営業orコーポレート?総合商社内定者が懇親会で見た内定者のタイプ

33,301 views

最終更新日:2023年10月23日

営業orコーポレート?総合商社内定者が懇親会で見た内定者のタイプ

16卒の総合商社内定者です。

筆者は8月の頭に某総合商社から内々定を頂き、内定者懇親会に出席しましたが、そこで内定者が大きく二つのタイプに分類されることに気づきました。

今回は倍率100倍を越える難関の選考を突破した総合商社内定者の懇親会においてどのような内定者がいて、それは仕事に置き換えた時にどういう分類をされるのかにクローズアップしていきたいと思います。

総合商社内定者:営業向き内定者

盛り上げ上手で商社マンといったらイメージするタイプの人です。

非常に細かい気遣いができ、テーブル全体のボルテージを高めることに長けています。公式な懇親会の後の2次会のお店を抑えていたりするのには驚きです。

彼らは入社後も営業部門の最前線で働き、数々の接待と数々の合コンをこなして、様々な案件を獲得するに違いありません。

また学生時代から海外インターンやバックパッカーなど自分の意思で積極的に行動していた人が多くここに分類されるように感じます。

総合商社内定者:コーポレート向き内定者

先ほど紹介したお地蔵さん内定者の他にサポートに徹している内定者がここにグループ分けされます。

スーツの上着を脱ぐ人がいればそっとハンガーを手渡す、飲み物が減ってきた人に対して次に何を頼むかを聞く、気分の悪そうな人をそっとトイレに連れていくなど例を挙げればキリがありませんが、宴会というフィールドにおいて完全なるサポート体制を敷いています。

宴会においてリスクマネジメントに徹している学生はおそらく面接でもその能力が見抜かれ、リスクマネジメントを行う部署に配属されることでしょう。

また宴会を盛り上げている営業向き内定者を引き立てている姿を見ているとまるで商社のビジネスが目の前で行われているような錯覚に陥りました。        

総合商社内定者の内訳

ちなみに内定者の内訳としては体育会が2-3割、帰国子女が1-2割、女性総合職が1-2割でした。

ただ体育会だから率先して盛り上げるであったり、帰国子女だからお酒が入ると英語で話し始めるということはありませんでした。

また志望部門の話をしてみると営業志望の学生8割、コーポレート志望の学生2割といったところでしょうか。

営業部門では若いうちに結婚した上で家族とともに海外に駐在したいと考えている内定者が非常に多いように感じられました。

コーポレート部門を初めから志望している内定者は司法試験合格を目指していて法科大学院に通っている人や投資ファンドでインターンをしていて、投資の部署に入りたいなど専門分野に秀でている人が多くいました。

最後に

最終的な配属は人事社員が決めますが、今回は内定者の目線から内定者がどちらの職種に向いているのかを考えてみました。

毎年ある程度、適性を考えた上で採用活動を行っているはずなのでわかりやすいぐらい営業向きの人やコーポレート向きの人が内定者に多くいるように感じられました。

就活生のみなさんも人気業界である総合商社を志すのであれば、自分がどの職種で働くのかを考えてみたら良いでしょう。

総合商社業界の情報収集に役立つ!就活生向けLINEオープンチャットを紹介

商社 オープンチャット

unistyleでは業界別の就活用LINEオープンチャットを運営しており、数多くの就活生が匿名で就活に関する情報交換をしています。

実際に総合商社志望者向けのグループでも、各社の選考に関するトークが活発に交わされています。

下記の画像をクリックすることで参加用ページに飛び、ニックネームとプロフィール画像を登録するだけで参加することができますので、興味のある方はぜひご参加ください。

おすすめコラム 4 件

「銀行の志望動機」3パターン|解説付き内定者ES 「銀行の志望動機」3パターン|解説付き内定者ES 銀行といえば、人気企業ランキングでも上位に名前を連ねる人気業界の一つです。今回はunistyleに掲載している銀行志望者のESから、志望動機に見られた三つのパターンについてお伝えしたいと思います。企業の採用HPや業界研究本だけですとどうしても固い内容ばかりで、噛み砕いた理解が難しく感じてしまいますが、学生の志望動機であれば比較的簡単に理解できると思います。参考:参考:本記事のコンテンツ1.相手のニーズに対して自分のアイディアで解決を図る仕事がしたい└【参考】銀行内定者ES回答例2.自分自身が商品となり、顧客との信頼関係を構築していきたい└【参考】銀行内定者ES回答例3.社会を支える仕事がしたい└【参考】銀行内定者ES回答例4.最後に5.銀行業界の情報収集に役立つ!就活生向けLINEオープンチャットを紹介1.相手のニーズに対して自分のアイディアで解決を図る仕事がしたい銀行の仕事は単純に、金融商品を売るだけではなく、その企業の経営状況等を踏まえて、コンサルティングを含めて金融商品を提案しています。時には相手が気づいていないニーズを引き出した上で、サービスの提案をする高度な営業が求められる仕事だといえます。そのため、学生時代に自分自身のアイディアで問題解決やニーズに応える活動をしてきた学生は、その経験をもとに志望動機を語る傾向にあります。下記、三井住友銀行内定者のESはサークル活動におけるニーズ解決について、インフラ業界内定者もサークル活動において自分のアイディアを提供した話から、銀行への志望動機に繋げています。【参考】銀行内定者ES回答例三井住友銀行を志望する理由についてお答え下さい。(200文字以内)サークル活動の経験から相手のニーズを把握し、それを自らの提案で解決することに最もやりがいを感じました。銀行は形のないものを扱う為、自分の提案で付加価値をつけることができ、経済の血液であるお金を扱う機関として、多くの人、ひいては世界にも貢献できる事に魅力を感じました。その中でも先見性と行動力があり、インターンやセミナーでお会いした行員の方々とともに働きたいと思える方が多かった為、貴行を志望致します。参考:三井住友銀行エントリーシート銀行業務においてあなたが希望している部門は何ですか。希望する理由とともにお答え下さい。(200文字以内)私が志望する部署は、企業金融部門です。理由は以下の三点です。■顧客のニーズを把握して、それを顧客とともに解決していく最前線の営業として活躍したい為■大企業の海外進出が増えている中で、より海外と交わる機会がある為■一人あたりのもつ企業数が少ない為、より顧客と深い関係を持ち、固有のニーズを把握しソリューションを提供できると考えた為。以上の理由より企業金融部門を志望致します。参考:三井住友銀行エントリーシートこの回答では、企業広告の提案・製作を行った経験を基に、顧客のニーズを把握し、それに対する解決策を提案することのやりがいや、それに付随する責任感について学んだことが書かれています。どの仕事にも言えることではありますが、銀行は「責任」や「信頼」という言葉を非常に大切にしている業界です。そのため、それを学ぶことができた経験を挙げたのは、自身と銀行とのマッチングのよさを上手くアピールしていると思います。あなたが横浜銀行で実現したいことは何ですか?また、そこにあなた自身のこれまでの経験や強みをどのように活かせますか?(400字以内)自分のサービスで中小企業を包括的に支えたいです。私は、前述の所属研究会での活動で、中小企業30社にヒアリング調査をし、中小企業の抱える悩みは百社百様であることを学びました。この経験から、中小企業各社の悩みをあらゆる切り口から解決したいと考えています。中でも貴行は地方銀行という強みを活かし、地域密着で地元の中小企業と深い信頼関係を築いており、他行が拾いきれていない中小企業のニーズに対応ができていると感じています。貴行に入社したら、前述の研究会でのヒアリング活動で得た、アポイントを取るときのコツや「相手以上に相手のことを知り、相手に思わぬ気付きを与える力」を営業活動などでいかんなく活かすことができると確信しています。お客様のニーズを汲み取りながら最適なサービス提案ができるプロフェッショナルに成長したいです。参考:横浜銀行エントリーシート2.自分自身が商品となり、顧客との信頼関係を構築していきたい金融商品は非常に差別化が難しい商品といえます。返済条件などを複雑化することで差異を生み出すことは可能ですが、本質的な利率の分を上乗せして返すというモデルが変わらないため、大きな差を生み出しにくいものとなっております。そのためどの銀行から商品を買うかは銀行の営業マンと顧客である企業の信頼関係が大きく左右します。そのため銀行員の営業では、最初の訪問では企業の相談だけで、商品の売り込みは信頼関係を構築してからといったスタイルで行うことがよく行われています。こういったビジネスのため、学生時代の経験としても人と信頼関係を構築しながら物事を進めてきた人は、その経験をもとに志望動機に繋げています。下記素材メーカー内定者はアルバイト経験における信頼関係の構築から銀行の志望動機を語っています。食品メーカー内定者は体育会活動における信頼関係の構築から志望動機を語っています。【参考】銀行内定者ES回答例三井住友銀行を志望する理由についてお答えください。(200字以内)チームの中で信頼関係を構築し、喜びを共有したいからである。学生時代に日頃の行動で信頼関係を構築し、さらなる組織の利益に向かい周囲を巻き込んでいったことや、その結果を皆で共有する喜びを感じたからである。形のない商品を扱う銀行業だからこそ信頼がより必要だと考える。お客様のベストパートナーを目指す貴行で、組織の為にこそ力を発揮する強みを生かし、お客様との信頼を得て、喜びを共有したいと考え貴行を志望する。参考:三井住友銀行エントリーシート銀行業務においてあなたが希望している部門は何ですか。希望する理由とともにお答えください。(200字以内)法人営業部門である。担当法人とタッグを組み、経営課題の解決に向かって突き進む姿に惹かれた。学生時代の経験から、私の強みは組織の為にこそがむしゃらにやり切れると気づいた。その強みを活かし、お客様の為にがむしゃらに仕事に取り組み、社内の関係者を巻き込み、お客様の課題解決に貢献することで出た成果の喜びを共に分かち合いたい。よりお客様と近い法人営業でこそ、よりダイレクトな喜びを味わえると考え志望している。参考:三井住友銀行エントリーシートこちらの回答では、アメフト部の中で特定の項目に対してリーダーシップを発揮し、成果をあげたエピソードが書かれています。ポイントとしては、役職がないながらも、リーダーシップを発揮した点が非常に評価できる点だと思います。たとえ役職が無くとも、集団の課題を発見し、それに向けて具体的な改善策を提示し、リーダーシップを持って実施していく力があるというのは、銀行に限らずどの企業でも魅力を感じる点だと思います。また、成果としての数字にこだわった経験である点も、銀行業とマッチングしていると感じ、親和性の高い人材であることがアピールできていると思います。あなたが横浜銀行で実現したいことは何ですか?また、そこにあなた自身のこれまでの経験や強みをどのように活かせますか?(400字以内)私は貴行で、誰よりも信頼される営業担当になりたいです。学生時代のアルバイトでは、常に結果が求められる環境で働いてきました。しかし、そのアルバイトにおいて最も嬉しかった瞬間は、契約が取れたときではなく、お客様から「中条さんだから契約しようと決めたんだよ」という言葉を頂いたときでした。大変なことも沢山ありましたが、その言葉を聞くと、頑張ってお客様のために提案して良かったなと思えました。私は、貴行においても、お客様からそういった言葉を沢山頂けるような人材になりたいです。銀行は目に見えない商品を扱うため、それを扱う「人」がいかに信頼できるかが大切になってくると私は考えています。だからこそ、これまで営業として沢山の信頼を得てきた私の経験が最大限に活かされると実感しました。これは、設立以来、常に横浜という地で地域の方々から長く信頼を得続けてこられた貴行だからこそ実現できるものだと確信しております。参考:横浜銀行エントリーシート3.社会を支える仕事がしたい銀行の特に融資業務は、企業活動を行う上で不可欠な「お金」を回していく社会的意義の大きい仕事と言えます。そのため、主体的な実体験から社会に対して問題意識を持った学生がそれを「社会全体を支える仕事がしたい」という大きな形として昇華させて志望動機に繋げています。下記で紹介している三井住友銀行内定者の志望動機では、理系の研究活動の経験から銀行の志望動機に繋げています。保険会社・証券会社の内定者は部活動及び非常勤講師の経験から銀行の志望動機に繋げています。【参考】銀行内定者ES回答例三井住友銀行を志望する理由についてお答えください。(200字以内)部活動や非常勤教員の経験から、人と信頼関係を構築し、生活や活動を根底から支えていきたいと考え金融業界を志望している。その中でも、融資を通じて多くのお客様と経営のパートナーとして共に目標に向かっていける、顧客基盤の厚い都市銀行に興味を持った。その中でも貴行は、人生や事業の命運を握る「カネ」を扱う上で最重要である「スピード感」を重視し、仕事への熱い想いや目標を持つ行員の方に魅力を感じ志望している。参考:三井住友銀行エントリーシート銀行業務においてあなたが希望している部門は何ですか。希望する理由とともにお答えください。(200字以内)法人営業部門。非常勤教員や部活動の経験を通じて、パートナーと共に課題解決に取り組み成果を上げていくことにやりがいを覚えた。またその活動の中で、一人ひとりと向き合い意見を引き出し、自身の行動で信頼関係を構築していく力を身に付けた。その力を活かし、経営課題というお客様の難しい問題に対して、共に解決していきたい。またそれにより喜びを分かち合い、達成感を得たいと思い法人営業部門を希望している。参考:三井住友銀行エントリーシートこちらの回答では、バスケットボール部での意見調整役としての経験から、集団を支え、引っ張っていく経験が述べられています。銀行の法人営業は、当然ながら一人で行うわけではなく、相手と一つのチームになって行うものであり、その点において、課題を発見し、考え方や立場の異なる人たちをまとめ、モチベーションを向上させた経験は非常に強いアピールになっていると思います。あなたが横浜銀行で実現したいことは何ですか?また、そこにあなた自身のこれまでの経験や強みをどのように活かせますか?(400字以内)私は地元企業を支え、愛着ある神奈川県の発展に貢献したいと考えています。前述の横浜開港祭の活動で、神奈川県内に拠点を構える経営者の方と共に活動をする機会が多くあり、経営者の野望や悩みは多種多様であることを実感しました。この経験から、神奈川県を支えてくださる地元企業の悩みに寄り添い、解決したいと考えるようになりました。貴行のインターンシップに参加し、貴行はメガバンクに比べ1つの地域に支店が多くお客様に避ける時間が多いため、地元のお客様に信頼され選ばれ続けている銀行だと感じました。学生時代のアルバイトや課外活動で培ってきた「立場の違う相手と信頼関係を構築できる力」をお客様との関係性を築く際に活かし、地元企業の潜在的なニーズや、経営者の方の悩みを真摯に受け止め、解決できる行員を目指したいと考えています。地元企業のお客様を大切にすることで、貴行に、そして神奈川県の発展に貢献したいです。参考:横浜銀行エントリーシート最後に最終的に企業側が志望動機で知りたいことは、「あなたと企業の接点」です。あなたがどのような経験をしてきたのか、その上で将来はどのような仕事をしたいのかという部分を一番知りたいと考えています。先輩たちがどのように企業との接点を語ったのかを見ていくことは、わかりにくく難しい仕事を身近なものとして捉える上で非常に役立つものだと思っています。今回は銀行についてご紹介しましたが、同様に他業界もこのような視点から考えていただければと思います。もしこのような形で解説して欲しい業界などご要望があれば、info@unistyleinc.comまでご連絡いただければ幸いです。銀行業界の情報収集に役立つ!就活生向けLINEオープンチャットを紹介unistyleでは業界別の就活用LINEオープンチャットを運営しており、数多くの就活生が匿名で就活に関する情報交換をしています。実際に銀行業界志望者向けのグループでも、各社の選考に関するトークが活発に交わされています。下記の画像をクリックすることで参加用ページに飛び、ニックネームとプロフィール画像を登録するだけで参加することができますので、興味のある方はぜひご参加ください。参考:→以上3本は、2019年本選考と2020年度インターンシップにおけるメガバンクのESに隠された意図と回答ガイドを紹介しています。参考: 131,918 views
「ES添削してください!」と依頼されたときに。聞く側・見る側双方に役に立つ、エントリーシート添削論 「ES添削してください!」と依頼されたときに。聞く側・見る側双方に役に立つ、エントリーシート添削論 こんにちは、18卒就活生です。多くの大学では学年末の試験が終わり、19卒の方はいよいよ本選考解禁へ切り替えようかという時期だと思います。一方で18卒の皆さん、この時期ということもあってか最近19卒の後輩から以下のようなお願いをされることはないでしょうか。後輩:「〇〇さん、ES添削していただけないでしょうか?」そう、就職活動を経験した先輩として、後輩たちがその知見を求めエントリーシートの添削を依頼してくるのです。就職活動中の後輩からの依頼と言えばこれに限らず、「OB訪問っていつ頃からしていましたか?」「自己分析ってどうやればいいですか?」といった質問に答えるのも依頼の一つと言えると思います。しかし、中でもESの添削は、・遭遇可能性として高い依頼の一つである・対応にある程度時間がかかる・何となく適当にやりすごすことが憚られる(エントリーシートを書いたことがない人はまずいないため、「自己分析?そんなのやらなくても大丈夫だよ」といったようにない経験として突き放すことは難しい)以上のような理由から、依頼として来たときに何となく面倒・どう対応すべきか迷ってしまうことも多いものだと考えています。筆者は就職活動中に9社の内定を獲得しています。内定先の業界も電力・人材・建築・IT・メーカー(化学・機械など)を始め比較的幅広いと思っています。当然依頼する後輩側は添削の質を気にして「就活が得意(そう)な人に添削してもらいたい」と考えるため、内定数が多い筆者は変な期待感をもたれつつ対応に追われているといった形です。それもあってか、今では本選考で書いたエントリーシートよりも、後輩から送られてきたエントリーシートの方が多いぐらい添削をこなしてきました。本記事は「エントリーシートの添削」をテーマに書かれていますが、いわゆる「添削のやり方」といったテクニック的な話だけでなく、添削してもらう側にもタメになる情報が盛り込まれています。そもそも、なぜ後輩はエントリシートの添削を依頼してくるのか結論、エントリーシートには正解がないためです。と言ってしまうと、若干語弊があるかもしれません。(企業に評価されればそれが結果的に「正解」だという捉え方もあると思っています)正確に言えば、エントリーシートの絶対的な正解は誰にもわからないためです。例えば、大学受験で"添削"の対象と言えば、国語の論述や各教科の記述式問題が典型かと思います。こういった問題は、「模範解答通りに書かなければ不正解」とも言えず、「これしかない」という絶対的な正解がないことが添削の機会が増える一因になります。エントリーシートの場合もこれに近しいことが言え、あくまで人事というヒトが判断する以上、「これを出せば絶対に通る」という正解はありません。その可能性を高めるために、添削という一つの方法が存在します。絶対的な正解がわからないのは添削する側も同じなわけですが、自身の就職活動結果が良ければエントリシートの添削の質も高い(だろう)と考えるため、そういった先輩に依頼が殺到することになります。(「添削レベルが高い先輩ほど添削料も高い」といった経済学で言う"価格差別"はまず起こらない世界だからです)エントリーシートを添削する効果はどこにあるのか?そのままですが、エントリーシートを添削する効果はエントリーシートの精度が高まることです。この"精度向上"には大きく分けて以下の2つの意味が込められていると考えています。添削効果1:エントリーシート自体の通過率の向上当然ですが、エントリーシートの完成度が高ければエントリシートの通過可能性は高まります。評価されるかもわからないエントリーシートについて自分一人であれこれ考えこむよりは、自分より"正解"を知っているであろう人に見せてしまって、第三者目線からのフィードバックを貰う方がよっぽど賢明な判断でしょう。添削効果2:通過後の面接に向けた思考整理の手助けエントリーシートは、言ってしまえば面接時に話すネタの「頭出し」です。エントリーシートの時点で論理的な内容が書けているということは、面接の際に話す内容の論理構造も整理できているということです。参考:上記のエントリーシート記事にあるように、企業は基本的にエントリーシートで書いた内容をベースに面接を進めていきます。そのため、エントリーシートは「通過すればそれで終わり」ではなく、その後の面接内容(何なら入社後にまで)にも影響を及ぼすという意識は常に持つべきだと思っています。特に高学歴層を始めとしたいわゆるハイスペックの学生については、スクリーニングとしてエントリーシートはほとんど内容を見られずに通過ということも企業によってはあり得ます。(京都大学でQuadrilingualの友人からは、某損害保険企業のエントリーシートを締切4分前に「いい保険を売りたいです!」という志望動機で提出したところ通過したという話も聞いたことがあります。)その一方で、多くの添削のやり取りはエントリーシート通過のためだけのエントリーシート添削になっており、面接を優位に進めるという視点に欠けている印象があります。添削効果を高めるためには目的意識を共有すべきこのように、大きく分けても効果が複数ある以上、「何のためのエントリーシート添削なのか」については添削する側/してもらう側の双方で事前に共有しておくべきです。例えば、「何となく自己PRを見てください」より「〇〇社のインターン選考を突破するための自己PR添削をお願いします」と伝えた方が、添削する側は方針が立てやすく、してもらう側も有益な情報が得やすいでしょう。選考に関わる添削を依頼する際は、・企業名はどこか・インターンのエントリーシートなのか、本選考のそれなのか・エントリーシート通過後のフローはどうなっているかについては最低限明記したうえでお願いするようにしましょう。また、設問文は「自己PR」のように省略するのではなく、「あなたの強みは何ですか?また、それを当社のインターンでどう活かすことができると考えますか?(全角300文字以内)」のように、企業から出された設問文を字数も含めてそのまま引用するようにしましょう。これに基づき添削する側は・「〇社なら〜という素養が求められるからこれでは評価されないだろう」・「文字数が少ないから頭出しを意識した回答に仕上げる方が重要だろう」・「エントリーシートのみの選考ならばより内容自体が重視されるだろう」といった仮説を設定し、相手方の目的に沿った対応ができるとより質の高い添削に繋がるでしょう。具体的なエントリーシートの添削の仕方目的意識を共有し依頼が出されたら、次に実際に添削を行うことになります。ここではエントリーシートの最頻出質問の一つ、学生時代頑張ったことを例にとって説明していきます。【添削する側のチェックポイント】フレームワークに沿い文言を項目分け▼誤字・脱字・表現の間違いを確認する▼理由付けしながら問題箇所を指摘する▼改善した文章をあくまで例として示す手順1:学生時代頑張ったことのフレームワークの項目ごとに分類する学生時代頑張ったことはunistyleの人気記事「」に沿って項目ごとに解説をしていくとまとまりのある内容に仕上げられます。まずは受け取ったエントリーシートをフレームワークの各項目に沿って分類しましょう。あなたが学生時代に一番頑張ったことはなんですか。400文字以上600文字以下①結論サークルにおける、1年生の退会率改善です。②動機私自身も中学以来の親友が退会してしまい、悲しい思いをしました。その時の悲しみをほかの人に味わって欲しくないという想いから、改善に取り組みはじめました。③目標と困難所属する150人規模のバレーボールサークルでは、毎年70人近くの新入生が入会するものの、50%が1年以内に退会してしまうという問題がありました。④取組みと結果改善するにあたり、まず、退会した複数の同期に理由を尋ねました。すると、「交流機会が少なく馴染めなかった」という共通の意見が浮かび上がりました。そこで、企画を行うことにより、交流機会を増やすことにしました。企画は6人程度でドライブや旅行などに出掛けるという内容で、年50回行いました。企画にあたり、以下の3点を工夫しました。第一に、ニーズを上回る内容にすることです。期待以上の内容にすることで満足度を高めることを狙いました。第二に、後輩を平等に誘うことです。後輩が不平不満を感じないようにしました。そして第三に、周りに企画主催のアドバイスを行うことです。どのように計画を立てるかなどのやり方を教えることで、周りの協力を仰ぎました。これらの工夫の結果、退会率は25%に半減しました。⑤人柄(記述なし)⑥学びこの経験から、人の信頼を得るためには、約束を必ず守ること、レスポンスを早くすること、相手のニーズを上回る提案をすることの3点が重要であると学びました。上記エントリーシートの原文は「こちら」このように項目分けすることで、一目見るだけでも、・解決への取組みの描写の説明に終始してしまっている(④が長い)・字数が多い割には、③目標設定や⑤人柄など触れるべき内容が不足していると何となくの添削方針が掴めると思います。手順2:誤字・表現に問題がないか確認する次に、内容面ではなく、誤字や日本語の表現として不適切な箇所がないかを確認しましょう。自分で書いた文章のミスには、案外自分では読み返しても気づかないものです。表現の誇張や誤解が生じるような文面を発見次第指摘しましょう。手順3:エントリーシートの内容自体に問題がある点について指摘する次に、読んでいて「このまま提出したら評価を落とすだろう」と考えた箇所について項目ごとに指摘を加えます。例えば、先ほどのエントリーシートの場合は以下のような指摘が考えられるでしょう。②動機私自身も中学以来の親友が退会してしまい、悲しい思いをしました。その時の悲しみをほかの人に味わって欲しくないという想いから、改善に取り組みはじめました。【解説】以下の記事に習って、過去の経験から価値観に基づく動機を述べようとしている方針は問題ないでしょう。一方で、「悲しい」という表現では、価値観の醸成というよりは単なる感想を述べているのに過ぎず、考えが浅いという印象を抱かれてしまうかもしれません。参考:③目標と困難所属する150人規模のバレーボールサークルでは、毎年70人近くの新入生が入会するものの、50%が1年以内に退会してしまうという問題がありました。【解説】交流機会を増やす企画を実現する際の障壁については述べる必要があるでしょう。「馴染めない」という不満を持つ人たち同士で年間50回も遠出に行く企画が困難なしに実現したとは到底思えません。⑥学びこの経験から、人の信頼を得るためには、約束を必ず守ること、レスポンスを早くすること、相手のニーズを上回る提案をすることの3点が重要であると学びました。【解説】「約束を守る」は、経験から学ばずとも社会人としては守って当たり前の行為であり、「社会に出てから活かせる学び」とは言えません(逆に「それまで約束は守らなくていいと考えていたのか?」と見られ評価を落としてしまう可能性もあるでしょう)。レスポンスの早さもいわゆる報・連・相の一貫として、早いに越したことがないのは学ばずともわかるはずです。そもそも、この経験のどこでレスポンスの早さを意識したのかが示されておらず、取組みと学びとの間に整合性が感じられない点も問題でしょう。手順4:面接に向けて考えておくべき内容について事前に深掘りする次に、上記「添削効果2」に沿って面接に向けて考えておくべき点・想定される深掘りについて指摘を加えていきます。④取組みと結果改善するにあたり、まず、退会した複数の同期に理由を尋ねました。すると、「交流機会が少なく馴染めなかった」という共通の意見が浮かび上がりました。(中略)。第一に、ニーズを上回る内容にすることです。期待以上の内容にすることで満足度を高めることを狙いました。(後略)【解説】この場合の相手の「ニーズ」とは何でしょうか。「馴染みたい」というニーズに対して「ニーズ以上により馴染めるようにしました」では採用側に共感されず、面接では説明が必要な点だと考えます。(友人は「誰と」馴染めていなかったのか・「馴染んでいる」とはどういう状態か・なぜ「馴染みたい」と考えたのかその裏にある潜在ニーズは何かetc...)また、採用側が知りたい工夫とは、「相手のニーズを上回る」という狙いではなく「相手の期待感を上回るために具体的にどう働きかけたか」というあなた自身の考えと行動です。(なぜ普段のバレーボールの活動ではなくわざわざ遠出という形を選んだのか・少人数でドライブや旅行をしただけでサークルに馴染めるのかetc...)また、こういった思考は添削以上にやはり実際に口頭でアウトプットすることで深まる点もあると考えます。そのため、時間のかかる添削のやり取りを重ねるぐらいならば、出来れば一度対面やSkype等で話して考えを深めておきたいところでしょう。(想定される深掘りを列挙したとしても、それについて機械的に答えを暗記しておけばおくかぐらいの浅い考えの就活生は案外多いものです)深い思考をしようというと、机に向かって考える時間を増やそうとする人が多いのですが、逆です。人、出来れば厳しくアドバイスしてくれる社会人にあって自分の考えを伝えてダメだしを食らった方が100倍手っ取り早いでしょう。参考:改善した文章を示せるとより親切な添削になるエントリーシートを書いた経験が少なく、評価される内容がわかっていない場合、「ここを直せ」と言われても「じゃあどう直せばいいんだよ」と改善の方向性がわからない人もそれなりにいると思っています。そのため、修正プランを添削する側が提示することで、改善の方向性を感じ取ることができるでしょう。(もちろん、提示された側はそのまま貰った文章を出せばOKと思考停止に陥るようでは意味がありません)以下、筆者が実際に添削したことがあるエントリーシートを基に説明します。※①〜⑥の番号は先ほどの「フレームワーク」の、①結論→②動機→③目標と困難→④取組みと結果→⑤人柄→⑥学びにそれぞれ対応します。※今回は指定文字数が200文字程度と比較的少なく、人柄について別設問で述べる機会があったため⑤人柄については割愛して考えます。【添削前の内容】[①私は〇〇という団体の代表を務め、その中でも新入生勧誘活動]に力を入れました。[④事前に勧誘活動の具体的な方策や自分の意思を示すことで仲間との意思疎通や仲間からの信頼を得る]ことができました。そして、[③大学でも〇〇を続ける人は少なく厳しい状況]の中、「軽く運動をしたい」という層を重視して様々な場所でのジョギングを開催しました。その結果、[④例年の約〇〇倍の〇〇人の新入生を集められ]ました。このエントリーシートは、一言で表せば「経験描写しかしていない」点に問題があると思われます。特に、②動機(代表という立場からなぜ新歓に力を入れたの?)⑥学び(新歓活動から学んだことは?)について一切書かれていないため、伝えるべき項目について網羅されていない点が大きな問題でしょう。また、③〇〇(競技名)を続ける人が少ないという困難に対して、④仲間との信頼関係構築という取組みは、その活動に携わっていない採用側が初めてみた場合理解に苦しむ可能性が想定されます。しかし、まだエントリーシートを書いた経験が少ないこの方に、「動機と学びも書いて」と言うだけでは「じゃあどう書けばいいんですか」状態で難しく感じてしまうと思われます。①結論所属する〇〇での新歓活動です。②動機高校部活動で部長として実現した団体の一体感を再び体感したく注力しました。③目標と困難当初は非競技者の定着率が低く、競技志向の部員との意欲差で整然としない状況でした。④取組みと結果そこで私は〇〇での練習のみが中心活動である点を問題と考え、大学周辺の名所を案内しジョギングで廻る先例のない企画を提案しました。結果、非競技者の学期末定着率が〇〇%増加し、⑥学び状況に応じた柔軟な考え方の重要性を学びました。このようにフレームワークに沿った改善策を示すことで、実際に修正する際の方針を伝えやすいでしょう。この改善例ともとの文面を比較して示すことで、添削者の解説自体も捗ると思います。添削してもらう側の心構え上記添削の方法については添削する側のノウハウの話ですが、添削してもらう側も「書いた内容を伝えて返信を待っていればOK」と考えているようではいけません。添削の質は何も添削者の力量だけで決定されるのではなく、添削依頼を出す側の姿勢というのもけっこう重要だったりします。添削する側にメリットはないことを認識すべしOB訪問を受けたからといって、お給料が増えるわけでもなければ、誰かに褒め称えられるわけでもなく、ただただ時間だけが奪われます。参考:こちらの記事ではOB訪問では基本的にOB側にメリットがない旨を説明しましたが、エントリーシート添削でも近しいこと言えます。「1企業あたり添削料1000円ね」といった契約を結ばない限り、添削する側には全くメリットがありません。就職活動を終えている以上、添削の経験が自身の就職活動で活かされるということもまずありません。「就活経験した先輩でしょ」「4年生なんて授業なくて暇でしょ」のような態度で依頼してくる後輩もそれなりにいるのですが、エントリーシートの添削は、断りにくい割には正直けっこう面倒くさいものだと思っています。添削して貰って当然だろうという姿勢で依頼されると、添削する側も正直まあまあやる気が削がれます。OB訪問のようにお礼メールを送るわけではありませんが、その後もアドバイスを求めたいと考えるのであれば、最低限の感謝の気持ちを伝えることが一つのマナーなのではないかと思っています。「何を聞きたいのか」を明確にすべしこちらは目的意識の項目でほとんど触れた内容です。ただ単にエントリーシート作成能力を高めるための添削と、〇〇社の選考を突破するための添削では、添削する側の添削方針は大きく異なります。・なぜ、何のために添削を依頼したのか・特にどういった点を重点的に見て欲しいのか最低限この2つについては文面と同じく添削者に伝えるようにしましょう。逆に、「ESの書き方を教えてください。」のような抽象度が高くインプットの即面が強い質問はナンセンスです。エントリーシートの書き方自体は、unistyleの記事を見れば理解できるものであり、「その知識を使って書いたものが評価されるか」というもう一段高いアウトプットのために添削があるという位置付けは認識しておくべきでしょう。まずは字数を気にせずに詳細に記述すべしほとんどの企業ではエントリーシートに字数制限・行数制限がかかっています。しかし、添削文を送る際はまずは字数を無視して詳細な記述を心掛けてもいいと思っています。文章を書く際には削るより足す方が簡単だったりもするのですが、・文字数稼ぎとして余計な表現を生み出しがち・特に伝えたい箇所がどこなのか見落としがちといった理由からまずは多く書いて後から削る方がいいと考えます。また、送る文字数を増やせばそれだけ添削側に指摘する切り口のヒントを与えることになり、精度の高い添削が返ってくる可能性も高まると推測できます。おまけ:ノーベネフィットの添削を避けたい添削者へOB訪問・エントリーシート共に共通しているのが、依頼される側の方が立場上先輩であるのがほとんどだという点です。先輩である以上、OB訪問で学生に奢らせるOBがいないように、"添削料"を後輩から搾取することに抵抗がある人は多いと思っています。私自身、「後輩からの頼みは断れないないけど多少の対価は欲しい」ぐらいには考えていました。その際私が取った策は、「unistyleに後輩の友人を会員登録させる」という方法です。(何だかステマみたいな記述で恐縮ですが)unistyleでは、自分の紹介経由で後輩を紹介すると1名あたり@¥500のAmazonギフト券を受け取ることができます。もちろん紹介者が既に会員であることが前提です。マイページから固有の招待URLが取得できますので、そちらを後輩に送りつけて彼の友人を会員登録させることで、自分は収益をゲット・後輩は金銭を要求されることもないというWin-Winの関係を築くことができます。▼招待URLの取得はコチラ▼https://unistyleinc.com/mypage/invitation最後にー聞く側・見る側双方に有益な添削にするために結論、添削する/してもらう側がお互いに以下のチェックポイントを網羅できていれば"意味のある"添削を実現することができます。【添削のチェックポイント】フレームワークに沿い文言を項目分け▼誤字・脱字・表現の間違いを確認する▼理由付けしながら問題箇所を指摘する▼改善した文章をあくまで例として示す【添削を依頼する側のチェックポイント】・添削者への感謝を忘れない・添削の目的意識を伝えて共有する・文面・設問文は企業に送った通りに示す・迷ったら、字数は気にせず詳細に記述するエントリーシートの添削は選考突破に貢献し得りますが、その機会も活かすも殺すも両者の意識次第だと思います。書くにも見るにも、エントリーシートの作成にはそれなりに手間と時間がかかります。その取組みが内定という形で実を結ぶよう、効果が高いエントリーシート添削を実践していってください。 45,578 views
【総合商社からの転職】商社マンの転職市場価値とは 【総合商社からの転職】商社マンの転職市場価値とは 総合商社の人材というと、「勝ち組の代表格、結婚したい職業No.1」など華やかな外面が商社の好調な決算も相まって、特に注目されているように感じます。一方、商社で働く人や転職エージェントの方に聞くと、「商社パーソンの人材価値は長く務めるほど低くなっていき、商社以外で働くのが難しくなる」という話が多く出るように感じます。今回は世間でのイメージと実際の転職市場でのギャップの要因をお話していきます。本記事のコンテンツ・商社パーソンの人材価値が高くない3つの理由・そもそも総合商社の人材が評価されている部分・総合商社で希望の部署に配属されなかった人と、総合商社に転職したいと考える人へ・現状の不満を打開する上で一番大事なこと・最後に商社パーソンの人材価値が高くない3つの理由商社パーソンの人材価値が高くない理由を統合すると、(1)プロフェッショナルではなく何でも屋さん、(2)意外にのんびりした職場で成長の圧力が低い、(3)そもそも総合商社の給料と並ぶオファーを出せる会社がないの三点に集約されるように感じています。(1)プロフェッショナルではなく何でも屋さん総合商社の仕事は、就職活動生が訳がわからず、中で働く人も部門が違えば、具体的に何をやっているのかわからないほど多岐に渡っています。簡単に説明すると、エネルギー、食糧のように各事業ごとに分かれており、更に事業の中で、商品ごとに部が分けられています。そして多くの場合、部ごとに独立採算制を取りながら、トレード・事業投資・事業会社の経営(出向含む)を行っています。その中で社員は、自分の関わる商品に関して、既存のビジネスを回しながら、ある程度自由に新規にビジネスを考えて提案することができます。例えば、トレードで言えば、新しい倉庫や拠点の模索、船の新規経路の模索、新規の船会社・輸送方法の開拓などを既存のビジネスを回しながら考えて提案したりします。多くの場合、伝統的なトレードにも若手から課長級の社員まで関わり、収益アップのために最も収益の上がるトレードシステムを模索します。事業投資で言えば、部の中で投資部隊を課単位で設定し、どの企業にどう投資して、既存の投資先・取引際とどのように仕事をすれば収益が上がるのかシナリオを考えて、投資銀行・社内の財務部門と協力しながら投資を実行していきます。投資銀行からの提案を受けたり、自ら調査しながら、ゼロベースで投資先を選定することもありますが、多くの場合は元々取引がある取引先に対して、より協力的な関係を築くために投資して何かできないか考えるという案件が多く、また元々取引のある企業に対する投資の方が、取引先のことをある程度理解し、信頼関係がベースにあるため、投資としてもうまくいっている案件が多いように感じます。事業会社の経営で言えば、本社では、事業会社に送り込み、どんな仕事をすれば収益が最大化されるのか、また投資先の事業会社の経営状況を確認するという仕事をしますし、出向すれば本社で考えている戦略などを実際に現地で実行しながら、本社の人では見えてこない中の視点から事業会社をよくすることができないか考えていくという仕事をしていきます。商社の人材は上記のトレード・事業投資・事業会社の経営の三つの異なる仕事を、部の人材育成プランに沿って、それぞれの仕事を経験することになります。ちなみに筆者の場合は、入社当時が事業会社の経営を確認する部署、二年目に事業投資のちょっとしたお手伝いに関わり、その後事業会社の経営に関わるために出向、その後事業部門が異動した後に伝統的なトレードに関わるという形で進みました。話が長くなってしまいましたが、要するに商社の人材はプロフェッショナルではなく、ビジネスモデル上、商社という枠組みの中で何でも仕事をする何でも屋さんになる傾向が強いということです。中途採用の現場では、外資系投資銀行や企業買収部門出身の専門家や経営のプロなど長年培ってきたスキルや経験が買われる傾向にあるため、総合商社のように多岐に渡る業務を担ってきた人材の評価が低くなってしまうようです。【参考】(2)意外にのんびりした空間で成長しない多くの就職活動生のイメージとしては、商社で働けば、世界を股にかけてビジネスを行い、どんどん成長できる環境であると思い描いている人が多いと思いますが、総合商社は入ってしまえば、年功序列の中で、よく言えばしっかりと教育体制が整っており、悪く言えば、あまり努力しなくても高い年収を得られる環境です。あまり仕事ができないと噂される上司でも年収1500万円が保証されてしまう会社だと言え、そこがアップorアウトと言われる外資系コンサルや外資系投資銀行との違いだと言えます。語学力は身に付くという話がありますが、基本的に社内で使われる言葉は日本語であり、数年間駐在しても、日本に戻ってから現地の言葉を使わなくなってしまえばどうしても錆び付いてしまいます。商社は(1)で話をした通り、何でも屋さんになる傾向が強く、他業界でも使える総合商社だからこそ身に付く専門性やスキルというのは乏しい上に、上記の通り、成長に対する圧力は意外なほど薄いため、強い意思とビジョンを持たなければ、成長できない環境にあると言えます。個人的な感想としては若手のうちほど、やっぱりよく勉強して、様々なことを吸収しようとする人が多い反面、出世など諦めてしまった中堅社員にいくほど、意欲が低下する傾向にあるように感じます。そのため、伸び盛りの若手を過ぎると、総合商社の人材的価値が低下するように感じます。(3)総合商社の給料に見合うオファーを出せる会社が少ない人材価値とは直接的には関係ないかもしれませんが、そもそも論として、総合商社の給料に見合うオファーを出せる会社はほとんどありません。30代になれば確実に年収1,000万円以上あり、30代後半から伸びるペースが鈍化するものの、1,500万円を超える人もかなりの人数がいます。このような高額なオファーを上記のような、何でも屋さん及び成長してこなかった人材には払えないというのが正直なところでしょう。そもそも総合商社の人材が評価されている部分そもそも総合商社の人材が評価されている部分の大半は、総合商社での経験以上に、語学力や地頭・事務処理能力・リーダーシップなど商社業務の専門性というよりは汎用的なスキル・スペックの部分であるように思います。そのため、汎用的なスキル・スペックで転職活動が可能な第二新卒市場での価値はまだ高く、専門性を身につけないままにいたずらに年齢を重ねた場合、高額な給料も相まって転職市場での価値が低く見積もられるということが言えます。【参考】総合商社で希望の部署に配属されなかった人と、総合商社に転職したいと考える人へ(1)総合商社で希望の部署に配属されなかった人へ総合商社は一度配属された部署でキャリアを積む背番号制を採用しているケースが多く、希望の部署に配属される悩む新入社員・内定者もかなりの数います。希望の部署に配属されなかった場合は、社内公募制度を利用して部門を異動するという解決方法と、語学研修など商社にいることで身に付く汎用的なスキルを全て吸収した上で外資系金融やコンサル、ベンチャー企業に転職するという解決方法の二つがあります。(もちろん配属された部署で頑張るという解決方法もありますが。)どちらのケースにおいても、5年目以内の若手のうちに決断して、実行に移して行く方が選択肢も可能性も広いように感じます。特に転職については上記の通り、社内の異動においても、総合商社は基本的には一度配属された部署でキャリアを積む背番号制が基本のため、その業界に長くいることで知識や、プレゼンスを高めて仕事をしていくケースもあり、長く同じ商品を扱うことがバリューになることがあるため、異動先での出世等を考えると早めの異動が重要になるためです。希望の部署に配属されずに腐ってしまわずに、その部署で精一杯働く、どうしても我慢できないケースにおいては、身につけることのできる汎用的なスキルは語学だけでなく、プロジェクトマネジメントの方法など含めて全て吸収して希望の部署や転職希望先でも活かせるようにすることが重要でしょう。(2)総合商社に転職したいと考える人へ下記の記事にもある通り、総合商社はその好調な業績のもと、更に優秀な社員を集めるべく、中途採用に力を入れており、三井物産などは例年の数十名採用しているなかで、2012年には過去最高の60名超の人材を採用しています。過去のキャリアも外資系コンサル、メーカー、広告、金融など多岐に渡っており、転職での道も広くなっているようです。もちろん人気業界になっているため、新卒同様の高い倍率をくぐる必要はありますが、決して無理な道ではありません。【参考】三井物産、「キャリア採用」倍率100倍に!人気呼ぶ1300万円超の高給ぶり総合商社に転職する上で重要なことは、恐らくその企業で身に付く専門性を磨きに磨いて、転職市場の価値を高めることでしょう。前述の通り、総合商社の人材は何でも屋さんになりがちなので、プロフェッショナルな視点を持った人材の価値は高まる傾向にあります。例えば、総合商社であればITリテラシーは全体的に低い傾向にあるので、ITの専門性をもった人材が中国でのネット通販の開拓など海外+ITでビジネスを展開することも考えられます。また総合商社の人材はどうしても取引先のメーカーの技術がわからないため、メーカーから小馬鹿にされるという弱点がありますが、メーカーで研究職などを担っていた人材の価値は高いと言えます。幸い、総合商社の扱う商品は広いため、どのメーカーの研究職にいたとしても活躍できるフィールドがあると言えます。現状の不満を打開する上で一番大事なこと先ほど話をした、希望の部署に配属されなかったケースにおいても、第一志望の業界に内定しなかったケースにおいても、その環境を打開する上で最も重要なことは目の前のことを一生懸命に取り組むことであると思います。希望の部署に配属されなかったケースにおいては、目の前の仕事に一生懸命に取り組むことで、意外な面白い一面を見つけることができ、その部署の仕事が好きになることで解決されることも多いでしょう。また目の前の仕事に一生懸命に取り組み、周囲の評価が高まれば、それは公募推薦の際にも考慮され、公募が通る可能性も高まるでしょう。希望の業界に就職できなかったケースでも、目の前の仕事に一生懸命取り組み、専門性を高めることが転職市場での価値を高めることに繋がり、自分自身の選択肢を拡げることになります。どちらのケースにおいても腐らずに、現状の不満を打開する上で一番大事なことは目の前のことにがむしゃらに取り組むことだと割り切って、将来を見据えながらも目の前のことに全力で取り組めると視界が開けると自戒の念も込めて、書き記したいと思います。【参考】最後にいかがでしたでしょうか。狭き門をくぐらなければ入ることができない総合商社ですが、実は自身が転職をしようとした際には、あまりその人材価値は高くない傾向にあります。もし、総合商社を一つのステップとして捉えているのであれば、入社後もモチベーションを高くして成長していくことが必要かもしれません。【関連記事】 93,108 views
5大商社の内定者研修からみる人材育成の違い 5大商社の内定者研修からみる人材育成の違い こんにちは。16卒の総合商社内定者です。この時期の16卒の学生は最後のモラトリアムを満喫している人、意識高くボランティアやインターンなどに励む人、入社してから同期に負けないように勉強する人など色々なタイプに分かれます。さて、今回は5大商社が入社までに内定者に課している課題及び研修内容を紹介し、それぞれの会社が今後どのような人材をに育てていきたいかを考えたいと思います。総合商社を志望している学生はぜひ参考にして下さい。16卒の場合は8月初旬に内々定を出し、ほとんどの会社が8月中にTOEICのIPテストを受けさせていました。その点数をもとにして、10月1日の内定式では研修内容が振り分けられます。各社の研修内容以上のようにどこの総合商社も英語の目安としてTOEICを課しているようです。これは前述のように基本的に内定式前の時期にIPテストで行います。求めている基準点はどこも700点以上で、内定者にヒアリングしたところ、内定者全体の平均点は700点を超えているので約半数はすでにクリアしているようです。また三菱商事と伊藤忠商事は他商社に比べて非常にたくさんの課題を課しているようです。特にCITIC/CPとの提携を経て中国とのビジネスチャンスが増える伊藤忠商事は中国語人材を増やすことに注力しているようです。先日、下記のような記事が出ていました。参考:伊藤忠、中国語を話せる人材を3倍の1000人にさらにもう一つの特徴的な課題としては簿記が挙げられます。総合商社のビジネスモデルを考えるとどこの部署に配属されようが、財務諸表を読むことで仕事を円滑に進めることができるので、簿記3級を課しているようです。また簿記3級取得者には2級の取得が推奨されています。それ以上はあまり求められていないようです。ただ内定者には稀に公認会計士の資格を取得済みの人もいます。丸紅はあまり内定者の時期には多くの課題を課さず、簿記も入社後に取得を目安としています。それぞれの人材育成方針三菱商事人材育成・活躍促進三菱商事グループの事業は、多様化・グローバル化が急速に進んでおり、それに対応した連結・グローバルベースでの人材の確保・育成・適材適所が求められています。当社グループ全体で人材マネジメントを強化しており、「グローバル競争力強化」「価値観共有」に取り組んでいます。三菱商事では、計画的なOJTを人材育成の基本とし、若手のうちから、海外勤務や当社グループ企業への出向を経験させるほか、部門やグループを超えた人材交流も積極的に進めています。海外拠点や当社グループ企業の人材についても、出向を含め、国を超えた当社グループ全体での適材適所を積極的に進めています。引用:三菱商事「人材育成、活躍促進」三菱商事は人材育成において対象の年齢層を新入社員、スタッフ層、ミドルマネジメント層、シニアマネジメント層の4つに分けています。会計やファイナンスのような「知識・スキル」に関してはどの年代においても変わらず学習していくことをいっています。新入社員、スタッフ層を対象とした「基礎プログラム」はグローバル研修生制度などを含みます。ミドルマネジメント層以降では「組織運営力強化」によってリーダとしての資質を鍛えます。内定者時期には「知識・スキル」にあたる簿記、英語、パソコンスキルを課していることから、入社してから定年を迎えるまで常に「知識・スキル」を育むことを意識して欲しいという意味合いが含まれているということがわかります。三井物産人材育成の考え方三井物産には「人が仕事をつくり、仕事が人を磨く」という言葉があり、仕事をつくりつつ人を育てていくことが当社最大の使命であり、それが当社の存在意義であると言っても過言ではありません。こういった考え方から、人材育成の根幹を担うのはOntheJobTraining(OJT:職場での実務を通じた育成)が基本になっています。一方、こうしたOJTを通じた人材育成を支援・補完するために、さまざまな研修などのOfftheJobTraining(OFF-JT:職場以外での育成)も充実させています。引用:三井物産「人材についての取り組み」「人の三井」という言葉が有名な三井物産ではやはり人材育成に力を入れています。社員を年次別に担当職1,2級,SF,M3バンド,M2バンド,M1バンドの6つに分け、それぞれの節目に行う節目研修をはじめとして、その他にも選択式の研修が豊富にあります。その人材育成の仕組みは総合商社の中でも群を抜いており、日本の企業の中でもトップクラスです。一方で内定者には最低限の英語と簿記のみを課しており、他の商社とそう相違はありません。今年の内々定後の動きを見ていても三菱商事や伊藤忠商事のようないわゆる囲い込みは行っておらず、自由闊達な風土が表れていると感じました。内定者時期の課題が少ないのもこのような風土が表れているといえるでしょう。伊藤忠商事人材育成の基本方針伊藤忠グループの成長を支えるのは人材です。グループ全体で、個々の適性・キャリアを踏まえ、個々の分野で活躍できる業界のプロ人材を育成します。具体的には、OJT(業務経験付与)を中心として、「評価とフィードバックによる成長意欲醸成」と「研修による知識・スキル習得」で補強することにより、将来のグローバルマネジメント人材を育成します。引用:伊藤忠商事「人材育成」伊藤忠商事は8年目までを一つの育成期間と定めているようで、若手からどんどん仕事を任せる風土がここに表れています。ホームページには9年目以降の具体的な研修内容は記載されておらず、三菱商事と三井物産との違いが大きくあります。また内定者研修を見てみても、他の商社と比べて最も豊富な課題量を課しています。第二外国語として中国語を指定して研修を課しているのは特徴的です。最後に総合商社は今や就職人気ランキングの上位を独占します。自社で製品を持たない業界だからこそ、どの商社も「人が財産である」と語ります。しかし、その中でも各企業ごとにカラーがあり、それがマネジメント層への研修、新入社員への研修、そして内定者研修に表れてきます。各社とも最終的に会社を担う存在をどのように育てたいかを考えた上でこのように考えているのであると感じます。総合商社を志望する学生はぜひこのポイントに留意しながら志望する会社を決めてみて下さい。以下では総合商社に関するUnistyle内にある記事をまとめましたので、業界研究にお役立てください。総合商社業界完全攻略記事一覧1.【業界研究】今更聞けない総合商社とは?仕事・歴史・年収をわかりやすく解説2.【業界研究】総合商社の年収の全てが一目で丸わかり!3.【業界研究】理解している?総合商社と専門商社の違い4.【業界研究】五大総合商社比較5.【業界研究】就活に役立つ総合商社の歴史を解説6.【業界研究】総合商社とは?歴史・仕事内容・年収などを徹底比較|選考対策付き7.【業界研究】総合商社の最新動向まとめ総合商社業界の情報収集に役立つ!就活生向けLINEオープンチャットを紹介unistyleでは業界別の就活用LINEオープンチャットを運営しており、数多くの就活生が匿名で就活に関する情報交換をしています。実際に総合商社志望者向けのグループでも、各社の選考に関するトークが活発に交わされています。下記の画像をクリックすることで参加用ページに飛び、ニックネームとプロフィール画像を登録するだけで参加することができますので、興味のある方はぜひご参加ください。 51,892 views

現在ES掲載数

77,622

すべて見れる

上に戻る

会員登録・ログインして全てのコンテンツを見る

無料会員登録