力です。

コンサルティングの本丸である認識の領域で充分なパフォーマンスをするには、個人的な目安としては最低でも3年以上は腰を据えて取り組む必要があると思いますし、そこから先は何年働いてもゴールは無いと思っています。無論、ただ年数を過ごせば良いわけではなく、その間ずっと、前述の精神的プレシャーにさらされ続けることになります。

実際に、私自身もコンサル業界の平均勤続年数と言われる3年よりも長く働いていますが、できるようになったことが増えた分だけ(あるいはそれ以上に)できないことが見えてきて、特に認識を示すという点では、まだまだ先は長いという思いです。(私が根から優秀なタイプではないので時間がかかっているという要因もあるでしょうが(笑))。

もちろん、3年経たずに他にもっとやりたいことが見つかって業界を離れる人もたくさんいますし、私達もそういう場合は喜んで送り出しています。ですがそれはあくまで結果論であり、入社する時点から数年での転職を前提にしている人は、じっくり考え続けるというこの仕事には合わないと考えます。何より、コンサルティングの本丸である認識を示す仕事に特に興味が無いまま入社し、深く携わることなく短期間で出て行ってしまうのは、単純にもったいないと個人的には思います。

CDIのように少人数採用のファームは特に、入社前に「腰を据えて」取り組む覚悟があるかどうかをしっかり見極めるために、採用される側とする側が悪い面も含めて「本音で」語り合って合意形成することを大切にしています。過去に多数の企業の選考を受けたことのある弊社の中途社員の中には、「面接でこんなにネガティブキャンペーンをされた会社は他に無かった」と言う人もいるほどです(笑)。

戦略コンサルは「勉強の場」として目指す場所ではない

ここまで考えると、よく言われるような「勉強になりそうだからとりあえずコンサル」といったモチベーションだけで続けられるような仕事ではないことがお分かりいただけると思います。

こういった場合に勉強したいこととして挙げられる内容も、表面的であると感じることが多いです。「パワーポイントやエクセルができるようになりたい」という方には、それができて何になりたいのかを問いたいですし、「とりあえずMBA(注)を取りたい」という方にも、それによってどうなりたいのかをしっかり考えてもらいたいと思います。

MBA取得に関しては、もちろん知識・人脈等あらゆる面でプラスがあるのは確かですが、コンサル出身者に限らずMBAホルダーが増え、MBAを持っていること自体では明確な価値を認められなくなってきているのも事実です。また当然ながら、MBAを持っていなくてもビジネスのあらゆる領域の最前線で活躍している方はたくさんいます。

大事なのは、膨大なお金と時間を掛けてMBAを取得して、その結果どんな自分になりたいのかを徹底的に問い続けることです。それによって初めて、コンサルからMBAを取得することの、自分だけの価値を見出すことができます。

将来自分で事業をやるための勉強として、まずはコンサルを経験したいというモチベーションも聞かれます。これに関しては、自分で事業をやることとコンサルタントであることは根本的に性質が異なるので、経営者としての勉強という目的は、コンサルタントとしての経験では充分には達成できないと考えます。例えるならば、経営者は自分でレールを敷きその上を自分が走る仕事、コンサルタントはレールを走る経営者と並走する仕事です。並走者としてのコンサルタントは、基本的に表に立つことはありません。経営者が社員の誰にも言えない孤独・悩みを打ち明けることができ、時には耳の痛いことも言ってくれる、そんな「良妻」とも言うべき立場です(笑)。

初めから経営者になりたいという明確な目的があるのならば、とにかくレールの上を自分が走る経験を積むべきです。今は学生さんでも起業しやすい環境ですし、そういった機会を積極的に活用して失敗も積み重ねながら実践経験を積む方が近道ではないでしょうか。

ただ、繰り返しになりますが、結果的に短期間でコンサル業界を離れ他の様々なフィールドで活躍する人(起業する人も含め)はたくさんいますし、それは非常に奨励すべきことです。コンサル業界が優秀な人材のプールになっていると言われるのも、同じく結果論です。初めからスキルをつけることだけを目的にコンサル業界を目指すのは筋違い、目的と結果を混同しないでいただきたい、ということです。

「自分の言葉」で就職活動をしてほしい

ここからはかなり個人的な思いになりますが、戦略コンサルで勉強しておいた方が良いのではないかという考え方が出てくるのは、就職先を選ぶときに、自分がやりたいことをベースにして考えるのではなく、他人からの評価をベースにしているからではないかと思います。

「新卒で○○に入っておいた方がいいですか?/××に入るのはやめた方がいいですか?」といった質問を受けることがたまにありますが、「あなたのやりたいこと」がわからないと、答えられません。

やりたいことがまだわからなければ、今の時点で何となくでも興味のあることや、他人から評価されやすいことをとりあえず選んでみるというのも一手です。大事なのは、わからないなりに自分で基準を決めて自分で選択することです。

これはコンサルに限った話ではないと思いますが、面接官は、あなたが何に対してやる気のスイッチが入るのかや、何に対して憤りを感じるのかなど、生き方の価値観を丸ごと知りたいと思っています。特にCDIのように、規模が小さく、ひとりひとりの考える力というきわめて定型化しにくいものに頼っている企業は、なおさらです。

余談になりますが、3年以内で辞める新社会人が多いことの一因は、企業も学生も、ノウハウ化された型に頼った採用・就職活動をしていることによって、お互いの本音をきちんとわからないまま採用をしてしまっていることにあると思います。だからお互い後になって、「こんなんじゃなかった」という結果になってしまうのではないでしょうか。

ですので、ぜひ自分の言葉で就職活動をしていただきたい、と思います。業界本に書いてあることや面接の問答例に書いてあるような言葉しか出てこない人は、自分の頭で考えていないな、と思ってしまいます。奇をてらって変わったことを言わなければならないということでは決してありません。「本当にやりたいことはまだわからないけれど、コンサルの●●というところに興味があるので、とりあえず受けてみました」でも構いません。正直なあなたの体験を、あなたの言葉で、教えてほしいです。

今回の連載は、ここで結びとなります。これまで4回に渡ってお付き合いいただいたみなさま、本当にありがとうございました。

外側からは見えにくい業界の中身をお伝えするのが本連載の目的ではありましたが、「認識を示す」話など、実際に何年か働いてみないとわかりづらい部分は、結局抽象的にならざるを得なかった面もあります。しかし、学生さんの段階では中身をすべて理解している必要はなく、興味を持っていただければ充分だと思います。

戦略コンサルティングという業界についてもっと知りたいという興味を持ってくださった方、ここから先は働きながら学ぶ領域です。ぜひ門を叩いてみてください。採用選考でお待ちしています。

シリーズ一覧

▶︎▶︎▶︎「売上2倍」系GDの背後に見える、表面的ディスカッション力の横行

▶︎▶︎▶︎【第2回:現役コンサルタントが語る】コンサルの面接・GDで評価されない典型と「処方箋」

▶︎▶︎▶︎【第3回:現役コンサルタントが語る】解を導くのがコンサルの仕事か?

▶︎▶︎▶︎【第4回:現役コンサルタントが語る】「コンサルタント」という言葉の響きに憧れを感じた時に読む話

 

【筆者紹介】


佐藤  沙弥(さとう さや) 京都大学経済学部卒業後、株式会社コーポレイト ディレクション(CDI)に入社。 IT事業会社の新規事業開発支援、食品会社のマーケティング戦略立案、サービス事業会社の店舗網再構築のアドバイザリーなど、消費者向けサービス提供会社のプロジェクトを中心に経験。CDIの新卒採用活動にも携わる。

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(注)MBA:Master of Business Administrationの略称で、経営学修士号の意。 ビジネススクールと呼ばれる経営大学院で、通常1〜2年の間に必要な単位数についてある一定以上の成績を修めることで取得可能。

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リクナビの内定辞退予測問題って何が悪いの?問題の概要を就活生向けに分かりやすく解説 リクナビの内定辞退予測問題って何が悪いの?問題の概要を就活生向けに分かりやすく解説 2019年8月1日(木)、就活生にとって衝撃なニュースがありました。リクルートキャリアの運営する就職情報サイト「リクナビ」が、就活生の内定辞退率を予測したデータを本人の十分な同意なしに予測し、計38社に有償で提供していたというものです。このニュースを最初に取り上げたのは日本経済新聞社ですが、その後様々な媒体が同様に取り上げ、「就活生・社会人」の中でも大きな話題となりました。引用【日本経済新聞記事】就活生の「辞退予測」情報、説明なく提供リクナビ数ある就活サイトの中でも最大手と言われている「リクナビ」が、このような問題を引き起こしたというニュースは、就活生の皆さんにとってもかなり衝撃的だったのではないでしょうか。そこで本記事では、今回のリクナビの一連の問題を就活生向けに解説していきたいと思います。本記事の構成リクナビの問題の経緯なぜ内定辞退率予測のサービスが生まれたのか内定辞退率予測のサービスはなぜ問題なのかリクナビ問題に関する記者会見(8/26)の概要内定辞退率予測のサービスを利用していた企業一覧最後にリクナビの問題の経緯記事の冒頭でも少し触れましたが、まずはこの問題の経緯を時系列に沿ってまとめてみました。問題の経緯2019年7月上旬個人情報保護委員会がリクルートキャリアへ事実関係のヒアリング▼2019年7月31日リクナビDMPフォローのサービス提供を一時休止▼2019年8月1日日経新聞社などの様々な媒体がリクナビDMPフォローについて報道リクルートキャリアがプレスリリースを発表▼2019年8月5日リクルートキャリアが同意取得不備があったことを発表し、サービス廃止を決定▼2019年8月6日日経BPが、リクナビが提携サイトの閲覧履歴も取得していた事実を報道▼2019年8月9日約8,000名の学生に対し、謝罪の連絡を開始▼2019年8月21日リクナビ2020上に、リクナビDMPフォローの対象かを識別できる特設ページを開設▼2019年8月26日個人情報保護委員会がリクルートに対し、情報管理の是正・勧告を提示リクルートが記者会見を行い、問題の経緯と対策を説明【引用】リクナビDMPフォロー一時休止後、サービスを廃止した件についてまとめてみた問題になったサービスに関しては既に廃止されていますが、「就活生の個人情報を、明確な同意なしに第三者に提供していた」という事実は、多くの就活生に不安を与えたのではないでしょうか。また、「日経XTECH」の記事内にはこのような記述もありました。内定辞退の可能性を指標データとして顧客企業に提供していたのは「リクナビDMPフォロー」。同社のプライバシーポリシーは、学生であるユーザーがログインしてサービスを利用した場合、「個人を特定したうえで、ユーザーが本サービスに登録した個人情報、およびcookie(クッキー)を使用」して、同サービスのほかに同社と提携するサイトから取得した行動履歴なども、ログイン前からの行動履歴などを含めて「分析・集計」するとしている。引用:【日経XTECH】[独自記事]リクナビが提携サイトの閲覧履歴も取得していた事実が判明つまりリクルートキャリアは、「cookieを利用してあらゆる情報を分析・集計し、その情報を第三者である顧客企業に提供していた」ということになります。ここまで一連の経緯を紹介してきましたが、「そもそもなぜこのようなサービスが生まれたの?なぜ企業側はこういったサービスを利用するの?」と疑問に感じる就活生もいるかと思います。そこで続いては、"内定辞退率予測のサービスが生まれた・使用された背景"に触れていきたいと思います。なぜ内定辞退率予測のサービスが生まれたのか内定辞退率を予測する「リクナビDMPフォロー」というサービスが生まれた背景には、大きく分けて以下の2点があると考えられています。現在は売り手市場であり、企業側も優秀な人材を採用することが困難になってきている内定辞退率が年々高くなってきている現在は売り手市場であり、企業側も優秀な人材を採用することが困難になってきている現在は就活生側に有利な"売り手市場"と言われています。また、優秀な就活生の中には10社以上の企業から内定を貰うという方もいる一方、一社からも内定を貰えないという就活も少なくなく、"就活生間の格差"が広がっているという現状もあります。こういった就活生を取り巻く状況の変化もあり、今回のようなサービスが生まれたという背景があります。内定辞退率が年々高くなってきている今回の一連の問題において、最も関連性のある背景が"内定辞退率の高まり"です。上述した内容と重複する部分でもありますが、現在は売り手市場であり、"複数内定を貰う就活生"も少なくありません。以下に引用した「newspicks」の記事によると、"2019年卒就活生の内定辞退率は約70%"というデータがあります。【参考】newspicks:【3分図解】リクナビは「内定辞退率」販売で何を間違ったのかこのような背景もあり、「せっかく苦労して採用した就活生に内定辞退をして欲しくない・できるだけ辞退する可能性の低い就活生を採用したい」というニーズが生まれ、今回のリクナビDMPフォローというサービスが生まれたのではないかと推測されます。ではなぜこのサービスがここまで大きな問題になったのか。続いては「この内定辞退率予測のサービスがなぜ問題なのか?」について考察していきます。内定辞退率予測のサービスはなぜ問題なのか今回、リクナビDMPフォローがここまで大きく問題になった理由として、以下の2点が挙げられます。cookieを使用していた倫理的に問題があるcookieを使用していた以下の文面は本記事の冒頭でも掲載しましたが、この"cookie"を利用したことがこの問題の根源の一つであると考えられます。内定辞退の可能性を指標データとして顧客企業に提供していたのは「リクナビDMPフォロー」。同社のプライバシーポリシーは、学生であるユーザーがログインしてサービスを利用した場合、「個人を特定したうえで、ユーザーが本サービスに登録した個人情報、およびcookie(クッキー)を使用」して、同サービスのほかに同社と提携するサイトから取得した行動履歴なども、ログイン前からの行動履歴などを含めて「分析・集計」するとしている。引用:【日経XTECH】[独自記事]リクナビが提携サイトの閲覧履歴も取得していた事実が判明ちなみにcookieを簡単に説明すると、以下のように述べることができます。cookieとはCookie(クッキー)とは、ホームページを訪問したユーザーの情報を一時的の保存する仕組み、またはそのデータです。ID、パスワード、メールアドレス、訪問回数などがユーザー情報として保存されます。これによって再訪問したときにユーザーを特定し、情報を入力する手間が省けます。【引用】実はよくわからないかも?Cookieとキャッシュの違いを解説つまり、cookieを利用することで「サービスの利用状況を全て保存し、それらの情報を分析・集計することができる」というわけです。そのため、「選考における合否判断」には利用してはいませんが、"リクナビのサイトを利用していた就活生のデータは、少なくとも該当企業38社には提供していた"という事実になります。今回の問題は、「cookieを利用して情報を分析・集計したこと」が問題なのではなく、「就活生からの充分な同意なく、cookieを利用して得た情報を顧客企業に販売していた」ことが問題と言えるでしょう。倫理的に問題がある今回の件は、「倫理的に問題があるのではないか?」と取り沙汰されていましたが、その理由としては主に以下の3点が挙げられます。就活生からの充分な同意がない個人情報の外部提供であれば、個人情報保護法に違反している恐れがある顧客企業側が内定辞退率の予測データを買ったこと自体が職業安定法に抵触する恐れがある情報提供により、データから算出されたスコアで就活生に不利な影響が及ぼされる恐れがあるそして就活生が特に気になるものとしては、3点目の"情報提供により、データから算出されたスコアで就活生に不利な影響が及ぼされる恐れがある"という内容ではないかと思います。そこでまず就活生の皆さんにお伝えしておきたいこととしては"現時点(8/30)では、リクナビDMPフォローのサービスを選考の合否判断に使用した事例はない"ということです。リクルートキャリア側も「合否判断に使用しないこと」を条件にこのサービスを販売していたようですし、リクナビDMPフォローを利用していた企業で"リクナビDMPフォローを合否判断に使用した"という企業も現状(8/30)ではありません。※上記はあくまでも各企業のリリースベースでの内容になります。「本当に利用していないのか?」など疑問を持つ就活生もいるかと思いますが、その点に関しては今後の動向を確認していただければと思います。この一連の問題を受け、リクルートは8月末に会見を行いました。続いては、その会見の内容にも少し触れてみたいと思います。リクナビ問題に関する記者会見(8/26)の概要8月26日(月)、小林大三社長と浅野和之執行役員により「これまでの一連のリクナビ問題」に関する会見が行われました。そして、この会見におけるポイントは以下の3点になります。合否判定には利用していないとしても、企業側は選考において何らかの形で利用していたのではないか問題に関する今後の対応策はどのようなものか学生に対する謝罪・補償はどうしていくのか合否判定には利用していないとしても、企業側は選考において何らかの形で利用していたのではないかこの会見の中で、"合否判定に使っていない、ということだったのですが、合否判定に直接使わなくても、そのスコアが選考の有利不利に働くような、そういった事例というのもないということでいいのでしょうか。"という質問がされました。確かに、「合否判定には利用されていないとしても、何らかの選考において利用したいがためにサービスを購入した」と思うのは普通だと思います。上記の質問に対し、リクルート側は以下のように回答しました。我々の認識は、お伝えさせていただきますと、どちらかと言うと、今回のお出ししている情報と言うのは、(選考)離脱の可能性だと思っております。学生様と企業様の間で選考プロセスを経ていく中において、離脱をされていく、離脱というのは(選考・内定)辞退ということなんですが、その可能性というものをスコアで出しているものですし。これは確率の話でもないですし、パーセンテージで表せるものでもないです。というところの前提の中において、離脱の可能性の高い学生をたとえばですが、しっかりコミュニケーションを取っていただいて、フォローしていただく、みたいなものに使っていただく、という風な認識です。そういった形で利用されていた、と認識しております。【引用】リクナビ社長「学生視点の欠如」と話すも補償視点はゼロ【内定辞退率販売問題・記者会見に参加して】つまり、リクルート側の言い分をまとめると、「今回のサービスは選考の順番を決める際には利用していない。サービスで提供している情報は、(選考)離脱の可能性に利用される前提で提供したという認識である。」となります。その後の、「実際に事例はないのか?」という質問に対してはその場で回答をすることはしなかったそうですが、上記が会見の内容の要約になります。上記のようにリクルートは質問に対して回答はしましたが、まだまだ曖昧な点もあるため、こういった詳細な内容に関しては今後の動向を待っていただければと思います。問題に関する今後の対応策はどのようなものか会見の中で述べられた対応策としては、主に以下の4点が挙げられました。①全ての商品・サービスの開発工程を標準化し、学生の視点を考慮したチェック体制をフローに盛り込む。②プライバシーポリシーの改定手順を明文化する。③10月をめどに、リクナビが個人情報を活用する際に妥当性を検証する「プライバシー責任者」を設置する。④20年4月をめどにリクルートグループ各社の法務組織を統合し、法務機能を強化する。【引用】詳報・リクナビ問題「内定辞退予測」なぜ始めた?運営元社長が経緯を告白(1/3)上記文面からも読み取ることができるように、こういった問題があった以上、リスク・情報管理の徹底はかなり行われていくようです。「企業側と学生側を繋ぐプラットフォーム」である以上、二度と同様の問題を起こさないためにも万全の管理体制を目指していくようです。学生に対する謝罪・補償はどうしていくのか学生の皆様への補償ですが、今は学生の皆様にとにかく通知を届ける、そしてどんな状態にあったかということをチェックしていただき、そしてその学生の皆様がどのような不安なのか、学生の相談に乗っていくということを優先したい、と思っています。【引用】リクナビ社長「学生視点の欠如」と話すも補償視点はゼロ【内定辞退率販売問題・記者会見に参加して】上記の会見内容を見てもらえば分かる通り、学生に対しての謝罪・補償に関しては現状、"サイト上・メールでの通知(謝罪)"という手段を考えているようです。また、リクナビのサイト上に特設サイトを開設し、一連の問題の情報を開示しているようです。学生向けに対しては今後また新たな動きがあるかもしれませんが、まずは学生に謝罪をし、一連の問題の事実を明確に伝えるという方法を取ったようです。内定辞退率予測のサービスを利用していた企業一覧計38社がリクナビDMPフォローを利用していたようですが、現時点(8/30)で報道・発表された企業は以下の通りになります。本田技研工業→選考合否判定には利用していない。トライアルでの利用。就活イベント参加者へのフォローに使用。トヨタ自動車→選考合否判定には利用せず、辞退者を減らすために利用。大和総研ホールディングス→採用活動におけるAIの技術検証目的で利用。NTTコムウェア→選考合否判定には利用していない。NTTファシリティーズ→選考合否判定には利用していない。東京エレクトロン→選考の合否判断の利用はなく、内々定者のフォローの参考のために利用。YKK→グループの就職説明会の参加を促進するために利用。採用選考の合否判定には使用していない。レオパレス21→合否判定には使用せず、説明会への参加促進、内定承諾後の接点タイミングの最適化に利用。アフラック生命保険→学生の志望度の向上を目的としたフォローのために利用。りそなホールディングス→内々定者フォローのために利用。メイテック→企業への興味・関心度合いを、学生の適切なフォローの際の参考要素の一つとして利用。テクノプロ・ホールディングス→選考合否判定への利用は行っていない。三菱電機→選考合否判定、および採用活動への利用は一切行っていない。コロワイド→採用活動への利用は行っていない。ワールドインテック→応募者フォローが目的であり、選考合否判定には利用していない。SOLIZEEngineering→入社志望度を向上することを目的とし、より緊密なコミュニケーションを図る際の参考として利用。京セラ→内定者モチベーション維持のために利用。太陽生命保険アイシン・エィ・ダブリュ大同特殊鋼→採用選考の合否判定には一切使用していない。富士ソフト→内定者の入社意欲を高めてもらうためのフォローにのみサービスを使用していた。デンソーテクノ→採用選考の合否判定には一切使用していない。住友電装→学生とのコミュニケーションをより深める目的で利用していた。リクルートホールディングスリクルートキャリア【引用】リクナビDMPフォロー一時休止後、サービスを廃止した件についてまとめてみた最後に8月の頭に明らかになり、世間を賑わせた一連のリクナビ問題は、就活生にとっても大きな衝撃を与えたのではないでしょうか。就活におけるプラットフォームとも言える「リクナビ」がこのような問題を起こしたということは、現在就活を行っている学生/今後就活を始めることになる学生に対し、大きな不安感を与えたのではないでしょうか。しかし、こういった就活サイトを使用せずに就活を進めるというのは中々難しいものがあります。そのため、様々な就活サイトが溢れている現代、就活生の方はしっかりと"取捨選択"していただき、自身の求めているものに最も適した方法で就活を進めていただければと思います。また、同じく就活サイトを運用しているunistyleも、常に就活生視点を忘れず、就活生に"より良い情報提供・価値提供"ができるように努めていきたいと思います。 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大学生の英語学習にオススメのサイト6選 大学生の英語学習にオススメのサイト6選 経済のグローバル化が進み、英語の重要性はますます高まっています。新卒採用においてもTOEICやTOEFLの点数を重視する企業が年々増えており、英語に対する意識は多くの学生の間で高まってきているのではないでしょうか。インターネットが発達するまでは海外留学や英会話学校に通うのに何十万円ものお金が必要でしたが、インターネットの発達により安価で質の高い学習が可能になりました。今回は、英語学習の「読む」、「書く」、「聞く」、「話す」のそれぞれに役立つ英語学習のサイトをご紹介します。就職活動だけでなく今後の英語学習に役立てていただければと思います。読む:JapanTimes(OPINIONページ)(http://www.japantimes.co.jp/opinion/)日本人は比較的、英文法やリーディングのスキルは高いと言われていますが、読むことは学習の中でも基本中の基本であり、自信のある人も毎日続けたい学習であると言えます。JapanTimesのOPINIONでは日本のニュースについてJapanTimesの記者が意見が述べられているため、英文が十分に理解できなくても背景知識による補完が可能です。またニュースの説明だけでなく英語での意見の述べ方、論理立てた説明の仕方を学ぶことができるため、ライティングやスピーキングにも活きる内容になっています。書く:Lang-8(http://lang-8.com/)ライティングを向上させる上で、最も手っ取り早い方法がネイティブスピーカーに添削を受けることです。但し、多くの人には、気軽に添削を頼めるネイティブスピーカーはいないでしょう。Lang-8は学習したい言語の文章を書くとネイティブスピーカーが添削してくれるサイトです。お返しに日本語で添削をしてあげるほど、自分の文章が添削されやすくなるシステムとなっています。基本料金は無料ですが、月額$7の有料会員登録することでも添削されやすくなるようです。現在、190カ国以上の国からアクセスがあり、90言語が学習可能となっています。聞く:TEDプレゼンテーション(https://www.ted.com/)リスニング力を向上させるには、スクリプト付きの動画や音声をたくさん聞くのが最も効果的です。TEDは学術、エンターテイメント、デザインなどのあらゆる分野のエキスパートがプレゼンテーションを行うTEDConferenceの講演内容をインターネット上で無料公開しています。講演内容の動画には、字幕をつけることもでき、英語字幕だけでなく日本語字幕も選択可能です。プレゼンテーションの内容も豊富なため、自分が興味のある分野の動画を見るようにすれば飽きずに学習を続けられるかもしれません。最初は字幕なしで見てみて、その後英語字幕で見て、最後に日本語字幕で理解し、もう一度字幕なしで見てみるというサイクルを回すことができると効果的な学習になるでしょう。話す:オンライン英会話(http://langrich.com/)スピーキング力を向上させるにはとにかく英語で話すことが大事ですが、日本ではなかなか英語を話す機会はありません。海外からの留学生に家庭教師をしてもらったとしても1時間2,000円程度が相場で予算的にも大学生には厳しくそもそも予定を合わせるのが大変です。オンライン英会話は月額6,000円で毎日25分のレッスンが受け放題のサービスです。人件費が割安なフィリピン人講師を用いているため、非常に低額でサービス提供が可能になっています。上記の紹介画像はラングリッチのものですが、大手では他にもレアジョブやDMM英会話がありますが、サービス内容に大きな違いはないと言えます。まずはどのサービスでも提供している無料レッスンを受けて決めてみるのがよいでしょう。番外編①:そもそもの英語学習方法(http://wisdomofcrowdsjp.wordpress.com/sitemap/english/)英語の勉強は闇雲にやってもなかなかすぐに効果が出るものではなく、効果が出ないと自分の勉強方法に疑心暗鬼になってしまって継続しないという経験は多くの人にあるのではないでしょうか。そんな人はそもそもの英語学習方法について知識を入れてみるのもいいかもしれません。こちらでご紹介しているサイトは、はるじぇー(@HAL_J)さんがまとめた英語学習方法です。帰国子女でもなく留学経験のないはるじぇー(@HAL_J)さんが自ら実践してきた英語学習方法についてまとめたものです。読み応えがあるとともに、TOEICのレベル別に勉強方法が提示されているので、自分のレベルに合わせて読むことも可能です。番外編②:海外語学留学(http://souspeak.com/)海外への語学留学というと、少し前までは1ヶ月〜2ヶ月程度でも、100万円弱のお金がかかるため非常にハードルが高い物でした。一方で上記で紹介したフィリピン人講師を用いたオンライン英会話のように、語学留学においても1ヶ月10万円程度で行くことができるフィリピン留学が近年、非常に盛んになっています。上記でご紹介しているのは番外編①でご紹介した英語勉強法の著者であるはるじぇー(@HAL_J)さんが設立したサウスピークという語学学校です。語学学校の中にはバカンス気分で大して勉強しない人もいるのですが、サウスピークは「3ヶ月でTOEICが200点あがる学校」、「生徒の一日の平均学習時間は10時間以上」と真剣に勉強したい人向けのカリキュラムになっています。語学留学については予算と自分の目的に合わせて学校を選ぶのがよいと思いますが、勉強を目的に行くのであればこうした学校に行くのがよいかもしれません。最後にたくさんのサイトを紹介しましたが、結局英語学習で最も大事なのは継続力だと言えます。1ヶ月努力した成果が見えるのは3ヶ月先だとも言われています。「物事を始めるのに遅すぎるということはない」ので、英語の勉強をしようかなと思っていた人はこのコラムが英語学習を始めるきっかけになればうれしいです。credit:KniBaronviaFindCC 92,503 views
私のキャリア選択。|フェイスブック ジャパン 佐藤太泰 私のキャリア選択。|フェイスブック ジャパン 佐藤太泰 楽天、家業、海外MBA、P&G、そしてFacebook。華やかで確かな経歴を歩むフェイスブックジャパンの佐藤太泰氏に「キャリアの選択」について話を伺いました。これからファーストキャリアを選択する就活生にとって、意思決定基準や長期的なキャリア選択のヒントとなれば幸いです。公式Twitterアカウント:@uzms_310参考記事:資生堂ジャパンがInstagram×雑誌の成果を可視化リーチ補完と重複接触によるシナジー効果参考記事:「Instagramは、我々にとってのマスメディア」:BOTANISTのInstagramフル活用戦略本記事のアウトライン◆日系企業と外資系企業。両社での勤務経験から感じること。◆「海外MBA」という選択◆3度の意思決定。何を基準に選んだのか。◆理想追求者であれ。◆最後に:”転職を視野に入れた就職活動”をするなら日系企業と外資系企業。両社での勤務経験から感じること。___佐藤氏は新卒で楽天に入社し、次に家業の印刷会社に入社する。その後、外資系消費財メーカーP&G、”GAFA”の一角であるFacebookへ籍を移し、現在はInstagramを中心とした仕事に従事する。様々な企業や環境での就業経験を経て、今思うこととは。日系企業と外資系企業の違いとは何か?佐藤:今回、このような機会を頂いてありがとうございます。私の経験やキャリアへの考え方がどこまで学生の皆さんにとって役立つかわからないですが、出来るだけ率直にお話しできればと思います。今日はよろしくお願いします。それで、質問の答えですが大前提として、日系と外資について「どちらが良い、優れている」という意見は特に持っていません。その質問に対する答えは個々人によって、またはその個人がその時々に置かれた状況によって異なってくる、と考えているからです。ですので、ここでは両者の良さを実体験をベースに、個人的な意見として述べていきますね。まず、違いについて。一般的にも言われることがありますが、外資系企業は自由度が高い傾向にあると感じます。ここで言う「自由」とは、”自分で決めないといけない”という意味だと思ってもらえればいいかも知れません。”何でもできる”の裏には大きな責任が伴います。外資系企業はまずこのあたりが顕著だと思います。実際に今勤めているFacebookでも目標や目標達成までのプロセスは自分で作成し、それを上司や周囲の同僚と合意形成をしてから仕事を進めていきます。会社から、もしくは上司から一方的に「あれをやれ、これをやれ」ということは殆ど言われません。___なるほど。P&Gでも同じだったのでしょうか?佐藤:大まかには似たようなものだったと思います。特に私が在籍したマーケティングの組織でも会社の方向性をグローバルレベル、地域レベルで把握しながら、向かうべき大きな方向性を意識しながらゴールを設定し、上司から承認を得るプロセスでした。従って、当事者意識といいますか「一つのブランドやビジネスレベルでのプロジェクトを自分が担当していく、自分が市場を作り、消費者の方々に受け入れてもらうマーケティングプランをつくる」という自覚が芽生えました。例えて言うならば『事業責任者』というポジションを渡される感覚です。だから確かに自由度は高い、けれどそれだけ責任も大きく伴う、といったところですね。___日系企業だと”ひとつのセクションを任される”感覚が強いと思いますが、外資系企業だと”ひとつの事業を任される”という感覚でしょうか。極めて経営者に近い感覚でビジネスが行われているんだと推察します。佐藤:あとは、多様性についても外資系企業は進んでいると感じます。ただ、ここについては多くの日系企業の多様化も進展していると思っており、私の在籍した楽天も現在は非常に多種多様な人材がいて、日本でも、世界でもダイバーシティが進んでいると聞いています。___確かにエンジニアの外国人採用などは近頃盛んですし、多様性を高める意図の有無を問わず、外国人採用に力をいれている企業は年々増えていますね。日系企業が外資系企業よりも進んでいると感じることはありますか?佐藤:会社へのロイヤリティをつくるのが上手と言いますか、チームビルディング力の優れている会社が多いのではないかと思っています。組織の結束が強いとも言えると思います。外資系企業は「プロフェッショナルな個人の集団」というイメージが強いかと思いますが、確かにそういう一面はあると思っていて、一枚岩になって取り組む、ということに関しては日系企業に巧者が多いと感じています。___いわゆる福利厚生面についてはどうでしょうか。一概に言えない部分は多々あると思いますが。佐藤:そうですね、企業によりけりなので一概には言えないですね。ただ一つ感じることとしては、外資系企業は、個のパフォーマンスの最大化という大義名分があれば支援を求めやすいと思うことはあります。制限されたリソースの中でがんばりなさい、というよりも「自分はこれがやりたい。会社のためにもやった方がいい。そのためには今のリソースでは不十分で新たに○○が必要です」ということが非常にオープンに言いやすいように感じます。前述の通りもちろん責任も伴うわけですが、個々人のパフォーマンス最大化のために企業側も最適化しようという意志が強い気がします。こう言ってしまうと、日系企業はそうではないのか?と思われそうですが、決してそんなことはなく。日系企業では「個人の成長」にコミットしてくれる会社がたくさんあると思っています。私が在籍した楽天でも、”自分という一人の人間”を見てくれてる、という有難さや、居心地の良さがありました。「限られたリソースの中でも一緒に頑張ろう。どう工夫できるか?を一緒に考えよう」というスタンスでサポートしてもらえたからこそ、制限された中でもとにかく行動して、結果を出す「実行力」を磨いてもらいました。若い時に先輩から厳しく、愛情を持って育ててもらえたのは私の人生において大きな財産となりました。「日系か外資系か」は結果論と傾向にすぎない。___冒頭でも仰ったように、一概には日系と外資系を語れないところはあると思いますが、それでも就活生は「日系か外資系か」という大きな2択で絞込みを行い、その上で企業選びをしている傾向はあると感じます。こちらについて何かアドバイスはありますか?佐藤:私も就活生の皆さんと話をさせてもらうことがあるのでわかるのですが、確かに「日系がいいのか外資系がいいのか」という切り口で選択をしようとしている学生は一定数いる気がしています。さきほども述べましたが、全体的な傾向がそこにあるだけで、日系がいいとか外資系がいいとかそういった議論をするのではなく、1社1社を見ていってその会社の内情をしっかりと知ることが大切になってくるでしょう。世間で言われるイメージ通りの自由闊達な外資系企業もあれば、旧態依然とした企業だってありますし、最近は日系企業でも本当に自由で、個々人が生き生きと自分で決断しながら働いている会社もたくさんあります。従って、強調すべきは「イメージに流されずに個社別に見ていくことが大切」ということだと思います。私自身も「日系か外資か」という切り口で取捨選択をすることはあまり推奨していません。「海外MBA」という選択___佐藤氏は家業の印刷会社に転職後、海外MBA取得に向けた準備を始める。周りの人間は「絶対に無理だ」と猛反対したそう。それでもMBA取得に向けて2年という時間を費やし、晴れてサンダーバード国際経営大学院に入学する。そこまでして佐藤氏を駆り立てたものとは。そして、そこまで佐藤氏を魅了した”海外MBA”とは。当時28歳。英語も話せない中、海外MBAへの挑戦を決意。___海外MBAに挑戦しようと思った理由を教えて下さい。佐藤:恥ずかしいですが、一言で言うならば、「憧れと好奇心」です。最初のきっかけは楽天時代。当時、私は広告の営業をしていました。そのときの1社がP&Gで、先方の担当者の方々に非常にお世話になったんです。その過程で一緒に仕事をする中で衝撃を受けることがたくさんありました。楽天にも勿論、素晴らしく優秀でお手本にしていた先輩はたくさんいました。しかしP&Gで新たにそれまで出会わなかったようなタイプの人とお仕事をさせてもらう中で、いつかはグローバルなP&Gのような会社で仕事がしたいな、と思うようになりました。二つ目は、当時の楽天はちょうど変革期でベンチャーから大企業への変貌を遂げようとしていました。そこで海外ビジネススクールを卒業したMBAホルダーを採用し始めたタイミングでした。運よくそのうちの一人の方とお仕事をさせてもらう中で、また多くの刺激を受けるんです。そこで、その人に色々話を聞いたら、どうやら海外MBAっていうものがあるらしいと。そこでは「経営を座学と実践の両方で学び、尚且つ英語で外国人と議論して日々自分のバリューは何か?を問われ続ける。その中でビジネス力と人間力の両方を磨けるチャンスがある。」ということを教えてもらいました。そこから興味を持って、社外のMBAホルダーを紹介してもらったり、調べたりする中で「憧れと好奇心」を強く持ちました。気づいたら、アメリカに渡ってて、現地の大学院を回って授業に飛び入り参加させてもらって、英語も全く話せないのに「もう自分の居場所はここだー」って勝手に結論づけていました。笑___憧れや好奇心だけで海外MBAを取得できるとはなかなか思えないのですが、苦労や挫折はなかったのでしょうか?佐藤:苦労や挫折しかなかったですよ。元々勉強は得意ではなかったですし、英語なんて一切話せない。なんなら、私は青山学院大学を卒業しているんですが1浪してなんとか入学できたレベルですし、大学時代もバンド活動とアルバイトばかりしていて全く勉強もしてなかったので、もう本当に大変でした。海外MBAの入試に合格するための勉強期間は2年ほど費やしましたし、その間は家業の印刷会社でリストラや新規事業の開発をしながらだったので、精神的にどうにかなりそうでした。苦笑MBAに合格する前の最後の半年は一人でアパートを借りて外部との連絡もシャットアウトしてひたすら勉強していました。余談ですが、追い込みのためにMBA予備校のすぐ近くにアパートを借りてたんですが、そこのアパートは騒音とかに厳しかったので英語のリスニングをするときは近くの公園でしてました。深夜の公園でひたすら英語を聴きながら、その英語を真似てブツブツつぶやく。何度か職務質問も受けました。笑___サンダーバード国際経営大学院での2年間はいかがでしたか?佐藤:受験勉強の2年間は大変でしたが、入学してからも大変で。細かな話は割愛しますが、英語がとにかく話せない状態で渡米したので、先生が話してることすら聞き取れませんでした。すると理解のフェーズにいくのは授業が終わってから。なので、授業が終わってからが勝負みたいなところがあり、四六時中勉強していました。ただ、最高の出会いと学びがあったことは間違いなく言えます。大袈裟に聞こえるかもしれませんが、人生のステージがそこで変わったような気がしますね。視界が開けたと言いますか、MBAに行ったことで世界中の猛者と議論し、時には喧嘩もしてお互いを理解し合う、ビジネスプランを作る、発展途上国に行って現地企業をコンサルする、などの経験は本当に貴重なものでした。当時の仲間とは今でも頻繁に連絡を取り合っています。「MBA」は"キャリア"という料理に深みを持たせるスパイス___MBA取得後のキャリアはどう変わりましたか?佐藤:まず、運よく憧れていたP&Gに入社することができた、という結果だけを見ても非常にポジティブに働いたんじゃないかな、と思っています。ただ、「MBAがあったから」入社できたというわけでは一切なく、それまでの経験やそこから得たものなどを評価されての入社でした。よくMBAをキャリアにおける魔法のようなものだと思っている人がいますが、あくまでスパイスのようなものにしか過ぎません。当然ですが、MBAがあればスーパーマンになれる訳でもありません。残念ながら一部の経営者の方には「MBA卒の人は頭はいいんだけど、企業では使い物にならないんだよね、、、」という評価を受けていることも事実としてあるかと思います。もし今後、留学を検討している人がいればこのあたりは漠然としたイメージではなく、正しい認識を持って欲しいと考えています。MBAを取った後、何をしてどんなビジネスパーソンになるのか?どこでどんな風に活躍したいのか?その為には自分はどこのビジネススクールで何について勉強して、どんなネットワークを構築した上で卒業するのか?というビジョンがあると留学生活が活きてくると思います。とはいえ、僕自身が最初は「手段が目的化していた状態」で海外MBAに行くことを決めた節もあるので、よくわからない時は直感に従って”手段が目的化しててもいい”と自己認識して、やり抜けるのであればそれはそれで良いのではないかな、とも思っています。実を言うと僕の場合は楽天を辞める時に周囲に「僕は絶対にアメリカでMBAを取って帰ってきます。(当時の)TOEFLの合計点が120点中26点だけど、目標は達成してきます」と宣言しちゃってたので、後に引けなかっただけというのもありますが。笑3度の意思決定。何を基準に選んだのか。___新卒時の楽天入とMBA取得後のP&G、そして現職であるFacebook。それぞれの入社理由はどのようなものだったのか。どのような意思決定の元下されたのか。Goalに対して”今何が必要か”が意思決定をするベースになる佐藤:広義的には意思決定基準は新卒のときから変わらずで、「事業を創り、世界で勝負できる人」になるためには?が根底にあって、そのとき考えられるベストな選択を選んできたのだと考えています。楽天を選んだ理由は、「新卒として働く上で、圧倒的な成長ができる環境だと判断した」からです。私は大学3年生の時から楽天でアルバイトをさせてもらっていたのですが、もう社員さんの目つきとか勢いが他の会社のそれとは明らかに違いました。さらに、アルバイトなのに最前線における重要な仕事をバンバン任せてくれる。そこに対して先輩が真剣に指導してくれる、そんな環境がありました。将来的に事業を生み出し、伸ばしていくためには、まずは現場力を磨かないといけない、と考えて楽天に入りました。当時はライブドア事件などもあったりして、IT企業に対する世間の風も冷たいタイミングだったのですが、逆に先輩方や新卒同期でさえも「絶対に日本を代表する企業にしてみせる」と一丸になっていました。今考えたら「どんだけ熱い会社なんだ」と。笑家業の印刷会社への入社理由はシンプルで「経営側に入れる」からです。上述のように、営業職としての成長を実感する過程で「経営」の仕事にパッションを持ち始めていました。そこで、最初はベンチャー企業の経営企画室などの面接を受けたりしましたが、その時に父親から「経営がやりたいんだったらウチでやってみろ」とチャンスをもらいました。しかし、これは事業承継あるあるだと思うんですが、社長である父と衝突してしまうんです。当時は私も若かったですし、楽天という”時代の最先端をいく会社”にいたという気持ちの奢りがあり、尖ってたんだと思います。経営のトップである父と私の関係に亀裂が入ってしまい、これでは肝心の社員が路頭に迷ってしまい会社として成り立たないと考え、道半ばで退職を決意しました。完全に自分のミス、失敗でした。同時に「海外ビジネススクールに行き、成長して、いつか必ずこの失敗を乗り越えたい」というモチベーションがそこでまた形成されました。一気にスイッチが入った感覚があったのを覚えています。___楽天で現場を、ご両親の経営される印刷会社で経営を実践されて、その後サンダーバード国際経営大学院に入学されるわけですが、P&Gへの入社理由はいかがでしょうか?元々「憧れ」というバイアスが掛かっているとは思いますが、それだけではないと思いまして。佐藤:サンダーバードの授業の一貫で色んな国でプロジェクトをさせてもらいました。現地の企業や海外進出を目論む米国企業に変わって、アフリカや東南アジアの国々で事業開発をしてくる内容でした。そこで多くの海外の人、それも途上国の方々と接することができました。現地で感じたこととして、彼らは日本に対して高い期待感がありました。日本の文化、日本の製品やブランド、そして日本人に対して評価が高かった。そして「日本人にもっと進出してきて欲しい。日本人に雇われたい、と考えてる人は沢山いる」と教えてもらいました。一方で、日本にはグローバル展開できているブランドが大企業の一部に限られている。新興ブランドは皆、中国や台湾やアメリカから来る。その理由を色々調べていると、技術力ももちろんそうですが、マーケティングに課題があると考えました。要するに、素晴らしい技術や人材がいてもマーケティングで苦労している日本企業が多いんじゃないか、と。今後自分の力で事業を生み出し、世界展開させるにはマーケティングを学ばないといけないと考えていました。そこで、グローバルマーケティング企業として有名なP&Gがやはりベストなのではないかと考えました。___そこからFacebookにはどういった経緯で入社されたんですか?佐藤:まず、P&Gを辞めようと思った理由は、いよいよ自分で会社をやろうかな、と考えていた時にちょうどP&Gで尊敬していた元上司が卒業することになったからです。P&Gでは最高の学びを得ることができました。また、元上司からは幸運にも半年間毎日1時間ほどマーケティングについてみっちりと教えてもらいました。そして、多くの超優秀な人たちと現場での実践を通じてマーケティングの楽しさ、難しさを叩き込んでもらえました。ただ、辞めてから事業の立ち上げをしている時に正直不安なところがあって。そんなときにフェイスブックジャパンの代表を勤める長谷川に会い相談させてもらいました。そこで「もっと成長できる余地があるんじゃないか。Facebookにはそんな環境が整っているから一緒に大きなインパクトを残そう。」という言葉をもらうことになり。長谷川は、個々人のビジョンに寄り添ってくれて自分でも気づいていない「成長の機会」を一緒に探ってくれる、尊敬できるリーダーです。もう一度インターネットの世界に戻り、事業を興したいという私のビジョンとも合致し、お世話になることに決めました。___意思決定をするに際しての軸となるものは変わらないが、その時々において必要と思うものを確実に手中に収めていらっしゃるように思いました。佐藤:そんなことはなくて、実際は毎日必死ですが、思うことは最終的な目標に対して、今何が必要なのかを明確にすることが大事だと思います。柔軟に、でも目標をしっかり立てて逆算する。その目標はしっかりと自分に中でクリアしていく、ということが大切なことだと思っています。ロジックだけでは決められない___ここまで非常に合理的な判断の元、意思決定をされてきている印象があります。佐藤:もちろん合理的な判断だったとは思っています。ただ、実は、最後の最後は”直感”で決めるようにしていて。ここまでの話を覆すようなこと言うようですが。私の考えですが、直感には”根拠”があると思っています。どういうことかと言うと、直感というのは親や友人、仲間とこれまでの人生を過ごす中で育んできたもので、そこには必ず「本質」が含まれているのではないかと。言葉にはできないけど、自分的に「ピンと来る」「ピンと来ない」という感覚は実は非常に大切だと思っています。余談ですが、私が尊敬するマーケターや経営者の方もロジックと感性の融合が非常に上手というか、それらを含めたビジネスセンスが抜きん出ている人が多いように感じています。大前提として、ロジックは有能です。有能ではありますが、あくまで一つの判断材料に過ぎないので、そこに頼りすぎるのはリスクだと思っています。理想追求者であれ。____輝かしいキャリアを歩んできた佐藤氏。ここまでのキャリアを通じて佐藤氏が思うこととは。理想の高さは自己投資規模に繋がる___佐藤さんの経歴を見て、憧れを持つ学生は多いと思います。ここまでのキャリアを築けることができた最たる理由は何でしょうか?佐藤:大前提として、「理想を高く掲げてきたこと」がすべてのはじまりだと思っています。自分の身の丈に合わない理想を常に持っていた、というのがスタートポイントです。そして2番目は行動すること、チャレンジすることだと思います。なぜなら、理想が高く、しっかりと行動すると必ず挫折や失敗が付いて回ります。その挫折や失敗することが成長のエンジンになる。なぜできなかったのか、どうすればできるようになるのかを考える。その課題に向き合って、そして自己投資をして、スキルを磨いていくことが非常に重要で。「理想の高さ」=「どれだけ自分に投資するか」ということに繋がると思っており、その投資に対してのリターンを実績やキャリアとして得ていくイメージです。念の為ですが、自己投資とはお金をかけるだけではなく、勉強する、できなかったことを出来るようにするイメージです。失敗してヘコんでる時に、友達と居酒屋で飲みたい気持ちをちょっとだけ押さえて、図書館に行って読書する、など。結局はその積み重ねなんじゃないかなと考えています。___なるほど。理想を高く掲げる上で大事にしたいことなどはありますか?佐藤:「理想を高く掲げる」ことで柔軟さを失うケースがあると思っています。「○○をやる」と決めてしまったが故に、その最短距離だけを選ぼうとしてしまうこともあります。これ自体は否定しませんが、急がば回れという言葉もあるように、ときには遠回りをしてみたり、寄り道をしてみるということも大事なんじゃないかと思っています。「理想を実現する」というゴールに対してのルートや選択肢は複数持ってもいいと思います。直線を選んだり曲線を選んだりする中で、また違った経験がきっとあるはずで、それすらも楽しんでいけたらいいなって思っています。最後に:”転職を視野に入れた就職活動”をするなら___常にハイレベルな環境で活躍されてきた佐藤氏。業界や職種は違えど、ここまで活躍できたその背景にあるスキルとは。1社目で身に付けたい、3つのスキル___就活段階で既に「転職」を視野に入れた活動をする学生が一定数増えてきていると思います。「転職を前提とした」就活生にアドバイスをするならば、どういうお話をされますか?佐藤:どんな会社に行ったとしても、3つのスキルを身に着けて欲しいなと思います。それは、コミュニケーションスキル/ストラテジック・シンキング/リーダーシップです。コミュニケーションスキルというと非常に曖昧だと思いますが、要は対人折衝力を培って欲しいと思います。当たり前ですが、どんな会社でどんな仕事をするにも人と人のやりとりは必ず生じますし、これなくして物事は進まないので、今一度大事にしてほしいなと思っています。特に大事なことは「相手が何を考えているのか?何を意図してその発言をしているのか?何を想っているのか?」に耳を傾け、しっかりと理解することです。ストラテジック・シンキング、つまり戦略的思考についてはシンプルにお伝えすると「どうすればうまくいくのか?」という思考を絶やさずに持ってほしいなと思います。フレームワークなども多々ありますが、まずはそういったものに頼るのではなく、自分の頭でしっかりと思考すること。思考の奥行きや幅を広げるには論理とアートの両方から物事の本質を思考し続けるしかなく、フレームワークはあくまでそのプロセスを助けてくれる一つのオプションでしかないと思っています。リーダーシップは、部下に対してという狭小的な意味ではなく、上司や先輩をも動かせる能力を身に着けて欲しいという意味合いで考えています。ビジネスシーンでは自分がリーダーのプロジェクトに先輩や上司がそのプロジェクトメンバーとしている、ということもよくあります。社会の構造が複雑化し、ダイバーシティも拡大し続けるこれから先の社会ではこのリーダーシップ力が益々大切になってくるので、ぜひ皆さんにはこのスキルを磨いて欲しいと思っています。これらは専門的なスキルではなく、いわゆるジェネラルスキルなので、どこにいっても活用できます。専門性の下地になるスキルだからこそ、若い時にしっかりと向き合ってみてほしいです。 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