コンサルのスキルは就活にも役立つ!書籍『コンサル一年目が学ぶこと』から学ぶこと

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最終更新日:2023年10月30日

コンサルのスキルは就活にも役立つ!書籍『コンサル一年目が学ぶこと』から学ぶこと

今回ご紹介するのは『コンサル一年目が学ぶこと』という書籍です。

タイトルからコンサルティングファームでの仕事術を述べたものかと思いきや、コンサルから他業界に移った著者の目線から見た、どんな仕事にも言える普遍的なことがらが書かれています。
コンサル志望者・内定者の方はすでに本書や類似内容の書籍を読んでいると思っており、むしろそれ以外の業界を志す方に本書を読んで欲しいと思いコラムにしました。内定者の方にもおすすめです。

コンサル一年目が学ぶこと

 

【著者紹介】

大石 哲之(おおいし てつゆき)
1975年東京生まれ。慶應義塾大学環境情報学部卒。アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)に入社後、戦略グループのコンサルタントとして、全社戦略の立案、マーケティング、営業革新などのプロジェクトに携わる。その後、株式会社ジョブウェブを起業し、取締役副社長。同社退社後は、個人コンサルタントとして独立、本の執筆も開始。株式会社ティンバーラインパートナーズを設立し、現職。

 

コンサル目線での仕事術に関するもの以外にも、下記のような就活生向けにキャリアについての書籍も執筆していますので見てみてください。

英語もできないノースキルの文系はこれからどうすべきか

 

本選考とインターンの締め切り情報

職業・業界不問の15年後も役立つ30のスキル

本書では、合計30個のスキルを4つの章に分類して説明しています。

第1章:コンサル流話す技術
(1)結論から話す
(2)Talk Straight 端的に話す
(3)数字というファクトで語る
(4)数字とロジックで語る
(5)感情より論理を優先させる
(6)相手に理解してもらえるように話す
(7)相手のフォーマットに合わせる
(8)相手の期待値を把握する
(9)上司の期待値を超える

第2章:コンサル流思考術
(10)「考え方を考える」という考え方
(11)ロジックツリーを使いこなす
(12)雲雨傘 提案の基本
(13)仮説思考
(14)常に自分の意見を持って情報にあたる
(15)本質を追求する思考

第3章:コンサル流デスクワーク術
(16)文書作成の基本、議事録書きをマスターする
(17)最強パワポ資料作成術
(18)エクセル、パワーポイントは、作成スピードが勝負
(19)最終成果物から逆算して、作業プランを作る
(20)コンサル流検索式読書術
(21)仕事の速さを2倍速3倍速にする重点思考
(22)プロジェクト管理ツール、課題管理表

第4章:プロフェッショナル・ビジネスマインド
(23)ヴァリューを出す
(24)喋らないなら会議に出るな
(25)「時間はお金」と認識する
(26)スピードと質を両立する
(27)コミットメント力を学ぶ
(28)師匠を見つける
(29)フォロワーシップを発揮する
(30)プロフェッショナルのチームワーク

 

次から、各章の内容のエッセンスを実際の就職活動の例に当てはめながら説明していきます。


①話す技術:「結論から」「端的に」「ファクトベースで」話す

ビジネスの場面においては短時間で相手に必要な情報を齟齬の無いよう伝えることが求められます。
そのために徹底すべきこととして、本書以外でもコンサル関連含む多くの書籍で繰り返し書かれているのが「結論から話す」「端的に話す」「数字など、事実に基づいて話す」ということです。

 

変な駆け引きをせず、言い訳をせず、言われたことにきちんとストレートに答えること。相手の信頼を得るために非常に大事なこととして、いまも常に心がけています。

(『コンサル一年目が学ぶこと』p.20より)

 

面接などでも、都合の悪いことを突っ込まれた際にはぐらかして答えがちだという方は特に意識して欲しいと思います。

 

例:成績の悪さについて言及された際の反応

【はぐらかして答える】
「すみません。。。それでも部の中では自分は割と授業には出席する方でしたし、ゼミ活動にも参加していましたし、できる範囲で勉強はしていたのですが、部活で毎日忙しくて一部おろそかになっていたところもあったかもしれません(以下続く」


【ストレートに答える(PREP法)】
①Point「おっしゃる通り、学業成績は正直芳しくありません」

②Reason「部活動を最優先と考え、最低限の勉強量で進級してきたためです」

③Example「平日はほとんど毎日練習をしていまして、その結果レギュラーを獲得し試合でも成果を上げられたので、自分の中では後悔はありません」

④Point「そうしたわけで成績は悪いのですが、単位数は何とか計画的に取得できている状況です」

 

ビジネスの場面においても、特に新人の頃は上司から仕事の進捗を聞かれることが多くあります。また、聞かれるのは往々にして仕事がうまく進んでいない時だとも思っています。

真っ当な企業であれば、進捗確認の目的は部下を詰めることではなく、仕事を前に進めるためですので、誤魔化さずにイエス・ノーをきちんと答えることが重要です。うまくいっていないのであればその理由を明確にし、何がネックになっているのか、どうすればうまくいくのか、上司とのコミュニケーションを通して改善・解決策を探っていくのが仕事の基本になります。

 

上司:「分析グラフができていないというけれど、何が問題なんだ?」

部下:「はい、グラフ化しようとしても、データ自体に問題があって集計できるようになっていないんです。これをいま直しています」

上司:「なに?データに問題があるのか?時間はどのくらいかかる?」

部下:「1週間くらいかかるかもしれません」

上司:「それはまずい。その分析は今週中にやる必要がある。1週間では困るので、別の人もヘルプさせるから、2日で仕上げられるか?」

(『コンサル一年目が学ぶこと』p.25より)


②思考術:常に自分の「仮説・意見」を持って情報にあたる

最近はメディアやSNSなど多くの情報が周囲にあふれていますが、結局ビジネス能力を向上させるには「考えること」が必要だと言えます。考える、というのは「仮説」と「意見」を持つことです。
漫然と情報に触れていると、他者の意見を鵜呑みにしてしまったり、そもそも頭に情報が残らないためインプット自体ができていないといったことになりがちだと思っています。

普段から自分なりに考えるクセをつけておくことで、面接においても深いレベルの回答ができるようになるものと思います。面接では口八丁なタイプの人ばかりが評価されがちという議論も見かけますが、物事を普段からどの程度の深さで考えているのかを見られている側面も大いにあると感じています。

参考:面接で問われているのは瞬発力ではなく、普段から物事を考える力

他にも、業界問わず頻出な「最近気になるニュース・サービスは?」といった質問についても、情報をぼーっと眺めているだけでは浅い回答に終始してしまうと思っています。

なお、自分なりの考え方を構築する際にも、ゼロベースである必要はなく、他者の考えを参考にするとよいと感じます。

参考:「ギリシャ問題」「アベノミクス」について回答を求められたら?就活生必携アプリ「NewsPicks」とは

 

最初は、稚拙だったり、間違いだらけだったりしてもかまいません。とにかく、自分だったらこう思うという筋をもって、本を読んだり、有名人のツイートに接したり、記事を読んだりすること。

(『コンサル一年目が学ぶこと』p.140-141より)


③デスクワーク術:「最終アウトプット」のイメージを持ってプランニングする

例年、エントリーシートを書くのに四苦八苦している方は多くいることと思います。ゼロから文章を作成するのが大変ということだと思っていますが、執筆開始の時点で最終アウトプットの骨組みを作るようにすることで、格段にラクになるのにと感じています。

本書の中では効率的な作業プランニングの方法として「空(から)パックを作る」というものを挙げています。
どういうことかというと、最初にアウトプットのイメージ(見出し)を作成して、そこに必要な情報を入れていくというものです。

 

最終成果物のタイトルだけを書いた、中身が空(から)のパワポをつくり、中身を埋めていくためのタスクを洗い出す。

(『コンサル一年目が学ぶこと』p.184より)

 

unistyleにおいても、自己PR・学生時代頑張ったこと・志望動機などの頻出設問についてはフレームワークに当てはめて考えることを推奨しています。フレームワークに則るメリットとしては、思考を整理できる、論理的に伝えられる、執筆の省力化ができるといったことなどが挙げられます。

 

◆フレームワークに則った自己PR執筆準備の例

①強み:
社交性と向上心から周りを巻き込む行動力があること。

②強みの原点:
小学校〜高校までで3回の転校経験から、新しい環境でもすぐに周囲に溶け込めるように働きかけるようになった。

③強みが発揮された具体的エピソード:
個人作業が多くなりがちな研究室活動において、全日本学生ロボットコンテストに向けてチームを結成、代表として運営し、コンテストでは初出場ながら50校中16位という結果を収めた。

④強みの方法論:
新しい環境でも、自分から積極的に周囲に働きかけることで周囲を巻き込んでいくことができると考えている。

⑤強みを社会でどう活かすか:
仕事においても主体的に行動し、積極的に周囲に働きかける中で、社内、取引先、顧客などとの信頼関係を構築していきたい。

 

▼参考記事
内定レベルの自己PRが簡単に書ける自己PRのフレームワーク
内定レベルの学生時代頑張ったことが10分で書ける学生時代頑張ったことのフレームワーク
内定レベルの志望動機が10分で書けるフレームワーク


④マインド:顧客への「価値提供」にコミットする

コンサルタントが使う表現で「ヴァリュー(付加価値)を出す」というものがあります。
仕事のヴァリューを規定するのは相手であり、相手に喜んでもらえない仕事は単なる自己満足に過ぎないと言えます。

ところで、「御社のサービス・製品が好きだから志望してます」という話をする方は結構多いと思っていますが、多くは「いち消費者目線」に過ぎず、評価されないと感じています。
サービス・製品に愛着があるのはよいことかもしれませんが、社会に出れば、生産者として常に試行錯誤を重ねてよりよいものを消費者へ届けて満足を得るというマインドセットの方をより大切にして欲しいと思います。

参考:「好きだから」という志望動機の8割が評価されない理由


また、「信頼関係構築のために大切なことは何か?」という問いに対しても、本書は一つの回答を示しています。「コミットメント(約束)」という考え方です。

 

クライアントと約束したものは、どんなことがあろうとも、やってくる。
そこに信じられないほど強いコミットメントをもっている。
そして、常にクライアントの期待値を上回るものをもっていく。
それを実直に繰り返すことによって、信頼を得る。

(『コンサル一年目が学ぶこと』p.251より)

 

約束を守り、期待に応え(期待を超え)続けることの積み重ねが信頼関係構築のために最も重要だということを語っています。

「信頼を築くには、密なコミュニケーションが大事」といった回答をする方もいることと思いますが、どれだけ話してもどうも信頼できないといった類の人も世の中にはおそらくいます。
「矢面に立ち頑張る姿を見せる」というのも、半分正解だと感じる一方で、頑張ったけどできませんでしたという状態が続いた時に果たして信頼を得られるのかという疑問が残ります。頑張ることは間違いなく必要ですが、頑張ることにコミットするのでは不十分だと言えます。


相手のヴァリューにコミットするのは社会に出てからも容易なことではありませんし、学生のうちからその意識を持っているという方はほとんどいないと思っています。
働くようになってから、自分自身と環境の両面でコミットメント力というのは醸成されていくものだと本書では語っていますので参考にしてください。

◆自分でこの仕事を選んでいる、という意識がコミットメントを高める。

◆コミットメントは伝染するので、社内ではコミットメントの高い人の近くにいる。社内外問わず、メンターを作る。コミットメントが高い人に影響を受けられる環境を作ることが重要。

(『コンサル一年目が学ぶこと』p.256-257より)


最後に

『コンサル一年目が学ぶこと』というタイトルの書籍ですが、どんな業界・業種で働く上でも重要な示唆のある内容だと感じました。まずは本記事や書籍を読んでいただいて、その上でぜひ行動に移して、そして継続して欲しいと思います。

ちなみに、本でもセミナーでも何でも、情報を得て実際に行動できる人が30%、行動を継続できる人がさらにその30%などと言われているようです。

 

コンサル一年目が学ぶこと

 

photo by Martin Thomas

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ニューエリートの構成要件|変化するエリート像と3つの達成要件 ニューエリートの構成要件|変化するエリート像と3つの達成要件 イノベーションが著しい現代社会において、いままでの「働き方」とこれからの「働き方」が変化しつつあります。今回は、そんな移り変わりの早い最中で、「これからの時代をリードする人」の傾向とそうなるためにはどうすれば良いのかと言ったことを今回、「ニューエリートグーグル流・新しい価値を生み出し世界を変える人たち」から考察します。本記事のアジェンダ▷「スーツを着たエリート」はもう時代遅れ▷「自分が見たい世界」のために働くには▷学び続けるための4つの方法▷決断し続けるためにやるべき3つのこと▷最後に「スーツを着たエリート」はもう時代遅れ「現代の成功者は着る服などにはかまわず、結果だけにフォーカスします。」と著者は述べています。つまり高級なスーツをきて仕事をし、それに対して優越感を感じている人が成功者ではないということです。前述したようなエリート像は、すでに時代遅れになりつつあります。実際日本でも大企業が倒産したり買収されたりしていますし、エリートの必須スキルとも言える外国語能力も、今後自動翻訳によって価値が下がっていくでしょう。人工知能が発達すれば弁護士や医者といった、エリートの代名詞的職業に就いている人でもふるいがかかるはずです。時代の潮目はとっくに変わり始めているのです。「自分が見たい世界」のために働くには現代の日本では、「お金」という資本を使ってビジネスする資本家と、労働によって「お金」という対価を得る労働者がいます。この両者によって成立するのが資本主義です。資本主義社会では、大きな資本を持つ資本家が力を持ち、より多くのサラリーを得る労働者がエリートとされています。そういった「オールドエリート」は、固定化された「地位」みたいなものでした。しかし、お金というものは、もはや人々が価値をやりとりする手段にすぎません。お金を持っていなくても、SNSで多くの人と繋がれば、その繋がりを元にビジネスを起こすことも可能です。現に、大資本から外れたところで、魅力的なビジネスがたくさん生まれています。つまり、すでに資本主義社会は終焉を迎え、ポスト資本主義社会が到来しつつあるということであり、これからの時代をリードする人は、ポスト資本主義社会の世界の仕組みを作る人たちになります。ニューエリート構成要件「ニューエリートグーグル流・新しい価値を生み出し世界を変える人たち」より引用概ね保守的で変化を好まないオールドエリートに対し、ニューエリートは革新的で変化を積極的に受け入れる傾向があります。彼ら(ニューエリート)の価値観を3点でまとめると以下のような構成になります。1.既存の考え方に縛られない本業以外の分野で自分のやりたいことを見出し、副業としてビジネス化している人や、初心者であることを武器にして常識を壊し、成功を収める人もいますが、ニューエリートは「常識」や「体裁」といった価値観に引っ張られて足を止めることはありません。2.受け取る価値より与える価値を大きくする大半の人たちは「より少なく働いて、より多くの給料を得る」といった、与える価値より受け取る価値を大きくする方に夢中です。しかし、ニューエリートは、逆に受け取る価値より与える価値を大きくすることに夢中になります。3.自分が見たい世界を作るニューエリートは自分が見たい世界を作る、つまり自己実現を達成するために仕事します。そのために、彼らは仕事で自分が出しているアウトプットにプライドを持ち、そしてアウトプットを出すまでのプロセスを楽しんでこなしています。ここでいう「仕事」というものは、ビジネスだけにとどまらず、趣味やボランティア、家事などあらゆる「世界に価値を提供していく行為」を指します。すなわち、ニューエリートの概念では、かつては初めからエリートの圏外だった専業主婦のような人でも、エリートになりうるということです。こうした価値観を保つためには、常に変わり続ける必要があります。なぜなら現状に満足しているだけでは既存の考え方にとらわれてしまいますし、自分が世界に対して与えられる価値も陳腐化してしまいます。そもそも、目の前の世界を「自分が見たい世界」にするためには、現状を変えなければなりません。だから変わり続けなければならないのです。学び続けるための3つの方法仕事に関する専門知識にしろ、趣味にしろ、ボランティアにしろ、学び続けることは難しいものです。「今で精一杯だ」と思う方も多いでしょう。しかし、学び続ける人しかチャンスは掴めません。とはいえ闇雲に何かを学ぼうとしても時間やお金に限界があります。そこでまずは以下の3つを実践するところから始めて見ましょう。1.「インパクト」と「学び」で仕事を選ぶここでいうインパクトとは、同じ時間で生み出す価値を指します。抱えている仕事をこのインパクトの大小と学びの大小で、「インパクト大・学び大」「インパクト大・学び小」「インパクト小・学び大」「インパクト小・学び小」の4つに分類します。そしてそれぞれに以下のように対応していきます。「インパクト大・学び大」…優先的に力を注ぐ。「インパクト大・学び小」…極力人の力を借りて行う。「インパクト小・学び大」…自分への投資だと考えて、一定の割合で行う。「インパクト小・学び小」…アウトソーシング、自動化する。こうして良い意味での仕事の選り好みをすれば、自然と仕事の中で学び続けられるようになります。2.「その道のプロ」に会うためにお金を使うどんな人と接するかは、自分がどんな人間になるかに直結します。そのため自分がプロになりたいと思っている分野のプロとどれだけ多く会って話しているかは、ニューエリートになるための大きなポイントになります。だからもし「その道のプロ」に会うチャンスがあったなら、交通費や飲食費などは厭わず、是が非にでも会いにいくべきです。また会ってからも物怖じせず、その人の価値観や成功の要因、失敗経験やその際に学んだことなどを徹底的に質問すること、それが確実に自分の学びになっていきます。3.「グーグルアラート」と「グーグルトレンド」で情報収集する著者によると、自分が気になるキーワードをグーグルアラートに設定し、関連する最新情報についての通知が毎朝メールで届くように設定するなど、グーグルトレンドで多くの人が関心を寄せているトピックが何かをチェックし、得た情報をもとに詳しそうな人を見つけて「これってどう思うか?」と質問することで、自分で集めた情報が立体的になり、+αの学びを得るとされています。つまり、その+αをもとにさらに詳しい人に話を聞くことができれば、学びの速度は一気に加速します。こうして手に入れた情報をストックし、気になった理由や自分にどういった影響があるのかを考えて学んだ内容が自分ごととなり定着しやすくなります。ここまでの一連の情報収集を習慣化すれば、自ずと学び続けるのが当たり前になっていくでしょう。決断し続けるためにやるべき3つのこと決断しなければ行動につながりません。行動につながらなければ変化はもたらされません。だからこそ変化し続けるニューエリートには、決断し続けることが必要なのです。しかも単に決断をするだけでは不十分で、できるだけ素早く決断を下す必要があります。なぜなら大きな変化のきっかけはいつも偶然にやってくるからです。そのため、きっかけをつかむには決断の速度が求められるのです。決断の速度をあげるには論理ではなく、直感を使います。そうすれば素早く行動につなげられるほか、自分の価値観に近い判断を下すことが可能です。ただしやみくもに直感で判断していては、いつまでたっても「一か八か」の域を出ません。直感的な判断をする場合には、以下の3つのことを実践しましょう。1.自分の決断の間違いを裏付けるエビデンスを探す人間は決断を下した瞬間から、その決断を正当化しようとして自分に都合のいい事実だけを見るようになります。このバイアスによる致命的な決断ミスを防ぐためには、自分の決断の間違いを裏付けるエビデンスを探すのが一番です。もし間違っていたら、すぐに戻って修正すればいいだけです。2.小さな失敗・環境変化で直感を磨く小さな失敗を繰り返して、その都度学びを得ていれば次第に直感が磨かれていきます。また仕事の環境を変えるなどして脳に刺激を与えてやると、これもまた直感を磨いてくれます。3.ポジティブなフィードバックで失敗を修正する直感で決断を下した結果、失敗をしたとします。その際は「何がダメだったんでしょうか」などとネガティブなフィードバックを求めるのではなく、「どうすればもっとうまくできたでしょうか」「次のためにできることを教えてください」といったポジティブなフィードバックを求めるようにしましょう。ポジティブな方が自分もフィードバックを求めやすくなりますし、相手も悪いところを指摘するより気分良くフィードバックができるからです。最後にニューエリートにスタートラインは関係ないここでいう「ニューエリート」という概念は、その人の価値を現在のスタートラインとは無関係に「一定期間での成長度合い」で考えるところです。そのため、自分自身に劣等感を感じている人でも、全員がニューエリートになれる可能性を秘めているということになります。「これまで」のことを振り返ることも大切ですが「これから」について考えることも重要です。まずは行動しましょう。そして「学び続けること」と「決断し続けること」を実践してみると良いでしょう。 6,280 views
「自分は他人より優秀だ」という平均以上意識からの脱却が内定獲得への第一歩 「自分は他人より優秀だ」という平均以上意識からの脱却が内定獲得への第一歩 元号を跨いだ大型GWも終わり、いよいよ20卒の選考活動も後半戦に差し掛かってきました。既に志望度の高い企業から内定を得るなど順調に駒を進めている方もいれば、企業からなかなか良い評価を得られず苦戦しているという方もいるかと思います。ところで、そんな20卒の方も含め、本記事をご覧の皆さんへ質問です。あなたの就活力は5段階評価で何点ですか?今回のテーマは、就職活動における自己評価。果たしてそれは高くあるべきなのか、低くあるべきなのか。新元号を機に自己を振り返る意味で今一度この論点について考察していきしょう。尚、本記事は就職活動真っ只中の20卒だけでなく、これから就職活動を始める21卒以降の方にもためになる内容になっているため、是非多くの方に一読していただければと思っています。【本記事のアウトライン】・自己評価の高低と就職活動結果の関係・「平均以上意識」はなぜ生まれるか・ダニング・クルーガー効果と自己評価・他社の内定先を正直に公表すべきか・最後に:自己評価で自身の可能性を狭めるのはもったいない前提として:以前もこのような記事で自己評価を取り上げましたunistyleでは以前にも「就職活動と自己評価」をテーマに以下のような記事を公開しています。参考:詳細についてはリンクより元記事を一読していただければと思いますが、要約すると「就職活動においては自己評価は高めぐらいが良い結果をもたらすことが多い」という内容が書かれています。一方、自己評価が現実のそれとあまりにかけ離れているのは当然それまた問題であり、結局はバランスが大事だということも指摘しました。unistyleが調査した結果は、自己評価の平均は"3.59"冒頭の問いかけについて、unistyleが以前アンケートを取った「」における結果は"3.591"でした。単純に考えて、1~5の5段階評価の乱数的な期待値は3.000ですから、結果としてはやや高めの値と言えるかもしれません。とは言え、・サンプリングサイズの問題(50万人規模と言われる就活生全体の中のn=1002)・母集団の性質の問題1(unistyle登録者における高学歴層の割合の高さ)・母集団の性質の問題2(16卒は8月内定のため2~3月でも現在よりは選考が進んでいない)等々、統計的な正確性を語るには問題があるため、あくまで参考程度にはなります。「平均以下」と回答する人は5割も存在するのか?さて、この結果について皆さんに考えて欲しいのは、「自分は平均より下の就活生だ」と自己評価している人がどれだけいるのかということです。もちろん就職活動における自己評価という全く定量的でない指標が標準正規分布を取るわけではありませんが、少なくとも「平均より下」と思っている人は5割に満たない可能性は高いでしょう。実際、これを今読んでいるユーザーの皆さんも、トップ層とは思っていなくとも、「少なくとも平均よりは上かな」ぐらいの自己評価である人は多いのではないでしょうか。確かに、「」に書かれているような、就職活動において基本となる行動をクリア出来ている就活生は案外少ないものです。unistyleの記事のような典型的な公開情報でも、他の就活生に差をつけることは十分可能です。(余談ですが、この時期の3年/M1生向けによくみかける「応募者限定で○○リストをプレゼント!」といったような就活イベントも、情報自体で差をつけようと考える就活生の心理を少なからず利用したものだと推測しています)参考:また、以下の記事にもあるように、大学全入時代とも言われる昨今では早慶以上の学歴の希少価値というのは学生の肌感よりはそれほど高くはなく、自分の置かれた立ち位置よりも何となく上の自己評価をしてしまうケースはそれなりにあると思っています。もちろんこの記事が執筆された頃と比較すると、有名私立(特に早稲田)は入学者数を絞って偏差値をキープしている傾向にあるため、多少は高学歴ブランドの希少性は戻っているのかもしれませんが。就職活動は毎年50万人程度の学生が参加すると言われていますが、早慶+旧帝大で4万人の学生がおり、就職マーケットの8%が早慶旧帝大の学生で占められています。多くの慶應の学生は自分たちは上位1%〜2%の人間だと言う意識が強いのではないでしょうか。参考:「平均以上意識」はなぜ生まれるのかでは、就活生はなぜ自分たちのことを実際の能力以上、もしくは「とりあえず平均よりは上」と評価するケースが発生するのでしょうか。もちろん要因は人それぞれですが、ここでは考えられるものを3つ紹介します。平均以上意識の要因1:自己評価とは自由な評価説明するまでもありませんが、自己評価とは自分で好き勝手に内容を設定できる評価です。極論、クラスの全員に嫌われていても、「私はクラスの人気者だ」と自己評価してしまえばそれまでであり、上にも下にも現実のそれとは大きく乖離する可能性を含むものになります。基本的に、"評価"というものは良い方が好ましく感じるはずです。他者評価は自分の努力次第で変えられるところもある一方どうにもならない側面も大きいため、せめて自己評価ぐらいは高めに、悪く言えば自分を正当化して精神衛生上良くしようという考えが生じうると言えるでしょう。自分にとって不都合な評価には目を瞑り、心の安定を保つという意味では、いわゆる正常性バイアスに近いものが要因1にはあるのかもしれません。平均以上意識の要因2:大学生活における、「選べるコミュニティー」高校までと比較すると、大学生活においては自分で自由に過ごし方を決定できる割合が高まっていきます。どの授業を履修するか・どのサークルに所属するか・どのぐらいアルバイトのシフトに入るか...。はたまた授業に行かない・サークルに入らないといった選択肢すら(自己責任ですが)許されるのが大学生活です。就職活動においても、大学受験と比較すれば受けることが出来る企業の選択肢は格段に多いでしょう。しかし、実際に就職することが出来るのは内定を獲得出来た企業の中から1社です。内定を取らなければ就職することは出来ません。自分で選んだサークルを中心としたコミュニティーは基本的に居心地の良いもので、自分の好きなこと・得意なことに対し損得関係なしに向き合うことが出来るものです。仮に自分が劣等感や居心地の悪さを感じるような環境なのであれば辞めればいい話であり、自分にとって優位な環境を取捨選択出来る点が大学生活の特徴の一つでしょう。そんな居心地の良い環境にどっぷりと浸かり何となくちやほやされていた大学生が、いざ職に就くための活動(≒内定を獲得するための活動)、言ってしまえば内定という限られた椅子を奪い合う競争である就職活動になると全く優位性を確保できず苦戦を強いられるという話はしばしば耳にします。自分が優位になりやすい環境で評価されるのは当たり前の話であり、そういった環境を選択できる自由があるからこそ、井の中の蛙状態で「平均以上意識」が生じてしまうというのが2つ目の要因になります。平均以上意識の要因3:自分が主人公の世界は自分にしか見えない「人生は自分が主人公の物語」だという言葉がありますが、「自分視点」という意味ではこの言葉はまあ合っているかなという気がします。普段自分が関わっている他人にも、それぞれ自分視点の人生が存在しています。普段はあまり意識することはないでしょうが、主人公である自分はある種特別な存在であり、どれだけ多く他人と関わったところで自分視点から完全に脱却することは出来ません。(「相手の立場に立つ」というマジックワードが究極的には不可能なのはこれに起因しています)そんな中で、一件興味深いツイートを発見しました。キャラ濃い問題pic.twitter.com/ccbzujLlqf—凸ノ高秀(@totsuno)2015年10月6日Twitter・Instagramを始めとしたSNS上で時おり見られる「マジこのメンツ濃いわ~」に準ずる文言。このツイートの「ばあちゃん」の言う通り、「濃いメンツ」というのはあくまで「自分(という人間が主人公)にとって特別な存在」に見えるだけの話であり、たいていの場合関係のない第三者から見れば全く濃く感じないものでしょう。それだけ特別な存在である唯一無二の「自分」について、他者から見た視点とは異なる分高めの自己評価を設定してしまいやすいのは自然なことなのかもしれません。自己評価と関わりが深い、"ダニング・クルーガー効果"上記では就活生の間で平均以上意識が生じやすい理由について指摘しましたが、自己評価の議論と関連してしばしば登場する用語が、ダニング・クルーガー効果になります。ダニング・クルーガー効果とは、能力が低い人に限って自分を過大評価してしまう認知バイアスの一種を指します。高齢者事故とダニング・クルーガー効果池袋で起きた高齢者運転事故により最近再び議論を巻き起こしている、高齢者の運転免許返納問題。こちらはダニング・クルーガー効果を説明する際にしばしば取り上げられる事例になります。先ほど要因1で正常性バイアスについて触れましたが、「自分の運転に自信があるか」という問いかけについて、損保ジャパン日本興亜の調査では65歳を境にYesと回答する割合が高まってくるというデータがあります。しかし、実際には事故率は高齢になれば高まる傾向にあり、その自信は結果に伴っていないのが現実と言えるでしょう。ダニング・クルーガー効果が生じる理由こういったダニング・クルーガーが生まれる理由はいくつも指摘されていますが、中でも大きいのは「能力が低い人は自分の能力が低いということに気づく能力すらそもそもない」という点があると思っています。unistyleでも「就活生は自分を完璧な人材と見せつける必要はない」という話は何度もしていますが、そもそも欠点が全くない完璧な人間など存在しません。自身の価値を高めるためには、・改善点に気づくこと・それに向けた行動をすることが必要です。能力が高い人はこの改善点の発見→行動→成長のサイクルを円滑に回すことができ、低い人はこのどこかでつまづいていると考えられます。就活生がダニング・クルーガー効果から脱却するためには・居心地の良い環境で井の中の蛙状態・能力が低い人は改善点の発見に至らないここまでの上記のような内容に、思わず自分のことかと身構えた方もいるかもしれません。では、就活生が現実とかけ離れた平均以上意識から脱却するためにはどうすればいいのか。unistyleとしては、とにかく選考を受けること・行動量を増やすことに限るという考え方をとっています。この手の議論には「自分を客観視せよ」というアドバイスが散見されていますが、客観視=自分以外の視点から捉えること=それ自体が自己評価からの脱却であるため、これでは答えになっていません。大切なのは、客観視するためには具体的に何をすればいいかを提示することです。就活生にとって最も重要な他者からの評価とは、ズバリ企業からの評価・人事からの評価です。内定獲得力が定量化・可視化が困難なものである以上、実際に企業の選考を受けることで企業から評価を集めないことには就職活動における正しい評価を感じることは難しいと言えます。これは自分と関わりのある周囲から評価を集める方法である他己分析よりも、内定獲得の観点で見ればよっぽど有効です。一番わかりやすい他者評価は他社評価。すなわち「内定」である就活生の能力を定量化・可視化出来ないというのは、企業側の立場からしてみても同じことです。それをより確からしくするために、面接を始めとした選考フローが存在しています。その際、人事が拠り所とするのは、他社の内定をどれだけ取っているかということです。自社以外の有名企業から内定を得ているということはそれだけ評価されているという意味になり、就活生の能力への期待値は高まりやすいでしょう。詳細については以下の記事で指摘しています。モテスパイラル現象とは、「イケメンや金持ちより、単に他の女にモテている男がモテる」という現象のことだそうです。参考:「他社からの内定」というのは、一企業からすればある種客観的な評価の一つです。この性質を利用して、私の知るとある学生は、「P&Gのインターン選考で非常に高く評価されました」という話をしていたようです。この学生、実際はインターン選考落ちで特に評価されたという自覚も無いようですが、「評価された」という肌感覚を利用して明らかな嘘をつかずとも自身の就活市場価値の高さを伝えたという話でした。これについてはインターンの内容等掘り下げられた際苦しいリスクも含んでおり、頭ごなしに推奨できるものではありません。一方、既に内定があることを企業に伝えるか悩む就活生というのも時おり見かけますが、基本的に内定先をわざわざ隠す必要はないと思っています。その多くは「既に内定があるなら自社は辞退されるのでは」と思われることを気にしているようですが、それでもわざわざ時間を割いてその会社を受験しているのは正に志望度の表れであり、自身の軸に沿ってその時受験している企業の志望度の優位性を伝えれば問題ないでしょう。また、軸から多少外れていてもその心情の変化の理由を伝える、もしくは「志望度は高くありませんでしたがまずは自身の実力を確かめるために受験しました」ぐらいでも大きな問題はないと思っています。「内定が無いのなら自社に入れてあげよう」という考えに至るほど人事は甘くなく、内定先の企業によるでしょうが、内定ブランドのメリットと比較した内定先公開のデメリットは基本的に小さいものではないでしょうか。最後に:驕ることなく、地に足のついた自己評価をこの時期は一番就活が順調に進んでいる人とそうでない人の差がつく頃でもあり、周囲と比較してあれこれ悩んでいる就活生も少なからずいると思っています。そういった就活生を見ていると、やはりまずは内定を獲得することが悩み解消の第一歩なのだと改めて感じています。とは言え、1社内定を取ったからといって驕り高ぶって周囲にマウントを取り出すのもそれまた違う話であり、結局大切なのはバランスなのだと、一見真逆のことを述べているように見える「」と結論自体は大きくは変わりありません。いずれにせよ、自己評価という自分で好き勝手に設定できるもので自身の可能性を狭めてしまうのは大変勿体ない話です。是非自分の中で「正しい」自己評価を見つけたうえで、残りの就職活動に励んでいってください。 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