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住友商事の巨額損失から考える総合商社の投資の責任問題

住友商事の巨額損失から考える総合商社の投資の責任問題

最終更新日:2017年12月19日

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住友商事が2012年に取得したテキサス州のシェールオイル開発事業で1700億円の減損を計上しました。今期の連結純利益は2500億円を計画していましたが、合計2400億円の減損計上により、今期の連結純利益は100億円程度を見込むと発表されました。

今回の減損を受けて、経営者の責任を問う声がマスコミやネット上であがっていますが、総合商社の中で働いていた経験からすると、総合商社の投資責任を問うのはなかなか難しいなと思っています。今回は総合商社の投資責任に関する問題についてつらつらと書いてみようと思います。

総合商社の投資事業

総合商社のビジネスモデルがトレーディングから事業投資に変わってきたと言われて長らく立ちました。収益構造もトレーディングによるフィービジネスから、投資先からの配当や持分損益によるものが大きくなっています。
総合商社の投資事業は、投資銀行などの投資とは異なり、長期的なビジョンで事業を大きくする事業投資であると言われます。投資銀行における投資とは、売買差額による利益を目的とするのに対して、総合商社の投資は、投資先の事業成長による配当や持分損益の拡大を目的としているため、このように呼ばれます。
長期的な視野で投資を行うために、特にエネルギー事業においては10年後に利益になる権益への投資も行います。例えば、三菱商事のキャメロンLNGプロジェクトは2018年の商業生産開始と4年後の開始を見込んでの投資となっています。

総合商社の投資の問題点「種をまく人、育てる人、刈り取る人」

総合商社の投資では「種をまく人、育てる人、刈り取る人」という言葉が使われます。事業の投資を決めた人が種をまく人であり、トレードや事業のシナジーを生み出すために奔走する人が育てる人であり、事業が無事成長し、利益を享受する人が刈り取る人です。それぞれのフェーズにやりがいや難しい点があり、人によってどこに関わりたいかは変わってくるでしょう。
一方で、上記のように長期的に事業に関わるということは責任の所在が不明確になることにもつながります。私は総合商社では二つの部門に関わることになりましたが、一つの部門では4年前の投資の失敗により敗戦処理状態であり、一つの部門では30年前の投資の成功によりいまだに安定的に利益を生み出している状況でした。どちらの部署でも今の頑張りというものが実績に反映されにくいジレンマを感じて働いていたのを覚えています。

厳しい責任を取らせることによるリスク「損失先送りのインセンティブ発生」

このようなビジネスモデルの総合商社において、損失を出したときのトップが責任を取ることは損失先送りのインセンティブが発生することになると感じています。
①5年前の投資で既に当時の投資決定者は退任している、②現在の経営責任者は5年前の投資に関与していないケースで、過去の膿みを出そうとした現在の経営者が責任を取る必要があるというのは、経営者にとって酷なものと言えるでしょう。なるべく損失を先送りすることで、責任を取らずにすまそうとするインセンティブが働き、健全な企業経営に支障をきたすと思われます。
少し前にオリンパスの損失先送りの話がありましたが、過去の投資に対する責任を現在の経営者が負う構造になるとこのような先送りをしたくなる構造を生み出してしまう危険性があります。

最後に

ちなみに今回、住友商事がシェールガスプロジェクト関係の減損以外に700億円の減損を出したのは、来年以後の回復を見越してのものでしょう。純利益が100億円というのもある程度恣意的なもので、赤字に転落しない範囲でできるだけリスクのある事業の減損を行っておき、来期以後のリスクを最小限にしたものだと思われます。
総合商社のように長期的な視野で投資を行うビジネスモデルにおいては、利益をあげるだけではなく、過去の膿みを出す経営者も評価する必要があるでしょう。
これは政府債務残高が年々積み上がっている日本にも当てはまる話かもしれませんが、この話は長くなってしまいそうなのでここまでにしておきます。

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