伊藤忠商事の朝方勤務、KDDIの退社後11時間以内の出社禁止などユニークな勤務体系

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最終更新日:2022年03月29日

伊藤忠商事の朝方勤務、KDDIの退社後11時間以内の出社禁止などユニークな勤務体系

企業において「労働環境改善」や「労働生産性向上」を目指した動きは、近年大きな広がりを見せています。最近では「ゆう活」という言葉もよく聞かれるようになりましたが、これは仕事を早めに始めて早めに終わり、その後の時間を自分の時間として有効活用するというものです。こうした言葉に見て取ることができるように、どの業界・企業においても、勤務体系はかなり多様化してきています。
今回はその中でもユニークな勤務体系を採用している企業を具体的にご紹介したいと思います。

参考:ゆう活 はじめよう!夕方を楽しく活かす働き方 -政府公報オンライン


伊藤忠商事朝方勤務

就活生に大人気の商社業界3番手につける伊藤忠商事は、岡藤現社長就任以降から導入された「朝方勤務」で有名です。
内容は朝型勤務をする社員にインセンティブを与えるというもので、具体的には早朝勤務をした場合に割り増し残業代が支給されたり、朝ご飯が提供されたりするというものです。

深夜勤務(22:00-5:00)の「禁止」、20:00-22:00勤務の「原則禁止」。但し、やむを得ず20:00以降勤務が必要な場合は事前申請の上、認める。
早朝勤務時間(5:00-8:00)は、インセンティブとして、深夜勤務と同様の割増し賃金(時間管理対象者:150%/時間管理対象外:125%)を支給する。
※ 7:50以前始業の場合、5:00-8:00の割増率を8:00-9:00にも適用。
健康管理の観点から8:00前始業社員に対し、軽食を支給する。

出典:朝方勤務制度の取組と効果 伊藤忠商事株式会社

 

KDDIの退社後11時間以内の出社禁止

情報通信業界最大手のKDDIは今年7月からの「退社後11時間は出社禁止」というインターバル勤務の導入を発表しました。こうしたインターバル勤務については、すでに欧州連合(EU)が同様に11時間のインターバルを義務化していることが知られています。
しかし、例えば22:00に退社した場合、翌日は9:00出社ということになるため「それほど効果がないのでは?」という意見もあるかもしれませんが、深夜まで残業をした翌日に9時から出社するという状況が避けられるので、労働環境改善につながることは間違いないでしょう。

KDDIは全社員1万4000人を対象に、退社してから出社するまでの間隔を11時間以上あけることを求めるガイドラインを2015年7月から導入した。
(中略) 報道によると、11時間未満の日が月に11日以上となった社員には勤務状況の改善を指導し、残業が目立つ部署には是正を勧告する。

出典:KDDI、退社後11時間未満の出社はダメ 7月からガイドライン導入

 

Googleの20%ルール

Googleでは「勤務時間の20%を自分の好きなプロジェクトに利用して良い」とする「20%ルール」と呼ばれるものが存在しています。これは社員の創造力を事業に活かすための取り組みで、GmailやGoogle Mapsといった現在では多くの人々が利用するサービスもこの20%ルールの時間を使って開発されたものであるというから、その効果は抜群のようです。こうした「20%ルール」のような自主的に事業に取り組める時間は、特にGoogleに代表されるIT業界では積極的に導入されています。

ちなみにこうしたルールを最初に取り入れた企業は外資系メーカーの3M(スリーエム)といわれていて、「15%カルチャー」と呼ばれる同社の取り組みからは、BtoC市場では主力製品の"Post-It(付箋)"などが生まれています。

Googleが実践している「20%ルール」。これは勤務時間の20%を自分の考えのために用いることで、従来の勤務体系内では思いつけないような斬新なアイデアを生み出そうという考えから生まれたもの。その20%ルールから生まれたのがGmailやアドセンスなど。また創業者のラリー・ペイジは下記のように語っている。

“「通常、会社が大きく成長すると、革新的な小プロジェクトは進めにくくなる。私たちもしばらくはこうした問題を抱えていたので、新しいコンセプトが必要だぞ、ということになった。つまりこれは、グーグルで働くかぎり勤務時間の20%は自分で最善と思うことに使うことができる、という考え方だ」”

出典:Googleが実践している“20%ルール” - 社内に導入することで得られるメリットとは?

 

番外編:ゴールドマンサックスの取り組み

日本でも外資系金融業界はハードな労働環境であることがよく知られていますが、アメリカではウォール街のインターン生が過労死したニュースが報じられるほど、その問題は深刻化しています。金融最大手のゴールドマン・サックスも例外ではなく、つい先月に同社は「インターンの徹夜禁止」と「0:00退社、7:00以前の出社禁止」を発表しました。
それにしても、労働環境を改善しようとしてこの程度の規制なので、普段から相当な激務であるということが見て取れます。

参考:ゴールドマンの過労死対策、「勤務は午前0時まで」


番外編:カルビーの席替えルール(フリーアドレス)

個人の座席を決めず、毎日自由に席を選ぶことができる"フリーアドレスオフィス"という取り組みは、1990年代後半から外資系企業やIT企業を中心に導入されてきました。
こうした施策の目的は「外出の多い社員の座席を他の社員が使えるようにすることでスペース効率を良くすること」と言われてきましたが、カルビーは別の観点からフリーアドレスを導入しています。
それは「社員同士の交流を増やすことで、イノベーションの創出を促進する」といことです。

カルビーのオフィスは、個人の座席を決めないフリーアドレス制。社員は後述する仕組みを使って、毎朝自分の座席を決める。同じ席に座れるのは最大4時間。期限が来ると、再び同じ仕組みを使って新たに座席を決め、ノートパソコンとPHSを持って移動する。
近くに座る社員はそのたびに変わる。ほとんどが違う部署の社員だ。隣で交わされる会話は自然に耳に入ってくる。「面白そうなお話ですね。よかったらちょっと教えてくれませんか」。そんな一言から始まる会話が、新しい仕事のアイデアや、部門の壁を越えたコラボにつながることも少なくない。
そこから新しい取り組みが生まれる。「ポテトチップス」や「じゃがりこ」などの主力商品は、季節や地域ごとに味を変えた新商品のラインアップを拡充。2011年には直営店「カルビープラス」の出店も開始した。

出典:フリーアドレス定着大作戦 風通し120%職場、秘密の仕掛け

 

最後に

本コラムでは「働き方」という観点から、工夫を凝らした取り組みを行っている企業をピックアップしました。
働き方については自分なりにある程度強い意志をもっていないと、就職してから会社の要望に流されてしまいがちです。メリハリの付け方、仕事に対する情熱の注ぎ方については入社前に考えておいた方がよいかもしれませんね。

 

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就活解禁から1ヶ月間就職活動をして、今後何をすべきか悩んでいる就職活動生が今すべきこと 就活解禁から1ヶ月間就職活動をして、今後何をすべきか悩んでいる就職活動生が今すべきこと 就職活動が3月解禁になり1ヶ月経ちましたが、皆さんこの一ヶ月をどのように過ごしたでしょうか。この段階になって就活生の皆さんと話をしていると、「説明会には参加したものの、今後何をすべきか見えてこない」、「就職活動が解禁とは言っても選考があるわけでもなく漠然と就活しているだけな気がする」など今何をすべきか見えていない人が多いような印象を受けます。そこで今回はそのような迷っている就活生の方がいま何をすべきか一緒に考えたいと思います。一番すべきことは少しでも興味のある企業に内定をもらうこと今、何をすべきか悩んでいる学生の多くが情報収集で悩んでいるように感じます。もっといい情報がないのか、もっと知るべき情報があるのではないかと疑心暗鬼になってしまっているように思います。ある程度の情報収集をした学生が今すべきことは、少しでも興味のある企業に内定をもらうよう行動することです。例年、多くの学生が「面接慣れ」の重要性を語っています。三菱商事などの超人気企業に内定する人でも、最初の頃の面接は落ちまくってどうしたものかと気分がふさぎ込む経験をしていると言います。面接という特殊な状況に限らず、多くの学生はこれまでに自分とある程度近い大人以外の人と会話をした経験が圧倒的に不足しています。そのため言葉づかいや会話のテンポなど、自分が伝えるべきことを伝える以前の問題でうまくいかないケースが多いです。OB訪問の際に、「社風はどうですか?」とか呑気な質問をするだけの会話なら社会人と話すことができても、社会人や面接官から少しでも質問されるとリズムが狂って言いたいことを満足に言えないという経験をしている先輩はかなり多いのです。内定を取ることで得られるメリットとしては、面接慣れするだけでなく、第一志望業界とどのように働き方が違うのか、どういった業務の違いがあるのか深く考えるきっかけになるということもあげられます。例えば総合商社が第一志望の中で、コンサルティング業界を受けると、一つの事業にずっと配属されプレーヤーとして働く総合商社と様々な案件に1年程度の中期間で関わるサポーターとして働くコンサルティング業界の違いについて考える機会が得られるでしょう。このような機会を通して自分はどういった働き方が向いているのか考えるというのは自分一人で悶々と考えるだけでは得ずらいものでしょう。また内定を得た場合に、最低限この会社に就職すればいいという心理的な保証も自然体で面接に行くにはプラスに働くと言えます。どうしても後がない状況で最終面接に臨むと、必死になってしまい、どうしても入れてほしいと企業や面接官に媚びるような受け答えや雰囲気を醸し出してしまい、それを察知した面接官が快く思わないということもよくあります。第一志望群から第二志望群ぐらいの会社に内定をもらうことは精神衛生上もプラスに働くことが多いのかなと思います。志望動機が書けないからエントリーできないという人へ「どんどん企業を受ければいいじゃん」というアドバイスをすると多くの学生が、「企業研究が追いつかないです」という回答をしがちです。多くの就活生が企業に評価されるためには、「知識」が必要で、業界・企業研究が不十分だと絶対に受からないと考えています。そのため志望している企業のことは何でも調べようとOB訪問だけではなく、企業に関する本であったりを読みあさり、年収や最近の事業内容、同業他社との違いまでやたらと詳しい人になろうとしてしまう人が毎年出てしまいます。しかし、こういった人が必ず受かるかというとそうでもなく、就活マニアとして調べた時間が徒労に終わってしまうということは少なくありません。受験勉強とは違い、何でも「知識」として詰め込んだ人が評価されるわけではなく、面接においては「こいつ、うちの会社で活躍しそう」というある種の直感に近いもので評価しています。そのため、企業や業界に対する「知識」よりもうちの会社で活躍してくれるかもという「期待感」を過去の実績や話し方から伝えられるかどうかが重要になります。全然業界研究をしていなくても下記のような志望動機が書けて話せれば十分、内定レベルに評価されるでしょう。【不動産ディベロッパーが第一志望でWebサービスを運営するベンチャーを受ける場合】チームで形のあるものを生み出す仕事がしたいと考え、就職する上でそういった仕事が出来ればと考えています。高校までずっと陸上という個人競技を続けてきたことから、大学ではチームで何かを生み出す活動に関わりたいと考え、フリーペーパーサークルを自ら立ち上げて発行部数1万部を目指して取り組んできました。Webサービスを提供する会社であれば、エンジニアやデザイナーの方などと協力してサービスをチームで生み出すことが出来ると考えて志望しています。一方でまだまだ就職活動が始まったばかりであまりWebサービスの業界について詳しくないというのも正直なところです。Webサービス業界以外にも、「チームで形のあるもの」ということで不動産ディベロッパーやメーカーなど幅広く就職活動では見ています。よろしくお願いします。これは結構正直な志望動機だと言えます。自分の経験からどんなことに興味があるのか伝えて、Webサービスとの関連をうまく繋げて話すことが出来ています。「Webサービス業界にあまり詳しくない」と予防線を張ることでどんなWebサービスが好きかなど突っ込んだ質問に対してもうまくかわすことが出来そうです。こんな感じで志望動機を話しても学生時代の経験や自分自身のことについてしっかりと話すことが出来れば案外評価されるものだというのを多くの就活生は知らずに、「完璧な志望動機」を追い求めてエントリーできないという事態に陥っているように思います。企業理念に共感したとか新規サービスに非常に詳しいなど「知識」で勝負しようとする学生よりも、上記のように自分の素直な考えを言葉にできる正直な学生が評価されるケースが多いと思われます。どんな志望動機を話せばどんな業界にエントリーできるのか具体例を下記のエントリーで詳しく具体例とともに解説しています。特別な経験がなくて志望動機が書けないと悩む人でも簡単に書けるようなテンプレートになっているのでぜひ使ってみてください。もちろん最終面接に近くなると、絶対に入社してもらいたいと考える企業側が志望度の高さを聞くために、志望動機に関する様々な質問をすることがあるので、上記のようなざっくりとした志望動機で内定できるかは企業にもよるとは思います。ですが多くの会社では「自分の会社が第一志望の就活生しか取らない」わけではなく、他社・他業界が第一志望でも優秀な就活生であれば入社してほしいと考えています。そのことを理解した上で上記のようにうまく志望動機を自分の経験と結びつけて話すことが出来れば、第一志望であることをゴリゴリと伝えようとしなくても評価されると思われます。下記のエントリーでは第一志望と伝えずとも評価された具体例について書いていますので参考にしてください。なお、どのような企業選びの軸が各業界に当てはまるのかについての考え方は下記の記事で詳しく紹介しています。各企業選びの軸ごとに当てはまる業界のいいところと悪いところについて詳しく書いていますので参考にしてみてください。最後にプログラミング界の有名な言葉で、「Shutthefuckupandwritesomecode(グダグダ言っていないでコードを書けよ、ハゲ)」という言葉がありますが、就職活動やビジネスにおいても当てはまるのかなと考えています。プログラミングにおいても、就職活動やはたまたビジネスにおいても、受験勉強などのようにきっちりとした正解がないため、あーだこーだと悩んで結局行動しないまま、戦略だけは一丁前に考えるということをしてしまいがちです。ですが、自分の目的や物事を前に進めるために大事なことはまずは一歩踏み出して行動に移すことであると思います。就職活動においても最終的に「納得したキャリアの選択をする」ということにおいては、内定をもらい就職先の選択肢を増やすというのは悪いものではないと思います。「自分が心からやりたい仕事、行きたい会社に内定をもらわなければ意味がない」、「内定のために就活をするのか」といった非難がありそうですが、皆が第一志望の会社に入れるわけでもなければ、内定がなければ就職するという選択肢そのものが得られません。もちろん進学や海外留学、資格試験など就職以外の選択肢もあるので幅広い選択肢に目を向かわせてほしいと思いますが、内定をもらって就職できる状況でそれを断ることで、選択肢を自ら捨てたという気持ちが次へのエネルギーになるように思います。上記に書いた通り、内定するために必要なのは知識ではなく、自分なりのキャリアの考え方です。それも移り変わるものだと思いますので、面接という場を通してアウトプットして様々な角度から質問されることでより深みが増すと思います。なかなか一歩が踏み出せないと感じている人は、「Shutthefuckupandwritesomecode(グダグダ言っていないでコードを書けよ、ハゲ)」という言葉を思い出して、まずは内定前の面接を受けることが出来るようにエントリーシートを積極的に書いて出して欲しいと思います。ちなみに既にある程度満足できる会社に内定している人はこの限りではなく、内定をもらっている会社以上に行きたい会社とはどういう会社か、今自分が考えている働き方とは違った考え方を持っている人はいるかなど、さらに視野を広げて考えてみるともっといいのかなと思います。 40,576 views
総合商社に内定する人の共通点〜三菱商事、人事部採用チームリーダーから学ぶ〜 総合商社に内定する人の共通点〜三菱商事、人事部採用チームリーダーから学ぶ〜 こんにちは。16卒の総合商社内定者です。先日、日経ビジネスオンラインで三菱商事の人事部採用チームリーダーがインタビューされていた記事を読んだのでそれを踏まえた上で総合商社に内定する人の共通点を内定者の立場からも分析し、書きたいと思います。総合商社は今や就職人気ランキングの上位に食い込む業界です。倍率も非常に高くなっています。やはりその倍率を勝ち抜いてきた学生にはそれなりの理由があります。三菱商事の人事部採用チームリーダーの下村氏は以下のように語ります。三菱商事に内定する人の共通項記者「御社に内定する人の共通項はありますか?」下村「求める人物像には信・力・知を備えている人と言っています。それらを体現する人の人物像は3つほどあります。1つ目は、自分で物事を切り開いた経験のある人。例えば、震災ボランティアを経験している人はけっこういます。ただ、ボランティア活動を客観的に観察して、効率的な運営ができていないと感じた。だからこそ自分でNGOを立ち上げて活動したという人が該当すると思います。2つ目は、高めの目標にストイックに挑むことができる人。これは仲間と共に部活動に真剣に取り組み、何事かを成し遂げた経験を持つ人などを想定しています。3つ目は、海外経験や国籍などまったく異なるバックグラウンドを持つ人です。例えば、フランスが好きすぎて、留学してフランス語がペラペラになって帰ってきた人とか。中東で何年も暮らした経験がある人なども該当します。」引用:三菱商事、「臆さずどんどん受けてほしい」人事部採用チームリーダーの下村大介氏に聞く下村氏が求める人材像として挙げている信・力・知を備えている人に関しては賛成ですし、三菱商事に限らず他の総合商社の内定者と接していてもそれらを兼ね備えている人は非常に多いように感じます。よく体育会、帰国子女でないと総合商社は受からないのではないかと考えている就活生がいますが、そのような肩書きが大事なのではなく、その経験において信・力、知が育まれているからこそ、それが総合商社の求める人材像とマッチし、結果的に総合商社の内定者における体育会比率や留学経験比率が高くなるのだと分析できます。また下村氏は同社のホームページで信・力・知に関して次のように話しています。「信・力・知」とは?三菱商事では、社員を最大の資産と捉え、OJT、OFF-JTを絡めた充実した研修制度や、新入社員の為のインストラクター制度を整えています。研修では、「信」・「知」・「力」という3つの観点から人材育成に取り組んでいます。「信」は社内外から信頼される人間性。「知」は問題解決のための知識や知恵。「力」は物事に粘り強く向き合い、やりぬく力を指します。また、インストラクター制度では、新入社員一人ひとりに指導役の先輩社員がつき、1年間、ビジネスの基礎能力を徹底的に教育します。引用:三菱商事HP「採用メッセージ」同じく信・力・知に関しては同社の人材育成においても重視していると下村氏は語っています。ただ、私はここにもう一つの要素を付け加えたいと思います。それは対人能力の高さです。総合商社のビジネスモデルは製品を持たない為、会社にいる人材が非常に重要となってきます。たとえ最初は会社のブランドを使って仕事が取れるのだとしても、ゆくゆくはその社員の名前で仕事を取ってくるぐらいの実力が必要となるのは目に見えています。内定者と接しているとその場を楽しませ、また会って話したくなるような人が多くいます。これこそが商社マンの本質なのではないかと私は思っています。このような学生がなぜ多く採用されるのか私なりに考えました。そして先ほど紹介した日経ビジネスの記事にヒントがありました。コンピテンシー面接記者「面接でもそういった人材を見つけるようにしているのですか。」下村「そうですね。活動実績は素晴らしくても、本当にその人が主体性をもってやり遂げたのか、信念や問題意識を持って取り組んだのかなどを掘り下げて聞くようにしています。」引用:三菱商事、「臆さずどんどん受けてほしい」人事部採用チームリーダーの下村大介氏に聞く私が就活を通して感じたのは、総合商社の面接が基本的にコンピテンシー面接であるということです。コンピテンシー面接とは「成果の再現性」を見る為の面接手法です。実際にその学生が学生時代に取り組んできたことへの姿勢やそこから得られた成果は入社してからも再現可能なのかどうかを次々と掘り下げる質問をしていくことで測っています。つまり、履歴書上は客観的に素晴らしいと思われる経験や成果を出していたとしても、マグレの可能性やチームにおいて雑務のみをやっていた場合にはコンピテンシー面接をすることでメッキが剥がれてきます。私が総合商社の内定者と話をしていく中で感じたのはほとんどの学生に一本の筋が通っているということです。総合商社に入社する理由は人それぞれですが、基本的には一つの信念の下に総合商社というフィールドを選んだ学生が多いように感じます。また一人で何かを成し遂げたという人は少なく、体育会ではもちろんのこと、留学や起業においても周囲を巻き込みながらチームにおいて重要な役割を担いながら成果を出したという人が多くいます。最後に総合商社を志望する人には内定がゴールだと考えて欲しくないと思います。自分が将来成し遂げたいことがあって、それを実現できるフィールドで勝負する為の一つの手段が総合商社への入社であると私は考えています。そして将来成し遂げたいことに大小はあれど、面接はその大小で決まるような勝負ではありません。一本の強い筋を持った人がこれから総合商社を受けにきてくれて、そういう人たちと一緒に働けることを楽しみにしています。photobyTheLEAFProject 30,410 views
就職活動後ろ倒しはチャンス!上手く立ち回るための3つの方法 就職活動後ろ倒しはチャンス!上手く立ち回るための3つの方法 16卒の外資系コンサル内定者です。皆さんご存知の通り、本年度より従来の4月から日系企業の選考時期が8月に後ろ倒しになりました。世間では学習時間が逆に減っているとか、無用に就活が長期化しているとの批判が見られますが、これも皆、商社をはじめとする人気企業の内定を得たいという気持ちの裏返しだという印象です。そこで、後ろ倒し初年度の就活を終えた筆者が、来年以後の就活生に向けて幾つかのことを伝えたいと思います。優秀な人に内定が集まる?これはもう否定しようの無い事実です。今までは選考時期が短かったため、学生側も受ける企業に応じて努力や時間の分配をしていました。ですが外銀の選考から広告までほぼ1年を要する現行のシステムでは、優秀な学生が内定を幾つも保持しているなんてことは普通のようにあります。私もそのような就活モンスターからは程遠かったので、外資の早期の選考を経て、就活における戦い方を考えることですんなりと就職活動を始めることが出来たのを覚えています。就活に時間がかかる?当然ですが、後ろ倒しの分時間が掛かります。先述したように丸々1年を要する現行のシステムでは、何のための学生生活かわからなくなってしまうという人も居ると思います。しかし、就職活動というのは朝から夜までずっとやっているものではないですし、また私のように1年間の留学をしていた学生、並びに3年以後もサークル活動や課外活動など何かにコミットしている学生にとっては、緩く長く就職活動という「企業との接点」を持つことの出来る良い機会なのではないかと思います。早く始められる上記の2点だけ見ると不安になる人もいらっしゃるかと思いますが、これは逆にチャンスだ、というのが私の体験記で申し上げたいことです。簡単に2点にまとめますと「a.従来と同じく10月から就活を始めることで3月スタートの学生たちと差をつけつつ、b.早期の外資選考に集まる優秀な学生から良質な考え方やテクニックを盗む」ことが出来るからです。メンタリティ的な面で言うと、「就活後ろ倒しになって長期化するからめんどくさい」と思考停止するのではなく、「変更初年度は逆にチャンスだからうまく立ち回ってやろう」というくらいの気持ちでいました。結果的に3月の日系企業就活解禁前に内定を頂くこともできましたし、早めに始めてよかったなと思っています。テクニック的な面では、また8月の商社の就活なども経験しましたが、同じグループ面接を受けていて、本当にこいつには敵わないなといういう人には、個人的にはあまり会いませんでした。そういった意味では早期の外資の選考に来ている人たちは仕上がりも早く弁も立つし、彼らの就職活動から学ぶところというのはおおいにあると思います。インターンについてメリットに関しては色々気づくことが出来たのですが、インターンについては正直微妙なところです。私はインターンを企業側のいわゆる早期選考だと位置付けていたので、三菱商事などの企業には下手に手を出さないほうが良いとの判断から参加を見送りました。ですがインターンで高評価の学生は本選考でもかなり有利だったという某メーカーの友人の話も聞くので、ここは本当に自己判断だと思います。商社に関して言えば、丸紅なんかはインターンから内定が出てるひとが非常に少ないという話だったので、避けたほうが良い傾向にあるかもしれません。結局最初のことに戻りますが、「優秀な人に内定が集まる」ということは変わらないと思いました。最後に以上、就職活動後ろ倒し初年度という観点から私の就職活動を振り返ってみました。来年も現行の8月からの就職活動が継続されるようですが、思考停止することだけはせずに、前向きに頑張ってください。photobyMartinThomas 12,945 views
メガバンクに内定した高専生の就職活動 メガバンクに内定した高専生の就職活動 皆様、初めまして。私は昨年度、高等専門学校から四年制大学へ編入学し、4月に就職活動を終えた者です。金融業界の3社から内々定を頂き、来春からメガバンクに就職します。今回、圧倒的に数が少ない高専からの編入生に向けて少しでも就職活動の糧になることができればと思い、お世話になったunistyleでコラムを執筆することになりました。1.高専生の悩みと苦労2.高専生のメリットとデメリット3.高専生がアピールすべきポイント4.最後に以上の構成で、述べていきたいと思います。1.高専生の悩みと苦労私が一番苦労したのは、新生活に慣れることでした。それまで当たり前だった生活が一変し、最初の2ヶ月ほどは意味もなく一杯一杯だったことを覚えています。そんな裏では着々と外資系企業の選考時期が近づき、大学でも就活に向けてのイベントやインターンシップの内部推薦などが始まっています。勿論私生活に関しては大した問題ではありませんが、そういった意味で若干出遅れた感が否めませんでした。また生活にも繋がりますが、編入生は必要取得単位数が内部生に比べて非常に多くなります。順当な内部生なら3年次にはほとんど授業がなく、就活に集中しやすい環境と言えます。自分で授業を調整可能とはいえ、結果的に毎期フル単を強いられる状況はとても厳しかったです。特に3年生の後期は説明会ラッシュとテストが丸かぶりするため、編入生はこれを見据えて授業の調整が必要になります。私の場合は、3年前期に取得可能数の限界まで履修し、3年後期は授業を少なくしました。4月に就活を終わらせるつもりで、4年生に単位を回したということです。従って4年生の後期にも授業が入りますが、人生の大一番に最も良いパフォーマンスを発揮するためなら、4年生での授業も厭わないと思います。・新生活と同時に就活準備が要される・単位取得が重くのしかかるまとめると、私はこの2点に苦労しました。2.高専生のメリットとデメリット続いて、高専生のメリットデメリットについて述べていきます。私が就活を通じて感じた高専生のメリットは、主に以下の3つです。1.高専の知名度が皆無に近い2.在学中にある程度のスペックが備えられる3.就活へのモチベーションを保ちやすいでは、1番から説明していきます。私はリクルーター面接を含め多くの面接を受けましたが、全ての面接官に「高専って何?」と必ず聞かれました。高専からの編入学は、全国的にみても非常に珍しいようです。これがメリットである理由は、「自然と会話が発生する」ということです。面接とは初対面でありながら、企業側が「この学生はうちの会社で利益をもたらしてくれるか」を判断します。その要素は主に「考え方、熱意、人柄」と言われています(詳しくはunistyle参照)。つまり、自然と自分の人柄を伝えるチャンスが発生し、心掛け次第でより良いファーストインプレッションを与えることが可能となります。私はこの最初の会話に神経を注いでいました。また、同時に考え方も伝えることができます(詳しくは後述)。続いて、2番に移ります。高専のカリキュラムは5年間で完成するようにできています。世間一般の大学1,2年生が最も遊ぶ時期に、高専生は最も勉強する時期になります。あくまで大学のレベルにもよりますが、ここでの貯蓄が3年生という年次に与える影響は大きいと感じました。少なくとも、「なにもないスペック」という事態にはならないと思います。ただし、これはあくまでスタートラインが見えている程度であり、高学歴の学生には遠く及びません。その点を頭に入れて、入学後も可能な限り様々な挑戦を続ける必要があります。数ヶ月後にどんな学生と戦うかというレベル感は、高専という閉鎖的な環境から飛び出した学生には掴みにくいものがあります。そのため、特に高専生は外資系企業の選考、夏のインターンシップへの参加を強くお勧めします。私自身ある大手企業のインターンシップに参加しましたが、力の差に茫然自失しました。そこで感じた実力差が就活時のモチベーションに繋がり、ベストなパフォーマンスを発揮できたと言えます。最後に3番です。これは上記でも少々触れましたが、入学してすぐに就活が始まる環境であるということです。日本の大学における「大学3年目」と「大学1年目」では、就活に対する意識が違うと感じました。私の周囲の編入生は、高専や他大学を問わず、皆動き出しが早く、満足のいく結果を残すことができていました。反対に、高専生のデメリットについてみていきたいと思います。私が感じた高専生のデメリットは、以下の2点です。1.授業が大変2.学閥の関係で嫌われることもある1番については上記でも述べているので省略し、2番について説明します。企業には少なからず学閥が存在し、大学ごとに規定の採用数が設けられていると言われています。これは実体験ですが、面接で編入した旨を話すと「じゃあ純粋にこの大学の学生じゃないんだねえ」と皮肉めいたことを言われたことがあります。勿論これが起因して面接に落ちるとは言いませんが、学閥を重んじる企業では受け入れがたい側面もあるのかもしれません。以上、就活における高専生のメリット、デメリットについてみてきました。私としては、高専生として就活に臨めて良かったと思っています。面接では想像以上に高専について根掘り葉掘り聞かれますが、その点について事前に整理して臨めば、中々好印象を与えることができます。3.高専生がアピールすべきポイント次に、高専生が就活でアピールすべき点についてみていきます。私が高専絡みで聞かれた質問はおおよそ以下の通りで、これらについてしっかり整理すれば十分なアピールになると思われます。・そもそも高専って何?・どうして高専からその大学に編入したの?・どうしてその学部を選んだの?・高専から編入する人は多いの?・高専ではどんなことを学んだの?・卒業論文は何について書いたの?・なぜ高校ではなく高専に入学したの?これらはほとんどの面接で聞かれました。高専生のメリット1でも述べたように、これについて整理しておけば、自分の「考え方」をアピールできるいい機会になります。面接の最初に聞かれることが多いため、序盤で人柄と考え方の2つを訴求することができます。また、ESや面接では「大学時代に頑張ったことは?」と問われることが多くあります。そんな時、高専の4、5年生の出来事をアピールすることも可能です。実質は大学1,2年生なので、部活動を5年間やり通した人などはそれを強くアピールすると良いでしょう。ただし、それをアピールした後に「大学入学後に頑張ったことは?」と聞かれることもあるので、大学入学後も何かに打ち込むことはとても重要です。4.最後に以上、私が考える高専生の就職活動について述べて来ました。総括としては、高専生というブランドは就活において有利になると思いました(ある程度の学歴の大学に編入する前提で)。「高専からの編入生」は、何万人という学生が応募する中で、いい意味でのインパクトを与えるきっかけに成り得ると考えます。高専から編入してこれから就活に臨む皆さん、または現高専生の皆さんにとって、このコラムが少しでもお役に立てれば幸いです。photobyMariaSemenenko 24,404 views

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